「ドクター、お客様がお見えです」
 秘書の女性が言う。
「通してくれ!」
 案内するように言う白衣の男性。
そして通される客。 ガトランチスの幹部だ。

「ようこそ、我がアジトへ」
「お招き感謝する。 Drスカリエッティ」
「管理局のみならず私の名を知っている者が居たとはな」
 白衣の男はスカリエッティだった。



 魔法少女リリカルなのは -RESERVoir CHRoNiCLE-
 ―第一部『ガトランチスの進撃』― 第五話『Drスカリエッティとガトランチスの商談』


 艦船アースラ
「今後の行動は、今お話したとおりです」
「本当にあの三人を管理局に入れ此の世界を任せるだと!」
「あの三人は魔法を無闇に使う事はありません」
「心配ない分けないだろ! たった三人で此の世界を守りきれるわけないだろ」
「クロノくん、お忘れですか? 此の世界は、意志が優劣を決めると……」
 クロノは、此の世界が意志の力が全てを決める世界だと言うことを忘れている。
「ですから、心配いりませんよ。 其れに此の世界最高の導師グルクレフもいます」
「其のクレフとか言う人物は強いのか?」
「だから、此の世界最高の導師グルと呼ばれているのですよ。 管理局のランクで言うとSSクラスの実力者です」
 またまた、トンでもない事に驚くクロノ。
「ったく、こうも高ランク魔導師と出逢うんだ?」
「其れが、『必然ヒツゼン』だからですよ」
「『必然ヒツゼン』?」
「既に、さくらさんから聞いていると思いますが、此の世に『偶然グウゼン』はありません。 在るのは、『必然ヒツゼン』だけです」
 エリオルによって講義を受けるクロノ。

「頭、痛くなる」
「それでも、提督なの? 其の程度で根を上げるなんてエリオルとは大違いね」
 クロノを小ばかにするような物言い。
「なあ、柊沢! 俺をバカみたいに言ったヤツ誰なんだ?」
「ああ、ルビーですか?」
「ルビー? 宝石か」
「宝石ではありませんよ。 私の使い魔の二体の内の一体です。 名は、ルビー・ムーン」
「ルビー・ムーン? 一体どんな魔法が使えるのか? 其れともう一体は……」
「ルビーは、私の世界の西洋魔術を使います。 もう一体は、ケルベロスとたこ焼きを食べていますよ」
「ねぇ、エリオル! 私もたこ焼き食べに行っていい?」
 いつの間にか仮の姿に戻ったルビーがエリオルに聞いた。
「行っておいで」
「わあい」
 たこ焼きを食べに行ったルビー。





 スカリエッティのアジト―――
「では、商談としよう」
「お尋ね者の私に何の用だ!」
「質量兵器とりわけ、管理局の艦船撃沈用の兵器がほしい」
「くっくっくっくっ、管理局の艦船撃沈させるか……」
 スカリエティは、計画の面白さに笑い出した。
「あるのか? ドクター!」
「私は今、レリックを追い求めている」
「レリック?」
「超高エネルギー結晶体の事だ」
 商談を続けるフェルナンドの使いとスカリエティ。

「で、ドクターは如何いう物を作っている?」
「単なる鉄屑だ」
 単なる鉄屑と言い放つスカリエティ。
「単なる鉄屑は?」
「単なる鉄屑は、単なる鉄屑だ。 それ以上でもそれ以下でもない」
「何かを企んでいるな」
「分かるか。 流石は、次元世界を支配しようとしているだけはある」
「こっちの要望する物を造ってくれるのか、くれないのか?」
 リストを突きつけ聞くフェルナンドの使い。
リストを受け取り目を通すスカリエティ。
「其のリストの品を作ってくれるなら資金提供しても言いと我等が指導者、フェルナンドさまは言っている」
「良いだろう…… 其の依頼引き受けよう」
 依頼を受けるというスカリエティ。
「資金は、好きなだけつぎ込んでも構わん。 無限に稼ぎ抱いているからな……」
「資金は、あり難く湯水のように使わせてもらう」
「管理局は、大丈夫なのか?」
「知り合いが抑えてくる」
「なら、問題ない。 やってくれるな、スカリエッティ!」




 第1039管理外世界―――
「バルゼーから連絡は?」
 商談結果を聞くフェルナンド。 
「未だありません。 管理局を警戒して連絡を躊躇っているのかもしれません」
「金は、幾らつぎ込んでも良いと言ってある。 心配せずとも吉報を持ってくるだろう」
「其れから一つ残念なお知らせが御座います。 アルフレッド指揮下のセフィーロ地上制圧部隊の
副隊長ジュリアス以下100名が管理局の手に落ちました」
「使えないヤツはいらん。 手勢を裂いて再編せよ!」
「かしこまりました。 直ちに再編に移ります」




 スカリエッティのアジト―――
「ドクター、とりあえず1000億ミッド程後日指定の場所へ持っていかせる」
「試作品が出来たら連絡する」
「フェルナンド様もドクターに期待している」
「帰る前に私の作品を見ていてくれないかね?」
 作品を見ていかないかと言うスカリエティ。
彼は、技術者型の犯罪者なのだ。
「それにしても、大きいアジトだな。 ドクター!」
「くっくっくっくっくっ、此処は、超質量兵器『聖王のゆりかご』のなかだよ」
「『聖王のゆりかご』。 古代ベルカ時代の飛行戦艦か……」
「之を動かすには『聖王の器』が必要なのだよ」
 『聖王のゆりかご』を動かすには、『聖王の器』が必要と言うスカリエティ。
「正に、古代ベルカの遺産だな」




 巡航艦アースラ―――
「之から、すずかさんとアリサさんのお二人に私が実戦訓練の相手をして差し上げます」
「おい、柊沢! お前が戦えば、アースラが沈む」
「心配いりませんよクロノくん。 私が作った異空間でしますから……」
「異空間って如何するつもりだ! 二人を鍛えるって言っても時間があるわけないだろ!」
「だからこそ、1時間で1ヶ月の訓練が出来る空間を創って封じた物を持ってきたのです」
 サラッと言うエリオルに呆れて物も言えないクロノ。
「はぁ。 お前や木之本の魔力の馬鹿でかさに呆れて物も言えないよ」
「そう言うクロノくんもAAA+でしょう」
「其れは、そうだが……」
「此の世界を離れるまで2時間あります。 二人を借りて良いですね、クロノくん」
 エリオルは、クロノの返事を待たず行動に移った。




 スカリエッティのアジト―――
「ドクター、アレは?」
「アレは、通称ガジェットU型だよ」
「ガジェットU型は、飛行タイプみたいだが……」
「其れは、飛べるさ。 そう言う風に私が設計したのだからな」
 悠々と誇らしげに説明するスカリエッティ。
「これ等全てにAMFが搭載されているのだ」
「AMF…… アンチマギリンクフィールド!」
「気に入ったかな? 私の作品は……」
 作品が気に入ったか聞くスカリエッティ。
「気に入った! 此のU型を改良した無人戦闘機を10000機、造れるか、ドクター」
「納期は、何時かね? 私は、手が離せない研究もあるのでね」
「納期は、何時でも良いが出来るだけ早く頼むよドクター」





 謎の空間―――
「そんな魔法じゃ私を倒せませんよ」
 エリオルは、クロウ・リードの杖を手にすずかとアリサと戦っている。
「どうなっているの! まるで死角なんてないじゃない」
 打つ手がないというアリサ。
「ルビーとスピネルを交わして私に接近出来るように後20日余りで出来るようになって貰わないと困ります」
「後20日余りって如何いう事ですか?」
「初めに言ったとおり、此処での時間は30日でも、外では一時間しか経っていません」
「一ヶ月! 私達、なのはやフェイトより一ヶ月も年を取っちゃうの!」
「其の事なら心配いりませんよ。 此処は、誰も年は取りません。 私がそう言う風に創った場所です」
 エリオルの言葉に絶句するアリサ。
「貴方、出鱈目よ! 普通こんなことできる訳ないでしょ」
「そうですか? 私やさくらさんは、普通です」
 エリオルは、自分やさくらは出来て当たり前と言う。
管理局全体で10人居るか居ないかのSSSランク相当の魔導師の中に2人しか居ないのだ。
「無駄口を叩く時間があれば、私の魔法を破る事です」
「破るって、こんな魔法破れるわけないでしょ!」
「冷静に考えれば簡単に破れますよ」
 簡単に破る事が出来るというエリオル。











 第1039管理外世界―――
「フェルナンド様、バルゼーただ今帰還しました」
「バルゼー、スカリエッティとの商談は纏まったか?」
「はい。 ガジェットU型を改良したAMF搭載の戦闘機10000機の製造を依頼しました」
「AMF。 アンチマギリンクフィールドか……」
「スカリエッティに1000億ミッド程、支払う手はずです」
「1000億ミッドか…… 軍資金が減るのは痛いが、安い買い物だ」

「フェルナンド様、次元世界を攻略中の部隊から連絡が……」
「何だ? 言ってみろ!」
「其れが、奇妙なエネルギー結晶体を発見したと……」
 そう言って立体映像を出すサーモサモン。
「之は、何だ? 今までに見たこともない」
「レリック……」
「バルゼー、今なんって言った!」
「はい。 Drスカリエッティが集めている物です」
「スカリエティがレリックをな」
 レリックについて聞くフェルナンド。
「サーモサモン!」
「はっ」
「全侵攻部隊に伝令! レリックを発見しだい我が根拠地に転送するよう伝えろ」
 フェルナンドは、各部隊にレリックを発見しだい転送するようサーモサモンに伝えさせた。






 設定資料

 バルゼー
 ガトランチスの幹部が一人。
 スカリエッティと商談を纏める。



 時の空間
 エリオルが、すずかとアリサを鍛える為に使用。
 時の空間内での時間は、外の1時間が中では1ヶ月。
 元はクロウ・リードが創ったものらしい。






 あとがき
 今回は、スカリエッティとガトランチスの商談をメインに書いたつもりでしたが如何でしたか?
 スカリエッティの台詞難しい……。 ナンバーズも出すか悩み満載。
 エリオルによるすずかとアリサの指導、二人は無事試練を乗り越えられるか?

 次回の予定は、飛王フェイワン・リードを何者かの手引きで脱獄するお話を予定しています。
 ご意見感想お待ちしています。





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