とあるエンド予想(通称、慰霊碑エンド)




 ※警告
 設定上死人が大量に出ます。
 直接的な死の描写もあります。
 耐性の無い方はご注意ください。

 ※推奨
 22話ご覧になった直後だと、よりお楽しみいただけると思います。













 とあるエンド予想(通称、慰霊碑エンド)


「ユーノパパ、まだ?はやくいこうよ」
「ちょっと、まって。ヴィヴィオ」

 今日もヴィヴィオと出かける。
 機動六課の庁舎があった、あの公園に。 

 今日はあの日から、ちょうど1年。
 この子を引き取ると決めた、そして、なのはが死んだあの日から一年。



 あの日、なのはは、聖王のゆりかごから、ヴィヴィオを抱きかかえながら、帰ってきた。
 立っていられるのが不思議なほど、白いバリアジャケットを血で染めて。
「ユーノ君」
「なのは!大丈夫、その怪我!」
「わたしのことはいいから、この子を、ヴィヴィオを」
「なのはのほうが」
「はやく!」
 なのはが頑固だと言うことは昔から変わってない。
 だから、なのはを診るためにもヴィヴィオの診察を急いだ。

「なのは、ヴィヴィオだけど、気を失ってるだけで、特に怪我とかはないよ」
「そう、よかった…」
 安堵したなのはの顔からは、一気に生気が抜けたような気がした。
 
「急いで治すからね」
 そう言いながら僕は、治癒結界を展開した。
「ユーノ君」
「しゃべっちゃ、だめだよ。なのは」
「あのねユーノ君。ヴィヴィオのこと、お願いね。あの子は、これからうんと幸せにならないといけないのに、
私にはできそうにないから」
「なのは、そんなこと言っちゃ、だめだよ」
「ごめんね、ユーノ君。大好きだよ、一番大切な人」
「……なのは。僕も、なのはのこと、愛してる」
「わたしも、ユーノ君のこと、あいs……」
「なのは?なの…………なのはぁ!!!」
 
 なのはが瀕死の重傷を負ったあの日から、こんなときのために訓練してきた治癒結界。
 やっと両思いになれたのに、この日のために訓練してきたのに、それをあざ笑うかのように、
 僕の目の前で、僕の治癒結界の中で、なのはは、死んだ。



 ひとしきり泣いた僕は、ヴィヴィオを呆然と眺める。
 その時一瞬、なのはが死んだのはこの子のせいだ、と思ってしまった。
 だけど、僕はそんな考えをすぐに振り払った。

 だってこの子だって被害者じゃないか。それも一番の。
 人造生命として生まれ、兵器の部品にされ、やっと解放されて起きたときには、
この世にはママは二人ともいない。
 なのはは、こんな子を助けるために頑張ってきた。だから、君の意思を確かに継ぐ。
 もう息の無いなのはに、僕はヴィヴィオを幸せにするって誓った。
 


 なのは以外の前線メンバーも、誰一人として帰ってこなかった。

 フェイト、彼女はスカリエッティのアジトが崩壊した時点から、行方が解らない。
ただアルフが消滅した時点で死亡が認定された。
 八神はやて、彼女はゆりかごの砲撃により、多くの局員と共に、分子レベルで消滅した。
 ヴォルケンリッター、彼等の記録は存在しない。現在では彼等の存在はなかった物とされている。

 スバル、彼女は姉を自らの手で“処分”したのち、親友の変わり果てた姿を見た後、敵を殲滅。
事件が全て終わった後に自殺した。皮肉な事に姉のギンガの蘇生が成功した時刻は彼女が自殺した時刻である。
 ティアナ、彼女は悲惨だった。救援部隊が到着した時には、原形を留めておらず、
肉片から採取された遺伝子がこの物体が彼女であると、告げていた。
 エリオ、彼の生死は現時点でも不明だ。血まみれのストラーダを残して彼はこの世界から消失した。
 キャロ、彼女は頭部を狙撃され、頭部が消失した死体になっていた。
一瞬で死ねた事は、唯一の慰めだろうか。

 ギンガ、彼女は地上本部襲撃時より後の記憶を失っている。退院後、幼なじみのタツミ・スガヌマと結婚。
逃げる様に管理局を去った。

  ヴァイス、彼は怪我した身体にムチ打って現場に現れた。そして、戦闘機人を一体撃破したが、
戦闘中に傷が開き、全ての戦闘が終結した時には、真っ白になって事切れていた。

 アルト、彼女は撃墜されたヘリより脱出したがガジットに撃たれ。膝から上が吹き飛んだ遺体が発見された
 ルキノやグリフィス、シャーリーをはじめとする、前線に出たロングアーチのスタッフは、
爆沈したアースラから脱出する事が出来なかった。AMFが作動してなかったら話しは違っていたかもしれない。

 アースラに搭乗せず生き残った六課メンバーで、僕が知ってるのは、元寮母のアイナさんだけだ。
 今でも彼女には、忙しい僕に代わってよくヴィヴィオの世話をしてもらっている。



 リンディさんとエイミィさんの落ち込み方は激しかった。フェイトは当然として、
はやてやヴォルケンリッターのみんな、そして新人の子達のことも、二人は娘や妹のように思っていたようで、
皆が死んだと聞いたときは、二人も付いて行くんじゃないかと思ったくらいだった。

 クロノによれば、最近は落ち着いてきて、気丈に振舞っているらしい。
 それでも、一人になれば人知れず泣いているはずだ、とも言っていた。

 でもそれは、クロノも同じじゃないのか、と言ってやりたかった。
 けれど、人のことが言える立場じゃないから言ってはいない。



 機動六課隊員慰霊碑は、六課跡地の公園の一角にある。
 この一年、ここの花が絶えることは無い。
 しかし慰霊祭が近いので、いつもよりたくさんの花が手向けられていた。

「なのはママ、フェイトママ、みんな、ヴィヴィオは今日も元気だよ。みんなは元気ですか」
「みんな、ヴィヴィオが来てくれて、うれしくて元気が出たって言ってるよ」
「ほんと、ユーノパパ?」
「ほんと」
「わーい」

 お参りが済むと、いつものようにヴィヴィオに尋ねる。
「ヴィヴィオ、今日も練習する?」
「うん、する」
「じゃあ、結界展開するから待っててね」

 フェイト、あの日アルフが突然消えたとき、僕は君のことより、なのはが大丈夫か心配だった。
ほんと、白々しいと思う。ごめん。

 なのは、今でも僕は悔やみ続けている。最初から僕もいればもしかしたらみんなが、
なのはが、死なずにすんだんじゃないかって。でも、落ち込んでばかりはいられない。君に誓ったから。

「ヴィヴィオ、展開できたよ」
「ありがとう、ユーノパパ。じゃあいくよ、レイジングハート。セートアップ」
《Device Mode, Set Up》

 なのは、フェイト、はやて、みんな。僕とヴィヴィオは、前を向いて進んでいきます。


愛おしい日々を 刻み込んだamulet
in my precious days







 二次原文作成:西鈴
 皆殺しパート:津守さん
 推敲協力ほか:にゃ〜な人さん、まるさん、earlyさん




あとがき

 オトコノコ祭りチャットにて、一ヶ月以上前に受信した慰霊碑エンドのことを話したところ、書いたほうが良いと、奨められましたので、26日より書き始めて、27日に試作完成しました。
 27日にチャットで先行公開したところ、いろいろありがたい指摘をいただきました。
 その中で、まるさんになのは以外の死の描写が足りないと指摘を頂き、本職の津守さんに協力を依頼したところ、快諾していただきました。
 具体的にはフェイトからシャーリーまで津守さんに書いて頂いています。
 ちなみに、津守さんによるとタツミ(オリキャラ)×ギンガのアフターを本気で作成中だそうです。
 津守さんの慰霊碑アフターにご期待ください。(近日公開予定)

 津守さん、にゃ〜な人さん、まるさん、earlyさん、ご協力ありがとうございました。

 ギャグ頭初挑戦のシリアスです。みなさまお楽しみいただけたでしょうか。
 こんな予想しておきながら何ですが本編のエンドは二人もみんなも幸せであることを願います。
 この度は読んでいただきありがとうございました。次はギャグにしよう。うん、ギャグ。
西鈴withチャット住民

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