「ぜぇ、ぜぇ」
「うう〜、つかれたぁ」

アリシア達が入隊して2週間が経った。
日もすっかり落ちたグラウンド、訓練を終えたストライク分隊の面々が大の字に寝そべっている。

「ツーマンセルはもう完璧だな、明後日からフォーマンセルの訓練に移る。
前にも言ったが意識しなくちゃならん人数が3倍になる、気を新たに挑め」
「はぁ、はぁ。はっ、はい、質問っ!」
「何だだいち?」
「何で明日からじゃないんですか?」
「はやてにストライクの休暇申請を出した。明日は日曜だし、十分休め」
『ヤタ――!!』
「しかしだ、これまでやってきた訓練を忘れるんじゃないぞ」
『はーい』
「それじゃ解散、今日は他の隊長陣も早く帰るからうまいメシが待ってるぞ」
『おーーーーっ』


第3話
アルトリア女史の華麗な午後


「スバル。今日はこれくらいにしましょう」
「うん。?」

ティアナとスバルが自主錬をしていると、スバルが何かを見つけた。

「ティア、あの人誰だろう?」
「えっ?」

スバルの指差す先には隊舎の外通路を歩く女性。
右眼に眼帯を帯び、整った凛々しい顔立ちに腰まで届く赤いロングストレートの髪、
その豊満なボディを包む陸士服、封筒を持った腕の肩には機動六課のエンプレム。

「綺麗な人だね」
「ねぇ、あんな人ウチにいた?」
「いや、見たこと無い」
「怪しいわね。そこの人待ちなさい!!」

近づきながら呼ぶと女性は足を止めこちらに振り返った。

「ティア、スバル、どうしたんだ?」
『!!』

突然知らない女性に愛称とファーストネームで呼ばれ二人は驚いたが、気を取り直し

「初対面の女性に気安く呼ばれる義理は無いのですが。失礼ですが名前と階級、所属部署と身分証の提示を」

女性はポケットから身分証を出し

「アルトリア=ゼファー二等空佐、時空管理局、古代遺物管理部機動六課、フォワード部隊総隊長兼ストライク分隊隊長」
「ねぇ、そのポジションってアルト隊長だよね?」
「目的は何ですか?」
「昨日、はやてにこの書類を渡すの忘れたから届けに来たんだけど。ってぇ!!」

ティアナはいきなりクロスミラージュを突きつけた。

「嘘だ!。ストライク分隊の隊長はアルトリウス=ゼファーと言う男性だ」
「あっ、そうか!。すまん、この格好で分からないと思うんだけど、そのアルトリウスが私なんだ」
「アルトさんは男です、あなたはどう見たって女じゃないですか!!」
「信じられないことなんだが、私は生まれつき水を被ると女になる特異体質なんだ」
「……不振人物とみなし拘束、連行します」
(Ring Bind)

リアの両手首にリングバインドが掛けられ手錠のようになる。

「えっ、ちょっと!!」
「はい、キリキリ歩く!」

連行途中、アルトリアは何とか話を聞いてもらおうとするが、ティアナは聞く耳を持たない。

「何してるん?」

だがそこに救いの女神が現れた。

「あっ、八神部隊長」
「不振人物を連行中です」
「不振人物?」
「はやて、助けてくれよ」
「リア、何してるん?。新しい性癖に目覚めたんか?」
「お前が言うと笑えないよ」
「えっ!?、お知り合いですか?」
「お知り合いって、いつも会ってるやんか、アルトくんの女バージョンや」
「それじゃ言っていることは本当……」
「えっ?、えっ?」
『えぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!』

隊舎ロビー、4人はそこに行き事情を聞いていた。
騒ぎを聞きつけ隊長陣や他の隊員達まで野次馬根性で集まってきた。

「それで連れて行かれたわけか」
「災難だったな」
『本当に申し訳ありませんでした!!』
「いや、知らせていなかった私も悪いし」
「リアちゃんの姿は約1ヶ月ぶりだね」
「これはどういうことですか?。フェイトさん?」
「そっか、ティアナはリアに会わせてなかったもんね。リア、ううん、アルトは水を被ると女になり
お湯を被るともとの男になる特異体質なんだって、私達も最初見たときはびっくりしたけれど」
「同一人格ですが、部分的に別人格的なものもあるそうなので、男性をアルトリウス通称アルト、
女性をアルトリア通称リアと呼んでいます、普段は男性の姿でいますが体を慣らすために
月に1、2度女性の姿でいるそうです。同一人物なのですが時空管理局には二人分の名前が登録されています」
「時々あの格好でいるからびっくりしないようにな」

リィンとアギトはふわふわ飛びながらティアナ、スバル初め他の隊員達に説明した。

「と言うわけだ、みんなよろしく」
「じょ、女装じゃないですよね?」

リアは二人に近づき手を取りおもむろに自分の両胸に押し付けた。

『あ"っ』

その光景にみんなは驚いた。

「ホンモン!!、うわっデカっ!!、シグナム副隊長よりデカッ!」
「ゆゆゆ、指がめり込んでる!!」

突然の事態に驚き腰を抜かした。

「まだ信じられないと言うのなら上半身裸になってもいいけど、その時は見た男の目を潰す」

その言葉に皆が戦慄を覚えた、そして感じた『ああっ、やっぱりアルトさんだ』だと。

「そうや、この魅惑のEカップはウチのもんや」
「ひやっ!」

リアの胸は後ろから忍び寄ったはやてに鷲掴みされた。

「ちょっとぉ、はやて、この揉み大王、さっさと離しなさい!」
「やっぱりリアの胸はきもちええなぁ。おっ、また一回り大きくなったか?」
「フェイト、なのは、たすけて〜〜」

二人は分かっていた。ここで止めに入ると私達も餌食になると、然るに

『ごめん』

としか言えなかった。

「ノォ〜〜〜〜!!」
「ほらほら、誰も助けへんで」

はやての乳揉みは段々とエスカレートし、リアの声も艶やかなものになりつつある。
周りにいる女性隊員達はドン引きし、男性隊員は前かがみになり、
エリオはその痴態に憤死寸前まで行きキャロが膝枕で看病している。
ちなみにその時キャロがものすごく嬉しそうだったのは秘密だ。

「ゼェ、ゼェ……」
「はぁ、はぁ……」

数分後、痴態は終わり、肩で大きく呼吸をするリアとさすがに揉み疲れたのか同じく肩で呼吸をするはやてがいた。

「ゼェ、ゼェ…気はすんだか?、この揉み魔」
「はぁ、はぁ。ええ。1ヵ月後がまた楽しみや」
「…………………」
「リア大丈夫?」
「ああ、何とか」
「ところでリア、主はやてに用事とは?」
「ああ、ほれ」

リアははやてに持ってきた封筒を渡した。

「これって例の?」
「ええ、6年前のやつが良く残ったもんね。それもそれが受理されるなんて」
「まぁ、よしとしようか」
「なにそれ?」
「ちょっとしたイベントや、発表は向こう側の段取りが整ったあとするよ」
「それとアニスから、例のものが完成したから取りに来いだってよ」
「そうか、あれも完成したか」
「ちゃんと渡したからね。それじゃ私はこれで」
「リア、どうだろう、私と一汗かいていかないか」
「おもしれぇ、ワタシもやる!、今度こそお前のシールドを砕いてやるぜ!!」

シグナムとアギトが声をかけるが

「遠慮しておく、今日は休暇だし、これ以上ここにいるとどんな目に合わされるか」
「そうか、それは残念だな」
「また今度な、それじゃお疲れ様です〜」

リアは手をひらひらさせながら去っていった。

「ちえっ、せっかく久々に会ったのに」
「まぁ、そう焦るな。機会はまだある」
「そやよ、案外近いうちに実現するかもしれへんな」


「ほう、そうですか。それはなかなか面白いイベントですね」

暗い部屋の中、ディスプレイに映る男の報告を受け笑みをこぼした。

「どうせならそのイベントに脚色を施しましょう。ゼッド、たのんだぞ」

男に言われ、少年は頷き部屋を後にした。


「う〜ん、いい天気ねぇ」

よく晴れた午後。
堅苦しい陸士服からジーンズとTシャツにパーカーとラフな格好に着替えリアはクラナガンの街に来ていた。

「さて、どうするかな〜」

休暇の午後をどう有意義に過ごすか考えを巡らす。

「まぁ、考えても仕方ないから歩くか」

そう思いフラフラ歩っていると

「無意識にこんなところに来ちゃったよ」

辿り着いたのはクラナガンの裏の顔、俗にスラム街と呼ばれる所だった。
街路は暗く汚れ、いかにも悪者ですといった人達がたむろい、クスリに耽っていた。

「まぁ、いいか。なんか情報ないか聞いてみよう」

何の躊躇もなく町の中を歩く

『………』

そんな彼女を時には奇妙な眼で、時にはいやらしい眼で見ている。

「へへっ、お嬢さん」
「こんなところにいると襲われちまうぜ」

案の定、頭の悪そうな男が数人、絡んできた。

「なんか用?」
「へへっ、ここら辺は物騒なんでお兄さん達が付いていってやろうと思ってな」
「どうやらここのルールが分かっていないらしいわね。よく見ると見たことない顔だし」
『はぁ?』
「おい、てめぇら!」

そこに、この男達より格が上そうな男が近づいていた。
リアにとっては見知った顔だ。

『あっ、兄貴』

その男はリアを見ると

「兄貴、あっ、今日は姉御の姿ですか」

謙った言葉で話しかけてきた。

「こいつら新入りか?」
「へい、この前入ったばかりで」
「兄貴、顔見知りですか?」
「バカッ!!、顔を洗って出直してこい!。この方はな、このスラムを1日でまとめ上げた――――」
「まっ、まさか、赤の魔神で名高い」
「管理局きってのストライカーの」
『アルトリウス=ゼファーさん!!』

男達は恐れおののいた。

「兄貴、でもこいつ女ですぜ」
「俺もよく分からんがアルトさんは女になることもできるらしい」
「へぇ〜」
「話はそれぐらいにして、何か情報はあるか?」
「へい、そのことでボスが話したいことがあるそうです」
「行こうか」
「へい」

スラム街の奥、小奇麗なマンションに通され、リアの前に現れるのは、挌闘家のように体付きのいい男。
スラム街のボス、セブンス=ケーター。
宝石を着飾るでもないし、葉巻を咥え偉ぶるわけもない、ましてスラムのボスにも見えなかった。

「よぉ、お穣」
「悪いけど、その呼び方やめてくれない?」
「だってお穣はお穣だろ?」
「まったく、あんたは……。それで、話って?」
「まぁ、座れよ」

二人は座り、互いの後ろに、セブンスの屈強な側近が何人か待機している。

「これは俺独自の意見なんだがな、……管理局が不穏な動きを見せているんだ」
「……私がいるのに随分な意見ね」
「そう思うかもしれねぇがな、確証だってちゃんとあるんだよ」
「どんな?」
「最近な、うちの商品も含めて闇市場の武器の流れが激しいんだよ」
「繁盛してるのね」
「VX級の次元航行船を何隻も造れるぐらの大量の武器やパーツが、しかも同一の顧客にだぞ。
中には根こそぎ持っていかれて店じまいしたところもあるほどだ」
「それと管理局どんな関係が?」
「うちらの世界じゃ顧客の素性には触れないことにしてるんだが、どうにもおかしくてな、
調べてみたところ、他にもいくつか中間業者を経て行き着く場所が管理局だったってわけだ。
それだけじゃねぇ、同じように他の場所からも物資を集めているらしい」
「……少し個室借りるわよ」
「どうぞ」

リアは個室に行き誰も入れないように鍵を閉め、空間モニターを展開させた。

「"はい、こちらハラオウン提督執務室"」

数回のコールの後、現れたのは一人の女性。

「"機動六課のアルトリア=ゼファーですが、至急クロノ提督に繋げてもらえないでしょうか?"」
「"申し訳ありませんが、提督は長期航行任務中のためおりませんが"」
「ならクラウディアに通信を繋げてください」
「"お待ちください"」

数回のコールの後、クロノが出た。

「"なんだ?。こっちは忙しいんだが"」
「手間は取らせないわ。守秘回線にしてもらえる?」
「"…………ほら、したぞ。それでなんだ?"」
「確認だけど、ウミのほうでVX級の大量造船、またはそれ以上のクラスの新造艦の造船予定ってない?」
「"?。造船課のほうに問い合わせてみなくちゃ詳しくは分からないが、俺の知る中ではそんな情報はないはずだな"」
「そう。わかった」
「"それがどうしたと言うんだ?"」
「ちょっとね、ある筋から情報を得てね。何かあったらまた知らせるから」

クロノが言い返す前に通信を切り部屋を出た。

「待たせたわね」
「提督殿に確かめるんだったら別にここでもいいだろうに」
「覗きはよくないわよ、それに通信中に誰かが見切れたらどうするの、一応ヒミツなんだから」
「そりゃぁそうだ。管理局のおえら様が俺達のような武器商人と繋がっていたなんて知られたら事だからな」
「そうそう。でもこの件は無視できないわね。引き続き様子を見てもらってもいい?」
「それは構わないけど、こっちも商売なんだよ」
「検挙される違法取引を見逃してあげてるでしょ、それ以上何を望むって言うの?」
「へいへい、分かりました」
「それじゃ、私は戻るから」
「そうだお穣、久しぶりに飯でもどうだい?」
「でも……」
「なぁ、飯ぐらいいいだろ?。飛び切りうまい料理を出す店があるんだよ」
「………………」

今、リアの中では誘いに乗るか乗らまいか、天使と悪魔による壮絶な戦いが繰り広げられていた。

ぐぅ〜〜〜〜っ。

「……………仕方ないなぁ、少したけだぞぉ」

しかし、おいしい料理の魅惑と空腹前にあっけなく勝負はついた。

「よっしゃ、それじゃ早速行こうぜ、行くぞお前等」
『おう!』

セブンスを筆頭に、リアや側近の部下が意気揚々と部屋を出る。


「こっちですよ、フェイトさん」

一方その頃。
フェイト、シャーリー、ティアナの3人は、シャーリー一押しのレストランに
夕食を食べに行くため、クラナガンに来ていた。

「ほら、あそこって、あれ?」
「どうしたの、シャーリー?」
「いえ、人だかりが……」

見ると、目当てのレストランの周りに異常なほどの人が集まり、その中には首都守備隊の制服を着た人達もいる。

「何かの事件でしょうか?」
「行ってみましょう」

人だかりをかき分け前に出て、隊長らしき男に声をかける。

「機動六課のフェイト=T.H=ゼファーですが、何かあったんですか?」
「おう、機動課の連中かい。見てのとおり立てこもりだよ。
銀行強盗犯を追跡していたんだが運悪くあそこの店に入っちまった」

フェイトはそれを聞き、自分は良く立てこもりに遭遇するなぁと苦笑いした。

「あんた達も手伝ってくれねぇか?。なんせ犯人のリーダーはAAクラスの魔導師だからよ」
「ええ、もちろんです」


「はぁ〜っ、私って根っからのトラブルメーカーなのかなぁ?」

ところ変わってここは立てこもりが発生している店内。
一塊になっている客達の中に、リア達はいた。

「すまねぇなお穣」
「これくらいもう慣れっこよ」
「相手が魔導師じゃなければなぁ。姉御ならこんな奴等ひとひねりですよね、何とかなりませんかい?」
「おばかっ!。外には守備隊の連中もいるのよ、変に騒いで私の存在がバレたらどうすんのよ」
「そうでした。すいやせん」
「今はおとなしくして全て守備隊に任せるのよ」
『へ〜い』
「ぐずぐずしてねぇで車を速く用意しろ!!」

犯人の一人が怒鳴る。

「あなた達は完全に包囲されています、おとなしく出てきなさい。これ以上罪を重ねるつもりですか!」
「誰だテメェは!?」
「執務官のフェイト=ゼファーです。さぁ、武器を捨てなさい」
「それ以上近づくなっ!」
「へっ!?」

聞き覚えのある声と名前にリアは一瞬驚く。

「……………」

ほとんどの犯人は外に意識が集中しているので、多少は動くことができ、恐る恐る見と

「!!」

入り口にフェイトの姿、予感は的中し慌てて首を引っ込める。

「お穣、どうかしたか?」
「……嫁がいる」
『はぁ!?』
「今声かけたのは私の嫁さんよ」
『…………』

リアを見るセブンス達の目が何か変だ。
きっとイケナイ方向で考えてるんだろう。

「何変なこと考えてるの、燃やすわよ。あの子はアルトの嫁よ」
「そっ、そうかい、びっくりした」
「なかなかかわいい子だな」
「テメェ!、フェイトに手ぇ出したらぶっ殺すわよ!!」

怒鳴り声が相当響いたのか、犯人達もさすがに気づいた。

「おい!、誰をぶっ殺すって!!」
「いっ、いえ。何でもありません」
「ちょうどいい、その女連れてこい」
「ああ」

リアは立たされ、さっきまで怒鳴っていた男のところまで連れてこられた。
同時に男が持っていた銃型のデバイスがこめかみに当てられた。

「おらっ!、さっさとしないと見せしめにこの女ぶっ殺すぞ!!」
「なっ……なんてなんて卑怯な」
「ねぇ、あの女の人ってリアさんじゃない?」
「えっ?。アッ、ほんとだ。なんてこんなところに?」
「フェイトさん、人質に取られているのリアさんなんですけれども」
「えっ?。……そう言われればそうね。ん?」
「(言うなぁ、何も言わないでよ〜)」

ここで正体がバレてしまったら後々面倒なことになる。
アイコンタクトでフェイトに合図し、それを読み撮ったフェイトが自身ありげに頷く。
さすが10年の付き合いとリアは静かに喜んだ。

「あなた、リアを開放したほうがいいですよ」
「(はい!?)」
「リア?。お前、この女のことを知ってるのか?」
「当たり前です!」
「(おいおいおいおいおい!!)」
「彼女は、時空管理局戦技教導官、そして、私の自慢の旦那様なんだからっ!!」
「……………………」

指を刺し自信ありげに言うが、周りはすっかり冷え切っていた。

「あちゃぁ」
「フェイトさん。こんな所で言わなくても……」
「さすが兄貴の嫁だぜ」
「まぁ、奥様、「私の自慢の旦那様」ですってよ」
「まぁ、女同士でなんてねぇ」
「百合の人……萌えっ!!」

周りからひそひそ話が聞こえる。
リアの体質を知るものはそうでもないが、知らない客達は白い目で2人を見ていた。

「えっ?。私変なこと言った?」
『おもいっきり』
「クックック……ワァハッハッ!!、天下の執務官様がそっちのシュミがあったとはなっ!」
「チャンチャラおかしいぜっ!」
「えっ。そっちのシュミってどっち?」
「こんなときまでボケるなぁぁっ!!」

怒ったリアは、羽交い締めにしている犯人の腕を掴み、そのまま一本背負い、犯人はそのまま気絶した。

「なによ、結構弱いわね」
「魔道師がノビた、あとは雑魚だけだ!」
「野郎共、ふんじまれっ!!」

リーダー格の魔道師がノビ、あとはただの人間。
それを機と見たセブンス達が力任せに犯人達を取り押さえる。

「大丈夫ですかい。姉御?」
「はぁ〜っ、馬鹿共が………」

その後、突入した守備隊が犯人達を拘束、人質を救出、事件は解決した。


「ご協力ありがとうございます」
「リアさんの知り合いですか?」
「…………………………」

部隊が去ったあと、フェイトはセブンス達にお礼を言っていた。

「いっ、いや、大したことじゃないですよ……」
「まっ、まぁ、いろいろと……」

フェイトやシャーリーは気づいてはいないが、ティアナが必要以上にこちらを見ているのが気になる。
リアやセブンス達はいつバレるものかと、気が気ではない。

「それでは俺達はこれで」
「はい、気をつけてお帰りください」

みんなは帰ろうとしたが

「待ってください!!」

急に発せられたティアナの声に、みんなは飛び上がりそうな勢いで驚いた。

「どうしたのティアナ?」
「フェイトさんこいつらを拘束しましょう!」
「何で?」
「この男は、スラムの武器密売組織のボス、セブンス=カーターとその一味なんですよ!!」
「セブンス=カーター」

フェイトの顔が優しいものから鋭いものへと一変する。

「やばい!。お前達逃げろ!!」

セブンス達はクモの子を散らすように四方八方に逃げ去っていった。
リアも逃げようとするが、3人に肩や頭を捕まれた。
女性の腕力とは到底思えない力でがっちりホールドされ、ギギギとサビ付いたロボットのように振り替えると

『お話……聞かせてくれるかな?』

笑顔で黒いオーラを放つ般若が3人。
そのまま六課隊舎、部隊長室に連行され事の成り行きを報告され

「…………」

現在、隊長陣とティアナに四方を囲まれ蛇に睨まれた蛙状態。

「これはどういうことか、はっきり説明してもらおか」
「お話聞かせてね」
「まさか汚職とかしてませんよね?」
「もし本当だったら……ウフフフ……」
「あっ、あのねっ…ほっ、ほらっ、裏のこと知るには同じ狢と言うか、ほらねっ!。アウゥゥウウ……」

4人の恐怖に怯え、シドロモドロな説明しか出来ず、その後、拷問と言う名の尋問は朝まで続いたいう。


『げっ!!』

それだけではない、後日、隊長陣の面々はセブンスのところに押しかけ、
違法取引黙認の代わりに、取引縮小と情報の無条件提供、そうでなければすぐ検挙という、
少し脅迫まがいな取引を成立させた。
後にセブンスは語る、旦那より大姉御(はやて)のほうが数倍怖いと。







あとがき

Krelos;そういえばアギトが出てねぇ!と言うことになり一言二言ですが出しました。
それよりもっと酷いことは……あとがきのネタがなくなってきたよ〜(TT)。
アリシア:はぁ〜っ、とうとう病んできたのね。
プレシア:この状態でラストまでいけるんだろうか?。





BACK

inserted by FC2 system