「私の推測だけど、偽者だった影が本物になろうとしている―――――」
「……どういうことだ?」

ナイジャの言葉が理解できず、みんなは首を傾げる。

「考えてみて、私達が始めてあの影と対峙した時と今回の影の様子」
「……容姿が変わっていたね」
「そう。他に喋らなかったのが詠唱をしていたし。時間が経つに連れて
よりその人物に近づいてきているように私は見えるの」
『!!!!!!』


第13話
聖夜の決戦 〜汝、その名は――〜


「僕もそう思うよ」

考えに賛同したのはユーノ。

「無限書庫内で偶然にも資料が見つかってね」
「それはホントか!?」
「ああ、元々はシャドウ・ドールという要人の影武者をさせるだけのロストロギアだったんだけど、
いつしか手を加えられて要人を暗殺してその人に成り代わるというものになって、
その後も手を加えられ暗殺する相手に恐怖を与えるために相手の最も恐れる者をコピーする機能が付いたみたいなんだ」
「悪趣味ね」
「でもベルダンディーって昔の人でしょ?。思考を読んだけで成り代わることができるの?」
「なのはちゃんの言うとおりやな。本人に出会ってコピーすれば話は別やけど、
今のところ時を越えるロストロギアも発見されてへんし」
「それは私達の世界での話、この世界での時間軸だとまだ生きているから」
「……平行次元世界を行き来できれば……OK……」

メビウスの片言の言葉で会話が切れる。

「それで、倒す方法はあるの?」
「あるにはあるけど、難しいね」
「教えてくれ」
「シャドウ・ドールのコアは夜天の書や蒼天の書と同じ本形のデバイスなんだ」
「それをぶっ壊せばいいのか?、何だ、簡単じゃねーか」
「それはそうなんだけど、そのコアは体内で常に移動・拡大縮小を繰り返していて位置を把握することが極めて困難なんだ」
「要はあの影フッ飛ばしてコアを露出させればいいんだろ?。倒し方が分かったんなら早くフェイトを助けに行くよ!」
「アルフ、そう焦るな。第一、位置も特定していないんだぞ、どうやって助けに行く?」
「それはそうだけど……」
「現状ではまず二人を見つけ出すことだ」
「それじゃ二人を迎えに行きましょうか」
「待てっ!。迎えに行くって何処にだ?。今も言ったが位置が――――」
「全てはフォースの導きの元に――――」


「…………」

気づくとそこは変わらぬ次元の狭間。
首を少し傾ければ、自分に寄りかかり気持ちよさそうに眠るフェイトの姿が、
どうやらあの後二人とも眠ってしまったらしい。

「………」

身体の様子を見る。
魔力のラインはフェイトとちゃんと繋がり、安定している。
安定した魔力と一眠りしたおかげで傷も塞がり体力も回復。

「ううっ……」

そこにフェイトも目を覚ました。

「ごめん。起こしちゃったか」
「ううん。うっ……」
「………」

二人共先ほどまでの行為を思い出したのか、急に恥ずかしさが増してきた。

「かっ、身体のほうはもういいの?」
「あっ、ああ。魔力も安定してるし傷も体力も回復している」
「そう、よかった」
「そっちはどうだ、ラインとか?」
「うん、ちゃんと繋がってる。感じるよ、アルトの魔力」
「そうか。それじゃ、ここから出ようか。二人で」
「うん!」

その時だった。

『!!!』

感じたことがある悪寒。
二人はすかさず法衣とバリアジャケットを羽織った。

「この感覚……」

憎しみを帯びた禍々しい気配が、まるで噴火寸前のマグマのように下から上ってくるようだ。

「すぐにここから放れるぞ」

アルトは再び大隼の姿になり、フェイトを乗せ飛び立った。

「それで何処に行くの?」
「俺達は落ちてきたんだ。なら上に行くしかあるまい」
「そうよね」

それから数分の後だった。
次元の底から上ってくる黒い巨大な物体。
回復が間に合ってないのだろうか、それはとても歪で元の姿を留めていなかった。
それは今までアルト達がいた岩石を飲み込み二人に迫ってゆく。

「アルト、後ろから何か来るよ!!」
「やはり生きてたか、しつこいと嫌われるぞ!」

黒い物体から黒い巨光が放たれる。
アルトは回避し上を目指す。


「ここが現場ね」

みんなは戦場跡である遊園地に来ていた。
時間は午前4時頃、明かりも無く人っ子一人いないそこは不気味だった。

「こんな所に来てどうするつもりだ?」
「まぁ、見てなさい」

クレロスの背が光り翼が生え飛び立つ。
園上空を旋回し、何かを探しているみたいだ。

「見つけた」

手を翳すと現れたのはただの槍。
それを投げ地面の一角に撃ち込む。
撃ち込まれた槍を中心に2メートルほどの魔法陣が生まれた。

「さて、後は待つわよ」

降りてきたクレロスから最初に聞いた言葉がそれだった。

「どういうことだ!?」
「空間内に目印を刻み込んだ。後はアルトが気づくでしょう」
「でもここに現れるとは――――」
「ざっと30分後ぐらいに現れるわよ」
「その根拠は何です?」
「フォースは常に我と共にあり」

そう言い眠ってしまった。

「カティさん、でしたっけ、あれで本当にいいんですか?」
「ああ。アルトからフォースの話は聞いているよな?」
「はい」
「姉貴はな、生まれつきどの誰よりもその繋がりが強いんだ。
だから未来も誰よりも長く見れることが出来る」
「そうなんですかぁ」
「それとな、姉貴を怒らせないほうがいいぞ。一応ガイア三強女神の一柱だからな、
一瞬で消されてもおかしくない」
「カティ…聞こえているわよ」
「ハイッ、スミマセン、オネエサマ」

ドスを効かせたクレロスの声にカティは硬直し顔が青ざめた。

「みんなも休んでおくといいわよ。30分後には激戦なんだから」


「おっとっと」

二人は黒い物体から放たれる攻撃を避けながら上を目指している。

「アルト、あの魔法陣は?」

フェイトの指差す方向の中空には大きく魔法陣が描かれていた。

「ゲッ!、姉貴の紋章法陣!!」
「お姉さんの?」
「これがここにあるってことは来てるのか?」
「お姉さん苦手なの?」
「ある意味な。だが今はそうも言ってられないか」

アルトは底に向かって飛んでゆく。
それを追う黒い物体。

「ララ、ラジュオ、ヴァジュラ、マハ・ラグナ、フリーッ!!。ラグナ・ブレス!!」

黒い閃光が魔法陣の中心を射抜いた。


「………来たっ!」

クレロスが飛び起きたと同時に、槍が刺さっていたところから黒い閃光が飛び出した。

「何だあれは!?」
「ラグナ・ブレス、面白いことするねぇ」

貫かれた地面が割れ、次元断層を広げてゆく。
そこから勢いよく飛び出すアルト。

「何か出てきたわよ」
「すげぇ!、火の鳥だぜ!」

中空でアルトの身体が光り人間形態になり、二人は降り立った。

「やっ、久しぶり」
「やっ、じゃねーだろ。何でここにいるんだよ?」
「そりゃぁ、様子を見に」
「兄貴も、メビウスもなぜ止めないんだよ?」
「止められると思うか?」
「……母様、言うこと聞かない」
「…………」
「二人ともどうしたの!?」

全身血だらけの二人になのは達が驚く。

「ちょっと事情がありまして……」
「それで、ベルダンディーはどうしたんだ?」
「今来るよ」

辺りにゴゴゴゴゴオォォと地響きが鳴り、断層から黒い物体が飛び出す。

「何だあれ!」
「Ita ego lascivio "Fatumcomplectus-gladius-opera!!
―この身は運命を切り開く無限の剣で出来ていた!!―"」

すかさず固有結界を展開した。


「遊園地周辺に固有結界発生を確認」
「みんな、無事で帰ってきてね」


「確かにあれは、少しヤバイわね」

手を翳し剣群を呼び寄せる。

「騎士王よ、しばし貴方の剣をお借りします」

両手には洋弓と黄金の剣。
剣群は黒い物体の周りに集まり、魔法陣を描き束縛する。
クレロスは弓に添えた剣先をそれに向けグググッと弦を引く

「Gather, Under the sword ―集え、聖剣のもとに―」

一節の後、無限の剣の草原がざわめき、その中の光る12本の剣。

「Your, Adopt of sword brave ―汝ら、聖剣に選ばれし勇猛なる者―」

光剣はクロレスのもとに、いや黄金の剣のもとに集った。

「If hate the evil precious justice Precious mind changing blade
―悪を憎み正を尊ぶなら、その尊き意思を刃に変えん―」

12の剣は次々に黄金の剣と同化する。

「Unify twelve-blade Lend power my sword!! ―12の刃を一つにし我が聖剣に力を!!―」

サァァァ!!。
一陣の風が舞う。風は剣から放たれる。
その様子は正しく嵐。同時、魔力も剣に収束してゆく。

「食らいなさい……Knight of Round!! ―忠誠を誓いし12の剣!!―」

タッと放たれた剣矢は黄金の尾を引き、いまだ拘束されている黒い物体へと突撃する。

「わっ!!」

眼も眩む閃光、聞き取れないぐらいの爆音、肌が焦げるような熱量。
すべてを凌駕し、標的からすべてを奪い取る。

「くっ!」
「姉貴!!」

突然クロレスが倒れこむ。
相当な魔力を消費したのか赤かった髪は白くなり息も荒い。

「はぁっ、はぁっ、これで半分ぐらい削れたかな。さぁ次はあなた達の出番よ」
「姉貴、さっきの詠唱って……」
「忘れたの。私はこのセカイの理であり秩序でありそのものなのよ。言語の書き換えなんてぞうさもないわ」
「それじゃあ?」
「あなた達の魔法体系は記憶し世界に組み込んだ。私の権限をみんなに貸し与える、
無限の剣で襲い掛かるものを斬り払い、無限の魔力で強化された魔法を撃て。そして敵を塵あくたも残さず滅ぼしなさい」

みんなは喜んだ、これで戦える。アルトの足手まといにならなくてすむと。

「シャマルさん。姉貴に回復を。兄貴、メビウス。姉貴を頼む」
「あっ、はい」
「任せとけ」
「さて、行くか」

12人がそれぞれ見上げる先には爆発によって四散した黒い物体の残り。
それらは一塊に集まりヒトの形を成そうとする。

「ああ見えてもまだ力の半分をそぎ落としただけだ。回復される前に叩くぞ」
『はい!』
「俺、ナイジャ、シグナム、ヴィータは最前衛、フェイトは前衛、クロノ、なのはは遊撃、
ユーノとアルフはなのは、フェイト、クロノの防御が対応し切れなかった場合のサポート。
はやてとリィンは後衛。ザフィーラ、後衛のガードは任せたぞ」
「分かった」
「姉貴の体力消費からすると結界維持に40分、うち権限行使は30分ぐらいだ。それまでにヤツを倒す。行くぞ!!」
『おう!!』

それぞれの魔力光の尾を引き、反撃が始まった。

(Explosion!!)
「紫電一閃!!」

シグナムが必殺の一撃を放つ。レヴァンティンを包む炎は常時その倍。
歪んだ形へと成ったベルダンディーは歪んだ腕を振り上げその一撃を止める。

「またかっ!!」

まだ対魔力の効力があるのか、強化された魔力ですらも打ち消される。

「シグナム、どけっ!。ギガントォ、シュラァァアク!!」

付加された魔力は消されたが、大質量ハンマーの打撃は効いたらしく、地上に落ちてゆく。

「対魔力といっても許容量がある。思いっきり込めて打ちつけろ!」
「ミストルティン!!」
「エターナルコフィン!!」

着地間もなく、放たれる石化と凍結の魔法により完全に身動きが取れなくなったところを

「はあぁぁっ!!!」
(Sprite Zamber!!)

ソニックフォームによる接近、そしてザンバーによる斬撃で真っ二つ。

「なのはっ!!」
(Starlight Breaker Plus)
「シューーート!!」

急速チャージ、そして発射。桜色のドームが生まれる。

「やったか?」
「まだ分からないわ。ん?」

露出度の高いフェイトのソニックフォームを見て

「フッ、あの子ったら……」

不適に笑い呟いた。

「どうかしたか?」
「いいえ。みんな油断は出来ないわよ」

クレロスの言うとおり爆心地には黒い塊。
現れたベルダンディーの顔が不気味に笑う。

「いかん!!」

現れる金色の魔法陣、門は開かれ召還した剣群が津波か雪崩のように襲い掛かる。

「くっ!」

それぞれの周りに剣が楯となって剣群を防ぐ。
鋼の甲高い音、剣楯と剣群が衝突する。打ち消し打ち消され相殺する。

「ローカルティ・エターナル・エンド!!」

追い討ちをかけるように世界が灼熱に包まれる。

「チッ、私のセカイで暴れるんじゃないわよっ!!」

クレロスの手の一振りにより炎が払われる。

「はぁっはぁっ、畜生!」
「くっ、熱い!」

剣楯とそれに纏う魔力防壁のおかげで燃えつくされることはなかったが、中軽傷の火傷を負ってしまった。
しかも燃焼中に魔力を奪われたらしく、疲労が現れている。

「チッ、ナイジャ!、メビウス!」

クレロスの呼びかけに二人は集い、黒い剣と白い剣が柄で繋がった双刃剣として手に収まる。
赤みが少し戻った長い髪を1本取り、刃先に括りつけ弦とする。
もう1本取り、魔力を流して硬質化、矢とする。

「我が内に眠る炎よ、今その力解き放ち」

髪の弦は刃で切れることもなくしなやかに伸びている。

「うっ!」

ナイジャ、メビウス、クレロスから髪の矢に魔力が集中しクレロスが苦しみで顔を歪める。
いくら魔力が無限でも吸い上げられ装填される魔力のスピードと量に身体が悲鳴を上げているのだ。

「くっ、お母さんの無茶はこれで最後にするからね、もうちょっと耐えてっ。
……その炎の翼持て我らに癒しを、悪しき者に滅びを!。ゴットフェニックス!」

弓から矢が放たれその矢が炎の巨鳥に変わり戦場を駆け飛びみんなを癒した。

「くっ、はぁはぁ。これで最後!。もう権限行使はできないわよ!!」
「くっ、中途半端に回復されてもなっ!」

装填される魔力量に達しておらず、外傷は回復したけれど疲労はまだ抜け切ってはいなかった。
しかし敵は待ってくれない、数本の剣と共に近くにいたフェイトへと襲い掛かる。

「フェイトォ!!!」

まだ利かぬ身体に鞭打ちアルトは駆ける。
以前アルトを支配し、今は静まった負の感情がまた首を擡げ始める。
しかし今はそれを必死に押さえつけ駆ける。たとえ楯になろうがフェイトを護り抜く、
だから力が欲しい。全ての脅威から彼女を護る剣(ちから)が……。
そしてその願いが具現する――――。
刃が肉を貫く嫌な音と共に刃がぶつかる甲高い音。

「!!」

フェイトの眼前にはアルトの背中、その手には光り輝く剣とグローブ。
剣が剣群を弾き、グローブから飛び出た3つの刃がベルダンディーの肩を貫く。
腕を振りベルダンディーをなぎ払う。

「マテリアルファクトが……二つ……」

クレロスとカティウスは驚愕した。
通常、マテリアルファクトは一人にひとつが原則。
例外的にベルダンディーは二つ作っているが、それは子が生まれた後、新たな志を持ったからである。
しかしアルトは同時に二つのマテリアルファクトを生み出した。

「これはどういうことだ!?」
「きっと二人が願ったことだから……」

メビウスが呟く。
剣とクローグローブ。
それはアルトリウスとアルトリアが誓い願い欲した結果。
内なる魔力を収束し誓いと願いによって具現する似て非なるもう一人の自分。

「アハハハ!!。まさかこんな時に生み出すとは!」

クレロスの喜声がこだまする。

「クククッ。さぁ、名前を聞かせて。自らに課した誓いを。汝、その名はっ!!」

名前を付ける。その者に個を与え、周囲や世界にその存在を認めさせる大切な儀式。

「――――汝、我の願いと誓いを具現する者。闇を切り裂き彼の者を護りし者、ダーク・スラッシュ。
誘いの魔手を粉砕し光を掴み留める者、グロウ・グラスプ。その名、具現せし姿を今こそ見せよ!!」

名を与えられ、光がガラスのように割れる。
赤みの掛かった長めの刀身、銀と薄赤で彩られた握り。
黒地の革に手の表を覆う白金の金属具、手の甲の金属部から伸びる3本の刃はほんのり茶色がかる。
純粋な戦闘武装ではなく、装飾武装、儀式武装と言ってもおかしくないほどの姿を現した。

「さぁ、全てはあなたの思う通りよ!。その力を証明してみなさい!!」
「おう!。我が半神たる剣よ、汝の力解き放ち今主の前に真の姿を見せん!」

刃が散消しタッと駆け出す。
その姿、封印開放時の姿、しかし纏う魔力は皆無に近い。

「あのバカッ!、刃がないんだぞ」

叫ぶヴィータ、だが

「光よっ!!」

瞬時に形成される光の剣。そのまま力一杯に振り下げる。
ベルダンディーも闇の剣を生み出し互いの剣が衝突する。

「グハッ!!」
「クッ!……わっ!!」

クレロスの口から大量に吐き出される血液。
力と力の衝突で生まれる衝撃波、周囲の全てをなぎ払いセカイを刺激する。


「中規模次元震発生!!」

艦内警報と共にエイミィが叫ぶ。

「被害は?」
「ここの中規模次元震をはじめ、隣接する次元世界数箇所に小規模次元震が多発。
このままですと、大規模な次元災害になります!!」
「すぐに対応を、発生源は?」
「断定ですが固有結界内と思われます」

セカイを刺激する波動は魔力不足のためその機密性を失い、外界と干渉した固有結界を通り越し
その世界だけではなく周りの世界までに行き届いた。

「リンディ提督、クロノ提督達の位置、反応。砂嵐がひどいですが通信繋がります」
「すぐに呼びかけて状況を把握」
「はい」


天まで昇る二重螺旋。その接点で光と闇の剣戟が繰り広げられる。
二つの刃が衝突する際、美しいまでの眩い閃光を放つが、その凶暴なまでの衝撃波がクレロスを蝕む。

「………」

みんなはそれをただ眺めることしか出来なかった。
手足が動かない、強大な力と力のぶつかり合いに本能が危険信号を発する。

「"ちょう……んちょう……艦長……"」

砂嵐で感度の悪い空間モニターが現れエイミィの声が聞こえる。

「エイミィか!?」
「"やっと繋がった。そっちはどんな状況?。こっちは中規模次元震がおきて
隣接する世界にも小規模な被害が出てるのよ"」
「何だって!?」
「マテリアルファクトは自分の力を信念や誓いといったもので収束封印させた具現武装。
その解放は力の解放と同意。それなりの力を持つ神族ならば解放しただけで世界を滅ぼすものとなる。
今の固有結界はスカスカだからアルトぐらいの力でも軽々影響は出るわよ」

アルトがベルダンディーの上を取る。

「爆裂!、ゴッドォ・フィンガァァァアア!!」

魔力を込め赤く光る拳を放つ、それは向けられたベルダンディーの腕を粉砕し顔にアイアンクローを決め
そのまま地面に叩きつけるために加速する。

「くっ!!…あっ!!」

再び生まれる閃光のドーム。
アルトがボロ雑巾のように衝撃波に吹き飛ばされる。

「"小規模次元震さらに被害拡大!!"」
「何とかならないのか?」
「そうね、私ももう限界だし。アルト!戻ってきなさい、作戦会議よ」
「こんな好機になんだよ!!」
「いいから来る!!」
「チッ」

アルトは渋々陣へ戻った。

「いい、このままだと私の身体が持たないし多次元にも影響が出る。だから次の一撃でカタをつけるわよ」
「どうするんだよ?」
「ユーノ、アルフ、あなた達、コアを縛る魔法を使えない?」
「使えるけど、移動、拡大縮小を繰り返す対象を常時見続けなければいけないよ」
「私も」
「上出来。眼は私がなる。クロノとザフィーラはあいつを固定して。残りは自分の持ちうる最大の魔法を撃ち込んで、
少しの間だけど影が四散しコアが露出するわ」
『はい!』
「アルト、獣族最大奥義できる?」
「?……!。ああ、出来るぜ!」

アルトはクレロスの考えを理解したのか、勝利を確信した。

「それじゃぁ行くわよ」
「おっしゃ!、やってやるぜ!!」

体制を整えたベルダンディーが突進してくる。

「ザフィーラッ!」
「おう!。くらえっ!鋼の軛!!」
「エターナルコフィン!!」

向かってくるベルダンディーを地面から突き出した白い帯が突き刺し氷付けにする。

「駆けよ隼!!」
(Sturmfalken!!)
「轟天爆砕!!、ギガントシュラーク!!」

シグナムの矢とヴィータのハンマーが影を粉砕。

「スターライト!」
「プラズマザンバー!!」
「響け終焉の笛、ラグナロク!」 『ブレイカーーーーー!!!』

3つの巨光が影を吹き飛ばす。

「すぅ…!!」

クレロスは一息つきカッと爆心地を見る。
猛禽の鋭い目は確実にコアを捉え

「二人とも!!」
『チェーンバインド!!』

クレロスの眼を通し二人はコアを拘束する。

「アルト!!」
「任せろ!。右手に破壊を!、左手に護りを!。ヘル・アンド・ヘヴン!!」

右手から赤、左手から緑の波動が走り

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ!!」

両腕に宿る反発しあう二つの力を合わせコア目掛け駆ける。

「ヴィィィタァァアア!!!」

影が修復しコアが隠れるが関係ない、ユーノとアルフが作ってくれた光の鎖に向かいただ突っ込むのみ、
それで終わる。これで最後!。

「うおおおぉぉ!!」

雄叫びと共に影の身体に両腕を突っ込みコアを引き摺り出す。

「これでぇ!、終わりだぁぁぁあああ!!」

渾身の力を込めコアである本を握り潰し手から炎が上がる。
こんなもの、塵あくたさえもこの世に残さぬように全てを焼き尽くす。

「終わ…っ…た――――」

もう魔力も体力も、指一本も動かす力は残っていない。
意識が闇に落ちる。
しかし、まだ終わっていなかった。
残っていた影が数本の剣になりアルトに襲い掛かる。

「危ない!!」

フェイトがソニックフォームで駆け寄り、アルトを弾き飛ばす。
数本の剣がフェイトに向かう、右目に切りつけ右肩から袈裟切り。

「畜……生………」

アルトが最後に見たのは、串刺しになったフェイトだった――――――。







あとがき

Krelos:ごめんなさい。(土下座)
ナイジャ:なぜ謝るの?。
Krelos:お願い、今回は何も言わないでぇ〜。
ナイジャ:はぁ……でも二つだけ、ヘルアンドヘヴンを生身でやると体制的に少しおかしいぞ。
それに武器の名前が悩みに悩みまくったのにヒネリが無い。
Krelos:ノォ〜〜〜〜〜〜〜〜(TOT)。





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