太陽が一番高く昇る6月も半ば、時刻は午前11時、ここ海鳴駅の前で一人の少女が待ちぼうけをくらっていた。
そこに軽快なメロディーが鳴リ響いた。自分の携帯にメールが届いたようだ。
それを見ると、彼女はため息をついた、そんな予感はしていたのだ。

「・・・はぁ、やっぱりアリサちゃん来れないか」

メールの内容は『ゴメン、今日のショッピング行けなくなっちゃった。パパとママが久々に揃ったから食事に行くことになったの、今度埋め合わせは絶対するからね』と云うものだった。
いつもなら、待ち合わせの10分前には居る筈の彼女がいなかったので何か遭ったのでは、と思っていたが。
そういう理由なら仕方が無いかなぁと彼女は思った。
アリサのご両親は二人とも忙しい方々なので普段家にいる事があまり無い。
なのでこの様な機会はとても珍しい事なのである。
彼女は、『楽しんで来てね』と短い返信を送って、これからどうしようか考えていた。
今、月村すずかは暇になってしまったのだ。









〜こんな日に・・・〜










今日は日曜日、本当なら今頃アリサとショッピングを楽しんでいるはずだったのだが、それも無くなった。
家に帰って、お茶をして過ごすか、やっぱりこっちまで来たんだから少しぶらつくか考えていると
一つの影が近づいてきた。

「ねえ彼女、今一人?」

そう、声をかけてきた男は髪の毛は金髪、服はメタル系で無駄にアクセサリーを着けていた。
俗に言うナンパ男である。

――――またこの類か・・・。
すずかほどの容姿ともなれば、こういう風に声を掛けられるのは日常茶飯事なのだ。
まして、一人でいるのだからなおさらだ。

「待ち合わせしてるので・・・」

なのでいつも通りあしらおうとした。だが

「え〜、いいじゃない。待ち合わせすっぽかされたんだろ?」

そういわれて、すずかははっとした。

――――もしかしてずっと見られてた!?

この様なタイプは危険だ、と本能的に感じたすずかは逃げ出そうとしたが

「いいじゃん、俺と一緒に遊ぼうぜ」

突然腕を掴まれた。
急だったせいもあり抵抗も出来ずに私は引っ張られてしまった。

「えぇ、ちょっ」

「暇なんだろ?退屈はさせないからさ、な?な?」

その目は、変な事を期待している目だった。
声でも上げようかと思ったその時

「僕の連れに何か用ですか?」

声が聞こえた方に顔を向けてみると。
そこには、最近会っていなかったお友達、ユーノ・スクライアが立っていた。







「なんだテメェは!邪魔すんなよ」

男はすずかから離れ、ユーノに掴み掛かろうとしたが、ユーノはそれを簡単にかわしてすずかの傍まで来た。

「ごめんね、道が混んでたから遅くなったんだ、じゃあ行こうか?」

そう言って、さも当然のように私の腕を取って歩き始めた。
私は、彼の考えが分かったので

「もう、ホント待ちくたびれちゃった。罰として今日は奢ってもらうからね」

と言って腕を絡めて、歩き出した。
少しだけ後ろを向くとさっきの男が呆然と立ち尽くしてるのが見えた。
















「ふぅ、ここまでくれば大丈夫かな?」

二人は商店街の少し入った所で足を止めた。

「ありがとう、ユーノ君助かったよ」

「どういたしまして、でも気をつけなよ?すずかは目立つんだから」

そう笑顔で言われてしまったので少し照れてしまった。
顔が紅くなってるのが自分でも分かった。
そこで、ふと、なぜ彼がここにいるのか不思議に思った。
普段彼は管理局で働いている事はなのはちゃん達から聞いている。
そしていつも忙しい事も聞いている。
そんな彼がどうしてここにいるのだろう?

「ねぇ、ユーノ君どうしてここにいるの?」

素直に聞いてみる事にした。

「うん、それがねぇ・・・追い出されたんだ。」

苦笑いを浮かべながらそんな事を言った。





















・・・・遡る事2時間前











果ての見えない部屋の中、同じく果てが無いと思えるほどに遥か遠くへ書架の続く、ここ無限書庫でユーノはいつも通り仕事をしていた。

「ふぅ、ロストロギア『黄金の月』の編纂は出来た。次は・・・」

そして、次の仕事に移ろうとしたその時、後ろから声をかけられた。

「スクライア司書長、お話があります」

そこには、不機嫌な表情の司書達が5、6人立っていた。

「ど、どうしたの?」

雰囲気的に少したじろいでしまった。
一人の司書が口を開いた。

「――司書長、今貴方が何日、この場所に篭もっているか分かりますか?」

なぜそんな事を聞くのだろう?と不思議に思いながらユーノは答えた。

「え、と三日ぐらいかな」

「今日で一週間になりました」

そんなに経ったんだ、と我ながら呆れてしまった。
彼は、思考能力は凄まじく鈍っているが、仕事はもう条件反射なみに行っているのだから
始末が悪い事この上ない。

「なので、貴方にはこれから休暇に入ってもらいます。拒否権はありません」

「え?」

そんな事を女性司書に言われてしまった。

「でも、まだ仕事が・・・・・・」

残ってるだけど・・・・
と続けようと思ったが、司書全員からの視線が余りにも痛かった
最後に大声で―――


「いいですね!!」









僕に頷く以外の選択肢は無かった。


        






「という訳なんだ、にしてもすずかも珍しいよね一人だなんて」

「私もアリサちゃんと約束があったんだけど急にキャンセルになってね」

「そうなんだ」

―――ぐぅ〜

そんな会話の中でユーノの腹の音が響いた。

「は、はは、ゴメン実は朝から何も食べてないんだ」

恥ずかしそうに言うユーノを見て、可愛いなぁと思ってしまったすずかであった。

「じゃあ、助けてもらったお礼にお昼奢ってあげるよ」

そうしてまた二人は歩き出した。











ここは喫茶翠屋、幼馴染である高町なのはの実家でる。
地獄のランチタイムが終わり少しお客の流れが穏やかになってきた時に二人はやって来た。

「いらっしゃ・・・あらユーノ君!?久しぶりね」

「お久しぶりです」

ここの店長、高町桃子は半年振りにユーノと会った。
色々話したい事もあったが、今の光景を見て聞く事は一つしかない。


桃子さんが妙に良い笑顔なのはなぜだろう?
ユーノが考えていると、その答えが変えてきた。

「ユーノ君の隅に置けないわね。すずかちゃんとデートだなんて」

「「え?」」

よく見ると二人は腕を組んだままだった。

「うわぁ、ご、ごめん」

「こ、こちらこそ」

勢い良く離れ顔を紅くしているあどけない二人を見て微笑ましく思いながら席に案内する桃子だった。




「で、ユーノ君これからどうするの?」

注文したサンドウィッチを美味しそうに食べているユーノにすずかは尋ねた。

「そうだね、折角こっちに来てるから図書館でも行って本でも読もうかな?」

結局遊ぶという事を知らないユーノであった、流石は本の虫と呼ばれる事はある。

「すずかはどうするの?」

「私も図書館行こうかな、読みたい本もあるし・・・」

読みたい本があったのも事実だが、もう少し、久々に会った友人と一緒にいたいと思う気持ちのほうが強かった。

「あら、やっぱりデート?」

「「だから、違いますって」」


最後まで、桃子にからかわれ続けた二人であった。












二人は、まだ日が高いこともあり図書館に行ったが、会話はほとんどせず、ただ黙々と席を隣にして本を読み続けるだけだった。

時折、読んでいる本を交換して読んでみたり、その折に手が触れてお互いきまりが悪そうに顔を赤らめたりする事があったりして、時は過ぎていった。
ふと、二人が気が付いた時には、もう閉館の時間が迫っていた。

そして、夕日が沈みかけている帰り道・・・



「いや〜、今日は随分と息抜きできたような気がするよ」

「でも、4時間は流石に居過ぎだったかな?」

そんな、他愛も無い会話をしながら歩いていると

「それじゃ、僕はここで・・・」

気が付けば、ユーノがいつも別れる所まで着いてしまってようだ。

「今日はいろいろと楽しかったよ」

「私も楽しかったよ」

「じゃあ、また今度」

そう言って、すずかはユーノと別れた。












ユーノと別れてから、寂しい気持ちになっている自分にすずかは気が付いた


この気持ちが、恋愛感情のような簡単なものじゃなく


とても複雑で、とても言い表す事が出来ないような感情だった


でも、この気持ちが大切なものだという事は心から、理解できた
 

だからこの気持ちに気付かせてくれた今日、こんな日に感謝を…










あとがき



え〜、ハルバートです。
今回は、すずかの話ですが何となく書きたかったんです。理由はありません。
書いていて思ったこと・・・恋愛話なのかなこれって?
自分で言うのも何ですが、途中から何を書いてるのか分かんなくなってまして・・・
何故に友達以上恋人未満で落ち着いてしまうのかな?謎だぜ!

愚痴はこれ位にして今回は失敬!!



追伸
ユノフェの続きは只今創作中です。
少々お待ちを・・・





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