目の前に振り下ろされた金色の刃を、クローセスはブレイドフォルムのクリアスゼロの刃で受け止めた。上段からの体重の乗った一撃―――だが、膂力が少女の物である事に変わりはない。押し返そうと力を込める―――が、その瞬間を狙って少女の姿が掻き消えた。 「―――っ!」 「ふッ!」 いつものような裂帛の気合は無い。ただ静かに意識を刈り取ろうとする死神の刃が、一切の気配を消して背後から迫った。崩れた重心では躱せない―――感心を交えて、クローセスは防御魔法を行使した。銀色の障壁に、金色の刃が受け止められる。 「―――いいね、フェイト。小技もしっかり覚えられてるし、気配もしっかり消せるようになった。僕に教えられる事はもう無いかな?」 「そんな事無いよ」 完璧に反応されたと思ったか、フェイトは悔しそうな色を交えてそう答えた。確かに、自信はあったのかもしれないが―――そう易々と負けてやる気も無い。 ―――まあそれでも、もし完璧に反応していたのなら、そもそも攻撃など当たらないのだが。 「確かに荒削りだけどさ、元々口を出すほどフェイトの戦闘技術は低い訳じゃないんだよ。シグナムさんとの特訓とかもあるし、これから管理局で鍛えて行く訳だからね。それに、今から付け焼刃程度に技を身につけたって、連中には通用しないよ。まあ―――」 苦笑を交えて、視線を横に向ける。そこには、基礎体力訓練をこなしてへばっているユーノの姿があった。技はいいから体力を付けろ、と言うクローセスの言葉に従った結果である。 隣でなのはに扇いで貰っている事も含め、少々情けない気もするが。 「―――ああ言う風に、スタミナを付ける分には有益だと思うけどね」 「まあ、ユーノはインドア派だから・・・・・・」 恐らく明日は筋肉痛で動けないだろう。出来るだけ大量の湿布を用意しといてやろうと頷き、クローセスは再びフェイトに向き直った。 「とにかく、あまり焦っても意味は無い。一週間しか猶予が無いのは確かだけど」 「でも、それならやっぱり新しい術とか技とかがあった方が―――」 「・・・・・・一つ教えとこう。漫画みたいに、新しい必殺技が敵を倒すなんて、そんな事は滅多に無いんだ。この間のユーノは偶然か、あるいはよほどフィーとの相性が良かったかって言うだけだよ」 クレスフィードは元々あったユーノの戦闘スタイルを生かすために作られたから、初めて扱ったユーノでも上手く戦えた。ダガーエッジモードも、クローセスの戦闘データを模倣したために戦闘に耐え得る技術になっただけだ。 「どんな技術だって、それを繰り返して完璧な形にしなければ大した意味は成さない。むしろ、不完全な技を使えば隙を生み、そこが致命的な一撃に繋がる可能性だってある。だから、時間が無いなら新たな技術を得るより、今ある技術を磨いた方がよっぽど有意義だよ」 「そっか・・・・・・」 「―――って言う訳だからユーノ、君は今回、ダガーエッジは戦闘じゃ使わない方が良い」 肩を竦めて、ユーノに声をかける。地面に寝そべってぐったりとしていた彼は、その一言で起き上がった。 「相手によると思うよ。その場の判断でダガーエッジが最善だと判断したら、流石に使うさ」 「・・・・・・まあ、一理あるか。けどまあ・・・・・・それでも《疾界》は使わない方が良いよ」 兄から直伝で教わった短刀術である《疾界》。確かに単独戦闘では強力な技術であるし、クレスフィードの能力なら高いレベルで模倣することも可能だろう。だが――― 「あれは体の動きの限界を強いるから、僕らの未完成な身体じゃ負担が大きすぎる。僕だって今は使ってないだろ?」 「うん、まあ・・・・・・確かに、あれはちょっときついかな。この間も使っただけで筋肉痛になったし」 「断裂しなかっただけ運がよかったね」 苦笑交じりに、だが正直な感想を告げる。ユーノの幼い身体であの業を使えば、そんな事が起こってもおかしくは無いのだ。 「筋肉断裂・・・・・・!? だ、ダメだよユーノ君、そんなの使っちゃ!」 「そんなのって・・・・・・」 「あははは・・・・・・」 仮にも苦労して作り上げたものを『そんなの』扱いである。流石に複雑なものを感じて顔をしかめるが、まあそれで怒るのも大人気無い。嘆息し、軽く首を鳴らして、クローセスは笑みと共に声を上げた。 「さて、ユーノ。君と僕に限っては新しい技を覚えなきゃならない。みっちり行こうか」 「―――うん、分かってる」 声音を真面目なものに変え、ユーノは立ち上がる。同時、その腕に翠の光が収束し―――クレスフィードが姿を現した。これから扱うのは、その最後の形。最終調整を済ませたユーノの切り札。 「―――お互い、フルドライブモードを扱い慣れておく」 「―――出来る限りの戦闘で、その使い方を身体に徹底的に叩き込む」 『覚悟はいいですか、クレスフィード』 『そっちこそ、私の本気を抜けると思わないで下さい!』 互いに牽制し合うデバイス同士に苦笑―――その表情のまま、二人は腕を突き出した。 「クリアスゼロ―――」 「クレスフィード―――」 銀と翠の光が、溢れる。 「「―――フルドライブ!!」」 『『Drive ignition!』』 * * * * * 「・・・・・・・・・負けた」 『えへへ♪ どうですかクリアさん?』 『・・・・・・ええ、認めざるを得ませんか・・・・・・相性もあったようですが』 悔しげに明滅するクリアスゼロに苦笑し、クローセスは先ほどの戦闘を思い起こした。元々相性は悪いとは思っていたが――― 「一対一にしても一対多にしても、あれほど『敵を無力化する』事に優れた武器はそうそう無いかな」 「まあ、初めて聞いたときは僕も驚いたけど」 虚空を見上げるユーノに、再び、そして少し苦々しげに苦笑する。方向を選ばず飛んでくるバインドの嵐と逃げ場の無い無数の設置バインド―――仮に近寄れてもその防御は高く、トラップのおかげで自由に動き回ることも出来ない。 「・・・・・・やっぱり相性悪いなぁ」 「あははは・・・・・・」 まあ、あれに対して相性が良い人間と言っても思い付かないが。フルドライブモードのクレスフィードは一対一、特に近接戦を行う相手に対して異様に相性が良い。 (その内シグナムさんに試合を申し込まれそうだなぁ・・・・・・) ルヴィリスが面白がって、関係者各位に自分が負けたことを教えて回っているのだ。八神家の耳に入るのもそう時間はかからないだろう。 「・・・・・・ま、頑張って」 「え? 何が?」 「いや・・・・・・」 苦笑交じりに話をはぐらかす。自分も一度通った道なのだ。いい経験になるので、ユーノにもやってもらいたい―――と言う建前を立てる。 「ところで・・・・・・あの二人、大丈夫かな?」 「あはは・・・・・・まあ、二人とも久しぶりだしね」 クローセスとユーノの『全力全開』の戦闘に影響されたのか―――なのはとフェイトは、今は先ほどの訓練室で模擬戦を行っていた。声をかけても完全に集中して聞こえていなかったので、先に出てきた次第である。 なのはとフェイト、その二人の馴れ初め―――それも、戦いの中だったと聞いた。戦いが起こるのは、ほとんどの場合は目的の衝突が原因となる。その場合、互いを理解し、認め合える事は奇跡に近い。 「・・・・・・あの二人はああやって知り合ったんだよね?」 「うん、そうだけど・・・・・・どうかした?」 少し苦いものの混じった口調に、ユーノは首を傾げる。軽く苦笑を浮かべたクローセスの顔には、小さな感傷のようなものが浮かんでいた。 「僕、あまりフェイトの事知ろうとしてなかったんだなって。彼女の事は、ほとんど何も知らない」 「これから知ってけばいいさ・・・・・・君だって、ホントの表情を見せられるようになったんだ」 クローセスの顔に、以前の仮面のような作り物の笑顔は無い。悲しい時は悲しそうな、嬉しい時は嬉しそうな―――しっかりと、人間らしい表情を見せているのだ。 ―――それだけで、フェイトの頑張りの甲斐があったとユーノは思う。 「これから・・・・・・か。うん、そうだね」 「そう・・・・・・僕も君も、ね」 そう言葉を交わして―――二人の少年は、視線を合わせて嬉しそうに笑い声を上げていた。 * * * * * 「・・・・・・」 「どうかしたのか、はやて?」 先ほどから黙り込んでいる主に、ヴィータはただ心配そうに声をかけた。悩み事か、考え事か―――主の前に立ち塞がるものその全てを砕く鉄槌の騎士として、こんな表情を見逃す事は出来なかったのだ。 だが夜天の主は、その言葉に小さな笑みを浮かべて見せた。 「クロス君の騎士の誓い、考えてたんよ」 「シェインの、ですか」 ザフィーラの声にはやては頷く。そこに在る遠い瞳に、普段のようなおふざけの様子は一切無い。 「あんなふうな誰か一人に全てを捧げる誓いなんて、私には立てられそうにあらへんからな」 「はやてちゃん・・・・・・」 自分には、明確に『誰かを護る』と言えるほど強い力も、意志もない。あれは、幾度もの戦いを生き抜いたクローセスだからこそ口に出来るものだ。 しかし―――シグナムはその主の言葉に、小さく笑みを浮かべていた。 「ですが、貴方にも誓いはあるのでしょう? 主はやて」 「ふふっ・・・・・・ああ、そうやで。よう分かっとるなぁ、シグナムは」 嬉しそうに、そして不敵に笑い―――はやては、胸元の剣十字に手を伸ばした。光を反射する小さな欠片に目を細め、はやては静かに声を上げる。 「私かて、ちゃんと力を受け継いだベルカの騎士や。まだ誰かのための誓いは立てられんでも、自分自身への誓約くらいなら立てとるわ」 脳裏に浮かぶのは、あの雪の日。大切な家族を失って、大切な友を手に入れた、あの日――― 「私を救ってくれた人のため、この力と魔法の全てを捧げる―――それが、私自身とあの空に消えたリインフォース・・・・・・そして、いつか『祝福の風』の名を受け継ぐ子へ立てた誓いや」 剣十字を掲げ、宣言する。瞳の光は、諦めながら過ごしたあの病の日々とは全く違う―――力の、意志のこもった瞳。 「見とれよ。リインフォースが繋いでくれたこの命―――最後の最後まで、妥協は一切無しや。手加減一切抜きで、戦いながら生き抜いたる」 ただ、真っ直ぐに。 ―――記憶に残る雪の空の向こう、消えてしまった家族が笑ったような気がした。 * * * * * 「あのフェレットもどきが、な」 「そうそう。びっくりでしょ?」 廊下を言葉を交わしながら歩くのは、クロノとルヴィリス。意外そうな表情を見せる少年に対し、ルヴィリスの声はただただ上機嫌だった。己の主が負けた事は、あまり気にならないらしい。 「ユーノの能力、相性が大きく出るタイプね。攻撃力は無くても、近距離と中距離なら無敵かもしれないわよ?」 「そして、遠距離魔法の威力ではあいつの防御は抜けない、か。だが、その規模だと機動力は落ちるし、マルチタスクに割ける意識も少なくなるな。攻略不可能って訳じゃない」 「その通り♪ 無敵の能力なんて無いわよ」 笑顔で頷くルヴィリスに、クロノは小さく俯いて口元に手を当てた。攻撃力は無いが、確かに強力なユーノの能力―――ある意味、最も相性が良いのはなのはかもしれない。 「そうだな・・・・・・例えば、極めて高い集中力を必要とするんだ。いくらあいつと言えど、そう長く続けてれば意識は散漫になる。攻撃能力に欠けるのも弱点だ。機動力にも欠けるし、敵を追う場合には邪魔にしかならない」 「―――ま、逆に言えばそれぐらいしか弱点が無いんだけどね」 「・・・・・・・・・」 確かに、と言う言葉を飲み込む。ユーノの実力を言葉に出して認めるのはプライドが許さなかったのだ。 「ま、派手好きの連中相手なら邪魔にはならないわ。むしろ、結構役立ってくれそうね」 「ああ・・・・・・あと五日、か」 言って、小さく視線を細める。メルレリウスが告げた、一週間と言うリミット―――それが一体何を意味するのかは、全く分からなかった。 「奴らが行動を速める可能性はあるか?」 「絶対に無いわね。第一階梯の力だか何だか知らないけど、連中にとって私達は良い実験台よ・・・・・・まあ、どこまで力を上げてるかは知らないけど」 「向こうのディープスフィアは八個、対してこっちは・・・・・・」 「一個だけ、ね。ま、最悪周りの被害を考えなければレイに戦わせれば何とかなる。けどまぁ・・・・・・海鳴とかいう場所で戦った場合、その街は丸ごと一つ消えるわよ。住人も、建物も、何もかも全部消えるわ」 「それは容認出来ないな・・・・・・」 恐らく敵はそれを考えて、レイを前線に出させないようにするだろう。アルカンシェルほどとは言わないが、こちらもそれは最後の手段としなければならない。 「第一階梯同士の争いって言うのはそういう次元なの。元になった魔族の時から、精霊に近いかそれ以上の存在概念を持つ種だったからね・・・・・・ま、一人例外はいたけど」 「・・・・・・?」 忌々しげに語るルヴィリスに首を傾げるが、聞ける雰囲気ではなかったのでそれを聞き流す。とにかく、問題は敵の出方を待つ他無い部分なのだ。 「相変わらず、目的も詳しい潜伏場所も不明・・・・・・気持ち悪い事この上ないな」 「確かに・・・・・・ああでも、レイが何か言ってたわよ? 最悪の可能性だけは予想できるとか何とか」 「・・・・・・あまり聞きたい話題ではないな・・・・・・」 あまり良い響きではない。だが―――その可能性が高かろうと低かろうと、聞かなければならないだろう。今は多少なりともヒントが欲しい。と――― 「・・・・・・あら?」 「? どうした?」 「レイの魔力。隣の休憩所みたいね」 見つけた気配の元へ顔を出す。そこには、ユーノに一本の鍵のようなナイフを手渡しているレイの姿があった。向こうは当にこちらの気配に気付いていたらしく、すぐさまこちらに視線を向ける。 「どうしたの、ルヴィリス? 君の体ならもうすぐ完成するけど」 「そうなの? まあ、それはそれでいいんだけど」 ルヴィリスはユーノが持っているナイフへと視線を向ける。マジックアイテムである事に変わりはないようだが、見覚えはない―――中身に目を通してみても、見覚えのない術式が整然と並んでいるだけだった。結局理解する事を諦め、ルヴィリスはレイに視線を戻す。 「ちょっと、聞きたい事があってね」 「ああ、そろそろ聞きに来ると思ったよ。こっちもあんまり隠してる訳にもいかないしね」 力なく苦笑し、レイはユーノの隣に腰掛ける。苦々しげな笑みを浮かべつつ肩を竦め、レイは嘆息交じりに声を上げた。 「最悪の可能性について、だろ?」 「ああ・・・・・・聞かせてもらえるか?」 「うん、了解・・・・・・まあ、多少の認識の違いなんだけどね。もし奴らが求めたのが『第一階梯の力』では無く、『レイムルドの力』だったら、って思ってね」 「どういう事よ?」 訳が分からない。他に手に入れられる第一階梯の力など、どこにも存在していないというのに。 「ま、随分昔に起こした僕の過ちさ。《原書》を書物として読んでみたい、なんてね」 《原書》はレイの固有能力―――力を消費し続ける以上、書物として読むには無理がある。ならば、それをどうやって読もうとしたのか――― 「ただの紙に、ペン。使ったのは本当にそれだけだ。魔導的なものは一切使っていない」 「・・・・・・・・・アンタ、まさか」 「君の考え通りだと思うよ・・・・・・僕は、《写本》を作ったのさ」 ただの本として読めないなら、ただの本に写して読めばいい―――至極簡単な結論だ。だが――― 「夢にも思わなかったよ・・・・・・まさか、ただ写し取っただけの本が『繋がる』なんてさ」 「『繋がる』?」 「・・・・・・《混沌》という概念がある。言い方は違うが、これは全ての次元世界共通だ。《原初の一》《終焉の零》《根源》。《アカシック・レコード》と言い換えてもいい。全てが生まれ、全てが帰る場所―――それが、《混沌》。僕の《原書》は、そこから情報を引き出してるのさ」 《原書》を呼び出すような魔力の余裕は無いのか、手持ち無沙汰に腕を組みながらレイは声を上げる。 「《原書》とは《原初》―――オリジンという呼び名もあった。僕がその制御に苦労してるのは、《原書》の存在概念がこの僕の存在概念を超えてるから。けど、形は本だ・・・・・・司書として、世界の記憶の一部を記したそれは、堪らなく魅力的だった」 「だから、《写本》を作ってそれを読もうとした・・・・・・」 「そうだ。けど、ただの紙の塊のはずであった《写本》は、《混沌》に繋がり《原書》と同じ力を得てしまった」 全ての魔導の記憶を再現する《原書》。それと同じ―――それは、至高のマジックアイテムと言っても過言ではないだろう。 「当然、何重にも錠をかけて封印した。《混沌》は全てを飲み込んで消滅させる―――制御も無しにあれと繋がってるのは、世界を滅ぼす事にも繋がりかねないからね」 「・・・・・・それを、奴らが持ち出した?」 「可能性はある・・・・・・最悪の可能性がね」 「だが、そんなものを制御できるのか?」 「・・・・・・出来る、かも知れない」 ―――クロノの疑問に答えたのは、ユーノだった。苦々しげに視線を細め、小さく絞り出すように声を上げる。 「ディープスフィアは、《原書》の使い手であるレイさんの力が封じられてる・・・・・・それがあれば、あるいは可能かもしれない」 「《写本》には自動的に記述を増やす能力は無い・・・・・・繋がりも《原書》より遥かに弱い。制御出来てしまう可能性はあるさ」 「ホント、最悪の可能性ね・・・・・・可能性が低くない辺りも最悪だわ」 呻き、ルヴィリスは嘆息する。どうしたらいいか、と聞かれて結論を出す事は出来なかった。例え《写本》が《原書》の劣化品だったとしても、オリジナルの力が高すぎる。仮にその力が百分の一だとすれば、『百分の一しか力が無い』ではなく、『百分の一も力がある』と言った方が正しいだろう。 「・・・・・・まあ、何とかしよう。方法は・・・・・・無い訳じゃないからね」 「・・・・・・分かった。その事は君に任せる」 危険性は伝わり切っていないだろうが―――クロノの言葉に、レイは肩を竦めて頷いた。何とかしなければならないのは事実だ。この世に生み出された三つ目の《混沌》に干渉する遺産―――そこに在るだけで世界を脅かす存在。 ―――それを、何とかする。 (そうさ、方法はある) 普段からあまり表情の無いレイが、それを変える事は無い。だが――― (―――何よりも最悪な方法が) その裏に在るのは、自嘲めいた感情だった。 あとがき? 「伏線&フラグの回だな」 「そんな身も蓋も無い言い方しなくても・・・・・・」 「でもまぁ、実際そうだしね」 「敵にも味方にもパワーアップフラグ、って感じかしら?」 「まあ、あまりいい感じはしないけどさ・・・・・・」 「ラスボス戦前まで敵を強化するってんだから、この作者も大概アレだな」 「ホント直前なんですけどね・・・・・・って言うか、可能性って言ってるくせに前回の姉さんとレイヴァンさんが出て来た所で確定させちゃってるし」 「どうするつもりなのかしらねー?」 「僕としてはどうにもならないような気もするけど、方法なんて限られてるし」 「消滅はさせられなかった訳だろ?」 「出来たらとっくにやってるよ」 「レイでもミスってするんだね・・・・・・」 「感情がある以上、誰だって流される事はあるわよ」 「そーゆー事だよ。ま、正当化しようとは思わないけどね」 「そっか・・・・・・さて、次からラスボス戦に入るんだよね?」 「そうね。全員集合かしら」 「まあ、この作者じゃ全員同時の戦闘なんざ書けんだろうがな」 「確かに。混戦どころの話じゃないし」 「あはは・・・・・・」 「ま、そこは何とか工夫するしかないでしょ」 「だね。それじゃ、また次回に」 |