「ダメです!、レーダー及び通信系、全てジャミングを受け使用不能です!」 「落ち着け!、バックアップを立ち上げ急げ!、アラート発令、防護シールド展開」 本部全体にアラートが響く。 第7話 悪夢 「防護シールド?」 突然のシールド展開に外部警備に当たっていた局員達が慌てふためく。 「東側上空よりガジェットの接近を確認。その数、100以上!」 空だけではない、地上からもT型、V型、W型がかなりの量進軍してきている。 「西南北側エリアからも同様の報告が!」 「落ち着け、避難誘導班は報道スタッフと本部より半径5キロ圏内の住民の避難、警備班は迎撃体制を、急げ!!」 「提督の予想が当たっちゃったね」 「そうだね」 「そし、お前等、緊急時指示は覚えてるな、各自配置位置に急行、行くぞ!」 『はい!』 ヴィータを先頭に各フォワードが前線に赴く。 「やはりこの日を狙ってきたね」 「シールドのおかげでまだ進入された様子はないけど」 「イヤッホウ!、突っ込むぜ!!」 「待てツヴァイ。向こうはもうシールドを展開しているぞ」 「シールド?」 「アンチマジック・マテリアルシールドだ。これを突破するのは容易ではないぞ」 「そんなもん、動力炉が無ければ意味がねぇんだよ!。IS発動、リープ・アタック!!」 テンプレートが展開され指をパチンと鳴らす。 本部動力室、まるでテレポーテーションのように突然数個の物体が現れ、爆発、室内を火の海にする。 「!?」 「動力室がやられたか」 室内が突然停電になり、会議室にいる面々にどよめきが走る。 「落ち着いてください、すぐに非常電源に切り替わりますので」 係員が言ったとおり、すぐに電灯がついた。 「なんだ?」 「非常動力が動いているようだな」 「だぁぁあぁああああ!!、俺はこんな所でチマチマしてねぇで早くヤりてぇんだよ!。兄貴、防御を頼んだぜ」 「はぁ〜っ。IS発動、アブソリュート・バリア」 アインスはため息をしつつ自分とツヴァイをバリアで包む。 「行くぜ!。IS発動、ゲート・オブ・アーセナル!!」 地上本部上空、突然空間が揺らぎ、そこから零れ落ちたのはドラム缶のような鉄の筒が2つ。 自由落下により降下、本部の最高部のバリアに触れた瞬間、夜を昼に変えるような眩い光、聞き取れんばかりの轟音。 『うわぁぁぁぁあああ!!』 衝撃波と煙がシールド伝いに降り本部全体を揺らしガジェットと、 それと戦っていた局員達と共に周辺の街を飲み込んでゆく。 『うわぁぁぁあぁあああああ!』 「退避!、退避〜!!」 シールドを襲う過負荷にとうとう非常動力炉が負け爆発、室外周辺にいた局員達はそれに巻き込まれた。 「何だ?」 それだけではない、それによりシールドは喪失、建物は第2の衝撃波により一部、 融解・崩壊し残りの外部警備員すらも飲み込んだ。 「フュ〜ッ。昔の人間はよくこんなエゲつないものを考えついたもんだ」 「人とはかくも恐ろしいものだな」 高みの見物をするアインスとツヴァイ。 「"こらぁ〜〜〜バカ兄貴!!"」 そこに通信が入り、いきなり怒鳴るつけるドライ。 「"いきなり指向性殲滅爆弾を使う馬鹿がどこにいる!!"」 「"かわいい女の子もこれでケシズミだよ〜"」 「ケッ、神族がそう簡単にやられるかよ。それじゃ俺達は行くからお前等は瓦礫でもあさってこいよ」 「"あっ!、こらまてっ!!!"」 2人はまだ晴れぬ雲間へと消えていった。 「っててて。一体なんだったんだ?。ロングアーチ聞こえるか?」 ザザザザ……。 「チッ、通信妨害か。AMFも段々濃くなってきてるしな」 「アルト!」 自分の名を呼びそして近づいてくる声。 「フェイトか!」 そして現れるフェイトとなのは。 「大丈夫?」 「何とか、それで今どんな状況だ?」 「通信妨害とAMFでそんなには分からないけど、本部内では負傷者に応急手当をしているところ」 「外の様子は出てみないと分からないよ」 「さっきの爆発からすると相当な威力のものだ。外の様子が心配だ、 市民の避難が済んでればいいけど……最悪な場合も考えられるな」 その時、微かではあるが人の叫び声と銃撃音が聞こえてきた。 「何今の?」 「俺は会議場に行く、お前達は動ける奴らと共に外に出て状況を確認し対処してくれ」 「でも」 「内より外のほうが被害が甚大かもしれないんだ、人手は多いほうがいい。 それと出来たらロングアーチと連絡を取り指揮系統をアーキリュミエールに移動、全体の情報収集を担当。 近隣部隊に救助要請も忘れるな、最悪、俺やアニスの名前を使って U・Fを出させろ、とにかく動ける奴は片っ端から集めろ!」 『了解!!』 3人は二手に別れ急ぎ向かった。 「皆さん大丈夫ですか?」 会議場は比較的無傷だったが大きな揺れで転び負傷する者もいた。 「主はやて」 「外の様子はどうや?」 「ダメです。所々崩れていて大変危険な状態です」 「動力系も完全にイカレていて非常エレベータすら動かない状態だぜ」 「AMF濃度も高いしなぁ」 「私がシールドを張ればいいんだけどさすがにこの人数をいっぺんにはね」 その時、人の叫び声と共に銃撃音が聞こえてくる。 それも止み静寂の中、コツコツと複数の足音が響く。 ゴン!。 そこへ壁を叩く鈍い音と共に正面壁の右側に亀裂が走る。 ゴン!ゴン!と何度も響き、そのたびに亀裂が広がる。 会場にいる者に緊張が走る。 そして音を立て崩れ落ちた。 「誰だ!」 「皆さん大丈夫ですか?、機動六課、アルトリウス=ゼファーです」 「なんや、アルトくんか」 「八神隊長、ご無事ですか?」 「ああ、怪我人もいるけどみんな無事や」 「そうか」 その時、またしてもゴン!ゴン!と何度も壁を叩く音が。 今度は正面壁の左の壁に亀裂が走る。 再び緊張が走り、崩れ落ち、出来た穴から現れたのはアインスとツヴァイ。 「よう、お偉いさん方」 「みんな急いで!」 なのは達は動ける局員達を集め、フェイトの法術で瓦礫を取り除き 高速エレベータのシャフトをラベリングし、外を目指した。 「なっ、なにこれ……」 「…………………」 そしてボロボロのエントランスを通り外に出た瞬間、驚愕した。 辺り一面見渡す限りの焼け野原、近くに立てられた建物郡は完全に崩壊し更地と化し、 炎の明かりで照らされる遠くにある建物も今にも崩れそうだった。 「こりゃひでぇ」 「嘘だろ!」 「なっ、何があったの?」 多分、新暦以後、こんな大規模な破壊は無いだろう。 全滅。脳裏に浮かぶその二文字がぬぐいきれない。 「そっ、そんな……みんな死んじゃ――――」 「みんな気をしっかり!」 パニックになりそうな女性局員達をなのはが一喝する。 「悲しむのはあと、今は生存者を探すよ。私とフェイト三佐の班に分かれ警戒しつつ念話とエリアサーチで生存者の捜索」 『はっ、はい!』 「フェイトちゃん。ロングアーチの方お願いできる?」 「任せて」 「それじゃみんな行くよ!」 『はい!』 なのは達はバリアジャケットを纏い、2班に別れ捜索を開始した。 「ロングアーチ、こちらライトニング01.聞こえますか?」 「"こちらロングアーチ。シャリオです。フェイトさん無事ですか?"」 「何とかね」 「いったい何があったんですか!、いきなり本部方向の空が明るくなったと思ったらものすごい衝撃波が」 「"私にも分からない。ただ外は酷い有様になっていた。グリフィス君"」 「はい、フェイト隊長」 「"アルト隊長より、ロングアーチは指揮系統をアーキリュミエールに移動、現状の把握と情報収集に当たって、 それとバックヤードを救助によこして、近隣部隊にも救助要請、U・Fにもアルトの名前を使って救助要請を"」 「了解しました。ヒメル、発進の準備を」 「了解」 「アルト、ルキノ、さっきの爆発の観測データを、アーキで解析するわよ」 「分かっていますって」 データを媒体に写し、転送ポットでアーキへ、六課隊舎の上空が揺らめきアーキリュミエールの船体が現れ発進する。 地上本部、半径5キロ圏内。 全てが瓦礫と化し燃え盛る炎が辺り一面を照らす、 生きている者すらいないだろうと思える中、モゾモゾと瓦礫の一部が盛り上がる。 「ぶはっ!」 立ち上がる小さな人影、騎士甲冑を纏ったヴィータだ。 「だっ、大丈夫かリィン?」 「げほっ!げほっ!。何とか大丈夫です。他の人達は?」 「……ダメだ」 ヴィータの近くには、かつてヒトだった黒い物体が何体も横たわっている。 あの時、外にいた局員達は、瞬時にバリアを展開、衝撃波を防いだが中には途中で力尽き巻き込まれる者も少なくなかった。 「畜生!、なんだったんだよアレは!!。本部は!、はやて!!」 「落ち着くですヴィータちゃん。本部は一部倒壊していますけど会議場のほうじゃないです、 きっとはやてちゃんもみんなも無事です」 「そっ、そうか」 「今は生存者を探すほうが先です」 「そっ、そうだな。おーい、誰か生きてるかぁーーーー!!」 だがしかし、答える者はいなかった。 「ダメか!」 「諦めちゃダメです、念話も使うですよ」 「"こちら機動六課、スターズ分隊のヴィータだ、誰か生きてたら返事をしろ"」 「"…………"」 「ダメか!」 「"……こちら機動六課、ライトニング04、キャロです、ヴィータ副隊長"」 「"キャロ!!、大丈夫か?、他の生存者は近くにいるか?"」 「"はい、私のほかに数名ほど、それとエリオ君が足に怪我を負って動けない状態です"」 「"そうか、少し待ってろ。おい、他に生き残りはいないか?"」 「"スターズ03、04、両名とも無事です。今スバルが要救助者の救助に当たっています"」 「"こちらストライク02〜05、全員無事です。こちらも少数ではありますが 生存者がいます、負傷者がいるので手当て中です"」 「よかった、みんな無事です」 「"よし、生存者と共に一旦全員北エントランスに集合、負傷者の手当てと安全を確保した後、生存者の捜索を再開する"」 『"了解"』 「"スバル"」 「"はい。ヴィータ副隊長"」 「"救助に関してはこの中でお前が一番プロだ。捜索隊の指揮を執れ"」 「"分かりました。それでは後ほど"」 「はやて達は大丈夫かな、"はやて、シグナム、アギト、聞こえるか?"」 ザザザザザ……。 「ちっ、内部は妨害がまだ強いのか、"なのは、フェイト!"」 「"ヴィータなの?"」 「"フェイトか、そっちは無事か?"」 「"うん、今なのはと生き残った人達で生存者を探している"」 「"ヴィータちゃん"」 「"なのはか"」 「"うん、そっちは無事なの?"」 「"リィン共々な、今フォワードとの連絡が取れたところだ。 安心しろ、エリオが足を怪我しているみたいだけどみんな無事だ"」 「"よかった"」 「"はやては無事だったか?"」 「"分からない、会議場にいる限りは大丈夫だと思うけど、アルトくんが向かっているからきっと大丈夫だよ"」 「"そうか。こっちは北エントランスに怪我人を集めて安全を確保した後、スバルを筆頭に捜索隊を結成する"」 「"わかった、私達も合流する"」 「"こっちもロングアーチを通して近隣部隊とU・Fに応援を要請している。 今アーキでバックヤードも救助に向かっているよ"」 「"分かった。とりあえず合流だ"」 「"了解。敵残存部隊も残っているかもしれないから気をつけてね"」 「"了解"。さて、行くぞリィン」 「はいです」 「シャーリー、それで何が起きたか分かったか?」 「はい、地上本部の上空で何かが時間差で爆発、第1次衝撃波が防護シールドに負荷をかけ動力炉を破壊、 そのまま衝撃波が周囲の街を破壊。その後シールドは消失し、 第2次衝撃波がその中にいた人と建物を破壊したと思われます」 「防護シールドが喪失!?。そんなバカな」 「生き残った本部のデータにハッキングしたところ爆発直前、 メイン動力が何者かによって破壊され、非常用動力に移ったとの情報もあります」 「予備動力のパワーが爆発に耐えられなかったのか。しかしそんな威力の爆発物、 聞いたこと無いぞってヒメル、どさくさに紛れて何やってるの!」 「まぁまぁグリフィス君、今は非常時だし」 「多分、使われたのは殲滅級の熱波爆弾、向こうから渡ってきたものか、はたまた旧暦時代のものか、核 兵器でなくて良かったです。もしそれを使われていたらクラナガンは死の街になりますからね」 「ともかく現場に急行するぞ、敵がいなくなったとは限らないからな」 『了解』 「ったくよぉ、あのバカ兄貴のおかげでとんだとばっちりだぜ」 瓦礫の中をナンバーズ3人組とゼットが進む。 「これじゃ生きている奴なんていない…っていた!」 「なんだって?」 「ほらあそこ」 フンフが指差した先には人影が、生存者だろうみんなボロボロで管理局員はもちろん一般人もいる。 「皆さんもう少しです」 それをだいちが誘導しまわりをアリシア達が護衛している。 「神族の女の子もいるみたいだぞ」 「よっしゃ!、あいつらを襲うぞ」 『おう!』 「お前達、何者だ!」 すでに騎士甲冑に身を包んだシグナムとシャッハが武器を構える。 主達の静止がなければすぐにでも斬りかかっていく勢いだ。 「まぁ待てよ」 「我々は、我が主のメッセージを届けに来た」 そう言い、大型スクリーンに映し出されたのはジェイの姿。 『!!!!!!』 それを見た瞬間、驚愕の表情を表す人達がいた。 「安全は確保できたし、捜索隊も出発した。フェイトちゃん、一休みしよう、さすがに参っちゃうよ」 「そうだね」 その時、モニターが開きアラートが響く。 「"こちらストライク03、プレシア!"」 バックには戦場のようなな轟音、そして険しいプレシアの顔が。 「どうしたのプレシア!?」 「合流中、敵勢力と遭遇し交戦、敵は戦闘機人数名、桁外れの強さです、至急応援を、応援――――」 爆発と共に通信が切れた。 「プレシア!、プレシア!!」 「"こうして顔を合わせるのは久方ぶりですね。どうですかね私の開いたパーティーは?"」 「ジェレイド=イノーブス執務官長…………」 あとがき Krelos:はい、今回はいろいろ場面が変わりましたね。 アリシア:本部と首都が大変なことになっていますねぇ。 Krelos:あなたもその渦中なのですが。 アリシア:まぁ、大丈夫じゃない?。 Krelos:それはどうでしょう。 アリシア:ところであのイカレ筋肉馬鹿のISなんだけど。 Krelos:リープ・アタックとゲート・オブ・アーセナルか?。 アリシア:すごいよね。 Krelos:物質転送と四次元空間貯蔵庫だけどほんとにISと呼べるのかなぁ、たぶん呼べない。 さて、次回で前半のラストです。1話にまとめられるようがんばろう。……そういえば最近、魔法らしい魔法が出ていない。 |