艦船アースラ―――
「クロノ君そろそろ、一時間経ったよ」
 エイミィがクロノに言った。
「そうか、すずかとアリサがどのくらい成長したか楽しみだな」
「クロノ君。 へんな事を考えているんじゃないでしょうね?」
「そんなこと考えるわけ無いだろ! 魔導師としてだ」
「そうよね。 二人に手を出したらなのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃんから私刑だもんね」
 怖い事を言うエイミィ。
「其れを言うなら騎士じゃないの?」
「確かに騎士というべきなのかな」
「じゃあ、模擬戦の準備しようか?」
「今は、模擬戦どころじゃ…… 一刻も早く本局に此の事を伝えないと……」
 そう、『セフィロート』のある世界は特殊な世界の為、管理局の技術を持ってしても通信が出来ないのだ。
「でも、此の世界から出るには、さくらさんが居ないと元の次元空間に戻れないんじゃ」
「忘れてた。 此処へ来るときに言ってたんだった」
 クロノは、一刻も早く連絡しないとと言う焦りを感じていた。



 魔法少女リリカルなのは -RESERVoir CHRoNiCLE-
 ―第一部『ガトランチスの進撃』― 第七話『熱戦! 模擬戦の勝者は?』


 
「で、クロノ。 決断はついたの?」
 フェイトがクロノに聞く。
「現場権限で、魔法騎士マジックナイトを臨時局員として採用する」
 クロノも悩んだ末、結論を出した。
人材不足の管理局にとって居るだけでありがたいのだ。

 かくして、臨時の管理局員して採用される事になったとは知らない魔法騎士マジックナイト達。
「と、言うわけで貴女達に時空管理局臨時局員として採用します」
 突然クロノから告げられる事に困惑する魔法騎士マジックナイト
「私達が時空管理局の臨時局員ですか?」
 クロノに聞くフウ。
「そう言ったのだが、何か?」
「向こうでも、お仕事がありますのに如何しましょう」
 仕事の事を気にするウミ。
「一番最初に来た時には、時間が経ってなかったのだろ?」
「そうですけど……」
「会社の方は、管理局で情報操作しておく。 休んでも無断欠勤扱いにはならない」
 クロノは、会社の方は心配ないと言った。

 時を同じくして、時の空間からすずかたちが出てきた。
「本当に私達、レベルアップしているんでしょうね?」
 アリサがエリオルに聞いた。
「はい。 其れは、私が保証します」
「そう言えば、あの空間から出た時から力があふれ出ているような……」
「何度も言いますが、普段から力を抑える事を心がけてください」
 エリオルから何度目かの忠告がなされる。
「分かってるわよ! 私だって嘱託局員なのだから、其れくらい自覚しているわ」
 言われなくても分かっているというアリサ。
「では、本当に制御できるかどうか模擬戦で実証してもらいましょう」
 イキナリ、模擬戦をしてもらうと言うエリオル。
まるで、クロノが模擬戦の準備をしているのを知っているかの様な物言い。


 アースラのブリッジ―――
「一応、模擬戦の準備できたよ」
 準備が出来たというエイミィ。
ヴィーンとブリッジのドアが開いてエリオル達が入ってくる。
「柊沢、訓練は終わったのか?」
「はい。 クロノ君、二人の成長に驚かないでください」
「エリオル、バラしてもいいの?」
「良いのですよルビー。 模擬戦をすればバレるのです」
 バレてもいいと言うエリオル。
「お前のことだ、模擬戦をヤル事を知っていたのだろ?」
「良くご存知で……」
「お前や木之本が未来予知出来ることは有名だからな。 そのお前のせいで、こうやって事件に
巻き込まれているだから溜まったものじゃない」
「お教えれきる物ならお教えしていますよ」
『セカイには其々、限られた干渉値があるの』
 突如、アースラのブリッジに侑子(ゆうこ)の声が流れる。
知る人ぞ知る、次元世界に此の人ありと言われる『次元の魔女』だ。
『其れを超える干渉は出来ないの』
「貴女は誰ですか?」
 クロノが声の主に聞いた。
「お久しぶりですね、侑子(ゆうこ)さん」
『えぇ、久しぶりね。 エリオルも元気にしてた?』
「元気ですよ」
『さっきから話しかけていたんだけど何をしてたの?』
「その事でしたすずかさんとアリサさんと『時の空間』にいました」
『アレを使ったという事は、ヤハリ起こったのね』
「そう言うことです。 侑子(ゆうこ)さん」
「一寸、順を追って話してくれませんか?」
 話に付いていけないクロノが順を追って話してくれと頼む。
『貴方は、時空管理局提督、L級巡航艦アースラの艦長クロノ・ハラオウンね』
「まだ、何も言っていないのに」
「之が、私達のごく一部の魔術師が持つスキルなのです。 僅かな情報だけでヒトの生き筋を読み解くのです」
『エリオルの説明で話は、分かったかしら?』
「取りあえずは……」
『わかってもらった所で重要な話があるわ』
「重要な話?」
『之から貴方達が関わろうとしている事についてよ。 魔法騎士マジックナイトの三人も聞いて』
「彼女達もですか?」
『えぇ、彼女達もよ』
「で、重要な話して何ですか?」
『先ずは、飛王フェイワン・リードが脱獄させられたわ』
「脱獄って、まさか。 あそこは、最も警備が厳重なんだぞ」
『其れは、知っているわ。 でも、内部に裏切り者がいたみたい』
「馬鹿な! 裏切り者が居るとは…… 採用時に宣誓しているんだぞ」
 管理局では犯罪に加担したいと言う書類に宣誓して採用されているのだ。
『貴方達が相手にしようとしているのは、途轍もない位巨大な組織よ』
「管理局による次元世界の支配を良しとしない次元世界の壁を超えた秘密結社『ガトランチス』ですよ」
「『ガトランチス』?」
『『ガトランチス』は、巨大な組織よ。 各地に拠点を持っているから』
侑子(ゆうこ)! これ以上は……」
『そうね。 これ以上は、話せないわ』
「何故です?」
『これ以上は、干渉値を超えるから』
「干渉値を超えて干渉したらどうなるのですか?」
『最悪の場合、セカイが滅ぶわ』
「世界が滅ぶって」
『だから、干渉する場合は気お付けなさい』
 そう言って侑子(ゆうこ)からの通信は切れた。

「クロノくん、今の会話記録しといたよ」
 会話を記録したと言うエイミィ。
「後でユーノに送って調べさせる」


 無限書庫―――
「ハクション!」
 盛大にクシャミをするユーノ。
「何だか、嫌な予感が…… また、クロノから資料請求が来るだろうな〜」
 ユーノの嫌な予感は此の後、的中するのだった。


 艦船アースラ訓練室―――
「ただ今よりなのは、フェイトVSすずか、アリサの模擬戦を始める」
 クロノは、模擬戦の開始を宣言する。
「ねぇ、クロノ。 結界の強度大丈夫かな?」
 エイミィの言葉には裏があった。
詳しくは、『魔法少女リリカルなのはA's THE COMICS』を参照を……

「心配なら私とさくらさんで結界を強化しますよ」
 エリオルが申し出る。
「それなら、早いとこ頼む」
「では、さくらさん。 『(シールド』をお願いします」
「此の訓練室を守れ! 『(シールド』!」
 さくらが訓練室に『(シールド』を張った。
「今度は、私が張りましょう……」
 そう言って、エリオルは呪文の詠唱を始めた。
ミッド式でもベルカ式でもない魔法…… クロウ・リードが創った魔法なのだ。
「結界を張り終えました。 何時でもはじめて下さい」


 訓練室内―――
『なのは、フェイト、すずか、アリサ! バリアジャケットを装着してくれ!』
 スピーカーからクロノの指示が聞こえる。
「レイジングハート、セットアープ!」
≪Standby, ready, setup...≫
「バルディッシュ・アソルト、セーットアープ!」

「ヴァンッアームーン、甲冑を!」
≪了解!≫
「グロフォード!」
≪了解、マスター!≫
 なのはとフェイトは、バリアジャケットを…… すずかとアリサは、騎士甲冑を纏った。
模擬戦の準備が全て整ったのだ!

『ルールは、分かっていると思うが怪我だけはするな!』
「「「「はぁ〜い」」」」
 四人が返事をした。
『四人とも準備はいい? レリーゴー!』
 
「行くよ! すずかちゃん、アリサちゃん」
「何時でも来なさい、なのは!」
 なのはを挑発するアリサ。
「初っ端から大きいの行きます」
≪stand by ready charge set≫
「N&F中距離殲滅コンビネーション」
「ブラストカラミティッ!」
 なのはとフェイトのコンビネーション魔法……
本局の訓練室を破壊した凶悪な魔力がすずかとアリサに放たれようとしている。
「魔力全開!」
「疾風迅雷!」
「「ブラスト・シュートッッ!」」

 訓練室外―――
「おい! 其れは、待て!」
 クロノが悲鳴をあげる。
エリオルは、何故かニコニコしている。
「何故、お前は涼しい顔をしてニコニコしていれる!」
「其れは、ヒミツです」


訓練室内―――
「(すずか、あんたも蒐集しなさい!)」
「(アリサもシッカリね)」
「『グロフォード』、蒐集!」
≪了解、マスター!≫
「『ヴァンッアームーン』、魔力吸収!」
≪敵魔法から魔力を吸収します≫
そして、二つのデバイスによってブラスト・カラミティが跡形もなく吸い取られた。

「えっ、全部吸い取られちゃったよ」
 驚くなのは。
「なのは、アレって何かに似ていない?」
 いち早く分析するフェイト。
「アレって、『闇の書』?」
「そう。 似ているけど違う気がするんだけど……」
「『闇の書』って、リンカーコアを抜いて魔力資質を蒐集する書だったよね」
「其れで、合っているよ」
「すずかとアリサのデバイスって『闇の書』の蒐集とも違うし、一体……」

「そっちから来ないのなら、今度はコッチからいくから」
 反撃をするというアリサ。
「『グロフォード』! 灼熱炎冥斬」
≪了解!≫
 ガコンっとカートリッジをロードする音がしアリサの剣から強大な魔力を帯びた炎がでる。

「(フェイトちゃん、あれヤバクない?)」
「(うん。 推定だけど、Sクラスの魔力があるよ)」
≪Protection.≫
 レイジングハートが、自動的にバリアを張った。
いとも簡単になのはのProtectionを破るアリサの灼熱炎冥斬。
「もう一寸でなのはを落とせたのに……」
 アリサの灼熱炎冥斬を止めたのは、フェイトだった。
「なのは、大丈夫?」
「うん。 何とか……」
 そして、距離を取り再び対峙する。


 模擬戦が始まって彼是数時間。
「はぁはぁはぁ」
 四人とも既に息が上がっていた。
其れもその筈、数時間も模擬戦を行っているから当然だ。
「フェイトちゃん、まだ出来そう?」
「すずかとアリサってこんなに強かったけ」
「すずかちゃんとアリサちゃん、へんな空間に入る前とは別人になっている」
「其れって、すずかとアリサがあの空間で成長したって事じゃ……」


 訓練室外―――
「四人とも魔力の残量ごく僅か」
 エイミィが言う。
「そろそろ、レフリーストップか? そうしないと今後の任務に差し支える……」
 クロノは、決断を迫られた。
「クロノくん、決着は付いていませんが成果はあったでしょう」
「其れは、そうだが……」


 訓練室内―――
「すずかちゃん、アリサちゃん! 最後の攻撃、行くよ〜」
≪Staright Breaker Standby Ready≫
 なのはが選んだ魔法は、スターライトブレイカーだった。
結界内の訓練室に充満した魔力を集めるなのは。



 訓練室外―――
「ちょ、一寸まて!」
『スターライトブレイカー!』
 なのはの掛け声が聞こえた後、爆発音が聞こえた。
その余波で、管理局側の結界が崩壊した。
「計測機器、全て機能停止!」
 そこら中の機器から煙が立ち上る。
クロノは、頭を抑えため息を吐いた。
「なのは、後で始末書かいてもらうからな……」
 
「クロノ君、訓練室内の状況確認したんだけど……」
「中は、如何なんだ? エイミィ?」
「其れが…… 全員、戦闘不能!」


「高町なのは、自爆により戦闘不能。 フェイト・T・ハラオウン、月村すずか、アリサ・バニングスは、
高町なのはのスターライトブレイカーにより戦闘不能。  よって、勝者なし!」
 

 その後、なのは達は医務室に運ばれたそうだ。




 設定資料

 灼熱炎冥斬
 アリサの魔法。
 剣に変形した『グロフォード』の刃の部分にカートリッジと蒐集した魔力を炎に変換して纏わせ
 相手に切りかかる技。
 ランクが低い魔導師では、防ぎきれない。




 あとがき
 今回のお話は、如何でしたか?
 相変わらず、なのはのスターライトブレイカー、悪魔じみて見えます。
 模擬戦、決着つかずで終わらせて良かったんだろうか……
 久々に出した侑子(ゆうこ)さん。
 事件の結末を知っているが干渉値を超えて話せないって……
 「セカイが滅んでもいいなら教えてあげるわ」

 次回もお楽しみに……
 ご意見感想お待ちしています。





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