俺の名は……、職業は雑誌記者だ。今日は

今日の仕事はインタビューだ。取材先に着いた俺は受付に向かう。
受付嬢に身分と来訪理由をつげると彼女はちょっと顔をしかめた。

「どんだけイメージ悪いんだよ」と心の中でつぶやく俺。

案内の娘が来て俺を時空管理局地上本部の一角にある小部屋に案内してくれた。

その部屋に入り案内の娘がお茶を出してくれた後しばらく待っているとドアをノックする音がした。
「失礼します」と高町なのはが入って来た。
「どうも高町さん。……です」と改めて名刺を渡す。
「あなたでしたか....フリーのライターさんなんですね」
「その節は失礼しました。そうそう治療のお礼もしなくてはなりませんね」
「その件は私のほうにも落ち度がありましたのでお気になさらないで下さい」
「あなたのせいじゃありません。少し痛い目をしましたが結果オーライということで私的にはラッキーでした」
「はぁ」
「まあ世間話ばかりではアレですのでインタビューさせてください」
「はい」

俺は管理局広報からもらった彼女のプロフィールを見つつ経歴から聞き始めた。
「なるほど第97管理外世界の出身なんですね。結構な辺境...」
「魔法文化はありませんが科学や文化は結構発達しているんですよ」
「ははは、気に障ったら許してください。実は私も一度取材で行った事があるのですよ」
「そうなんですか」
「ええ、なかなか良い所ですよね。割と気に入った場所のひとつです」
「ありがとうございます」
「おっしゃる様にあそこには魔導士は、ほとんど居ませんよね。なぜ管理局に?」
「たまたま私には魔力が少しあったみたいで...」
「へぇ−、魔力レベルはどのくらいなのですか?」
「それはその...機密という事になっていますのでお答えできません。でも大した事ないですよ」
「ご謙遜ですね。私にはヒーリングを使ってくれましたよね。結構良かったです。アレ」
「お褒めの言葉ありがとうございます」
「戦技教導隊所属との事ですが普段どういうお仕事をされているのですか?」
「魔導士用の新型デバイスや兵器のテストとか武装局員の訓練とかです」
「なんか高町さんがそういう仕事されているのが想像できませんね」
「良く言われます。実際駆け出しですから...」
「この間のイベント警備の様な事も良くされるのですか?」
「そんなに多いという訳ではないのですがイベントの性格上女性を大目に配置したと言う事でしょう」
「なるほど、まああまり任務に関する事は答えられないでしょうから、高町さん個人の話を聞かせてください」
「はい」
「スリーサイズは?」
「私的機密事項です」
「ははは、では男性の好みは?」
「優しくて誠実な人ですね」

てな感じで写真を撮りながら時折ジョークをはさみつつ男性誌お約束の質問を続ける俺だったが
あまり色よい回答が得られそうな雰囲気も無かったので、そろそろ潮時かと思い始めていた。

「では最後に読者へ一言」
「私も毎日がんばっていますので皆さんもお仕事お勉強がんばってください」
「ありがとう。とりあえず取材はこんな所です」
「すみません。あまり良い答えが出来なかった様に思います」
「まあ、お仕事柄答えられない事も多いでしょうから...」
「本当にすみません」
「では埋め合わせに今度水着写真撮らせてください」
「絶対お断りしますっっ」
「あなたの故郷には綺麗なビーチがたくさんあるのに...」
「地球に行かれた事があるのですね。やはり水着撮影ですか?」
「ははは、まさか。何時もこんな軟派な仕事している訳じゃないんですよ。他の事件を追っていた時期もあってね」
「他の事件って...」
「7,8年前に地球のあたりで時空震が頻発していた時期があってね」
「そうなんですか...」と顔を曇らせるなのは。
少し不審に思った俺だがまともに質問して回答が得られる訳もないので、その場を離れた。





週間星光のオフィスに戻った俺はベントレーに取材原稿と写真データーを渡した。

「首尾はどうだった」
「鉄壁の防御だった」
「そうだろうな」
「んな訳で、そんなぱっとした記事にはなりそうにないな」
「そんな気にする事はない。要は今現在”高町なのは”は旬のネタって事よ」
「俺としても少しなにか取っ掛かりが欲しかったのだが...」
「ふん、まあいい。今度の見出しは”高町なのは初インタビュー”って所だな」
「また月並みだな」
「分かり易さが大事さ」





その夜なのはは寮の自室で残務を片付けていたが電話がかかってきた。

『こんばんわ、なのはフェイトだよ』
『フェイトちゃん...こんばんわ』
『見たよ雑誌』
『うん』
『今度も可愛く写ってたよ。もちろん実物の方がずっーと良いけどね』
『ありがとう。でも恥ずかしいよ』
『でもインタビューなんかアレな質問ばっかりだったね』
『うん、男性誌だからね。それに特秘事項がらみは答えられないし...』
『そうだね』
『記者の人には悪かったかも...』
『しょうがないよ』
『うん...』
『でも、こんな事はそう続かないよ』
『でも上から別の取材にも対応する様言われてるの』
『そうなんだ』
『もう勘弁してほしいな。こんな事するために管理局に入ったんじゃないよ』
『まあまあ広報業務もそれなりに大事な任務だよ』
『それはそうなんだけど、わたし教導官だし...』
『確かに畑違いだね』
『あんまり顔を知られると秘密捜査とか出来なくなるし』
『私はそういうの多いけど、なのははそういう事少ないでょ?』
『それはそうなんだけど...どうも女の人受けが悪いみたいで苦情とか結構あるらしいの...』
『あははは、そんな事ないよ。気にしない気にしない』
『うん...』
『そういえば、はやて から なのは のデビュー曲の作詞をするから曲考えてって頼まれたよ』
『またぁ、はやてちゃんたらー』
『良い曲が浮かんだら喜んでなのはに提供するよ』
『もうフェイトちゃんまでぇー』
なのはは電話を切った。そして深いため息をつくのだった。





なのはとの通話が切れた事を確認するとフェイトは、はやてに電話をかけた。

『ああ、はやてフェイトだよ』
『どないしたん。もしかしてなのはちゃんの事?』
『うん、さっき少し話してたんだけど、結構気にしてるみたいで...』
『なのはちゃんは自己顕示欲が強い方とちゃうからね』
『結構人目や噂が気になるみたい』
『わたしも今匿名掲示板とか見てたんやけど、ファンとアンチ両方あって、どっかというとアンチの方が多いんや』
『そうなの』
『ファンの方は【なのは可愛い!!】とか【なのはは俺の嫁】みたいな他愛ない書き込みばっかりやけど...』
『うん』
『アンチの方は【士官学校時代に担当教官に色仕掛けで単位もらった】とか【直属の上官の愛人じゃないか】とか、それは口にだすのも憚られる様な書き込みばっかりなんよ』
『そんなの本人に見せたくないね』
『なのはちゃん、ごっつい別嬪さんやし、パッと見、強そうに見えへんから年配の女の人や頭の固い人の受けが悪いみたいやね』
『本当は時空管理局の実力No1と言っても過言で無いのにね』
『そういう事は特秘事項やからね』
『なのははそんな弱い娘じゃ無いと思うけど心配だよ』
『それはそうや、きっと実力で跳ね返してくれるよ』
『そうだね』





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