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“禁じられたクレパス”へ






“姫の初めて…”

 ※この物語はフィクションです。
 ※この物語に登場する個人・団体等は全て架空です。
 ※作品内容の行為を未成年者が実施する事は、法律で禁じられています。
  同様に、未成年者に対して強要する事も、重大な犯罪です。
  絶対に真似しないで下さい。






「けほ、けほっ……。シャ、シャマル……なにすんのや………」

 はやての口元から、白濁した液体が音もなくこぼれる。
 それは薄く上気した吐息と絡んで唇を濡らし、少女の幼い顎へと伝った。
 ツンと、甘酸っぱいような不思議な香りが、鼻梁をくすぐる。
 乱れた晴れ着の胸元を閉じて、はやては訴えるようにシャマルを見上げた。

「はぁ、はぁ……あかん……シャマル、あかん……こんなん、間違ってる……」

 うわごとのように、呟く。
 潤んだはやての瞳は、しかし拒絶する言葉とは裏腹に、なにかを切実に求めているかのようだった。
 桜色の唇は微かに震え、弱く息切れた声を紡ぎだす。
 そんな主の姿に、シャマルは内なる本能に歓喜しながら、けれども赦しはしなかった。

「だめですよ、はやてちゃん。ちゃんと全部、飲まないと……」
「そ、そんなんム……んんっ!?」

 拒絶する唇を塞ぐように、硬いソレがはやての咥内を再び蹂躙した。
 まだ未経験だったはやての舌を乱暴に押しのけ、喉の奥を貪るように入り込む。

「ん……ん、ん……ぷはぁ!」

 それは奇妙な感覚だった。
 口の中からソレが離れ、キラキラと輝く細い糸が唇から伸びる。
 そんな光景を間近から眺めながら、はやては名残惜しさを感じた自分に戸惑った。
 コクンと、咥内に残ったソレの残滓が、唾液と絡んで喉を鳴らした。
 ソレが「悪」であると自覚しながら、火が入ったようにほてった身体は、確実にソレを受け入れつつあった。
 ――求めるように、瞳の光が熱を帯びる。
 赤黒く、グロテスクな形容をしたソレが欲しくて、はやては内股気味に太腿をすり合わせた。
 こんな姿を、愛する他の騎士たちが見れば、なんというだろうか?
 だが、刹那的な快楽が、ゆりかごのようにはやての心を揺らした。
 正常な判断力を蕩けさせ、嫌悪とは違う涙が、瞳の奥から溢れ出す―――。

「……でも……あかん……やっぱり、まちがってる……」
「あら、なにがいけないのですか、はやてちゃん?」

 うっとりと上気した面持ちで、シャマルは問う。
 幼き主の痴態に恍惚とした光を宿らせ、その眼差しを肌蹴た晴れ着の奥へと滑らせる。
 薄っすら汗の浮かんだ白い肌を吟味するように、シャマルは自らの唇の表面を赤い舌でゆっくりとなぞった。

「もう……こんなになっているのに………?」
「だって……ん、っく……」

 ソレの先端が頬に触れた瞬間、はやての身体がビクンと跳ねる。
 恥辱と羞恥の奥底から、蠕動のように這い上がってくる感覚に、ギュッと瞼を閉ざし―――。

 はやては、叫んだ。 

「お屠蘇の銚子は直接口に突っ込むもんやない! 杯に注いで飲むもんや!」
「………あら?」

 鮮やかな漆塗りの銚子を手に、シャマルはキョトンと小首を傾げた。 



  ※  お酒は二十歳になってから♪



お・わ・り♪







“『禁じられたクレパス……』”





「ねぇ、いいでしょ? フェイトちゃん……」
「え………」

 人気の絶えた階段の踊り場まで引っ張られたフェイトは、なのはの言葉に自分の耳を疑った。

「え……ええっ……!?」

 次の瞬間、耳朶が赤く染まるのを感じた。
 自分でも自覚できるほど、顔が熱い。
 どうにもできず、かぁーっとなった顔から汗がふき出し、フェイトは目線を足元に落した。

「なのはに見せて、フェイトちゃんのを………」
「で、でも……なのは………あの……」

 紡いだ言葉は、けれどもひっくり返ったような声にしかならなかった。
 鼓動が無秩序に高鳴り、熱くなった耳朶に響く。
 どうしてこんなに、息が苦しいのだろう。
 どうしてこんなに、顔が赤くなるのだろう。
 このままだと、なのはに変な子だと思われてしまう。

 ――でも、恥かしい。

 強く握った制服のスカートに、無数の細波が折り重なるように奔る。
 なのはになら、見せてもいいような気がした。
 けれども、それはやっぱり恥かしい。
 フェイトにとって、なのはは初めての『友達』だ。
 何度もすれ違い、ぶつかり合いながら、それでも何度も真っ直ぐな瞳で、自分の名前を呼んでくれた少女―――。

「お願い、フェイトちゃん………」

 ああ………。

 フェイトはきゅっと、心の吐露を押し殺すように眉根を寄せた。
 なのはが、好き―――。
 この気持ちなら、誰にも負けない。
 だから、なのはになら―――。

「うん……いいよ……」

 何があっても――何をされても―――。

「なのはにだけ……見せてあげる………」

 パチンッ―――。

 ボタンを外す澄んだ金属音が、踊り場に弾けた。
 校舎の外から届く喧騒を、まるで別の世界の出来事のように耳に流しながら、フェイトはソコに手を差し入れる。
 不安と――そしてにわかに沸き上がってくる、未知の衝動にフェイトは震えた。
 それは少女のまだ知らぬ、視られることへの羞恥と――歓喜。
 ガラス細工のように繊細な指先をふらふらと動かし、摘まみ、ぎゅっと目を瞑って一息に抜き取る。

 瞬間、フェイトは下半身が消えるような、そんな錯覚に身体を揺らした。

「うふふ。フェイトちゃん。ちゃんと開いてくれないと、なのはには見えないんだけどなぁ〜」

 クスリと、なのはの唇から小さな笑みがもれる。
 フェイトを弄ぶ、魔法のような笑み。
 そっと小さな腕を伸ばし、フェイトのうなじを愛撫するように優しく触れた。

「ふぁっ―――」

 ビクンと、フェイトの肩が鋭く跳ね上がった。
 そんな反応をすら悦しむように、なのははそっとうなじから手を離す。

「恥かしいなら、なのはが開いてあげようか?」
「っ――!? い、いい!」

 フェイトは慌てて、真っ赤に染まった首を振った。

「自分で――自分で、開くから………」

 ――そうだ。自分で見せないと、きっと意味がないんだ。

 いつまでも、なのはばかりに頼ってしまう自分ではダメだ。
 なのはのリードはとても優しくて、つい任せてしまうけれど―――。
 いつかはなのはを、自分からリードできるようになれば、きっと今まで以上に深い関係になれると思うから―――。

 だから―――。

「視て……なのは………」

 折りたたまれた白いクレパスのようなソレに、そっと指を差し入れて―――。

「わたしの……を………」

 左右に、押し広げる。

「これが……フェイトちゃんの………」

 うっとりと呟き、なのはが覗き込む。
 まだ誰にも開帳したことのない“ソコ”へと、なのはの可愛らしい鼻の頭が近づいてくる。
 
 ――視られて、いるんだ。
 ――わたし、なのはに視られているんだ。

 その意味を深く理解した瞬間、フェイトの中で何かが弾けた。

 身体の芯が、熱い。
 肉と一緒に、心まで熔けてしまいそうなほど、歓喜の火照りが止まらない。
 大好きな親友に見られている、そんな行為がフェイトの心に倒錯の火を灯して―――。

「っ―――!?」

 ツッ――っと、なのはの指先がその部分の表面を愛しむように、撫で上げた。

「フェイトちゃんの“ココ”って、こんな風になってたんだ」
「やぁぁぁ……」
「恥かしがることないよ、フェイトちゃん♪ 他のところはスゴイのに、ココだけこんなふうになっているなんて、なんか可愛いかも」
「だって…なのは……。わたしの……変じゃない……?」

 少し鼻に息が掛かった、上ずった調子の声で、訊ねる。

「大丈夫だよ、フェイトちゃん。ちょっと意外だったけど、なのはは全然、気にしないよ?」

 だから、なのはの言葉に―――。

「本当に……?」

 悦びが、止まらない―――。

「うん。だから―――」
「……だか…ら?」

 白く熱を帯びた霞のような思考で、フェイトは訊ね返す。

「帰ったら、リンディさんにも見せてあげようね♪」
「リンディ提督にも……見せる……?」

 うわ言のように、呟く。
 リンディ提督―――。
 あの優しくて、綺麗で、自分の母さんになってくれるという女性にも、見せる―――。
 瞬間、フェイトの背中を何かが遡った。
 コレをあの人に見せたら、一体、どんな顔をするのだろう……?
 ゾクゾクとした震えに、フェイトは太腿をきゅっと摺り合わせる。

「……うん。それ、すごくいい。リンディ提督、喜んでくれるかな? ねぇ、なのは?」
「喜んでくれるよ、絶対に。その時は、一緒にクロノくんにも見せようね♪」
「うん……うん!」

 恍惚とした光が、フェイトの瞳からあふれた。
 その眼差しの先に漂うものは――“夢”
 焦点のぶれた眼差しの先で、フェイトはたゆたう波のような“夢”に、その意識を委ねようとしていた。



 ………。

 ………………。

 ………………………。



「……で、すずか?」
「なぁに? アリサちゃん?」
「あの二人は階段の踊り場で、さっきから何をやっているワケ?」

 階段の上から、なのはとフェイトを見下ろしながら、アリサが盛大なため息を吐き出した。

「それは観ての通り“通信簿”の見せっこだと思うけど……。どうして、そんな難しそうな顔をするの?」

 眉間に寄せたしわを指先で抑えアリサに、すずかは小首をかたむける。

「あのねぇ……」
「あ、そういえばフェイトちゃん、国語の成績がすごく悪くて、見せるのが恥かしいって言っていたっけ」
「へぇ……。だからってワザワザ、通信簿を指で触れるワケ? なんか余計に、頭が痛くなってきたわ……」
「あ、それはね、アリサちゃん」
「なによ」

 うろんげな眼差しを向けるアリサに、すずかは笑顔でこう言った。

「“H”だと思った人の心が、きっと“H”なんだよ♪」





   ※通信簿は、キチンと保護者に見せましょうwww





お・わ・り♪






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