“予告編『Ancient Relics Crusher』”へ “Ancient Relics Crusher『1st Destruction:LONELY WAY(Side:A)』”へ 予告編『Ancient Relics Crusher』 五つの人影が、雲一つ無い乾いた蒼穹を高速で飛行している。 影の主は、時空管理局特別捜査官『夜天の王』八神はやてと、彼女を守護する騎士『ヴォルケンリッター』。 眼下を見渡せば、そこは見渡す限り枯渇し尽くした荒野の世界。 彼らはこの世界に眠るとされる『ロストロギア』を回収する任務のために赴いていた。 「なぁ〜、まだなのか〜?」 「ガマンしてな〜、もうちょいで着くハズやから」 騎士達の中では最も幼く創られているヴィータをはやてはなだめる。 「主はやて。北東40キロの地点に生命反応、おそらく人間です」 シグナムの一言を聞いて全員が眼の色を変えた。 この世界はとうの昔に滅び、人間は存在しないと聞いていた。 「とにかく行ってみないことには、なんとも言えないわ」 シャマルからの意見で反応があった場所へ方向を変えると、ザフィーラが全員の前に出た。 「何があるか分からない、俺が前方を固める。ヴィータ、シグナム、後ろを頼めるな?」 「ったりめーだ!」 五人はその場所へと向けて速度を上げた。 炸薬の破裂音と金属のぶつかり合う駆動音が荒野の空へ響き渡る。 遥か北東の先にある巨大な岩山を睨み付けて、男は鋼の巨大な杭を干からびた地面へと打ち込んでいた……。 「あの〜、そこで何をしてるんですか〜?」 はやてはその男に声をかける。 擦り切れたジーンズ、スパー付きのブーツ、帽子を被っているので目までは見えないが、無精髭を生やした長身でがっしりした体格だ。 おおよそ結び付かないが、背中に背負った大型の重火器と、地面に今なお杭を打ち込んでいるパイルバンカーの両方ともが、アームドデバイスの類であった。 「次期に分かる……」 男は短く答えて、なおも杭を打ち込んでいた次の瞬間。 目の前にあった岩山が爆発を起こし、跡形も無く消え去っていた。 余りにも一瞬の出来事、閃光が視界を焼き尽くしたその爆発は間違いなくこの男によって引き起こされたものだと分かった…… 「はやてちゃん! ロストロギアの反応が、完全に消失してます」 シャマルの一言で我に返ったはやては男を見据える。 「あなた、一体何をしたんですか……?」 「たいした事じゃ無い。この地に流れる『龍脈』に魔力で干渉しただけだ……」 「そないな事を聞いているんじゃありません!」 怒気を露にするはやてに対して、男はふぅ、とため息をついて答えた。 「これが、俺の仕事であり、使命だ……。全てのロストロギアは俺が破壊する。お前たちも破壊の対象だ。闇の書の主、そして防御プログラム」 そう、呟いて男は重火器デバイスの銃口をはやての顔面に突きつけた。 子供の握り拳ほどもある大口径の銃身がはやての目に入り、レーザーサイトの光が眉間を突き刺していた。 「その男は『クラッシャー』だ」 レティの口から出た初めて聞く単語に、五人は首をかしげた。 「簡単に言えば、名前の通りロストロギアの破壊を専門とする魔導師の総称だ」 眼鏡のブリッジをつぃ、と上げてレティは話を続ける。 「ロストロギアは我々にとっては未知のテクノロジーの塊だ。管理局はそれを保護する事を前提として行動しているが、全てのロストロギアがそうなるわけじゃない。 一歩間違えれば一つの次元世界が崩壊してしまうような代物も存在する。 不慮の事故による暴走など、危険性が高いと上が判断した時に動員され、犠牲を最小限に抑える為にロストロギアを破壊する魔導師。それが『クラッシャー』だ。 ついでに言っておけば、闇の書事件でも『クラッシャー』は最悪の事態に備えて招集されていたんだ……」 「あなたはどうしてロストロギアを破壊し続けるんですか?」 男に対峙したシャマルは問う。 「仕事だからだ」 「いえ、あなたの内には怨念に等しい妄執を感じます。ただの仕事なんて言い訳は通用しませんよ?」 しばし黙った後、男はゆっくりと口を開いた。 「俺は……ロストロギアが憎いッ! だから、全てのロストロギアは俺のこの手で破壊するッ!」 レティは一人の魔導師のデータを閲覧していた。 7年前までは、魔導研究者であると同時に高度な論文を発表し、学会を幾度と無く震撼させた考古学者であった。 「人とは、ふとしたきっかけで簡単に変わってしまう……いや、命がかかれば、どんな人間も変わらずにはいられないのかも知れんな」 「そこをどけ、夜天の王」 男の前にはやては立ちふさがる。眼前には重火器デバイスが照準をはやてに切り替えようとしているのが、相手の目を見ればよく分かった。 「いやです。壊させへん……いや、この子は殺させへん!」 はやての後ろにいるのは、彼女よりも年下の少女であった……。 「そいつは、ただの子供じゃない。生かしておけば幾多の次元世界が滅ぶ、それでもなお庇うか? 夜天の王ッ!?」 遥かな古の時より続く因果は彼らを巻き込み、くら冥き深遠へと誘い込む。 魔法少女リリカルはやて『Ancient Relics Crusher』 Coming soon…… あとがき SGSの文中で、はやて達が別任務に行ってると書いたので、ちょうどいいと思い、別の長編を仕上げて見ました。 こんな、シブいナイスミドルなキャラは、テレビシリーズじゃ出ませんねきっと。 元ネタが最近の某RPGだし、フェイト声のヒロインいるし、リリなのファンはプレイしてる人多いかも知れません。ちなみに私は全作品プレイ済の熱狂的ファンです。 眼前には荒野が広がっていた。 生命の息吹を殆ど感じない、乾き切ったこの世界には既に『ヒト』は存在していない。 この世界に残っているのは、己の全てを奪ったモノの同属だけが息を潜めて眠っている。 そう……ただそれだけの事だ。 数キロ先に見える巨大な岩山に向けて放たれるは憎悪の視線。 さあ、準備を始めよう……。奴を永遠の闇に葬り去る為の準備を…… Ancient Relics Crusher『1st Destruction:LONELY WAY(Side:A)』 雲の無い空を五つの影が飛んでいく。 影の主は、時空管理局特別捜査官『夜天の王』八神はやてと、彼女を守護する騎士『ヴォルケンリッター』。 彼らは今現在この世界に眠ると言われるロストロギアの調査、及び回収する任務を与えられている。 眼下に広がっているのは総てが枯渇して死に絶えた荒野の世界。 空を支配する三つの太陽から放たれる熱光線が、五人に向かって容赦なく降り注いでいた。 「なぁ〜〜〜、まだなのか〜〜〜」 うだるような熱気にヴィータはたまらず声を上げた。 ヴォルケンリッターの中で最も幼く作られている彼女らしいと言えばらしいが、今の状況では他の三人、特にシグナムとザフィーラが眉間に皺を寄せているほどに不快感を煽っていた。 「もうちょいのハズやで。確か目印は大きい岩山って話やから」 その様子を見兼ねたはやてはヴィータをなだめる。 「主はやて。北東40キロの地点に生命反応、おそらく人間です」 シグナムの一言を聞いて全員が眼の色を変えた。 この世界の文明はとうの昔に滅び、人間は存在しないと聞いていたからだ。 「ホントに人間がいんのかよ? レヴァンテインが壊れてんじゃねーのか?」 『私は正常だ、紅の鉄騎。君と違って暑さで理性を失ったりはしない』 「んだとこのぉっ! いっぺんぶっ叩いて、壊れかけの思考プログラム直してやろうか?」 『私は事実を述べたまでだ。君は先ほどから情緒が不安定になり始めている』 茶々を入れるヴィータにレヴァンテインが皮肉で返し、それが発端となってぎゃーぎゃーと口げんかが始まってしまう。 「見苦しいッ! 二人とも静まれぇッ!!」 その様子に、とうとうシグナムが堪忍袋の尾を切らして、文字通り怒髪天を突くほどの剣幕でヴィータとレヴァンテインを黙らせた。 「と、とにかく行ってみないことには、なんとも言えないわ……ね?」 シャマルが三人をどうにかなだめて、反応があった場所へ方向を変える。 それと同時に、ザフィーラが全員の前に出た。 「何があるか分からない、俺が前方を固める。ヴィータ、シグナム、後ろを頼めるな?」 「ったりめーだ!」 ヴィータが威勢良く返事を返す。五人はその場所へと向けて速度を上げた。 炸薬の破裂音と金属のぶつかり合う駆動音が荒野の空へ響き渡る。 遥か北東の先にある巨大な岩山を睨み付けて、男は鋼の巨大な杭を干からびた地面へと打ち込んでいた……。 地面に突き刺さる杭からは蓄積された魔力が純粋なエネルギーとして地中深くに叩きこまれて行く。 打ち込まれていた杭が本体に引き戻される。 それは、接近戦に於いて巨大な金属製の杭を打ち込み、対象物を貫き破壊する。『パイルバンカー』と呼ばれる超重量武器だった。 男は杭に魔力を集中させてそれを媒介に地面に魔力を注ぎ込んでいるのだ。 「あの〜、そこで何をしてるんですか〜?」 はやてはその男に声をかける。 擦り切れたジーンズ、スパー付きのブーツ、帽子を被っているので目までは見えないが、無精髭を生やした長身でがっしりした体格だ。 おおよそ結び付かないが、背中に背負った大型の重火器と、地面に今なお杭を打ち込んでいるパイルバンカーの両方ともが、アームドデバイスの類であった。 「じきに分かる……」 男は短く答えて、なおも杭を打ち込んでいた次の瞬間。 余りにも一瞬の出来事、閃光が視界を焼き尽くした。砂煙が巻き起こり、烈風がその場にいた全員の体に叩きつける。 ザフィーラが即座に結界魔法を展開し、四人を衝撃波から護る盾となる。 光が治まって目を開いた先にあったはずの岩山が光と共に跡形も無く消し飛んでいた。 その爆発は間違いなくこの男によって引き起こされたのは確認するまでも無い事だった……。 「はやてちゃん! ロストロギアの反応が、完全に消失してます」 シャマルの一言で我に返ったはやては男を見据える。 「あなた、一体何をしたんですか……?」 「たいした事じゃ無い。この地下を流れる『龍脈』に魔力で干渉しただけだ……」 「そないな事を聞いているんじゃありません!」 怒気を露にするはやてに対して、男はふぅ、とため息をついて答えた。 「これが、俺の仕事であり、使命だ……。全てのロストロギアは俺が破壊する。お前たちも破壊の対象だ。闇の書の主、そして防御プログラム」 そう、呟いて男は重火器デバイスの銃口をはやての顔面に突きつけた。 子供の握り拳ほどもある大口径の銃身がはやての目に入り、レーザーサイトの光が眉間を突き刺していた。 「その名でアタシ等を呼ぶんじゃねぇッ!」 真っ先に反応したヴィータはグラーフアイゼンを構えて、男を睨みつける。 他の四人も臨戦体性を取り、一触即発の空気に染まった。 「間違いではないだろう? お前たち自身がどう唱えようとも、それが周囲に対して常にまかり通ると思うな」 男は突きつけた重火器デバイスを退いて、背中のベルトにパイルバンカーと共に固定し直した。 「俺はミッドチルダへ戻らせて貰う。無益な戦闘は魔力も弾薬も無駄だ……それに仕事は終わったからな」 男はそれ以上何も喋ろうとはせずに、五人の傍をすり抜けて行く。 その後ろ姿をはやて達はただ見送る事しか出来なかった……。 >>To Be Continued おまけ 喫茶店『翠屋』での一幕 「リラさん! リラさん! 見ましたか?」 「ここにいるんだから見てるに決まってんでしょ、高町」 「私たちが戦ってる間に、はやてちゃん達はこんな所に行ってたんですね!」 「ロストロギアをブッ壊したこのオッサンは何者よ?」 「きっとこれから明らかになるんですよ」 「それじゃあ、パソの前にガン首揃えたヲタ軍団! 次回も読みなさいよ!」 「お楽しみに〜♪」 あとがき ようやく始めました『Ancient Relics Crusher』実は更にスペルミスが発覚しました。 『Relick』ではなく『Relic』、kは要りませんでした…… パイルバンカーと重火器って時点で俺はどうかしている。いつかドリルとかファンネルとかまでやり兼ねん…… やっぱり、五人も六人も登場させると会話が辛い。ヴィータとはやて以外、少ししか喋ってません…… それから、レヴァンテインは本編で喋ってる印象がないからこんななってます。 モデルとしては種ガンの監督が昔やってたトンデモレースアニメの主人公マシンAI。 そして、最後のおまけは無論『スーパーヒーロータイム』のアレ。SGSの方だとはやて達が八神家のリビングでやる予定です。 そのうちレイジングハートが『Start now!』とか言い出し兼ねません。ではまた次回で |