騎士達と共に過ごし、共に戦う、その為に造られた人格型融合デバイス、ユニゾンデバイス、融合騎とも言われる。
融合する事により、騎士と融合騎、双方の力を高る事が出来る。
しかしこれは、古代ベルカ式の騎士だけに限定され、更に融合には相性が存在する。
相性の良くない騎士と融合騎が融合を行っても、そこまでの効果は望めない。

昨今では、融合出来る者に幅を作る『小型化』が主流となっている。
しかし、正式な融合する相手『ロード』程の効果を期待出来ない。
それに仲間が居らず、一人の騎士も居る。
仲間が自分の融合騎と、融合相性が良いとは限らない。

小型は融合に幅を作れるが、単独でも戦闘が困難になる。
なら逆に等身大のまま、融合対象を更に限定し、融合した時の騎士の能力向上を更に底上げして、魔導術式のオーバーライトで、古代ベルカ式使用者以外でも扱える。
より人間に、生命に近い性質を有する。
新式人格型融合デバイス……


『悪魔の姉!魔王の母!?』


「……はぁ……」

次元航行艦アースラの管制室、そこでクロノ・ハラオウンはため息を吐いていた。
一緒に居た管制官のエイミィ、母で有り艦長のリンディも、苦笑していた。

「…これが…」
「…フォースデバイスの製作経緯…ね…」

先ほどから見ていたのは、牙神とイリスが提示したフォースデバイスに関する資料データだった。

「…まあ、頷けますね…」
「個人使用が目的なら、こう言う考えも有るけど…」

そうしてエイミィが開いたディスプレイに、顔写真が載っている。

「…実用化しちゃうとはね…」

それはフォースデバイスと、そのマスター達のデータだった。

「…確かにな…」

クロノは額を押さえた。

「エイミィ、例のデータは?」
「はい、そろそろ終わる筈ですよ艦長…とっ!」

どうやら、何か調べていたらしい。
新しく出たディスプレイに表示されたのは…

『最高12%』
『最低1%』
『平均7.548%』
『融合該当者0名』

と、表示された。

「…やっぱりですよ…」
「イリスちゃんと同じね…」
「下手しなくても、それ以上ですよ艦長…」

今のは、牙神の融合適性者が他にいないかの、検索結果だ。
因みにユーノは除いている。
ユーノは斬とイリス同様に、牙神との相性もそれなりに良かった。
しかし、どちらも『50%未満』だった。

それで試しに、管理局が保有している全ての魔導師のデータと照合した。
……融合可能な魔導師は皆無だった。

「…余裕で三桁は居る局の魔導師全員で無理って…」
「…てか、融合に最低『80%以上』の適性が必要って…」
「…厳密過ぎだね…」

そう、通常の融合騎以上に融合対象を限定した為、他者との融合がほぼ不可能になった。

「しかも、現主との融合適性は余裕で『90%以上』って…」
「…最早何も言えないわね…」

エイミィがため息を吐き、リンディも苦笑を浮かべた。

更にデータを見ていくと、フォースデバイスの作製に関するデータが出て来た。


フォースデバイスは、従来のユニゾンデバイス同様に、リンカーコアを核にして造られる。
その際に、融合可能術式の拡張の為、一部で使い魔作製の技術を応用された。
その結果、作製にリンカーコアと素体が使われる事となる。

フォースデバイスは二種類有った。
『騎士型』と『守護獣型』の二種類だ。

騎士型は、使われる素体に武器等を使い、人の姿を基本にした融合騎で有る。
融合騎と融合した後で、素体と同じ武器を精製して使う事が出来る。

一方守護獣型は、使われる素体に獣を使い、人と動物の二つの姿を持つ、使い魔に近い融合騎を作製する。
融合騎と融合した際に使う武器は、元々装備しているデバイスか、融合した際の武器を設定する必要が有る。

因みに、人化等が出来ない騎士型と守護獣型は、不完全と言える。


「…しかしこれは本当か…?」
「動物型のユニゾンデバイスの事?」
「いや」

エイミィの問をクロノは直ぐに否定した。

「ここだ…」
「?」


新式人格型融合デバイス…フォースデバイスは、通常の魔導師でも稀に見る『魔力変換資質』に近い能力を使う事が出来る。
魔力を極自然に、物理エネルギーに変換するのが魔力変換資質と言う。
だがフォースデバイスは、魔力を『自然エネルギー』と言う物に変える変換資質を使う事が出来る。

『普通の変換資質』
『魔力』→『物理エネルギー』
『フォースデバイスの変換資質』
『魔力』→『自然エネルギー』

一部は、普通の魔力変換資質と同じように扱う事が出来る。
中には異特な属性も有る。

尚、フォースデバイスと融合した事の有る者は、この資質が身体に定着し、単体で自然に行う事が出来る。

この現象が起きない場合は、単に定着しにくいか、フォースデバイス自体が不完全な場合が有る。


「…魔力じゃないって…」
「試しに実験したら、比較的魔力に近い自然現象って結果が出たけど…」
「…不明な点が多いな…」

クロノはまた悩んでいる。

「…そう言えば…これ…」
「…ん…!?」
「!?」

クロノと、あのリンディが驚愕の表情を浮かべた。



斬達とイリスはあの後、管理局に組み込まれる事になった。

斬は嘱託魔導師として、牙神は斬のデバイスとして登録された。
イリスはそのままユーノのデバイスとして無限書庫でユーノの補佐をする事になった。
因みにユーノの呼称は『パパ』のままだが、この数日で大分慣れた。
更にイリスの仕事ぶりはかなりのもので、無限書庫もかなり助かっていた。
斬と牙神は、よくシグナム達と模擬戦をして、その戦いぶりは周りから驚かれた。
今後の方針は、武装局員として過ごすようだ。



「…さて…行こうか?!」
《本当に宜しいのでしょうか?》
「大丈夫だよ、先生もちょっと出歩くなら平気って言ってたもん♪」

そう言い小走りで駆けて行った。



訓練室で壮絶な爆音が響いていた。

「『飛龍一閃』!」
「『飛王刃』!」

紫炎と朱炎がぶつかり合い、周囲を焼き尽くす。
消し切れなかった紫炎を避け、朱炎が突っ込む。

「おおぉぉっ!」
「はぁぁぁっ!」

二つの影は飛び交い、衝突し合って火花を散らす。

「『飛帝閃』!」
「ぬっ!?」

片方が放つ炎の槍を、もう片方が避ける。
そして追撃を加えるべく接近して来た相手と向かい合う。

「…『紫電…」
「…奥義…」

吹き荒れる紫炎を放つ剣と、薄く強靭な朱炎を纏う刀が…

「……一閃』!」
「……『黒翼』!」

放たれた。
だかお互いに弾き合い、衝撃で煙が立ち込める。

(…虚空断は駄目…黒翼も相殺…なら…!)
(…紫電一閃を相殺するとは…なら…!)

煙が晴れたその先には、得物を鞘に戻したお互いの相手…

「…考えている事は…」
「…同じだな…?」

弾薬の爆撃音が響き、二人は何も言わなくなった。
見ている者の耳が痛くなる程の静寂に包まれていく。

「………」
「………」
『!』

ほぼ同時に瞬く間に抜刀、その剣閃は互角…――



「……ぷはぁっ!」
「…また引き分けだな…」
「ああ…」

そこに居たのは斬とシグナム、二人は休憩所で休んでいた。
先程までの模擬戦は引き分け、お互いに抜刀術を放った後でぶっ倒れて、引き分けになった。

「まさか『裂空』を使ったのに引き分けるとは…」
「私もカートリッジを使っていないのに、そこまでの威力が出せるのには驚いている…」

スポーツドリンクを飲みながら、言葉を交わし合う。
勿論ジャケットは解除している。
実の所、斬はジャケットを持って無かったので、はやてがイメージしてくれた。
牙神は要らないらしく、そのままだ。

「…ここまでの闘いは久しぶりだ…」
「ふふ…そう言って貰えるとは嬉しいな…」
「…ああ…沖田や斎藤いらい久しぶりに…」
「何!?」

シグナムはスポーツドリンクを放り出し、斬に詰め寄る。

「…まさか……新撰組の沖田総司と斎藤一か!?」
「…そ…そうだが…?」
「…な…何故…二人を…!?」

シグナムの剣幕に首を傾げる。
「…俺の出身年代だから…」
「…あ…っ!」

そうだった、斬が幕末の志士として戦っていたのなら、新撰組の二人と剣を交える機会も
有っただろう。

「…それで…?」

シグナムは神妙な面持ちで訪ねる。

「…組でも二人だけ…一度しか戦わなかった…」
「…な…!?」

それにシグナムは驚く。
無理も無い、先程までの技量と恭也と引き分けた腕なら、前線でも充分通用する筈だ。

「…身体が悪かったんだ…」
「……あ……」

此処で気付いた。
生前の斬…神威は身体を悪くしていた。
身体が内側から腐る程の修行の果て、著しく寿命を縮めた。

「…万全に動ければ、前線で遊撃手として出ていただろうが…」
「………」
「…死人の身体だ……それは叶わなかったよ……新撰組と剣を交えれたのもそれ以来だ…」

斬は残念そうに宙を見上げた。

「……せめてと、裏での人斬りに専念したが……最後まで命は持たなかった…」

申し訳なさそうに苦笑した。

「……やるって決めたのに……最後まで出来ないなんて……」
「……だが……」
「?」
「……私は立派だと思うぞ……そんな事……普通は出来ない…」
「……そうか…」

そんな風に話していると、そこに誰か通り掛かった。

「…あれ…シグナムさん…?」
「え?」

聞き覚えの有る声に振り向くと…

「お久しぶりです」
「…な…なのはっ!?」

高町なのはがそこに立って居た。

「お前は入院していた筈じゃあ…」
「はい、リハビリも一通り終わりましたから、ちょっとなら出歩いても良いって言われて、皆を驚かせようかなって…」

成る程確かに、これは皆が驚くだろう。

「…その人は…?」
「俺?」

シグナムが考えている最中、斬となのはが話していた。

「俺は剣咲斬」
「高町なのはです」
「高町って、恭也と同じ?」
「お兄ちゃん知ってるの?」
「色々有ってな…」

自己紹介をして、多少話したらなのはは小走りで駆け出した。

「じゃあね♪」
「気を付けろよ?」
「……?」

シグナムは首を傾げる。

「…どうしてなのはは嬉しそうなんだ?」
「さあ…『ユーノ君に会いに行く』とか言ってたぞ?」
「…ああ…」

それなら納得、なのははユーノが好きだろうから、嬉しそうにしているのは当たり前だ。
……しかし、何か忘れている。
何か大切な事を……

「良さそうな奴で良かったよ…」
「ん?ああ…」
「あいつならイリスとも仲良く出来そうだしな?」
「…ああ…っ!?」

……イリス……?

「………」
「……どうした?」

シグナムが大量の汗をかき始めた。

(……そうだ……イリスだ……イリスと何か有るかもしれない……)

シグナムは青ざめていた。

本局の廊下を、小さな女の子が歩いていた。
白銀の髪に翠の瞳のとても印象的な少女だ。

「ユーノパパのおつかいも終わったし、早く帰ってお手伝いしないと…」

イリスも管理局に大分慣れて、今では資料を届けに行く等、おつかいをしたりしていた。
おつかいが終われば無限書庫でユーノ達の手伝いだ。

「…あれ…?」

無限書庫に行く途中で、何かを見付けた。
見掛けない人だった。
困ったように回りを見渡している。

「…えと…どっちだっけ…?」
《私が教えましょうか?》
「ううん!自分でやりたい…けど…」

イリスは少し考えてから、その人に話し掛けた。

「どうしました?」
「へ?」

イリスが声を掛けると、少し驚いたように振り向いた。

「どうかしましたか?」
「…え…と…」

言い辛そうに目を背けるが、イリスは痛い所を突く。

「…迷子…ですか…?」
「……うん……」

しょうがないので、イリスに訪ねる事にした。

「ねえ、無限書庫って知らない?」
「無限書庫なら今から行きますよ?」
「本当に?」
「はい、パパのおつかいが終わったので…」

お互いに頭の中で情報を整理した。

(…パパ…司書の人の子供かな?)
(…この人桃子さんに似てます…ユーノパパの知り合いでしょうか?)

微妙な擦れ違いだった。

「じゃあ一緒に行っても良い?」
「良いですよ」
「私なのは」
「イリスです」

自己紹介をしながら、二人は手を繋いだ。

「行こうか、イリスちゃん♪」
「はい、なのはお姉ちゃん♪」

そうして二人は歩き出した。



次元航行艦アースラで、お茶を持って歩いている少女がいた。

「…し…失礼します…」

管制室の扉を開けた。

「ん?」
「フェイト?」
「あの、お茶を…」
「あら、ありがとう」

リンディがお茶の載ったお盆を受け取った。
クロノは優しい笑みを浮かべて、フェイトの頭を撫でた。

「ありがとう」
「た、大した事じゃ…」

フェイトは恥ずかしそうに笑っている。

「…甘いわね…」
「…砂糖の入れ過ぎですよ艦長…」

そんな事を言われながら、リンディはお茶を啜る。

……無糖のお茶を……

「そう言えば…」

フェイトは思い出したように、携帯電話を取り出した。

「さっきメールが来たんだ、なのはから」
「そうか、何て?」

それに、リンディとエイミィも耳を澄ます。
……いや、管制室にいる者達も聞き耳を立てていた。

「うん『少しなら出歩いても良くなったから、ユーノ君を驚かせに行きます』だって」
「それは良かった…」

それは誰もが思う事だった。
下手をすれば一生歩けなくなる程の怪我、此処までの回復は喜ぶべきだ。

「まだ魔法は使えないけど、凄く元気なんだって……クロノ?」

フェイトは首を傾げた。
何故ならクロノが固い表情をしながら、天井を眺めていたからだ。
いや、管制室に居る人間の殆どが、そんな表情になっていた。

……何故か全員……

……嫌な予感がしたのだ……



「…イリス…大丈夫かな?」

多少の心配を含んだため息を吐きながら、十数冊の本の内容を理解して区分けする。
到底人間業では無いこれを、無限書庫司書のユーノは、平然とやってのけていた。
周りからは『未来の司書長』とか呼ばれているが、本人にその自覚が無い。
直接言っても「皆過大評価し過ぎだよ」と返す。

「…心配要らないかな…?」

確かに心配は不要だろう。
マスター得たお陰で、性能も十二分に発揮出来るようになり、並みの武装局員では歯が立たない。

ユーノと波長が合い、ユーノを基準に初期化した影響か、イリスは補助系に特化している。
だが戦い方によっては、なのはやフェイト、クロノも危ない。

試しに斬が戦って見た。
斬は驚いては居たが楽しそうだった。
見ていた者達は、極力敵にはしない方が良いと痛感した。
それは彼女の素体に関係が有る。

「…でも…イリスの稼働時間も驚いたな…」

フォースデバイスは、一応成長も出来るらしい。
これは一部の騎士型のみらしく、牙神も出来るらしいが、基本的に今のままで維持するそうだ。
イリスはどちらかと言えば、成長したいらしいが、今まで出来なかった。

実はイリスの稼働時間は、余裕で五十年を越えていた。
それなのにあの姿を維持していた訳は、成長にはマスターの魔力が必要で、普通の栄養摂取はあまり意味が無い為だ。
普通の食事でも、無いより有る方が良いが、人間で言う点滴と同じ程度の効果しか無い。
使い魔のようだが、最低限の魔力しか必要としない為、普通の使い魔より燃費が良い。

「…やっぱり、元気に育って欲しいな…」

そんな事を呟くユーノ・スクライア十二歳、この年齢でやけに老けて見える。



「もう少しで無限書庫です」
「ありがとう」

なのはとイリスは、手を繋いで歩いていた。
そして、無限書庫の扉の前に着いた。

「…久しぶりだな…」

半年以上を治療とリハビリに使っていた為、こうして歩くだけでも大分疲れた。
しかし気分は高揚していた。

(…ユーノ君…)

そして扉を開いた。

「…あ…っ!」

中に入って少し上層部に、ユーノが居た、検索魔法を行使していた。
なのはは名前を呼びながら飛んで行こうとした。

「…ユーノく…」
「ユーノパパ〜っ!」

だが、それより先にイリスがユーノに向かって飛んで行く。

「…へ…?」

……パパ……

「お帰りイリス、ご苦労様」
「はい♪」

そう言いユーノは、抱き着いて来たイリスの頭を撫でた。

それはとても自然に…

……パパ……

…優しく笑っていた。

……ユーノパパ……

なのはの頭が真っ白になって行く。

「今日は道に迷ってた人を助けました」
「偉い偉い、大丈夫だった?」
「はい、その人も此処にようが有ったらしいので…」
「どんな人?」
「はい、桃子さんに似てました♪」
「……へ……?」

桃子とは高町桃子だろう。
管理局内で、高町桃子に似てると言えば…

「…まさか…」
「あそこに居ますよ?」

イリスの指差す方向を見たら…

「………」

顔俯きながらも全身から、無言の威圧感を発生させている。

「…ユーノ…君…」
「…なの…は…?」
「…その娘は…」

そして上がった顔は…

「……誰……?」

……悪魔だった……

管理局の制服じゃない、真っ白な普段着で着飾った。

……白い悪魔だった……

「……えと……」
「……ちょっと……」

左手をゆっくり、ゆっくりと胸元に持って行く。

「…頭…冷やそっか……?」

ユーノは直感した。
自分は死ぬかもしれない。

「……レイジングハート…!」
《いけませんマスター!》
「…エクセリオンモード…」
《駄目です!》
「……セット!!」
《…あ…ああ…っ!》

嫌がるレイジングハートを無理矢理エクセリオンモードに変型させる。
このままでは、ユーノもそうだがなのはも危ない。

「…はぁぁ…あ…れ?」

しかしそれは杞憂で済んだ。

「…え…何時の間に…!?」

何故ならなのはは、全身ぐるぐる巻きにされて動けなくなっていた。

「…これって…?」

彼女は『鎖』で絡め捕られていた。

「…ぐっ…レイジングハート!」
《魔力の結合阻害を確認、魔法が使えません》
「え…ええっ!?」

魔法が使えないとなるとは『AMF』だろうか?

「な…何で…?」
「……すみませんが……」
「!?」

なのはは自分を捕まえている鎖を辿った。
それはユーノの近くから伸びていた。

「…ユーノパパ……マスターユーノに危害を加えるなら…」

ユーノの直ぐ傍に居る。

「…容赦しません…っ!」

イリスのリストチェーンから、伸びていた。
そして鎖の先端が、鋭い刃物になった。

「ひゃっ!?」

なのはの首筋に冷たい物が当たった。

「………」
「……あ……」

そしてなのはは…

「イリス、離して上げて…」
「はい」

あっさり解放された。

「…はれ…?」
「良いんですか?」
「大丈夫だよ、ちゃんと説明すれば解ってくれるさ」

ユーノはイリスの事を話した。
フォースデバイスの事も簡単に説明した。

「…そうだったんだ…」

なのはは内心ホッとしながら、イリスに近付いた。
イリスは警戒体制を取っている。

「…改めて自己紹介しようか…」
「?」
「私は高町なのは」
「…イリス…」

なのははイリスの頭に手を置いた。
イリスの身体が一緒強張るが、そのまま撫でた。

「…さっきはごめんね…」
「…っ…」

イリスは手を下ろした。

「…デバイスなの…?」
「…うん…」
「………」
(ユーノ君がパパか…)

なのははぼんやりと、そんな事を考えた。

「…桃子さんにそっくり…」
「へ?…それはそうだよ、私のお母さんだもん」
「…お母さん…ママ…」

イリスが顔を俯かせた。

「…どうしたの…?」
「…ママ…」
「………」

イリスのこの様子からして、母親が欲しいのだろう。
それに感付いたなのはは、ユーノに顔を向けた。

「ユーノ君!」
「何?」
「私と『結婚』しよう!!」
「えぇっ!?」

そんなかなり斜め上な発言に…

『話が飛躍し過ぎだろっ!?』

その場に居た他の司書達全員が突っ込んだ。

「…結婚…?」
「私はイリスちゃんの事イリスって呼ぶから、なのはの事は『ママ』って呼んでね?」
「…ママ…?」
「うん♪」
「……っ…!」

イリスの顔が段々明るくなって来た。

「なのはママ♪」
「イリス♪」

お互いに呼び合いながら、二人は抱き合った。

その後、二人の子供『イリス・T・スクライア』と名乗る事になる。

また、なのははその名を『白き魔王』と改名されたが、それは謎だった。

……一体何ででしょうか………ねえ……?




あとがき


どもども、中々に難儀しだした十三話です。
イリスの元ネタは、ぶっちゃけイージスですね。

……すみませんでした……

そんじゃあ、イリスのデバイスとしての設定


FD(フォースデバイス)『イリス』
属性『鋼』
素体『鎖』
固有能力
『レインボーチェーン(変幻自在の鎖)』
使用者の意識で自由な形状で伸び縮みする。
基本的に何でも錬成可能
以前はこれの応用で檻を精製してユーノを助けた。

『魔力貫通』
鎖に常に『バリアブレイク』のような効果を付与する能力
相手の防御を抜き易くする事が出来て、相手を絡めとると魔力結合を阻害して、魔法を使えなく出来る。

備考
『イリスの素体となった鎖は、よく解らない鉱物で出来ていて、結構頑丈です。
絡め撮られたら、魔力強化無しではまず抜けれないが、斬は何故か自力で抜け出したらしい。
この理由は後程』


てな感じです。

イリスは基本的に、ユーノ見たいに大人しいですけど、怒ったらなのはと同等かそれ以上です。


次回!!



……何にしようか……?



――――――じゃっ!!





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