「ミッド衛星軌道上に到着」
「大気圏突入、襲撃ポイントに急ぐよ」
「了解」
「それとヒメル」
「分かっています。全兵装をロックします」


第6話
蠢く使者達


大気圏を抜け、ガジェットの上陸する湾岸エリアに向かう。

「レーダーに感あり、ガジェットドローンT・U・V型と確認。数100。
すでに先行隊とバックヤードの戦闘が始まっています」
「結構な数だな」

マップ上には本隊と先行隊の2群に別れたドローンマーカーとバックヤードマーカーが、陸と海の境目で衝突している。

「アルト隊長、戦闘の指揮を頼めるか?」
「部隊長が言うならいいけど何で急に?」
「シャマルとヒメルからドクターストップかかってしもうた」
「はい、医師の目から見て、模擬戦と帰還戦で体力、魔力共に著しく消耗しています」
「加えてアーキリュミエールのサイ・エネルギー供給を一手に担っていますので精神力の消耗も激しいはずです。
シャマルねぇ…医務官と相談した結果、直ちに最低でも2時間の睡眠休養を強制義務としてとってもらいます。
拒否した場合、こちらで強制的に眠らせます」
「そういうわけや。いくら部隊長でも医務官の言葉には逆らえへん。フォワード陣に120分間の
2ランク出力リミッター解除を許可する。アルト総隊長、みんなのこと頼んだよ」
「了解!。あとは俺達に任せてゆっくり休め。目を覚ます頃までには全部終わらせておくからよ」
「頼もしいな」
「よし、フォワード陣出動!」
『はい!!』

はやての目の前に魔法陣が現れ、みんなのリミッターを解除、フォワード陣は降下ハッチへと急いだ。

「なぁ、ほんとに寝なきゃならんの?」
「当然です。このままですと、サイ・エネルギーの供給最低値を下回ってアーキが落ちます。
湾岸地区を火の海にするおつもりですか?」
「うっ、さすがにそれは」
「リィンちゃん、はやて隊長を見ててもらいます?。その間にあなたも休みなさい」
「わかった」
「はいです」
「念のためがジェットを再分析。それじゃみんな、後のことは頼んだよ」
「はい、お任せください」

はやてとリィンはブリッジを出て艦長室に向かう。
制服の上着を脱ぎベッドに横たわる。

「これでホントにいいんやろか?」
「今はシャマルやヒメルの言うことを聞くですよ」
「そやね、でもアーキのエネルギー問題は何とかせえへんとな。後でアルトくんにでも頼んでみよう…………」

考えることは沢山あるが、疲れからかその意識が段々と落ちていった。


「トール三尉、こちらはもうだめです!」
「諦めるな!。もうすぐフォワード陣が来る、それまで粘れ!」

前線で粘るバックヤードだが、ガジェットの圧倒的な物量に押されていた。

「待たせたな」

ガジェットを破壊しつつ空から舞い降りるのはフォワード陣の面々。

「アルト隊長」
「ご苦労様、トール三尉。あとの指揮は俺が引き継ぐ」
「八神部隊長は?」
「俺達をここまで運ぶのに心身共に疲労困憊だったからな、医務官権限で強制的に休ませている。
起こすようなマネはするんじゃねえぞ」
「分かりました」
「バックヤードは援護射撃しつつ後退、けが人の治療に当たれ。
各フォワードは先行隊を撃破しつつ本隊の攻撃に備える。水際で抑えるぞ!」
『了解!!』

アルトは剣形のトリニティ・デバイスを構える。

「行くぞ、ダーク・スラッシュ」
(Yes dear Master)

凛々しい女性の声で応答し、カートリッジをロードする。


4時間後、聖王教会カリム=グラシアの執務室。

「分析の結果。今回惑星フォーレと湾岸地区に現れたガジェットですが。U型についてはサイズの差はありますが
構造上はほとんど同一。しかし6年前のJ・S事件で使われていたものと比べると相違が見られ――――」

薄暗い部屋の中、映像をふまえシャーリーの報告を聞くのは、
この部屋の主である騎士カリムとクロノ提督とアニス提督の後見人陣、それにはやてをはじめとした六課隊長陣。

「また、詳しい内部解析はもう少し時間が掛かり、終了し次第報告いたします。以上、解析報告を終わります」

モニターが消えると同時にブラインドが上がり部屋に日の光が差す。

「さて、困ったな」

最初に声を上げたのはクロノだった。

「当時のガジェットと資料は全部破棄されたはずだよね?」
「うん、私達も立ち会ったし」
「だとすると6年前、スカリエッティが何らかの方法で向こうとのコネクションを作り技術を提供したということ、か」
「それはありえないわ」
「それはなぜです、アニス提督?」
「もし、6年前にコネを作ったとすると海賊やマフィア、裏の世界辺りだと思う。
だけどアーシナルに保管されているここ6年間の戦闘記録にはそれらしきものが投入されたと言う情報は無い」
「なぜそこまで言える。隠してきたかもしれないだろ?」
「こっちの世界の裏の奴らはU・Fを倒すのに必死でね。最新鋭の武器を手に入れればすぐにちょっかいを出してくる。
だから隠して研究して強くするよりも実践投入を優先しているわけだ」
「なるほど」
「だとするといったい誰が?」
「スカリエッティの残党と言う説は?」
「ありえるかもね、ナンバーズ達も知らない協力者がいた可能性だってある」
「私、スカリエッティに会ってきます」
「収穫は無いかもしれないけど、頼んだよフェイトちゃん、
必要とあらばディアナとプレシアを執務官として動かしてもいいから」
「わかった」
「今回の件で一番怖いのは向こうにガジェットが現れたと言うことや」
「ああ、逆に言えば向こうの世界の兵器も流れてきたっておかしくないわけだ」
「核兵器はもちろんMSでもミットには対抗できる手は無いに等しい、下手すれば滅びるかもな」
「うん。それに10年前の予言も気になるしね」
「それってフェイトちゃんの……」

10年前の予言とは、アルトとフェイトの結婚式をガイアで行った際、フェイトがアサギと言う女性に言われた言葉である。

―――赤き、欲望と復讐の種、芽を出し、その咲く赤き花は法の塔を三度燃やすであろう―――。
一つ、古の王が復活し、その翼と12の使者は民に恐怖を与える。白き聖母とその仲間、
王を討つべく立ち上がりその御身を焦がす。
二つ、二度赤き花咲き乱れ、民を混沌に落とすだろう、神の二つ子引き裂かされし、これより混沌への道を歩まん。
三つ、黒き翼に宿る呪いの炎、三度法の塔を燃やし、ついに塔は焼け落ちる。黒翼の天使、戦士を滅し、
白翼の天使が黒翼の天使を食らう。最後に残りしは一人の赤子のみ。

「一つ目はJ・S事件のことだと思うねん。法の塔とは地上本部。事件にスカリエッティが絡んでようと絡んでいまいと、
予言が当たろうと当たらなかろうとあと2回、クラガナンは危機にさらされる可能性はある。
だから私は六課を復活させたんや」
「それではやて、今後の対策方針は?」
「みんなには悪いけど24時間体制で当たるしかない。何かあったらすぐアーキで飛んでいって対応する」
「手がかりが少ない現状じゃそれがベストか」
「それでクロノくん、アーキの飛行許可なんやけど」
「分かってる。しかしわけの分からない船を飛ばすわけには行かない。多少の情報提供はしてもらうよ」
「お安い御用や」


「すみませ〜ん、八神部隊長から依頼があった資料を届けに来ました。受領印をお願いします」
「ご苦労様です」

受付でヴィヴィオがサインをもらっていると

「ヴィヴィオ」

フォワード陣が通りかかるところだった。

「ママ、じゃなくてタカマチ三佐」
「お姉ちゃん、何か資料頼まれてたの?」
「だめだよことは、ちゃんとスクライア司書って言わないと、ねぇ、ママ」
「ヴィヴィオも普段どおりに戻ってるよ」
「それにしても同じ苗字が沢山いてこんがらがっちゃうね」
「まぁ、同じ家族がひとつの職場にいるんだから。まぁ幸いなのは階級が違うってことね」
「でも私とお姉ちゃんは同じ一尉だよ」
「立場が違うでしょ、執務官と補佐って言う」
「それじゃ私は出かけてくるから」
「うん、いってらっしゃい、フェイトちゃん」
『いってらっしゃい』


第9無人世界グリューエン。
凶悪犯罪者を収監する軌道拘置所。
その一室に1本の通信が入った。

「"お久しぶりですね。ジェイル=スカリエッティ"」

通信主はフェイト、ここでは脱走防止の為に事情聴取や裁判は全て地上本部または本局との通信で行われ、
収容者を外に出す事なく行われる。

「やぁ、久々に見る顔だね、何年ぶりだろうか?」

この独房の住人、ジェイル=スカリエッティはモニターを見ることなく俯いたまま答える。
ちゃんと食事を摂っていないのだろうか、少し痩せて見える。

「"昔話をしに通信をしてきたわけではありません。あなたに聞きたいことがあります"」
「ほう、今は何もできないこの私に何の用かね?」
「"今から6時間前、第97管理外平行世界ゼロ星系、第4惑星圏とクラナガン沖合いにあなたが開発したガジェットが
多数出現しました。当時の犯行メンバー以外に協力者の存在、またはその世界の組織とコネクションはありましたか?"」

質問と共に解析用に撮ったガジェットの映像を流す。

「私に仲間などいないしコネクションも無い。しかし……フフフフ、そうか、とうとう彼が動き出したか、アハハハハ……」
「"彼?、彼とは誰です!、答えなさい、スカリエッティ!!"」

しかし、スカリエッティはただ笑うだけで一向に答えようとはしない。
仕方が無いので今日は引き上げはやてに報告することにした。


「まったくよぉ。ジェイのおっさんも人使いが荒いぜ。使えるもんがあったら持って来いなんてよ」

旧スカリエッティのラボ。
今は活動を停止している薄暗い中、一人の少年が彷徨っていた。
銀色の髪に金色の瞳、そしてナンバーズのような黒っぽいボディスーツの上から茶色のコートを羽織っている。

「フンフ、そう言うなよ」
「俺達だってゴミ漁りに来たんだからよ」

すぐ近くに2人の少年、フンフと呼ばれた少年に格好は似ているが、茶髪に金の瞳、容姿がそっくりなことから双子だろう。

「ドライ兄にフィア兄。なんだ、2人だけかよ」
「仕方ないだろ、アインスの兄貴は変態の護衛だし、ツヴァイ兄貴でも連れてくるか?」
「やめれ。あの狂人と一緒にいたくねぇ。暴れてどんなとばっちりに会うか」
「まぁ確かに」
「でもよ、ここで俺達の1世代前の戦闘機人が作られていたんだろ。全部で12体、全員女だっけか?」
「ああ。今はそのほとんどが更正プログラムを受けた後社会に進出し、残りは変態博士と共に独房入り、一人は死亡だとよ」
「弱い女ばかり12人、中には幼女もいたって言うじゃねぇか、そんなにはべらかせて何考えてたんだ?」
「やっぱりジェイと同じで変態だったんだな」
「蛙の子は蛙というやつか」
「アハハハ、言えてる」

薄暗い空間の中に3人の笑い声が響く。

「変態とはひどいな、考えが独創的と言ってくれ」

そこに突然の男の声と響く複数の足音。
暗がりから現れたのはスーツを着た青髪の青年、その後ろにも一人いるが、暗がりで顔すら見えない。

「アインス兄」
「げっ!、ジェイのおっさん!!」
「口を慎め、フンフ!」
「でもよぉ兄貴」

話の内容からするとスーツを着た青年がアインスで陰で見えない男がジェイらしい。

「まぁ、いいではないかアインス。親しみをもたれるのはいいし、私もそう呼ばれる年齢なのだから」
「しかし、それでは弟達に示しがつきません」
「私は構わんよ。仕事さえきちんとしてくれればね」
「ほらほらぁ、本人もいいって言ってるし。それでおっさん、その仕事とやらはいつになったらやらせてもらえるんだい?」
「アインス、作業の状況は?」

ジェイに言われアインスはモニターでデータを出した。

「現在、建造作業は35%を完遂、物資は十分に揃い、完成まであと5年と言ったところでしょうか」

モニターにはいろいろなデータのほかに、巨大な何かがロボットによって建造されている映像も映っている。

「5年〜!。そんなに待てねぇよ」
「まぁまぁ、そんなに慌てなくて良かろう」
「それとジェイ様、完成には一つ問題がありまして」
「何かね?」
「対魔法防御シールドなのですが、ミッド式、古代・近代ベルカ式のデータは十分なのですが、
ガイア式のデータが不足しております」
「なるほど、それはまずいな。誰か協力者でもいればいいのだが」
「協力するわけねぇだろ、俺達悪人に」
「簡単だ。戦闘のどさくさに紛れて攫ってくればいいだけだ」
「女にしようぜ!、そのほうが愉しめる」
「でもよ、女でも強いんだぜ」
「成人前の少女なら大丈夫じゃねえか?。魔力封印の首輪もあるし」
「いかがですか、ジェイ様?」
「ふむ、ついでにあの部隊のデータも取っておきたいからな……2週間後に公開意見陳述会がある。
襲撃はその日にしよう。パーティーの前にでかい花火でも上げようじゃないか。その混乱に乗じて攫ってくるといい。
せいぜい好みの子を攫ってきたまえ、しばらく君達と一緒に暮らすんだからね」
『は〜い』
「どれ、そうと決まればトレーニング、トレーニング」
「かわいい子が見つかるといいなぁ」

3人はそれぞれ喋りながらその部屋を出た。

「さて、アインス、我々も行こうか」
「ここはもうよろしいのですか?」
「ああ。アイツのことだから何かあると思ったが所詮は操り人形さ」

2人も薄暗い通路をゆっくり歩き、ラボを去っていった。


「彼が動き出した、か……」

フェイトが六課に戻り、そのままカリムの執務室で会議と相成った。

「はい、確かにスカリエッティはそう言いました」
「協力者ではないスカリエッティと面識または交流のある誰かが動いているのか」
「と言うことは同じ科学者?、目的はスカリエッティと同じなのかな?」
「そうとも限らん、しかしガジェットを改造・量産できるほどの科学者が仲間にいることも確かだな」
「そのことなんやけどな、ガジェットの詳細解析が終わってな、興味深いことが分かったで」

はやてが出したモニターに大きな機械部品が映し出された。

「ガジェットの残骸部品なんやけどな、ここん所よく見てや」

拡大ズームされた部分には小さなプレートが、そしてそこには"J"と書かれていた。

「ジェイ?」
「多分、製作者の名前だと思うねん」
「わざわざ書き込むなんて随分自己顕示欲がある人みたいね」
「性格はスカリエッティ寄りってことか。これならプロファイリングも簡単に出来そうだね」
「それだけじゃあらへん。今回は使ってなかったみたいだけど、内部に5.56ミリのバルカン砲も確認できた」
「魔法技術と質量兵器のハイブリットか、これはJS事件並みに大規模な、いやそれ以上の事件になるかもな」
「そうなると次の事件発生予測がキーになるね」
「大丈夫。大体、見当はついている」
「?。本当ですか、アニス提督?」
「相手が自己顕示欲の固まりだろうが、世界征服者だろうが、テロリストだろうが、やることは一つ、
お偉いさんから一般人まで、一人でも多く自分の力を見せ付けること。お偉いさんが集まって一般人も注目する
イベントなんて今後1つしかってないじゃない」
『……2週間後の公開意見陳述会!!』
「そう。絶対そいつはその日に仕掛けてくる。でも規模はどれくらいか分からないから
警備を増やしても十分すぎると言うことは無いはずよ。
もしかしたら下の街にも飛び火するかもしれない。そんな予感がするわ」
「用意に越したことは無い、最悪なケースを想定した住民の非難プランも平行して考えなくてはいけませんね」
「それなら早速関係部署に連絡を」
「もちろんだ。それらの手はずは我々の方で整えておく」
「頼みます」


2週間後、PM8:30、六課隊舎屋上リポート

「それじゃ先に行ってるね」
「ああ、すまねぇな」
「ううん。ことはのこと頼んだね」
「アリシアとプレシアも」
「ああ。みんなまとめて面倒見てやるよ」
「それじゃ行ってきます」

スターズ、ライトニング分隊を乗せたストームレイダーが夜空に飛び立った。
公開意見陳述会の警備のため数時間前から警備を開始するのだが、
ストライク分隊は睡眠を優先させるため、隊長陣の配慮で翌朝出発になった。

「私等もあと数時間後に出発や。それまで仕事終わらせんとな」
「そんじゃ俺も寝るとするかな」

翌朝AM9:00、時空管理局ミッド地上本部。
公開意見陳述会2時間前。
他世界、他部隊の主要人、隊長、報道陣で賑わいを見せる中

「それじゃ俺はこっちを――――」

六課隊長陣が最終確認をしていると

「ママ……」

プリシアが現れた。

「どうしたのプリシア?」

いつものハキハキとした元気さはなく、体が震え、目に涙をため今にも泣きそうだった。

「何かあった?」

フェイトが腰を下ろし聞くがプリシアは何も答えることもなく抱きついた。

「私…怖い……」
「怖い?」
「何か怖い夢でも見たんじゃないの?」
「うん……黒い水に沈むユメ、それで起きたらパパやママやみんなに会えなくなるような気がして……」

フェイトは震えるプレシアの体を優しく抱いた。

「大丈夫だよ。みんな何処にも行ったりしないよ、もちろんあなたもね」
「そうだぞ。もし何かがあっても俺達が守る、必ずな」
「うん……何だかそれを聞いたら怖くなくなってきた」

プレシアにいつもの笑顔と元気が戻ってきた。

「よし、それじゃ俺達は中に入るから外部警備を頼んだぞ」
「まかせて」

3人はプレシアと別れて建物の中に入ってゆく。
一昔前は、建物内にデバイス持ち込み禁止であったが、JS事件後見直され、持ち込めるようになった。
しかし、それに伴い通常警備が一層厳しくはなったが。


陳述会開始から6時間後。
六課のフォワード陣が集まり休憩に入っていた。

「開始してもう6時間か、早いものね」
「もうすぐ会議も終わりですね」
「でも最後まで気を抜いちゃダメだよ。6年前のこともあるし」
『はい』

その頃、地上本部から少し離れた上空、そこに6人の男が浮遊していた。
ゼット、アインス、ドライ、フィア、フンフそして

「ったくよぉ、何時間待ちゃいいんだよ!!」

もう一人の男、赤いツンツン髪の筋肉質な男、ツヴァイが叫んでいる。

「ツヴァイ…うるさい」
「んだと、ちびっ子。俺は早くヤりてぇんだよ!、断末魔が聞きてぇんだよ!!」

目を血走らせながら叫ぶツヴァイ。
前にフンフが狂人と言っていたが、文字通り相当危ないようだ。

「"やぁ、みんな、調子はどうだい?"」

モニターに映ったのはオールバックにした青い長髪を後ろで結んでいる中年の男だった。

「オヤジ!!。いつになったら始まるんだよ!!」
「"まぁまぁ、そう慌てるな、アインス、配置のほうは?"」
「はい、すでにステルス迷彩を展開したガジェットの配置を完了しています」
「"よろしい。もう一度言うがこの作戦はあくまで実験素材の採集にある、羽目を外し過ぎないように。
この後にも大きなパーティーが待っているのだからね"」
「わかってますって、アインス兄とツヴァイ兄が会議室を抑えて残りの俺達がかわい子ちゃんを探すんだろ?」
「"分かっているなら結構。さぁ、遊んできたまえ"」
「よっしゃ!、行くぜ!!」
「ツヴァイ待てっ!」

勢いよく飛び出すツヴァイにそれを負うアインス。
空間が歪みその後ろを何かが付いてきているのがわかる。

「兄貴ってば元気だねぇ」
「それじゃ、俺達も――――」

ドライが指をパチンと鳴らすと、周囲の空間が揺らぎガジェットU型が現れた。

「狩を始めようか」

ドライ、フィア、フンフの口元がニヤリと釣り上がる。







あとがき

Krelos:前半のクライマックスです。今回のナンバーズはドイツ語にしてみました。
この後、後半は文章も展開もグダグダのドロドロになっていくはず……。
だけど頑張って書いていく!。たとえそれがハッピーエンドじゃなかったとしても!!。
そしてまだ数名のキャラの存在を素で忘れてしまった。





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