これはまずいのではないだろうか? 主にそう思ったのは、なのはである。 いや、何ってシェルナスとイージスのことである。 事件が一応の終わりを迎えて、既に二ヶ月。 一応、とつけるのは、結局、リーシュを唆した人物は逮捕できていなかったからだ。 管理局内の、不法を行った人物は大体逮捕が完了したが、フェイト曰く、それもどうもスケープゴートの類の気配が強かったらしい。 それに、ユーノ曰く、唆した人物は早々捕まらないとのこと。 実際、フェイトが目をひん剥いて驚いていたのだから分かりやすい。 閑話休題 「…ねえ、イージス。」 「何ですか、なのはママ?」 平穏無事に笑うイージスに、なのははどうしたものか、と思う。 朗らかなこの子は、今、遂に、ユーノと冷戦に突入してしまった。 家出だってしますよ、とか言い出しそうな雰囲気だ。 …勿論、一方的にだが。 「…すいません、僕のせいで。」 「……否定だけど、それにしても、辛いよね。」 その場にいたのは、ユーノと、小柄な幼年くらいの男の子であった。 見た目には黒い髪の毛した、小さいユーノという風情である。 そう、彼がシェルナスであった。 シェルナスの非常に申し訳無さそうな言葉に、ユーノは肯定しつつも、慰める。 元々、シェルナス達デバイスは、端的に言えば道具でしかない。 使う人物にこそ罪は発生するのだ。 この場合は、セクトを通り越してリーシュの問題だと思う。 現状態を生み出したことすらリーシュの予定にあるわけはないが、毎度のことながら迷惑をかけてくるリーシュにため息ものだ。 亡くなろうとも、とも思うとやっぱりリーシュはリーシュだなぁ、と思う。 第三者が聞いたら、顔が引きつることだろう。 さて、我慢していたイージスが遂に爆発したのは、シェルナスが原因である。 いや、我慢すらシェルナスが端を発したわけだが。 とりあえず、腕輪に落ち着いていたシェルナスだが、マリーが槍の破片からある程度の構造解析を行い、それに類似した回路を構築していた。 それにしても本来のものを再現するには遥かに遠く、曰く、『とんだ粗悪品』だったが。 それでも、シェルナスの吸収能力を三割復旧したのは凄いことだと思う。 そして―― 「これって、小手?」 「はい、普段は腕輪で、展開時は小手になります。」 手首を前腕の半分まで覆う、金属製の小手に、なるほど、とユーノは頷く。 「高い処理能力を実装したので、普段も今まで以上に頑張ってくれますよ。」 「へ〜」 凄い、と、頷くユーノに、イージスは無言である。 「シェルナス、調子は?」 <<問題なしです…ん?>> 「どうしたの?」 <<実体化が…可能です>> 「へ?」 驚きの声を上げたのはマリーである。 そんなバカな、と思いつつも、目の前で、シェルナスの腕輪からパッと、人型が現れて、大地に足をつけた。 姿形はどう見てもユーノのそれに酷似していた。 まあ、あらゆる毛は黒くなっていたので、それほど似た印象を受けるわけでもないが。 それに、姿自体はいい所3〜5歳児ほどであったし。 「な、何で!? あんな訳の分からないプログラム複製してないですよ!?」 マリーの驚きの声に、しげしげと自分の手足を眺めながらも、シェルナスは冷静に返答を返す。 「以前に、イージスさんの体に間借りした時に体に覚えたのかもしれないです。」 「…凄く、人間みたいな言葉だね。」 苦笑するマリーに、シェルナスもまた、少し苦笑を返した。 「一応、人間でしたから。」 「…え?」 呆然と声を出すマリーに、ユーノは複雑そうな顔をする。 「『聖戦士の槍』っていうのは、成り立ちに生贄を要求してるんですよ。」 「……はぁ!?」 前時代的にも程がある、と、マリーは呻くが、実際前時代的である。 と言っても、ベルカの時代には既に現代を遥かに凌駕する科学力を持っていたので、必要だったからしたまでだが。 「『聖戦士の槍』と言うのは、神から与えられた神器でした。」 「……え、いきなり宗教なの?」 「神っていうのは、人ですよ。 所謂現人神。」 恐ろしいのは、その人間は所謂『創世魔法』の類を使えたことだ。 応じる魔力の量によって、望む力を発揮する物を作り出す力。 しかし、一つの欠点として、魔力以外の何かが必要、というものが多かったが。 「そして、僕達の生き血全てを注ぎ込んで、槍は完成しました。」 平然と言われるおぞましい事実に、末期の戦争状態と言うものを悟る。 マリーは絶句したようだ。 「…それじゃ、君たち、ずっと槍の中に意識が?」 「う〜ん、それがそうでもなくて。 結構曖昧だったんですよ。」 聞いてみれば、意識がしっかりと覚醒したのは使われている時だけらしい。 だから、普段は機械的な事になっている時もあったのか、と思う。 しかし、泣いていた子供のイメージは払拭できなかったが、実際にこれだと、何とも言えない。 「とは言え、これで僕も今まで以上にマスターのお役に立てますかね。」 物を持って動けると言うのは実際、結構大きい。 嬉しい事を言ってくれる、と、ユーノもにっこりする。 が―― 「何を言ってるんですか!」 「イージス?」 キョトンとした顔を向ければ、無言を保っていたイージスが冗談じゃない、とばかりに声を荒げた。 「今までも大きなお世話なんです! 私がいればユーノパパの仕事は大丈夫なんです!」 「…あ、うん、それは分かってますけど。」 困った顔をするシェルナスに、イージスは噛み付くようにまくし立てる。 「だから、他のマスターを探せばいいじゃないですか!」 「いや、だから、恩を返すまでは、と。」 「そっちに恩があっても、こっちには仇しかないんです!」 …まずい、かつてないほどに、イージスが攻撃的だ。 シェルナスは基本的に同じことを論拠するだけだ。 イージスが気に障るような事を言わない。 ユーノとしては基本的に宥めることにしている。 叱りつけるのも違う。 実際、客観視して、過去の事を考慮すると、イージスがシェルナスに攻撃的になるのも仕方がない。 何せ、叩き割られて主人で、父であるユーノを殺されかけたのだ。 いかに悪いのは使い手だと思っていても、攻撃的な反応になるのも仕方がないだろう。 だから、ユーノはゆっくりとイージスを宥めることにした―― 「ダメですよ、イージス。 そんな乱暴な言葉を放っては。」 「どうしてですか!」 が、先にマリーに言われてしまった。 実際、マリーはこんなイージスを初めて見るので、気に入らない事があるから文句を言っているとしか思っていないのだろう。 それにしても、難しいところだ。 「それこそ、そんな事を言っていたらユーノ君に迷惑をかけるだけです。」 「迷惑――!?」 愕然とした顔をしたイージスは硬直した。 今更ながらにそれに気づいた、という感じか。 それにしても、ユーノは特に迷惑をとは思っていない。 少し早く来た反抗期というか、そんな感じか。 「…ユーノパパ、今日はなのはママの所に行きます!」 有無を言わさずかけ出した背中が、やっぱり子供だな、と思う。 と、思ったら今度はマリーが愕然としてしまった。 「イ、イージスはどうしたんでしょうか? そんなにまずいこと言いました?」 「いえ、戸惑ってるんですよ、実際の処。」 理屈を付けて、恨んでもいい相手だからこそだろうか。 いくつもの理屈をつけて恨む理由があるのは確かだが、イージスはもっとシンプルなのが根底だ。 結局のところ。 「僕に他のデバイスがいるのが気に入らないみたいです。」 簡単な嫉妬だ。 実際、今のユーノにはイージスよりも必要なのはシェルナスだ。 魔導士として何かをしようとすると、どうしてもシェルナスが必要なのだ。 無限書庫で働く限り、どうしようもない。 「すいません。 マスター。」 「シェルナスが謝ることじゃないよ、本当。」 こうしたやりとりも随分増えた。 …増えすぎて、もう何回言ったか覚えてない。 「こんにちは〜、イージスちゃんいますか?」 のんびりと声を上げて入ってきたのはリインフォースである。 中を見てキョロキョロしてから、シェルナスに目を付けた。 「…どなたですか?」 「シェルナスです、リインフォースさん。」 「はう!? シェル君ですか!?」 は〜、とリインフォースは面白そうな顔をする。 「よく見たらユーノさんにそっくりですね。」 「イメージ投影のベースをマスターに設定されてます。」 「なるほど。 こうなってくると、イージスちゃん、また癇癪起こしましたか?」 「ううん、癇癪じゃないけど…ちょっと拗ねちゃったかな。」 仕方ないなぁ、という顔をするリインフォースは苦笑しながら言い出した。 「多分、なのはさんのところですよね。 迎えに行ってきます。」 「ごめんね。 僕が行くと結局…」 「仕方ないです。 私は別にもうどうとも思ってないですけど、イージスちゃんはどこまで行っても複雑でしょうし。」 子供たちに仲良くして欲しい、と言うのは親の勝手なのだろうか。 それでも、このままではダメだろう。 何とかしたいとは思うのだが。 「とりあえず、仕事に行こうか。 頼むよ、シェルナス。」 「はい…」 この元気のない形のシェルナスにはやはり心を痛めるところだ。 何とも言えない感じの関係に、難しいなぁ、と思うユーノであった。 「イージスちゃん、いますか?」 「…リイン。」 なのはは部屋に訪ねてきたリインフォースに苦笑する。 最近、迷惑かけ通しで本当に申し訳ないと思う。 「ほら、イージス、リインが来たよ。」 「…リインフォースさん。」 これには申し訳ないと思う。 リインフォースには全く確執はなく、シェルナスともイージスとも仲良くしてる。 それはとてもいいことであるが、現状では友達同士が冷戦同士になる、気持ちのいいことではないだろう。 それでも、リインフォースは笑って、イージスとシェルナスに接している。 気にしてないわけではないのだろうが。 自分はそのままでいようというのだろう。 「怒るのは仕方がないですけど、心配かけるのはダメですよ。」 「…リインフォースさんに言われると弱いですね。」 トーンダウンするイージスに、なのはもホッと一息だ。 何とも見た目と違って難しいお年ごろである。 言っても仕方がないのは分かるのだが、それでも、とも思える。 基本的に三歳児の思考と行動にも関わらず、大人らしい思考をする所が何とも言えない。 「分かってるんですよ、本当は。」 「はい?」 「シェルナス君は悪くなくて、私が勝手に文句言ってるだけだって。」 「…はい。」 リインフォースはニコニコ笑っている。 それは分かっているのだろう。 だから静かに聞いている。 「パパも、なのはママも、すずかママも、だけど何も言いません。」 「仕方ないですよ。 シェル君は悪いことしてないですけど、悪いことさせられたのは確かですから。」 「…でも、本当は何もシェルナス君は悪くありませんし。」 「イージスちゃんがそう思うのならそうです。 それに…私ほど悪くはありませんよ。」 微笑むリインフォースはどこか儚くて。 思わず目を見開くイージスは焦って言う。 「そんな、だって、リインフォースさんは謝ってくれて! 仕方なかったんですよ!」 「そう思ってくれても、私の心の中ではやっぱり違います。 見捨てるのって本当、悪いことです。」 リインフォースの語り口にイージスも口を閉じた。 反論なんていくらでもあるが、それでもリインフォースは認めないだろう。 いつか、自分の中で決着をつけるまでは。 「イージスちゃんは心行くまで、一度、シェル君とぶつかってもいいんですよ?」 「でも、なのはママも、すずかママも…ユーノパパも、困った顔をします。」 「いいんですよ、シェル君もそっちの方がスッキリしますから。」 おずおず、と顔を上げて、イージスはなのはの顔を見る。 苦笑するなのはだったが、一度頷いた。 結局、一度そのくらいしないと、この状態のままだろう。 それは全員によろしくない。 だけど。 「何してもいいけど、その後は納得しないとダメだよ。 どんな形でも。」 大事なことであった。 結局、納得出来ないならやる意味が無い。 「…いい加減終わりにしましょう。」 …しかし、子供らしくない。 そんなに深く考えないで喧嘩したらいいのに。 まあ、それもらしいと言えばらしいのか。 「終わったら今日は家に来る? 美味しいもの食べようか?」 「はい!」 なのはも少しは親らしいことできていればいいのだが、と思う。 「…あ。」 それに気づいたのはシェルナスだった。 おずおずとリインフォースに手を引かれてやってきたイージスに気づいたのだ。 思わずユーノは苦笑したものだが、内心だけに留めた。 それを表情に出せばまた、拗ねてしまうかもしれない。 こういう思考で子供扱いするのも実はやめた方がいいのだろうか。 ふと思うが、難しい。 「シェ、シェルナス君。」 毅然とした表情はなのはのそれを思わせて。 そう言えば、まともに名前を呼ぶのも初めてかもしれない。 何となく、ユーノはそう思った。 「何でしょうか?」 そう言えば、シェルナスの口調も随分丁寧だと今更ながらに思う。 もう少し子供らしくてもいいなぁ。 「ふ、二人でお話できないでしょうか!」 こういう思い切りのよさはなのはに似たんだろうな、と思う。 しかし、内容はどうしたものか、と思う。 シェルナスが振り向いた。 こちらに確認を求めているのだろう。 「司書長室に行っといで。」 「ありがとうございます。」 「そこはもっと軽くていいんだけどなぁ。」 ユーノとしても、そっちの方が楽なのだが。 苦笑するシェルナスを見ながら、イージス共々、二人で司書長室に行った。 残ったユーノとリインフォースは苦笑するのみだ。 「どうにかなるかな?」 「お二人の友人の立場から言わせてもらえば、本来の相性は多分かなりいいです。」 「そうなの?」 「はい。 多分、気も合いますし、ユーノさん大好きなのも一緒ですし。」 面白そうに笑うリインフォースの頭を撫でる。 「はい?」 「リインは大丈夫?」 「……そういうこと言わないで下さい。 嬉しいんですよ、本当に。」 苦しいことなどないから、と言えるわけもないだろうに。 頭を撫でて、少しの間、二人は無言だった。 実は、一番傷ついてしまったのは、多分、この子なんだろうと思う。 イージスの事が大好きで、ユーノの事も慕っていて。 ――そんな二人を見捨てなければならなかった。 結果的に二人共大事なく、ここにいるが、それとこれとは別だろう。 「ごめんね。リイン。 不甲斐ない親子でね。」 「――そんな事言わないで下さい。 嬉しいんですから、本当に。」 少しだけ違う言葉で紡がれる、言葉。 それでも少しでも彼女の心が軽くなればと思った。 結局のところ、シェルナスにとってのイージスは何とか説得したい存在だった。 マスターのもう一人のデバイスであり、また娘の様なものだという。 シェルナスとしては、何とか仲良くしたい。 ユーノが心配するからだ。 イージスにも悪いことをしているとは思うのだが。 それでも、ユーノが、誰かが自身の存在を望んでくれるのなら、何とか精一杯頑張りたいと思うのだ。 「…それで、お話とは。」 シェルナスが話しかけると、イージスが何かを我慢するようにぎゅっと目をつぶる。 これは、まずい、と思う。 「……不満があるなら、言って下さい。 実体化してほしくないならそうしますし、話すなというなら、無言で活動しますから。」 そうシェルナスが言葉を放てば、イージスは愕然とした様に目を剥いた。 何かまずい事を言ったろうかと思うが、思いつかない。 「な、何を言ってるんですか! そんな事を思ってません!」 「それは、すいません。」 とんでもない、とばかりに叫ぶイージスに、悪いことを言ったろうか、と、シェルナスは頭を下げる。 単純に人とのやり取りが苦手だ。 そして、自分に対して怒鳴ってばかりいるイージスは本当にどうしたものかと思っている。 嫌いなのではない、どちらかと言うと、好意すらあった。 尤も、現在のシェルナスが嫌いな相手など、いないのだが。 「なら、どうしましょう? 前にも言いましたが、他人のデバイスにはなれないですし。」 「…そう言えば、恩とかの話以外に何か制約があるんですか? それ?」 好奇心で、と聞く、イージスに、そう言えば言ったことなかったな、と、シェルナスは説明する。 「血の誓約を果たしたので、マスターが死ぬまでは他のマスターに変えれないんです。」 「そうなんですか!?」 「ええ、根本的にそう言うもので、人格初期化するしか方法がないので…」 またギョッとした顔をされた。 そして落ち込んだ。 とことんシェルナスにはよくわからない。 イージスからしてみれば、何か今まで言っていたことを当てはめると、人格初期化されて消え失せろと言っていたことに気づいて、落ち込んだのだが。 「何か、ごめんなさい。」 「いえ、そちらからしてみれば、僕なんて傍にいることが苦痛なのはよく分かります。」 実際、イージスを叩き割った挙句に、一度ユーノを串刺しにしたのはしっかり覚えている。 冷静に考え直せば、よくここにいさせてくれるものだと思う。 「なんて言うか、その、悪いなぁ、とは思ってるんですよ。」 「ううん、こっちこそごめんなさい。」 イージスが頭を下げるのを見て、シェルナスは首を捻る。 何で謝るのかと。 「どうして謝るんですか?」 「その、今までなんて言うか、感情に任せて言ってたけど、悪いこと言ってと思いまして。」 「…そうですか。」 だったら別に構わないと思ったのだが、イージスの気持ちを考えると、受けておくべきだろう。 「でもね、イージスさんは、僕にもっと怒ってもいいし、文句を言ってもいいと思う。」 「え?」 「憎いとか、そう言うの抜きでも。 やっぱり後からやって来たのに、色々やってるしね。」 ちょっとだけ砕けた物言いに、思わず毒気を抜かれた。 「……そうなんだ。」 「そうですよ。」 面白そうに笑うその姿に幻視したのは、敬愛する父の姿で。 これは、ちょっと、ずるいな、と思った。 でもまあ、それはこれまでの感情とは違っていて。 会話したから、一方的に向けていた敵意が消えたのだろう。 「もう!」 「何ですか?」 「もっと軽くていいんです!」 「何がですか?」 「さっきみたいに、丁寧な言葉じゃなくて、普通に話してくれたらいいんです!」 やっぱり困惑気味のシェルナスは、なら、と、口調を改めた。 「何でだい?」 「私達は同僚なんですから。 もっとフランクに行ってもいいかと。」 「……同僚でいいんだ。」 「仕方ないから、認めます。 …いいえ、ごめんなさい。 一緒に頑張りましょう。」 イージスの言葉に、シェルナスは頷く。 「分かってる。 一緒に頑張ろうか。」 軽い感じの言葉だけど、今度は雰囲気が柔らかい。 「…もう、シェル君はずるいですよ。」 「シェル君?」 「ちょっと親しい感じで羨ましいな、と。 駄目ですか?」 「ううん、いいけど。なら僕もイッちゃんとでも呼ぼうか?」 「…イッちゃん? イーちゃんで。」 「ん、イーちゃん、よろしくね。」 小さな手で握手をして。 簡単な事がニヶ月遠かったと思う。 でもまあ、一度仲良くなればそう喧嘩はしないだろう。 そんな事を思いながら、イージスはシェルナスの手を引っ張って外に出た。 「イーちゃん。 そこはC89の方からつなぐ方が速いよ。」 「シェル君こそ、こっとはAC04の方が近いよ!」 「なるほど。 ありがとう。」 「むう!」 喧嘩はしないのだけど、そう言う可愛いやり取りは増えて。 ユーノは嬉しそうに微笑んでいた。 ー終わりー 後日談、その一終了。 |