「世界はとても小さくて知覚出来る範囲にしかない。 でもセカイは、其れを知るものの
前ではヒトツじゃない。 それが本当に在ると知っているものにとっては真実なの」
 次元の魔女は、ある青年に其れを教えた。
そして、魔女の力を借りて旅をする者達や自力で次元を超えられる者、次元航行技術で旅をする者も居る。

 多くのセカイは、時空管理局によって管理監視されている。
管理局の任務は、多々ある。 犯罪捜査からロストロギアの保守管理、上げればキリがない。

 魔法少女リリカルなのは -RESERVoir CHRoNiCLE-
 ―プロローグ―


 第97管理外世界時空管理局海鳴支局―――
「すずかちゃん、アリサちゃん、結果を言うとアレは『元始ベルカ式』のデバイスよ」
 エイミィは、結果を二人に言った。
二人は、エイミィを通じてハラオウン邸に来ていた。 当然、なのは達もだ。
「私の後輩のマリーに調べさせて分かったことなんだけど……」
 エイミィは、話を続ける。


 遡る事、1ヶ月前……
其れは、大連休ゴールデンウィーク中のデキゴトである。
「ねぇ、アリサ」
「何よ! すずか」
「実は、私の家の庭から之が出てきたんだけど……」
 すずかは、アリサに出土品を見せる。
「すずかの所も出たの?」
 何とアリサの所からも同じような物が出ていた。 
「どう見ても之って、デバイスよね……」
「うん、なのは達に連絡しとく?」
≪魔力を検知! 起動します≫
≪活動を開始します≫
 突如、起動するデバイス。
「如何して? わし達、魔力を持っていないのに……」
≪私は、魔力が無い者には扱えません≫
 すずかとアリサは、今一理解に苦しむ。

≪マスター、私に名を頂きたい≫
 アリサの見つけたデバイスが言った。
「あんたの名は『グロフォード』!」
≪『グロフォード』認識!≫
 『グロフォ−ド』は、アリサを認めた。
≪主、私に名を……≫
 すずかは、考え込んでヒトツの名を言った。
「『ヴァンッアームーン』」
≪主、いい名を有難うございます≫

 其れから、すずかとアリサは、ハラオウン邸に行って事情を説明した。



 6月某日ハラオウン邸
「……て事なんだけど」
「いいわ! 管理局に入る」
 アリサは、即答した。
≪主、私は離れたくありません≫
「私も離れたくない……」
「すずかも入ればいいじゃない」
 アリサは、決断を急がせる。
悩みに悩んですずかは答えをだした。
「わ、私も…… 入ります」
 其れは、アリサに強制された答えなのだ。
「でも、すずかちゃんとアリサちゃんが魔導師に……」
 エイミィは、ヒトツの疑問に引っ掛かった。
「確か、すずかさんとアリサさん、あの時、魔力はなかったよね」
 時空管理局総務統括官であるリンディーが言った。
「そうなのよね〜 でも、あの時何で結界内に取り残されたんだろう」

「其れは、『必然ヒツゼン』だったから」
「アレは偶然取り残されたんじゃ……」
 エイミィが『必然ヒツゼン』じゃなく偶然じゃないのかと聞いた。
「此の世に『偶然グウゼン』はないよ。 あるのは『必然ヒツゼン』だけ。
その場に居たと言う事は、その場に居る必要があったの。 理由もなしにその場に居る事はないの」
「あら、さくらちゃん。 何時来たの? まだ、連絡していないのに…… って、さくらちゃん仕事は?」
「今日は、お休み……」
 さくらは、この日の事を予知していたのか休暇を取っていた。
「関係者が皆揃ったらすずかちゃんたちの事を話してあげるから」



 ハラオウン邸でメンバーが揃うのを待った。
皆が揃ったのは、夕刻だった。
「まず、すずかちゃんとアリサちゃんの持っているデバイスは、『元始ベルカ式』のデバイスなのだけど……」
「『元始ベルカ式』だと! 其れが、何故此の世界にある」
 シグナムが『元始ベルか式』と聞いて驚く。
「シグナムは知っているんだな!」
「あぁ。 『元始ベルカ式』は『古代ベルか式』の元となった魔法形態だ! まさか、現物を目に出来るとは思わなかった」
「そんなに珍しいデバイスなんですか?」 
 すずかがシグナムに聞いた。
「珍しいも何も、既に忘れ去られた魔法だったからな……」
「しかしよ、何でそんな物がはやての世界にあるんだよ!」
 ヴィータが話に加わる。
何故、『元始ベルカ式』のデバイスが此の世界にあるか分からない一同。
「『元始ベルカ式』の使い手は、局には居ないはず……」
「『レッドムーン』!」
≪Ja.≫
 さくらの命に答えるデバイス。
「木之本! 其のデバイス……」
「そう。 現存する三機の『元始ベルカ式』の一機だよ」
「でも、何処で……」
「之は、クロウさんがくれた物なの。 対価として……」
「『対価』?」
 対価と言っても分からないと言った顔が並ぶ。
「与えられたモノには須く其れに見合うだけの代償、対価が必要なの。 与えすぎてもいけない。 奪いすぎてもいけない。
貰いすぎても、貰わなさ過ぎてもいけないの。 過不足なく。 対等に。 均等に…… でないと、キズがつく。 現世のカラダに。
星世の運に。 天世の魂に」
 さくらは、難しい事を淡々と話す。
「チョイまちぃ。 其のデバイスが対価言うと、其れに見合った事をしたんか?」
 はやてがツッコむ。
「クロウのネガイと其のデバイスの価値が同じやったちゅうこった」
 何処から現れたケルベロスが説明する。
「クロウのヤツは、もの凄いゴッツイ魔力の持ち主やった」
「ヌイグルミが大阪弁を喋ってる!」
 流石、関西生まれのはやては動じない。
「誰がヌイグルミやねん?」
 なのは、フェイトがケルベロスを指す。
「ワイは、ヌイグルミやない! 封印の獣、ケルベロスや!」
 ケルベロスは、真の姿へ変わった。
「封印って何を封印してるん?」
「クロウカードや! 今では、さくらカードやがな…… って、何度同じ事をいわせるんや!」
「ケロちゃん。 今度邪魔したらオヤツ一月ヌキだからね」
「さくら様ぁ、其れだけはカンニンしてぇなぁ!」
 オヤツが最大の弱点であるケルベロス。
「それじゃ、話を戻すね…… 此のデバイスがクロウさんのネガイの対価としてもらったって所まではなしたね。
クロウさんのネガイ、この世で最高でない自分、最高の魔術師でないを叶えたの」
「ネガイを叶えた? そんな事、出来るん?」
「だって私、クロウさんを凌ぐ魔力を持っているから……」
 さくらから告げられる事実。
「それって、さくらちゃんが此の世界で最強の魔力の持ち主ってこと?」
「此の世界だけやない。 全次元世界でも勝る者はおらん」
「其れと秘密を明かすけど、私、クロウさんの血筋なの……」
「クロウの血筋? 若しかして直系って言わないよね」
 なのはは、恐る恐る聞いた。
「あんさん、よう気づいたな〜 さくらは、正真正銘クロウの子孫や」
「私のお父さん、クロウさんの生まれ変わりの一人なの」
「うち等、もうついていけへん」
「我等の主は、其れだけの存在だ! 常識で図れるものではない」

「あのう、私たちの話はどうなったのですか?」
 忘れ去られていたすずかが言った。
「ごめん、ごめん……」
「ごめんじゃない! 今まで忘れてたくせに!」
 アリサは、プンプンしている。
「『元始ベルカ式』は、カートリッジが搭載されているのは分かっているよね」
「それは、シグナムさん達から聞いています」
「『元始ベルカ式』は『ベルカ式』と違ってカートリッジなしでも使える事なの。 其れが如何いう事か理解できるよね」
 エイミィは、ヴォルケンリッターと共に説明をしている。


「そろそろ、闇の書事件の時、結界内に二人が取り残された理由を話してあげるね」
 さくらは、二人の体質を話し始めた。
「まず、すずかちゃんだけど。 すずかちゃんは、『夜の一族』と呼ばれる吸血鬼なの」
「すずかが吸血鬼? でも、太陽やニンニク大丈夫やな」
「すずかちゃんは、吸血鬼だけど一般的な吸血鬼の弱点はないの。 成人までは普通のヒトと同じように成長するけど、
たった一つだけ、普通のヒトより劣る事があるけど分かる?」
「其れって、吸血鬼に関係あることなん?」
「関係あるの。 普通のヒトより鉄分の補給能力が劣っているけど、そうは見えないね」
 さくらは、すずかの方を見て言った。
「お姉さんは、血を吸っているようだけど、すずかちゃんは別の方法で鉄分を補っているよね。 料理とかで……」
「其れ本当なの? すずか!」
「ファリンがそこら辺をやってくれてるから」

「でも、急にすずかだけじゃなくアリサまで魔法に目覚めたんだろう?」
「そうよ、何でアリサちゃんまで……」 
「其処が、謎なんだよ。 如何してアリサちゃんまでが魔法に目覚めたのかが分からないんだ」
 ユーノでもお手上げっと言った感じだ。
「特殊能力持ちの『夜の一族』ならアリサちゃんを魔法使いにしても不思議じゃないわ」
「じゃあ、アリサちゃんは、すずかちゃんによって魔法に目覚めたってこと!」
「そういうこと。 アリサちゃんとすずかちゃんが魔法に目覚めた事は此処まで……」
 さくらがアリサとすずかが魔法に目覚めた話を終えた。



 設定資料

 木之本さくら(カードキャプターさくら)
 クロウ・リードの血縁で最強の魔力の持ち主。
 『元始ベルカ式』の担い手の一人。
 ケルベロスと(ユエ)を配下に持つ。
 クロウカード(現さくらカード)の正統継承者。
 原作、アニメと違って色々知識を持っている。

 ケルベロス(カードキャプターさくら)
 クロウカード(現さくらカード)の守護者の一人。
 普段は、仮の姿でいる。
 仮の姿は、ヌイグルミ形態。
 シンボルは、太陽である。
 因みに最大の弱点は、お菓子。

 (ユエ)(カードキャプターさくら)
 クロウカード(現さくらカード)の守護者の一人。
 長い銀髪で眠そうな目をしている。
 シンボルは月。
 主であるさくらの魔力を受けないと消滅する。
 (ユエ)は、中国語で『月』のことである。  
 仮の姿は、『月城雪兎』で人格がちがう。

 クロウ・リード(カードキャプターさくら)
 嘗て最強の名を轟かせた魔術師。
 『元始ベルカ式』のデバイスを持っていた。
 クロウ・カードとケルベロス、(ユエ)の創造者。
 次元の魔女とは知り合いだったらしい。

 壱原侑子(XXXHOLiC)
 対価さえ払えばどんなネガイも叶えてくれるミセの店主。
 管理局の管理外世界において次元を渡る術を知っている。
 クロウ・リードに唯一認められた魔力の持ち主。
 クロウと一緒に異世界を旅した事がある。


 元始ベルカ式
 『ベルカ式』の礎を築いた術式。
 当然ながらカートリッジシステムを積んでいる。
 現存機は、たった三機である。
 すずかの『ヴァンッアームーン』、アリサの『グロフォード』、さくらの『レッドムーン』だ。  
 謎多きデバイス。





 あとがき

 リリなのSS初挑戦のクロウ・リードです。
 初っ端から他作品が登場していますが、あくまでなのは達がメインです。
 今回、出てこなかったが○○が近いうち登場します。
 此の話は、Asエピローグ直後の設定で、しかも、すずかとアリサ同時に魔法少女化。
 なのは達の世界は、2006年(新暦71年)です。 さくらの年齢はアニメ版を採用。
 ご意見、感想お願いします。





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