阪神共和国―――
「此処が、阪神共和国か……」
「無駄話している時じゃないだろ?」
「そうだったな…… 『タイガークリスタル』を探さないと……」
 飛王フェイワンが開いた道を通ってやって来た魔導師たち。
「単独行動は、禁物だ! 全員で行動した方が良いだろう……」
「『次元の魔女』は、此のセカイの事を知っているらしいからな」
 リーダー格の二人が行動を協議している。
「先ず、我等の邪魔になる者を探し出して殺す。 『次元の魔女』に介入されたら困るからな」
「『次元の魔女』は、あの方が抑えてくれるんですか?」
「我等は、あの方の手駒。 命令どおり動いていればいい」



 魔法少女リリカルなのは -RESERVoir CHRoNiCLE-
 ―第一部『ガトランチスの進撃』― 第九話『飛王フェイワン・リードの魔手!』




 
 時空管理局本局―――
「確かに、容疑者の身柄引き受けました」
 本局の局員がアースラから逮捕した容疑者の身柄を受け取った。
そして、大勢の局員に連れられて取調室に連行されていった。
「さてと、アースラが改装中の間、我等は何もすることは無いのだが……」
 クロノは、何もする事がないと言うがクロノには仕事が山のようにあるのだ。
「クロノくん、チャッチャッと報告書仕上げないと休みなくなるよ〜」
「分かっているのなら、お前も手伝え! エイミィ」
「はいはい! 改装中の短い休みを棒にしたくないもんね」
 夫婦漫才をするクロノとエイミィ。



「そうですか…… 作業を急いでください」
 エリオルは、作業員に何かを言った。
「分かりました」
 急いで作業に戻る作業員。
「如何しようとネガイが叶うことはないんですよ。 飛王フェイワン・リード」
 如何しようと飛王フェイワン・リードのネガイが叶うことは無いと言うエリオル。




 第1039管理外世界―――
「さぁ、遠慮なく殺せ! 我の邪魔は、させん」
 魔法で手駒を送り込んだ世界を見ている飛王フェイワン
「『タイガークリスタル』は、必ず手に入れる」




 阪神共和国―――
飛王フェイワンから聞いた情報だと『タイガークリスタル』は、虎模様の魔力をおびた石らしいが……」
「街中には、なさそうだな……」
 魔力の気配だけを頼りに探している飛王フェイワンの手駒たち。
「ちっ、幾ら探したって見つからぁしない!」
「住人を何人かぶっ殺して脅して在りかを聞き出すか?」
 其処へ、運悪く通りかかった住人がいた。
モヒカンの集団だ。
「オイ、『タイガーストーン』は何処だ!」
「そんなもんしらねぇ!」
 モヒカンのリーダーが言い放つ。
「お前等、何処のチームだ!」
「チーム? 何だ、それ!」
「俺達のナワバリを奪うつもりだな!」
「ナワバリなんか興味ない! 在るのは、目障りなゴミを片付ける事だ!」
 そして、モヒカンの集団は巧断くだんを使うまもなく倒された。
「うぅぅぅぅっ」
「ふんっ。 たわいも無い!」
 飛王フェイワンの手勢は、モヒカンの集団を踏みつけてその場を去ってい行った。



 管理局本局―――
飛王フェイワン、『タイガーストーン』を手に入れても無駄ですよ。 とはいえ、放っておく訳には行きません。
アレだけでは、意味がありませんが、あるものが揃うと厄介な代物です。 侑子(ゆうこ)に、ヒトをよこして
もらいましょう…… 真祖の姫君と殺人貴、あともう一人、規格外の新米死徒を……」
 エリオルは、そう言って侑子(ゆうこ)に話しかけた。

「…… の三人を送ってください。 対価は、後ほど送ります。 私も、忙しくて手が離せません」
『えぇ、分かったわ。 一寸、時間が掛かるけどいいかしら?』
「構いません。 あの娘が、太陽や流水に慣れるのに時間が掛かるでしょうから」
『その娘の特訓が終わったら私から連絡するわ、エリオル』
「お願いします」
『所で、さくらちゃんは?』
「さくらさんは、お仕事中です。 希少技能保有者っと言うことで忙しいですし……」
『じゃぁ、さくらちゃんも未来視で結末を知っているのね』
「おそらく、知っていると思いますよ。 私や貴女と違って望まなければ発動しませんが……」
『そう…… 今回の件、犠牲者を出さずに終わらせる事は出来ないわ。 管理局側に出なくても、一般人に
必ずでる。 敵は、そんなこと気にしないとっ言う事は知っているね』
「はい。 飛王フェイワン・リードは、そう言う男です」
『あの男も懲りないわね』
侑子(ゆうこ)、私も仕事が在るので之で……」
『エリオルも……』
 エリオルは、魔法での通信を終えて机に向かった。 机の上に山のように詰まれた書類を処理する為に……
片付けても、次々と書類が届けられるからだ。  其れは、希少技能保有者故の宿命だった。
「さて、早く片付けて二人を鍛えなければ…… 今のレベルでは、苦戦は避けられないでしょう。
何れ、あの事も話さなければならないでしょうし……」


 管理局本局訓練室―――
「今日は、はやてが相手なの?」
 アリサが、はやてに聞いた。
「そうや。 フェイトちゃんは、クロノ君と打ち合わせ。 なのはちゃんは、任務に加わる武装隊の教導や」
「フェイトも、なのはも忙しいんだ!」
「上の命令やからな〜 そう言うウチもだけど……」
「上って、誰の命令?」
「こんな命令出させられる人は一人しかおらんやろ?」 
 此の命令を出させたのは、エリオルだった。
「エリオル提督に、二人を鍛えてほしいと直接頼まれたです」
「それじゃ、はじめるけどええか? 手加減は、せんからな」 
 訓練を始めると言う、はやて。
「はやてちゃん、訓練室壊したら始末書書くのはやてちゃんなんですよ! 幾ら、エリオル提督の後ろ盾
があるといっても……」
「ワカットルよ。 リィーン」
 はやて達は、過去に何度も訓練室をぶっ壊している。
なのは、フェイト、はやて等が管理局に入った直後から急激に増えているのも事実である。


 第1039管理外世界―――
「何を手間取っている!」
飛王フェイワンは、苛立っている。
「邪魔者を蹴散らし町を焼き払え! 『タイガークリスタル』を見つけるんだ!」


 阪神共和国―――
「邪魔だ! 消えろ!!」 
「うわああっ!!」 
 阪神共和国では、飛王フェイワンの手下が、無法地帯とばかりに暴れまわっていた。
「しかし、聞けども誰も答えませんね〜」
「もっと痛い目に合わせてヤレば、吐くだろう……」
「くっくっくっくっ。 骨でも折ってやるか?」
「それとも、跡形も残らないよう吹き飛ばしてやろうかな?」
 飛王フェイワンの手下の言葉に戦慄する阪神共和国の住人たち。
逃げようにも周囲を囲まれ逃げれない者や、金縛りにかかった者がターゲットとなった。
「『タイガークリスタル』は、何処だ! 素直に言った方が、身のためだ!」
「し、知らん! 見た事も、聞いた事もない」
「白を切るつもりか…… もう、何も言わなくていい。 全員消えろ!」
 リーダー格の男が、住人たちを殺傷モードで問答無用で吹き飛ばした。
リーダー格の男が、魔法を放った後には、瓦礫と住人たちが転がってピクリとも動かない。
「素直に言えば、いい物を……」
「派手に暴れるのは、何処の馬の骨か?」
 老人が、飛王フェイワンの手下たちに言う。
「何だ! 爺、死にたいのか?」
「其れが、年上の人に対する物言いか?」 
「知った事か…… 爺! 『タイガーストーン』は、何処にある?」
「最近のガキは、礼儀を知らんのか?」
「五月蝿い! 言われたとおりに答えろ!」
「礼儀を知らんクソガキに答える義理は無い」
「どうやら死にたいらしいな…… 爺!」
「ワシは、貴様らの何十倍も生きておる」
「そんな事、見れば分かる!」
「一つ言っておこう…… ワシは、此の世界の者じゃない」
「此の世界の人間じゃないのなら用は無い。 トットと行きな!」
「名を聞いておこうとせんのか?」
「ヨレヨレの爺の名に興味はない」
「まあ、二度と会う事は無いだろうが、名乗っておこう…… ワシの名は、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。
とある世界で、死徒二十七祖の一人と数えられておる」
 老人は、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグと名乗った。
「ワシは、行くところがあるから……」
 ゼル爺は、自身の魔法で別世界に転移していった。


 第1039管理外世界―――
「厄介な奴が、いようとは…… キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。 死徒二十七祖、第四位。
例え、魔道元帥と言えど、私の邪魔はさせん。 早急に手を打たなければ、ならない」
 飛王フェイワンは、ゼル爺の出現に驚きつつも策を進める。
「次、私の前に現れたら始末してやる」



 管理局本局―――
「さてと、書類の山は片付いた事ですし訓練の様子でも見に行きますか……」
 エリオルが言った瞬間、気配を感じた。
「此の気配は……」
 ニヤっと笑みを浮かべるエリオル。


「貴様、誰だ! 此処を何処だと思っている」
 突如現れたゼル爺に局員が、取り押さえにかかる。
「此処は、部外者が来ていい場所では無いんだぞ!」
「ワシは、古い友人に会いに着ただけじゃ」
 友人に会いに来たというゼル爺。
「そんな事、信じられるか! とりあえず、身柄を拘束させてもらう」
 身柄を拘束すると言う局員。
「どうかしたのですか?」
「柊沢提督! 実は……」
「言わなくても、分かります。 彼は、私の古い友人の知り合いですよ。 後は、私に任せてください」
「はぁっ。 分かりました」
 局員たちは、エリオルに敬礼してその場を立ち去った。
エリオルは、局員が立ち去るのを確認してゼル爺に話しかけた。
「お久しぶりです。 キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ!」
「ひさしぶりじゃな、柊沢エリオル。 いや、クロウ・リードと言ったほうが良いかな?」
「どちらでも、良いですよ」
「では、クロウと呼ばせてもらう」




 設定資料

 キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ
 魔道元帥と呼ばれている。
 死徒二十七祖第四位に数えられている。
 「宝石のゼルレッチ」「時の翁」「宝石翁」「万華鏡」 など多くの異名を持っている。
 *此のシナリオでは、クロウ・リードの古い知り合いであるという設定である。




 あとがき
 久々の投稿です。
 今回のお話は、如何でしたか?
 知っている人なら分かるネタが混ざっています。

 そして次回は、クロウ・リードとゼル爺の昔話を予定しています。

 

 ご意見、感想お待ちしています。





BACK

inserted by FC2 system