一面に広がる広大な森。そこで――決闘が行われていた。
 ノーヴェとスバルは足場魔法を行使し、空中を高速で駆け抜け、激しくぶつかり合う。
 ノーヴェは高速のハイキックを放つが、スバルはそれをしゃがんでかわし、そのままアッパーの攻撃態勢に入る。
 それを瞬時に察知したノーヴェは、右手を少し突き出して五つの魔力弾を撃つ。
 それを何とかバリアで防ぐ事に成功したスバルだが、バリアを解くとノーヴェは既に離れた所にいて、右手を突き出していた。
「ウーノ姉は滅茶苦茶頭いいし、トーレ姉は筋トレマニアでまるでボディビルダーみたいだけど私の稽古に付き合ってくれるし、クア姉はウーノ姉にベッタリで『あれ? もしかして、レズなのか?』って思う時あるけど、あれはであれで優しいんだ!」
「そんなの! ギン姉はエリート捜査官で頭いいし、私のシューティングアーツの師匠だし、甘えてもキリがないくらいとっても優しいんだ!」
 何発もの魔力弾を掻い潜り、スバルは最短距離でノーヴェに向かっていく。ノーヴェもそこまで来ると射撃を中止してスバルを迎え撃つ。
 ガキィッ、二人同時に繰り出した後ろ回し蹴りは、ローラーのホイールが噛み合って火花が散らせた。
「チンク姉はクールだけど実はかわいいし、セイン姉はバカだけど楽しい雰囲気にしてくれるし、オットー姉はなに考えてるわからないけど射撃のコツを教えてくれるんだよ!」
「ギン姉だってなぁ……ギン姉だってなぁー! 見た目は生ゴミだけど料理は私なんかよりずっとうまいし、器用だけど、実はかなりドジっ娘でとてもかわいいんだ!」
 その衝撃でお互いに後ろに吹き飛ばされる。
「くっ、セッテ姉は……まだわかんねぇ!」
「ひどっ!」
 距離を取ったノーヴェとスバルは一直線にお互いの元へ駆ける。
 ノーヴェは体をスピンさせて思いっきり遠心力を乗せた蹴り。
 スバルはカートリッジを三発ロードした拳。
 それぞれがぶつかり合おうとしていた。
 それは、まさに激闘と言っていい。だが、その戦いの遥か上空に、白と黒――二人の魔王がいた。
「二人ともいいお姉さんを持ってるね」
「うん。そうだね」
 穏やかな二人の表情。しかし、それは次の瞬間、本物の魔王へと変化する。
『でもっ!!』
 声をそろえた二人はデバイスを構え、眼下に向けて特大の砲撃を放った。
「う、うわぁぁぁ―――っ!」
「ぐっ、ああぁぁぁ―――!!」
 突然の大威力砲撃により、ノーヴェとスバルは魔力の波に飲み込まれ、巨大なクレーターができ上がる。そのクレーターを見下しながら、二人はポツリと呟く。
『……私の』
「――やさしい美由紀お姉ちゃんが一番なの」
「――かわいいアリシアが一番だよ」
 そのまま降下し、地面に降り立ったなのはとフェイト。二人は向かい合い。互いにデバイスを向ける。
「決着をつけよう。なのは」
「うん、わかったよ。フェイトちゃん」
 そんな二人に話しかける者がいた
「フェイトちゃん……」
「なのはちゃん……」
『っ!!』
 いつからそこにいいたのだろうか。フェイトの後ろにエイミィが、なのはの後ろに忍が立っていた。
「フェイトちゃん。私のこと……まだ、義姉さんって認めてくれてなかったんだ」
「そ、それはね――」
「なのはちゃん。私、悲しいな……恭也に言っちゃうかも?」
「し、忍さんそれだけは――」
 必死に弁解を試みるなのはとフェイトだったが、時既に遅し。エイミィと忍は声をそろえて言った。
『問答無用、オ・シ・オ・キだよ?』
 それぞれ、全然目が笑っていない満面の笑みを浮かべる義姉に首根っこをつかまれ、義妹はズルズルと引きずられていく。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――っ!!」
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――っ!!」
 森に悲痛な叫び声が響き渡った。





――――――――――
ども、福神です。
前々から思っていたんです。
「なのは」は地味に兄弟が多いと。
大抵の主要キャラは兄弟がいます。

なのは→恭介、美由紀、忍(義理)
フェイト→アリシア、クロノ(義理)、エイミィ(義理)
すずか→忍、恭也(義理)
はやて→ヴォルケンリッター(役割的に)
リーゼロッテ⇔リーゼアリア
スバル→ギンガ
ティアナ→ティーダ
キャロ⇔エリオ(間接的に)
ヴァイス→ラグナ
カリム→ヴェロッサ(義理)
ナンバーズ(言わずもがな)
アルト→名無しの兄共

的な感じで。
さて、次回はギンガで行きます。





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