前書き

注意!。この第2部では作者の半オリジナル作品寄りの作品です。
巷で有名なあんなものやこんなものが沢山出てきますのでそういったものが苦手な方は
読まれないほうがよろしいかと。
ほんとにヤバイですから!!。


シャドウ・ドール事件。
PT事件、闇の書事件と並ぶ史上最凶のロストロギアが引き起こした事件。
しかしその事件は時空管理局のエース達と異次元から来た二人の少年少女によって終局した。
その最中、異世界の少年アルトリウスは、管理局の少女フェイトと出会い互いに惹かれあい愛を育んだ。

「こっちの時間軸で1ヶ月ぐらいしたら帰ってくるよ」

彼はそう言い残して帰って行った。


第1話
再会と驚き


時は桜の舞い散る春。
世の中では旅立ちと新たな出会いを連想させる季節。
ここ聖祥大付属中学校でもそう。

「とうとう私達も卒業しちゃったねぇ」

桜並木を歩く5人の少女、その手には卒業を証明する賞状を入れる筒が握られていた。

「なのは達はもう管理局に従事するんでしょ?」
「うん。アリサちゃん達は進学するんだよね?」
「うん。私は機械系の専門学校」
「私は普通の高校なんだけど女子高なのよねぇ」
「道は違ってても私達は親友だよ」
「そうやね」

みんなそれぞれの道を話している最中、一人浮かない少女が一人。

「もう、フェイト!、せっかくめれたいのにシャキッとしなさい!!」
「でもぉ……」

フェイトはただ一人浮かない表情をする。その原因は…………。

「もう、あいつは帰ってくるって言ったんでしょ。なら待ち続けなさいよ」
「でも4ヶ月も音沙汰なしだよ?」
「はうぅ…アルトぉ……」
「すずかちゃんそれごっつトドメや」

彼女が落ち込んでいる理由、それは恋人、いや夫であるアルトリウスであった。
当初彼は自分の属する一族の長に諸事情の報告をしに1ヶ月間留守にする予定だったが、
2ヶ月が経ち3ヶ月が経ち、もう4ヶ月経っても帰ってこなかった。
その間まったくの音信不通、妻であるフェイトにとっては気が気ではい。

「まったく。あいつは何をやっているんだ!!」
「まぁまぁ、彼は必ず帰ってくるわよ」
(Sir, He is always come back)

彼女の兄は発狂寸前まで行き、母や黒鉄の相棒はやさしく励ました。

「大丈夫や、管理局であんなことやらかしたんだから」
「えっ、何かあったの?」
「ちょっとした騒ぎがね」
「エヘへへ。アルト私も愛してるよぉ」

当時のことを思い出したのか、フェイトは顔をだらしなく緩め何処かへ旅立っていた。
悲しんだり照れたり何処かへトンだり忙しい娘である。

「アルトぉ……あっ……」

その時、フェイトは眩暈を起こし倒れかけたが何とか踏ん張った。

「フェイト!」
『フェイトちゃん!!』
「大丈夫?」
「うっ、うん。アルトに魔力をほとんど吸われてクラクラしただけ」
「魔力を?」
「うん。私達、魔力を共有しているから。こっちより魔力が大きいのに最近かなりの量吸い上げられているんだよね。
なにかあったのかな?」
「そんなんないやろ。シグナムより強いんよ、たぶんクレロスさんにでも扱かれてるんやろ」
「ハァ……この頃の体調も悪いせいもあって余計気がめいるよ」
「ここ1ヶ月ずっと体調悪そうだったよね。病院とか行った?」
「ううん、仕事が忙しくてね行けていない。ハァ、アルト早く帰ってきてぇ」
「あ―――っ!!。こうなったらフェイト、アンタんちで卒業パーティーするわよ。今はパァッと騒いで忘れなさい!」
「ちょっとアリサ」
「“なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん”」

そこにエイミィからの念話があった。

「“あっ、エイミィさん”」
「“卒業式はもう終わった”」
「“はい、今帰るところです。何かありました?”」
「“ゴメン!。急な仕事が入っちゃったの。すぐに向かってくれるかな?。すぐに終わるから”」
「“わかりました”」
「どうしたの?」
「お仕事?」
「うん、ゴメンね」
「すぐに終わるって言ってた」
「なら帰ってきてからパーティー出来るわね。私達で用意しておくからさっさと片付けてきなさい」
「うん、分かった」
「そうそうフェイト、リンディさんにもパーティーのこと話しといでね」
「ははっ、結局私の家でやるんだ」
「それじゃ。二人とも急ごう」


任務は簡単なものだった。
古代遺跡発掘中に盗掘団に襲われた発掘隊の救助。
当然発掘隊には護衛がついているが、盗賊団の規模が多く苦戦、そこで近くにいたなのは達に救援要請が来たのだ。

「こちらなのはです。発掘隊の皆さんはもう大丈夫そうなので今から戻ります」
「“はいはい、お疲れ様。こっちではもう準備できているから”」

飛行魔法を使い回収地点へ向かう。

「フェイトちゃん、気分大丈夫?」
「うん、今のところは」

しばたく飛んでいるときだった。

「ん?。あれっ?」

フェイトの高度がだんだんと落ちてきている。

「どうしたの?」
「なんか魔力結合ができにくくなっているの」
「あらら、私も」

はやても高度が落ちてゆき、なのはのアクセルフィンの羽も消えかかっている。

「これってまさかAMF!?」
(Sir. Approach something. Data collation……Gajet Drone)
『えっ!?』

後方から迫ってくる数機の機影。

「アカン!、近づきすぎや。AMF濃度が濃すぎる」
「とりあえず逃げよう」
「艦長!!」
「うん、シグナム達には休暇のところ悪いが向かってもらおう」
「了解。3人とも、今シグナム達を向かわせるからもう少し粘っててね」

3人は必死に逃げる。
しかし、フェイトの様子がおかしい

「うっ!」

突然の吐き気と魔力の喪失感。
それとAMFの影響で速度と高度を落としている。

『フェイトちゃん!!』
「わっ!?。わぁぁぁぁああぁぁあ!!!」

とうとう飛ぶ力を失い、落ちてゆく。
それを追うガジェット。
フェイトは生え揃ったばかりの翼を広げ羽ばたかせる、がうまく浮かない。
無理もない、魔法ではいつも飛んでいるが翼で飛ぶのはこれが初めてだから。

「やっぱり練習しておけばよかったかなっ!」

ガジェットのアームがフェイトに襲い掛かる。
バルデッシュで防ぐことは出来ようが、このままでは地面に激突してしまう。
もうダメかと思った瞬間、誰かに抱えられる感覚、そして視覚からガジェット達が消え、聞こえる爆発音。

「えっ??」
「お怪我はありませんか、お嬢様」

聞き覚えのある優しい声。
そして目線を移すと

「アル…ト……」
「ただいま」

燃えるような赤い髪、女性のように整った顔立ち、そして右目を覆う眼帯。
何変わらぬアルトリウスの姿があった。

「アルトくん!?」

フェイトの眼から涙がこぼれる。

「もう……ここ4ヶ月間何やってたのよ!」
「ん〜。まぁ、それはおいおい話すとしてこいつ等どうする?」

二人の周りには破壊しきれなかったガジェットが

「とりあえず残骸が残る程度に破壊や」

はやてはアルトの足に掴まり言う。
なのはももう片足にしがみついている。

「あの、二人とも、足にしがみ付かれちゃ足で攻撃できないんですけど」
「そないな事いうたって放したら落ちてしまうやろ。それにいいやないか、美女3人はべらかしてるみたいで」
「俺はフェイト一筋です。それに3人はさすがに重いんですけど……」
「なんや!、私らが重いって言うのかっ!」
「いやぁ、それはぁ……。おっ!」

目を泳がせていると、視界に遠くから向かってくるシグナムとヴィータの姿が映った。

「みんな、しっかり捕まってろよ」

翼を羽ばたき二人のほうへ向かってゆく。

「ん?」
「あれはアルト、主達も一緒か」
「お前等あと頼む!!」

交差際に言い

『任せろ!』

目の前にはガジェット。
AMFで飛行力を失い落下するが、難なく着地した。

「行くぞ」
「おう!」

遥か後方で戦闘の音が聞こえる。

「あいつら大丈夫かな?、あのロボット、魔法を無効化する効果があったみたいだし」
「誰が大丈夫だって?」

後ろを見るとシグナムとヴィータの姿が

「うわっ!、お前達早いなぁ」
「あれぐらいの敵、どうということない」
「ベルカの騎士を甘く見るなよ」
「頼もしいねぇ。でもあのロボットって何なんだ?」
「まだ詳しくは分かっていないんだけど別のロストロギア関連事件に関わっているものなの」
「へぇ〜。って二人とも、まだしがみ付いているつもり?」
「フェイトちゃんばかりずるいやろ」
「はいはい分かりました」
「“お疲れ様みんな、後は私達に任せて”」

その後、5人は無事回収地点に辿り着きそこから鳴海のマンションへ。

「あっ、アルト!」
「アルトくん」

マンションにいたアリサ、すずか、リンディは驚き、何処ほっつき歩いてたんだと聞いてくるが、
アルトはまずソファに座り、一息ついた。
フェイトはアルトの横に座り肩に寄りかかった。
アルトもお返しにフェイトの肩に手をかけた。

「お帰りなさい。もう、遅かったじゃない」
「ごめん、ちょっとトラブルに巻き込まれてね」

アルトはフェイトの頭を撫で言う。

「トラブル?」
『ううん!!』

二人だけの空間が展開されそうになった間際、そこに複数の大きな咳払い。
二人の目の前には今この部屋にいる者達が全員集まっていた。

『…………』

二人の顔が一気に赤くなり、すぐさま離れた。

「二人とも私達の存在を忘れるほどラブラブだねぇ」
「そうやな」
「あははは」
「よかったわねフェイト」
「ちょっとアルト!。嫁をほっといてどこほっつき歩ってたの!?」

みんなそれぞれ言いアリサが食って掛かった。

「そうだよ、一体何があったの?」
「いやな、最初はベルファートさんに事件やこっちの世界で暮らすとかいろいろ報告して帰ろうかと思ったんだが、
また姉貴の奴がソード・シアブレイカーの試験が終わってないと言いはいめて兄貴と共にアインナッシュに放り込まれた」
「クレロスさんならやりかねないな」
『うん』

はやてが言い、なのは、フェイト、リンディが深く頷いた。
アリサとすずかは何のことやらといった状況である。

「おまけに姉貴の奴が産気づいて、てんやわんやの大騒ぎ、見事に忘れられて
3ヵ月半アインナッシュの中でサバイバルってわけ」
「ううっ…それは……」

この中で唯一あの魔森の恐怖を知っているフェイトは青さめ言葉を失った。

「それでさっき痺れを切らせてラグナ・ブレードで次元を超えてリンディさんから任務のことを聞いて駆けつけたわけさ」
「さっきの魔力の喪失はそのためだったんだ」
「ああ、3カ月ろくに食ってなかったからな、すまなかったな」
「ううん、ここ1ヶ月吸い上げられてたのはそのためだったんだ。でもさっきは何で吐き気までしたんだろう?」
「いや、フェイトからもらったのは1時間ぐらい前のが初めてだぞ。ん?、吐き気ってフェイトまだ気づいてないのか?」
「えっ、何が?」
「魔力の供給ラインを辿ってみろ」
「うん」

フェイトは意識を集中させラインを辿る。

「あっ!」

魔力の流れの先を知り、目線を下腹部に移し手を当てる。

「そうかぁ、赤ちゃんだったんだ」
『あっ、赤ちゃん!!』

フェイトの言葉にみんなは驚愕した。

「赤ちゃんってあの赤ちゃんよね?」
「ああ。俺も正直驚いたさ、でも正真正銘、俺とフェイトの子だ。
この魔力の吸い上げ方だと無事にすくすく育ってるみたいだな」
「あっ、思い出した。フェイトちゃんの体調悪いの何かに似ていると思ったら“つわり”だよ」

すずかが手をポンと叩き言った。

「ちょっと待って、アルトくんが帰ったのって確か4ヶ月前だよね?」
「それじゃその時に……」

正確には二人が次元の狭間に落ちたときである。

「あの時はラインを繋ぐだけだったのが、運よく当たってしまった」
「つわりと分からずに過ごしてきたのね」
「だっ、だって、こんなこと初めてだし……神化の影響かなって思ってたんだもん」
「フェイトらしいわね」
「このっ!!」

アリサの飛び蹴りが綺麗にアルトだけを捕らえ二人はソファの裏へ消えた。

「あんたねぇ!、よりにもよって○5歳の女の子を孕ますとはいい度胸ねぇ。この鬼○!!」

胸倉を掴みすごい剣幕で言うアリサ。

「あの時は単なる魔力共有の儀式だったんだ!!。そっ、それにいいだろ、俺達はもう夫婦なんだから!」「そういう問題じゃないでしょ!」
「アリサ、やめなよ!」
「フェイトはいいの?。その歳で子持ちになるのよ!」
「たとえ何歳でも私は産むよ。せっかく実った命だし、それに……アルトとの赤ちゃんだもん」
「はぁ〜っ、バカップル……」
「どうですかリンディさん、今の心境は?」

はやての手ががマイクを持つような手になりリンディに向けた。

「とっても嬉しいわ、初孫だもん、男の子かしら、女の子かしら?」
「でも他の人はどう思うでしょうか?」
「アルフは喜んでくれると思うわ。でも……」
「そうやね。シスコンのクロノくんがどう思うか」
「はやてさん、そうならないためにも早くクロノをオトしてくださいね」
「はぁ…それが出来たらとっくにオトしてます」
「そうよねぇ、あの子超鈍感だから」

がくりと肩を落とし深いため息をはく二人。

「それであんた、責任は取るんでしょうね?」
「当たり前だ、っとフェイト、そういえばさっきリンディさんから聞いたんだが、今日中学の卒業式だったらしいな」
「うん、そうだよ」
「なら……」

アルトは懐から1組の銀のブレスレットを取り出し片方をフェイトに、もう片方を自分の手首に通した。

「アルト、これって……」
「こっちで言うエンゲージリングだな」
「えっ、それって――――」

アルトはフェイトの正面に立ち手を握り

「直接言うのは初めてかもしれないが。フェイト、俺と結婚してくれ」
「…………」

フェイトは驚きそして頬を赤く染め

「……はい、喜んで……」

ゆっくりとうれしさを混ぜた返事を返した。

「また忘れられているね」
「そうねぇ、でもよかったわ。フェイトが幸せそうで」
「それで結婚式を挙げよう」
「結婚式?」
「ああ、ベルファートさんがぜひともみんなで祝わせてくれって」
「ということはあなたの故郷で?」
「ああ。みんなもどうだ?、大勢で祝ったほうが楽しいし」
「ふっ、妊娠発覚、告白と続いて次は結婚式の招待とはね」
「ぜひとも行かせてください」
「私も行く」
「そうやな、うちの子達もええか?」
「私達は絶対参加ね、クロノには無理しても休んでもらうわ」
「あっ、でも、大人数で押しかけたら迷惑ではないですか?」
「大勢って言っても多くて20人ぐらいだろ?、こっちで式挙げて2万人が雪崩れ込むよりはマシだ。
それに手段は――――」
「私に任せて」

突然、子供の声がしてみんなは振り向いた。

『アニスちゃん(さん)』

玄関に立っていたのはガイア三強女神の一人、破壊の幼女、瞬炎の女神の異名を持つアニスだった。

「お邪魔します」

アニスは靴を脱ぎリビングに入った。

「ちょうどよかった。アニス」
「……わかってる、ファルコンを使わせてくれでしょ。いいわよ」
「さすが、話が早い」
「ねぇ、この子って誰?」
「かわいい子だね」
「アリサとすずかは初めて会うんだよね」
「この子はアニス、俺が仕えている家の娘だ」
「へぇ〜」
「はじめまして、アニス=フェリア=ノクターンです」
「アリサ=バニングスよ」
「月村すずかです」
「よろしく。それで式の予定日はいつにする?」
「みんなの予定もあるから決まったら知らせる」
「わかった」

その夜、卒業パーティの合間のこと

「“久しぶりじゃないか、アルト。先ほどは助かったよ”」
「“聞いたよ。結婚おめでとう”」
「“おめでとさん”」

通信でクロノ、ユーノ、アルフと会話をする。
しかしながら、クロノは笑みをこぼしているものの、顔は引きつり、青筋も立っていた。

「ありがとう。子供も出来たし、幸せがいっぺんに来たよ」

それを言った瞬間、ピキッと何かが切れる音がしたような気がした。

「“ほ〜う、アルトもなかなかやるねぇ”」
「“重ね重ねおめでとう”」

祝福してくれる二人に対し

「“キサマ!。冗談も休み休み言えよ?”」

笑みを壊さず、冷静に言う。

「冗談なんかじゃねぇよ。フェイトの腹の中には正真正銘、俺の子がいる」
「“…………”」
「…………」
「なぁぁんだぁぁってぇぇぇ!!」

案の定発狂。

「それよりアルフ。何でお前縮んでるんだ?」

後ろでごちゃごちゃ言っているが、モニター越しなので放っておく。
アルトの言うとおり、アルフはナイスバディのお姉さんからつるぺたの幼女の姿になっていた。

「“これかい?。フェイトの魔力負担を減らすための新フォーム。
フェイトも成長して私のサポートも必要なくなってきたから、
わたしは前線から身を引いてフェイトの帰る場所を守ることにしたんだ。
今はあんたもいるし子供も生まれるって言うから子育ての補助は任せとけ!”」
「ああ、頼りにしているよ」
「“お前等聞いてるのあぁぁぁ!!”」
「うるせぇぞ、シスコン!!」







あとがき

Krelos:はい、とうとう第2部が始まりました。第2部といっても自分の内では間接的な話で
書いて2、3話で終わる予定だったのだが、なぜか5話以上行くかも……。
アルト:まぁ、いいじゃないか。それにしても俺の登場の仕方、ベタだなぁ。
Krelos:これはまだマシなほうだよ。最初書いたのなんか“家に帰ったら寝てました”なんだから。
アルト:わっ、そっちのほうが悲惨だよ!。
Krelos:だろ?。
アルト:それで今回の主旨は?。
Krelos:二人の結婚話。まぁ、今のところギャグ一直線で行こうかと思うから早く仕上がると思う。
でも使われているネタがネタだけにちょっと心配。
アルト:確かにな。





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