「プレシア!。プレシア!!」
「フェイトちゃん」
「なのは、ここをお願い。私行ってくる」
「一人で大丈夫?」
「向こうにはストライクのみんなもいるし、大丈夫だよ。みんなと一緒に帰ってくるよ」


第8話
We Lose Her


「ジェレイド=イノーブス執務官長……」

ジェレイド=イノーブス。
20年前、現故ギル=グレアムの後を継ぎ若干二十歳で執務官長に就いた。
研究者としての顔も持ち、その並外れた頭脳を駆使し数々の発明、そして難解な事件をいくつも解決に導いた人物。

「どういうつもりだ!?。これは思えが引き起こしたことなのか?」
「"ご名答、とある実験素材の回収と戦闘データ収集のため、私が彼等に頼んだんだよ。まぁ少々やり過ぎた節もあるが"」
「うっせぇぞオヤジ」
「何が目的だ?」
「"目的?。先ほども述べたはずだが、とある実験素材の回収と戦闘データ収集。
でもそれは段階に過ぎない。私の最終目標は今の管理体制を壊し種を植え付けるんだよ"」
「種だと?」
「"ああ、憎しみと言う種をね。人に生みつけられた種はやがて開花しそれは人から人へ、
やがては国家に、世界に、次元に、全てを覆う。そこでは誰もが憎しみあい殺しあう。
混沌に覆われた素晴らしい世界じゃないか"」
「狂ってやがる!」
「"それでは私は忙しい身なのでね、アインス、ツヴァイ、後は君達の好きにしたまえ"」

そう言い残し通信が切れた。

「だとよ兄貴」
「ほどほどにな、私は帰る」
「了解」

アインスは来た穴を戻り、闇に姿を消した。

「待てっ!!」
「おっと、お前等の相手は俺だよ。さぁ、この世と別れの準備は出来たか」

言うと同時、ツヴァイの背後の空間が歪み、何かが現れる。
円状に配列された6つの銃口とそれに続く長い砲身。
給弾口から伸びるのは連結弾、その元には樽のような丸い勤続の物体。

「みんな隠れて!!」
「断末魔を上げて死ねや!!」

キュィーン!、ガガガガガガガッ!!。

砲身が回転し轟音と共に弾丸を撃ち出す。
カランカランと大量の薬莢が地面に落ちる。

「オラオラオラァ!!」
「あんた達!、出てくるんじゃないよ、蜂の巣どころか跡形もなくなるからね」
「何なんだよアレは!」

アニスの声にとっさにテーブルの裏に隠れた要人達。
その中でアルトが叫ぶ。

「M61バルカン砲、普通なら戦闘機搭載用なんだけど使えるように改造したみたいね。
20ミリ弾を毎分4000〜6000、最大7200発発射、あんなアンティークに出会えるなんてラッキーね」

淡々とアニスが説明する。

「テーブルが防弾性でよかったぜってんなこと聞いてるんじゃねぇ!」
「何でいきなりあんなものが?」
「さぁね、あいつの後ろから出ていたみたいだけど。もしアイツが戦闘機人だと仮定すると空間操作系のISじゃないの?」
「それで、これからどうするんですか?」
「カリム、動いちゃ危ないよ」

アニスはリレットから3丁のゴツイ銃を出して2丁をアルトとはやてに渡した。

「げっ!。これってキャスターやないか!。私の骨をボロボロにする気?」
「劣化コピーよ、反動も抑えてある」
「提督!、それは携帯用の質量兵器ではないか、禁止兵器を管理局高官が進んで使うなど!!」
「あん!?、なら魔法撃つために目の前に出てみる?。
あっという間に肉片だけど。それともなに、何かいい案でもあるの?」
「それを考えるのが君達だろうが、戦闘のスペシャリストなんだろ?」
「だからこれよ。つべこべ言ってないで頭吹き飛ばされたくなかったら黙って私の言うことを聞くんだね!」

アニスの気迫にみんな黙ってしまった。

「あのガンポッドは大きさからして12000発、もう少しで弾切れだからそこで仕掛けるわよ。援護お願い」
『了解!』

アニスの読みどおりしばらくした後、弾切れを起こした。

「チッ!」
「バカスカ撃ち過ぎなのよ!」

左右正面から3人が飛び出し発砲する。

ダン!、ダンダン!。
重い銃声が響くが、ツヴァイはとっさにバルカンユニットを捨て回避。

「おりゃぁぁぁぁあ!」

だがそこへアルトの跳び蹴りがヒット、壁をぶち破り隣のフロアまで飛ばされる。

「はやて!」

自分のキャスターをはやてに投げ渡すアルト。

「俺がアイツを足止めする。お前達はその人達を連れて外に行け!、なのは達と合流するんだ」
「分かった。無理は禁物だよ」
「分かってる」
「さぁ、皆さんこっちです!」

はやてを先頭に、アニスを後方にし、その部屋を出た。

「アクアクリエイト」

水柱を出現させ、その中を通りリアの姿になる。

「っててて」

湧き上がる砂煙の合間からツヴァイが現れた。

「あん?。お前女だったのか?。まぁいい、俺を楽しませてくれるのか?」
「ええ、女だからって甘く見ないでね」

グロウ・グラスプを装備し構える。


「ほらほら、どうしたぁ!」
「急いでください!」

ドライ達の襲撃を受けたストライク分隊はアリシアとプレシアがシールドを張りつつ逃げ回っていた。

「皆さんがんばってください、もうすぐ応援が来ますから」
「困ったわね、このままじゃ手が出せないし」
「うわ〜ん!、誰か早く助けに来て〜!!」
「みんな!」

そこにフェイトが駆けつけた。

『ママ!!』
「フェイト隊長」
「みんな無事?」
『はい!』
「ありゃりゃ、これまたかわい子ちゃんが増えたな」
「ここは私に任せてあなた達は行きなさい、救助隊がすぐ近くまで来ているから」
「分かりました」
「だいちくん、ことはちゃん、後は頼んだよ」
「アリシア、プリシア?」
「いくらママでも4人はきついでしょ」
「……分かった」
「さぁ、速く行って!」
「はい!」


「なんやのこれ?」

はやて達が外に出ると、なのは達のように驚愕の色を隠せなかった。

「クラナガンの街が」
「なんということだ」
「八神隊長」
「グリフィス君、どうしてここに?」
「はい、アルト隊長の指示で指揮をアーキに移し救助のためバックヤードと共に駆けつけました。
ロングアーチは情報収集に当たっています」
「そうか、それで状況は?」
「はい。北エントランス付近にタカマチ隊長の指揮で仮設非難所を設営、
バックヤードはスバル=ナカジマ三尉を隊長とする救助隊と合流、救助活動に出ています。
その他に近隣部隊とU・Fにも救助要請の手配を済ませています」
「六課のみんなは?」
「エリオ陸曹が足に怪我を負いましたが、その他のフォワード陣は全員無事です。
ですがストライク分隊が合流中、戦闘機人と思わしき勢力と交戦、フェイト隊長が応援に向かっています」
「戦闘機人か、さっきのやつらの仲間だね」
「シグナム、アギト」
「はい」
「あいよ」
「フェイト隊長を追ってストライク分隊の応援に向かって」
『了解』

シグナムはアギトとユニゾインし応援に向かった。

「私等は高町隊長と合流して体制を整えるよ」
「はい。それと八神隊長、先ほどの爆発に関して解析結果が出ました」
「考えたくも無いことだけど一段落したら聞く」

その時、上空から爆発音が聞こえる。
中層階の窓付近が爆発しガラスが飛び散る。

「いったい何が!?」
「アルトくんが敵と戦っているんや、私等も急ぐよ」
「はい!」


「っててて」

「どうしたの?、そんなものかしら?」

リアが仁王立ちする先には、窓枠から上半身の半分を出した状態で倒れているツヴァイが。

「へっ、女だと思って油断したぜ。だが、これからが本腰だ!」
「来い!」

リアは構えクイックイッと指を曲げ挑発する。

「調子にのんじゃねぇ!、アマァ!!」

素早く起きて鋭い跳び蹴り、だが機動力はリアのほうが高く、即座に避け顔面にパンチを繰り出す。

「のわっ!」

殴り飛ばされながらも、ツヴァイは空間から鉄筒を数個だし投げる。

「!!」

瞬時に爆発物だと悟ったリアは身構える。
鉄筒はバン!と小爆発を起こし、そこからガスが散布させる。

「ごほっ!、ごほっ!、ガス・グレネードか!」
「ああ、神経性のな」

少しガスを吸ったのか、目が霞み体の力が抜けてゆく。

「いくら神族でもこれはこたえるだろ。さぁ、楽しい時間の再開だ!」
「ナメるな!、ボムディ・ウイン!!」

風の魔法でガスは消すことは出来たが、まだ痺れは残る。

「おらよっ!」
「うっ!、がっ!」

ツヴァイのニーキックがリアの腹に入る。

「まだオネンネには早いぜ!」

強烈なラッシュが容赦なくリアの腹を抉る。

「がっ!、けほっ!げほっ!」

湧き上がる胃の内容物と共に血を吐き出し

「オラオラ、どうした?、もっと聞かせてくれよ、恐怖にかられた悲鳴をよ!」
「あぁぁぁぁああ!!」

コンバットナイフを取り出しリアの肩に突き刺した。
それだけではない、引き抜いたナイフを身体に這わせあちらこちらに傷を残してゆく。

「ちょっと!、傷跡残ったらどうするのよ!!」
「へっ、口がへらねぇ女だ。そんなに言うなら二度と消えねぇ傷をくれてやらぁ!」

リアの身体を起こし目元を横一線。

「くっ!。あぁぁぁぁぁぁああああ!!」

2度目の悲鳴が薄暗い建物内に響き渡る。
眼帯は二つに割れ、唯一残った左目も潰れた。
ツヴァイの手から開放されたリアはその場にうずくまった。

「ハッ!、そうだ!。もっと、もっと悲鳴を上げろ!!。俺を楽しませろ!」

頭を蹴り上げ床や壁に血が飛び散る。

「ハァハァ!………そっ、それで終わり?」
「あん?」
「それで終わり?。それだったらチャンチャラおかしいわね」
「んだと!!」

リアは力無くだがゆっくりと起き上がり、目元と体中を血に染めながらファイティングポーズをとる。
荒い息遣いもだんだんと整えられ、自分のペースを戻す。

「へっ、目もやられて満身創痍のお前が何が出来るって言うんだよ!」
「いいからかかって来なさい。血が足りないから分殺、いや、秒殺でカタつけるわよ」

再び指で挑発する。

「このアマがぁ!!」

キレたツヴァイはナイフ片手にかかっていった。


「何てことだ……」
「新暦以降、八十余年。未だこんな大被害は経験したことは無い……」

避難所、指揮発令テント。
グリフィスから爆発原因と救助状況についての報告を受けはやて以下各世界要人は愕然としていた。

「地上本部を中心に最大直径50キロ四方。ほぼ首都全域。
一番被害が大きかった5キロ圏内の住民は避難を完了させたけど、
圏外の人達の救助率は20%。ダメや人手が足らん……なんで、何でや!。何でこんなことになるん!」

状況を食い止められなかったはやては怒りをテーブルにぶつける。

「マイスターはやて……」

その時またもやけたたましい爆発音があり、はやて達はテントを飛び出した。

「瓦礫が落ちてくるぞ、シールドを張れ!」
「何事や?」
「本部中層階付近で爆発を確認」

双眼鏡を覗きながら局員が報告する。

「あっ!、人です!。人が落下してきます」
「誰や?」

双眼鏡のスコープにデータが表示される。

「一人はアルトリア二佐、もう一人はアンノウンです!」


ピューッと風切り音が耳をなぞる。
リアが下になり、それにツヴァイが引張られる状態で落下中だ。

「へっ、俺を落としたところでどってことねぇよ!」
「いや、落ちたのは勢いあまってだ、何の問題もない、これからが本番よ」
「なにっ!!」

リアはツヴァイの顔に手を向け赤い球体が生まれる。

「おい、ちょっと待てよ!」
「いくら戦闘機人といっても頭を吹き飛ばされちゃあねぇ」
「おいっ、やめろ!」
「さようなら。ブラスト・フレア!!」
「があぁぁぁぁあああ!!」

閃光はツヴァイの頭を吹き飛ばし体全体を包みそのまま天高く上り大爆発を起こした。

「はぁ〜っ、疲れた……」

そのまま身を宙に預け気絶する。


「アンノウンを撃破!、二佐はなおも降下中!」
「怪我してるかもしれへん、誰か救助に向かってや」
「はい」
「八神一佐!」
「今度は何や!?」
「敵襲です!」
「何やて!?」
「北方向よりガジェット群接近、数100以上!!」
「戦える魔導師は?」
「かき集めてタカマチ三佐の指揮で迎撃に向かったのですが、その数は10人にも満たないです」
「救助隊にほとんどさいてしもたからなぁ」
「何言ってるの、私等もいるでしょ」

肩を叩いたのはアニスとシャッハ。

「いや、二人には別働隊がいた場合のここの守備をお願いします、前線には私が行く、
みんなは万が一のため負傷者の移動の準備をして」
『はい』


「さて困った。相手は数百体こっちは9人、一筋縄ではいかないね」
「高町三佐、応援に来たで」
「八神一佐」
「それで、敵は?」
「もうわんさか」

暗くてよく見えないが、何かが動いているように見える。

「みんな、ここは絶対死守やよ」
『はい!!』

敵の接近に伴い、各自デバイスを握りなおす。
敵の射程範囲内に入ろうとしたまさにその時

「大丈夫よ。後は私たちに任せて」
『えっ?』

肩を叩かれたような感触、そして優しい女性の声。
驚く二人の間から飛び出すのは、何も無い空間から浮き出るようい現れるGアーマー姿の兵士。

「一斉掃射構え、うてぇぇぇえ!」

構えたライフルからビームが放たれ、それと同時、あちらこちらから眩いばかりのビームの嵐、
それに続く沢山の兵士達、数からしても大部隊だ。前列にいたガジェット群はあっという間に鉄の塊になる。

「そのまま続けろ。……遅くなりました八神准将」

その女性は部隊に指示を出し、はやてに向かい敬礼した。
そこに、はやてに通信が入る。

「"よぉ、久しぶりだな"」
「ユイリィ少艦将?、お久しぶりです」
「"救助要請の件だが本部のほうも出せる部隊が限られててな、ラーナから出すことになった。
1個中隊、2個小艦隊をお前が撤退命令を発令する時まで貸し与える、救助だろうが戦闘だろうが好きに使え、
もとよりお前にはその権限があるんだからな"」
「分かりました、喜んでお借りします」
「じゃあな」

プツンと通信が切れた。

「合流したその時から私達は准将配下となりました。ご命令を」
「そうか。敵勢力の総数は?」
「およそ500、今戦闘中の部隊が全てです」
「中隊を二つに分ける、第1から第4小隊はそのまま戦闘を続行、第5から第12小隊は前線を離れ救助作業、
今は戦闘より救助のほうが大事や。艦隊は衛星軌道上にいるな?。
地上のスキャンデータを元に迅速に要救助者を助けるんや。4個小隊は敵殲滅の後、そのまま周囲の警戒についてや」
「了解!」
「私達も行くよ」
『はい!』


「やあぁぁぁぁああ!」
「よっと、そらよっ!」

傷だらけのアリシアがアックスフォームのアルヴァレスタを振り下げる。
相手するフンフはそれを風を受けて揺らぐ木の葉のように避けナックル付きの拳を揮う。

「くっ!」

それをアックスの光刃で受け止めるが、重たい拳と疲労が支える膝を曲げ倒れてしまう。

「はっ、はっ、くっぅぅぅっ!」

起き上がろうとするが体が鉛のように重く起き上がることも出来ない。

「ん?。兄貴達、ガジェット部隊がU・Fにやられちまった」
「はあっ!、はあっ!……何なのこの2人は?」

呼吸を荒げライオットザンバーを正眼に構えるフェイト。
纏うバリアジャケットもボロボロで全身切傷だらけ、立っているのもやっとという状態だ。

「へっ、お前一人じゃ俺達のコンビネーションには勝てねぇよ」
「そうそう、俺達双子のISにはな」
「フンフ。それで数は?」
「1個中隊ぐらい」
「潮時か。よし、そろそろ撤退するぞ」
「といっても向こうはまだまだ盛り上がってるようだし」

目線を向ける空では

「はあぁぁぁっ!」
「やあぁぁぁっ!」

ザンバーと同じようなフォームのシェドザードと長剣型のデバイスらしきものを
構えたプリシアとゼットが激しい空中戦を繰り広げている。

「ファイアー・ピット!」

鍔迫り合いの後、離れ際に放つ複数の火球、ゼットはデバイスの刃で火球を切り進み

「はうっ!」

プリシアの腹に強烈な一発を食らわせ気絶させた。

「みんな、帰るよ」
「おいちょっと、その子にするのかよ!?」
「時間が無い、行くよ」
「ったく、分かったよ」

ゼットを追って3人が飛び上がる。

「まてっ!」

フェイトも後を追い飛び上がったが
大人と子供、その飛行スピードに差があるので容易に追いつくことが出来た。
しかしあと少しで手が届きそうという時

「お前は要らないんだよ!」
「くっ!きゃぁぁぁ!」

2人の強烈な蹴りにより落下、瓦礫に衝突し砂煙を巻き上げる。


「……ロッサ…テスタロッサ」
「ううっ、シグ…ナム……」

気づくとシグナムの姿が

「どうして?」
「応援に来たんだが」
「ママ……プレシアが、プレシアが……うあぁぁぁぁぁあああああ!!」

アリシアな泣きじゃくる。

「そうだ、プレシアは!?、あいつらに連れて行かれそうになって……」
「私が到着したときには……すまん、私がもっと早く来ていれば……」
「そんな……ああっ、ああっ……うああぁぁぁあぁぁああああ!!!!」

フェイトの悲痛な叫びが夜空に虚しく響き渡る。


「そうか。ツヴァイは死んでしまったか」
「不出来な弟で申し訳ありません」
「いや、データ収集に関しては十分役に立ってくれたよ。さて、素材も手に入ったことだし、忙しくなるぞ」
「はい」


「……こっ、ここは?」
「目が覚めたアルト?」
「パパ」

アルトが目を覚ますとテントの中、そして近くにはフェイトとアリシアの姿が、同時、いくつかの違和感を感じた。
一つは、左目を潰されたのに視界があるということ、代わりにフェイトの右目に眼帯が。

「右目よく見える?。驚いたでしょ臓器生体間移植法術、義姉さんに教わってたんだ。もらった右目、返すね」

もう一つは、必死に平常心を保ち、現実を逃避するかのように淡々と語るフェイト。
アリシアを見ると目の周りが真っ赤だ。

「……何かあったのか?」
「………………」

黙る2人。
アリシアは抱きつき必死に何かを耐え、フェイトも胸元に抱きつき

「プレシアが、プレシアが……攫われちゃったよ………」

か細い声で言い嗚咽が聞こえてくる。

「うっ、ううっ……」

アリシアはとうとう我慢しきれなくなり再び泣く。

「私がいたのに、私にもっと、もっと力があれば――――」
「………………」

アルトはただ抱きしめることしか出来なかった。
悲しいことなのにショックが大きすぎて涙が出ない。


後にこの大事件は、クラナガン・クライシスと呼ばれることとなる。
繁栄を極めた首都は壊滅し、そこに住む数億の人々のうち生存者はその半分にも満たない、
恐怖と悲しみはミッドチルダの人々にいつまでも消えない傷跡を残した。







あとがき

Krelos:前半戦ラスト、何とか1話にまとめることが出来ましたが、あっれ〜?。
もっと盛り上がるはずだったのに、フッ、これも文才が乏しい故か……。
アリシア(成人体?):んであんたは私のかわいいプレシアを誘拐させて何しよっていうの?。
Krelos:そりゃぁまだヒミツって!、アリシアさん、まだアダルティ・フォームは早いですよ、
しかもアルヴァレスタ構えない!!。
アリシア(成人体?):んな事はどうでもいいの!。プレシアは無事なんでしょうね?。
Krelos:今のところ無事なことは無事だけど、これからはダークシリアス一直線だからねぇ。
アリシア(成人体?):何かあったら……分かってますよね(ニッコリ)。
Krelos:ひいいぃぃぃい!!。





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