朝からメインホールに全隊員が集まっている。

「ここで皆さんに悲しいお知らせがあります。来週に予定していた全隊休暇を半休にしたいと思います」
『えぇぇぇぇっ!!』

当然のごとくブーイング。

「どういうことはやてちゃん?」
「理由を聞かせて」

なのはやフェイトも驚き、目をパチクリさせている。

「この前、リアが持ってきた書類な、ユニバーサル・フォース総合戦技教導軍ラーナ教育隊
との模擬演習の申請書だったんや。
5年前に申請してたんやけど、J・S事件とかで結局流れたんやけど、
今回、六課が復活したということで許可が下りたんや」
「そこってクレロス伯母さんの指揮している隊だよね?」
「そうですね、正確には部隊の一部ですけど」
「私らの更なる技術向上のため向こうも快く引き受けてくれたんや、演習は午前に開始、
昼頃には終わるからそのまま次の朝まで休暇にします」
「八神部隊長、向こうの教導隊なら隊長達ぐらいしか太刀打ちできないと思うんですが」
「そんなことあらへんよ、ちゃんとリミッターも施してもらってるし、
今回の演習は大隊戦や、力だけが勝負じゃあらへん」
「分かりました」
「それじゃ、みんな。模擬演習に向けての鍛錬とその他の用意をわすれんようにな」
『はい!!』
「それじゃ解散、今日もがんばっていこう」


第4話
機動六課vs戦技教導軍(前編)


「教導軍との演習かぁ、しかも神族と、気乗りしないなぁ」

隊舎通路、それぞれの業務・訓練に向かっていると不意にティアナが呟いた。

「大丈夫だよ。みんな一応教育隊なんだし、手加減するところはしてくれるよ」
「封環もちゃんとしてあるし」
「これで思いっきり暴れられるね、シェドザード」
(Yes Buddy)
「もしかしたらどさくさにまぎれて封印も解けちゃうかもよ」
(Its so good)
「だめだよ、タカをはずしちゃ」
「でも、両部隊長が一番タカが外れそうなんだよなぁ」
「その時はアルトくんが相手してあげてね」
「まぁ、カリム達にリミッター緊急解除の申請はしておくけど」
「でも、向こうも爆弾抱えてるけど、こっちも爆弾抱えているよね」
「あちらに二人、こちらは二人でちょうどいいんじゃない?」
「向こうは姉貴と兄貴だけどこっちははやてと誰だよ?」
『違う違う』

アリシアとプレシアは振り向いて自分達の両親を指差した。

「私達?」
「何でだよ?」
「パパは相手の部隊長の弟、当然性格が似ている」
「ママも表面上はそうでもないけれど、パパの血が流れているから潜在的にその気がある」
「うっ…否定できないかも」
「フェイトちゃん、その気になると一直線だもんねぇ」
「はぁ…、我が娘ながら恐れ入るよ。だがなお前達も人のこと言えんぞ、その爆弾の娘なんだからな」
「私達は大丈夫。たとえ封印を外しても力を束ねるべきモノがありますから」
「はぁ、そうですか。ん?。それってもうお前等マテリアルファクトを生み出したと言うことか?」
「さぁ、それはどうでしょう」
「さぁ、早く訓練を始めましょう」

二人はだいちとことはの手を引き走り去った。

「おいこらまてっ!!」

アルトもあとを追いかけて走っていった。

「なのはさん、余計に心配になってきました」
「私もです」
「大丈夫だよ。………きっと」


「なぁなぁ。教えてくれよ」
「だから秘密だって」

訓練の合間、アルトは先ほどの真偽を娘達に聞こうとしていた。

「教えても良いけど、そのときは私達を一人前のオンナとして扱ってくれる?」

わずか10歳にもかかわらずその妖艶さにアルトはドキリとした。

「アルト」

だがそれもつかの間、ガシリと肩を捕まれ振り返ると

「ひぃぃ!!」
「アルトは私だけを見てくれるんだよね?」

清々しいまでのフェイトの笑顔、だが纏う漆黒のオーラによって般若の面のようにも見える。
ヤラレル、嘘じゃないけれど、嘘でも肯定の返事を出さないとヤラレル。

「もっ、もちろんだよ、フェイト」
「うん!!」

フェイトは満足気に返事をすると鼻歌を歌いながら去っていった。

「神出鬼没だな、我が妻は……」
「フェイト隊長、怖いです」
「嫉妬大爆発だったな」


「うわ〜っ!!」
「すごいわね」

翌週、機動六課の面々はラーナ訓練シティのある惑星フォーレに向かうはずだった。
もちろん交通に使ったのはアニスの持艦ファルコンである。
しかし実際到着したのは、ユニバーサル・フォース旗艦空母インビンシブルの艦内ドックだった。

「ねぇ、アニスちゃん、何でラーナじゃなくてこっち?」
「私から機動六課へのプレゼント」
『プレゼント?』
「こっちよ」

アニスに連れられ薄暗いドックへと入る。

「何だろう、あれ?」

薄明かりでよくは見えないが、そこには何か巨大なものがあった。
ライトが点灯しそこには

「船?」
「しかもかなり大きい」

そこには純白の艦体、500Mクラスはあるだろう。
曲線的なラインと双頭艦首がどこかアースラを思わせる。

「SMFーUFX0012。5年前にはやてと私が構造設計してついこの前完成したHギガ・クラスアルテメット・フリゲートよ」
「6年前、破壊された六課隊舎の代わりにアースラを移動基地にしてたけど、結局廃棄処分になってしもうた。
今後のことを考えアニス提督に頼んで1隻調達してきてもらったわけや」
「船舶1隻をですか?」
「まぁ、いくつか条件を飲んだけど」
「大丈夫だったんですか?」
「まぁ、条件と言っても、忙しいから構造設計は自分達でやれってくらいだから」
「大変だったね。構成作りはほとんどプログラム組むようなものだったから何十万行とコード打って、肩こったわ」
「構造設計さえ済ませれば、あとはナノマシンが自己増殖してゆっくりと機体を構築していくだけだからね」
「名前はあるんですか?」
「これからはやてが決めるの。さぁ付いてきてブリッジに行くわよ」

アニスに連れられ艦内へと行く、本稼動がされていないのか、薄暗く非常灯すら点いていない。

「足元、気をつけてね」
「わっ!!」

スバルが何かにつまずいてコケた。

「ほらぁ、言ってるそばからこの子は」
「だってぇ〜」

その後、慎重に行きブリッジに辿り着いた。

「ロングアーチのオペレータールームと作りが一緒ですね」
「当たり前や、使いやすいように似せて作ったからな」
「さすがに標準武装は取り外せなかったけれど。はい、はやて」
「おおきに」

はやてはアニスから掌大のキーをもらい中央席のセンターコンソールに差し込んだ。
微かな振動と共に聞こえる機動音。
皆の目の前に光の粒子が集まり人を形作る。

「皆さん初めまして、船番SMFーUFX0012ヴァルキリーです。名称、及びマスターは未登録です」

茶色の陸士服に身を包んだ少女、顔立ちはどこかはやてに、いや、はやての髪をロングストレートにした容姿だった。

「マスター、及び名称登録をお願いします」
「マスターは私、機動六課課長、八神はやてです」
「ヤガミハヤテ……」

彼女は噛み締めるようにはやての名を呼び

「うっ!!」

そしてキスした。
唇を離すと、彼女の額にはダイヤモンド型の紋章、マスターに忠誠を誓う証の紋章である。

「生体データを登録、マスター登録完了いたしました」
「そっ、そか」

あまりの事にみんなのリアクションが薄い。

「次に名前をあげないかんな」
「はい、お願いします」

はやては一息つき。

「汝、天空を自由に駆ける者、ヒメルラフェン。そして皆を包む光の箱舟、アーキリュミエール」
「認証……、ヴァルキリーネーム、ヒメルラフェン=ヴァン=アーキリュミエールフィード。
船体名、アーキリュミエール……認証完了」
「これでええか?」
「マスター。よろしければマスターの姓、ヤガミを私にいただけないでしょうか?」
「いいけど、どうしてや?」
「はい、私の人格が出来始めた頃、一生懸命になって私を造ろうとしているマスターを見て思いました。
この人が私のお母様だと。だから、あなたの子である標をいただきたいのです」
「……そうか、ヒメルにとって私は生みの親やからな」

はやてはキーボードを操作し"八神ヒメルラフェン=ヴァン=アーキリュミエールフィード"に書き直した。

「ちょい、語呂は悪いけれど堪忍してな」
「いえ、素敵な名前です」

ヒメルはみんなの方を向き

「皆様、お姉様方、お兄様方、はじめまして。八神ヒメルラフェン=ヴァン=アーキリュミエールフィードです。
どうかヒメルとお呼びください」
「うん」
「よろしくおねがいするね」
「ところで、お姉様方、お兄様方とは?」
「はい、シグナム姉様。八神はやて、守護騎士ヴォルケンリッター、リィンフォースツヴァイ、
クロノ=ハラオウン、だいち=Y=ハラオウン。通称八神一家。私も八神はやてに造られた身、家族の末っ子です」
「そうやね」
「わーい!、妹ですぅ!!」

リィンがヒメルに飛び寄ってきた。

「はい、リィン姉様」
「家族の団欒はここまでにして、そろそろ出発しようか」
『はい』
「ルキノ、前へ」
「あっ、はい」

ルキノが足早に前へ出る。

「ヒメル。アーキリュミエールの操舵を担当するルキノや、よろしくしたってや」
「ルキノです。よろしくお願いしますって、えぇ〜〜〜っ!、私がこの船の舵をとるんですか?」
「そうや。大丈夫、ヒメルも付いているし」
「本当は上級艦船航法士の資格がないとダメなのですが。特級艦船航法士の資格を持つマスター指導の下なら大丈夫です」
「そや、それにルキノはミッドでL級艦船操舵士の資格もあることやし、大丈夫やろ」
「よろしくお願いします。ルキノさん」

ヒメルは手を差し伸べ

「はい、こちらこそ」

ルキノも握手で返した。

「それとヒメル」
「分かっています。出発後、FCSユニットの一部封印をお願いします」
「すまんな。本来、戦闘艦として生み出されたのに、その能力を削いでしもて」
「いいえ、マスターの意思なら本望です。しかし最低でも荷電粒子ファランクス砲の常時稼動と
緊急時の武装解除の許可を」
「そのぐらいは許可するで」
「話は付いた?」
「はい」
「なら出発しましょう。もう登録は済ませたからはやてのゴーサインだけよ」
「なら行こうか」

はやての掛け声にすべてのインターフェースパネルに明かりが灯った。

「Yes,My,Maam……」


場所は惑星フォーレ。
時は夕暮れ、滑走路の向こうに広がる大草原に沈む夕日がとても綺麗だ。

「久しぶりやなぁ」

みんな私服なのに対しはやてだけが陸士服の上に白いジャケットを着ている。

「隊長達は前にもここに来たことがあるんですか?」
「アルト隊長とフェイト隊長の結婚式のときにこの星に寄ったことがあるの」
「私は今回で3度目かな、六課設立前に半年間だけどここにお世話になったなぁ」
「そんなこともありましたね」
「それじゃ教導軍に?」
「どんな感じでした?」
「とっても厳しかったよ。例え訓練であろうとも完膚なきまでに叩きのめす!!。実弾が飛び交う戦場!。
敵を前にしたら迷わず撃て!。敵を前に舌なめずり、三流のやることや!!、
ガンホー!、ガンホー!、がんほおぉぉ!!!」
「母さん、逝っちゃったよ」
「はやてちゃんしっかり!!」
「ふ〜っ、だけど辛い訓練もみんなで力を合わせて向かっていったら何も怖いものはなくなってしもうた、
同僚の訓練生も気さくな人ばかりだったし。でもなぁ……」

はやてはスバル達を見た。

「どうなされました?」
「スバルにティアナ、それとシャーリー達も気をつけてな、一応未婚者だから」
「どういうことですか?」
「ああ……確かに気をつけろよ、ハエが集るから」
『?』
「それじゃ今日は訓練基地の一室を借りてお泊りや、演習は明日の8時やから寝坊せぇへんようにな」
『はい!!』

みんなはカーゴチェイサーに乗りシティの中に入っていった。

「大きな街ね」
「これがみんな軍施設なんですか?」
「そうですよ、中心街に司令部、そして商業と居住・訓練エリア、それを囲むように軍港エリアと兵装エリアがあるんだ」

チェイサーの運転手兼シティ内誘導員のお兄さんが説明してくれた。

「あの大きなタワーは何なんですか?」

進行方向右側には街の何処にいても見えそうな巨大なタワーがあった。

「アレはマスドライバーだよ」
「マスドライバー?」
「リニアレールを使って艦船を宇宙へ飛ばすシステムさ。ほら、あんなように」

見るとちょうど戦艦がレールの上をキャリアに乗って滑り、タワーを駆け上がるところだった。
戦艦は頂上に達するとキャリアから離れ宇宙へと登がっていった。

「すごいですねぇ」
「今は垂直離着陸の精度も上がってほとんど使われなくなったがな、今じゃシティのシンボルさ」

着いたところはシティ中央ビル、中に入り最上階まで行く。
暫く歩くとひときわ大きな扉。

「司令。時空管理局機動六課の皆さんをお連れしました」

あいよ、と言う声が聞こえ扉を開いて中に入る。
部屋は広く、全体に丸みを帯び、扉がある壁以外、前面ガラス張りだった。

「おっ、久しぶりだな、はやて」

その部屋のデスクに座る男が立ち上がり挨拶してきた。

「ユウリィさんもお元気そうで。またお世話にないます」
「あいよ。まぁ世話するのは教導教育隊の面々だがな」

親しそうに話す二人を見て

(ねぇねぇティア、あの人誰かな?)
(知らないわよ)
(ずいぶん若そうですけど)
(アリシア達は知らない?)
(ううん、私達もガイアにあまり来たこと無いから)

フォワード陣が念話で話していると

「ん?。こいつらか、はやての部隊のメンバーは?」
「そうやった。みんなごめんな、ほったらかしにして。こちらはユウリィ=ユウナ少艦将、
このラーナ合同訓練シティの総司令官さんなんよ」
「よろしく」
『よろしくお願いします』

みんな冷静に挨拶しているが

(ひえぇ〜、総司令官さん若いです)
(総司令官ってここで一番偉い人だよね?)
(まぁ、神族は若く見えても相当年行っている人もいるから)
「今日はもう遅いし部屋まで送らせよう」
「あのう、クレロス義姉さんは?」
「悪いなフェイト、あいつは今別の任務で他のシティに行っている。明日の演習には戻るよ」
「そうですか」
「それじゃ私達はこれでおいとまします」
「おう、明日は楽しめよ」

みんなは一礼し部屋を出た。


「はやて〜」

部屋を出ると突然黒髪の女性が現れ、はやてに抱きついた。

「わお!、ケーちゃんやないか、久しぶりやなぁ」
「久しぶりやわぁ」
「お久しぶりです、ケーニッヒさん」
「リィンも久しぶり」
「みんな、この人は私の訓練生時代の同僚でケーニッヒちゃんや。えーと、今は?」
「皆さんはじめまして、戦技教導軍所属、ケーニッヒ=ケイティ大尉です。宜しく」
『宜しくお願いします』
「教導軍入りしたんかぁ」
「ええ、今はラーナ教育隊付だから明日の演習にも出るさかい覚悟してや。
と言うわけで部屋に案内するから女子のみんなは付いてきて」
『は〜い』

みんなが行こうとするが

「そこの売れない漫才コンビ、ちょっと待て」

ケーニッヒとはやてに静かに罵倒を浴びる人物。

「なんやて?」
「今の誰や!!、はやてと私の漫才は部隊でも大爆笑や、ってレア、そういえばあんたもいたな」

振り向く先には長身の男。

「ケーちゃんと同じく同期だったレア=セイト君や。物静かでぶっきらぼうなところはあるけどとてもいい人や」
「今は私と同じで教導軍大尉」
「宜しく。男共は俺に付いてこい、部屋に案内する」
「それじゃ、レア君、みんなの事頼んだよ」
「任せろ」

部隊は男女に分かれて部屋に向かった。


「ところでケーちゃん、あの風習ってまだあるの?」
「そりゃ、あるわよ」
「あの頃は楽しかったなぁ」
「あんたは男いたから観客決め込んでたけどね」
「どんな風習なんですか?」
「あのな。夜になると男が女部屋に夜這いに来るんよ」
『夜這い!?』
「それもただの夜這いじゃあらへん、戦争や」
「夜這い=戦争って……」
「男共は訓練の合間に好きな子がいたら、夜に夜這いに来る」
「でもシティ側もそれは許しているけど一筋縄では行かせてくれない。
上官・教官総出で妨害し、その妨害を掻い潜り部屋まで行けた者がプロポーズする権利を得る」
「毎晩お祭り騒ぎや」
「一度、はやてにプロポーズしたヤツいたね。まぁ、玉砕だったけれど」

しばらく歩き

「さぁ、着いたわよ」

案内された部屋は大部屋。
2段ベッドが並ぶ共同部屋だが有に100人はゆったりと暮らせるスペースがそこには広がっていた。
訓練が終わったのか女性兵士達が着替えやお喋りなどを楽しんでいる。

「全員整列!!」

掛け声と共にそこにいる全員がみんなを向き整列した。
そして一歩前に出る女性が一人。

「この部屋の部屋長、及び分隊長をしています。リーサ=エリアス大兵曾です。
1日だけですが宜しくお願いします、八神はやて准将」
「こちらこそよろしくや。まぁ、そんなにピシッとしなくてええから、U・Fはフランクが基本や、
いつもどおりにしてくれてかまへんよ」

はやての言葉を聞きみんなが緊張が取れたようにうなだれ、散らばっていった。

「さて、みんなご飯まだだよね?、荷物置いたら食べに行きましょ」
『はーい』

みんなは扉に近いベッドに荷物を置きご飯を食べに食堂へ向かった。

「そういえば八神部隊長、何でU・Fのジャケット着ているんですか?」
「しかも独立旗艦部隊の?」
「それはな、私、ここではアニス超将軍の直属の部下なんよ。だからここではこのジャケット着なきゃあかんのよ」
「ああっ、だからさっき准将って言ってたんだ」
「最初はそんな高官でなくてもいいって言ったんやけど「指揮官になりに来たんだから
師団の指揮ぐらい出来なきゃダメ!」と言われてな、1個師団、1個師団艦隊を指揮できる准将になってしもうたんや。
アーキもその辺の理由も関係して持つことになったんや」

途中、男性陣と合流し食堂に向かう。

「ここも相変わらずやなぁ」

そこは正しく戦場。
飢えた野獣と化した兵士達が我先にと料理を強奪しあうカオス。
男も女も関係ない、強者だけがたらふく食えると言う絶対秩序の領域。

「うわぁ、何この状況!?」
「これじゃご飯が食べられないよ〜」
「実力行使でいきますか」

プレシアは腕まくりし挑もうとするが

「まぁ、ここはウチに任せてや」

はやてが前に出た。

「みんな、防御を」
『?』
「デアボリック・エミッション、闇に、染まれ」

唱え、掲げた右手から放出されるのは暗黒の球体。
それは膨張を繰り返す。

「なっ!!、はやて!、てめぇそれはご法度――――」

知り合いの兵士がいたのか、彼が気づいた時はもう遅く、食堂を暗黒に染める。

「ううっ、ひでぇよ……」

闇が晴れたあと、そこには攻撃をモロに食らい死体の山のごとく、地に伏せる兵士達。

「ちっ、ちょっとはやて部隊長!!」

咄嗟に防御魔法を展開したなのはやフェイトの顔にも驚きと焦りの色がうかがえる。

「ここではこれくらいしなきゃ生きていけんよ。さぁ、みんな弱っているうちに食事摂るよ」

皆が呆れる中、一人、食材をトレイに分けている。

「どうやら、ここの環境ははやてを相当強くしたな」
「あと、常識が神族寄りになってるし」
「う〜ん、恐るべしラーナ訓練シティ」


「久しぶりやな」

皆が寝静まった頃。

はやてはケーニッヒ、レアと共に基地の一角へ来ていた。

「なかなか来れなくてごめんね」

持ってきた花束を置く先は墓標。
たくさんの墓標が並ぶ墓苑、その中に3人はいた。
"SETUNA KIBA"、それが3人の目の前にある墓標の主の名である。

「こうして4人で集まるのも久しぶりね」
「そうだな。なぁ、セツナ、嬉しいか?」

レアはそう言い持ってきた日本酒を墓石にかけてやる。
そこにパキッと小枝の折れる音がした。

「なんや、付いてきたんか」
「そこに隠れてないで出で来たらどうや、お二人さん」

ケーニッヒが言い、しばらくすると、バツが悪そうになのはとフェイトが出てきた。

「なのはちゃん、フェイトちゃん」
「あははは……」
「こんばんは」
「どうしてここに?」
「はやてちゃん、みんなが寝てから神妙な顔で出て行っちゃんだもん、何か心配になっちゃって」
「ごめんな、ただのお墓参りだったんよ」
「誰のお墓ですか?」
「木羽刹那、私達の訓練生時代の同期なんよ」
「レアのバディで第2次訓練から二人が一緒になってそれからずっと4人でチームを組んできたんだけど……」
「卒業演習の最中、襲ってきた海賊と交戦中に、はやてを護るために盾になって……そのまま逝っちまったよ」
『…………』
「よく言ってたよな、技術者になって世界でたった1機のガンダムを作りたいって」
「そうそう。乗ったままでも法術使えるようにするって私達から聞きまくったり」
「あの時は楽しかったね」

3人はしばらく懐かしきリフレインに浸っていた。
しかし、それも爆発音と共にかき消された。

「なっ、なに!?」
「夜這いが始まったんだ」
「さて、思い出に浸るもはおしまい。明日も早いから寝ようか」
「そうだな。俺も眠たい」
「それじゃセツナ、また来るからね」
「そうだ、はやて、明日演習が終わったら渡すものがあるから」
「渡すものって何?」
「それは明日のお楽しみよ、それじゃおやすみ」

みんなはそれぞれ部屋に戻り、明日のために眠りについた。






あとがき

Krelos:はい、はやての訓練生時代の仲間が登場しました。
一応、訓練生時代の話は長編外伝で書くつもりです。
プレシア:さて、次回は大隊模擬戦!。腕がなるわぁ。
アリシア:話によりますと懐かしい人達も出てくるそうですね。
プレシア:絶対勝つぞぉ!!。
Krelos:最後まで行けたらの話だがな。
プレシア・アリシア:えっ!?
Krelos:一応平穏(?)パートはここまで。次の回を機に段々とシリアスに…、
そしてクライマックスでは昼ドラ並(?)のドロドロ展開に!!。
プレシア:あ〜らら、とうとうイッちゃったよ。
アリシア:な〜む〜。
Krelos:(T*T)。





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