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―パソコンを見る時は、部屋を明るくして家族や魂の友達以外の人に見られない様にして、休憩を挟んで見てね?―



 地球。
 それは、僕らの住む星!
 日本。
 それは日本人が数多く済む場所!!
 都道府県。
 そしてっていうかそれは住所!!!
 (演説マジレンジャーナレーター風)



超勇者戦機・コンブレイバー
 ―闘魂勇者・コンブレイバー御試編―


 一筋の流星が流れ落ちました。
 時間は深夜。
 場所は普通の住宅で。
 直撃したのはそこで寝てた学生さん。
 与えられたのは勇者の力。
 出会いを生む物語が始まります。


―勇者参上



『ギャォース!!』
「よーしやれやれお前等! もっともっと町を破壊しろ!!」

 黒マントを羽織った怪しい兄ちゃんが巨大ロボット怪獣に偉そうに命令する。
 町は怪獣が歩いただけで次々と瓦礫の山が出来ていく。
 そこへ、我等がアースラチームがやってきて、お話し聞かせてと武器を突きつける。
 取り合えずここは正直に話した方が良いと思った黒マントの方は自分達が地球征服の為にやってきた事を話す。
 当然なのは達は意義有り!! といった感じで認めず戦闘へ。
 だが、悪役のロボは大きい上に結構丈夫で破れなかった。

「なんて出鱈目な装甲なんだ」

 ユーノとアルフ、ザフィーラが敵の動きを拘束してる内にクロノが呟く。
 と、敵のバランスが崩れて仰け反るように倒れこむ。
 その落下地点には、さり気なく巻き込まれたアリサとすずかがいたりする。

「ちょ、こんなのってあり!?」
「うーん。これはもうダメかな?」
「冷静に言うなー!!」

 アリサがツッコミをいれた時、それに呼応するかの如く横から彼女達を連れ去る影。
 二人を脇に抱えて大きく跳躍し、ギリギリの所で美少女二人はミンチになるのを免れた。
 そして、ビルの上に着地し、後ろの太陽に照らし出されるその姿は……怪し、いや異様。
 説明が面倒なので、リーゼ姉妹が変装してた仮面の男が電王ポーズ&掛け声を行なう。

「俺、参上!!」
「あんた一体何者なのよ」
「アリサちゃん。わたし達を助けてくれたんだから、まずはお礼を言わなきゃダメだよ」
「時間が無いので名刺で勘弁自己紹介! 字が汚いのは手書きだから! プリンター壊れ」

 二人に向き直り、自己紹介をする仮面の男。
 その仮面が怪しさを醸し出し、アリサは今一信用に置けない。
 彼女達の反応にでっかい汗マークを浮かべながら、彼は腕の通信機に連絡を入れる。

「……と、とりあえず戦う! 来てくれマイ唯一無二絶対の信頼を置く相棒ゥウウウウッ!」

 彼の呼び掛けに答えるように、遠くの方から車が土煙を巻き起こしながら猛スピードで走ってくる。
 そのまま突っ込み、前輪から車体を浮かせて猛獣が獲物を喰らうように彼を轢き潰す

「ぎゃふぉう!?」
「轢かれたーーーー!?」



―変形合体?


『チェィンジ! コン・サーン!!』
「……は?」

 仮面の男をひき潰した車は一瞬にして人型ロボへと姿を変えた。
 その過程でベキベキッ―――ゴキ!! メキッゴキ――ゴゴキッグチャメキメキ……ブシャァ!!
 妙な擬音が聞こえた気がするが、機械の駆動音だとアリサは思う事にした。
 ボディカラーが炎の様な色と模様をした鋼鉄の勇士、コンサーン。
 決して血の様な赤色ではない。所々、模様が液体が流れてるような感じがするのは目の錯覚だ。

『逝くぞ!!』
『乞い!!』
「漢字が違うでしょ!!」

 アリサのツッコミを背に跳びかかるコンサーン。
 やはり重量差が大きすぎて、アッサリ弾き飛ばされ地面に大の字に埋まる。


 このまま細かく書いてたらお試しではなくなりそうなので、一気にコンサーンには気合で合体してもらう。


 と、第三者の勝手な意思尊重により、時空を超えて長巨大車両ブレイブバンが召喚された。

『 こ こ は 真 面 目 に い く 所 ! ……っちゅーわけで、

 ―――Soul Link system LvMAX―――

 燃えるぜ魂ッ! 震えるぜマイハート! ヒィイイイイト………アーップ!

 掛け声を上げて、ブレイブバンと合体するコンサーン。
 合体シフトがどんなものかは未定だが兎に角、気合とか根性とか努力とか熱血とか徹夜とか集計とか色々して合体したのだ。
 そして、合体が終り佇む巨大な勇姿。

『コン……ブレイ・バー!!』

 結構な効果音を響かせながらポーズを取るコンブレイバー。
 コンさんがやるかどうかは私は知らないが、取り合えずロボと言う事でポーズを取ってもらった。
 だけど謝らない。誤ってはいるけど、謝りはしない。
 それは……ネタだか格好良いからだ!!


―必殺!……?


 そして、巨大な勇者と怪獣の二体は激突する。
 バトルは皆さんで創造してください。
 それなりの時間が経ち、場面はクライマックスへと移行する。


「俺の魂の一撃は……重いぜ?」

 何時の間にかコンブレイバーはコンプラックへと変形しており、必殺剣の構えを取っている。
 そして、一撃必殺系必殺技:Soul Blow(魂の一撃)魂全てを賭けて放つ一撃が怪獣目掛けて繰り出される。
 地面を削り取りながら、ノリの良い曲をバックに流しながら敵へ突っ込むコンプラック。
 正眼の構えから、素早く見事な籠手が決まる!!

「って、アレだけ派手に前置きやっといて最後がソレなんか!!?」
「だ、ダセェ……」

 はやてとヴィータの言葉に全員が無言で頷く。
 その間にも、怪獣ロボの手首に突き刺さった刀から眩く巨大な火花が迸る。

「フッ、決まっ…………やべ、刀折れた(汗)」

 手元を見てみると、刀は中途半端な長さで折れていた。
 しかも決まったのは敵の胴体ではなく手首。もう片方の手は健在だ
 コンプラックも遠くから見てるなのは達からも、何ともいえない微妙な空気が流れ始める。

「お、俺が悪いんじゃ無い、全てこの刀が悪いんだ〜!」

 巨大な身体で言い訳をする姿は何とも労しい。
 そんな微妙な空気に耐えられなかったのか。またはダメージが意外とあったのか。
 怪獣ロボは大爆発を起こし、粉々に砕け散った。
 手首に刀を突き立てられてた筈なのに中心部から爆発してくれた
 その事に触れられたくないかのように、爆炎の中から脱出カプセルが夜空へ飛び経つ。

「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 全員が空を見上げながら、ボーゼンとしている。
 何て言うか、このまま真っ白に燃え尽きてしまいそうな雰囲気だ。

 だが、コンブレイバーの戦いは終わった訳ではない。
 むしろ始まってすらいないのだが、そこは他の人が何とかするだろうと期待しよう。
 地球の平和を護る為、立ち上がれコンサーン!!
 負けるな、戦え!! コンブレイバー!!!
 こんなノリで良かったのか作者!!


 でも僕は信じてる。

 きっと誰かがまともな文でこの勇者戦記を描いてくれる事を……


 それまでさようなら。



 コンブレイバー。






超勇者戦機・コンブレイバー
 ―闘魂勇者・コンブレイバーCM編―



 地球に未曾有の危機が迫るとき、人々の妄想と本能と気合と根性が新たな勇士を呼び覚ます。

 登場、人工知能搭載デバイスカーSAN!!
 車がロボに、コンさんと合体する事で勇者ロボ”コンサーン”へ変形!
 召喚せよ、超巨大車両ブレイブバン!!
 合体して闘魂勇者、コンブレイバーへと変形し、悪の魔導師をブッ飛ばせ!!

「必殺技を使って一々元に戻るのはどうにかならないのか!?」
『女の子達に頑張ってもらえれば何とか!』
「なにそれ?!」


 迫り来る猛威に変形だ!
 話しを聞かない悪い子は、問答無用で吹き飛ばす!
 夜天の下、全てのモノを吹き飛ばす白い悪魔の恩恵コンバスタード!!

「萌えてきたぁあーーーーーーーーーー!!!」
「なんだろう。近くにいるだけなのに」
「何と言うか、胸の奥から身体が熱くなってくると言うか……」
「魂の奥底から叫びたくなるのは何故だ?」
『どうだ頭の中がピンク色の妄想で一杯だろ?』

「これって、もしかして僕達にも影響出てる?!」
「エイミィ! 今すぐ僕達を回収してくれ!! でないと頭がやられる!!!」
「ぬぉおおお!? 結界が役に立たんぞ!??!」


 闇を切り裂き煌く刃!
 燃える闘魂刀に宿し、映る光りは電光石火!!
 刀は結構折れるが、心は中々折れない(ままでいて欲しい)コンプラック!

「とぁーーーーー!!」

バキッ!

『「行き成り折れた?!」 』
「脆いなー刀」
『ま、まだ大丈夫! この程度で諦めたりしない!』

 そう言ってコンプラックは新たに刀を取り出し特攻した。

『デァアアアアア!!』

ボキン!!


『うぇ!?』
「またかよ!?」
『それでもやる!! 三度目の正直に掛けたいの!! 諦めたくないお年頃だから!!』
「健気な彼に哀愁を感じる猫」
「紫電改?! なんでここに!?」

ポキッ

『……取り出した瞬間に折れるってなに?(泣』
「……帰って良いか?」


 暗闇の中でもどっしり構える鉄壁の巨人!
 防御力は攻撃力! 硬い身体は敵に鉄槌を下す無敵の盾だ!!
 叩きすぎには流石にキレるアイアムコン!

「鉄壁変形! アイ・アム・コーン!!」
「アイアム?」
「あれ、鉄ってアイアンじゃ……」

 初お披露目で少女達にツッコまれて、でかい汗マーク垂らして固まるアイアムコン。

「ま、間違ってない! だってマイネームイズコン!! アイアムコンだから!!」
「それで良いの!?」

 コンさんが良いという限り良いのです。



「……これは?」
「テレビのCMで、ネット上で流れてるみたい」
「今すぐ消してくれ」
「それが……調べてもどこから発信されてるか解らないんだよねー」
「管理局が調べても解らないって、どういう事だ?」
「意外と敵の方が録画してるの流してたりして」
「そんな馬鹿な」


「おー来ましたよ首領〜」
「視聴者からの怪獣メカの投稿。今日もザックザクですよー」
「うむ。それを元に管理局の連中と、ついでにコンブレイバーを倒すメカを開発するのだー!!」

 闘魂勇者コンブレイバー。
 敵側からはついで扱いされていた。
 敵さんに今一番恐いのはなんですかと聞いてみた。

 アンサー。
 白い悪魔の暴走。

 南無。


―パソコンを見る時は、部屋を明るくして家族や魂の友達以外の人に見られない様にして、休憩を挟んで見てね?ー
ー約束だよ?―
 これからはこの部分はお好みの女の子の声を想像して呼んでください。





―後書き

今回はお遊び、もっと案を見ないとうまく行きそうにないなコレ。
一応次回は前回のノリで行ってみようか
そう言えば本編って誰のになるんだろう?
ま、いいや。
この物語は妄想です。
作中に現れる名前や表記は実在の人物と、概存の勇者シリーズとはなんら関係ありません
(管理人さんがマジで係わっているのは初回だけです)ので悪しからず。






―パソコンを見る時は、部屋を明るくして家族や魂の友達以外の人に見られない様にして、休憩を挟んで見てね?―



超勇者戦機・コンブレイバー
 ―闘魂勇者・コンブレイバー勝手にサイモンソウルチャージアップ編―

コンブレパロディ10番勝負!!


その1―オープニングからクライマックスだったら―


「フッ。この俺にかかれば、この程度造作もないわ」

 黒い装甲服のような体を持つ怪人がさも当然と言うように、胸を張る。
 ここの説明は以下略しよう。
 詳しくはサイモンさん短編#10を参照してほしい。
 自分と違って面白真面目だぞう?

 とか何とか行ってる間に、なんとも理不尽な会話を続けるやられキャラの二人は失念していた。
 こういう場合に出てくる、いわゆるお約束の存在………。

「じ、事務長!」
「ええい、微妙に役職変えて呼ぶな! ハデス様と呼べといつも言っているだろう!?」
「は、すいま聖闘士星矢セイントセイヤ!」
「おちょくっとんのか!?」
「まあ、落ち着けハーデス。で、一体なんの用だ?」
「ハーデスじゃねえよ! 冥王か私は!?」

 いきなり部屋に踏み込んできた下っ端工作員に怪人が目を向けると、下っ端は眼前で盛大に躓き、ゴキッ!!
 と、いやな音を膝下の脛あたりから鳴り響かせ、勢い良く地面に顔面から倒れこみボグチャッ!! という音を立てて出っ張りに鼻を強打する。
 そのまま痛みに転げると、タンスの角に頭をぶつけ、その上に置いてあったリリカルなのはのDVDボックスが落下してきて潰された。
 その後も彼の奇妙な寸劇は続いていく。

「ぐほぁ!? ぐっ……つ、つい先程……自ら、をッグハ!! “勇者”と……名乗る不審者たちっがッ!?
 現れ、現在本基地内グバハ!!! で大暴れしておりまボゴォア!!!?!
「「……取り合えずお前は落ち着け」」

 二人は冷静に指示した。
 そう。こういう場合のお約束。
 それは、慌てれば事故ると言う事だ!


その2―前口上をバカ正直に言ったら―


「ひ、ひぃ………!」

 おびえる下っ端戦闘員。
 その視線の先には、白と青を基調とした機械の体を持つ人間を先頭とした三人? の人間? が写っていた。

「フ……他愛ないぜ」
「まったくだ。こんなんじゃ、腕がなまっちまうな」
「フム。思ったほどではない」
「な、なんなんだよ! お前ら一体なんなんだよぉ!!」

 恐怖の悲鳴を聞いて、三人組がピクリと体を震わせた。

サイトの管理人です
投稿作家です
右に同じ

 そしてそれぞれが、思い思いのポーズを取る。

「「「魂の奥底から叫んでみよう」」」

 まんまだった。
 この時下っ端戦闘員は、オレってまだ真っ当だったんだ、と思ってしまった。

「ちなみにサイモンさんは私が勧誘しました」
「あの時はどうも」
「投稿が増えて、嬉しいやら大変やらな管理人でした」


 言うだけ言うと、管理人&投稿作家ズの三人は下っ端戦闘員をそのままに先に進んだ。
 このあと、下っ端戦闘員は彼らに多大な影響を受け、真面目に勉強して普通の生活を過ごす事になるのだが。
 それはまた面白みが無いので適当に轢き逃げされて死亡というオチをつけられた。


その3―スパロボのある意味真髄?―


『フハハハハハ!! この数の暴力の前にはいたし方あるまい! 自身の二次元と妄想を履き違えた愚かさに絶望するが良い!』

 三人は互いに背中合わせになるように、周囲の下っ端戦闘員を見回した。

「うおお。なんか俺たちスーパーピンチ?」
「いや、どうだろう。微妙に敬遠されてるような気がする」
「よく見ると、俺たちが吹き飛ばした連中もいるみたいだな」

 よーく見ると、ところどころハリボテだったり紙パックだったり、微妙にお菓子を食べてる幼稚園児や立ち話してる奥様連中もいた。
 捨てられたゴミとかを再利用したらしい。
 それでも百人(個?)近い数がいる。
 ここで採る彼らの選択肢は?

「それは……」
「もちろん……」

 文明とサイモンがコンに振る。

「自爆装置か!!」

 それを合図に周囲の戦闘員たちが一斉に反転して逃がしていく!

「ぬぉおおおおお!!」
「ラリホー、ラリホー、ヨーレリヒー!!」
「給料アップ! これであのソフトが買える! あ、やべ。その前に借金返さな」
「うわーん! 生まれてきてごめんなさーい!」
「おバカ! そんな事言うもんじゃないの!! 例え自分がどんな存在だろうと、行きてる事に絶望するんじゃない!!」

「なんで最後良いセリフっぽいんだ?」
「それ以前に普通に必殺技に自爆スキルがあるってどうよ?」


その4―有り得なくはないむしろある―


「おらおらおら!」

 回転するように身体を前進させつつ、戦闘員たちを叩きのめしていく。

「!」
「バカめ! わざわざ自分からつっこんでくるとはな!」

 あまりにつっこみすぎて、周囲を戦闘員たちに囲まれても、コンは余裕で腰だめにリヴォルバーを構えた。

「甘いぜ! G・リヴォルバー、ランダム・シュート!」

 そして背中のスラスターをふかし、回転しながら周囲にリヴォルバー弾頭を叩き込みまくる。

「「「ぬぁぁぁぁぁ!?」」」
「シュート、シュート、シュートォォォォォ!!」

 そして全てを撃ち尽くす頃には、周りの戦闘員は全員戦闘不能になっていた。
 文明、サイモン両名含めて!!

「ふっ。百年遅いんだよ」
「し、深夜近くに送ってゴメンなさい」
「メタルジャケット、サイモンスキンは無敵!!」


その5―現実はいつだって残酷―

 文明は、どこからか取り出したカードを剣のスリットに滑らせる。

《MACH、THUNDER》
「うぉぉぉぉ! 稲妻招来!」

 掲げた剣から、容赦ない雷光がとどろき、そして文明は戦闘員たちの間を高速で駆け抜ける。

「必殺……ゲホゲホッ(叫びすぎた)…稲妻剣、音速斬り!」

 次の瞬間、放電が連鎖し、文明が斬った者のみならずそばにいたものまで全てがダメージを受ける。
 もちろん直に持ってる文明は特別喰らう!!

「「「「しびればびれぼあー!?《〔0 w 0≫ 》」」」」


その6―やり過ぎには注意しましょう―

 サイモンは、一気に間合いをつめると腰だめに拳を構える。

「ゆくぞっ! 十三のブラボー技のひとつ………」
「「「殺さないで! 殺さないで!」」」

 芸のない命乞い文句で懇願する戦闘員。
 そんな彼らを迎えたのは硬いサイモンの拳だった。

「容赦ねぇっ!?」
「ブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラァァァァァァァ!!」

 叫びと共に放たれる無数の拳。
 容赦なく砕かれる顔面とラッシュの破壊力に耐え切れなかったサイモンの拳。
 やがてその場に残っているのはサイモンの肘から後ろだけとなった。

「これぞ、粉砕ブラボーラッシュ………!」
「自分も粉砕してますからぁああああああああ!!?」


その7―漢節―


「仕方ない。この基地は放棄し、次の基地に………」
「いやしかし、素材を全員連れて行くのは無理だぞ!?」
「ならば魂の瞳で厳選すればよいだろう!? 今ここでくじけていいのか!? 一生もてないブラザーズのまんまだぞ!」

 ダガーの叱咤に、ハデスは悔しそうにうつむいて、金髪のツインテール少女と黒髪のロングヘア少女を指差した。

「ではこの娘とこっちの娘を」
「それは良いが何故この二人なのだ?」
趣味だ
そうか

 それ以上の言葉は要らなかった。
 熱く他愛のない握手を交わし、さくさく脱出の準備を進める二人。

「はぁっ!」

 叫びと同時にサイモンが体当たりで司令室のドアをぶち破った。

「ぐはぁああああ!!!? 肩が!? 間接が可笑しな軌道を描痛ぇえええええええええ!!!」

 ブッシュァアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーー!!!
 と、某巨大人型決戦兵器の血が噴き出すように、盛大に肩から水芸のように鮮血を飛び散らせるサイモン。

「うわ、すごっ!?」
「何故そんなに血が出るのだ!」
「いや、さっきの戦いでもう両腕粉砕してる時にあんな事やればねぇ」

 文明があきれたように言うと、サイモンはお花畑で足踏みをしていた。


その8―おれの存在ってこんな感じです―


「ゆけぃ、ハデス! しんがりは任された!」
「すまん!」

 ハデスがそう言って、二人の少女を抱えて奥のほうに逃げる。

「逃がすかよ!」

 文明が言って追おうとするが、一瞬早くダガーが弓を引いた。

 スターン!

あうち
「行かせん! 貴様らはここでこのダガーに倒されてもらおう!」
「……もう動いてませんが」

 文明。

 殉 ・ 職 ! !


その9―跡付けさくさくじゃぁ―


「ぐおぉぉぉぉぉ!!」
「巨大化かよ!?」
「お約束といえばそうだがな」
「ダガー! ならば俺もお前に答えてやるぜ!」

 コンは叫んで、右手を大きく上げた。

「来いッ! SAaaaaaN!!」

 説明しよう。
 有機生命体アンドロイドであるコンは、自分の意思で相棒たるデバイスカー“SAN”を呼ぶことができるのだ!

「ぐぶっ!?」

 そして超高速でやってきたSANは、通り道に死にかけて突っ伏していた文明をとどめの如くなぎ倒した。

「文明ぃぃぃぃぃぃ!? しっかりしろぉぉぉぉぉ!!」

 慌てて文明を助け起こすサイモン。
 そしてSANの中から誰かが降りてきた。

『ウェーイ、しっかりするディス!』
「って、まだ事故られる前だったのか!?」

 説明しよう。
 文明はW78星雲から来た、オンドゥル星人に事故られて融合されて変身する複眼戦士!
 なら、今までは変身してなかったのかというコメントは本人が生死の境を彷徨ってる為にノーコメントとさせて頂く。


その10―俺の生徒に手を出すな―


「さあ、俺の魂はとっくにクライマックスだぜ!」

 ―――Soul Link system LvMAX―――

 どこからか聞こえてくる、謎の機械音。
 同時に次元を越え、巨大車両“ブレイブ・バン”が出現する!

「うおぉぉぉぉぉ!」

 大きく飛び上がり、コンサーンはブレイブバンに取り付く。

「ソォォォォル、イグニッショォォォォォン!!」

 魂の咆哮と共に、ブレイブ・バンが変形。
 そしてコンサーンがその胸部に収まり、巨大ロボットとなる。

「闘魂勇者、コンブレイバー! ここにけんざぁぁぁぁん!!」

 説明しよう。
 有機生命体アンドロイド・コンはその体内に込められたSoul Link
 systemが高まることでコンサーンに、そしてそのレベルがMAXに到達することで、次空間を越え召喚されるブレイブ・バンと融合合体。
 闘魂勇者・コンブレイバーへと進化するのだ!

「待たせたな、ダガー!」
「ぐおぉぉぉぉぉ!」
「そうか! ならば行くぜ!」

 コンブレイバーはまずダガーに詫び、律儀に待っていたダガーはそれに絶叫で答えた。
 ちなみに、今の台詞はこれ。

「ぐおぉぉぉぉぉ!
南無大慈大悲救苦救難広大霊感白衣観世音
 宇宙天地うちゅうてんち 與我力量よがりきりょう 降伏郡魔こうふくぐんま 迎来曙光ごうらいしょこう
 吾人左手ごじんさしゅ 所封百鬼しょほうひゃっき 尊我号令そんがごうれい 只在此刻しざいしこく
 天地混沌てんちこんとん 乾坤蒼茫けんこんそうぼう 人世蒙塵じんせもうじん 鬼怪猖狂きかいしょうきょう
 天空海闊てんくうかいかつ 鬼面仏心きめんぶっしん 鬼哭啾啾きこくしゅうしゅう 霊感散消れいかんさんしょう
>」

「というか、これ明らかに関係ないじゃん」
「やかましい黙れ」
「それより、あの短い雄叫びの中にこれだけの意味が込められてるのが凄いと思う」




後書き
いやはやサイモンさん未承諾のコンブレパロディ如何でしたか?
うーん、うぇぶ拍手から出たネタがここまで行くとは……普通にアナザーストーリーで混ぜてみっか?
そんなこんな思いながらネタに走り続ける俺、やばい。このままだとりりかるなのはがヤバイ。
なのはさんの暴走に拍車が掛かる。と、止めるにはやはりあれを書くしかないか。
ユーノといちゃつく話しを、ユーノ×リインTのほのぼの系統で!!

な「う、裏切りだー?!」

ま、他の皆さんのように甘い空気は出せないでしょうが、一応はネタっぽいのは脳内にあるのさ。
だから余裕が出来たら書いてみるのだ。

な「な、なのはの話は!? ユーノくんとの楽しい思い出旅行とかはーー!?」

んなもん無ぇ!!

な「バスターーーーーーーーーーーーーーー!!!!
ファイナルメテオールゼットン風味解禁!!
な「な!? なぁのおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ………!!!!?!?!!??!?!

コンブレイバーは無敵だ!!

「……って、ヤベ、なのはさんやっちまった報復が怖ぇえええええええええええええっ!?

 ……む、無敵だ!(汗)






 トントントン……と小気味良い音が部屋に響く。
 一人の女性が簡素な台所で料理をしている為に鳴る音だった。
 そこら辺は何の問題も無い。
 フリルの着いたエプロンを身につけながら料理しているが、そこも大した問題ではない。
 下の服装とマッチしているかと聞かれれば、半袖にミニスカだから真正面から見ればもう男の夢と描いて欲望の集大成。
 は○かエプロンなるものに見えてしまう可能性もあるが、取り敢えずは問題ない……無いんだ。

「……っよし」

 彼女がおたまを口に持っていって味見をし、それなりに満足のいく物が出来た事に安堵する。
 そんな彼女に、隣の部屋で作業をしていた少女が近づいて問い掛ける。

「リインフォース。どや、調子は?」
「良好です。主はやて」
「そっか、ならもう少しでユーノくんへのお弁当は完成やな」
「……はい」

 含み笑いをしながら言うはやてに、一瞬キョトンとした表情をしながらもリインフォースは頷く。
 彼女は今、主であるはやての家。八神家での生活を短い期間だが許可されていた。
 そして、彼女はどういう訳か、はやて達により美味しい家庭的な料理の作り方を教わっていた。

「でも、どうして急にお弁当なんて作る気になったんや?」
「それは、やはり大変お世話になりましたので……そのお礼をと」

 彼女の答えにはやてはふーんっと意味深な微笑を向けて答えて台所を移動する。
 リインフォースは視線をはやてからまな板の上の野菜と包丁に向け直す。



リリカルなのは 外伝話ほのぼの系?
 My Hert or You Hert
”無謀と勇気は違うけど、傍から見たら同じなんだから結果さえ良ければ全て良いんだと思う編”
 〜IF リインフォース〜


 話は少し前に遡る。
 幾月かの保護観察期間を経て、リインフォースは数日、と言っても2〜3日程度だが八神家への在住が許された。
 そこへ到るまでの経過は早過ぎやしないかという疑問の声も上がったが、巨大な圧力によってそこら辺は黙らされた。
 様々な情報を扱う無限書庫。故に其処に勤めるものは情報の集まりも早く、そう言う裏事情やら風の噂やらが舞い込むこともしばしばある。

「どうかしたのかユーノ?」
「あっいや、何でもないよ。リインフォース」

 妙な脱力感を感じていると、資料を取りに行っていたリインフォースが顔を覗き見ながら聞いてきた。
 ユーノは誤魔化すように言うと、彼女は首を傾げながらも「そうか」と言って資料を彼に渡す。
 大人な外見と相まった純粋純粋さを持つ彼女は、どこか儚さと共に幼さも感じさせるような気がする。
 そんな事を思いながら、ユーノは先程知らされたばかりの事を思い出す。

「そうだ、リインフォース」
「なんだ?」


 振り返る彼女に手招きして、近づくように促す。
 そんな彼女にユーノは微笑みながら、彼女にとって最も待ち望んでいたであろう吉報を知らせる。

「少しの間だけど、キミははやての家に帰れる事になったんだよ」
「……ぇ?」

 小さく、しかしハッキリと驚いていると解る声を出すリインフォース。

「本当か、ユーノ?」
「うん。これまでのキミの働きが認められたって事だよ。良かったねリインフォース」
「あぁ、そうだな」

 微笑むユーノに対して、リインフォースはどこかぎこちなく返す。
 ユーノは突然の事で気持ちの整理がつかないんだろうと思い、もう少し間を置いてから話そうと仕事を進める。

「あの、ユーノ」
「うん?」

 リインフォースが何か言おうとした時、無限書庫の入り口から一人の少女がユーノに声を掛け近づいてくる。

「ユーノくん、手伝いに来たよー」
「なのは」
「あ……」

 なのはの来訪に表情を明るくするユーノ。
 話の腰を折られたリインフォースは、呆然とするしか出来なかった。

「リインフォースさんもこんにちわ」
「あ、ああ……それじゃあ、わたしは資料の検索を続けるから……あとは二人で話しでもしてるといい」
「いや、そういう訳にはいかないよ」
「そうですよ。そしたらわたしが手伝いに来た意味がないじゃないですか」

 苦笑しながらなのはとユーノが言うと、リインフォースも苦笑して返して場所を移る。
 その様子にユーノとなのはは顔を見合わせて首を傾げた。


「ふぅ……」

 二人と離れてから小さく溜息を出すリインフォース。
 どうして逃げるようにあの二人から離れたのだろうと自分でも疑問に思う。
 少し疲れているのだろうかと思いつつ、気分を切り替える意味も兼ねて検索を開始する。
 ユーノから教わった術式によって検索魔法を行使し、彼女の周りに幾つもの本が集まる。
 目を閉じながら、数重もの本を引き寄せ開き情報を読み取っていく。

「―――でね、ユーノくん」
「へー、そんな事があったんだ。あ、なのは―――」

 集中しているはずなのに、時折二人の声が聞こえてしまう。
 それが妙に嫌に感じるのだが、まるで聴覚が二人の会話を聞き取ろうとするように意識がそちらに向いてしまう。
 集中が弱冠乱れている筈なのに、それでも検索をし続けられるのは彼女の技量が高いからか、無意識に悟られまいとしてるのか。
 そんな状況が少し続くと、不意に近場の局員達の会話が彼女の耳に入った。

「やっぱり高町教導官が一番か?」
「かもねー。見てると明らかにそんな感じだもん」

 内容はユーノとなのはの関係についてのようだ。
 胸の内で何かが反応したような気がしたが、気にしないようにしつつ作業を続行するリインフォース。
 しかし、先程とは違い集中すればハッキリと聞き取れる局員達の会話に、彼女の意識は七割方割かれていた。

「いっつも一緒にいるからなーあの二人」
「毎回来ればお弁当持ってくるか、無い時は手伝いもしてくれるし……やっぱりあの噂は本当なんじゃない?」
「噂って?」

 二人の局員の話しに、他の局員が近づいて聞いてくる。
 一時止まった会話にリインフォースも今までの事を思い出す。

(そう言えば、自分が何かしら事情があっていない時も彼女はよくユーノに会いに来ていたな)
「高町さんとスクライアさんが付き合って―――」
ギャブフォーーーーーーーー!?

 言葉が言い終わらない内に一冊の本が高速で飛び、世間話をしていた局員の一人の後頭部に直撃する。
 ついでに言うなら、直撃音と空を切る移動音がほぼ同時に聞こえたような殺人的な速度だった。

「うぉおおおおお!? 何だァああ!?」
「だ、だいじょうぶ!?」

 局員達が後頭部に手痛いダメージを負った同僚を気遣う中、リインフォースは呆然としていた。

「ユーノが、付き合っている?」

 ポツリと呟くと、彼女の周りで漂い開いていた本が一斉に閉じられた。
 まるで彼女の心情を表すかのように、力なく周りに漂う数十の本。
 実は一冊だけ無くなっているのだが、彼女は気付かない。というか気付く余裕が無い。
 その一冊が特に罪の無い局員に重傷を負わせたのだがそこはまた別の話し。


「……わたしには、関係ない」

 俯きつつ、小さくそう呟くと再び検索を開始する。
 だが先程より明らかに覇気が無く、立ち込める空気が重すぎる。
 そんな彼女に近づく一人の司書がいた。

「あ、あの……」
「なんだ?」

 恐る恐る尋ねる司書に、リインフォースは普通に返したつもりだった。
 表面上は普段と代わりの無い表情。だけど、今は誰が見ても明らかにイラついている。
 むしろ殺気立ってるように見えなくも無い。本人には全くその気は無いのだが。

「どうしてバリアジャケットを着てるんですか?」
「え?」

 言われてリインフォ-スは自分の身体を見下てみた。
 すると、言われた通り彼女は漆黒の翼を生やし、黒を基調としたバリアジャケットに身を包み込んでいる。

「あ、え?」

 自分の理解不能な行動に弱冠慌てるリインフォース。
 本人としては弱冠所ではなく、顔から火が出るほどに慌ててるのだが感情表現がまだ拙い彼女は表面上その評価が精一杯。
 気付くと回りの者達からも奇異の眼で見られている。
 騒ぎ始めた書庫の様子に気付いたユーノがなのはと一緒に原因であるリインフォースに近づいてきた。

「リインフォース、何かあったの?」
「ユーノ。いや、あの、なんでもない。何でもないんだ」
「何でもないって、バリアジャケットまで来て」
「それは……その」

 やはり恥ずかしいのか、視線を彼方此方へ彷徨わせるリインフォース。
 落ち着き無く両手の指を組んでモジモジと、それはもう恥ずかしがってますと身体全体で示してる。
 本来の主が見たら、ビデオ録画してダビング永久保存版など色々と作ってしまいそうな男心をくすぐる仕草だった。

わたしは女やーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
「あれ?」
「どうしたのユーノくん、リインフォースさん?」
「いや、今主の声が聞こえたような」

 辺りを見渡すが、それらしき姿は見当たらない。
 きっとどっかで電波が響いたのだろう、そういう事にしておこう。

「あ、そうだ。ユーノくんにリインフォースさん。もう食事は済ませた?」
「ちょっと仕事が終わらなくてね。まだ食べてないんだ」
「リインフォースさんも?」
「あ、ああ」

 なら丁度良かったと、なのはは何時の間にか持っていたランチボックスをユーノに差し出す。
 お礼を言いつつ適当な場所へと移動し、箱を空けると中には綺麗に整えられたサンドイッチ。
 なのははその一つを手に取ってユーノへ手渡す。

「はい、ユーノくんどうぞ」
「ありがとうなのは。じゃあ……?」

 不意に隣から視線を感じて顔を向けてみる。
 そこには年甲斐にも無く、子供の様に膨れてるリインフォースがいた。

「ど、どうしたの?」
「なにがだ?」
「なにがって……そのー」
「……私も貰って良いか?」
「あ、はい。どうぞ」

 ボックスの中から一つ手に取り口に運ぶリインフォース。食感、味、見栄え、どれをとっても自分より美味い。
 美味しいのだが、なぜか素直においしいと思えない。 彼女が隣を見ると、ユーノがサンドイッチを頬張り、笑顔で美味しいとなのはに告げる。
 その言葉に嬉しそうに顔を綻ばせながら、なのはは嬉しそうに笑い、つられる様にユーノも笑う。
 微笑ましいと思えるはずのその様子が何故か、妙に気にいらなかった。

「……」
(ゆ、ユーノくぅん)
(どうしたんだろうリインフォース)

 無言の眼差しによる圧力に二人は笑顔を引き攣らせるしかない。
 元々感情が表に出にくいリインフォースだが、今は明らかに不機嫌だ。
 何か起こらせる事でもしたのだろうかと思うが、生憎コレといって思い当たる事なんてなかった。

「あ、ユーノくん。口にパンくず付いてるよ」
「え?」

 そう言ってなのはがユーノの口元についているパンくずを指差し、掬い取ろうと手を伸ばす。
 慣れたような、極自然な動作とも思える二人の仕草はある種の結界のような見ててむず痒く入れない空気を作り出す。
 そんな入り難い聖域を貫くように、なのはよりも先に横から手が伸ばされてユーノの口元のパンくずを掬い取る。

「リインフォース?」
「なにか?」
「あ、いや……」

 取ったパンくずを口にしながら聞き返すと、ユーノは顔を少し赤らめて恥ずかしそうに視線を逸らした。
 なのはの方は自分の役割を取られたと言わんばかりに涙目で唸りながら訴えている。
 二人の様子を見て、リインフォースは自分の行動に疑問と戸惑いを感じて思案する。


 一体自分は何をやっているのだろう。
 別にやる必要など何処にもないのに、なぜこんな行動をしたのか。
 考えてもただ混乱するばかりで全く答えが出せない。
 そうしていると、横からユーノが心配そうな表情で話しかけてきた

「リインフォース。どこか体調でも悪いの?」
「え?」
「なんだか顔がちょっと赤いから」

 言われてリインフォースは自分の顔が微量だが熱を持っていることに気付く。
 傍から見てる側としては、顔を赤らめてちょっと俯いてる姿が妙に可愛いと思えてしまう。
 しかし、ユーノはそうゆう事より先に相手を気遣う心の持ち主だ。
 故に、自分の手をリインフォースの額に当てて熱を測ろうとするのも、心配から来る自然な動作で行なえる。
 だからだろうか、誰もその流れを止める事無く、リインフォースも彼に身を任せるだけで状況を把握するのに弱冠時間が掛かった。
 見てるなのはも一時フリーズを起こし、機能復活した途端ワナワナと震える腕を持ち上げて二人を指差す。

「あ……ぁっあ〜〜〜〜〜〜〜!?
「なのは?」
「あ、う……ゆぅの?」
「リインフォース、やっぱり熱があるよ。今日はもう休んだ方が良い」
「けど―――」

 リインフォースが何かを言おうとするよりも前に、ユーノが人差し指を突き出して押し止まらせて淡々と告げる。

「無限書庫司書長としての命令です。本日の業務は他の司書に任せてキミは身体を休める事。いいね?」
「……はい」

 そう言われては断るに断れない。
 今の自分は彼の仕事仲間以前に、保護観察など立場的には彼の言う事には従わなければならない保護観察の身分だ。
 だから、彼の指示には余程非人道的な事でなければ、従わなければならない。
 どこか釈然としない感情を憶えながら、リインフォースは渋々頷いた。


「ふぅ……」

 溜息一つで幸せが逃げるというが、幸せに逃げられたから溜息が出るのではないだろうか。
 リインフォースはユーノから設けられた別部屋のベットに足を入れ上半身を起こして、先程からこのようなどうでも良い事を考える。
 何故か気分が億劫で、だけど何かしてないと落ち着かない。ある意味仕事病かと自己分析したりとどこか落ち着きがない。

「……今頃ユーノは高町と一緒か」

 思わず口から零れた言葉に、二人が一緒にいる様子を想像してみる。

チクッ

「んっ」

 一瞬、胸に小さな……本当に小さな痛みが奔った様な気がする。
 それは決して気分が良いと言えるものではなく、胸の中で何かが溜まっているような、なんとも言い難いものだ。
 以前にも似たような感覚を体験した事があるような気がする。

 体感した?
 いつ……何処で?

―コンッコンッ―

 思考のループに陥りそうになった時、不意に扉がノックされた。
 お蔭で深く沈んだ意識が引き戻され、リインフォースは驚きながらも扉に目を向ける。

「リインフォース、起きてる?」
「ユーノか?」

 聞き返すと扉がゆっくりと開き、奥からユーノが小さく微笑みながら中へと入る。

「気分の方は大丈夫?」
「ああ、問題は無い。至って良好だ」
「そっか、なら今日はお粥じゃなくても大丈夫だったかな」

 苦笑する彼の手にはお粥と飲み物を乗せたおぼん。
 弱冠戸惑うように、運ばれてきた食欲を誘うような湯気を立てる粥とユーノの顔を交互に見る。

「これは、ユーノが?」
「うん。リインフォースと一緒に作ってる内に、なんだか癖になっちゃったみたいで……買ってきた方が良かったね」
「いや……うれしい」

 素直に感謝の言葉を言ってリインフォースは微笑んだ。
 それは僅かな変化だったけれど、彼女の微笑みを見たユーノは弱冠動きが止まってしまった。
 ユーノの様子に首を傾げるリインフォース。
 そこでハッと気付いたユーノは何でもように誤魔化すと、粥をスプーンで掬って冷ます様に息を吹いてから彼女の口元に運ぶ。

「はい」
「あっ」

 その行為に思わず声が洩れるリインフォースに今度は逆にユーノが首を傾げる。
 リインフォースは顔を赤くし視線を右へ左へ、落ち着かない胸の内を悟られないよう勤めながら、少しずつ口をあけることにした。
 ユーノは微笑みながら小さく、どこか必死さも感じられるように開かれた口に粥の乗ったスプーンを運ぶ。

「あ、あ……ん」

 何故か知らないが、妙に艶めかしいと思えるのはどうしてだろう。
 当人達はそうとは思っていないようで、ユーノはただリインフォースが咀嚼し終えるのを待つ。

「どうかな?」
「やはりユーノは料理がうまいな」
「一緒に作ってるから、リインフォースも最初の頃に比べると上達してるよ。うん、ほんとうに」

 最後の部分は呟く程度だったが、きっちりハッキリリインフォースの耳には届いていた。
 確かにユーノの言う通り、最初は凄まじいものがあったのだ。
 調理場は最初から最後までクライマックス。
 常にDouble-ActionとかRevolutionとか、何故か戦闘中に流れそうな曲が似合う場が支配していたのだから。

「それは……すまない」
「あ、いやでもリインフォースは覚えるの早いし、上手な人に教えてもらえば後はもう大丈夫だよ」
「……うん」

 ユーノの言葉にリインフォースは小さく頷く。
 互いに小さく微笑みながら、続けて食事を再開する。
 そこでリインフォースは、僅かに胸が温まるような感覚に気付く。

(そうだ。主のところへ戻ったら、まず料理を教えてもらおう)

 先程までのモヤモヤは完全に消えていた。



 その後、リインフォースははやての家に僅かな間在住し、はやてに料理を教わりたいと申し出たのだ。
 唐突な申し出に疑問符で返したはやてとシャマルの言葉に恥ずかしそうに答えるリインフォース。
 その初々しい反応が不味かった。その愛らしさを感じさせる仕草ははやてのお笑いの血を刺激し、シャマルの奥様魂を振るわせた。
 故に根掘り葉掘り問い質され、いらぬ心労を溜め込みリインフォースの八神家帰還初日は過ぎていった。
 かえる前の日にユーノへの手作り弁当を作る事が決定して冒頭のシーンへと向う。


「むふふー」
「はやてちゃん楽しそうですね」
「当然や」

 終始笑顔を崩さずにシャマルに返すはやての視線は、真剣な表情で料理をしているリインフォースへと向けられている。
 楽しさと嬉しさと期待、楽しみで堪らないといった感じだ。
 リビングではシグナムは新聞を読み、ヴィータはテレビで拳法使いの戦隊シリーズを眺めて不満げだ。
 どうやらヴィータはリインフォースと一緒にいられない事が不満なようで、はやてに向き直って不機嫌さを隠さずに言う。

「はやてはいーのかよ。リインフォースと一緒にいられなくて」
「それは、寂しくないって言ったら嘘になるけどユーノくんなら安心やし、リインフォースもそっちのが良いみたいやからね。ヴィータはユーノくんの事きらいなんか?」
「別に……いや、あの白い悪魔のストレスの原因だと思うとキライだな」

 ヴィータの言葉に苦笑するはやてとシャマル。
 シグナムは顔が青褪めている。恐らくヴィータ同様、模擬戦あたりで何かされたのだろう。

「ヴィータの心配も尤もや。けどな、わたしはみんなの気持ちを大切にしたい。それが人を思うことならなお更や。人を好きになるっちゅうことは……まあわたしもまだ恋なんてした事ないから豪そうな事は言えんけど、それは凄く大切な事なんよ」
「はやて」
「主」
「はやてちゃん。セリフ長い」
「ちぇすとー」

 シャマルのツッコミに、はやてはシュベルトクロイツを具現化して彼女の喉元を突く。
 微妙にずれて、十字剣の先端ではなく円形部分が当たった為に喉が潰れるという事は無かったが、十分な致命傷だからシャマルは痙攣しながら蹲る。

「びゃ、ばゃでじゃん」
「今のはシャマルが悪いよ」
「自業自得だ」
「んっん! だから、わたしはみんなの気持ちを、あの娘の……リインフォースの恋心を―――




応援したいと思っとるんじゃい。

ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフhuhuhuhuhuhuhuhuhfufufufufufufu


「な、なにを考えてるんですかはやてちゃん!?」

 口をω調にしながら瞳が十字星の如く輝かせるはやて。
 何の効果か、その光りは通常と違い赤々しく不気味に煌く。
 それはさながら新しいおもちゃを見つけたと言うか、明らかに何かを企んでいることを徐に体現していた。
 その様子にガビーン狽ニ効果音付きで驚き不安に思う騎士達。

「あ、主はやて。一体なにを考えているのですか!?」
「別に」ギュピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
「嘘だー!! 何かたくらんでるはやて!! 絶対!!」


 一層光る強さを増した眼光に叫ぶヴィータを意に介さず背を向けるはやて。
 騎士達に背を向けてもその光量は隠せず、赤い光が見て取れる。

「だ、大丈夫だと思うか?」
「大丈夫ではないだろう、絶対」
ギュピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!

 影でコソコソ言うや否や光りが強まり、一層不安になり顔が青くなるシグナムとヴィータ。
 当のはやては携帯を手にどこかに電話をかけると、何かのテーマソングを口ずさむ。

獣連者ー♪ 獣連者ー♪ 伝説の戦士達よ♪

獣連者ー♪ 獣連者ー♪ 時を駆ける希望♪

恐竜戦隊というのにー♪ ジュ○レンジャー?

ルルル〜……


「なぜジュウレンジャーなのですか主」

 最後にツッコミをいれたのは床で獣状態で寝込み、見てみぬフリを決め込んでいたザフィーラであった。





 リインフォースは仕事場への手続き等を済ますと、真っ先に無限書庫に向う。
 その手には可愛らしい柄の包みに包まれたお弁当を持って、司書達すら行くのが億劫になる仕事場へ足早に向っていく。

 たった数日離れていただけだが、その間あの少年はちゃんとした生活を送っていたのだろうか。
 食事は勿論、睡眠時間は? 彼の場合、誰かが注意しなければ限界まで無茶をしそうだ。
 考え始めると少し不安に思えてきた。呆れるかもと思う反面、自分がいないととも思えて何処か嬉しいような気がする。
 だから、早く彼に会いに行こうと思えた。


 もう少しで無限書庫の入り口に辿り着く。
 入り口を目にした時から妙に胸の音が高鳴り、歩きながらも落ち着くように自分に言い聞かせる。

 あと10歩、9、8、7。6。5。4……3……2……1―――

 最後の一歩を踏み出し、顔を見上げて中を見渡す。
 円筒形に高く積み上げられた本棚の中、行き交う人々の中から目的の人物を探す。
 彼の場合、いつも中心で無数の本を浮かばせている……ある意味埋もれているから探すのに大して苦労はしなかったりする。
 しかし予想外に彼を発見したとき、彼は本に埋もれてはいなかった。

「ゆー」

 そこで声を掛けようとして、思わずリインフォースの動きは止まる。

「ユーノくん手伝いに来たよ」
「ユーノ。今度の調査で聞きたいことがあるんだ」
「ユーノくん借りてた本返しに来たんだけど」
「ユーノ、今度の休みにちょっと聞きたい事があるんだけど」

 彼が本に埋もれていない理由が解った。
 そう、彼は本ではなく別のものに埋もれていたのだ。
 なのは、フェイト、すずか、アリサの四人が対面して作られた妙な空気と言う魔の空間結界に。
 四人の表情は微笑み、見るものを和ませる筈の明るいもの。
 だが、その中間地点は明らかに何かがぶつかり合っていた。

バチバチバチバチィ!!!

 意思による不可視の力のぶつかり合い。
 その様子を傍から見ていた司書がノリ良く驚きながら解説っぽく語り出す。

「ぬぉおおおおお!? 四人の視線がぶつかり合い、その中間地点で燻っている!!」
「これはどれか一つでも力の均衡が崩れれば、この辺一体の空気が消しとばされてしまうぞ!!?」
「だが、このままでは千日戦争(ワンサウザンドウォーズ)に突入するしかねん」
「なら、中心地点に司書長がいても助けいっちゃダメって事だね?」
「その通り! っつかあの空気に飛びこめるかぁ!!」

 司書達が何か言ってるのが聞こえるが、リインフォースは気にしない。
 むしろ、四人が作り出す空気を望む所だと言わんばかりに突き進む。
 彼女の存在に気付いた司書の一人が「ぃいIIIIIIIIYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!?」と悲鳴を上げた。


 何故だろう。
 彼女達は主の、私にとっても友人であり、別に嫌悪すべき対象ではない。
 なのにどうして、胸の内から憤怒にも似た想いが沸き起こるのだろうか。
 ただ、仕事中のユーノに腕を組んだり、手を握ったり、あんなに顔を近づけるのは如何なものかと思う。
 そうだ。きっと自分は彼の業務が滞り、疲労することを危惧しているのだ。だから、彼女達に対してこの様な気分を感じてしまうのかもしれない。
 なら彼女達には少し自嘲してもらうように伝えなければ。もし聞き入られないようなら早々に退場してもらおう。
 そう、ここは仕事場なのだから彼女達も節度を護るはず。


 頭の中で色々と考えながら、リインフォースは軽く跳躍すると真っ直ぐに五人のいる場所へと向う。
 幾らか近づいた所で、ユーノが一番に彼女の帰還に気付き微笑みかける。
 彼の顔を見た瞬間リインフォースは思考が停止し、それが気恥ずかしくて目を逸らしてしまう。
 そんな彼女にユーノは変わらない優しい表情で彼女に話しかける。

「お帰り、リインフォース」
「……ただいま。ユーノ」

 二人のやり取りは本当に些細な事だった。
 でも、それはとても心地良いもので、温かく安らげる何かがあると互いに感じられた。






 だからだろうか。
 それを横から見ているなのは達の瞳がそれぞれの色を持ってア・ヤ・シ・ク煌き耀く

「レイジングハート……恋の障害、壊すけど良いよね? 答えは聞いてないの!!」
「バルディッシュ、ユーノを釣ってみない?」
「わたしの設定に誰かが泣いた……かな?」
「あたしはいつでもクライマックスよ」

 ミシミシミシミシミシミシミシ……!!!!

 空気が一層重たく、張り詰めるものへと変わる。
 その重みに一人、また一人と司書達が倒れていった。
 ついでに無限書庫を利用しに来た局員も巻き添えだ。


「グハァ!?」
「俺の勇気は……砕かれたのか」
「倒れるときも……まえのめりに……ドグァアアアアアアア!!!!」
「トウキョウトッキョトカキョク……トウキョウトッキョトカキョク」
「オノ……レ……ニン……ゲン」

 なにやら色々と吐いたり、花畑が見え始める人たちもいるが、特に気にしない。
 むしろ気にしてはいけないのだ。

 さて、どうして彼女達がこれほど巧いタイミングで鉢合わせる事が出来たのであろうか?
 偶然か。または別の意思によるものか。



「うーん。これで後は今企画してるユニゾンデバイス。つまりリインの子供が作られれば後は―――フフフのフー♪」
「はやて、なにをたくらんでるんだよぉぉぉ……」

 どこかの地下室っぽい場所で、黒い鍔つきとんがり帽子を被り、黒いマントという旧魔女スタイルに身を包んだはやて。
 でかくて中身が煮え滾った五右衛門風呂を背後に、妙にノリノリな彼女に半泣きで付き従うヴィータ。
 残り女性二人は仕事に、犬畜生は仲良し子犬とデートに逃げた。

「さて、これより八神流。ユニゾンデバイス作り会議を始めたいと思います」
「これ、明らかに会議じゃないよぉ。はやてぇぇぇ」






〜続いたよ

 うーん。駄目だなぁ。
 皆さん良い恋愛話し書いてるから乗ってみようかと思ったが……やはり駄目か。
 何故だ。なぜ他の人達の様に甘くならない?
 これじゃあ女の子達みんな修羅じゃん!?
 ヤバイ、これヤバイよ。



えーっと…この後の展開予定っちゅーか予想?

シャマル「ヴィ、ヴィータちゃん?」
シグナム「その……大丈夫か?」
ヴィータ「ゥゥゥックゥゥ…………この悲しみを……怒りに変えて……あたしは戦う!!(裏声) ……泣きながら……ゥゥゥッグスッ」
ザフィーラ「この後も……続くのか」

ヴィータ「ェグック……この後は……この後は、月村もバニスングスも加わるかもしれないって……(涙声)」
シャマル「そ、そうなの」
シグナム「たのんだぞ」
ヴィータ「うぅぅ、二人が逃げたぁ」


 ゴメンねヴィータ。
 だけど、止められない止まらない。それが俺の邪な子の帝主と書いてジャスティス!!
 すずか、アリサが絡むかは……どうだろう。
 取りあえず安全な恋愛は無いとだけは言えるね。
 ははははは、そんな俺はユノなの派?






 ファイルをダウンロードしますか?

 暫くお待ち下さい…………


 何かしらの電波と野望とネタ拾い根性など様々な不具合の発生。
 正しくダウンロードできませんでした。




壊れ系パロディリリカルなのは第8話
改め

凛々しく狩る名の覇王
好妬来禍阿事(ストライカーズ)


 わたし達は、ずっと一緒にやってきた。
 辛い時も、苦しいときも、楽しいときも……支えあって助け合って一緒にやってきた。

 略。

「ええ〜〜〜!? 良い話なのにぃ!?」
「諦めなさいスバル。この作者の曖昧な話は今に始まった事じゃないでしょ」
「でも、あたしの出番あんまりないんだよ〜!?」
「我慢しなさい! この回の話でパロディやるって言ったら確実にあたしは碌な目にあわないじゃない!!」
「でも、ティアは他の所で恋する女の子してる〜」
「あんたも出番あったでしょーが!」

 進まないんで先行きまーす。


死因(シーン)1


 戦闘跡地に散らばるガジェットの残骸。
 それらをを調査している複数の人員たちの中になのは達も集まっていた。

「えっと……報告は以上かなぁ。現場検証は調査班がやってくれてたけど、皆も協力してね?
 ユーノくん関連の噂、暫く聞いて嘘言ってないって解ったら開放してあげるから♪」
「なのはさん。本編と台詞が違うんですけど」
「それより、どうして全員バインドで縛られてるんですか?」
無駄口たたかない♪
「はい!!!!」

 スバル、エリオが冷や汗を垂らして質問するが、近場の木に指を減り込ませて問答無用の笑顔で黙らせるなのは。
 思わず規則正しく正座してしまう新人四人組。

「あの、ティアナさん大丈夫ですか? 凄く顔色悪いんですけど……」
「だ、だいじょうぶ。わたしは何もしてないから……そうよ、わたしはだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶ」

 恐怖心に眼が逝っちゃってるティアナを見て、キャロはその姿に心底心配と恐怖を感じる。
 その様子を見たなのはは瞳部分を影で覆い隠して、微笑み彼女に歩み寄っていく。

「で、ティアナなんだ?」

ビクッ!?

 思わずスバルまで身が竦み、ティアナに視線を向ける。
 彼女の瞳は、ある意味すでに死を受け入れていた。

「……ちょっと、わたしとお散歩死ようか」
「………………はい」


 二人は森の中、仲間達と離れて歩きながら話をする。

「失敗しちゃったみたいだね。無限書庫の噂って言われるようになるなんて」
「……すみません。一話で……フラグ立てちゃって」

 微妙に解りにくいだろうが、別世界での話しを混ぜながら話す二人。
 フラグ云々はここの切り札(ジョーカー)的存在G―WINGさんのsts時代を見てもらいたい。
 あそこからこんなカオスが出来るなど、きっとコンさんも予測できなかったに違いない。
 と、まあ後が恐い文章を出しつつ、なのはの周りの空間が揺らいで見えるのは恐らく気の所為ではない筈だ。

「わたしは現場にいなかったし、在り来たりなニアミスでもう落ち込んだだろうけど、改めて言わせて貰うけど、
 ティアナは時々、ツンデレっぽいんだよね。それでちょっと、グッと来ちゃうんだよね」
(そうかしら……)
「でもね」

 ビクゥ!!!!!?

 ポンッ……と、肩を叩かれただけだった。
 優しく置かれた筈の、細く綺麗な普段は優しさのある力強い手。
 それが今は……万力のように肩を締め付けって言うかむしろ握り砕く勢いで力が込められている

「ティアナのライバルは一人じゃないんだよ。集団から狙われてるユーノくんの隣のポジション確保は、前後左右……
 周り全部が敵なんだから

 ミシリッと肩から音がするが、なのはの重た過ぎる言葉にティアナは心底恐怖した。
 その所為で瞳孔は開き、束ねられた髪が二つともアンテナの様にピンと張り立つ。

「その恋と、G―WINGさんの話しでのニアミスの理由。ちゃんと考えて、二度と(ユーノ訓争奪戦に)加わらないって……



 約束できる?


 ティアナは悟った。
 ここで嘘でも頷いておかなければ、出番どころか存在自体を消されると。
 実際問題、比喩ではなく眼と鼻の先に桜色の魔力光が宿る手の平を突き出されて断れる人がいますか?
 むしろ作者自身の存在が抹殺されかねん。G―WINGさんごめんなさい。


死因(シーン)2


 その頃、残ったメンツは現場検証の手伝いをしていた。
 作業をしている途中、キャロがフェイトが見知らぬ人物と仲睦まじく話しをしている事に気付く。
 疑問に思い、念話でシャーリーに相手の事を尋ねてみる。

(えっと、シャーリーさん。フェイトさんと一緒にいらっしゃる方、考古学者のユーノ先生って窺ったんですが)
「そう、ユーノスクライア先生。時空管理局のデータベース無限書庫の司書長にして、
 夜の一族や炎の少女など恋の発掘で異名を取ってる考古学者。
 このサイトのほぼメイン待遇として扱われてそうな、元主役キャラっていうのが、一番しっくり来るかなー。
 なのはさんフェイトさん達の恋の戦場の中心核なんだって」

「はぁ〜……っ?」

 そこでキャロは気が付いた。

 なのはさんフェイトさん達の恋の戦場の中心核なんだって。
 なのはフェイト達の恋の戦場の中心核。
 なのは達の恋の戦場。
 現在なのははティアナに釘刺し中、現在ユーノはフェイトと会話中。


 これって、ヤバクね?

 バッと振り向いた時、ユーノとフェイトは何処かへと歩いていた。


 今回の事件と係わりのありそうな話をしながら、ユーノとフェイトは歩く。
 彼の少し険しくなった表情がさり気なく格好良いと思った。

「……寂しいさよならもあったけど……わたしにとっては、色んなことの始まりの切っ掛けでもあったから」

 彼女の言葉に微笑むユーノ。
 その後ろから巨大な爆発が前振りも無く唐突に巻き起こる。

「「えっ!?」」
「ユーノくーん、フェイトちゃーん」
「な、なのは」

 驚きながら振り返ると、そこには修羅がいた
 これはマズイと瞬時に判断したフェイトは、尤もらしい言い訳を光速の演算処理で叩き出す。
 出来なければ自分もなのはの腕にボロクズのごとく引き摺られてる少女の様にされてしまう。

「なのは丁度良かったアコース査察官が戻られるまでユーノ先生の護衛を頼まれてるんだ交代お願いできる?」
「うん……了解」(ニヤリ)
「エリキャロ逃げ、じゃなかったじゃまた後でね」(ギュン!!)

 この間一秒ジャスト。

「あ、はい!!」(ダッ!!)
いま行きます!!」(タタタ)

 お子様コンビは疑問に思ったが、なのはの覇道一のメンチをきられてビビリフェイトの後を追う。
 邪魔者は居なくなったとばかりの邪悪な笑みを浮かべ、仮面に覆い隠すように表情を変えてユーノに向き直る。
 互いに目が合い、何となく笑いあう。
 その笑顔の意味は純粋な喜び、片や疑惑の苦笑と大きく違っていたが、とりあえず和やかな空気が流れた。
 ちなみになのはの背後、足元でティアナがピクリとも動かない事には誰も気付いてくれなかった。


死因(シーン)3


 場面は思い切り変わって訓練へ。
 フェイト、エリオ、キャロが見守る中スバルとティアナはなのはとの訓練を開始。
 ティアナとスバルは不条理ななのはの砲撃への恨みをバネに新しい作戦プランを立て、今正に実行しようとしていた。

(特訓の成果、殺すシフトC。行くわよスバル!!)
「ティア、なんか名前ちがってる……」
「おだまり!!」

 恨み募ってるのはティアナだけで、スバルは巻き添えだった。
 なのはに悪いと思いつつスバルは突撃、ティアナは殺る気満々に実体化した魔力刃を突き出しなのはに跳びかかる。

「ごめんなさぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!」
「一撃必殺ゥ!!」
「……レイジングハート、モードリリース」
死ねぇええええええええええええ!!!!
(恐いよティア〜)

 一体どんな目に合ったと言うのか。彼女の眼は本気(マジ)だ。
 彼女の気迫に対してなのはは小さく呟き、三つの影が一つになる。
 轟音と爆発が三人を包み込みその姿を覆い隠す。

「おかしいな、二人とも……どうしちゃったのかな」

 煙が少しずつ晴れてゆく中、なのはの声が聞こえてくる。
 完全に視界が利くようになった時、なのはの背中には覇王の文字が描かれ、足元にはスバルがボロ雑巾の様に倒れていた。

「す、ストリートファイター」

 それは誰の呟きだったか。
 現在なのはが発している殺気が空気越しに伝わり、その声さえもかき消してしまったように感じられる。

「頑張ってるのはいいけど、恋の修羅場は遊びじゃないんだよ

 そして、ティアナは突き出した魔力刃が素手で鷲掴みにされているという目の前の現実に、驚きとも恐怖とも取れる表情をするしかなかった。

「本編の話しだけ(ユーノとの恋愛に関して)無害そうなキャラして……SSで恋する乙女するんじゃ、キャラ設定の意味、無いじゃない……
 ちゃんとさ。セオリー(ユーノ×なのは)通りやろうよ。ねぇ」

 なのはの手に力が込められ、ティアナの魔力刃に無数のヒビ、亀裂が入り今にも砕け散らんとする。
 死線がティアナに向けられ、淡々と死の宣告っぽい台詞がつづられていく。

「私の言ってる事、わたしの恋心…………そんなに間違ってる?」

 明らかに聞くべき事が違うと思われるが、そんな事彼女は知った事じゃない。
 場の空気に耐え切れなくなったのか、形成していた魔力刃ごと粉々に砕け散るクロスミラージュ。
 実際は壊れるダメージレベルではなかったが、このまま行くとヤバそうなので自爆、いや自壊した。
 相棒の無残な最期(実際は違うが)に反射的に飛び退き、恐怖に涙しながら叫ぶティアナ。

「あたしはぁ!! ただ無限書庫に質問しに行ってるだけだからぁ!! 出番があるだけだからぁ!!!」
「ティア……」

 微妙に脱線してるような悲しい叫び。
 むしろ恐怖より自爆発言に泣くハメになってるような気がするティアナ。

「だから、ツンデレじゃないんです!!!」
「少し、自覚させよぅ」

 指先をティアナに向け、足元に魔方陣を展開。
 と、見せかけて握り拳を作り腰溜めに構え、霊力を宿らせて一気にティアナの懐へ潜り込む。

いやぁああああああああああああああああああああああああああああ幽々白書ぉおおおおおーーーーーーー!!?!?!??
ショットガァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

 散弾銃式にティアナの鳩尾に無数の魔力弾が一気に打ちつけられる。
 その認識ができるかも不明なほどに爆発が彼女の姿を覆い隠す。

「ティアーーーーーーーーーーーーー!!!?」
「よく見てなさい。ユーノくんに手を出そうとした者の末路を

 なのはの視線の先ではティアナが壁に大の字で減り込んでいた。
 傍から見ても瀕死名状態の彼女をなのはは容赦なく砲撃する。

「M78光線!!」
「なんで!?」

 スバルの驚きの声も空しくかき消される轟音と共に繰り出される桜色の放流。
 それは涙を流すティアナを粉々にするかのような衝撃を生み出した。
 さり気なく肉片っぽいのが飛び散ってる気がするのは多分気のせい。

「ティアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


 打ち落とされたティアナは力なく横たわり、スバルは全力で彼女の元へ走っていく。
 ローラーが唸りを上げ、風を切って一直線に爆走する。
 ただただ親友の事を想って駆け寄るスバル。


 だが、普段から空回りな彼女は止まる為に身を捻ったとき、ついでにティアナを蹴り飛ばしてしまう

ゲぶォッ……!?
「あっ!? ごめんティア。大丈夫? あれ、ティア? ティア。ティ……」

 そして、彼女は気付いてしまう。
 口から血を垂れ流すティアナは、もうすでに息をしていなかった。
 その事実にスバルの瞳から涙が零れ落ちていく。

「模擬戦はここまで。今日は二人ともぶちのめされて終了」
「っう……ぅっっくぅ!!」

 淡々と告げるなのはを仇の様に睨むスバル。

(よくもティアナを!!)

 いや、もしかしたらキミがトドメかもよ?

(ちょっとだけスッキリしたの)

 悪魔決定としか思えない回だと思った。




あとがき
いやはや、まさかアニメで悪魔になるとは思わなかったです。
この回ユーノくんが出ていたのと、明らかにネタにしてくれとしか見れない回だったので、すぐに来ましたよ電波。
結構違和感ないかもなー。容赦なさ過ぎなのはさん。
あ、とりあえずティアナさんは虫の息にも満たないですが生きてます。


実は今回使おうか迷ってたのもある。
それは下に乗せておきますー。
えーーーーっと……
みなさんごめんなさい申し訳ありません。
<(_ _)>








 それは誰の呟きだったか。
 現在なのはが発している殺気が空気越しに伝わり、その声さえもかき消してしまったように感じられる。

「頑張ってるのはいいけど、恋の修羅場は遊びじゃないんだよ

 そして、ティアナは突き出した魔力刃が素手で鷲掴みにされているという目の前の現実に、驚きとも恐怖とも取れる表情をするしかなかった。

「本編の話しだけ(ユーノとの恋愛に関して)無害そうなキャラしてさぁ……なに? 偶然出会っておきながら隣で寝るなんて、凄いフラグじゃない?

 すみませんそれ明らかに別世界の話ですなのはさん。

「ユーノくんからプレゼントまで貰っちゃって……悪魔でも私に敵対するんじゃ、戦うしかないじゃない?」

 それは地獄の方じゃないですか。
 いや、十分鬼っぽいけど。

「ユーノくんがグレて、なのはと破局しそうなのに……フェイトちゃんとは良い雰囲気ってなに?」

 だから別の次元のはなしでしょう。
 それはそれで需要がある話ですし。

「旅行でときめいてるのに、本編でこんな設定が出ちゃ……すずかちゃんに獲られちゃうじゃない」

 トキメキは億千万って違う。
 だからなのはさん。色々とヤバイからもうヤメテ。

「狐で和んでたのに、どこの馬の骨とも解らない♀虎まで出て……本編でのユーノくんとの一時はなんだったの?」

 そこは後の展開に期待するしかない。
 微妙に解りにくい投稿作者ネタもやめましょうよ。

「休日ネタで、はやてちゃんまで酔って一線越えたのに……ユーノくんとの絡みはあれだけなの?」

 切に希望するが、そこはシナリオさんに祈るしかない。
 一線越えはこの作者では確実に無理だから諦めて♪

「なのはだって顔赤らめて脈あり反応してるのに……アリサちゃんみたく偽りの恋人関係にもなれないの?」

 そこは作者の技量の違い。
 って、だからそれ別世界の話だっつのなのはさん。

「泥棒猫まで出てきちゃって、小さい子まで出るんじゃ……なのはの立場、無いじゃない?」

 そこまで知らねぇよ。
 しかもレイジングハート握りつぶしてますよなのは氏。
 そろそろやば過ぎると思うんで、本当に勘弁して下さい。

「ちゃんとさ、Λさんっぽくやろうよ……ねえ、わたしの言ってる事、わたしとユーノくんのカップリング……間違ってる?」

 間違ってるとは言わないが、明らかにやっちゃいけない事はしてると思います

 俺がね。





 えー、凄くヤバイ通り越して逝っちゃってるので、止めておきます。
 もう手遅れっぽいけどね!!
 あ、あの怒らないで下さい。
 いや、本当に皆様申し訳ございません。
 お許し下さい。情け容赦下さい。すみません。どうかご慈悲を。御免なさい。許してください。すみませんでした。






なんか色々と重なってしまったので、考え付いたネタダイジェスト。


ユーノカップリング系ダイジェスト



ギンガ姉さん編


『無限書庫へ捜査資料受け取りに行ったりなんだったりで付き合い長くなる』

『段々とお互いに引かれていく』

『スバル頑張る+ティアナ巻き添え。二人の恋を応援し(既成事実作っ)ちゃおう作戦』

『エリキャロは子供同士仲良くしてる所拉致され途中参戦』

『遊園地デートっぽい雰囲気形成』

『スバル、ギンガに見つかる。ギンガ微笑む』

『おしおきターイム』

『あべし』

『また今度二人で会う事を約束して帰宅』

『帰宅後、ギンガその日の事を思い出し布団で転がる』

『スバル、ノックせず部屋に入室・浮かれる姉目撃』

『しつけタイム』

『うわらば』

『後日、ユーノと遊園地デート』

『ユーノに向ってダイブするギンガ』

『抱きしめ合ってその場で回転する二人』

『勢い余って転ぶ』

『ギンガ、マウントポジション』

『ゴチになりますG』

『ア゛ァーーーーーーッ!?』

『色々かっ飛ばし過ぎだろうが謝らない』



ファリン編

『ユーノ、休みに月村家へ遊びに行く』

『いつしかユーノに恋していたファリン。この機にお近づきになろうと頑張る』

『空回り』

『色々ハプニングを起こしながらも全てフラグへと昇華』 

『何時の間にか鍵の掛かった個室に閉じ込められる二人』

『ファリン・種割れもとい夜の一族の血(輸血)覚醒』

『ユーノバインドで時間稼ぎ、逃走を謀る』

『トラップ発動』

『催涙ガス』

『メカ+アームなど等』

『ア゛ァーーーーーーッ!?』




ティアナ編

『執務官勉強にユーノのところへ行く機会が多くなったティアナ』

『教師役に適任なユーノ。段々と惹かれていくティアナ』

『自分の心境の変化に戸惑うティアナ』

『勉強に身が入らず、ユーノと一緒にいることが妙に気になり出す』

『ティアナの様子が気になったユーノは気分転換に外食へ誘う』

『悪魔の圧力に日々恐怖を感じるティアナ』

『当日、半分ヤケになり酒を一気飲みしていく』

『酔いつぶれるティアナ』

『ユーノ、彼女を気遣い宿舎まで運ぶ』

『スバルが悪魔の特訓を受けている為、部屋には誰もいない』

『泥酔ティアナが動く』

『ユーノ、首元にモード2の刃押し当てられる』

『ベットに押し倒されるユーノ』

『覇王降臨』

『『ア゛ァーーーーーーッ!?』』

『南無』




士郎編

『ア゛ァーーーーーーッ!?』







 あくる和やかな日のお昼時。
 三人の親子が仲睦まじい、正しく家族団欒な景色を作り出していた。

 数秒前までは。


ユーノさんロリコンですもんね……
「リイン!? リイン!? リインゥウウゥッ!?」
「ぱぱだーいすきですよー!」



リリカルなのは 外伝話ほのぼの系?
 My Heart to You Heart
コンさんのSSSS&日記返信にキちゃったんだよ編
 〜ただ、ノるかソるかはその時次第の巻〜



 プイっと顔を逸らし、そっぽを向くリインに本気で慌てるユーノ。
 傍から見たら可愛らしいようにしか見えない仕草だが、それをやられているユーノにとってはある種の死活問題級の衝撃だ。
 そんな両者の間にいる娘は父の葛藤、母の気持ちなどのやり取りなぞドコ吹く風と言った様子でユーノに抱きつき頬を摺り寄せている。

「リイン。そんなに怒らないでよ」
「べつに怒ってないですょ」

 言いながら更に顔を背けるリインフォースにユーノは頭を抱えるしかない。

「ぱぱー。ままはどうしておこってるですか?」

 二人の様子を疑問に思うが、その理由が解らない幼い娘に苦笑する。
 何とも言えないが、ただ安心させるように頭を撫でると嬉しそうに、汚れなど知らない純真無垢な表情で笑う。
 それを愛しく、微笑ましいと思っていると、横から妙に痛い視線を感じた。
 振り向いて見ると、リインフォースがいかにも不満気な表情をして、唸りながら何かを訴えていた。

「む〜……もういいです! リインなんか放っておいて、二人で仲よくしててください!!」
「リインフォース!」

 本気で立ち去りそうになるリインフォースを咄嗟に抱き留めるユーノ。
 リインは特に抵抗したりする事はせず、細く華奢な身体はユーノの身体に覆い隠される様に収まった。

「リインフォース……一体どうしたの?」
「べつに何でもないです。どうせリインじゃなくても、ちっちゃい子ならユーノさんの好みなんですー!」
「もう、そんな事ある筈ないじゃないか」

 苦笑しながら呆れたように話し、駄々っ子のように手を振り回すリインフォースの両肩を掴んで自分の方へと振り向かせるユーノ。
 お互い顔を向かい合わせて、真っ直ぐに相手の瞳を見つめ合う。

「だって、ユーノさん……最近リインにはあんまり構ってくれないから……」
「リイン」

俯き、泣きそうな声で呟くリインフォース。
余りにも儚く、消えてしまいそうな彼女を繋ぎ止める様にユーノはしっかりと抱き締める。

「ごめん。ないがしろにしてた訳じゃないんだ。確かにあの娘は大事だけど、それは大切な人と一つになれた証しだから一層大切にしたいって言うか……その……」

「リインだって解ってますよぅ……だけど……さびしかったんですょ?」


「ごめんねリイン」
「許してあげません」

 帰ってきたのは否定の言葉。
 だけどその口調は明るくて、ちょっと茶目っ気があるように思える。
 その証拠に言うや否や、リインフォースはユーノに背中を向けた途端、全体重を預けるようにもたれ掛る。
 ユーノは慣れたような動作でリインフォースを抱き留めるとゆっくりその場に座り込む。
 顔と顔が触れ合うくらい近付き、二人の吐息が混ざりそうでもある。

「これからは気をつけるよ」
「本当ですか?」
「本当だよ」
「じゃあ、今までさびしかった分。た〜っぷり甘えさせてもらいますね♪」

 嬉しさ爆発。
 今までの鬱憤を晴らす様にユーノに向き直り、飛び付く様に抱き倒すリインフォース。

「リインフォース……もしかして、これがやりたかっただけ?」
「ぇう。寂しかったんですよぅ」
「あはは」

 拗ねたようで、明らかに甘えていると解る口調で頬を擦り寄せるリインフォース。
 小動物の様に好意を身体全体で証明する彼女を愛しく思い、ユーノは彼女の空の様に澄んだ髪を撫でる。

「ぱぱとまま、ずるいです〜」
「ゴメンね。パパはママで手が塞がっちゃってるから」
「じゃあ、こうしましょう♪」

 そう言うとリインフォースは身を捩じらせ、再びユーノに背中を預けてその両腕を自分の肩越しに自分の正面に組ませる。
 すっぽり腕の中に納まったリインフォースは、今度は自分も娘に向けて両手を広げて微笑んだ。

「はい、どうぞ♪」
「はーい!」
「わっぷ!?」

 リインフォースの言葉を合図に思い切り飛び込まれ、軽い衝撃に小さく呻くユーノ。
 ふと気付くと自分の手がリインフォースと彼女の間に出来た子供にしっかりと掴まれていた。
 後ろから覗き込むと二人ともとろけるようなって言うか、トロ〜ンっつ〜かポワーンというより、ほにゃらかとでも言うような表情。
 つまり幸せ一杯、胸いっぱい気分丸出しの、だらしないとも言える緩みきった顔をしていた。
 二人の砕けた表情を見て、何よりも愛しい気持ちが込み上げてくる。

 まあ、こうなったのはある意味流れというか……むしろそこら辺は忘れさせてくださいと言いたいが。
 少し前の事を思い出して、表情が弱冠引き攣っているのが自分でも解る。
 あの時は本当にどうすれば解らなかったなぁ。
 ちゃんと(理性の)注意はしていた筈なのに行き成り三ヶ月と言われ、しかも後で知った理由がクロロフォ……あの時はやけに夕日が眩しいと思ったなあ。

「ユーノさん?」
「ぱぱ?」
「ん、なんでもないよ」

 揃って顔を見上げてくる二人を見て、沈んでいた気持ちが弱冠軽くなっていくのが解る。
 頭を撫でたいけど、生憎手は塞がれてる。でも、二人に何かをしてあげたい。いや、したい。
 だから、リインの肩に顎を乗っけて体重を少し預けて抱きしめる腕に少しだけ力を込める。

「あったかいです。ユーノさん」
「……うりゅぅ……」
「眠い?」

 聞いてみると、重なりそうな瞼を一生懸命閉じないようにしながら頷く。
 半分自分の意思で頷いてるのかどうなのか解り辛かったけど、微かにうんと言っていたとような気がする。

「こんな所で寝ちゃだめですよー?」
「はぅ……ふにゅ……」
「良いんじゃないかな? 今は休憩中なんだし」
「でも……そうですね」

 少し考えた素振りを見せながら、同意してくれた。
 一緒にいて解ってきたが、彼女は結構心配性なんだと思う。
 この娘が出来てからその傾向が現れたんだろうな。それまではリインがこんな感じだったし、やっぱり子は親に似るのか。
 同時に彼女自身も大きく成長している事も解り、新しい一面を知れて嬉しさを感じる自分にも気付いた。

 始まりはとっても不純だったけど……明らかに違法行為をされたけど……謂れ無き中傷を受けた事もあったけど……
 驚いて、焦って、悩んで、混乱して……作為的ななにかに怯えた事もあったけど。
 今では彼女の傍にいられる事が何よりも嬉しくて一番心が安らぐ時だ。

「リインフォース」
「ユーノさん」

 同時に言葉を発した事にまたかと思って、また一緒に笑い出す。
 彼女と自分の言葉が同時に出るという事は良くある事だった。それが何度も続くものだから、それがまた可笑しくて二人して笑う。
 そして、特に意味は無いけど、自分の額をリインの額に軽く当てる。どちらが先かは解らないけど、何時の間にかそれが先にどうぞの合図になっていた。
 時々触れ合う場所が唇になったりするし、同時にやった場合はどちらかが折れて終り。
 本当に意味がないなって思うし恥ずかしいのに、二人ともやめる気にならないのはどうしてだろう。

「もうすぐ休憩終わっちゃいますよね?」
「そうだね」
「だけど、起こしちゃうのは可哀そうですよね?」
「うーん。布団に連れて行けば大丈夫じゃない?」
「でも、目が覚めた時にわたし達がいなかったら、泣いちゃうかもしれませんよ?」

 一理あるかもしれない。
 この子はリインフォースに似て、少し自分に依存し過ぎている気がしなくもない。
 そう、あの可愛がってもらう以上の事を求め始めた頃と……なんだかこの娘の将来に少し不安が……いや、大丈夫だ。大丈夫だと信じよう。
 今はリインの話しだ。

「それじゃあどうするの?」
「……今日は、サボっちゃいませんか?」
「リイン」
「今日ぐらいダメですか。ユーノさん?」
「……今日ぐらい?」
「あはは〜」

 ジト目で問い掛けてみると、乾いた笑顔で実を摺り寄せてくるリインフォース。
 呆れながらも、数回ほど了解してる自分も大甘なんだろうなと思えてまた溜息。

「もう……でも、30分くらいだよ」
「はい! じゃあ、邪魔にならないように少し移動しましょうか」
「ふぁぅ……?」
「あ、起きちゃいました?」

 少し身を動かしただけなのに反応するって事は、まだ眠ってはいなかったみたいだ。
 眼を擦ろうとしてるのをリインが注意している。「もー!」と呆れたように言う彼女の子供っぽさが可笑しいような。

「リイン、早くしないとこの休憩室にも人が来ちゃうよ」
「わかりました。じゃあ一緒に、言った通りにやって下さいね?」
「ふゃい」

 呂律の回らない舌で返事をし、リインに言われた事を寝ぼけ眼で実行したようだ。
 すると、二人の身体がおとぎ話の妖精の様に小さなものへと変わる。
 それを見届けた後、自分も変身魔法で動物形態へと姿を変える。

「はい。頑張って下さいね。おとーさん?」
「ぱぱ……わふわふ〜……」

 背中に乗った二人の言葉に苦笑しながら、部屋の隅の方へと移動していく。
 最初の頃は別に小さくなる必要は無いと思ったけど、二人が気に入ってしまったらしく、時折こうして抱き枕代わりになっている。
 なんだか無性に悲しい気もするけど、二人が満足してるならそれはそれで構わない。

「すぅ〜……くぅ〜」
「寝ちゃったみたいだね」
「ユーノさん。温かくて気持ち良いです」
「まあ……フェレットは、毛並みは良い方だと思うよ?」
「違いますよ」

 ちょっと自嘲気味に言うと、リインが拗ねたように返してきた。
 そして上半身を倒して全身を重ね合わせて、一字一句噛み締めるように呟く。

「ユーノさんと一緒にいると、気持ちまでとっても温かくなるんです」
「リインフォース」
「ん……」

 何か言おうとする前に唇が柔らかい唇で塞がれる。
 小さな接触音が聞こえて、離れるまで本の数瞬程度の接触。


「いつも思うけど、やっぱり変な感じだね」
「でも、リインはユーノさんがどんな姿でも大好きですよ」

 とても無邪気な顔でそう言ってくれて、無防備に頬を摺り寄せてくるリイン。
 最初は戸惑っていたその純粋な好意が今では本心から嬉しいと思う。

「ありがとう」
「ほぇ?」

 首を傾げる彼女の髪の毛の一本がピョコンと揺れる。
 しばらく疑問に思っていたようだけど、彼女も日頃の疲れがたたっていたのか、すぐに眠ってしまったようだ。
 それでも母子共に自分から離れずに、むしろ抱きしめる力が強くなってるのは凄いと思う。
 首を動かして二人を見ると、とても心地良さそうに抱き合って眠っていた。
 空いた片手で自分を掴んでいるから寝返りなんてやったら危ないかな。

「おやすみ」

 二人に挨拶をして瞳を閉じる。
 予想していたよりも早く眠気が襲い、急速に意識が薄れていく。
 ものの数分もしない内に、僕は完全に眠りに入った。

 余談。
 その後、無限書庫にスクライア親子三人が現れたのはおおよそ休憩時間終了から一時間ほど遅れての事だった。
 ついでに記載すると、三人とも身体のあちこちが痛いと悲鳴を上げていたと言う。

「やっぱり布団で寝るのが一番だよね」
「はぅぅ」
「くびがいたいですぅ〜」






 後書き


 ダメだった
 ゴメンなさいコンさん。やっぱり自分みたいなチキングリルじゃ駄目だったよ。
 やはりコンさんじゃなきゃダメか……なぜ思ったように事が運ばないんだぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!?
 もっと可愛いく出来るはずなんだ!? もっと甘く出来る筈なんだ!!! なのにどうしてダメなのさ俺!?
 やはり最後にカオス来ないとノレないのか!? どんだけだよ自分!?
 そう言えば、自分の作品大概オチ作って終わってるよな。マジでorz

 あ、あと何故今回フェレット出したかってーと、やってみたいネタがあったから。
 だけど、やろうとしたらアレな感じになるので止まった!!
 いや、日記のフェレットモードで云々書こうと思ったんですが……ダメだあれは!!!!
 ユーノがリインを舐め尽くすっちゅーか以下云々やねん。ヤバイ脳みそ腐ってる。死ぬべきか俺?

 さて、コンさんに日記のリインネタを使う許可を頂いたので、幾つか出そうと思ってるものがあります。
 その内の一つは、真面目にリインとカップル作るまで……
 つまり日記の恋心自覚とにゃーさんのアルフネタを一部拝借し、リインとくっ付くまでの真面目っぽい話しを作るつもり。
 目指すはサイモンさん作、リーベ的な調子!!! 100%中の57348957%無理だけど……時間があったらやるよ僕!!
 あ? カオス作家が何言ってんだボケ? 寝言は死んでから言え? リインSSはコンさんに任せろ? つーかお前は引っ込め?
 いや、解ってます。解ってますが……

 コンさんの描くリインが可愛いかったんですよぉおおお!!!
 チクショウ!

 はい、皆さん。こうなったら終りです。
 理性のあるうちに一歩踏み止まる精神を身につけましょう。
 あっははは。それでも自分はユノなの派だと言っておく。(オイ






「はぁ……」

 思わず口から溜息が洩れてしまう。
 昨日、無限書庫内でユーノと話した後、なぜか模擬戦を行う事になってしまった。
 しかも相手は、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、月村すずか、アリサ・バニングス。
 彼女達と入り乱れての模擬戦は苛烈を極め、ユーノの張った結界さえも看破して訓練室を破壊してしまうほどだった。
 模擬戦なのだから彼女達も加減をしても良いだろうと思う。彼女達が本気で来たら、こちらとて本気で向わねば太刀打ちできない。
 と、そこまで考えて少し言い訳をしているような気分になった。
 ありのままの真実を思い返しているだけなのに何故だろう。

「ユーノには迷惑を掛けてしまったな」

 あの後、自分達は上司にそれは長く叱りつけられ、片付けなどはユーノと観戦していた者達が行なっていた。
 一応断ったのだが、後で局員から聞いた話だと、彼は笑顔でかわして片づけを行なったようだ。
 無限書庫での激務で疲れているだろうに、結界を張ってもらうだけでなく後片付けまでしてもらっては何だか後味が悪い。
 このまま無限書庫に行こうかと思ったが、何となく会わせる顔が無い。だが、何もしないというのはもっと拙いだろう。
 ならば、どうすれば良いというのか。

「ぁ……」

 気が付いたら、ユーノの部屋の前に来ていた。
 最初は無限書庫に向っていたはずなのに、いつの間にこちらへ来ていたのだろうか。
 自問自答しながら疑問に思っていると、ふとした事が頭に思い浮かんだ。

「そうだ。部屋の片付けでもしよう」

 ユーノが帰ってくるまでは少し時間があるし、謝罪の意味でも何もしないよりマシだろう。
 今日は徹夜2日目だが、結界を張ったり余分な雑務をしたりと周りの不安を煽ったのだ。
 たとえ本人が続けようとしても、周りの司書達が簀巻きにしてでも帰宅させるはず。
 むしろ、そこまでしなければ休もうとしない彼に少し呆れもするが、兎に角彼はもう少しすれば帰ってくる。

「ふぅ」

 まったく。手間が掛からないようで世話が焼ける。
 そう思いながら、扉を開けて中に入るといつも通り中は静寂で包まれて。

「お帰りユー……」
「え?」
「あ」

 思わぬ事態に、互いに動きが止まってしまう。


 訂正しよう。
 いつもとは違い、そこには一匹の猫がいた。




リリカルなのは 外伝話ほのぼの系?
 My Hert or You Hert

”世の中ってのは色々考えても自分の思考だけじゃ解らない事ばかりでしょーもあら編”
〜if リインフォース〜


 なんだろうかこの状況は。
 ここはユーノが所持する部屋で合ってるはず。
 局のセキュリティも司書長ともなれば相当なもので、簡単には部外者が入れるはずは無いのだ。
 ならば、なぜ部外者がここにいるのだろうか。不法侵入なら容赦なく追い出せるが、もし客人や知り合いならそうもいかない。
 けれどユーノ本人からは今日は誰か来るという予定は聞いていない。
 疑問に首を傾げていると、相手のほうから話しかけてきた。

「改めて合うのは、これが初めてかしらね」
「?」

 改めて、という事は以前にもあったことがあるのだろう。
 そう言えば、事件解決後に主の知り合い……で合ってただろうか。その人物に二匹の猫の使い魔もいたような気がする。
 確かリーゼロッテ・アリアだったか。どちらがロッテ・アリアだっただろうか。

「お前は」
「私はアリアよ。リインフォース」

 とりあえず来訪者は主の知り合いだと解った。
 正直に言うと、彼女達と会うのは少し罪悪感が出る。
 直接的な関係は無いかもしれないが、まだ互いに正面から話すのには抵抗があると思う。
 それはさて置き、なぜ彼女がユーノの部屋にいるのだろう。

「どうして私がここにいるのかって顔してるわね」
「あ、いや」
「否定しても、顔に出てるわよ」
「うっ」

 そうなのだろうか。
 そう言えば以前主の元へ帰ったとき、妙にからかわれた様な気もする。
 時折みる局員達の様子も、よく考えてみると私自身の感情が表に出たときか。
 しかし、私にそんな感情などある筈が無いのに。

「なんだか難しい事考えてるでしょう?」
「いや、そんな事は」
「ユーノの言った通りね」

 なぜそこでユーノの名前が出てくるのだろう。
 それにやけに親しそうな様子も妙に気に掛かる。
 ふと、アリアが私の方を見て微笑した。それがまた妙に気に掛かった。

「一緒にいても、よくあなたの話しが出てくるのよ」
「そう……なのか?」

 アリアに言われて少し胸の奥がむず痒いような、妙な感じがしてユーノの事も含めて気になる。

「気になる?」
「いや、別に」
「そう」

 短く返事を返してアリアはテーブルに置いてあったカップを手に取ってコーヒーを入れ始めた。
 何だかもやもやとした感じが胸の中で止まって気持ち悪い。
 こんな事なら聞いておけば良かっただろうか。
 そんな事を思っていると、アリアがコーヒーを入れたカップを差し出してきた。

「どうぞ」
「ああ、すまない。うっげほ、ごほ!!」

 ただ反射的に受け取り、流れで一口飲んで見て予想より熱く喉が焼けるかと思った。

「ちょ、大丈夫?」
「ああ……問題っない」

 口元を腕で拭い呼吸を整える。そのお蔭で多少は落ち着けたような気がする。
 つい流されてしまったが、なぜ彼女がここにいるのかを聞いていなかった。

「そう言えば、どうしてお前がここにいるんだ?」
「ユーノにお弁当を作ってきたの」

 そう言ってランチボックスをもって掲げるアリア。
 それを見た瞬間、また胸の中で妙な感覚が起きた。
 今度は先程とは違い、何かが燃えるような……落ち着かない感じだ。

「ちょっと前に差し入れに持っていったんだけど、何かあったの? 彼凄く疲れたような顔してたけど」
「それは……その……」

 口篭る私に対してアリアは何かを悟ったように苦笑する。

「何か変なことでもした?」
「そんな事はない……」

 と、思う。
 ユーノが疲れているのは、きっと模擬戦の結界破壊と戦闘に巻き込まれた事による疲労だろう。
 あの時は平静を装っていたが、やはり目に見えて疲れてるのか。
 罪悪感を感じるが、そこまで疲れを見せているのに休もうとしないのもどうかと思う。

「心配?」
「ん」

 反応して彼女の顔を見てみると、何がおかしいのかクスクスと笑っていた。
 訳が解らず疑問に思っていると、アリアは穏やかな口調で私に話しかけてくる。

「ふふっ随分と感情豊かになったのね」
「……私がか?」
「そうよ。自分では気付いてないでしょうけど」

 そう言えば以前、主の元に帰った時も似たような事を言われた記憶がある。
 何だかあの時の主は水を得た魚……と言うか目を血走らせてユーノとの関係を尋ねていたような。今はそんな事はどうでも良い。

「それより、なぜお前がユーノに差し入れを?」

 確か彼女達……グレアムという人物も含めて私に関する事件での捜査妨害工作や主はやてへの謝罪として管理局からは身を引いてる筈だ。
 そんな彼女達が態々管理局に来るというのはどういう事だろうか。何か重要な事件が起きたのか。あるいは……

「ユーノの所に来たのは、お父様に用事を頼まれて、ついでに無限書庫の様子を見てくるように頼まれたのよ」
「そうか」

 アリアの説明に安心したように、ホッと胸を撫で下ろすリインフォース。
 そこで彼女は自分が何に対して安心したのだろうと疑問に思い、その思考を中断させるようにアリアが衝撃的な言葉を言ってのける。

「って言うのは建前で、本当はただユーノに会いたかっただけなの」
「え?」

 一瞬。リインフォースはアリアの言ってる事が解らなかった。
 驚くリインフォースにアリアは変わらない笑みを浮かべる。
 彼女の様子にリインフォースは自分が落ち着かなくなってきている事に気付く。

 アリアの真っ直ぐに自分を見据える瞳に気圧されるような錯覚。
 ソワソワするというのか、胸が締め付けられているような、重く伸し掛かっているようにも思える。

 これは……そうだ。不安という感情だ。
 どうして私は彼女の視線に不安を感じているのだろう。
 闇の書として活動してきて幾星霜。
 幾つもの世界を滅ぼし、転生してきた私が不安を感じた事などこれまでに一度しか感じた事がない。
 それは、自身の侵食によって主はやてを死なせてしまうかもしれなかった時の事だ。
 何故、あの頃と同じような感覚が現れたのだろう。

「あなたに一つ言いたい事があったの」
「……何だ?」

 その一言を口に出す行為が酷く緩慢に思えた。
 何故彼女が言おうとしてる事に一抹の不安を感じるのだろうか。

「……わたしは、ユーノの事が好き」
「っ!?」

 その言葉を聞いた時、胸に鉛の杭を打たれたように嫌な痛みが走る。
 胸が痛い。息がし辛くて苦しい。目眩がするような気がする。
 どうして、こんなにも胸が締め付けられるのだろう。

「最初にその気持ちに気付いたのは少し前だけど……きっとわたしは闇の書事件の時から彼の事を好きになっていたのかもしれない」
「……なぜ、私にそんな事を?」

 掠れる様な声で、搾り出すようにして何とか言葉にする事が出来た。
 何故、これだけの行為がこんなにも辛いのだろう。
 どうして、彼女の言葉にこれほどまで動揺するのだろう。
 解らない。先程から疑問が尽きない。自問自答し続けても答えが浮かばない。
 それがとても、辛いとさえ感じる。

「今は……あなたが彼に一番近いところにいるから……それに、私はまだスタートラインにも立ってないだろうし、ね」

 そういった彼女は寂しそうに微笑む。
 しかしすぐに人差し指を真っ直ぐに伸ばし私に向けて、言う。

「でも、負けたわけじゃないから」

 指を鼻先に突きつけたまま語る彼女の表情は、とても輝いて見えた。
 思わず呆然としている私にアリアは微笑んだ後、すぐに帰る事を伝えて部屋から出て行く。
 出掛けに、アリアは扉に手を掛けた所で振り返る。

「今日ユーノの部屋に来たのは、ついでに掃除でもしてあげようかって思っただけだから」

 それだけ言うと彼女は手を振って部屋から出て行った。
 ようやく止まっていた思考が動き出したのは、彼女が出て行ってから数分たった後。
 けれど、その場から動く事が出来ない。

「わたしは……どうしてしまったんだ?」

 胸の部分に手を当て、呟きながら考える。
 自分の胸を締め付けるような不可解な現象。
 以前感じた主はやてを死なせてしまう自責の念に近い。だが、あの時とは少し違うような気がする。
 何がかは解らない。
 これは自分に発生したエラーによるものなのか。
 否。現在の自分にそのような不備は無い筈だ。

 なのに、この胸に去来する感覚は、強く私に何かを訴えている。



「ユーノ」
「あ、リインフォース―――?」

 あれからどれ位経ったのか。気が付いたら私は無限書庫にまで来ていた。
 なにか理由があった訳ではない。ただ、あれからどうしてもユーノの事が気になってしまい、部屋でただ待っていると言う事が出来なかった。

「どうかしましたか?」
「それはこっちのセリフだよ。何かあったの?」

 本当に心配そうに尋ねてくる。それが心からのものであり、彼の人の良さが窺える。
 それは非常に好ましいものであるが、その優しさが人から心配される要因である事に彼は気付いていない。
 そんな彼を見て、自然と頬が緩み自然と足が動き彼に近づいていく。

「ユーノ」
「リインフォ―――!!?!?」

 気が付けば彼を抱きしめていた。
 やってしまってから、どうしてこんな行為に及んでしまったのかと考えるが、思考とは別に口が勝手に動くように言葉を紡いでいた。

「私は……ユーノの傍にいても良いのだろうか?」


 なにを言っているのだろうか?
 私のマスターは主はやてであり、ユーノではない。
 なのに、どうしてこれ程までに胸の奥が騒ぐ。瞳に熱くなる。目の前が潤む。
 どうして彼の言葉を待つのが、こんなにも落ち着かないのだろう。

 少しの間、そのままでいるが返事は無い。
 こんな事を聞かれて、彼も呆れているのだろうか。
 そう思っていると背中を軽く叩かれる。それも何度も、何かを訴えかけるように。
 なにかと思い彼を良く見てみると、ユーノは呼吸困難に陥っていた。
 どうやら抱きしめた拍子に胸の膨らみが顔全体を埋めてしまったらしい。

「っり……くっくる……し……」
「す、すまない。ユーノ」

 慌てて手を離し、ユーノを解放する。
 余程苦しかったのか呼吸も荒く、顔全体が真っ赤になっている。
 訳も解らずユーノを苦しめて……本当に私は何をやっているのだろうか。

「えっと、リインフォース」
「すまない。本当に申し訳ない。許してほしい」
「大丈夫だよ……そんなに不安に思わなくても、キミの居場所はちゃんとある」
「ユーノ?」

 不意に顔を上げると、ユーノが手を伸ばし私の頭を撫でる。
 その手はやはり優しさに満ちていて、心地良くて暖かな気分にさせてくれる。
 どういう訳か頬が段々熱くなってきた気がするが身体機能に異常は無い。
 むしろそれさえ心地良いものの様にさえ思えてくるのだから不思議だ。

「キミはもう闇の書なんかじゃない。いま、ここにいる君ははやてやヴォルケンリッターの家族。幸福の風リインフォースなんだから。
 はやて達だけじゃない。なのはやフェイト、リンディさんやエイミィさん。クロノやアースラの人たちだって、みんな君の事を大切に思ってる」
「……ユーノはどう思ってる?」
「僕も大切な家族だと思ってるよ」

 笑顔で言い切る彼の言葉が、この時はとても嬉しく思えた。
 そう思いふと気付くと、向かい合ったユーノの瞳に移る私がほんの少しだけ笑っていた。
 自分でも知らない内に微笑んでいたようだ。

「そうか」

 ただ、ユーノの言葉に嬉しさと同時にほんの僅かに寂しさにも似た感覚が芽生えたような気がする。
 どうして寂しいのかは解らない。けれど、彼の優しさに触れられる事が自分にとってとても嬉しい事なのだと知る事が出来た。
 つい先程感じた感覚が何だったのかは解らない。けれど、彼の傍にいると自分が知らない内に笑顔なっている事が知れた。
 今日はそれで良いのだと思う。



 傍から見たらリインフォースとユーノが見詰め合っているに他ならない状況の無限書庫。
 その周りでは僅かな間にこのようなやり取りが行なわれていた。

緊急ケース発生! 緊急ケース発生!!
共同結界魔導師チームを出入り口に固めろぉおおおおおおおおおおおお!!!! これ以降何人たりとも出入りを許可するな!!
「チーム単位で防音結界発動ぅぉおおおおお!!! 別チーム組で暗視結界展開ぃい!! 中の情報を一編たりとも外へ洩らすな!!」
白い覇王が! 金色夜叉が!! 焔の双翼が!! 黒結の姫君が!!
「管理局天災の燐光に知られるな!!! この場にいるもの全員記憶操作しても構わん!! これを得S級機密事項として外部漏洩を阻止!!」
「こんなネタで死ぬなんて、死んでも死に切れねぇ!!」

 鬼気迫る司書達の雰囲気に圧倒される、無限書庫を利用しに来た局員達。
 中には武装体の面子もいたが、彼等のあまりの気迫に圧倒されていた。
 そんな戦場の真っ只中的な空気が形成される無限書庫。
 そこに、結界が展開される直前、中に入り込む小さな影が二つあった。
 その人影を先導していた局員が、中の様子に気付かずにユーノ達へと近づいていく。

「あの、司書長。面会のお時間です」
「あ、もうそんな時間か」
「面会?」

 首を傾げながら尋ねるリインフォースに、ユーノは一呼吸置いてから説明する。

「今日は聖王教会との交流も兼ねて、一部の武装隊との演習があるんだって。それで、顔合わせに両方から人がくるんだ」
「そうなのか」

 説明を聞いて事情は解ったが、そんな約束をしているのに結界の展開やいつもの仕事を滞りなく行うというのは、無理をし過ぎだと思う。
 本当に彼は自分の身を省みないから困ったものだ。
 そんな風に思い眉を顰めていると、司書が振り返り奥から二人の少女が挨拶をしに近づいてきた。

「あれ? あの、隊長さん達は」
「父は隊の講義が終わったあと、すぐに次の任務を言い渡されてその説明を受けにいってます」
「こちらも、聖王教会の方で指令が渡り、代わりに私が残るようにと」

 青い長髪の後ろにリボンを纏めた少女と、紫のカチューシャをつけた長い金髪の少女が交互に話す。
 何となく年も離れてて、同じ場には揃わなそうな組み合わせだと思ってしまったのは何故だろうか。


「そうなんだ。あ、自己紹介が遅れました。現在この無限書庫を任されてるユーノ・スクライアです」
「あ、ギンガ・ナカジマです」
「わたしはカリム・グラシアです」

 私が些細な事に思考が働いてる内に三人は自己紹介を済ませる。
 二人の少女は少しの間驚いた表情をしていたが、やがて暗い表情をして顔を伏せている。
 何となくユーノに対してバツが悪いように見える。

「あの、すみません」
「本来なら、しかるべき立場の人が代わりをつとめるべきなのですが」
「別に気にしないで構いません。変に気を使うとお互いに疲れてしまうでしょうし」

 ユーノの言葉に二人の少女は少し呆けたように返事をした。
 恐らく上に立つ立場の者に会う礼儀作法として、事前に礼儀作法など教え込まれてきたのかもしれない。
 だが、これまで会って来た者達と、ユーノの雰囲気とでは大きな違いがあったのだろう。
 何と言うべきか、彼はそういう雰囲気が無いのだ。悪い意味ではなく良い意味で。
 誰であろうと親しみが持てそうな、そんな雰囲気が彼にはある。

「えっと、立ち話もなんですから、座りませんか? 部屋に案内します」
「あ、はい」
「お願いします」
「じゃあ、リインフォース。そういう訳だから、今日はちょっと遅くなりそうだから戻れないかもしれない」
「……解った」

 短く返事を返し、三人を見送る。
 奥の部屋へと流れるように移動する彼等の姿を見ると、胸の奥がまた無性に騒がしくなった気がする。
 何故だろうか。これは以前主のご友人達が鉢合わせていたのを見た時と似たような感覚。
 それがどうして今また現れたのだろうか。
 いくら考えても答えは浮かばない。
 それどころか、あの二人がユーノと一緒にいる姿を思い浮かべると、一層ざわめきが大きくなっていく。
 これは一体何なのだろうか。


「おい、お前行けよ」
「やだよ!? とばっちり喰いたくないよ!!」
「でもさぁ、あの人から漏れ出てる魔力の所為で結界が罅割れすっから誰かが止めないと……」
ぐはぁぁぁぁああああANFHSのカオスジャッジメントが襲い来るのはいやぁあああああああ!!!
「諦めるな! 甘えないで!! 何とかなる!!! ゾナーズソング!!!!」
「ゾナーって何だ!?」

 その日、無限書庫では退出時に厳密な身体、魔力、秘密漏洩防止に対する検査が激しく行なわれた。
 故に無限書庫使用が長時間出来ない状況に陥ってしまうが、何故か業務はそれほど滞る事は無かった。
 司書達が中にいた人物達に資料検索を強要したり、覇王の報復があるなど囁くなどされたかは不明である。
 ただ、その時無限書庫に来ていた人物達は、中であったことを決して口に出す事は無かったと言う。


 ついでに、現在はやてはと言うと……

エコエコアザラク……エコエコザエラク……アーイーヤー! キオシタオー!! アーイーヤー! キオシタオー!!

 なにやら妙な呪文を歌いながら、五右衛門風呂っぽい鍋の周りを室戸市名物しっとろと踊りをしながら回る。
 絶対的に音程が合わなそうな組み合わせなのに、妙に乗り良く踊り歌うはやて。
 その後ろでは、ヤシの実のトロピカルジュースを飲むヴィータが、柴田亜美先生作画の主人公少年風な瞳ではやてを眺めていた。

「これから何が起こるんだろうなザッフィー」
「わう」

 ザフィーラは妙に体型が丸っこくなっていた。
 その視線の先の鍋では、頭にタオルを載せて妙な色をした湯船に使っている小さな少女が気持ち良さそうに唸っているのであった。

「はぅぅぅ〜〜〜〜……いい気持ちですぅ〜〜」





〜続いてるよ

 やはりダメだな。他の作者さんの様に悶えるような葛藤が書けない。
 コンさんの様な魂を振るわせるような葛藤っていうか沸騰は無理じゃ。
 うーん。なんでだろうな〜。こうなったら原点に帰ってみるか。
 自分のに帰ったらデバ学になるっつの、リリなの原点。
 むぅ、ムズイな。やはりSTSデータ消失はキツイよGOD。
 取りあえず次回はツヴァイ登場なるか?
 ギンガ、カリム登場は果たして意味があったのだろうか。





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