この話はオリキャラが最強(最終的には)なので苦手だったりするかもしれませんが、お許しください; 11月某日某所、ヴォルケンリッターが蒐集を始める1週間ほど前 「ターゲットはこの寂れた洋館の中か………」 洋館の前で一人の男がつぶやくと、洋館のドアを開けようとした。 しかし当然のように鍵がかかっており、押しても引いてもドアは開く様子はなかった。それなのに………である。 男が触れてしばらくすると鍵が『カチャ』という音を立てて勝手に開いてしまったのである。 彼は何事もなかったかのように歩を進めて行き、しばらく屋敷の探索をした。そしていくつめかのドアを開けたとき、どうやら目的のものを見つけたようだ。 「………気のせいであってほしかったが、どうやらこれはなにかしらの力を持ったものらしいな。」 目の前にあるのはゲームのコントローラに付いている丸いボタンサイズの宝石に手を伸ばした。そして彼がそれに触れる寸前にその宝石が急に輝き始めた。 「しまった!発動してしまったか!」 そして光が消えてなくなったとき、その洋館からは宝石の姿は消えていた。『男の姿』と一緒に……… 魔法少女リリカルなのはA'sアナザーストーリー ヤミノセイネンとヒカリノショウネン それから1週間後、海鳴市 「ほんまシャマルがいてくれて助かったわー」 茶髪の車椅子に乗った少女、八神はやてが自分の車椅子を押している手に大量の食材がぶら下げた金髪の美女に向けて声をかける。 「いえいえ、これも私の役目ですから。しかしすごいですね〜、こんなにいっぱい買うとは思いませんでしたよ。」 とにこやかに返事を返す。彼女の名はシャマルといい、今は彼女の家で訳あって同居している。どうやら彼女達は買い物の帰りのようだ。二人とも楽しそうに話しながら帰宅しようとしていたそのとき、ドンと一人の男がシャマルにぶつかってきた。 「きゃっ!!」 ぶつかった勢いで彼女はよろめいたが何とか倒れることも、車椅子が倒れることもなかった。ぶつかった男は謝ることなく走り去っていこうとした。 しかし彼は急に倒れた。よく見ると小学1年生ほどの男の子がいて、愛を出しているではないか。どうやら彼が足を引っ掛けたようだ。 「こら、君いたずらはあかん。」 「………こいつに何されたかも気付いていなかったんだな。」 少年は謝るどころかこちらを呆れたように見ている。はやては反省のない少年に向かって注意しようとしたそのとき、倒れていた男が少年に襲い掛かってきた。 「ガキが!いきなり何しやがる。」 男は隠していたナイフを振り回し、少年にその冷たい刃が降りかかる………はずがさっきまでそこにいたはずの少年はそこにはいなかった。その場にいた誰もが呆気に取られた。 「やれやれ、一応見た目小さな子供にナイフを振るうとは………どうしようもない奴だな、貴様。」 声の聞こえてきた方向を見ると、少年は男の後ろにいた。もちろん血どころは傷ひとつ追っていない姿で。 男は急いで振り向いてまた少年にナイフで切りかかった。だが少年は男のナイフを軽々避けると男の顎に蹴りを入れた。 がきっと乾いた音がたち、そのあと男は糸の切れた人形のようにそのまま気を失ってしまった。はやてとシャマルはあまりの事に言葉も出ず、だらしなく口をあけたままポカーンとしている。 そして少年は気絶している男のポケットを物色して目当ての『それ』を見つけたらしく、男から離れた。それを見てさすがにはやてたちは意識を現実世界に戻したらしく、少年を怒鳴ろうとしたが少年が急に何かをはやてに投げてきた。あわててそれをキャッチして、投げられたものを見てみるとそれはなんと自分の財布だった。 「見た感じ、この辺りは荒れてはいないようだが、一応気をつけた方がいい。どこにでもこういうのはいるからな。」 「あ、ありが………」 お礼を言おうとしたそのときにはその少年はどこかに消えていた。まるで蜃気楼でも起こったような出来事に変な気分の二人だが、自分達が帰宅途中だということを思い出し、そのまま帰宅の徒についた。 時刻はもう日付が変わろうかという時間帯、暗い公園の中、先ほどの少年が一人ぽつんとベンチに座っている。彼は目を瞑っている。しかし眠っているようではなかった。しばらくすると彼は目を開けて言葉を放つ。 「妙だな………この町に来たとき奴の気配を感じたんだが………かといってこの町を出て行ってもいないか。それとも奴は………」 彼はふっと昼間のことを思い出す。今にして思えば、あれはやりすぎただろう。幸い人目が少なく、あの事件自体見ていたのは当事者達だけだった。再びこの少年は誰もいない公園で独り言を始めた。 「しかし我ながら御人好し過ぎたな………あまり目立つつもりはなかったが、あんなことをしてしまうとはな。今はまだ目立った行動は控えたほうがいい。奴に気付かれ逃せば多くの被害が出てしまうな………」 少年はすくっと立ち上がり、この場を立ち去った。昼間と同じように、蜃気楼が如く。 こうしてこの少年、明良 晶(あきよししょう)と八神はやてたちは出会った。偶然なのかもしれない。はたまた必然だったのかもしれない。 彼らが出会ったことでこの物語は本格的に動き出す。しかし今はまだゆっくりと………そしてだんだんと加速していきながら。誰も気付くことなく、穏やかに、しかしときに激しく。 彼らが次に会う魔法に関わる人々とそして彼が追う『奴』が姿を現すまでは平穏は続くだろう。ヒビの入ってしまったダムのように脆く、そして儚い平穏が。 (続く) どうも、バレンタインのトリビアの人改め、「その辺の人」です。別名「ほり」(堀ではないので発音的には『ほ』を強めで)とも言ったりするかもしれません(どっち!?)。気に入ったほうでお呼びくださいw そして続きは鈍亀というか自分が気まぐれなので次はいつになるのやら^^; |