第二十四話「命永らえ恋する乙女」






 闇の書に関する一連の事件は終了したと考えてもいい。
 八神はやては闇の書の呪縛から解放された。結果としては夜天の書の主となってしまったので、これまで通りの一般的な生活とはいかないだろうが、それでも直接的危険がない分、比べれば天と地程の差があるだろう。
 リインフォース、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラの守護騎士達は以前と変わらずに八神はやての元に居る。魔力蒐集という強硬手段を取ってしまった故にお咎めなしとは言えないが、それでも理由を鑑みれば悪意ある行動と言い切れはしない。そういった点を欠かさず、管理局には彼女達の事を通達する予定になっている。ヴォルケンリッターに反省の意思がある以上、どうにかなるという楽観視が崩れない。これも、一応の区切りは付いた。
 闇の書の防衛プログラムが作動した理由は、キョウが闇の書から防衛プログラムを切り離す際に取った手順に問題があった為らしい。確実な事は言えないのだが、どうも彼女はなのはやローグに期待を寄せ過ぎた、という事らしい。まだ未熟な魔導師が練習も無しにいきなりの本番、加えて普段は行わない作業、相手はロストロギアと呼称される程の魔導書。これで万事上手く行く方が間違っているのだ。とはいえ、単なる計算違いであれば、理由不明よりも遥かにマシだろう。起こるべくして起こった不足の事態なのだから。
 最も問題視されるだろう事柄。防衛プログラム、無限の再生能力、転生能力。これらは全て、防衛プログラムが闇の書から切り離された際に同時に切り離されている。リインフォースの弁によれば、夜天の書を闇の書たらしめた要因は全て一纏めに管理されていて、一つ切り離すという事は残りの二つを同時に切り離す事に繋がるらしい。つまるところ、夜天の書はこの世に存在した最初の状態へ戻ったという事になる。今まで蒐集した魔法うんぬんに関しては別だが。
 そしてキョウの計算違いによって起動、暴走した防衛プログラムは、月天王とその守護騎士、夜天の守護騎士達の手により破壊された。アリサ・ローグウェルとヴォルケンリッター達から総攻撃を受けた防衛プログラムは多大なダメージを負い、最終的にはイキョウによる対魔対物剣サイキョーブレードの一撃によって消滅した。みんなで必死こいて攻撃してダメージ与えたのに、まるで豆腐にチェーンソーでも突き刺すかの如く易々と防衛プログラムを破壊して見せたイキョウ。最初からお前がやれ、とほぼ全員から非難の声を浴びたのは言うまでも無い。イキョウ、というかサイキョーブレードはふざけた名前に似合わず完璧な反則なので、次元犯罪者よりもあれを取り締まれと誰かが思ったとか思わないとか。
 そうやって闇の書事件は、始まりから終わりまで管理局の介入が殆ど無い状態で決着した。
 今現在は、中休み、といった状態。
 激しい戦いのすぐ後に管理局による取り調べを受けるのはいささか無茶だという事で、二日ないし三日程度の間を挟んで、ユーノが管理局に報告する手筈になっている。
 この日は中休み二日目。翌日に管理局への報告を控えたユーノは、はやてとヴォルケンリッターに過度の罪が掛からないように資料作成に余念がない。そんな、特に大きな出来事の無い筈の日だった。






 陽が沈み夜の帳が下りた時分。大木の元、プラチナブロンドの魔導師は佇んでいた。
 空は夜を表す真っ暗闇。無数に点在する星の光が儚く見える。眼下に視線を移したなら街の灯り。家屋の、ビルの、施設の、タワーの、なんて事無い灯り。
 息を一つ、大きく吐く。
「ああ」
 感嘆の溜め息。
 視線を天に移す。
「何時の時代も、変わらない。天に映える月は汚れない。ベルカも、ミッドチルダも、地球も。でも、古代ベルカで言う月は、今のベルカやミッドチルダや地球の月と同じなのか?」

 見るのは月。
 夜天にある月。月天は夜。夜と月。どちらを先に言葉として表したとて、大きな違いは無い。見る者が、月に主を置いて見るか夜に主を置いて見るかの違い。要は匙加減一つ、気分一つ。
 夜天と月天は、とても似ている。景色も、魔導書も。
 夜天の書は元々、世界各地に点在する様々な魔法技術を研究する為の魔導書。その為の蒐集機能。
 月天物語は元々、世界各地に点在するとある系統の魔法技術を研究する為の魔導書。その為の超大容量。
 最大の相違点は、求める最終地点。
 夜天の書の求める最終地点を彼女は知らない。けど月天物語と違う事だけは分かる。
 月天物語が創られた目的。それは世界各地を巡り、情報を集めてある魔法を完成させる事。それは、不死へ辿り着く魔法。
 誰だって一度は想像する。ずっと楽しい時間が続けば良い、と。誰だって嫌でも気付く。楽しい時間だけ続くなんて事はあり得ないと。誰だって漠然と怖がる、死ぬ事を。だから、不死が欲しい。
 ありきたり、なのだろうと彼女は思った。彼女は地球へ来て、様々な書物を読んだ。単なる時間潰しにだ。資料書、小説、漫画、取り敢えず時間を潰せればなんでも良かった。けど思いもよらぬところである事実に気付いた。
 魔法があろうとなかろうと、結局人間は人間であるという事。ベルカも、ミッドチルダも、地球も、古代ベルカも、やっぱり物語に綴られるのは愛とか友情とかそういったものが多くて、やっぱりその中に確実に存在するのは、人間が不死を求める物語。
 誰だって死ぬのが怖いから、不死になろうと考える者が出ても可笑しくは無い。そうやって考える者が出たから、月天物語が創られたのだし。

「なぁ、どうだと思う?」
「知らないよ。俺はベルカとかミッドチルダとか、名前しか知らない。テレビで見た事がある分、まだフランスとかの方が知ってるよ」

 月天物語という魔導書は、夜天の書と同時に創られた。この二冊は、元は完全に同じものだったのだ。ただその後の使用法が違ったから同じだった筈の魔導書は違うものになり、違う名前になった。当たり前だ。用途が違う書物に同じ名前は付けない。
 夜天の書はありとあらゆる魔法を研究する為に、ある程度万能である必要があった。その蒐集機能に偏りがあってはいけない。どんなものでも貪欲に取り込んでこそ、その目的は果たされる。
 月天物語は不死のみを研究する為に、ある程度限定する必要があった。その蒐集機能には偏りがある。人体、精神といった生に関わる事を取りこんでこそ、その目的は果たされる。
 月天物語は、生まれてから永きに渡り、夜天の書と共に旅をして来た。とある研究施設にて生まれた二冊の魔導書は、その研究施設に縁のある魔導師二人に手渡され、二人の魔導師を主として同じ旅に出た。完成したばかりのシステム、テストを重ねたとはいえ実際に使用する際にどんな不具合が出るかは分からない。単独での行動より複数での行動の方が都合が良い。
 二冊の魔導書と二人の主は旅をした。旅の中、二人は様々な魔法を蒐集した。貪欲なまでに、手当たり次第に出会う魔導師全てに協力を仰ぎ、情報を得た。そうやって旅する中、勿論この行為に反対する者もいた。そういう連中には過激な思考を持つ者も当然居て、二人の魔導師は戦いを余儀なくされた。だが、二人は戦闘に長けていなかった。強力な攻撃魔法が魔導書の中に存在していても、それを使いこなす事は出来なかった。だから守護騎士プログラムが創られた。
 二人は旅を続けた。頼りになる守護騎士のお陰で並の相手なら子供をあしらう様に蹴散らせた。だがやはり守護騎士も生命体。プログラムとは言え、疲労もすれば怪我もする。休息が必要だった。ちょうど、というタイミングで街が見えた。地図にも載っていない小さな街だった。その街は焼けていた。夜盗にでも襲われ、火を放たれたのだろう。
 運良く、あるいは悪く、二人の魔導師のすぐ近くに民家があった。その軒先に二人、子供が倒れていた。今にも死んでしまいそうな、女の子と男の子。焼けただれた皮膚と大量の血を流す傷。月天物語の主は二人に問うた、「この魔導書がある限り永遠に死ねない体になる。そうすれば助かる。そうしないとすぐに死んでしまう。どうする?」と。女の子と男の子は応えた。「「死にたくない」」と。

「じゃあ、お前達はどうだ? サイ、キョウ。お前達は全部見た事があるだろう」
「それは、あなたもでしょ」
「なんでもかんでも俺達に振るなよ。自分で分かってる癖にさ」

 何時しか、旅の道連れは増えていた。魔導書の主が二人。夜天の書の守護騎士が五人。月天物語の守護騎士が二人。
 九人という大人数で歩いていると、集落が見えて来た。どうやら旅の民、ル・ルシェの民というらしい。話して見ると、最近、近隣を物騒な輩がうろついているらしい。そういった物騒な輩を退治する魔導師の集まりに、そいつらの退治を頼んだとの事だ。その日、ル・ルシェの民の好意から泊めて貰った。翌日、物騒な輩は全員捕まっていた。どうやら、悪人を取り締まる為の魔導師の集まりとやらがやったらしい。ただ、犠牲者が出ていた。小さな女の子の両親だった。首と胴体が切り離されていて、もうどんな魔法でも治療でも治らないのは明白だった。
 女の子は嘆いた、憎んだ、怒った。すると驚いた事に、どこからともなく巨大な黒い竜が現れた。真竜と呼ばれる、極めて高位の存在だ。女の子は願った。魔導師という存在が憎いから、嫌いだから、無くしてと。真竜は暴れた、烈火の如く暴れた。近くに居た魔導師の集まりも、捕まった物騒な輩も全員死んだ。でも真竜は止まらなかった。
 見かねた夜天と月天は、守護騎士達と共に総力を結集して真竜を殺した。それ以外に止める方法は無かった。
 騒動の後、女の子は一人だった。真竜を呼び出すくらいの余りにも強力な力と、幼い精神の不安定さ。ル・ルシェの民は怖かったから女の子を捨てた。流浪の民は、自分達の安寧を得る為に幼い子供の帰る場所を生贄に捧げたのだ。思わず、月天は語りかけた。「一緒に、行くか?」と。女の子は答えた「うん」とても小さな声だった。

「うーん、そうだな。興味がないから分からん。どこの世界の月の形も覚えていない。あったのかさえ定かでは無い。私はこう、刹那的に生きているからな。綺麗なものは眼に入った時だけ愛でれば良いのさ」
「よく分からないわね」
「なんだ、アリサ・バニングス、君も居たのか。勇気があるな」
「勇気? なんでイリスさんに会いに来るのに勇気がいるの?」
「ふーむ。私はこれでも結構怖い魔導師なんだ。死んでしまうかもしれないぞ?」
「ああ、それなら平気。ローグが居るから」
 チラリ、とアリサが隣に立つローグの顔を見る。
「イリス相手だと自信は無い!!」
「威張るな!」
 ふふっ、とイリスは小さく笑った。会話の合間に頭の中を駆け巡っていた過去の出来事はもう気にならない。
 奇しくも今日は月夜。数日前に闇の書は潰え、夜天の書となった。僅かばかりの心残りも無くなり、これで最後の一手を切れるとイリスは内心で喜ぶ。
 今日で悲願が達成されるのだ。
「それにしても、なんで動けるのよ。月天物語とあなたのリンクは切った。もうあなたは誰からも、どこからも魔力を供給されない。どうしてその肉体を保っていられるの?」
「私には無限の心臓がある。魔力を注ぎ込んでいる限りは肉体を維持するロストロギアが。それでは不服か?」
「その魔力の出所を聞いてるんだよ。それ、たった一日使い続けるだけでも相当な量が必要な筈なのに」
 答えをはぐらかされたキョウに代わってサイがそう言った。
「なんだ、そんな事か。別に、私自身の魔力だよ。1000年も生きていれば浅知恵も身に付く。ちょっとくらい、自分の体内に魔力を蓄積する術を身に付けていてもさして不思議ではあるまい。ま、そのお陰で今の私の戦闘力は前に主をあしらってやった時よりも随分と弱まっているがな」
「というかさ、そんな事はどうでもいいんだ」
 会話の流れに割って入り、ローグがそう言った。サイが何事か文句を言おうとしたが、アリサに止められる。構わず、続けた。
「イリス。あんたは俺に何をさせたかったんだ?」
「何を、か。月天物語が人間の人格データ全てを内包して尚、余りある情報許容量を持つ事は知っているな?」
「ああ。それのお陰で俺は生きてる。魔力を集めて作った疑似肉体に、俺っていう人格が植えつけられている」
「そう。月天物語が現在セーブしているデータの中にはな、初代月天王、つまり主の前の月天王の人格が丸ごとセーブされている」
「ちょっと!! そんなの聞いた事無いわよ!!」
「当たり前だ。私しか知らなかった。誰にも言わなかった。知っている筈がない」
 初代月天王の人格データがある。その言葉に激したキョウを、イリスは事もなげに一蹴する。
「なんで、なんで黙ってた? あいつは俺達にとってもお前にとっても……」
「肉体データが無い」
「っ!」
「分かるだろう。人格データがあっても肉体のデータがなければ、魔力構成体として存在する事は出来ない。そもそも、魔力構成体の初成功例は、そこにいるローグウェル・バニングスだ。お前達に教えても意味は無い」
「だからってねぇ、イリス!」
「だから、私は肉体データを求めた。古代ベルカ戦争で初代月天王が死んで、夜天の王達が行方不明になって、お前達が激しい肉体的欠損を修復する為に月天物語の中へと入り、私が一人になった後。私は単独で求めた」
 大声で叫ぶキョウの声よりも、淡々と語るだけのイリスの声の方が威圧感も迫力も圧倒的だった。子供が喚くのに対し、ただひたすらに覆しようの無い正論ばかりを並べ立てて責める様な構図。
「だが、見つからなかった。当然だ。どこの世界に、当時は理論すら存在しなかった魔力構成体を作る為に肉体データを残す者がいた? 在る筈がない、絶対に。けど私は諦めきれずに探した。そして、見付けた」
 イリスが一旦言葉を切る。
「1000年もの時間を賭し、管理外世界、地球で。ローグウェル・バニングス、君という初代月天王の肉体に酷似した肉体を持つ少年を」
 それはイリスが歩んだ道。古代ベルカの時代、夜天と月天はあらゆる魔法を求め、旅をしていた。その過程に、歴史に残る中でも有数の巨大で悲惨な戦争に巻き込まれた。夜天と月天は戦った。戦争を止める為に、愚かと知りつつ戦った。そしてその結果に月天は死んだ。
 古代ベルカの戦いで夜天とその守護騎士は行方不明となり、月天の守護騎士であるサイとキョウは多大な肉体的欠損を負った。主を失った二人の守護騎士は蘇生が出来ず、仕方無しに自分達の肉体を別の空間へと安置し、精神を眠りにつかせた。
 ただ一人残ったのは、イリス。ル・ルシェの民に於ける竜の巫女であり、食料を奪わんとする粗暴な魔導師達とそれを捕えんとする魔導師の集まりとの争いに巻き込まれ、両親を失った少女。悲しみからその力を暴走させ、真竜ヴィクスを呼び、世界が滅んでしまえばいいと呪った少女。月天に手を差し伸べられ、その手を取り、生身の人間のまま守護騎士となった少女。それが、イリス・ブラッディリカ・サタン・サクリファイス。両親の流した血から悪魔の様な怒りに苛まれて、最後には一族の畏怖の対象となった。
「じゃあ、あんたが俺に求めるのって」
「そう、君の肉体データだ。私は、初代月天王の人格データと君の肉体データを組み合わせて、この時代に蘇らせる」
「そんな事なら、すぐにやればいいだろう。俺の肉体データを使いたいなら、初めからそう言えばいい。データを読み込むだけなら別に減るもんじゃないんだし、色々と回りくどい事しなくたっていいじゃないか」
 イリスの目的に思わず非難の声を挙げるローグ。だが、イリスはそれを否定する。
「それが出来ないのだよ。人間一人を形作るのに必要な魔力は膨大だ。それは1000年の永きに渡って私がとある場所に蓄えた。月天物語の中に、それはある」
「なら、なんの問題も無いじゃないか」
「あるのだよ、最大の問題が」
「一体何さ。データがあって、それを形にする為のものもあって、これ以上何が必要なんだよ」
「言ったろう? 魔力構成体は君が初の成功例なんだ。最近なんだが、どうすれば魔力構成体が作れるのか分かったんだよ」
 やけに勿体ぶった言い方をするイリス。この場に居る誰もがとっとと続きを言えと叫びたいが、どうせそんな注文は聞いちゃくれないのだ。のんべんだらりと待つに限る。
「それは未練。この世界に強く残ろうとする未練。次いでリンカーコア。特殊な、主が持っている様なリンカーコア」
「俺のリンカーコア?」
「そう。主は他人とは違う特別なリンカーコアを持っている。魔導書と密接な繋がりを持てるリンカーコアだ」
「どういう事さ」
「物に例えるならば……そうだな、ペンとキャップだ。月天物語というペン。そいつから正確にデータをロードするにはピッタリとはまるキャップ、つまりはリンカーコアが必要なのだ」
「つまりそれって、魔力構成体になれるかは完全な運次第って事か?」
「その通りだ。だれだけ求めようと、恋い焦がれようと、人は生まれつき違う。そして、初代月天王のキャップは月天物語というペンとは一致しないのだ」
 そこまで話が進んだ段階で、全員が理解した。
 魔法という事柄から一番離れているからなのか、それともこの事実に一番の恐怖を覚えているからなのか、アリサが言葉を発した。嘘であって欲しいと願いながら。
「じゃあ、イリスさんの目的は……ローグから」
「そう。ローグウェル・バニングス、君のリンカーコアをいただく。リンカーコアが無くなった者は、魔力構成体として存在出来ない」
「でも、俺にリンカーコアなんてあるのか。だって、俺は肉体が無いから、リンカーコアなんて」
「月天物語の中にある。それは、そういった機能も備えた魔導書だ」
 事もなげにイリスは言った。
「君は、生きたい。そうだな?」
「ああ。生きていたいよ。死にたくなんかないさ」
「宜しい。では勝負だ。私が勝てば君からリンカーコアをいただく。なぁに、死にはしないさ。ただ永遠に月天物語の中で眠るだけだ」
「そんなの、死んでるのと同じじゃない!!」
「そうだよ。だから、私は初代月天王をそこから救い出したいのだ!!」
 アリサとイリスが睨み合う。そこに、ローグが割って入った。
「いいよ。勝負しよう」
「ちょっとローグ!」
「言いたい事は分かるけど、しょうがないだろ。勝負しなきゃ納得出来ないんだったら、勝てばいいんだよ。そうしなきゃ何処までも追って来そうだし」
「流石に、分かっているじゃないか」
 ローグとイリスはお互いに薄い笑みを浮かべて相手を見ていた。
「ではやろうか。総力戦を」
 そう言うとイリスは右手を大きく掲げた。まるで隠れている味方に出て来いと合図をする様に。その印象は正しく現実のものとなる。月夜に存在する影からは無数の竜――シャドウコモン――が這い上がって来ていた。
「シャドウコモンを呼ぶって事は、私とサイも参加していいのね」
「お前達もやるのか?」
「不満? 余計なお世話だって言うんなら下がるけど」
「そうは言わない。ありがたいよ。けど、イリスが蘇らせようとしてるのは初代月天王って人なんだろ? なら、お前達にとっても他人じゃないんじゃないのか?」
「まー、そうなんだけどさ。俺達はその初代から教えられてるんだよ」
「『人間は、死ぬから人間なんだと思う。お前達をヘンテコな体にした俺が言えたセリフじゃないけどさ』ってね。そう言われちゃったら、何よりも恩人の言葉なら、叶えたいと思わない?」
「お前達がそれでいいなら、俺は何も言えないんだけど」
「ふふ、全戦力を持って戦うと良い。何せこれは生存の為の戦い。結果が敗北であれば、悔む事すら出来ん」
 ローグ達のやり取りを眺めながらも余裕の笑みを湛えてシャドウコモンを召喚し続けるイリス。どんどん、どんどん、どんどん、どんどんと竜は増えて行く。どんどんどんどん、どんどんどんどん。どんどんどんどん、どんどんどんどん。どんどんどんどん、どんどんどんどん。どんどんどんどん、どんどんどんどん。どんどんどんどん、どんどんどんどん。増えて行く。
「いや待て! 出し過ぎだろ!!」
「言ったろう、総力戦だと。全部出し切らないと勿体無いじゃないか」
 どんだけだおい、という小声の避難なんて誰の耳にも届かない。
 ようやくといった感じで竜の召喚が止まる。そいつら、は両手の指どころか両足の指を足したって数えきれない。
「キョウ、サイキョーブレードってあれを一撃で……」
「出来ないわ。あれは生物、有機物だからね」
「だよな」
 スペックで圧倒的に上回っているのであればいざしらず、一対一ですら倒すのに苦労した相手が二桁。しかも一番強くて厄介な奴も残っている。で、ローグの側は四人いるが、融合して戦う事を考えれば実質的には二人だ。
 どこの世界にこんな不利極まりない決戦があろうか。普通、最終決戦とかそういった重要な場面では在る程度戦力の均衡が取れているものじゃないか? でもって、主人公勢が押し始めた辺りで敵の親玉が真の力とかなんかそれっぽいのを開放して窮地に追い込まれたり、だ。ハナッから窮地の決戦、これはあれか、負けイベントか。それとも逆転イベントが控えているのか。
「言って置くが、ピンチになったら油断して〜、とか冥土の土産うんぬん語っていてその隙に〜、とかは一切ないぞ。私はRPGの開幕直後に勇者を全力で潰しに行くタイプだ」
「なんて迷惑な」
「ちなみに、そういった開幕直後に全力で攻めると大抵は最初から強い師匠とかが犠牲になって勇者を逃がしたりだが、私はその師匠をガン無視して勇者を殺す」
「もうちょっと希望持たせようや!!」
「嫌だ」
 これ以上どうしようもない拒否の仕方だった。
「ローグ、短い間だったけど楽しかったわよ」
「諦めるの早っ!! もちょっと粘るとかないのかよ!!」
「安心しろ。お前がいなくなっても俺達は平気だ」
「慰めになってない!?」
「ほらほら、ふざけて時間をかせぐのは無しだ」
「むぅ」
 イリスがボケたのを利用してひたすらに誤魔化し続けてみても、状況は変わらない。圧倒的不利を打破する策は思い付かないし、味方が来る予定も無い。
 詳しい時刻は分からないが、もう日付が変わっている時刻。なのはもフェイトもはやても全員寝ているだろうし、まさかヴォルケンリッターにはやてを放置させて呼び出すわけにもいかない。ユーノなら起きていそうだけど、一人では焼け石に水。いっそ管理局でも呼んでみるか、とも考えたが、この場に居るのは全員が管理局が認識していない魔導師。捕まってしまう可能性も否めない。
 どうする? 考えても答えは出ない。
「ちゃんとそっちの味方が来るまでは待っててやる。総力戦だと言っただろう? 不十分な状態で攻める事はしない」
「なんだ、全部分かってたのか」
 ローグ達はこの時間、この場所に向かう事を誰にも告げずに来た。月天物語に関する事は、他のみんなには関係の無い事だからだ。だが、来て見れば四人では到底覆し様がない状況。故にローグはサイでもキョウでもない守護騎士、エーティーを召喚したのだ。
 召喚した場所は、八神家の寝室。住所さえ分かれば座標を割り出す事は可能なので難しい事では無い。そしてイリスと会話をしている間、エーティーには可能な限り戦える仲間を集めて欲しいと伝えてある。
 はてさて、これで何人集まる事やら。
「待ってくれるって言っても、何人来てくれるかは分からないけどさ」
「ふむ、主はもう少し自分とその周りをじっくりと観察すべきだな」
「んん?」
「今心配すべきは何人来てくれるか、ではなくて、何分で全員が集まるか、だろう」
「全員って、今は深夜だぞ。そんなほいほい来る訳が……」
「酷いね、ローグ君は。私達の事、信用していないんだ?」
 言葉とは真逆に、深刻だとか本気で言っている雰囲気は微塵も感じない。誰がどうやったって、冗談というニュアンスでしか受け取れない声色とともに現れたのは、月村すずか。
「すずか……」
「友達が困っているのに、放ってなんて置けないよ」
 アリサとローグの共通の友達。サイとキョウを扱うマスターである彼女。戦いという場所からはおよそ掛け離れた柔和な笑みの少女が、そこには居た。
「彼女の言う通りですよ、月天王」
「リインフォースさん、みんなも」
「あ、リインだけ名前呼んだ。私も居るっちゅうのに」
 すずかに次いで現われたのは八神はやてとその守護騎士達。
「私達は過去に約束を交わしている。駆け付けるのは当然だろう。尤も、約束など無くとも我々は来ただろうがな」
「はやてを助けてくれた礼だ」
「困っている時はお互いさまよ」
「手伝おう」
 口々に言う彼女達の行動は、ほんの少しだけおかしなものだった。翌日に闇の書事件の事で管理局と向き合わねばならないというのに、こんな場所で油を売っている暇などないだろうに。仮にこの場での事が大きくなり、管理局に知られれば、彼女達にとってはマイナスになる可能性が高いというのに、そんなリスクを背負ってまで居た。
「いいのか? だって、みんなは……」
「気にしなくていいんじゃないかな?」
「なのは」
 高町なのはが、ユーノ・スクライアがそこに居た。戦いなんてやるべきじゃないって考えを持つなのはが、進んで戦いの場に出る事の無いユーノが、嫌っている行為をまさにこれから行うという場に現われた。
「みんな心配なんだよ。アリサちゃんもロー君も、すぐに無茶な事するんだもん。お手伝いくらいさせて」
 すぐに無茶するとか、なのはにだけは言われたくない。そんな考えがローグの頭にはあるけど、自分も他人の事は言えないんだな、と自覚する。
「でもいいのか? こんな場所でバリバリ戦闘しちゃうと、後で戦いを仲裁しようとしても説得力が無くなるぞ」
 なのはの知り得る範囲で、しかも説得力を持たせた"戦うな"って言葉が必要な状況。そんな魔導師同士の戦いなんて、これが終わった後の海鳴市に起こったりしないだろう。そう予想している事を伏せて、ローグは意地悪く言った。
「そこは大丈夫。私は戦わないで、ユーノ君に頑張って貰うから」
「来た意味無いわね」
「いやいや、後方で待機してて怪我したやつを即治療とかなら、結構重宝するぞ?」
 続々と現れる仲間達。現状になんの違和感も持たないサイとキョウは、なのはの立場を評した。
「まっかせて! 簡単な治癒魔法ならユーノ君に習ってるんだ!」
「僕も、微力ながら手伝わせて貰うよ」
「それにしても、意外だな。まさかこんなに集まるとは」
「意外でも無いと思うよ?」
「そうそう。あんたはもうちょっと周りを頼る事を覚えるべきだね」
 嬉しくも戸惑いを覚えているローグの言葉を否定しつつ現われたのはフェイトとアルフ。隣にはエーティーが居る。
「フェイトに、アルフも。来てくれたんだ」
 アリサの喜びの言葉に頷きで応えて、フェイトとアルフはローグを正面から見る。
「ここにいるのは、みんなローグの友達。それじゃあ、助けに来る理由にならないかな?」
「つーか、私は元々あんたの守護騎士でしょ。ご主人様を放ってどこにも行きはしないから」
 フェイトが語ったのは、至極簡単な理由。友達だから困った時に助け合う。なんと単純で、揺るがし難い理由だろう。
 嬉しく思った、頼もしく思った。相手にするのは恐らくこれまででも一番厄介な相手。下手をすれば命を落とす。怖くない訳が無かった。死ぬ事が、困難に立ち向かう事が怖くない筈が無い。でも、これだけ多くの友達が手を貸してくれるのならば、怖さを超えて、踏み躙って、亡きものにしてしまうだけの心強さがあった。
「イリスの目的とか、さっきの会話とか、全部念話を通じてみんなに伝えてあるわ。説明は不要よ」
 エーティーがそう言って胸を張る。ローグが、俺は何もしてないんだけど何時の間に……なんて考えて横を見れば、案の定というかなんというか、キョウが舌を出して片目でウインク。どうにもこの守護騎士さん達は、主に無断でいろいろやってしまうらしい。結果だけ見れば何も問題ないので、文句が言い難いのも問題だ。
 けど、これで準備は整った。
「イリス、待たせて悪かった。始めよう」
 後は全力を持って、目の前の魔導師を打ちのめすのみ。
「まぁ待て。そう急くな」
「なんだよ。まさかそれだけの数が居て、まだそっちが揃って無いとか言うつもりか?」
「ああ、そうだ。まだ一匹、一番大きいのを召喚していない」
 イリスの周囲には、既に二十を超えるシャドウコモンが居る。これに加えてまだ一匹。数の上では大差無いが、一番大きいの、という発言で、なのは達の登場でなりを潜めた筈の不安の芽が起き上がる。
「手伝って貰う。いや、返して貰うぞ、フェイト・テスタロッサ」
 イリスがそう呟いてフェイトを、フェイトの双眸を見据えた瞬間、異変が起きた。
「ぅ……あ、あああ」
 フェイトが瞳の奥に違和感を感じて呻き声を挙げる。痛みとは違う、強いて言うならば異物感。まるで内側から眼球が押されて、飛び出してしまいそうな強烈な違和感と恐怖。
「あぁ、ぅ、っく」
 数秒程だろうか、周囲の者がフェイトの異変に気付いてからすぐに、それは収まった。
「フェイト、どうしたの?」
 エーティーが尋ねるが、フェイトは困惑した様子で何も喋らない。代わりと言わんばかりにイリスが口を開いた。
「確かに、返して貰ったぞ。魔竜眼――イヴィルアイ――」
 一部の者にはその名前が示す意味を理解出来ない言葉。しかし、フェイトは、なのはは、一瞬で理解出来た。
 イヴィルアイとはフェイトが所持していたレアスキルの名称。物体を浮遊、移動させるポルターガイスト。運動エネルギーの方向を捻じ曲げるマリオネット。そして既に死した真竜・ヴィクスの身体能力を使用者の身に宿すドラゴンフィードバック。三つの能力を束ねるフェイトの瞳の名前だった。
 J・S事件当時は頻繁に使用していたものの、最近では使用者にかかる肉体的負担の大きさから使用を控えていた代物だ。
「これは実はな、私が君に一時的に貸し与えていた能力なんだよ。もちろん、君には無許可でな」
 イリスが右手に二つの魔力球を持ってそう言った。どうやら、イヴィルアイとは魔力球という形に出来るものだったらしい。能力と呼ばれるものを形にするというのは様々な魔法を見て来たヴォルケンリッターやユーノでさえも驚くべき事だった。
「イヴィルアイを? あなたが?」
 眼に違和感が残るのか、右目を手で押さえるフェイト。その様を見てイリスは、くっくっ、と喉の奥で笑った。
「意外そうだな。だがそう考えた方が自然だろう? お前はその生い立ちに竜との関連など微塵も無い。生まれた後も、今までずっとだ。なのに何故、竜の力を使役する能力を持っていたのか? 答えは先に言った通り、私が与えたからだ」
「なんで、どうしてそんな事をフェイトにしたのよ!!」
 突然の事に状況が理解出来ないフェイトに代わり、エーティーが叫んだ。
「うん、高町なのはがレアスキル持ちだったからだよ」
「私のレアスキル。カスタマイザーの事……ですか?」
「そうだ。君はどうしてか、あらゆる出来事へのショートカットプログラムを作成出来るだけの能力を持っていた。そんな君がフェイトと対峙すれば、君の有利は明白だ。だから私はフェイトにイヴィルアイを渡した」
「どうしてそんな事を? あなたがフェイトを強くする理由なんて無いじゃない」
「確かに、私には無い。だが、エーティー。君にはあるだろう? 戦いの中、フェイトに怪我をして欲しくない。万が一にも死ぬなんて嫌だ。そう考えたのは君だ。しかし、高町なのはは自分の能力を知らぬままに使っている。このままでは予期せぬ暴発から最悪の事態もあり得ると踏んだ私は、フェイトにイヴィルアイを渡したのだ」
「私が……考えたから……」
 ほとんど全員の視線がエーティーに集中する。当然だ。なのは達にとっては、エーティーという少女はつい最近知り合ったローグの友達、という認識。事件当時の話に彼女が出て来るのはおかしな事なのだ。
 イリスの説明は、エーティーからして見れば全て納得のいくものだった。異常な能力を持ったなのは、ジュエルシードを集めるフェイト、事故死したプレシアに成り済ましてジュエルシードを集めていたエーティー。全ては、母であるプレシアを生き返らせる為、不完全な肉体だった自分を完成させる為。それが事件当時のエーティーの行動理由。
 エーティーは母を生き返らせようとすると同時に、エーティーはフェイトも愛していた。自分のクローンであり、妹であるフェイトを。もしジュエルシードを集めている時にフェイトが大怪我を負ったり、万一に死んでしまえば、その原因になのはが居たとしたら、エーティーはなのはを殺そうとする。
 彼女がなのはを殺せば、それはなのはの友人であるローグにも影響を与える。恐らくは自然と、エーティーとローグは対立するだろう。そして対立の結果、ローグが破れて月天物語が破壊されでもすれば、イリスの目的は全て水泡に帰すのだ。
「でもそんな、そんな低い可能性を辿って行った結果に対する策なんて……」
「普通は、用意しないな。私が想像し、今君が想像した結果とは極めて低い可能性の末だろう。だがな、私にはそれすら怖かった。初代月天王の眠る書が燃え尽きてしまえば、私の1000年は全て無駄になる。分かるか? 子供の頃に両親を失った私には、あの人しかすがる場所が無かったんだ!! だから絶対に、万が一にも、させたくは無いんだよ!!」
 なのは達からすれば意味が分からない会話だろう。この場で全ての意味を正確に把握しているのは、ローグとエーティーのみ。
「訳が分からないんだけど。ちょっとローグ、説明してよ」
「ん、ああ」
 アリサから求められるも、すぐには応じられないローグ。チラリとエーティーを見やれば、彼女は何事かを考えている様子だ。
 仕方無しに、ローグはなるべくエーティーの事情を隠して説明する事にした。
「手短に説明するぞ。エーティーはジュエルシードを集めてて、その時に俺と知り合った。でもって、ジュエルシードの捜索中に死んでしまった自分の家族とそっくりなフェイトを見てるんだ。フェイトに死んで欲しくなかったエーティーの考えを汲みとって、イリスはこんな事をしたんだろうよ」
「じゃあ、なんであの人はそんな事をしたん?」
 はやての鋭いツッコミに、どう返答するべきか迷うローグ。意外な事に、助け船はイリスから出された。
「ほらほら、そんなどうでもいい事に拘るな。これから私と一戦交えようというのに緊張感が無いな」
 話を振ったのは自分だろうに。そんな文句は喉をせり上がる途中で蹴落とされた。
 理由は簡単。イリスの足元に特大の影が広がっているからだ。並のサイズ、シャドウコモンを呼び出す時のサイズが一般乗用車サイズであれば、あれはまるで船。しかも小型艇とか、漁船とかそういうレベルでは無く、パーティーでも開きそうな豪華客船のサイズ。
「では、私の最強の味方を呼ぶとしよう」
 そこから異様な程に濃密で強大な魔力が漂っていた。
 
「今此処に、汝の眼を贄とする。既に死した身である汝、だが我は求める。汝の力を――誇りを――気高さを!!」
 イリスが詠唱する。これは召喚の魔法。
 召喚という、何処か別の場所に存在するものを此処へと呼び出す魔法。ローグは直感する。これは普通の召喚魔法では無い、と。召喚の知識も経験も無いが、それでも召喚に特化した素質を持つ故か、分かる。これは、まともな召喚では無い。
「今宵、呼び掛けに応えよ!! 汝は真竜!! されど死竜!! 故に外道の行い、しかして我は求める!! 応えよ、死竜!!」
 イリスの詠唱が激しさを増す。叫び、猛り、咆哮する。
 極端な話、イリスの召喚魔法なんて妨害してしまえばいい。ローグにとっては自分の、アリサにとっては一番大切な人の、ここにいる他の全員にとっての友達の命がかかっているのだ。卑怯な手段だろうがなんだろうが、構いはしないのだ。
 だがそれが出来ない。全員が、イリスを除く全員が、この光景に見入ってしまっている。余りにも異端で、圧倒的な光景に。
「汝の名を呼ぶはル・ルシェの民が竜の巫女!! 一族に捨てられし身なれど、それでも応えよ!! 我が名はル・ルシェの民が竜の巫女、リィリカ・ル・ルシェ!! 此処に、その身を!!」
 イリスが、右手に持った魔力球を天に掲げる。刹那の後、漆黒が魔力球を一閃した。
「汝! 死竜ヴィクス!!」
 イリスに召喚されて現われたのは、死竜ヴィクス。
 かつて古代ベルカの時代、大陸一つを壊滅させた破壊の真竜。夜天と月天、その守護騎士達の総力を持って滅ぼされた筈の竜。
 両翼を広げた幅はまるでパーティーでも出来そうな豪華客船並。しかしてその皮膚は煌びやかさの欠片も無い漆黒。
 こんなあり得る筈の無い存在を加えて、戦いは始まる。
「さて、始めよう。結果がどうなろうが全部が壊れてしまう様な戦いを」



第二十五話 完
次『二人は一人』






 あとがき
 一応最終局面という事でこれまでの出来事を説明したつもりなんですが、これで上手く伝わるかは不明です。設定はもっと単純にしといて良かった気がしますね。こう、いろんな説明の大変さを考えると。
 という訳で、ここから先は戦闘ばっかになります。いい加減に終われという感じですが、ちょっと長めになるかもなのでそこんとこは勘弁してください。では、終わりまでよろしくお願いします。





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