魔法少女リリカルなのはStrikerS 

『翠の伏龍と蒼の賢者』

第十二話 司書長と第97管理外世界 後編





楽しい夕食会が終わり、適度に腹がこなれてきた頃。

部隊長の鶴の一声で一同は『スーパー銭湯』なる場所に来ていた。



「司書長……良い湯ですね」

「そうですね。はぁ〜〜、ほんと久しぶりだな、こういうの」



カポーンと言う風呂桶が立てる音が大浴場に響き渡る。

手でお湯を掬い自身の顔に浴びせて、ほっと息をつくユーノは実にリラックスしていた。

シチセイも鉄面皮と揶揄されるその表情を崩す事こそないが、僅かに下がった眉が適度な温度の保たれている風呂に程よい心地よさを感じている事を無言で語っている。



「エリオ、逆上せないように気をつけてね?」

「はい!」



大人数で入る『銭湯』という文化に触れた事のなかったエリオは、近しい同性と肩を並べながら浸かる風呂を堪能しているらしく満面の笑みだ。

つい先ほどキャロとフェイトに一緒に女風呂に行こうと言われて慌てふためいていた事は本人的には遠い記憶である。



思考回路が通常の十歳児よりも成熟しているとはいえ、別に『異性』など意識して遠慮する必要などないだろうに、とは年長者二人の共通した思考である(ユーノの場合、人の事は言えない幼少期だったのだが)。

しかし少年の満面の笑みがそう長く続かないだろう事も二人は理解していた。



エリオがフェイトとキャロから逃げ出した後、彼を追いかけるように男風呂の暖簾をくぐった二人は視線の端で、風呂場における注意事項を読み込んでいるキャロを確かに見ていたのだから。



「(ユーノ。一応、確認なんだがモンディアルくらいの年齢の子供が女風呂に入ってもいいという事は当然、逆もありなんだろう?)」

「(うん。キャロのあの様子を見る限り、特に意識しないで入ってくると思うよ。エリオにはちょっと厳しいかもね)」

「(まぁモンディアルには諦めてもらうしかないか)」

「(ですね)」



エリオの笑顔がキャロの来訪で驚愕に染まるまであと一分。



「あはっ! エリオ君!」

「キャ、キャロ!?」



予想通り、男風呂に乱入してきたキャロと取り乱したエリオの心温まるやり取りを尻目に二人は銭湯を堪能した。

背中を流し合おうという話になり、ユーノ、シチセイも巻き添えを食ったのは良い笑い話である。



「しっかり汗を流してすっきりしないとね、キャロ」

「はい、ユーノさん!」



ほんわかとした二人のやり取りに周囲は和まされっぱなしである。



「モンディアル三士、気にするなというのは無理かもしれんがそう緊張するな」

「むむむ、無理ですよ!! と言うかなんでシチセイさんはそんなに落ち着いてるんですか!?」

「いや、何故と聞かれてもな」



小声で男の性と年齢の相互関係について不毛なやり取りをしている二人の姿は幸か不幸かユーノとキャロの耳には届かなかった。





「若いな」

「いきなり老け込まないでくださいよ」



子供二人が連れ立って(キャロが引きずっていったようにも見えたが)露天風呂に行くのを見送った二人はジェットバスに浸かりながら談笑していた。



「ユーノはあの年齢の時はどうだったんだ?」

「……ノーコメントで」



頭の上に乗せていたタオルで顔を隠すユーノ。

頬が真っ赤になっている辺り、エリオと似たような経験でもあったのだろう。



「でも良かったですよ」

「……何がだ?」

「シチセイさんが六課に馴染んでるみたいで」



女性に負けない綺麗な顔立ちで笑みを浮かべるユーノ。

それに対していかにも無骨な顔で口元を僅かに緩めるシチセイ。



「伊達に幾つも部隊を渡り歩いてないからな。いろいろと癖の強い所ばかりだったからそれに比べれば六課はまだ楽だ。環境的に桁違いだからな」



次元航行部隊である『海』に所属していた彼はそこでの犯罪が如何に規模の大きい物であるかを知っている。

管理世界に駐留し、治安維持に務める『陸』に所属していた彼は陸での犯罪の多さと部隊を取り巻く境遇の厳しさを知っている。



「六課ははっきり言って恵まれている。充実した設備は地上部隊では考えられないほど。新人育成を兼ねているとは言えランクの高い人材をあれだけ一つの部隊に集中させているなど海の最前線部隊ですらありえない。あれだけの人数にリミッターをかける部隊なんぞ見た事がない」

「……」

「リミッターのせいで本来の実力を発揮できなくなると言うのも、な。人事的な観点から見れば非常に無駄な事をしているように思える。他所にいらんチョッカイを出される格好の口実になるだろう」



実際、ここまでの戦力を一つの部隊に集める理由がシチセイにはわからなかった。

まさか旧友と親交を深めるなどという一身上の都合で、作ったわけではあるまい。

今回の件と言い、旧交を温める事を楽しんでいる節は見られるが。



「それが理解できない部隊長ではない。他部隊からの糾弾を覚悟してまでこの部隊の設立に拘る理由があるんだろう」

「そうだね。はやては、自分の事をないがしろにしてでも誰かを助けようとする子だから」

「(お前よりはマシだと思うがな)」



ユーノが悲しそうに瞳を揺らしながら語るが、シチセイからすればユーノの方が酷い。

あの無限書庫の過酷な労働状況で部下の身を慮り、己を蔑ろにするという事がどれだけ辛い事か。

シチセイが強引にでもユーノのスケジュール調整に乗り出さなければ、遠からず彼は取り返しのつかない状態になっていたかもしれない。



「六課の設立に関しては僕も表向きの理由しか聞いてないからなんとも言えない。強いて言うなら聖王教会の騎士『カリム・グラシア』のレアスキルが設立の決め手になった事くらだよ」

「カリム・グラシア? 古代ベルカ式の継承者で名目上は管理局にも籍を置いているという人か。確か予知だか未来視だとかそういう系統のレアスキルを持っているとか……」

「うん。なんでも古代ベルカの言葉で様々な解釈が可能な予言を行うんだって聞いてるよ。そしてその予言が六課設立に関わっていると言う事は……」

「リミッターをかけてまで戦力を揃えなければならないほどの事態が起こると。それも六課が設立された場所を考えればミッドチルダで」

「……可能性は高いよ」

「なんだ。なんとも言えないと言った割には、大筋の事態は把握してるじゃないか」

「あんまり表立って首を突っ込むと鈴でも付けられかねないからね。適当に言葉を濁す癖が付いちゃってさ」

「上に立つ人間なら当然の事だ。後ろ暗い事をしている相手と戦おうと言うなら尚更な」



温泉に浸かりながら話すような軽い事ではなかったが、シチセイが出向している以上こういう機会は昔ほど多くもない。

『計画』を実行する上でお互いの情報を可能な限り共有しておきたいと思うのは当然の帰結だった。



「俺はこのまま六課でフォローする。現場の情報は報告を通してお前にも伝えるから見逃すなよ」

「はい。僕も仕事の傍ら、色々と調査を進めます」

「気をつけろ。直接的に手を出してきた以上ある程度、強引に攻めて来る事も考えられるからな。トーレとドゥーエと言ったか?」



話に出た二人の女性の名に、ユーノは目を閉じてその時の事を思い出しながら頷いた。



「フェイトに勝るとも劣らない高速戦闘を軽々と行う女性と、魔法を持ってしても偽装だと見抜けない変身能力を持つ女性。かなりの強敵だったよ」

「厄介なのは後者のドゥーエとやらだな。変身能力に秀でている事を考えれば潜入工作はお手の物だろう。ハラオウン総務統括官に化けた事を考えても局内でもかなり深い所の情報を持っていると考えられる」

「ええ。はっきり言って警戒するにしても対処法が見当たらないのが現状ですよ。僕の友人、知人に化ける事は容易いでしょうし」

「そうだな。正直なところ、妙な行動をする人間に対して臨機応変に対応するくらいしか思いつかん」

「後手に回るのはあまり良くないんですけどね」



苦い顔をして考え込む二人。

そんな二人に突然、念話が届いた。



『ユーノさん、シチセイさん! 助けてください!!』



やけに焦ったエリオの声に二人はそれまでの思考を中断して対応する。



『どうしたの、エリオ?』

『どうかしたのか? モンディアル三士』

『フェイトさんとキャロに女湯に連れ込まれそうなんです!!』

『『……』』



切羽詰まったエリオの言葉に二人は思わず黙り込む。

沈黙は僅か数秒。

二人は顔を見合わせると同時にエリオに答えを返した。



『諦めろ、モンディアル三士』

『偶には家族と一緒にいないとね、エリオ』

『そ、そんなぁ……』



情けない声を出す少年が顔を赤くしながらフェイトやキャロに連れて行かれる姿を幻視し、一人は公然と、一人は静かに笑った。





風呂を上がった二人は脱衣所で妙に疲れた様子のエリオと合流。

服を着る間に愚痴を言われたがシチセイは軽く聞き流し、ユーノは恥ずかしそうに語る彼を宥めていた。



脱衣所を出た彼らは外で適当に時間を潰し、出てきたなのはらと合流した。

各々がすっきりした表情で談笑する中、ばら撒いたスフィアに反応があった。



「どうやらお仕事みたいだね」

「そのようです」



先ほどまでの和やかな雰囲気を切り替えて動き出す面々を見つめながら冷静に語り合う二人。

その間にもシャマル、リィンによるエリアサーチが行われシグナム、ヴィータが空へ飛び出していく。



「ユーノ君、私らはこのままお仕事入るけどどないする?」

「アリサたちと一緒にコテージに行くよ」



チラリとアリサたちに視線を送ると車のキーをくるくる回している彼女と目が合った。



「そうか。ほならシチセイさんには民間協力者と無限書庫司書長の護衛をお願いします」

「了解です。ロストロギア回収の方はお任せします」



最敬礼で答えるシチセイに頷くとはやてはすぐさま次の指示を出しになのはらの元へと駆けて行く。



「それじゃ私たちも行くわよ、ユーノ」

「うん」

「シチセイさんもどうぞ」

「お心遣い、感謝します」



アリサ、すずかに促されるまま二人は彼女の車に乗った。





『ユーノ、気付いているか?』

『……やっぱり僕の気のせいじゃなかったんですね』



コテージへ向かう車内。

アリサ、すずか、ユーノが楽しげに談笑する裏側でこんなやり取りが行われていた。



『車を出してからこちらを尾行している車がいる。こちらに怪しまれないように何台かの車が信号の度に入れ替わりながら、な。相当に手馴れた連中だ』

『狙いはなんだと思う?』

『少なくともユーノ狙いはないな。魔法に対する対策がまったく為されていない。エリアサーチを行っていればどれほど車を入れ替えようとも全体の動きが読み取れる。この尾行方法に意味はない。誘いの可能性も無くは無いが、近くで管理局がドンパチやっているこの状況でそちらの手合いが何か仕出かすとは思えん』

『……こちらの世界の人間が尾行者。だとすると狙いはアリサかすずか、かな』

『お前の話だと月村嬢が訳有りでバニングス嬢は大会社のご令嬢だからな。狙われる心当たりはあるんだろう?』

『うん。……なのはたちの方は?』

『新人たちがロストロギアの特性に苦戦しているが、さほど問題はないな。いざとなれば隊長陣のフォローもある。直に終わるだろう』

『そっか』



何も知らないアリサとすずかの笑い声が車中に響き渡る。

彼女らが話を振ってくるのに合わせてユーノは答えを返し、シチセイが静かに合いの手を入れる。



『どうする?』

『管理外世界での許可無しの魔法の使用は……』

『建前なんぞ抜きに話せ。守りたい物を守る為ならどんな事でもしてみせるって言っただろうが』

『……すみません』

『使う魔法はバインドだけでいいな。片付けたら適当に転がしておけばいい』

『それじゃアリサたちには悪いですけど車から降りましょう』



話をまとめるとユーノは管理世界用の端末を呼び出した。



「あれ? ごめん、アリサ。ちょっと車、止めてくれる?」

「え? ああ、いいわよ」



特に疑問を挟まず車道の端に車を寄せる。

そんな彼女に内心で謝りながらユーノは演技を続ける。



「あ〜、ごめん。ちょっと急用が出来たみたいだ。すぐにミッドチルダに帰らないと」

「……またお仕事なの? ユーノ君」



残念そうに声をかけるすずかに申し訳なさを感じるが嘘を付く事をやめない。



「うん。僕じゃないと捌けない案件が来ちゃったみたいで。僕はここで降りて帰るからアリサたちはこのままコテージに行ってくれる?」

「司書長。私もそこまで同行します」

「いえ、司書長補佐はこのまま二人の護衛をお願いします。僕は一人でも大丈夫ですから」



そう言って二人が何か反論する前に車を出る。



「ちょ、ちょっと! 向こうの世界に帰るなら送っていくわよ。リンディさんの家に行けばいいんでしょ?」



慌てて自身も車を降りて彼の手を引っつかむアリサ。

必死に自分を止める彼女の様子に驚くユーノ。

相変わらず女心に鈍い野郎である。



「うん、そうだけどさ。……ってアリサ!?」

「えっ!? ちょっ、ユーノ!?」



思わずアリサの手を引き寄せ、抱きかかえるようにしてその場を飛び退く。

瞬間的に顔を真っ赤にする彼女だったが次の瞬間にはその顔は青褪めていた。



彼らを掠めるようにして黒塗りの車が通り過ぎていったのだ。

しかもその車の後部座席のドアが開いており、アリサに向かって全身を黒で塗り固めた男の手が伸びていた。

もしもユーノが抱きかかえていなければ、彼女は成す術なく車に引きずり込まれていただろう。



「なっ!? 今の……」

「……ただの通りすがり、じゃないね」



通り過ぎた車は急停止し、中から男たちが降りてきた。

いずれも全身を黒で固め、ご丁寧にも覆面を被っている。

そしてその手には拳銃。



「……わかりやすいね」

「落ち着いてる場合っ!? 早く逃げないとッ!!」



ため息をつくユーノの手を引っ張り、車に乗り込もうとするアリサ。

そんな彼女を嘲笑うように次々の多種の車が彼女らを取り囲む。



「うっそ。まさかこれ全部……」

「みたいだね」



次々の車から同じ格好の人間が現れる。

いずれも物騒な物を所持しているところまで同じだ。



「アリサ・バニングスだな?」

「……だったら何よ」



震える身体を押さえ込みながらきっと話しかけてきた男を睨みつける。



「一緒に来てもらう。同行者もついでだ、来てもらおう」

「お断りします」



さらりと、しかし取り付く島もないくらいに即答するユーノ。

その手は自然とアリサを庇うように掲げられている。

その後ろではシチセイが車から出てきていた。



「状況が理解できていないのか? あまり手を煩わせないでほしいのだがな、少年」

「そんな物を振り回せば誰でも言う事を聞くと思わないほうがいいですよ? アリサ、怖いと思うけど動かないでね?」



相手へ挑発交じりの言葉を投げかけ、背後のアリサにだけ聞こえるように小声で語りかける。

彼女が頷くのを確認するとユーノは気分を害した男性に視線を戻す。



「勇気と蛮勇は違うぞ?」

「交渉と脅迫も違いますよ?」



周囲の空気が緊迫していく事がアリサにも理解できた。

リーダー格だと思われる男性はあからさまに肩を落とすとユーノに銃口を向ける。



「見せしめには丁度良いか」



何の感情もなく、冷淡に告げられたその言葉と引き金を引く指の動きがアリサにはやけに鮮明に、ゆっくりと見えた気がした。

そして自分の背後から風を切って飛ぶ『何か』の呟きもやたら鮮明に耳に残った。



「遅い」



瞬間、引き金を引こうとした男の身体が宙を舞った。

あの一瞬で男との距離を詰め、腹部と顎に連続して掌底を打ち込んだのだ。



二メートルを超えた長身の男が、瞬く間に行ったその行動に場の空気は止まり、誰もが動きを止めていた。

ただ二人。

当の本人とユーノを除いて。



「「ハーミットバインドッ……」」



彼らの周囲を取り囲んでいた男たちは悲鳴や苦悶の声を上げる間もなく全員が地面に叩きつけられた。



「終わりましたかね?」

「恐らくは……」



周囲を油断なく見据える二人の姿に、特に無事なユーノの姿に安堵するアリサ。

思わず足腰の力が抜けそうになるがそこは意地でなんとか耐えた。



「アリサちゃん! ユーノ君! シチセイさん!」



「事が終わるまで車の中にいるように」とシチセイに言われていたすずかが飛び出してきた。

アリサに抱きつき、何もされていないか心配そうに聞いている。

彼女のその言葉に震える足をどうにか誤魔化しながら答えるアリサ。



「さて……この人たち、どうしようか?」

「我々ではさすがに対処し切れませんね。下手をすれば管理外世界で許可なく魔法を使った事がばれてしまいますし」



のんびりと語る二人の前でふらふらと最初にシチセイが殴り倒した男が起き上がる。



「な、なにをした、貴様ら……」

「手の内を明かすとでも?」

「とりあえず拳銃ではどうしようもない程度には強い人間だな」



ユーノは端的に、シチセイは右手の五指をゴキリと鳴らし威嚇するように告げる。



「く、化け物どもめ」

「人一人の人生を金で売ろうとする貴方たちよりはマシですよ。少なくとも心はこの上なく人間のつもりですからね」



もう話す事はないとでも言うようにユーノは右手首をくるりと返し、男は呻き声を上げながら地面に叩きつけられた。





この騒動の後始末はアリサが、正確にはアリサから連絡を受けた鮫島という執事が行う事になった。

彼女が電話をすると五分と立たずに現場に到着。

完全に気絶している男連中を連れてきた黒服と共に車に放り込み、速やかに撤収してしまった。

その手際は実に見事であり、しかも手馴れていた。

ユーノとシチセイに対して優雅に無駄なく挨拶をするその様は正に執事の手本である。



シチセイと顔をあわせた時、一瞬だけその表情が驚愕に彩られたが当事者である二人以外は知らない事である。



全員で話し合った結果、今回の事はなのはたちには伝えない事にした。

余計な心配をかけさせたくないという事がまず一つ。

そしてユーノやシチセイの管理局での立場を考えると非常時とはいえ『無許可で魔法を使用した事』が問題になりかねない為だ。

幸いにも隠密、隠蔽に長けた魔法を用いたので黙っていればばれないはず。



アリサ、すずかもユーノの言葉に納得し満場一致でこの事を黙っているという運びになったのである。

アリサたちは最後まで不服そうな顔をしていたが。



「それじゃ僕はこのまま帰るよ」

「司書長、お気をつけて」

「次はちゃんと連絡しなさいよ?」

「待ってるからね、ユーノ君」

「うん。それじゃアリサ、すずか。またね」





こうしてユーノの休暇の初日は終わりを告げた。

即興で付いた嘘とは言え、仕事があると言ってしまった為そのまま地球に居続ける事が出来なくなってしまったからだ。



しかも彼が帰宅したすぐ後、無限書庫から彼の嘘を実現するメールが届いてしまい。

せっかく出した残り二日の有給は取り消し、翌日からユーノは普通に出勤する事になってしまう事になる。

嘘を付いた罰かなぁなどとユーノは考えて甘んじて仕事をしたが。



そしてシチセイはユーノと別れた後、何事も無かったようにコテージへ戻り、ロストロギアを捕獲して意気揚々としていた面々と合流。

その足でミッドチルダに帰還した。

慌しい一日が終わり、そっと疲れを滲ませたため息を彼が付いた事には誰も気付かなかった。





あとがき

最新話、非常に遅くなりました。作者の紅(あか)です。

ようやくサウンドステージ編が終わりました。

ちょっと駆け足な感じが否めないのですが前半の男三人のほのぼのとした空気が伝わっていれば個人的には満足です。

次回から六課編に戻ります。

ただホテル・アグスタに入る前に話を一つ挟もうと思います。

まだまだ完結まで時間がかかりそうですが、これからも執筆していきますのでどうか宜しくお願いします。

それではまた次の機会にお会いしましょう。





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