「ふぁ・・・・・・」 欠伸を噛み殺しつつ、クローセスは手の中の小さな木の欠片にナイフの刃を入れた。投擲に使っていた小型のナイフで表面を細かく削り、少しずつ形を整えてゆく―――こういった細かい細工物は、趣味の一つでもあった。 今日は日曜日であり、全国的に休日。もうすぐ二月ではあるがまだまだ気温は低く、暖房の効いた部屋でくつろいでいる次第である。 「―――あ、お帰りフェイト」 「ひゃっ!?」 魔力、気配を消して背後に忍び寄ろうとしていたフェイトに、クローセスは苦笑交じりに先手を打った。 「バルディッシュに手伝ってもらえば魔力遮断は完璧になったね」 「また気付かれた・・・・・・もぅ、何でそんなに分かるの?」 不満げに頬を膨らませるフェイトに苦笑する。手の中の彫刻からは目を離さず、クローセスは小さく肩をすくめた。 「気配には敏感だからね。それにフェイトぐらいの腕なら、玄関を入った辺りで気付けるよ。まだまだ精進が足りないって事さ」 「むぅぅ・・・・・・」 気配を消す方法を最も端的に言えば、それは『自然に溶け込む事』である。まるで風景の一部であるかのように、視界に入っても違和感を抱かせない。一切の音を立てず、空気を揺らさない存在―――人は、それを感知する事は出来ないのだ。 「とりあえず、無理に呼吸を沈めようとするぐらいだったら止めてた方がいいね。理想としては、走ってても音を立てない位なんだけど・・・・・・」 「まだ無理だよ、それは・・・・・・」 「ま、修行あるのみだね」 苦笑する。こちらの魔法使い達は魔法の技術を磨くばかりで、己の肉体を鍛えようとする人間はほとんどいない傾向にあるように思えた。典型的な『魔法使い型』である姉でさえ、肉体と棒術には絶えず磨きをかけていたと言うのに。 「自己研鑚こそが人間のあるべき姿、ってね」 小さく笑い、クローセスは手の中の彫刻を紙やすりで磨き始めた。フェイトはようやくそれに気付いたのか、その手元を覗いてくる。 「わぁ・・・上手だね、クロス。アルフだよね?」 「うん。割と上手くできてるかな」 子犬の姿のアルフを写し取った彫刻は、やすりで磨かれてその表面を滑らかに変えてゆく。息で木屑を払い、それを眺め―――頷いた。 「はいフェイト。プレゼント」 「え、え!? く、くれるの?」 ぱっと顔を輝かせたフェイトに、クローセスは笑顔で頷いた。確かに暇つぶしのためでもあったのだが、どちらかと言えばフェイトへの感謝の印として作っていたものだったのだ。 「あ、ありがとう・・・・・・」 「はは、どういたしまして」 満面の笑みにどぎまぎしつつ、小さく苦笑する。それほど大したものでもないのだが・・・・・・ 「さて、どうする? 特に予定も入ってないけど・・・・・・」 「敵の場所も分からないしね・・・・・・一応はやて達と出掛ける約束があるんだけど、一緒にどう?」 「んー・・・・・・まあ、別にいいよ」 敵側の目的が分からない―――とりあえずディープスフィアなるロストロギアを狙っているようではあるが、それが後何個あるのか、そしてそれがどこにあるのか分からない以上こちらから動く事は出来ない。 (そもそも、何で僕達への復讐を考えないで外の世界に出たんだろう?) 確かに、騎士団の保有する戦力には第一階梯に等しい存在もいる。無論、そこまでの出力となれば制限もつくが―――それでも、第二階梯がどうこうできるレベルではない。 ―――正面から戦った場合には。 (あの二人は、兄さんやクラインさんがいても手を焼いた相手だ・・・・・・) 戦いを決めるのは、戦闘能力だけではない。狡猾な策を張り巡らせる能力―――ウェルフィレアとメルレリウスは、特にそれに長けていると言っても過言ではない。正面から戦わざるを得ない状況まで追い詰めて、その上で倒せた相手だった。 (フルドライブなら、僕でも正面から攻撃を徹せる・・・・・・皆でも、それは同じはずだ) あごに手をやって考え込む。どうすれば、相手を誘き出す事が出来るか。 「シアシスティーナの話を聞いてれば、たぶんこっちを格下と見てるはず・・・・・・なら、リスクは高いけど・・・あえて戦力を分散させて誘き寄せるか?」 「クロス?」 「もしシアシスティーナみたいに魔力が消耗した状態なら、火力で押し切る事も出来るけど・・・・・・そういえば、皆兄さんが倒した連中ばっかりだな」 炎を纏う兄の姿を思い浮かべる。強い人間と聞いて、クローセスが最初に思い浮かべる人物であるが―――戦いの中心に存在しやすい人間なので、古代魔導族の内の三分の一は彼が仕留めていたはずである。 「いやまさか・・・・・・全員がって訳じゃないはず・・・・・・他にも兄さんが倒した第二階梯はいる訳だし―――」 「―――クロス!」 「わっ!? な、何?」 突然大声を上げたフェイトに驚き、クローセスは目を瞬かせた。不満そうな表情を浮かべている彼女に、思わず首を傾げる。フェイトは、嘆息交じりに声を上げた。 「何、じゃないよ・・・・・・そうやって一人考え込んだりするの、クロスの悪い癖だ」 「あ、あはは・・・・・・」 「都合が悪くなるとそうやって笑って誤魔化すし」 「ご、ゴメン」 そっぽを向いたフェイトに苦笑し、クローセスは立ち上がった。 「分かった、行こう。どうせ、今すぐ事件が解決する訳じゃないしね」 * * * * * 「―――以上だ」 「・・・・・・」 アースラでの研修の途中経過について・・・その話を終え、クロノは小さく嘆息した。相変わらず俯いているなのはは、未だに復活の兆しを見せていない。 隣にいるヴィータも、文句を言おうにもどう声をかけていいのか分からないのか、困惑した様子で頭を掻いている。 「なのは、聞いてるか?」 「うん・・・何、クロノ君?」 返って来るのはやはりぼんやりとした声。流石にこれは落ち込みすぎではないかと思うが、とクロノはもう一度嘆息した。 「君は、どうしたいんだ」 「・・・・・・え?」 「確かに自分の言った事を反省するのはいい。だがな、今の君がやってる事はただの自虐行為だ」 表情には呆れを残してはいるが、その声音は真剣だった。その事に気付いたのか、なのはもおずおずと視線を上げる。そのなのはに向け、クロノは続けた。 「冷たい言い方かもしれないが、自分を責めるだけでは人は進歩しない。反省したなら、次にどうするかを選択しろ」 「どうしたら、いいか? でも、私も・・・・・・」 「まともに考えてもいないのに決め付けるな。あるだろう? やりたい事も、やるべき事も」 その言葉を受け、なのはの瞳に少しだけ力が戻る。その様子に手応えを覚えながらも、クロノはさらに続けた。 「僕から直接どうしろと言う事はできない・・・・・・ただ、自分を責めるよりまずやるべき事を探せ。僕が言えるのはそれだけだ」 「やるべき事・・・・・・」 クロノの言葉を受け、なのはは先ほどとは違う意味で視線を俯かせた。数秒後、声に力を込めてなのはは視線を上げる。 「やりたい事なら、あるよ。ユーノ君と話がしたい。だけど・・・・・・」 「だったらちょーど良いじゃねーか。せっかく本局にいるんだし」 「―――ヴィータちゃん?」 なのはが調子を取り戻したことに安堵したのか、ヴィータの声にもいつもの様子が戻っていた。頭の後ろで手を組み、ヴィータは肩を竦めて声を上げる。 「だったら、ぱっと行ってぱっと謝ってくればいーだろ? 謝りたいって言ってたじゃん」 「あ・・・・・・そっか、そうだよね!」 頷いたなのはに、クロノとヴィータは視線を合わせて苦笑した。世話が焼けるものだ、と。 * * * * * クローセスは、腕を組みつつ首を捻っていた。いつの間に、自分はここまで不幸体質になっていたのかと。 きっかけは大した事ではない。フェイトと出かけてはやてと合流し、ただ買い物がてら街を散策していただけである。その途中、少し休憩する事になって飲み物を買いにコンビニへ入った。ただ、それだけである。 「アレだ、兄さんの不幸体質が感染ったとしか思えないな」 「神経図太いなぁ、クロス君。この状況でのんびり考え事しとるとは」 「ふ、二人とも・・・・・・どうしてこの状況でのんびり出来るの・・・・・・」 緊張でガチガチに固まったフェイトが、震えの混じった声を上げる。その様子に、クローセスと少し開き直った感のあるはやては朗らかに笑みを浮かべて答えた。 「あはは、何を言ってるんだよフェイト。いるのなんて精々、拳銃を持った黒覆面だけじゃないか」 「そーやで、フェイトちゃん。コンビニ強盗が二人いるだけで、私らは特に気にする必要はあらへんよ」 あははは、と笑う二人に対し、フェイトは全力で首を横に振っていた。尚も笑いながら、クローセスは後ろ手に持ってきていた手甲(デバイスにあらず)を装着する。 ―――そして次の瞬間、ついにはやてが限界を迎えた。 「って、無理に決まっとるやろーが! か弱い乙女に何させんねん!」 「・・・・・・乙女?」 「ツッコミ所が違う! ノリツッコミしたんやからそこに何か反応せい!」 「いや、それもツッコミ所が違うんじゃないかと」 案外余裕があるのではないかとはやてを見てみるが、あまりその様子は無い。余裕がなくても漫才は出来るというのはどうなのかとも思うが。 「あぁ、私はもうダメや・・・・・・ゴメンな、騎士達・・・・・・私に何かあったら全部クロス君のせいやからな・・・・・・」 「本気で言ってんのかわざとなのか分からない辺りが君らしいね・・・・・・」 「―――オイ、そこッ! 五月蝿ぇぞッ!!」 『ひッ!?』 あ、普通に怖がってる・・・・・・などと失礼なことを考えながら、クローセスは嘆息交じりに近寄ってくる男に向かって手を振った。 ―――すこん、と軽い音が響く。 「ん? ・・・・・・ぃぎゃあああああああッ!!?」 眉間に軽く突き刺さったナイフに、男がのた打ち回って悶絶する。クローセスは肩を竦めてそれに近付き、砕けない程度に加減をしてその顎を蹴り抜いた。あっけなく、男が気絶する。 「て、テメェ―――ぶごふッ!?」 こちらに気付いてもう一人の男が拳銃を向けようとするが、すぐさま肉薄したクローセスはそれを手甲で打ち払った。さらにそのまま、右手を突き出して鳩尾に拳をめり込ませる。さらには身体をくの字に折った男の顔面に、カウンター気味に膝を叩き込んだ。 「・・・・・・あ」 ここまでする気は無かったのだが、条件反射でそこまでコンボを決めてしまった。嘆息して戻り、ナイフを回収しつつ気付かれないようにその傷を塞ぐ。全て終えて立ち上がり、クローセスは固まっている二人に笑顔を向けた。 「さて、飲み物買ってこうか―――あ、そうだ店員さん。気絶してる内にロープかなんかで縛っといた方がいいですよ?」 朗らかに言うクローセスに、店員は呆気に取られながらこくこくと頷いていた。 「しっかしまぁ、妙に手馴れてたな、クロス君?」 「あははは・・・・・・」 はやてに問われ、クローセスは笑みを浮かべて嘆息した。 「今までも何度か同じような事があったからね・・・・・・兄さんと銀行行った時とか」 「まさか・・・・・・銀行強盗も?」 フェイトの問いに、苦笑交じりに答える。その顔には、どこか疲れじみたものも浮かんではいたのだが。 「八人ぐらいいたんだけど・・・・・・兄さんは無視してカウンターで手続きしようとして、キレた犯人達が襲い掛かって・・・・・・」 「うわ、大丈夫だったん?」 「・・・・・・返り討ちにして半殺しにしてたよ」 空中に逆さ釣りにして下で火を焚くなど割と外道な事もやってのけていたが。『犯罪者に人権は無い』がモットーの兄としては、まあ割と手加減はしていた方なのだろう。 「兄さんなら容赦なく骨の一本や二本は折ってくからね。コソ泥程度でも」 「・・・・・・やり過ぎとちゃうん?」 「世界はともかく僕が住んでた国は、治安はそれなりだったけど、その分犯罪には厳しかったから」 かつて住んでいた場所を思い出し、視線を細める―――と、そこに視線を感じてクローセスは振り向いた。同時に、少し眉根を寄せているフェイトと視線がぶつかる。 「どうかした、フェイト?」 「え? ―――あ、ううん。何でも・・・・・・何でもないよ」 悩み事でもあるのか―――少し元気の無いその様子に、クローセスは首を傾げた。だが考えても思い当たることは無く、しょうがなく後回しにする。 と――― 「―――済みません、一つお伺いしたいのですが・・・・・・」 「え?」 「あ、はい。何ですか?」 一人の老人が、柔和な笑みを浮かべて声をかけてきていた。 「駅に行くには、どちらへ行けばよろしいのですか?」 「ああ、それなら簡単ですよ。この道真っ直ぐ行って、あそこの大きな角を左に曲がって真っ直ぐ行けば駅に着きます」 「おお。ありがとうございます」 はやてが道を示し、老人がそれに頷く。握手を差し出してきた老人に、フェイトとはやては笑顔で応えた。そして――― 「―――腕は落ちていない様子。しかし少々油断が過ぎるのでは? 狼の若君よ」 「な―――っがあッ!?」 『!?』 向けられた掌に、クローセスは一瞬で弾き飛ばされていた。壁に叩きつけられ、ずるりと地面に落ちる。 ―――いつの間にか、周囲からは人気が完全に失せていた。 「かの狼王は、一部の隙も無い御方じゃったぞ?」 「メル・・・レリウスか・・・・・・!」 「いかにも」 老人の姿が変わる。白髪交じりだった髪は銀髪に、虚空からはシルクハットや杖が現れ、彼はいつの間にか老紳士へと姿を変えていた。その姿を忌々しげに睨み、クローセスが声を上げる。 「やはり、お前か・・・・・・目的は何だ!?」 「何、ちょっとした余興じゃよ」 「余興・・・・・・?」 メルレリウスの言葉に、フェイトが聞き返す。彼は帽子を目深に表情を隠し、小さく笑みを漏らした。 「その通り。時空を管理するなど大それた事をするお主達が、どこまで出来るのかを試してみようと思っての・・・・・・まあ、やはり大きいだけの組織など器用貧乏なだけであったがな。『敵を殲滅する』事に特化した天界騎士団とは比べ物にならんよ」 「そりゃどうも」 視線を鋭くし、クリアスゼロを起動する。姿を変えたクローセスに、メルレリウスは愉快そうに笑みを深めた。 「技術は貪欲に取り入れる―――まったく、人間のあるべき姿よ」 「御託はいい・・・・・・お前の目的は、ただの暇つぶしだけじゃないはずだ」 「ほう? それは聞き捨てならんなぁ」 「うん・・・・・・放って置けない」 フェイト、はやても共にデバイスを起動する。それを確認して、クローセスは再び声を上げた。 「ただの暇つぶしなら、僕らの世界でも出来た。それをわざわざこんな遠い場所まで来たんだ・・・・・・あのロストロギア、ディープスフィアの事もある」 「ディープスフィア・・・深淵の宝玉、か。なるほど、中々に名付けのセンスはあるようじゃの」 「メルレリウス!」 吼える。ディープスフィア―――魔導の術式を利用したロストロギアは、恐らくこの古代魔導族の目的でもあるはず。アレが一体何なのか、そして真の目的が何なのか―――それが、どれほどに危険なものなのか。それを、知る必要がある。 だが、返って来たのはやはり笑みの混じった声だった。 「行ったじゃろう、余興だと。言わばゲームじゃ」 「ゲーム、やて?」 「どうせ滅びた種族。ならば、余生は愉快に過ごしたいとは思わんか?」 「―――ッ! ならいい、ここで滅ぼせばそれまでだ!」 攻撃しようと、クローセスが身構える―――だがそれより一瞬早く、メルレリウスの姿はその場から消え去っていた。声だけが、静かにその場に響く。 『舞台の幕はまだ上がっておらん。時が来れば、最高で最低の人形劇を見せて差し上げよう・・・・・・では、ごきげんよう』 「待てっ!」 叫ぶが、既に気配は消え、その声も聞こえてこない。舌打ちし、クローセスはデバイスを解除した。 『反応はロストしました・・・・・・申し訳ありません』 「・・・・・・いいよ。それより、ただの挨拶だけであいつが姿を現すとは思えない」 「どういう事や?」 「何らかの行動を起こしてる可能性が高い・・・・・・」 腕を組んで、思考の海に意識を沈める。犯行声明にしては、少々違和感がある―――だがそれ以前に、もっと違和感を感じていた事もあった。何故、この世界に彼らが潜伏したかと言う事だ。 「ここに潜伏したと言う事が分かれば、アースラは当然ここに駐屯する・・・・・・ッ! まさか!?」 「く、クロス?」 「陽動だ! 僕らと管理局の意識をこの世界に集中させた! 連中の目的がディープスフィアなら―――」 「―――まさか、本局か!?」 クローセスの考えに気付き、はやても驚愕の声を上げる。フェイトは一瞬反応が遅れたが―――事態の重大さに、すぐさま頭を切り替えた。すぐさま、クロノに向かって念話を送る。 『クロノ! 今どこ!?』 『―――フェイト!? い、今は自宅だが・・・・・・やられた』 『っ、どうしたの!?』 苦々しげなクロノの声に、フェイトは思わず顔色を変える。悔しげな様子で、クロノからの返事が返ってきた。 『恐らく、クロスの言っていた人形だ。君の姿をした人形が現れて、僕が戻って来たすぐ後に転送機を破壊した』 「・・・・・・っ、こっちの動きまで丸分かりって訳か!」 クロノの声に舌打ちする。レイが現れた時以外、こちらは完全に向こうの掌の上で踊らされていたのだ。 『クロノ、アースラに連絡して! 緊急事態の可能性もある。すぐの本局まで飛ばないと!』 『了解した。君たちは臨海公園のいつもの場所でポートが開くのを待ってくれ』 居ない相手に頷き、三人で駆け出す。現在アースラメンバーで本局に居るのはリンディとヴィータ、そしてなのはのみ。ほとんどを分断された状態である。 「―――レイ、頼むよ・・・・・・」 半ば祈るように呟いて、クローセスたちは臨海公園へと急いだ。 あとがき? 「おー、何かピンチっぽいな」 「・・・・・・クラインさんが言うと全然そう聞こえませんね」 「別にレイが居るんだし、問題無いんじゃね?」 「そりゃまぁ、そうですけど・・・・・・レイ? 何読んでるの・・・・・・デバイス工学?」 「んー・・・・・・そう、今ちょっと趣味に力入れてて」 「仕事してんのか、おい?」 「君にだけは言われたくないね・・・・・・いーじゃん、十二冊のうちの二冊が趣味だって」 「まぁ、別に悪いとは言わないけどさ・・・・・・それで、デバイス作ってるの?」 「うん、まぁ、割と本気で。新しいジャンルの作品を作ると燃えるねぇ」 「・・・・・・自分の?」 「戦わないからいらない」 「うわ即答」 「ほう、じゃああの坊主のって訳か?」 「うん。まーね」 「そっか・・・・・・じゃあ、次回には登場するんだ」 「だね。まぁ色々頑張ったおかげで現在魔力不足だけど」 「問題あるまい。趣味って言うのは全力で取り組んでこそ意味があるものだ」 「そうですね。僕も細工物とかは―――って、違うッ!! レイ、魔力不足って!?」 「おお、ノリツッコミ」 「それはどうでもいいです! レイ!?」 「人の姿に戻るので精一杯ぐらいかなぁ」 「何でそこまで頑張るのさ!?」 「いやぁ、楽しかったもんだから・・・・・・つい」 「ついじゃないって!!」 「そんな事言われても、やっちゃったもんはやっちゃったし。ま、あの子に頑張ってもらおうか」 「そーだな。じゃあ、また次回」 「いきなり人の希望が打ち砕かれた・・・・・・・・・」 |