「?」

ハラオウン家に戻り―――クローセスは、まず首を傾げた。家の中の気配が、いつもと比べて妙に薄い・・・・・・これでは、自分以外には一人しかいないのではないか。
ルヴィリスは今の所無限書庫から帰ってきていない。ならば、自分以外のこの気配は誰の物か。リビングに入ってすぐ、その答えは知れた。

「お、帰ってきたか」
「アルフ・・・・・・皆は?」
「用があってアースラ行ったよ」
「そっか」

アースラの中でも最も重要な人員が揃っている家である。突然用事が出来たとしても、特に不思議な事はない。納得しつつ、クローセスは人の姿のアルフの対面にある椅子に腰を下ろした。そのまま、小さく息を吐き出す。

「・・・・・・・・・」

こうやってのんびりしている間にも敵は活動している。相手にはこちらの動きを読まれ、こちらは全く掴めない―――自分一人であったら、最悪の状況だったはずだ。

「ああ・・・・・・そう言えばそうだな」
「うん? 何がだい?」
「いつも情報をそろえて―――と言うより、必要な情報を与えられてから戦場に出てたから・・・・・・こんな状況、滅多に無かったんだなって」

ただ目の前の敵を倒す―――クローセスに出来る事は、たったそれだけ。情報を集めるのは自分の仕事ではないし、それは己の役目から外れている事だと思う。
騎士の役目は、ただ護るべき者に害為す者を■す事だけなのだから。

(・・・・・・・・・!)

それを自然に考えてしまい、クローセスは思わず息を飲んだ。危険だ、と。だが、反面―――

(何を、今更・・・・・・そんな役目の事ぐらい、三年も前に覚悟を決めたのに)

騎士のする事は、誰かがしなくてはならない事なのだ、と兄に教えられた。だからいちいち、そんな事を気にする事も無いほどに、自分は積み重ねてしまっている。三年の月日は、長い。
と―――

「ああ・・・・・・その顔だ」
「アルフ?」
「ずっと見覚えがあると思ってた。その顔」

唐突に、アルフが少し不機嫌そうな声を上げた。腕を組んで視線を向けてくるアルフに、何事かと首を傾げる。途端、アルフはその指をクローセスの鼻先に突きつけた。

「その表情、あたしはずっと隣で見てたんだ―――アンタ、昔のフェイトとそっくりな表情してる」
「昔の、フェイト?」
「そう・・・・・・なのはと出会う前の、助けてもらう前のフェイト」

多少寄り目になりつつ、クローセスは言われた少女の姿を思い浮かべた。少し遠慮がちで、それでも強い信念を持っている強い少女―――それが、クローセスの持つフェイトの印象。その彼女の昔の姿と言うのは、一体どんなものなのか。
ただ―――アルフの表情は、重く沈痛だった。

「・・・・・・そっくりなんだよ・・・・・・見てて、思い出しちまうほどに。辛いのに、苦しいのに自分で気付けなくて―――助けて欲しいのに助けの求め方も知らなくて、手を差し伸べられてもその取り方も分かんなかった。あんなフェイトはもう見たくないって思ってたけど・・・・・・何で、アンタでも同じ気分になるんだ」
「―――ッ!!」

目を、見開く―――
知らなかった、気付けなかった。フェイトが、そんな場所まで来てしまった事があったとは。そこまで―――心を削ってしまった経験があったとは。

「・・・・・・フェイトは」
「ん?」
「フェイトは・・・・・・独りぼっちだったの?」
「・・・・・・ああ。あたしが、いたのにね・・・・・・」
「そう、か」

虚空を仰ぐ。人が傍にいるのに、誰かが付いていてくれているのに孤独な人間―――その姿が、自分と重なった。
だけど、違う。なぜなら、彼女は―――

「なのはが、救ってくれたんだね」
「ああ・・・・・・いい子だよ、あの子は」
「そうだね・・・・・・それに、僕が欲しいと思ってた力も持ってるみたいだ」

羨望、嫉妬。そんな感情をない交ぜにした吐息を吐き出す。どんな人間の心も救う事が出来る、その力。太陽の光のように優しいその力は、クローセスが最も望んでいた物で―――そして、手に入らなかった物。

「なぁ・・・・・・アンタは、どうして独りぼっちなんだ?」
「分かるんじゃないかな? 多分、当時のフェイトと同じだよ・・・・・・君がさっき言ってた通りだ」
「気付いてるんじゃないか」
「どうかな・・・・・・気付いていても、実感できていないのかもしれない」

異常者は己の異常に気付かない―――あるいは、それと同じなのかもしれない。もしくは、異常者として破綻してしまっているか。

「でも、それは―――」
『―――アルフ』

唐突に、二人の間に画面が開いた。仕事中はいつも纏っているバリアジャケットの姿で、クロノが声を上げる。

『準備が出来た。呼んできてくれ』
「あいよ・・・・・・ほらクロス、お呼びだってさ」
「僕を?」

敵の事で何かまた話し合いでもあるのだろうか。首を傾げつつ立ち上がり、クローセスは転送機へと向かった。何か話していない事があったか―――そういえば、ディープスフィアの正体は結局うやむやになってしまっていたが。

「・・・・・・なぁ、クロス」
「ん? 何?」
「さっき言いかけた事って何なのさ?」
「・・・・・・・・・」

首を傾げるアルフに、沈黙する。
―――苦笑して、クローセスは首を横に振った。

「別に、大した事じゃないよ」

そう、自分を誤魔化して。


 * * * * *


扉を潜り、まず何とも言えない空気にクローセスは首を傾げた。重苦しい。それと、そこにいるメンバーのほとんどがこちらに多少の怒りを込めた視線を向けている。その中にはユーノも含まれており、何故だか妙に居心地が悪い。

「座ってくれ」
「う、うん」

クロノの声に頷き、クローセスは最も近くにあった席に座った。五つ並んで空いている席の、真ん中―――これではまるで裁判だと、胸中で呟いて肩を竦める。

「―――それで、何の話?」
「君の秘密の事、だ」
「―――っ!!」

思わず、息を飲んだ。
瞬間、昨日の夜の事が脳裏に浮かぶ。皆の視線や表情からするに、既に全員に知れ渡ってしまっている、という事か―――首を落とし、クローセスは嘆息した。

「落ち着いてるな」
「まあね・・・・・・反省中さ。あの部屋にはS2Uもデュランダルもバルディッシュもあったんだ。それに気付かなかった僕の落ち度・・・・・・まあ、ルヴィリスは気付いてて知らせなかったのかもしれないけど」

その言葉に、フェイトがびくりと反応する。それには気づかなかった事にして胸中で苦笑し、諦めの吐息と共に背もたれに身を預けた。

「それで・・・・・・話してもらえるのか?」
「聞いた上で、君たちが僕とまともに連携を取れる自信があると言うなら・・・・・・最初から話そう」

聞かれれば答える―――初めから、そう決めていた。重要な事を隠していると知られれば、向こうもこちらも信頼し合う事は出来なくなる。出来れば知られなければいい、と思っていたが。

「―――その事は先に話し合っていた。聞いた上で君の事を信用できるか・・・・・・どうやら、全員君の人柄は買っているらしい」
「あはは・・・・・・嬉しい限りだね」
「ああ。だから、その上で聞こう―――『欠落』とは、君の抱えている物とは、何だ」

真っ直ぐに突いてくるクロノの言葉に苦笑する。隠し立てなど、最早一つの意味も無い。

「―――始まりは千年前、一人の人間の強欲から」
「? どういう・・・・・・」
「最初から話す、って言っただろ? だったら、黙って聞いて」

首を傾げたはやてを封じ込め、クローセスは椅子に深く沈むように座り直した。そのまま長い、歴史の物語を語り始める。

「千年前、僕らの世界の人間は・・・・・・一人として、魔導を使える者はいなかった。魔導の力は魔族・・・・・・君達のゲームで言えば、魔物とでも呼ぶべき連中のみが使える力だった。まあ、魔物と言っても動物とか外国人とかとあんまり変わらない・・・・・・皆、それぞれの文化で暮らしていたんだけどね」

今ではどこにもそんな場所は無い―――そんな平和で調和の取れた世界を夢想する。この身に降りかかった出来事は全て、元を辿ればそこに行き着いてしまうのだ。

「それぞれがそれぞれの領域で暮らす・・・・・・互いを脅かす事無く、ただ平穏に。けど―――ある人間が、それを破ってしまった。魔族しか使えない力―――その秘儀へ、その世界の法則へ、一人の人間が辿り着いてしまった。結果―――『魔導を扱える人間』が、誕生してしまった」

忌々しげに嘆息する。息を飲んで聞いている皆にそれを見せないように顔を俯かせ、クローセスは続けた。

「魔導を人間は扱えない。だが、扱える人間がいる―――世界はその矛盾を晴らすために、他の『魔導を扱える人間』と『人間が扱える魔導』を生み出してしまったんだ。後者は、僕らが使っている魔導の力。そして、前者は―――」
「古代、魔導族・・・・・・!」

呆然と、フェイトが呟く。それに無言で頷いて、クローセスは未だに良く分かっていないらしいなのはやヴィータ達に分かるよう、言葉を選びながら声を上げる。

「つまり、二つの新たな事実を作り出して、世界はその矛盾を晴らしたんだ。ただの人間も魔導を扱える・・・・・・だけどそれだけじゃなくて、魔導を元々扱える魔族から突然変異として『人間』を生み出した。それが、僕らが戦っている存在、古代魔導族」

なのはの顔に、理解が広がる。ただヴィータはまだ理解できていないようだった。そこまでは面倒見切れないと嘆息し、そのまま話を続ける。

「古代魔導族の方は―――ともかくと言えるほど問題の無い連中じゃなかったけど、今はもう一つの方が重要だ。なぜなら―――それ以降、人間にも『魔力』と言う概念が生まれたから。そして、人間の精神も魔力と、その術式によって構成されるようになってしまったから」
「?」

いまいち話が掴めないのだろう・・・・・・まだ、誰の顔にも理解の色が広がっていない。まあ、まだ話は中盤だ。これから理解してもらえばそれでいい。

「知っての通り、僕らの術式―――君達で言う魔法のプログラムは、非常に繊細だ。インテリジェントデバイスがそうなように。それはつまり、人間の精神が非常に繊細なものになってしまったと言う事」

いきなり話の中に知っているものの話題が出てきたためか、一同が困惑した表情を浮かべる。ただその中で、クロノとユーノだけが話が繋がった事に気付いていたようだった。

「結果として、僕らの世界の人間には精神に異常をきたしてしまう人間が多くなった。よくよく考えれば、騎士団に変人が多いのはそんな事も原因になってるのかもしれないけど・・・・・・まあ、それはいい。とりあえず、ここまでが背景だ。ここからが『欠落』の詳しい話になる」

そこまで話して、クローセスは一旦言葉を切った。ここからようやく本題に入ると気付いて気を引き締めるクロノや、今までに話された内容を整理しようと四苦八苦しているなのは、そして全く話に付いて行けていないヴィータなど・・・・・・表情は様々である。
ただその中で、ひたすら真摯な視線を向けてくるフェイトが、妙に印象的だった。

「さて、『欠落』とは何か―――最も端的に言えば、これは一つ以上の感情が抜け落ちている事。そして、それを起こした精神異常者を、『欠落者』と呼ぶ。さっきも言った通り、これは人の精神が変容してしまったために起きた事だ」

内容は分かるようだが、感情が抜け落ちる、と言う事態が実感が湧かないのだろう。いまいち理解の色は浮かんでこない。眉間に指を当てて言葉を選び、クローセスは続けた。

「例えば、その感情を『恐怖』だとしよう。ある人間が、これ以上無いと言える極大の『恐怖』を感じたり、一年中お化け屋敷とかの中で暮らしたりして『恐怖』に慣れてしまったら―――ユーノ、その人間はどうなると思う?」
「え・・・・・・いや、ゴメン。想像もつかない」
「だろうね・・・・・・答えは、『感じられなくなる』だ。これ以上無いものを感じたり、それが普通であると思うほどに感じ続けてしまったり・・・・・・その感情がどんな物なのか『知って』しまうと、人はその感情を感じる事が出来なくなる・・・・・・それが、『欠落』だ」

『欠落』とは、精神の歪み、歪んでしまった心を表すもの。在るはずの物が欠けて、そのヒビが広がり続けていく様―――その一部でも理解できたのか、ようやく全員の表情に理解が浮かんだ。
その中でただ一人―――ユーノだけは、クローセス=シェインの持つ『欠落』にまで行き着いていたようだったが。

「先ほども言った通り、僕の世界の人間の精神は魔力システムによって形作られている。だが、『欠落』によってその一部が破損してしまったら―――それは、歯車が欠けるのと一緒だ。いずれは全体に影響を・・・・・・それも、致命的な影響を及ぼしてしまう」

その影響こそが、自分自身を脅かしている物。いずれは『欠落者』を殺してしまう、最悪の病―――『崩壊』。

「―――『欠落者』は、いずれ正気を失う。そしてその人間の持つ最も強い感情を押し上げ、それだけを求める人間を生み出してしまう。話は聞いてるだろう? そうなった時僕は・・・・・・レイに、殺してもらう」
「・・・・・・・・・なら、クロス。君の持つ最も強い感情とは、何だ?」

クロノが、完成まで後二つのピースをはめようとする。クローセスは目を瞑り、小さく息を吐き出してかぶり振った。

「ここが、最後の一歩だ。この先を言ってしまえば、君達は恐らく僕の事を信用できなくなる・・・・・・自分の身に降りかかるかもしれない危険を知りたいと言うなら、それでも話す―――」
「―――違うよ、クロス」

最後の警告を発しようとしたクローセスの言葉を、フェイトが押し留めた。そのまま、悲しそうな表情で声を上げる。

「私は・・・私達は、皆クロスが心配だから・・・・・・クロスが殺されるなんて嫌だから、こうして聞いてるんだ。信用できないなんて事はない・・・・・・皆、クロスの仲間だから」
「―――――っ」

一瞬、表情が泣きそうに歪む―――すぐさまそれを消し去り、クローセスは小さく嘆息した。神を恨みながら神に祈る―――そんな矛盾を抱えて。

「後悔、するよ」
「しない。絶対」
「・・・・・・優しいね、君は」

真っ直ぐに告げるフェイトに苦笑し―――クローセスは、留めていたものを開放した。


昏い―――


淡い照明で満たされていたアースラのミーティングルームが、一瞬停電したかと思うほどに暗く感じる。同時に、咽返るほどの血の臭いが溢れ出した。なのはが顔色を蒼白に変え、そう言った物に慣れていないエイミィが一発で気絶する。
その中で、最も激しい動きを見せたのはヴォルケンリッターの四人だった。すぐさま席を蹴って立ち上がり、それぞれの武器を構えてクローセスに向ける。

「な、何のつもりだ、てめー!」
「この殺気は何だ・・・・・・それに、その血の臭いは何だ!? 何故それを我らに向ける。シェイン、お前・・・・・・一体、どれだけ殺している!?」


「ああ・・・・・・子供ばかりだから忘れてた。貴方達は、こういったモノの空気を知ってるんでしたね」


感情のかの字もない、抑揚の無い声が響く。恐らく、鏡を見ればそこに表情なんてものは無いだろう―――

「出来れば、知られたくは無かった―――気付いていたかもしれないけど。それと、一つ間違いです、シグナムさん」

胡乱な空色の瞳をシグナムに向ける。何故その身が血に濡れていないのか―――思わず疑問に思うほどの血の臭いと殺気が、シグナムを一気に襲った。

「ぐ・・・・・・!」
「僕は、皆に敵意を向けてるんじゃない―――敵意を、抑えていないだけ」

このままでは話もままならない―――肩を竦め、クローセスは『それ』を再び抑え込んだ。同時に、周囲を覆っていた殺気が消え、安堵したように皆が息を吐く。

「これが、僕の『欠落』の産物・・・・・・戦闘者は、特に憎悪と言った破壊的な感情が強い・・・・・・それ故に、戦いに身を置く『欠落者』は、最も殺戮者に狂う可能性の高い人間なんだ。周囲にある物全てを壊そうと、僕の中でがなり立てる。どんな人間でもいいから殺そうと、僕を急かす・・・・・・その先にあるものが、『崩壊』だ」

目を閉じて浮かんでくるのは、十三の時―――初めて人を殺した時から、それぞれの戦場で血を被って来た記憶。ある時はただ一般の兵士を殺し、ある時は罪も無い子供を手に掛け、ある時は誰かのために戦う戦士の夢を閉ざした。
被った血は心に染み込み、走るヒビをさらに深いものに変える。

嘆息した。これでもう、この心地よかった仮初の『仲間』と言う関係も終わりか、と―――

「・・・・・・どうすれば、いいの」

その声に、クローセスは俯かせようとしていた視線を上げた。
瞬間、一直線にフェイトの赤い瞳がクローセスの空色の瞳を射抜く。分からなかった。何故、彼女は恐怖していないのか。いつ壊れて襲いかかるかもしれない人間に―――何故彼女は、一歩も退かないで向き合う事が出来るのか。

「答えて、クロス。どうすれば『崩壊』しなくて済むの? どうすれば、クロスを救えるの?」
「なん、で・・・・・・君は・・・・・・」
「答えて」

―――方法は、無いわけではない。だがそれは、あまりにも矛盾しすぎているために、あるいは絶対に満たす事が出来ないために叶わない願い。

(それなのに・・・・・・)

それなのに、何故―――

(こんなにも、託してみたくなるんだ・・・・・・)

分からない。分からないが―――残酷に思えるほどに、心は安らぎを感じていた。

「クロス!」
「・・・・・・『欠落』した感情を癒す事・・・・・・『欠落』したそれを感じようとする度に心は壊れる。だから―――『欠落』した感情を取り戻すか、それを埋める事が出来れば傷は癒える」
「・・・・・・! それじゃあ、クロスが『欠落』した感情って何なの!?」

―――やはり彼女は、この壊れかけた人間を救う気なのだろうか。何故そこまで、しようとするのだろうか。何故こんなにも嬉しくて―――それでいて、辛いのだろうか。

―――手を差し伸べられても、その取り方も分からない―――

「・・・・・・ああ、そうか」
「クロス・・・・・・?」
「いや・・・・・・僕の失った、『欠落』した感情は―――『孤独』」

やはり、と言う表情をユーノが浮かべる。あれだけ互いの事を話していたのだ。それくらいの予想は付いたのだろう。

「独りでいる事が当たり前な僕にとって・・・・・・『孤独』は、もう感じる事の出来ないものだから・・・・・・それほどに、慣れてしまったから」
「・・・・・・うん、分かった。何とかするよ・・・・・・皆、一緒に」

やはり、ワカラナイ。どうして彼女がここまでしようとするのか、何故彼女が差し伸べてくれた手がこんなにも心を満たすのか。

けれど―――『孤独』に彩られた人生の中で、クローセスは初めて人の温かさの欠片を感じていた。







あとがき?



「ついに『欠落』の意味が明らかに―――って、分かりにくいわね。歴史の背景までつけちゃって」

「情報量が多すぎだ。このヘボ作者」

「いや・・・・・・いくらなんでも好き勝手言いすぎでしょ。得にクラインさん」

「でもまぁ、分かりにくいの事実でしょ」

「まぁ、それは確かに・・・・・・」

「これぐらい書き分けられんでどうするんだお前は?」

「何で僕に向かって言うんですか・・・・・・裏設定が多すぎるのは今に始まった事じゃないですよ。クラインさんだって裏設定の塊じゃないですか。僕の場合、結構設定明かされちゃったからもうあんまり大きいのは残ってないのに」

「ガルディアラスの事を含めればまだそれなりにあるけど・・・・・・まぁ、こいつと比べちゃダメでしょ。趣味の暗躍者だし」

「はっはっは」

「いや、別に褒めてないですから・・・・・・」

「あはは。ま、とゆー訳で、ここは一つ分かりやすく一言でまとめてみなさいな。読者の方々が理解できるように」

「一言でって・・・・・・それで説明出来たら苦労しないよ・・・・・・そのまま言うんだったら、徐々に悪化する人格障害って所かなぁ? イメージとしては、心に杭が打ち込まれてて、そこからどんどんヒビが広がっていく感じ。杭の刺さってる場所にある部分が『欠落』した感情かな。壊れてゆくと、一番丈夫な部分―――最も強い感情が残る、って感じか」

「ま、それでも分かりにくい事に変わりはないけど」

「悪かったね・・・・・・」

「それはともかく、ここからどうなるのかがまた注目していく所、って訳か」

「最後の所は鈍感全開だったからねー」

「・・・・・・・・・」

「ま、そんなもんだろ。んで、次回はどうするんだったか?」

「話進めるんでしょ。しばらくはクロスがメインの話になるわね。どうなるかまでは話せないけど・・・・・・ま、あの女が絡んでくるのは想像付くんじゃない?」

「そーだな・・・・・・ンじゃまぁ、次回をお楽しみに、ってとこか」






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