第97管理外世界―――
 嘗て魔法騎士マジックナイトとして『セフィーロ』を救った光たちは東京タワーにいた。
新しく生まれ変わった『セフィーロ』に遊びに行く為だ。 
「さ、まいりましょう」
 鳳凰寺 風が言った。
三人は、手を取り合って輪を作って念じた。


 魔法少女リリカルなのは -RESERVoir CHRoNiCLE-
 ―第一部『ガトランチスの進撃』― 第ニ話『魔法騎士マジックナイト再び!! 前編』


 セフィロート―――
 嘗てこの国は、『セフィーロ』と呼ばれていた。
『柱』を失って崩壊の危機に瀕した『セフィーロ』を救ったのは新たな『柱』に選ばれた獅堂 光だった。
 光は、『柱』システムの崩壊を望んだ。 一人が全てを背負うのでは無く皆が等しく背負う事を……。

「もったいぶっておらんと、早く始めるのじゃ」
 『ファーレン』の阿洲花アスカが言った。
既に恒例となっている意見交換の場だ。
「まだ、『オートザム』のジェオが来ておらん」
「それにしても、『オートザム』のジェオは如何されたのかしら」
 『チゼータ』のタトラがジェオの事を心配する。
本来、この場に居なければならないイーグルが未だに療養中なのだ。

「こんにちは」
 光たちが会議の場に現れた。
「『ヒカル』『フウ』『ウミ』!」
「『フウ』」
 其々が光たちの名を呼んだ。
光達がこの世界を訪れる度に繰り返される光景だ。
「『ヒカル』、『フウ』、『ウミ』、久しぶりなのじゃ」
阿洲花アスカさん、即位は未だなのですか?」
 ふう阿洲花アスカに聞いた。
「実は、未だなのじゃ。 長庵チャンアンが……」
「何じゃと。 阿洲花アスカ様がわしの言う事を全て修めれば」 
「話は、後にしてくれ!」
 阿洲花アスカ長庵チャンアンの言い争いをクレフが止めた。
「如何した導師グル!」
 王子がクレフに聞いた。
「この世界にこの世界で無い者達が現れた」
導師グル、詳しく話せ!」
 クレフは、状況を話し始めた。
「夢と同じだ」
 光が口を開いた。
「如何いうことなのじゃ」
 阿洲花アスカが光に聞いた。
「クレフの話が、夢で見た内容と同じなんだ」
「『フウ』、『ウミ』、お前達は如何なのだ?」


 次元空間を航行している船が一隻、時空管理局L級艦船8番艦アースラ。
「クロノくん、次の巡航世界なんだけど……」
 エイミィがクロノに言う。
「如何した?」
「この世界だけどうして降りれないのかな」
 疑問をクロノにぶっつける。
「ユーノに無限書庫で調べさせているが、一つも資料が出てこないそうだ」
 降りて確認する手段は無い事にお手上げのクロノ。



 戦艦NSX―――
 NSXの艦橋では、司令官コマンダー代理兼親善大使のジェオが指揮を執っていた。
「謎の敵は、『道』を通らずにいます」
「『道』を通らずだと! いったいどうやって……」
 


 戦艦『スケルツォ』
「あれは、何だ!」
 アルフレッドは、聞いた。
「目下、分析中ですが何で出来ているのかわかりません」
「ともあれ、あの国を『ガトランチス』の名の下、略取する」
 アルフレッドが命じたのは、『セフィロート』への攻撃だった。
「クラス、武装魔導兵を用意しておけ!」
「はい」
 クラスと呼ばれた人物は武装兵を待機させた。

「分裂破滅ミサイル発射!」
 アルフレッドは、ミサイルの発射を命じた。
艦体のミサイル発射管からミサイルが発射された。



 セフィロート城―――
「なんなんだ」
 『チゼータ』のタータが言った。
「外敵が攻めてきたのかしら?」
 タータの姉のタトラがおっとりした感じで言った。
「上級の魔導師を動員して結界を張ってある。 そう簡単には破られはせん」
 クレフは、言う。
山伊サンユン! 筆と紙を持て!」
 阿洲花アスカは、山伊サンユンに命じた。
言われて、準備をする山伊サンユン
 阿洲花アスカは、紙に何かを書いて印を結んだ。
「奥義! 画龍転生の術!」
 紙から巨大な山伊サンユンが現れた。
「姉様、うちらも出すんや!!」

「いでよ! 我が守護精霊!! ジンよ!!」
 タトラとタータは、ジンを呼び出した。






戦艦『スケルツォ』
「ミサイル攻撃、通じません。 強力なバリアに阻まれているようです」
 クラスは言う。
「武装兵を送り込み制圧しろ!」
「了解!」
 ミサイル攻撃が通じない事にアルフレッドは、苛立つ。

「武装兵を送り込みました」






 次元空間内のアースラ
「普通の方法では行けない世界だと!」
 クロノは、驚く。
「あの世界に自由に行き来できるのは、魔法騎士マジックナイトだけなの」
魔法騎士マジックナイト? あの世界には、魔法が存在しているのか!」
「何から話そうか……」
 さくらは、説明に悩む。
「先ずは、魔法騎士マジックナイトが何なのか話してくれ!」
魔法騎士マジックナイトは……」


「如何して私達の世界の言葉なのよ!」
 アリサが、言う。
「其れは、『創造主モコナ』がそう名づけたんだって」
「モコナって何なの?」
「之から言う事は、管理局も知らない事なんだけど」
「管理局が知らない事?」
「第97管理外世界『地球』を創ったのは、『創造主モコナ』なの」
「そんな話、聞いた事ない。 まして、世界を創造したなんて……」
 初めて聞く話にクロノ達は驚いた。
「其の『創造主モコナ』は、之から行こうとする世界も創造した者と言ってもわかる?」
 さくらの話す難しい話に頭が痛くなる面々。






 セフィロート城―――
「私達も戦う」
 自分達も戦うと言う光。
「お前達まで戦う必要は無いだろう…… それに『魔神マシン』は……」
 そう、『魔神マシン』は、『創造主モコナ』と何処か分からない次元へ旅立っていた。
光たちの意思が固いということは、クレフも感じ取れた。
「プレセア、この世界を守る為に武器を貸してほしい」
 プレセアが何処からか武器を出した。
其れは、嘗て自分達が使っていた魔法騎士マジックナイトの武器だ。

魔法伝承アクセプト!」
 クレフは、三人に魔法を伝承した。
光達が身につけた防具は戦士のための物だ。




「何なんだ! アレは……」
 制圧部隊の隊長は言った。
「この世界の魔導師が召還したのでしょう」
 副隊長は、感想を言った。
「ランプの魔人やあのマヌケそうなのは……」


「お前達は、何者だ!」
「……」
 術師の問いに答えない侵略者。
「答えろ!」
「答えたところでこの世界の魔導師は皆殺しだ」
 冷酷に言い放つ隊長。
精獣召還クレフト!」
 導師グルは、精獣を召還した。
この国のものだけが使える魔法なのだ。
 其れを合図に次々と精獣を召還していく。
「ファイヤ!」
 隊長の命で一斉に銃が火を噴く。
銃弾を浴び倒れていく導師グル達。
「撃ち方やめ!」
 舞い上がっていた土誇りが消えると四人が其処に立っていた。

「この数の銃が打ち出す銃弾を受けて無傷な者がいるとはな……」
 彼等は、まだ知らない。
この世界、国は意思のセカイだと言う事を……。
「『縛捉の風』」
 風は魔法を使った。
「何だ! 之が魔法?」
「此の世界は、我々より数万年以上遅れていますね」
「?」 
 話が見えない光たち。
「『グラールベル』」
≪Ja.≫
謎の隊長は、デバイスを取り出した。
「私の名を死に土産に教えて差し上げましょう…… 私の名は、『クラヴィス・リー・アルバリス』」
 隊長の名は、『クラヴィス・リー・アルバリス』 と言うらしい。
「『グラールベル』、封鎖領域展開!」
≪Gefangnis der Magie.≫ 
 クラヴィスを中心に封鎖空間が形成された。
「此処は、何処ですの」
 風が言った。
「此処から出る方法は、二つだ! 私が展開した空間を破るか、私を倒すのどちらかだ」



 次元空間内のアースラ
「管理局が行けない世界へ如何やって行くって言うんだ!」
 行く手段が無いのに如何やって行くのかと言うクロノ。
「其処へは、私が連れて行ってあげる」
 皆を連れて行くと言い出すさくら。
そして、次元転移の呪文を唱え始める。


「此処は、何処なんだ!」 
「今、分析中!」
「此処が『セフィロート』よ」
 分析中のエイミィにさくらが言う。
「此処が? 今まで、管理局でも到達できなかった世界……」
 アースラは、無事来れたのだ。




  戦艦『スケルツォ』
「アルフレッド! 管理局の船が来た!」
「かまうな! 今は、征服が優先だ! どうせ手も足も出せんのだからな……」
「いえ、違います。 真っ直ぐ地表へ降りていきます」
 アースラは、素早い機動で『セフィロート』の地表へ降りていった。 
「全艦、管理局の艦を攻撃せい!」
 アルフレッドは、攻撃を命じた。
「でも、アレは如何する?」
「ほうっておけ! 今は、管理局の排除が重要だ!」
 


 閉鎖空間内
「(分かった!)」
 アルフレッドから念話で指令を受けたクラヴィス。
「何かあったのかい?」
「あぁ。 管理局がきやがった!」
 光たちは、何の話をしているのか分からない。
何故なら知らない言葉で話しているからだ。


 アースラ
「クロノくん、結界が張られているんだけど」
「何処のだ!」
「結界は、ベルカ式」
「フェイト! すずかとアリサを連れて行って犯人の確保に当たってくれ」
「ねぇ、クロノくん。 わたしは?」
 なのはがクロノに聞く。
「なのは、お前はアースラで待機だ! 木之本が戻ってくるまでは、本艦の切り札だからな……」
 アースラから現場へ出撃していくフェイト、アリサ、すずかの三名。


 セフィロート城―――
導師グルクレフ! 此の者達が……」
 プレセアがクレフに言う。
「クロウ・リードが創った者か」
「クレフ元気そうやな……」
 ケルベロスがクレフに言う。
「こないだも、会ったばかりではないか。 ケルベロス」
「そんなことは、如何でもいい。 状況は、如何なのか?」
 (ユエ)が聞く。
「既に多くの導師グル達が倒れ城に居たランティスも前戦に出て行った。 せめて魔神マシンがあれば……」
「心配すんな! さくらが、魔神マシン創造主モコナを連れてくる」
「連れてくる? 次元の魔女やクロウ・リードでもあるまいし」
「前にも話したやろ…… さくらは、クロウの血筋で、其のクロウを超える魔力をもっとると。
其れに、次元の魔女…… 侑子(ゆうこ)姉ちゃんの下で次元移動の術を学んだと」
「其れで、当の本人は?」
「既に、創造主モコナの居る世界へいっとる」




 閉鎖空間外
 結界の外にバリアジャケットに身を包んだ三人がいた。
「すずか、アリサ、先ずこの結界を解除してみて」
 試すようにフェイトが言う。
「ねぇ、アリサちゃん。 結界の魔力を奪える?」
「イキナリ何を言うのよすずか! 私に奪えるわけ……」
≪出来ます。 其の前に空のカートリッジをセットしてください≫
 言われたように何も入ってないカートリッジをセットするアリサ。
「『グロフォード』! 魔力蒐集開始」
 クラヴィスが張った結界をアリサは『魔力蒐集』で魔力を奪っていく。



 閉鎖空間内
「如何した? 『グラールベル』」
≪In irgendeiner Person zerrissen Sie die verbindene Grenze heftig.≫
 『何者かに結界を破られました』と言う『グラールベル』。
「誰がやったか分からんか?」
≪Sie verstehen nicht.≫
「そうか…… 誰が結界を破ろうと関係ない! 皆、叩き潰せばいいのだからな」

「時空管理局です。 武装を解除して!」
 フェイトがクラヴィスに言う。
「のこのこ現れるとは、馬鹿なヤツだな…… 自ら飛び込んできてくれるとはな」
「目的と出身世界と名前を言いなさい!」
「簡単に名乗るやつが居ると思うか?」
 ガコンっとカートリッジがロードされる音がする。
「すずか、アリサ! 其の三人をお願い」
 之が時空管理局と『ガトランチス』の死闘の始まりだった。





 設定資料

 登場する国
 ・『セフィロート』
  元『セフィーロ』で『柱』と呼ばれる元首に支えられていた。
  今では、皆が世界を支えている。
 
 ・『オートザム』
  セフィーロの外に存在する高度に機械化された近未来的な文化の共和制の国。
  球状の星からトゲ状の岩が突き出た形(そのトゲは星の核から地表を貫く形では生えている)をしている。
  『セフィロート』に環境汚染を止める術を研究してもらっている。 其のかいがあって徐々に改善されている。

 ・『ファーレン』 
  セフィーロの外に存在する中国風の文化がある帝政の国。
  土星の輪っかの様な物を二つ持っている星。

 ・『チゼータ』
  セフィーロの外に存在するインドのような文化をもつ王制の国。
  小さな球状の主星の左右から横にラグビーボールを半分にした状態の星が生えている。
  国土が真ん中の小さな主星のみで大変狭い。

 登場人物
 獅堂しどう ひかる
 『セフィーロ』最後の『柱』にして『柱』システムをなくした人物。
 伝説の魔法騎士マジックナイトの一人。

 龍咲りゅうざき うみ
 伝説の魔法騎士マジックナイトの一人。

 鳳凰寺ほうおうじ ふう
 伝説の魔法騎士マジックナイトの一人。

 クレフ
 『セフィロート』最高の導師グル
 容姿は幼いが実年齢は700歳以上。

 プレセア
 最高位の創師ファル
 光たちに武器を貸し与える。

 フェリオ
 『セフィロート』の王子。
 風のことを意識している。

 ランティス
 魔導師となれるほどの魔力と、剣闘士をも凌ぐ剣術を兼ね備えた『セフィロート』で唯一の魔法剣士カイル
 クレフの弟子の一人。

 イーグル・ビジョン
 オートザム国大統領の令息。
 現在は、『セフィロート』で療養中。

 ジェオ・メトロ
 軍の最高指揮官代理。
 親善大使もかねている。

 阿洲花アスカ
 『ファーレン』の第一皇女。

 山伊サンユン
 阿洲花アスカのお側役。
 
 長庵チャンアン
 『ファーレン』の摂政。

 タトラ
 『チゼータ』の第一王女。

 タータ
 『チゼータ』の第二王女。
 



 クラヴィス・リー・アルバリス
 地上制圧部隊隊長。
 ベルカ式の魔法を使う。
 ・『クラールベル』
 近代ベルカ式のデバイス。











 あとがき

 本当なら魔法騎士マジックナイトの世界を書き終わる筈だったのだが、戦闘シーン結構掛かるんだよな。
 創造主モコナ魔神マシン出すと長くなりすぎるし、楽しみは長引かせないと……。
 次回も引き続き、魔法騎士マジックナイトの世界のおはなしです。
 勿論、創造主モコナ魔神マシンも登場しますよ。
 ご意見、感想お願いします。





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