俺の名は……。職業はフリーライターだ。
ミッドチルダの首都ここクラナガンにも犯罪や汚職・スキャンダルの類は当然存在する。
そういったネタを追いかけるのが主な仕事だ。とは言えさしたるコネもなく金も
なく組織にも属さない俺が何時もそう大きな事件を追いかけている訳もない。
まあ早い話が飯を食うため芸能・風俗記事を書く事もままあることなのだ。
そんな俺が手がけた数々の仕事の中でも特に印象深い出会いがあった。
「高町なのは」との出会いだ。しばらく、その話をしてみようと思う。
少しつきあってくれ。


魔法少女リリカルなのはStrikerS Before Story 「スタア誕生」


写真にも腕に覚えのある俺はモデル撮影をしたり街で見かけた女を撮っては
タレント事務所に紹介したり芸能スカウトの真似事をした事もある。
あまり厳密に計算した事はないが本業よりこっちの方の収入の方が多いかもしれない。
しかし、いい女を眺めるのは好きなので趣味と実益を兼ねているわけだ。
よく知り合いの編集者にこっちを本職にしろと冗談半分本気半分で言われたりもする。

ある日ふところが寂しくなった俺は仕事を求めて旧知の編集者オフィスに電話した。

『おおベントレーか?俺だ。なにか手ごろな仕事はないか?』
『……か久しぶりだな。相変わらずの様だな』

ベントレーは俺がちょくちょく世話になっている雑誌の編集長だ。

『最近ネタ切れでな』
『まあ、ちょうどいい適当なカメラマンを探そうと思っていた所だ』
『何を撮るんだ。俺は色気の無いものは撮らんぞ』
『微妙だな。管理局のイベントがあってな。それの取材だ』

『お前んみたいな所が管理局?管理局って時空管理局か?』
『そうだ』
『やれやれ、お前んとこみたいな半エロ雑誌が何で時空管理局なんだ』
『失礼な奴だな。これでも正義と秩序を守るために戦っているんだぞ』
『それにしちゃエログラビアページが多すぎないか?』
『まあ、そういうな。グラビアが多いからお前を雇う事もできる訳だ』
『ごもっとも。しかし何ともまあ如何にも色気の無さそうな取材対象じゃないか』
『そうでもないぞ。いつの世にも制服マニアって奴はいるからな』
『管理局なんざ男も女もむさ苦しい奴ぱっかだろ』
『今回はそうでも無いらしい。どこかのモデル事務所から綺麗どころを集めているらしいぞ』
『なんだサクラか偽局員か?なんで管理局がそんな事を?』
『何でも一般市民向けの宣伝イベントで管理局イメージアップを計りたいらしい。
年間広報予算の4割近くつぎこんでいるという話もある』
『もっと有意義な金の使い道を考えつかんもんかね?次元世界の守護者たる管理局が』

ベントレーが苦笑いしている様子が電話越しに伝わってくる。

『世界を守るにも金と市民の支持がいるって事さ』
『OKベントレー、その仕事引き受けた。ギャラは何時もの通りで頼む』
『よし分かった今日の所はオフィスに顔を出して機材を取りに来い。打ち合わせの後
晩飯くらい奢ってやる』

こうして俺は時空管理局のイベントとやらに取材に行く事になった。





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