すずかとアリサがヴォルケンリッターの指導を受け初めて1週間後…… 「お前達は、たった一週間でベルカ式を其処まで身につけたな!」 シグナムは、二人を褒めた。 「わざわざ俺達に頼まんでも、同じ『元始ベルカ式』のさくらに頼めばいいだろ?」 男口調でヴィータが二人に言った。 「だって私達、瞬殺されましたし…… あの強さは、尋常じゃありません」 「すずか! お前は、吸血鬼なんだろ?」 「そうですけど……」 「ヴィータ! そこら辺にしとけ!」 「あんだよ! 今のうちにこいつ等を扱いてやらんと……」 「かと言ってやり過ぎると高町のようになる」 「シグナム! 嫌な事を尾も出すような事を言うな」 過去にヴィータは、任務中に目の前でなのはが瀕死の重傷を負った現場に居合わせていた。 「何なら、テスタロッサのアルフに頼めばいいだろ」 アルフは、前線から身を引いてハラオウン家で家事手伝いをしている。 「このまま行けば、一週間ぐらいで嘱託試験を受けさせられるだろう?」 「実技はいいとして筆記は大丈夫なのか!」 「私達を嘗めているの?」 「私達が成績良いの聞いてないの?」 事実、アリサはパーフェクト、すずかも出来る方なのである。 魔法少女リリカルなのは -RESERVoir CHRoNiCLE- ―第一部『ガトランチスの進撃』― 第一話『すずかとアリサの試験』 第1039管理外世界――― 「時は、満ち足りた……」 謎の男は、とある一室で呟いた。 「閣下、そろそろお時間です」 「そうか…… では、参ろう」 閣下と呼ばれた男は、側近に言った。 「諸君、時は満ちた。 我等は、祖先の恨みを晴らすべく今日まで苦渋に耐えてきた。 其れも今日で終わりだ! そして管理局による次元世界の管理体制は、終わる。 管理局を潰した後、我等が理想の世界を示すのだ!」 リーダーが、壇上で演説をしている。 「『おおぉ』」 大勢の人たちが気勢をあげた。 「我等の祖先は、旧暦から着々と準備をして来た。 資金は? 物資は? そう言った問題を乗り越えて今日に至った。 諸君、之からは怨みを存分に晴らすがいい。 私は、『ガトランチス』の法に抵触しない限り全てを許す」 「『ガトランチス』に栄光あれ!」 「『『ガトランチス』に栄光あれ!』」 「神聖皇帝『フェルナンド』万歳!」 「『神聖皇帝『フェルナンド』万歳!』」 側近が言った事を末端の者までが復唱した。 「アルフレッド・マクダウェル!」 皇帝が、大勢の者の中から一人を呼んだ。 呼ばれたアルフレッドが緊張気味に壇上へ上がった。 「アルフレッドくん。 君を元帥に叙し管理局侵攻軍の司令官に任ずる」 「謹んでお受けいたします。 閣下の名を汚さぬよう勤めます」 年端もいかぬ少年の引き抜きに不満をあらわにする者達。 「静にしたまえ!」 騒がしかった声も皇帝の命で静かになる。 「君達の不満は分かる。 だが諸君、アルフレッドくんに勝てるかね? 彼は、管理局のランクでSSクラスなのだよ。 文句があるのなら戦ってみる事だ!」 皇帝の言葉でその場は収まった。 そして一週間後…… 管理局本局で月村すずかとアリサ・バニングスは、嘱託試験を受けていた。 モニターに二人のデータが表示されている。 「筆記試験は、二人ともほぼ満点……」 レティが言った。 「そうでしょ」 「魔法使いになって数週間で嘱託試験を受けたって子は今までに居ない」 「そうなのよね。 あの娘達、ベルカ式でも普通のベルカ式じゃないのよ」 リンディとレティは、話している。 「其れって、如何いう事?」 「実は、……」 言いにくそうに言うリンディ。 「『元始ベルカ式』…… ベルカの礎を築いたと言う、あの……」 「困った事に彼女達、ランク未保有なのよ」 「ランク未保有? 其れでよく試験受ける気になれたものね」 「偶然、あの娘達の家から出てきたと言うんだから仕方ないでしょ」 エイミィが、話の輪に入る。 「管理外世界からアレが出てくるなんてありえない。 過去に誰かが持ち込んだか……」 試験を管理するはずのレティまで話しに夢中になる。 『あのう…… 私達の試験何時になったら始まるんですか?』 なかなか、始まらない事に業を煮やしたすずかが聞いてきた。 『私達だって暇じゃないんですよ!』 「では、出身世界と名前を言ってください」 『地球出身、月村すずかです』 『同じくアリサ・バニングスです』 「この娘達が例の娘達ね」 レティがエイミィに聞いた。 「そうです。 あぁ、この件は内密にしておいて下さい」 すずかとアリサは、研究者から見れば絶好の実験材料なのだ。 「レティ提督! お久しぶりです」 シグナムが、呼んだ! 「シグナム。 あの娘達を鍛えたのは貴女だったわね」 「はい」 「実際如何感じた?」 「特に月村すずかは呑み込みが早いなんてものじゃありません。 普通の才能あるものよりも数倍はやい。 夜の一族の血がそうさせているのかもしれん」 「夜の一族?」 「月村は、吸血鬼です。 アリサは、月村によって魔導師…… いや、騎士になった」 「すずかちゃん、アリサちゃん。 貴女達は、ベルカ式だから天候操作は、免除だから……」 『はい』 「早速だけど、すずかちゃんから儀式魔法の実践お願いね」 エイミィは、試験開始を告げた。 二人は、辛うじて儀式魔法をクリアした。 「二人ともおつかれさま! 儀式実践終了だよ」 エイミィは、儀式実践の終了を告げた。 「一時間休憩だから、お弁当食べて一休みしてね」 ミッドチルダ山中…… 「アリサ! 儀式実践如何だった?」 すずかは、アリサに聞いた。 「すずかの方こそ大丈夫なんでしょうね」 「多分大丈夫…… シグナムさんやヴィータちゃん、其れにさくらさんに教えてもらったとおりにやったから」 「其れより、午後からの実践訓練の相手、誰だろうね」 お弁当を食べながら試験官について話す、すずかとアリサ。 「考えられるのは、なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん、クロノくんにシグナムさん、ヴィータちゃん」 「其れにザフィーラさん、シャマルさんは如何なのかな?」 「後は、さくらさんよね…… あの強さは、反則よ!」 そして再開の時間が来た。 『さーて、お弁当と休憩は終わったかな? 最終試験は実践訓練だよ! いま試験官がそっちに向かったから、がんばって戦ってね』 「私達のデバイス、ベルカだから誰が来るんだろ?」 『(私とヴィータだ)』 二人の前に現れたのは、シグナムとヴィータだった。 「二人のランクは不明、更に『元始ベルカ』と未知の術式だ。 局の中に試験官を勤められるのは、過去に 戦った経験があるヴォルケンリッターだけと言うわけだ!」 「安心しろっというのもなんだが、はやての親友だからと言っても手はぬかねぇからな!」 「先ず、私が月村の単身戦闘能力を見る。 ヴィータがアリサの戦闘能力を見る。 最後に弐対弐の連携戦を行う。 カートリッジは、個人戦、連携戦共に一ダースだ。 よく考えて使うんだな……」 シグナムが、ルールを説明した。 「時間も押している、始めるが良いか?」 すずかは、シグナムの問いに答えた。 「レヴァンティン、甲冑を」 ≪Jawohl. ≫ 「ヴァンッアームーン」 ≪了解!≫ お互い、騎士甲冑を纏って戦闘準備を整えた。 すずかのデバイスは、剣型に変形した。 シグナムのレヴァンティンと違って其の刃は赤かったのだ。 「紫電一閃!」 イキナリ高速での戦闘が始まった。 「紅蓮一閃」 すずかは、シグナムと幾度か切り結ぶ。 双方カートリッジを駆使して戦闘を行った。 「此処までだな……」 夜の一族の能力があっても実戦経験の差は歴然で一瞬の隙を衝かれ勝負ありとなった。 「幾ら、夜の一族と言っても実戦経験の差が最後は物を言った」 「勝てたと思ったのに……」 残念がるすずか。 「まだ、不合格と決まったわけではない」 「準備は良いか?」 ヴィータがアリサに聞いた。 「出来たのなら始めんぞ!」 「あんたの方こそ覚悟しなさいよ」 アリサとヴィータは戦闘ではなく口で争っていた。 「『グロフォード』!」 ≪了解! 甲冑を出します≫ アリサは、甲冑を身に纏った。 「何だよアレ。 魔力を食いやがった」 アリサのデバイスに驚くヴィータ。 「ギガントフォルム!」 ≪Gigantform.≫ ヴィータは巨大なハンマー形態を出してアリサへ振り下ろした。 アリサは、回避できず直撃を食らった。 「私を殺す気だったの!」 アリサは、ヴィータに文句を言った。 「しゃあねぇだろ! 手加減し難いんだから……」 「落ち着いたところで、最終試験を始める」 シグナムがヴィータとアリサの間に入って口喧嘩を止めた。 そして、弐対弐の戦闘が終わった。 そこで、すずかとアリサの試験は終了した。 「魔法技術、連携戦もまあまあ。 実戦経験が乏しいけど合格点は出してもいい様ね 嘱託魔導師としは申し分ないかな?」 レティは、二人の結果を見ながら合否を悩んだ。 「おめでとう、すずかさん、アリサさん」 『之をもてすずかちゃんはAランク、アリサちゃんはA-ランク嘱託魔導師に認定されました。 認定書の交付の時に面接があるから、あとは其れだけだらね』 「『はい! ありがとうございます』」 『じゃあ帰っておいで― 今夜はお祝いだよ!』 其の数日後、ヒトツの事例が発布された。 二人に出されたのは、艦船『アースラ』にて非常勤勤務だった。 リンディとレティが裏技を使ったのは言うまでもない。 第1039管理外世界――― 「之より時空管理局に対し全面攻撃を開始する」 アルフレッドは乗艦で作戦指揮を執り始めた。 「全艦、次元航行用意!」 アルフレッドは配下の次元航行艦に命令を出した。 「司令、全艦準備整いました」 「良し。 全艦に指令! 5隻ずつに別れ、次元世界へ攻撃せよ! 管理局の艦船は撃沈だ!」 第1039管理外世界から5隻ずつに分かれてそろぞれの世界へ侵攻を開始した。 第97管理外世界――― 「貴方達が、如何しようと勝ち目は無いのよ」 次元の魔女は、異世界で起ころうとしているデキゴトを見通していた。 「何故なら、干渉できる値が限られているから……」 其々の世界には、定められた干渉値がある。 其れによってバランスが崩れるからだ。 「飛王・リード、貴方のやったことの比じゃない」 侑子は、酒を飲みながら言った。 第1039管理外世界――― 「フェルナンド! 『次元の魔女』に動向をつかまれても大丈夫なのか?」 サーモサモンは聞いた。 「たとえ『次元の魔女』と言えど質量兵器の前では無力だろう……」 「噂では、管理局と通じていると言う話も聞いている」 侑子の名は、次元世界にも轟いていた。 「彼のDrに連絡を取れ!」 「若しかしてスカリエッティにですか?」 「そうだ! Drスカリエッティにだ」 「あの広域指名手配犯に接触すればどうなるか……」 「言ったとおりにしてくれ。 彼と協力できれば、我等の戦力は上がる」 「一応、接触はしてみる。 いい答えが出るとは限らんけど……」 サーモサモンは、スカリエッティとの接触方法の検討のためフェルナンドの執務室を後にした。 「聖王教会、管理局は、如何動くかな?」 静に動き始めた『ガトランチス』。 そして、スカリエッティと接触しようと模索するサーモサモン。 静に事件の幕が上がる。 設定資料 ガトランチス 次元世界の将来を憂い集った魔導師達の集団。 管理局に不満を持つ者や住んでいた世界を追われた者達がメンバーにいる。 中には、管理局から指名手配を受けた犯罪者も。 表の顔は、多数の次元航行船を所有している大会社『ガミラシア』。 『ガミラシア』で得た収益の大半は物資の調達、軍資金に回された。 フェルナンド・クラヴィス・ガトランチス 管理局を良しと思わない組織のリーダー。 メンバーから選出され神聖皇帝と名乗っている。 名に組織の名を冠する事が許された唯一人の人物。 表の顔は、次元世界に名をはせている大会社『ガミラシア』の会長である。 サーモサモン・ライコネン 第76管理外世界出身の元貴族。 神聖皇帝の側近。 アルフレッド・マクダウェル 神聖皇帝から元帥に叙され対時空管理局侵攻軍の司令官を任される。 魔道師ランクはSSクラス。 飛王・リード(ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-) クロウ・リードの血縁。 一族でクロウに次ぐ魔力の持ち主。 『時空を超える力』を手にする為なら人を殺すこともいとわなかった。 玖楼国の姫の記憶の羽を色んな世界に落として旅をするよう仕向けた。 あとがき 今回は、すずかとアリサの魔法試験をお送りしましたがいかがでしたか? オリジナル設定の『元始ベルカ式』のモード未だに不明です。 早速、StrikerSの登場人物の名が…… 更にツバサから飛王・リードも そして次回のお話は、魔法騎士レイアースの『セフィーロ』が舞台です。 圧倒的な戦力の前に倒れていく魔導士たち。 再び『セフィーロ』に召還される魔法騎士。 ご意見、感想お願いします。 |