「みんな、集まってくれてありがとう」

マリーが会議室の席に座り、話を切り出した。会議室にはクロノ、なのは、ユーノ、フェイト、はやて、ユウ、エイミィ、マリーがいた。クロノが怪訝そうな顔をしてマリーに問いただす。

「休暇に会議室を使ってまで話すことって何だ?」
「それは――」
「それは私から言うよ」

はやてがマリーの言葉を遮り、話し始めた。

「実はね、みんなに頼みたいことがあるんや」
「頼みたいこと?」

ユウが首を傾げる。はやてがそれに頷く。

「そや、みんなのデバイスをちょう貸してもらいたいんや」
《デバイスを!?》

会議室にいるマリーとはやて以外が驚愕の声を上げた。

「一体何のために?」
「うん、それはなぁ話せば長くなるんよ―――」




あれはアル達がこちらの世界に来てから2日後。アルとユウが話しているところにはやては何を話しているのか、興味を持ったため耳をそばだてて話の内容を聞いてみた。

「ゼロってのはお前のユニゾンデバイスなんだろ?」
「そうだよ」
「いつ作られたんだ?」
「えーっと…4、5日前かな」
「たった4、5日か…それじゃあ分からないことだらけじゃないのか?」
「まぁ、そこらへんは僕らがしっかり教えているけど」
「いっそのこと何か、ゼロに1人でやらせてみろよ」
「1人で?」

ユウが首を傾げて、アルに聞き返す。

「おう。1人でやらせることによって何かと自信が付くと思うんだよ。だからな、料理とかやらせてみろよ」
「大丈夫だよ」
「いーや、絶対に必要だって」

ユウがアルの言葉をあしらいながらその場を離れていき、アルはユウを説得すべくついていった。はやて1人がその場に残ったが後を追いかけることはしなかった。はやての頭の中には様々な考えが浮かんでは、消えていった。




「それで?その話と僕達のデバイスの話はどう繋がるんだ?」
「しかもあんまり長くないし」
「話はこれからや。それでなぁ、アルさんの話に私も共感してゼロとリインに何をすればいいか考えたんよ。それで思いついたのが『初めてのおつかい』や」
《初めてのおつかい?》
「そや、リインとゼロに私とユウ君がおつかいを頼む。2人だけでやらせるから2人の親密度も増し、アルさんの言ったとおり自信もつくというわけや」

はやてが人差し指を立て、笑顔で説明する。クロノがまだ納得していないようにはやてに聞く。

「それは分かるが、僕たちのデバイスを借りるのどういうためだ?」
「うん、そこでソウル君の登場や」
「ソウルの?」
「そや、ユウ君、ソウル君今いる?」
「いるよ。ソウル」
『ああ』

ユウの呼び声にソウルが人間形態の姿で現れる。

「それで、何故俺の登場なんだ?」
「ソウル君は前にインテリジェントデバイスも擬人化できる言うたよな?」
「ああ、そうだが…」
「実はな、皆のデバイスを擬人化させて欲しいんやよ」
《ええっ!?》

マリーとはやて以外が二度目の驚愕の声を上げた。皆が唖然とする中、はやては特に動じずに話を続ける。

「『初めてのおつかい』は子供達の周りにサポートの人がたくさんおるよな?それを頼みたいんよ。私らがやると何かの拍子に顔を見られかねんからな、でもデバイス達の擬人化は今回が初めてやからあの子達もきっと気づかへん」
「そういうことか、分かった。協力しよう」
「私は別にいいよ」
「私も」

ソウルとなのは、フェイトは快く引き受けてくれた。ちなみに全員のデバイスは今技術室でメンテナンス中である。そこにユーノがはやてに疑問符を頭に浮かべてはやてに訊ねる。

「それじゃあデバイスを持っていない僕やエイミィさん、ストレージしか持っていないクロノは何で呼ばれたの?」
「エイミィさんとクロノ君、あとフェイトちゃんにもやけど家を貸して欲しいんよ。あそこなら大勢がリインとゼロの様子を見れるしな。ユーノ君は遠くからあの子達を見れるようにカメラの設定などを頼みたいんよ」
「なるほどね〜、家のことはリンディさんに訊かないと分からないけど多分OK出してくれるよ」
「カメラね、分かったよ」

エイミィとユーノが頷いて了承する。クロノも無言だが頷いた。その様子にはやては笑顔を浮かべた。

「みんなおおきに。それじゃあそれぞれ打ち合わせや。ユウ君、ちょうええかな?」
「うん」
「それじゃあ、ソウルは私と一緒に来て」
「分かった」
「僕は母さんに訊いてみる」
「ユーノ君、私もカメラのこと手伝うよ」
「ありがとうございます」

皆それぞれが自分のやるべきことを見つけていく中、なのはとフェイトはやることが無く余ってしまった。何かすることは無いかとなのはが慌ててきょろきょろしている様子をユーノは見て微笑む。

「それじゃあ、なのは達は僕達の手伝いをしてくれる?」

ユーノの言葉を聞きフェイトは頷き、なのはは顔を輝かせた。




文明さんリクエスト小説
魔法少女リリカルなのはLOC 番外編
「初めてのおつかい」




そして打ち合わせからさらに2日後。
一同はハラオウン家のリビングに集まっていた。リビングには巨大なモニターがあってそこから町の状況が見れるようだ。モニターがつき画面の前にユーノが映った。

『今画面のテスト中です〜。ちゃんと見えていますか〜?』
「ちゃんと見えているよ〜」

ユーノの言葉になのはが返す。その言葉にユーノは少し安心したように息をついた。

『それじゃあ、僕も今から戻るね』
「気をつけてね」


ユーノを含めた皆がハラオウン家に集まった時、はやてとユウ、リインとゼロはマンションの前で遊んでいた。

〈はやてちゃん、いいよ〉
〈ん、了解や〉
「リイン、ゼロ、ちょうお願いがあんねんけどええかな?」
「はい、何ですか?」
「僕らで出来ることならなんでもしますよ」

はやての言葉にとてとてとゼロとリインが近づいてくる。ちなみに今はアウトフレームフルサイズの子供状態だ。

「おおきに。それでな悪いんやけど、ちょう商店街まで行って買い物してくれへんか?」
「買い物ですか?」
「ユウ達と一緒にですか?」

リインとゼロが同時に首を傾げる。微笑ましいな〜と思いながら、ユウは苦笑する。

「違うよ。今回は僕とはやては少し用事があってね、一緒には行けないんだ。同じ理由でなのは達も無理だよ」
「え?」
「つまり、2人だけで買い物をしてきて欲しいってことだよ」
「「ええっ!?」」

リインとゼロはまたもや同時に驚く。

「そんなに驚くことかな?」
「で、でも僕達はこの辺の地域がまだよく分かっていないんですよ」
「地図を渡すから」
「どうやって買えばいいんですか?」
「そこらへんも教えるよ」
「う〜」

リインとゼロの疑問を答えたが、やはり不安なのか唸っている。

「お願いだよ、君達にしか頼めないんだ」
「ダメかな?」

ユウとはやてはここぞとばかりに手を合わせた。その様子にリインとゼロは渋々了解した。

「…分かりました」
「僕達でいってきます」
「ごめんな」
「ありがとう」
「それで商店街の場所とか買い物するものなどを教えてください」




「―――とまぁこんな感じ」
「はい、ありがとうございます」
「それじゃあ、お願いな」
「はい、行ってきますです〜」

ゼロとリインが手を振りながら離れていく。その姿が見えなくなったところでユウは念話を繋いだ。

〈レイジングハート、バルディッシュ。2人を行かせたからよろしく〉
〈分かりました〉
〈任せてください〉




商店街へ向かう途中、ゼロが鞄を持ち、リインが隣で歩くという形だった。リインと話そうと思ったが、彼女は隣で必死に買い物メモと格闘している。話すことも出来ずにただ歩くだけのゼロは暇になって空を見上げた。空は雲ひとつ無く晴天だった。平和だな〜と生まれて4、5日の子供が思わないことを思っていた。空を見ていると隣でリインがゼロに待ったをかけた。

「待ってください」
「ん?どうしたの?」
「道が…」

前を見てみれば道が二つに分かれている。ゼロはどちらに行くべきか迷った。その様子をユウはどうするのかなと面白そうに見ている。

(標識を見つければ直ぐに分かるけど、見つかるかな?)
「こっちじゃないかな?」
「こっちだと思いますよ」

ゼロは左の道を指す。リインは逆の道を指した。

「何で?」
「こっちは賑やかになっているからです。賑やかということはたくさん人がいるということです」
「こっちは道が整備されているよ。商店街だったら交通の事とかで道が整備されていると思うけど」
「絶対にこっちですよ!」

リインが絶対の自信を持って右の道を指した。ちなみに正解は左の道である。ゼロは自信満々のリインを見て、困っていた。

「こっちかな〜?」
「こっちですよ」
「う〜ん、それならこっちに行ってみようか」
「はいです、行きましょう」

そういうと2人は右の道に進み始めた。その様子を見たはやては頭を抱えながらデバイス2人に念話を繋いだ。

〈あかん!レイジングハート、バルディッシュ。頼むよ〉
〈は、はい〉
〈承知しました〉

その言葉を受けるとレイジングハート達は隠れていた茂みから身を出した。




「僕達、どこに行くの?」

リインとゼロに声をかける人物がいた。2人が振り返るとそこには男女が1人ずつ立っている。女性はロングヘアーの金髪で真紅の瞳に桃色のワンピースと白い帽子を被っており、男性の方は黒髪で金色の瞳に白のTシャツに黒のジーパンとジャケットを着ていた。ちなみに男性の髪は先っぽに近づくに連れて金色に変わっていた。

「あの、どなたですか?」
「私はレイジ……レイよ。こっちはバルディ」
「何故どこに行くのかを?」

ゼロが警戒心丸出しで訊ねる。レイはその質問に少し戸惑い、バルディの方に目を向けた。

「え?ええと…〈バルディッシュ〜、私こういうの対処するの苦手なんです〜〉」
「……〈そんなすがるような目で見るな、普段どおりに答えればいい〉」
「あの、どうしたんですか?」

焦っているレイジングハートと未だに言葉を発さないバルディッシュにリインは少しおびえながら訊ねた。

「あ、何でもないのよ〈それでも苦手なものは苦手ですよ。バルディッシュ〜、お願いします〜〉」
「〈やれやれ〉…君達の話を少し聞いてな、どうやらどっちの道を行くのか迷っていたようだから手伝えることは無いかと思ったのだ」
「そうなんですか、ありがとうございます」

ゼロもようやく警戒を解く。ちなみにこの会話の様子を見ていたユウは簡単に警戒を解いたゼロに少し複雑な気持ちを抱いていた。

「それでどこに行こうとしたの?」
「えっと商店街なんですけど……」
「商店街ならこっちの道で合っているよ」
「えっ!?」

レイジングハートの言葉にバルディッシュは驚きの声を上げる。ちなみにハラオウン家ではレイジングハートの言葉を聞いた直後になのはとユーノ、はやてが頭を抱えていた。

「やっぱりこっちで合っていたです」
「そうなんだ〜」
「レイ…、商店街への道はこっちだぞ」

バルディッシュが呆れ顔で左の道を指差す。レイジングハートは何を言っているんだという顔で首を傾げた。

「そっちは丘への道ですよ」
「違う、丘への道はこっちだ。あっちの道をまっすぐ行けば商店街に出る」
「じゃあこっちの道は何で賑やかなんですか〜?」
「今日は日曜日だから丘で家族連れがピクニックでもしているのだろう」
「ふぇ!?それじゃあ――」
「ああ、君の勘違いだ」
「〜〜〜〜」

恥ずかしさで顔を真っ赤にするレイジングハートを置いて、バルディッシュはゼロ達に話す。

「と言うわけで左の道を行けば、商店街に出るぞ」
「あ、ありがとうございます」
「うう〜、自信あったのに間違えてしまいました〜」
「誰にだって間違いはあるよ。これから間違えないようにしよう」
「はいです〜」

ゼロとリインが左の道に入って行き、見えなくなったところでバルディッシュは真っ赤になって道にへたり込んでいるレイジングハートに近づいた。

「いつまでそうしているんだ、早く行くぞ」
「呆れちゃいますよね…」
「なに?」
「呆れちゃいますよね。ゼロ達の前で何も出来なかったんですから…それに道も間違えてしまって」
「…………」
「こんな私、バルディッシュは嫌いですよね…」

レイジングハートは自嘲気味に呟く。バルディッシュはその言葉を聞いて本当に呆れた。

「何を言っているんだ君は。先ほどゼロも言っていたが誰にだって間違いはある。大事なのは次、同じ事を間違えないことだ」
「バルディッシュ…」
「それと1つ言っておくが、これから先私が君のことを嫌いになることなどありえない」
「!!」

レイジングハートが驚きを顔に貼り付け、顔をバルディッシュに向ける。彼は既に彼女に背を向けていたが、うなじの部分が赤くなっているのが見えた。

「さぁ、さっさと追いかけよう」
「…はい!」




商店街にたどり着いたゼロとリインは特に問題もなく、はやて達に頼まれたものを買うことが出来た。

〈ユウ、頼まれたものを買うことが出来ましたよ〉
〈ん、ありがとう。お金余った?〉
〈はい〉
〈それじゃあおつかい行ってくれたご褒美に何か好きな物を買っていいよ〉
〈はい、ありがとうございます!〉
〈お礼を言うのは僕なんだけどね…気をつけてね〉
〈はい!〉
「どうしたんですか?」

突然うきうきした出したゼロに疑問を持ち問いかけてくるリイン。それにゼロは嬉しそうに答えた。

「ユウが余ったお金は好きなものに使っていいって言ってたよ」
「本当ですか!?」
「うん」
「やったです〜」

飛び跳ねて喜ぶリインを見てゼロは自然と笑顔になる。

「それじゃあ、お互いに買いたいものがあるから1度解散して買ったらここに集合しよう」
「はいです」

リインは駄菓子屋に、ゼロはおもちゃ屋に向かう。ゼロはおもちゃ屋で何か良いものはないかと探していると、カウンターに置いてある二等身の人形を見つけた。どこかメカニカルながら、二頭身でもしっかり人の形をしたそれはレジの傍に座っていた。人形を凝視していたゼロにカウンターのおばちゃんが気づいた。

「ぼく、それが欲しいのかい?」
「いえ…そうじゃなくて、店に置いてあるにしては随分汚れているな〜と思って」
「それはねぇ、昨日近くのゴミ捨て場を掃除していたら野良犬が銜えていたんだよ。野良犬から取ったあと何だか捨てにくくてね〜。とりあえずここに置いたんだよ」
「そうなんですか」
「ねぇ、もし良かったらこれ貰ってくれない?」
「え?」
「この子もただ飾られるだけなら、子供に貰って遊んでもらいたいだろうしね。ただでいいからさ」
「いいんですか?」
「もちろん!」
「それじゃあ頂きます」

ゼロはカウンターの人形を手に取った。それは真ん丸な目をしており、手足もまた丸かった。他の品物を見ても特に欲しいものは見つからなかったから、とりあえずこの人形を持ってリインとの集合場所に行った。そこでは既にリインが両手に袋一杯のお菓子を抱えていた。ゼロは少し顔をひくひくと引き攣らせながらリインに声を掛けた。

「ごめんね、遅くなった」
「あ、ゼロ。それどうしたんですか?」
「あ、うん。おもちゃ屋で店の人がくれたんだ」
「そうなんですか」
「それはそうとリイン、その両手に抱えたお菓子は君1人で全部食べるの?」
「それは無理ですよ〜。はやてちゃんやヴィータちゃんの分もありますよ」
「……(八神家全員)太るよ?」
「む、ゼロ!そういうのはレディーに向かって言ってはいけませんよ!」
「は〜い、以後気をつけまーす」

リイン達は雑談を交わしながら、帰路に着いた。




「「ただいま〜」」
「おー、お帰り」
「お疲れさんや、ちゃんと出来たか?」
「はい、これが買ったものです」
「―――うん、ちゃんと買えてる。おおきにな」
「はいです。あとはやてちゃん、これはやてちゃん達にお土産です」
「おお、アイスやないか!ほんまにありがとうな」
「後で一緒に食べましょうね〜」
「ゼロは何を買ったの?」
「僕は何も買っていませんけど、これを貰いました」

そう言って、ゼロは人形をユウに渡した。

「これは?」
「おもちゃ屋でいらないと言われたので貰いました」
「ふ〜ん、随分汚れているね。後で洗おうか」
「はい」



この後ユウ達はゼロ達をリビングに招待し、買い物の様子を全て見ていたことを明かした。それを知ったゼロとリインは少し恥ずかしそうに顔を赤くして俯いてしまった。リビングで後片付けをして、なのはとマリーが帰った後にそれは起こった。



「ゼロ、人形洗い終わったよ」
「ありがとうございます」

ゼロはピカピカになった人形を受け取った。横からフェイトとエイミィが顔を出してきた。

「なんか変わっている人形だね」
「というか変だよね」
『変とは失礼ディスね』

人形がいきなり喋った。ゼロは驚いて人形を落とし、フェイトとエイミィは咄嗟に飛びのいた。

「わっ、喋った!」
「気色悪っ!なんか気色悪いよ!」
『身体が綺麗になったからディス。それとそこのアホ毛さん、ストレートにそんなこと言っちゃだめディスよ』
「これはアホ毛じゃないよ!」

エイミィがちょこんと立っている癖毛を揺らしながら抗議する。そこにはやてとリインとユーノが来た。

「どうしたんやって、なんやそれ!」
「人形さんが動いています!」
『おお、ユーノさんじゃないディスか』
「えっ、ユーノの知り合い?」
「全然」

ユーノがユウの問いに即答する。人形はくねくねと身体を動かしていた。

『この世界のユーノさんは冷たいディスね〜』
「冷たいとかそういう問題じゃないでしょ。というかなんで君は僕のこと知っているの?」
『オディはブレイドディス。並行世界を旅していマス』
「並行世界?ということはユウ達の世界の?」
「生憎僕は見たことないよ。エクスとソウルは?」
『私はないよ〜』
『俺もないな』
『オディはあくまで旅人ディスから色々なところを回っているんディス』

だから会ってなくても当然ディスと語り始めたブレイドにゼロが質問した。

「ブレイドさんは旅人なんですよね、それならなんで犬に銜えられていたんですか?」
『実は旅の最中にトラブルが発生してゴミ捨て場に落ちたンディス。面倒くさかったから動かなかったら犬に銜えられて動けなくなってしまったということディス』

周囲にうわぁという空気が流れる。犬に銜えられるということは人形以外のものに見られたということではないだろうか―――

「そ、それでトラブルってどうしたの?」
『どうやらブースターの調子が悪いようディス』
「ブースターはどこに?」
『背中に収容できるようになっているディス』

ユウはブレイドの後ろに回り、ブースターを探したがどこにも見つからない。

「どこにあるの?」
『今出すディス』

言うと、背中から超合金○で作られたロボの羽みたいなものが出てきた。ユウはそれに触り、調べようとしたが―――

「うわっ、なにこれ。伸びるよ!」
『ウェーイ、オディの身体は伸び縮みできるンディスよ』
「これじゃあ調べようがないよ。どうにか出来ない?」
『無理ディス。強いて言うならオディに衝撃が来る時、硬くなるディス』

ユウはそれを聞くとブレイドにチョップしてみた。するとゴンという鈍い音がしてユウが痛そうに手を振る

「痛〜〜〜、どうやら本当みたいだね。それなら…エクス」
『ソードフォーム、起動』

ユウはソードフォームのエクスを右手に持ち、柄の部分で約45度の角度で再度ブレイドを殴った。

『ウェイ!一体何をするんディスか!』
「いや〜、ブースターを外すことが出来ないなら叩いて直すしかないから」
『オディのブースターは昭和のテレビじゃないディスよ!』
「今のテレビでもこうすれば直るよ、皆も手伝って」
『ウェイ!?』

ブレイドが後ろを振り返れば、バルディッシュを起動させたフェイト、デュランダルを持ったクロノ、パイ生地を伸ばす際に使う棒を持ったエイミィ、シュベルトクロイツを起動させたはやてが立っていた。ユーノはただ端で様子を見ている。

『ゆ、ユーノさん。見ていないで助けてくださいディス』
「でも、見た感じ君は他の並行世界の僕達に迷惑かけていそうだから今回は仕方ないんじゃないの?」
『ウェイ!?』
「皆一回ずつやれば直ると思うよ」

ユウの言葉を聞いた瞬間、みんなからの一撃がブレイドを襲った。

ガン!ゴン!ガキィン!ドカッ!

皆の一撃をくらった後ブレイドは無傷で立ち上がり、ブースターの調子を調べた。

『おっ、直りました』
「本当ですか?良かったですね」
『ウェイ、ありがとうディス』
「……(まさか、本当に直るとは…)」

はしゃいでいるゼロとブレイドを見ながら、ユウは機械は叩けば直るということをしっかり頭に叩き込んだ。

『さてオディはそろそろここを出るマス』
「もう行くんですか?」
『ウェイ、他の世界の皆がオディを待っているディス』
「とりあえず気をつけてね」
「向こうの世界の僕らによろしく」
『ウェイ、分かりました。それディハ、失礼するディス』

ブレイドはベランダに出るとブースターに火をつけ、そのまま飛んでいってしまった。

「なんとも変わった奴だったね」
「また会いたいです」
「さて、僕らも家に戻ろう」
「はい」



〜〜〜おまけ〜〜〜

ちなみにこの後ゼロは八神家に呼ばれ、「レディーに言ってはいけない言葉ベスト50」を叩き込まれたとか。




----後書き----

カークス:「皆さん、読んでいただきありがとうございます。そして文明さん、申し訳ありません!(全力で土下座)」

ゼロ  :「タイトルは文明さんとのクロスと書いてある割にはあんまりブレイドが出てきませんでしたね」

カークス:「日常生活でブレイドと絡ませるとどうしたものかなと思って」

ゼロ  :「それで以前掲示板にあった初めてのおつかいネタですか?」

カークス:「そうそう、ついでにデバイス達の擬人化も書けたから良かったけど」

ゼロ  :「良かったかどうかは文明さんが判断することですよ」

カークス:「本当に申し訳ございません!不満等々はちゃんと聞くので嫌いにはならないでください!」

ゼロ  :「他の人も楽しんでくれれば幸いです」

カークス:「いやまったく。勝手にブレイドに新機能追加させちゃったし」

ゼロ  :「本人の許可無しでしたからね」

カークス:「あれは二回しか使えないものと考えていただければなんとか…」

ゼロ  :「二回って別の世界に行った後どうするんですか、彼?」

カークス:「…………(ダッ)」

ゼロ  :「あっ、逃げた!えーと、次も短編で僕が主役(?)の話です。他の作者様の感想と同時に急がせつつ、がんばらせるのでよろしくお願いします」

カ&ゼ :「「それでは、失礼します」」





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