ベルカ自治領
「如何やら巻いたようだ」
 タタリは、言う。
「シオン、君には、囚われのお姫様役をやってもらう」
 シオンは、囚われのお姫様役をやらせられるようだ。
「ヒロインには、ヒロインらしい服を着てもらわないと困るなぁ」
「汚い手で触るな!!」
「そう言うな、シオン…… 早くしないと此処に来てしまう」
 そう言ってタタリは、シオンの服に手を掛け無理やり脱がし始めた。

 諸事情によって此のシーンは、カットします。


「よく似合っているよシオン。 まさにヒロインらしい衣装だ!!」
「何が似合っているですかぁ。 私にこんな恥ずかしい格好をさせて」
 シオンは、顔を真っ赤にして言う。
シオンの格好は、余程恥ずかしいようだ。
「こんな恥ずかしい姿を志貴には見せられません」
「いい事を聞かせてもらったよシオン。 もっとヒロインに相応しい衣装に変更だ」
 そう言ってシオンの衣装を変えるタタリ。
ある部分が更に露出の多い衣装に変えられた。
「ヒロインの衣装も決まった。 さあ、何時でも来たまえ」




 魔法少女リリカルなのは -RESERVoir CHRoNiCLE-
 ―第一部『ガトランチスの進撃』― 第二十二話『決戦!! 虚言の夜 3』





 巡航艦アースラ
「皆さん、準備は良いですね」
 エリオルが、皆に言う。
「タタリは、今、ベルカ自治区で第三幕の準備を終え待っています」
 エリオルは、何かを隠している。
「アルクェイドさん、遠野くんがある物を見ても直ぐにキレないでください」
「何よう。 私が直ぐにキレるみたいに言ってぇ」
「貴女がキレると作戦自体が失敗に終わってしまいます。 シュバインオーグ、アルクェイドが暴走しないようして下さい」
「ふむ。 アルクェイドの手綱は、ワシが預かろう……」
「よろしくお願いします」
「すずか、アリサ、無茶はするなよ」
「其れから、レンちゃんには、外れてもらいます」
 レンは、外れたくないと志貴に抱きつく。
自分も戦うと言う意思表明だ。 
 シオンがさらわれたせいでもある。
「仕方ないですね。 私が危険と判断したら強制退場させます」
 エリオルがレンに注意を言う。
「其れから、すずかさん」
「はい」
「くれぐれも、王族達の庭城ロイヤル・ガーデンは使わないようにしてください」
王族達の庭城ロイヤル・ガーデンじゃと」
 ゼルレッチが驚く。
王族達の庭城ロイヤル・ガーデンが使える夜の一族は、居らんはず」
「はい。 今は、居ません」
「と、言うと昔は居ったのか?」
「いいえ。 今まで誰一人、使えたものは居ません」
「さてと、タタリを倒しにいくかの」
「じゃぁ、転送するよ」
 と、言うエイミィ。



 ベルカ自治領
「来たか…… 待ちくたびれたぞ。 さぁ、第三幕の上演といこう」
 待ちくたびれたように言うタタリ。
「無事、シオンを取り戻すがいい」
 
「し、シオン……」
 志貴は、シオンの姿を見て目のやり場に困る。
「志貴、み、見ないでください」
 シオンが、顔を真っ赤にして言う。
「志貴、何処を見てたの?」
 アルクェイドが志貴に詰め寄る。
「シオンの何処を見ていたか言いなさい」
「志貴、アトラスの娘の何処を見ていたか正直に言うがよい」
 アルクェイドに続いてアルトルージュも志貴に詰め寄る。
「そんな娘よりいいのを後で余が見せてやる」
「えっ……」
 そんな志貴を見てさつきが爆発した。
「と、遠野くんのばっかー!!」
 さつきのパンチは、志貴の顔面にヒットし100メートル近くふっとばされた。

「おやおや、仲間割れか? シオンの衣装を之に変えて正解だったようだ」
「あんた、乙女に何度、恥ずかしい思いをさせれば気が済むのよ!!」
 タタリにキレたアリサが切りかかる。
「カットカットカットカットカットカット!!」
 劇を止めるタタリ。
タタリは、竜巻を発生させアリサに間合いを取らせる。
「ファンブルコードか……」
 ゼルレッチが言う。
「其処の娘、貴様が私を唯一殺せる奴をふっ飛ばしてくれた礼を言うぞ」
 そう、志貴のことだ。
「志貴、大丈夫かな? 真祖化したさっちんのパンチを受けていたから」
「貴様、今なんと言った!!」
「さっちが、真祖だって言ったのよ」
「真祖は、昔、貴様が皆殺しにしただろう」
「元は、さっちん。 ロアの死徒よ」
「死徒が真祖に成るなんてありえない」
「でも、事実だから……」
「死徒を真祖にする事はできんと言う事を知っているのだろう? ゼルレッチ老」
「確かに死徒が真祖に成る事は出来ん。 だが……」
「だが?」
「ある、儀式をすれば、可能じゃ」
「そんなことできる筈ない」
「たった一人だけ居ったのじゃ。 お前も聞いた事ぐらいあるじゃろう」
「誰だ? そいつは……」
 少し間をおいて言うゼルレッチ。
「クロウ・リード」
「ク、クロウ・リード…… その気になれば、成りたてで死徒二十七祖に入れたと言う奴か?」
「そうじゃ、クロウ・リードじゃ」
「クロウが、死んだのなら使える者等、居ないはず」
「クロウ以外に使える者が居たら如何じゃ?」

 志貴は、まだ死んでいる。
さつきに殴られたダメージが抜けないらしい。

「あの餓鬼が復活する前に貴様らを倒し、此の世界の住人共を飲み干し大六法に挑まねばならぬ」
「一度、失敗した第六に挑むつもりか」
「貴様には、関係ないことだ!! ゼルレッチ」
「貴様の劇に付き合うわけには行かぬようじゃな……」
 ゼルレッチは、そう言って志貴のほうへ歩いていき、ステッキで志貴を小突く。
「何時まで寝ておるつもりじゃ」
 ゴスッ

「いてててて。 確か、弓塚さんに思いっきり殴られて……」
「やっと起きたか志貴!! タタリが片付いたら後で彼女達との責任を取っておくことだな」
「責任って」
「自分で考えるんじゃな」
「志貴、終わったらイイコトしようね」


「随分、時間を無駄にしてくれたな」
 タタリから魔力が立ち昇る。
「死ね!!」
 タタリは、決めたターゲットに近づくとマントで足元をすくって空中へ浮かべ上げた。
ターゲットにされたのは、すずかとアリサだった。
「タップリとお礼をしてやるぞ」
 そう言って竜巻を発生させるタタリ。
幾ら騎士甲冑を着てるといってもダメージは避けられない。
「……」
「レン。 危ないから……」
「……」
 レンは、何かを言うとタタリに挑んだ。
「おや、君も混ぜて欲しいのかね?」
「……」
 レンは、無言で何処から出したのかケーキでタタリを押しつぶしナイフで串刺しにした。
「ぐひゃっ!!」
「あの子達、大丈夫かしら? モロニ喰らって居ったが……」
「夜の一族のほうが結界を張っておった。 さほど、ダメージを受け取らんじゃろう」
 ゼルレッチの言うとおり結界が張られていた。
「(アリサ、大丈夫?)」
「(何とかね。 すずかの方は?)」
「(平気。 アリサ、封時結界、お願い)」
「(分かった)」
「グロフォード!! 結界展開」
≪了解。 封鎖領域展開!!≫
 戦闘場所を中心に可也大きい結界が展開された。



 聖王教会騎士団待機場所
「ベルカ式、結界の展開を確認」
 騎士は、報告する。
『結果を張ったのは、誰?』
「騎士はやてのご友人、アリサ殿です」
『そう。 アリサが…… 直ぐに結界の強化をしてください』
「分かりました。 騎士カリム」

「皆、アリサ殿が張った結界の強化に当たれ!!」
 騎士のリーダーが言う。
彼が現場の指揮を任されているようだ。
「「「「「「おおおおおおう!!」」」」」」
 騎士達が威勢を上げ、結界を強化する。




「カットカットカット!! そこは、結界を張るところではない。 私の攻撃を喰らって傷つく場面だろう」
「ズェピア!! これ以上、あんたの下らない劇に付き合うつもりは無いから……」
 アルクェイドが付き合いきれないと言い切った。
「私は、人質をとっているのだぞ!!」
「此れから舞台を降りる奴が何を言うのかね」
「舞台を降りるのは、お前達だ」
「なら、俺がお前が、舞台を降りる環境を作るまでだ」
 そう言って、志貴はメガネをはずした。
其れは、唯のメガネではない。 魔眼殺しのメガネだ。
 メガネを外した志貴は、タタリへ歩を進める。

「志貴其の目で、鎖を殺してください」
 シオンが、志貴に鎖を殺すように言った。
「貴様!! 何を…… ヒロインを解放するなぁ」
 タタリの叫びを無視してシオンを捉える鎖を殺した。


 シオンを取り戻されたタタリは、今まで以上に壊れた。
「モハヤ、ゲキナドドウデモイイ。ミンナコロシテヤル!!  ミナゴロシニシテヤル!!」
「タタリ、お前に選択肢をやる。 誰かに殺されるか選べ」」
「キサマラヲコロスノハ、ワタシダ」
「其れが答えか…… お前は、此処にいる全員で全力を持って殺す」
 タタリが聞いた言葉は、其れが最後だった。
全員による集中攻撃を受け消滅した。





 謎の世界
「まぁよい。 第六への準備は、整った」
 謎の世界では、飛王フェイワンが此の模様を見ていた。
「夢は、必ず叶え、新たなる秘術を此の手にしてくれる」





 第1039管理外世界
「皇帝陛下、偵察部隊がミッドの偵察より戻ってまいりました」
 幕僚の一人が報告した。
「先ず、此の映像をご覧ください」
 そう言って、映像を投影する。
「此の映像の此の部分を見てください。 此の魔法は、ミッド式でもベルカ式でもありません」
「失われし都、アルハザードか?」
「確証は、持てませんが、其の可能性は十分にあります」
「くっくっくっ」
「皇帝陛下!?」
「あの、二機のデバイス、何が何でも手に入れるのだ!! 持ち主を殺してでもな……」
「はっ」

 終に、デバイスの秘密に気づいたガトランチス。
其の牙をすずかとアリサへ向けようとしている。




 あとがき

 タタリとの戦いを変な感じに終わらせてしまいました。
 次回で、第一部が終了します。



 ご意見、感想お待ちしています。





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