俺の名は……。職業は...今は事件記者?

その白い防護服の少女を俺は知っていた。
「やはりなのはか」と俺はつぶやく。
「アクセル」となのはが右手をかざしながら叫ぶと桜色の光弾が数え切れないほど現出する。
「シュート!」と言うが早いか光弾が舞飛び男たちを薙ぎ倒して行く。
しかし光弾の攻撃をかわした男が数名なのはに襲いかかる。
"Accel Fin" と彼女のデバイスの声がしたかと思うとなのはの姿が掻き消える。
一瞬なのはの姿を見失った奴らは次々なのはの杖に打ちのめされていく。
「何ちゅう強いんだ...」半ばあきれてなのはの戦闘を物陰から観察していた俺はオースティンに時々指示を
しつつ自分のカメラでも撮影を続けていた。
しかし、その時俺は背後から何かを突きつけられた。

「ふっ、こんな所にネズミが一匹」

俺は観念して手を上げ相手を見やる。
かなり体格が大きい奴が主謀格だろうか?連中と同じ姿をしているが顔は防護マスクの様な物をしていたので良く分からなかった。
部下らしいのを2人つれていた。

「この男から眼を離すな」と部下に指示すると、その男は王女一行の方に突進して行く。
そして侍女の一人にバインドを掛け行動不能にすると

「そこの女管理局員これを見ろ。王女の命が無いぞ」となのはに叫ぶ。

なのはは突然現れた男とバインドを掛けられた侍女を見てに眼を見張る。
本物の王女だった。彼女を人質に取られた なのは は身動きを取れないでいた。

「フフフ。王女の命が惜しくばデバイスを床に置け」
「くっ...」なのはの表情がこわばる。

俺は奴の部下に杖を突きつかれて、手を上げたまま、その場に近づきなのはを見る。

「……さん!?何でこんな所に」と驚くなのは

しかし王女を人質に取られては万事休すだ。なのはは杖を床に置こうと屈みはじめる。
「今時影武者とはな、危うく騙される所だったぞ」と主謀格の男。
俺は懐のリモコンに念を送りながら、なのはに目配せをする。そして、なんとかカメラを飛ばし
「この馬鹿野郎ぉぉぉっ」と叫んで注意を俺に引き付ける。
その瞬間カメラを奴の死角から主謀格の男に突進させた。
見事、男の武器にカメラが命中。武器を取り落とす男。

「今だ!なのは!」
「デバイン」となのはが右手をかざしながら叫ぶと桜色の光弾が再び現出する。
「シュート!」と言うが早いか光弾が主謀格の男に直撃。部下も薙ぎ倒す。
「おのれぇぇっ!」なのはの攻撃に耐えた主謀格の男は魔法を発動しながらなのはに襲い掛かる。
どす黒い魔力光が男の右手から湧きあがる。

しかしなのはは右の手のひらをかざしシールドを張り、なんなく男の攻撃を受け止める。
「バインド!」光の輪が男の体を拘束する。すかさず男の眉間を打ち据えるなのは。
もんどりうって倒れる男。完全に気絶した様だ。
王女の周りにいる敵はあらかた片付けた様だ。なのはは王女に駆け寄り

「大丈夫ですか?王女さま申し訳ありません。時空管理局を代表してお詫びします」

王女はしばらくきょとんとしていたが、我を取り戻しなのはを見つめた。
「そなたに礼を申さねばならんな。なのは殿」と王女
「わしも礼と詫びをせねばならん」と侍従長
「何のことでしょうか?」
「時空管理局からは手練の局員を警護につける約束をもらっていたのじゃが約束を違えられたと勘違いしておった。」
「ほんにそなたは約束以上の者じゃ」
「身に余るお言葉です」

ほっとしたのも束の間、中庭の方から武装局員の叫び声が聞こえる。

「逃げるぞ!」

残った一味が強襲次元転移艇に逃げ込み発進しようとしていた。
武装局員の追跡も空しく強襲次元転移艇が起動する。そしてその艇体がだんだん掻き消えて行く。

"My master. Taget is outside near barrier."となのはのデバイスの声。
「分かったわ。レイジングハート絶対に逃がさない」というとなのは中庭に駆け出して行った。
「何をするんだ」と叫ぶ俺を無視して彼女は中庭で杖を両手で構え結界の外側に現れた強襲次元転移艇を狙う。

『おい俺だオースティンまだ聞こえているか』
『パッチリ聞こえているぜ』
『なのはが敵の乗り物を攻撃するらしい。カメラ本人と敵狙えるか?』
『まだ結界内に生き残っているカメラがあるぜ、外は今ヘリが着いた所だ』
『上手くやれよ』といって通話を切り、なのはの方を見やる。
「何をするつもりだ...なのは」

"There is no obstacle between taget and safety confirmation is comlete."
「レイジングハートお願い!」
"A firing lock is cancel."
「カートリッジロード!」
"All right load cartrige."  鈍い作動音がして薬莢が数発排出される。
なのはの足もとに桜色の魔方陣が展開される。
"Buster set."
なのはが叫ぶ「デバイン バスタァァァァー」

桜色の魔力流が杖の先端から奔流となって打ち出される。それは結界を打ち抜いて強襲次元転移艇を直撃する。
その光景を見ていた者たちは俺や王女たちも含めて唖然としていた。武装局員の中にもポカンとしている奴がいたな。

「何なんだこの娘...」

その時オースティンの絶叫が聞こえた。
『おおっ……かっ、すげぇ絵が取れたよ。お前のおかげだ』
『でかい声出すな。最後の締めを撮らせてやるからカメラはなのはアップだぞ』と言って俺は通話を切った。
再びなのはを方を見やった俺は彼女に話し掛けた。
「なのは、もう終わりか?」
「はい、たぶん...」

敵の強襲次元転移艇は動力をやられたかの様にフラフラと墜落し武装局員に包囲されていた。
建物内に残っていた犯人たちは皆武装局員に引き立てられていた。

「やれやれ今日はひどい目にあった...」と俺は頭を掻きつつボヤく。
それを聞いていた王女は俺に声を掛けてくれた。

「そちには済まぬ事になったし命も救ってもらった。礼をいうぞ」
「いえ王女さま柄に合わない事をした報いでしょう。それに王女様のお命を救ったのは高町三尉です」
なのはがそれを聞いて苦笑いしていた。笑うと更に可愛いなコイツさっきの戦闘が嘘みたいだ。
「何者だったんでしょうね」となのは
「俺の見たところ奴等は傭兵だな」
「そうじゃ。管理局加盟にわが国の反対勢力が雇ったのであろう...」と王女
「それで入れ替わっていた事が直ぐに分かってしまったんですね」
「しかし迎賓館がメチャクチャだな。こりゃ...」
「そちらや時空管理局にも迷惑をかけたな。出来るだけの弁償はさせてもらうぞ」
「ははっ、王女様もったいないお言葉です」と王女にひざまずく なのは。
「しかし何で奴等あんな凄い船持っているんだ。管理局に探知されずにいきなり突入してくるとは...」
「それはこれから究明しないといけませんね」となのは
「まあ俺も良いネタを拾えたよ。しかし凄いなお前あんなすげぇ攻撃見たことないぜ」
「にゃはは...」
「前に魔力ランクを聞いたが大した事ないとか言っていたよな」
「にゃはは...」
「AAAクラスなのか?」
「にゃはは...もうちょっと上かも...これ秘密ですよ」
「AAA+...オーバーSかよ」
「にゃはは...」
「まあいいや最後にさっきのドレス姿見せてくれよ」と話を切り替える俺。
「おお妾も見てみたいぞ」と王女も同調する。
「はあ?」となのはデバイスに命じる。「レイジングハート、モードリリース」
"Mode Release"と機械音声が聞こえるとなのはが桜色の光に包まれる。
光が消えるとドレス姿のなのはがそこにいた。

「いや、これは思ったより似合っているな」
「あ、ありがとうございます」
『なのはドレス姿アップだ。ちゃんと撮れてるか?』と俺はオースティンに問う。
『バッチリだ。恩に着るぜ。……』
『今度奢れよ』と俺は電話を切る。
「いま何を話しているんですか?」
「これであんたは大スターだぜ!」
「ええっ?何の事ですか?」
「今日のテレビ中継のディレクターが俺のダチでな。良い絵が撮れたと狂喜乱舞さ」
「何が撮れたのですか?」
「王女の影武者高町なのは三等空尉の王女救出劇とおまけのドレス姿さ」
「ええっっっ、そんなの困ります。私の立場が...」
「俺は最初からお前が王女様の身代わりになっていたのを気づいていたんだ」
「やはり無理があったかのう...」と侍従長
「いえ、そんな事はありませんが、なのはとは旧知だったので」
「そうであったか」
「ドレス姿で登場して変身して敵を薙ぎ倒し、さらに敵の乗り物を撃墜と来たもんだ」
「確かに美味し過ぎるのう...ドレス姿も妾より美しいとは許せん」と王女
「そんなぁぁ...王女様。私その様なつもりは...」とうろたえるなのは
「ほほほ、戯言じゃ許せ」
「とほほ...……さん、なんとか放映止めてもらえませんか?」
「俺が撮ったんじゃねぇから止められねぇし生だから手遅れだよ」
「ううっ上司に会うのが気が重いです...」
「心配すんな。次元世界の平和を守る美しきヒロイン。大スターの誕生だ。時空管理局のイメージもアップっってもんよ」
「そんなぁぁ...わたし一介の管理局員ですよ」
「ほんじゃ、ちぃっと疲れたんで帰るわ。あばよ。なのは次元世界の平和は任せた」
「そんな無責任なぁぁぁ...」となのは半泣き顔で俺を見送る。
王女たちは、そんななのは見て微笑んでいた。





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