ユーノは訓練室の壁を見ながら、ちょっと黄昏ていた。
いや、訓練室の壁は遥か向こうにあるから、実際は虚空を眺めていたのだろう。
その理由は、なんだろうか。
「…やっぱり現状?」
独り言を呟きながら、ユーノはハッ、と思わずやさぐれた笑い方をする。
まあ、深々と溜息をついても、現状は変わらないし、逃避しても変わらないし。
「…さて、始めるか。」
目の前のシグナムが何だかそんな事を言っていた。
ユーノは周りを見渡す。
フェイト、クロノ、シグナム、はやて、シャマル…
全員AAクラス以上の魔導師、又は騎士。
対して、自身はAクラスをもらってはいるものの、それも又、何だかなぁ、と思う。
実際、ユーノはAクラスの魔力などもっていない、と自身では思っている。
一般武装局員とほぼ同等。
魔力量を見ればそんなものだった。
なのにどうしてAクラスなのか、本人にはよく分かっていない。
まあ、技術的要素を見れば、ユーノは充分Aクラスだろう、と周りは見る。
最近、その評価は、徐々に改まりつつあって、だから、クロノとシグナムは面白がって、こんな事をしてみた。
真面目人間が面白がるのは、身内のことばかりである。
「それでは、第5次、ミッドVSベルカの模擬戦を始める。」
クロノの台詞に、5次と数を数えて、自分二回目だよ、とユーノは思う。
一回目は、ブラストカラミティとS級破壊魔法がぶつかり合ったあの時の戦いの事だろう。
ユーノはあの時以来だったのだが、間に3回もあったようだ。
「…クロノ、僕仕事…」
「安心しろ、僕も仕事を放ってきてある…」
「…エイミィさんに怒られるよ。」
その台詞に、クロノは無言だった。
覚悟しているのか、それともスルーしているのか。
よく分からないユーノだったが、結局、この状況から逃れる術はないらしい。
「尚、この戦闘はあくまで訓練だが、各々、全力全開で戦闘するように。」
「…君は本当にクロノか?」
思わずユーノがそう言ってしまうのも頷けるほど、今日のクロノはおかしい、と思った。
この面子で全力全開だなんて、気が狂ったとしか思えないのである。
確実に訓練室が持たない。
「頑張れよ、結界魔導師。」
肩を叩かれて、頑張れよ、と言われて、ユーノは深々と溜息をつく。
まあ、第一次対戦の時に、大丈夫と言ったのに、訓練室が結局壊れてしまった過去があるので、雪辱戦だと思っておこう。
「ちなみに、この戦いの記録は母さんとレティ提督となのはが取る。」
「何でなのは?」
「人数であぶれた。」
「だったら僕の代わりでいいんじゃないか!?」
元より戦闘職ではないユーノである、なのはがいるのに、何故模擬戦に参加しなければならないのか。
と、思ったのだが、クロノからは正論が返ってきた。
「ベルカチームにヴィータがいなくて、代わりにシャマルだからな、補助役に対して補助役が妥当だろう。」
「…そうか。」
何だか腑に落ちなかったが、まあ、いいだろう。
ハァ、とユーノは一つ溜息をついて、バリアジャケットを生成し、イージスをセットアップする。
「バルディッシュ、ザンバーモード。」
「リイン、ユニゾンイン。」
開始前から既にフルドライブ状態の二人を見て、ユーノは冷や汗が流れるのを感じていた。
結界が非常に心配だ。
「ルールは大将が――つまり、僕かはやてがやられたら終了。 シンプルだ。」
クロノの言葉に、確かに、と頷く。
「それでは、一分後に開始する、各チーム、健闘を祈る。」
「本当に、シグナムさんやる気なんですか?」
「あの目は本気ね。余程前回が悔しかったんでしょ。」
なのはとレティの会話に、モニターを見ていたリンディは、笑みを浮かべる。
非殺傷設定だから、死ぬことはないが、かなりユーノには危ない事になるだろう、とリンディは予測している。
なのはもそれは同じだから、ちょっと泣きそうな顔をしている。
「シャマルが近くにいるんだから…まあ、大事にはならないでしょ。」
とは言え、結局その予想は外れてしまったのだから、何とも言えない。
「さて、僕達は散開して、まずシャマルを落とす。」
「シャマルさんを落とす…」
まあ、補助役から落とすのは常套だ。
それだけでも、かなり戦略が狭まるのだから。
「ユーノがそれを担当してくれ、戦闘能力だけなら、お前はシャマルより上だろう。」
確かに、シャマルは直接戦闘向きではない。
バインドとイージスの事を考えると、ユーノの方が戦闘能力は高いだろう。
「僕ははやてを、フェイトはシグナムを抑える。」
その言葉に、フェイトはちょっとユーノを可哀想と見ながらも頷いた。
何故、そんな目で見られるのか分からないユーノは首を傾げるしかなかったのだが。
リリカルなのは「将の一撃」
瞬く間に一分が過ぎ去って、すぐさま戦闘は始まった。
ユーノはシャマルの姿を確認して、動こうとし。
『アイゼンゲホイル!』
はやての行使した光の撹乱魔法に一瞬気を取られる。
光が収まると、視界一杯に広がる広い訓練室。
はやてが視界から消えていた。
さて、どこに行ったのか、と思ったが、目の前の果てを見て、一瞬でそんな考えは飛び散った。
そこには、確かに、弓と矢を構えた、烈火の将が、真っ直ぐにこちらを見ていたから。
「!? イージス!」
<<マスター!>>
一瞬のやり取りも許さぬ時間の中で、矢は、放たれた。
フェイト、これを知ってたな!
毒づいたのは本当に刹那の瞬間。
隼の名にふさわしく、その矢の速度はかわせるものではない。
さすがに転移魔法も間に合わない。
出来て、本来はカートリッジを一発ロードするのが精一杯の時間、本来なら。
「イージス、カートリッジロード!」
<<フィフスカートリッジ、ロード!>>
音は一発に対して、飛び出した薬莢は五個。
これがイージスにマリーが金をかけたもう一つの原因。
杖でなく盾であったイージスには、カートリッジシステムを埋め込める幅がかなりあった。
そこで、マリーは六個のシステムを埋め込んだ。
従来のものよりも小さくなり、マガジンをセットできなくなり、戦闘時の補給はほぼ無理。
変わりに、俳莢しなくても一度にカートリッジを六発まで同時発動できる。
と、そこまでは良かったのだが、本来はこの機能は意味のないものに成り下がるはずだった。
6発どころか、4発も同時ロードすれば、その時点で普通のデバイスは衝撃に耐え切れないと、計算で出たからだ。
結局、この多数カートリッジシステム搭載案は、色々と改定を入れなければならなくなった。
のだが、イージスが謎の構成物質に変化し、その耐久力を大幅に増加させたおかげで、イージスについては、6発同時稼動も可能だ、と言う結論に至った。
これを知った時、ユーノは呆れた。
「今は感謝!」
<<ラウンドシールドフルパワー>>
猛々しい光を放ちながら展開された緑のシールドに、矢は真っ直ぐに突き立つ。
五発のカートリッジを利用して生まれたシールドは並外れた頑強さで、矢を弾こうとその力を放つ。
しかし、矢はその頑強さを突き破るように、少しずつその身をシールドの中へともぐりこませる。
ユーノも自身の魔力を全開でこめているのだが、矢の方が強いのだ。
ギシギシとヒビが入り、ラウンドシールドは木っ端微塵に弾け飛び、かなり勢いの減速された矢は、イージスの表面に突き刺さり、爆発した。
「グッ!」
見た目ほど、威力は残っていなかったのか、衝撃はかなりのものだったが、ダメージは薄い。
吹き飛ばされて叩きつけられそうになっても、フローターフィールドを張る余裕があったくらいだ。
すぐさま起き上がって、追撃に備える――
「あれ?」
周りの動きがこちらを見て止まっていた。
なんと言うか、その視線に驚愕があった、と言うのか。
ふと、今、自分が無我夢中で行った行動を思い返してみれば、そうか、と気づきそうになって。
「油断だぞ、スクライア。」
静かに先ほどの一拍の驚愕から立ち直ったのか、シグナムが既に距離を詰めてきていた。
間合いの遥か向こうにいたはずなのだが、さすが、と言ったところだろう。
「フェイト、援護お願い!」
叫びつつ、後退するユーノだったが、まだフェイトとも距離があるし、フェイトは驚愕から立ち直りきっていない。
舌打ちしたくなりつつも、ユーノは右手にラウンドシールドを展開する。
「はっ!」
裂帛の気合が込められた斬撃をそのシールドで受け止め、思わぬ重さに、右手が痺れた。
左手も、先ほどの矢を受け止めた衝撃と爆発で痺れているのに、とユーノは戦況の不利を自覚する。
元より、シグナムと一対一なんて言うのは、前回のような初見だからできたのだ。
手札が明かされている現在、ユーノの不利はいなめない。
「おっしゃ、シグナム、そのままユーノ君抑えといてや!」
ギリギリとシールドとレヴァンテインで押し合いをしている二人に、はやてがそんな声をかける。
視線を向けたいのだが、いかんせん、目の前のシグナムに視界を完全に持っていかれている。
はやてが何をしているか、ユーノの視界には映らないのだ。
「響け、終焉の笛!」
待て。
思わずユーノはそう思った。
それは、と思った刹那、はやての周りに展開される、銀色のベルカの魔法陣。
ユーノの目には見えないが、力強く光を放つそれは、バチバチと放電しているようにも見える。
「させるか!」
「させない!」
そして、その一拍後に、はやてに向かって放たれる二つの直射型砲撃魔法。
『ブレイズキャノン!』
『サンダースマッシャー!』
デュランダルから放たれた光の塊と、バルディッシュから放たれた一筋の雷が、はやてに飛んでいく。
このままなら詠唱阻止は確実、と思えたのだが。
「私、こんな時のためにいるんですよ!」
補助全般をつとめるシャマルは、二つの砲撃を、旅の鏡で別の空間へと放り出し、はやてを護る。
咄嗟だったので、訳の分からない場所で爆発が起きたら、ごめんなさい、と思いつつ。
そして、シャマルのおかげで放り出された二つの砲撃は、幸運にも、部屋の端の方で、壁をたたくだけに収まった。
「シグナム、ユーノ君の体勢崩して、逃げてや!」
「了解です、主。」
忠実にその指令を実行するシグナムは、ユーノのシールドを押し込み、力任せにユーノを弾き飛ばすと、自身との間合いを広げる。
弾き飛ばされたユーノは冷や汗が吹き出ていた。
『ラグナロク!』
クロノを倒すのが勝利条件なのに、なんで僕なんだ、とユーノは憤然と思ったが、そんな思考はどうでもよい。
マルチタスクで進めていた一つの魔法を行使する。
イージスの処理能力で、この状況で無事かどうかが決まる。
噴出した銀色の魔力砲は、ユーノを飲み込もうとして、その寸前にユーノは姿を消した。
「よっしゃ、援護役はKOや!」
はやてはそれに気づかず叫んでいたが、ラグナロクの炸裂状態を見ていると、なるほど、確かに終焉がきたような光景だった。
これではユーノが無事だと思わなくても何ら不思議ではない。
「主、後ろです!」
「は?」
シグナムが前方から叫ぶのを聞いて、はやては咄嗟に体を前に出す。
『あ、危ないです!』
リインの声を聞いて、更に、前へ。
そして、背中の寸前を通り過ぎる、金色の刃。
『プラズマランサー!』
そして、牽制もかねた、稲妻の一槍。
直撃しそうになるそれを、慌ててシュベルトクロイツに魔力を込めて弾き飛ばす。
しかし、不用意にそんな事をしたからか、既にフェイトは間合いを詰めていた。
ザンバーを振り上げるその姿に、はやてはかわせない、と言う事を明確に悟る、が。
「あっ!」
振り下ろされかけた刃の柄に、連結刃が絡みつき、その動きを阻害する。
シグナムの援護に感謝しながら、はやてはブラッディーダガーを5本展開し、それをフェイトに投げる。
慌ててそれを回避するフェイトは、そのままの勢いで、シグナムの所へと突撃していく。
連結刃を戻し飛んでくる勢いで見ていたシグナムは、途中で突如ソニックフォームへと変化し、スピードを上げたフェイトの動きについていけなかった。
「なっ!」
驚愕の声を上げて、咄嗟にレヴァンテインを引き上げ、防御の型を作るが――
ガツンッ、と大きな音を立てて、シグナムは吹き飛ばされ、その体を地面へと叩きつけられた。
「シグナム!」
叫ぶはやては、シグナムの所に行こうとして――自身の周りに浮かぶ、百数十はあるだろう、スティンガーブレイドに目を見開いた。
「僕を忘れすぎだな。」
既に準備を終えたクロノは、チェックメイトを告げる。
冷や汗を流すはやては、さて、防げるか、かわせるか、と考えて――
自身の周りに展開された、設置型バインドに気づいた。
防ぐ以外に道はないわけだが。
「耐え切っても、終わりは終わりだな。」
クロノの言葉の意味を尋ねるよりも早く、まるで鎌首をもたげるかのように、自身の周りをゆっくりと飛び回っている盾に気づいた。
「ユ、ユーノ君か?」
「ああ、君たちが気を取られている隙に、シャマルはユーノに拘束された。」
ゆっくりと視線を向けてみれば、緑の鎖でグルグルと蓑虫にまで拘束されたシャマルが、頭に白旗掲げて床に転がっていた。
笑みを浮かべているが、何だか扱いが悪いです、と言う声が聞こえてきそうだった。
ユーノが転移したのは、旅の鏡を展開していたシャマルのすぐ後ろである。
すぐさまそれには気づいたシャマルだったが、さて、はやてもシグナムも完全に注意がそれていた状態だったので、逃げるシャマルをあっさりとユーノは捕まえた、と言うわけだ。
「じゃあな、はやて。」
「え、じゃあなて!?」
『スティンガーブレイド、エクスキューションシフト!』
最後のワードが紡がれた瞬間に、一斉に、光の剣がはやてへと飛んでいき――戦いは終わった。
「容赦ないわね、クロノ君。」
「何か、嫌な事でもあったのかしら?」
レティとリンディがそう呟く中、なのはは冷や汗を流していた。
実は、少し前、なのはがクロノ達と合同訓練中に訓練室の一角を威力設定を間違えて吹き飛ばす、と言う珍事があった。
ちょっとそのときのストレスとかあるのかな、と思ってしまった。
「でも、驚きはユーノ君かしら?」
「そうね、正面から無傷でシグナムの最大攻撃を受けきるなんて…」
「まあ、イージスちゃんがいなかったら、最後の爆発で大ダメージ食らってたでしょうけど。」
「と言うか、カートリッジシステムの豪華さがね…」
色々と論議をしているレティとリンディの会話はともかく。
「これで、訓練終わりですよね。」
なのはの質問に、レティとリンディは軽く答える。
「ええ、そうね。もう、行って来ていいわよ。」
それじゃ、と素早く走っていくなのはの後姿を見ながら、レティとリンディはモニターを眺める。
「本当、イージスとの相性が合致したからか、ユーノ君も戦闘魔導師になれそうな勢いね。」
「シグナムのあれをあそこまで防ぐなんて、とんでない防御出力よ。」
なのはとレイジングハートでも、おそらくカートリッジ3発も扱えば同じレベルだろうが、瞬間的にできるのは、ユーノとイージスだ。
しかも貫通されても防げるからこそ、ユーノの防御力は際立って見えるのだ。
「マリー、早くイージスの表面装甲解析してくれないかしら。」
「量産できれば、デバイスの構成素材とかだけじゃなくて、使い道色々なのにね。」
重さは現在主に使われている高分子素材と変わらないのに、硬度は遥かに上。
代わりに、変形等には向かないが、元より、大幅に変形するデバイスは少ない。
「まあ、何はともあれ、これで…」
「シグナムの気も晴れて…る…かしら?」
思わず、うーん、と唸ってしまうレティとリンディだった。
「シグナムさんの実験…ってどう言う事?」
「いや、君のデバイス、イージスが前回シグナムの紫電一閃を受け止めた、と聞いてな。」
今回の模擬戦の説明を始めたクロノに、ユーノは疑問を投げかける。
何だか、説明がはしょられているが、正確には紫電一閃を止めたのは、ラウンドシールドパワードであって、レヴァンテインの本体を受け止めただけなのだが。
「それがシグナムのプライドをいたく傷つけたらしい。」
「そ、それが今回の、シュツルムファウケン…?」
「そうだ…ちなみに最初のあれは、なのは達も含めて、皆知っていた。」
その言葉に、ユーノが皆を振り返れば、合流したなのはも含めて、なんとなく目を逸らす皆。
いや、シグナムだけは楽しそうにこちらを見ていたのだが、そちらは精神衛生上よろしくない。
「う〜ん、でもな、ちょっと予想外や。」
シャマルに治療をしてもらいながら、はやては苦笑する。
「皆、あのシュツルファウケンで気絶するユーノ君想像しとったんやけどな…」
「…」
無言でイージスを見るシグナムの目線が痛い。
最初からラウンドシールドなしで貫通されればどうなるか分からないが、表面で起こった爆発に対しては、イージスはどう見ても煤けただけ。
本体どころか、盾の部分にもかすり傷があるだけだ。
さすがに多少の傷は免れなかったようだが、その程度は、自己修復で1秒もしないうちに戻る。
「誰も無傷で耐え切るとは思わんかったわ…」
はやてはそう言っているが、フェイトはシグナムだけは予想していたのではないかと思う。
勿論、いいとこ、7:3辺りだろう。
7がある意味での失望、気絶、大ダメージその辺り。
そして、3が…希望した所、無傷、もしくはそれに近い所で耐え切る。
「面白い。」
ポツリと言ったシグナムの声に、皆は一斉にそちらを向く。
その顔に笑みが浮かんでるのを見て、ユーノは顔をひきつらせた。
「ユーノ、確実にお前とそのデバイスを一撃の元に葬り去る技を開発してやる。」
「…葬られるんですか。」
やめてくれ、と大いに叫びたいところだった。
「それは…面白そうかも。」
シュツルムファウケンにさえ耐え切ったユーノとそのデバイス、イージス。
だったら、それを突破してみるのも一興、とフェイトも面白がる。
バトルマニアにはこんな話題が大好物だった。
それを見て、ユーノは無言でイージスをウェイトモードに戻すと――
「イージス、出ておいで。」
ユーノに言われて、ポン、と実体化したイージスは、ユーノの肩に座れる大きさ。
大きさは自由自在らしい。
「イージス、フェイトとシグナムさんは君の事、壊したいらしい、酷い人達だね。」
「え、え!?」
ユーノの言葉に、フェイトは焦る。
シグナムも顔をひきつらせた。
子供の姿を取っている時のイージスは感受性豊かになる。
それを聞いて、イージスは怯えた目でフェイトとシグナムを見る。
「ほ、本当ですか?」
酷く怯えた目でそんな事を聞かれれば、フェイトは慌てて首を横に振るしかない。
「ひ、卑怯だぞ、ユーノ!」
キッと睨まれても、実際、イージスがいるからあんな防御力になるわけだ。
それを貫きたい云々などと言う事は、イージスを壊したい事に他ならない。
「だ、駄目ですよ、イージスをやるって言うなら、私達も相手になります!」
思わず立ち上がってレイジングハートを握り締めながらなのははイージスとユーノの前に立つ。
とは言え、3歳児に涙目で見られて、この後もこんな会話を続けられるほど、フェイトもシグナムも人情がない人間では決してない。
イージスに見つからないように、ユーノに抗議の目線を飛ばすので精一杯である。
「…何ともな。」
「父、母、娘トリオ…昔ならともかく、今、このチームを相手にできるか?」
ユーノが護って、なのはが撃つ。
イージスがあるから、時にはユーノも撃ってくる。
つまり、場合によってはコンビの役割逆転もある、と言うことか。
はやてとクロノは色んな意味で怖いコンビだ、と思った。
「でも、イージスちゃん、可愛いですね…」
「シャマルもそう思うか、将来、なのはちゃん達に女の子が生まれたら、あんな感じやろか?」
「まあ、ユーノとなのはの顔立ちを考えると、どちらに似ても、男性的な顔つきにはなりがたいな。」
「あ、それそうですね。」
はやてとクロノとシャマルがそんな談義をかもし出す一方で。
「違うのイージス、私はそんな事を思ったんじゃないよ!?」
「そうだ、フェイトの言うとおりだ、お前をどうこうしようなどとは思っては…思って…」
言い切れないのは、思っていたからに他ならない。
こんな時くらい嘘をつけ、とフェイトはシグナムを見る。
「うわ〜ん、ユーノパパ〜!」
「大丈夫だよ、イージス。」
「パパとママがついてるからね。」
「リインもいるですよ!」
あやすように言葉を放つユーノとなのは、それにリイン。
こんな一種、馬鹿らしいやり取りが、もう何分か続くにいたった。
ユーノ・スクライア、今回の模擬戦で、A+級結界魔導師と認定。
尚、このランクは、デバイス=イージスを扱っている場合とす。
クロノ・ハラウオン、レティ・ロウラン。
ー終わりー
どうやったら昇格とか決まるんだろう?
と、悩んだので、提督二人分の認証。
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