「やれやれ、管理局の技術を持ってしても解析が困難とはな」 「まぁ、だからロストロギアって奴にされてるんだけどね」 ソウルのぼやきにユウが苦笑して答える。 彼らがいるのは研究室、そして彼らが行っているのはディメンションリンクの解析の手伝いだった。先ほどソウルが言った通り、管理局の技術を持ってしてもディメンションリンクの解析は困難極まりなかった。そこでディメンションリンクのことを少しでも知っているユウ達を呼んで手伝わせようということだ。エクスとゼロも呼んではいるが二人は研究室に置いてある機器を目を輝かせながら見ていて、解析にはほとんど加わっていない。 「ごめんね、二人とも」 「あ、ユーノ」 ユーノが両手に三つのカップを持って研究室の扉をくぐる。カップの中には黒い液体がちゃぷちゃぷ波立っている。―――中々器用だ。 「はい、差し入れ。ミルクと砂糖は?」 「僕はミルクだけで」 「俺はブラックのままでいい」 「あー、いいな二人とも〜」 ユウとソウルが持っているカップを見てエクスが口を尖らせる。ゼロもエクスの肩から覗いている。 「これ、何ですか?」 「ゼロは初めてかな。これは『コーヒー』って言うんだよ」 「美味しいよ〜」 エクスがにやにや笑いながらソウルのカップを取って、ゼロに近づけた。 「本当ですか? ……う〜ん、何だか変な匂いがします」 「嫌なら良いよ。私とソウルとユウで楽しむから」 「う〜、飲みます!」 ゼロがエクスのカップから少しコーヒーを飲む。直後、ゼロが奇声を上げた。 「ひゃう!? ……苦いです〜」 「そりゃブラックで飲んだらね。僕でもブラックはきついよ」 ユウが苦笑しながらユーノから貰ったミルクをコーヒーに入れる。ゼロは恨みを込めた視線をエクスに向けたが、エクスは華麗に無視してミルクと砂糖を入れた。 「う〜ん、甘くて美味しい♪」 「砂糖をそれだけ入れたら当たり前だ」 「下手したらリンディさんのお茶と同じくらい甘いんじゃない?」 ソウルが呆れて、ユウが苦笑いする。甘いものが苦手なソウルはともかく、ユウまで軽く引くほどエクスは砂糖を入れていた。リンディのお茶を思い出したのか、ゼロはげんなりしている。 「お茶はもう飲みたくないです……」 「え〜、あれ美味しかったじゃん」 「初めて飲んだお茶があれじゃあ、嫌いになっても仕方ないな」 四人が談笑していると、ユーノが席を立った。 「ユーノ、どうしたの?」 「ホットミルクを取ってくるよ。ゼロはコーヒーが飲めないでしょ?」 「あ、別に良いですよ」 「気にしないで。ちょうど僕もコーヒーが飲みたくなったからそのついでに、ね」 「ごめんなさい、ありがとうございます」 ゼロの言葉に笑顔で返すとユーノは研究室を出て行った。研究室には城島家だけが残っている。夜遅くに残って調査しているので他の研究員は既に帰宅している。 「ユーノも律儀だよね〜。他の人皆帰ったのに残ってくれるし」 「そこが彼の良いところだよね」 ユウはカップを手近のデスクに置いて、再びディメンションリンクの解析を始めた。ゼロがふよふよ飛んでディメンションリンクに近寄る。 「ディメンションリンクって小さいんですね」 「ん? そう言えばゼロは初めて見るんだっけ?」 「はい、話にしか聞いていません」 ワイルダーネスではマリアやルシファーの騒動で色々とあり、その後もウィル達と衝突することはなかったからゼロは現物を一度も見たことはない。 「そっか、触っちゃ駄目だよ」 「はい」 ユウはゼロの返事を聞くとモニターに視線を戻した。ゼロは触らない程度に近くによってディメンションリンクを観察する。 ――――その瞬間、 「マスターユウ!」 「っ!」 マスターを取ることも忘れて咄嗟に叫んだゼロに反応してそちらをがばっ、と見る。するとそこにはゼロと近くには光り輝いているディメンションリンクが――――、 「ゼロ!」 「さ、触ってませんよ!?」 「ち、ゼロの魔力に反応したか!」 ソウルが舌打ちしてゼロへと駆け寄る。エクスも同時に走り出すが二人とも間に合わない。 「マスターユウ!」 「ゼロ!」 ユウとゼロはお互い手を伸ばすが、その手が触れ合う前に光はユウ達を包み込んだ。 AllenさんクロスSS 魔法少女リリカルなのはLOC 「再び交わる世界」 管理局本局のとある通路。クローセスは歩きながら、レイヴァンとユーノのことを考えていた。 「大丈夫かな、ユーノ」 「心配性ね〜。考えたって仕方ないじゃない」 「でも……」 『クロス』 ルヴィリスと話しているとクリアスゼロが会話を中断させる。そして直後にその理由を悟った。 『魔力反応です。それもかなり巨大な』 「うん、でも局内部で……?」 「とにかく騒ぎになる前に急いだ方が良いんじゃない?」 「うん」 クローセスは一応魔力と気配を消して、巨大な魔力反応がした場所へ走り出した。 「クロス、この魔力……どこかで感じたことない?」 「ルヴィリスもそう思う?」 『クロス、魔力反応が消えました』 「え?」 「とにかく魔力反応があった場所に行きましょう」 しばらく走って魔力反応が消えた地点に行くと一つの部屋にたどり着く。 「ん、かすかに魔力反応が残っている……」 どうやら相手は魔力を隠しきれていないらしく、その部屋から通路まで魔力が漏れていた。魔力を隠すことが苦手なのか、それとも隠すことが出来ないほど巨大なのか……。 「これを辿れば……」 漏れた魔力を辿っていくと廊下で一人の人間を見つけた。 『どうやら魔力はあの人物から漏れているようです』 「そのようだね」 万が一に備えて幾つか投擲ナイフを生成して袖の中に忍ばせて、再び廊下の人物を観察する。後姿だけだが、どうやら見た目は何処にでもいる普通の少年みたいだ。 (どこかで見たような……) ふと疑問に思うと、突如少年は床を蹴った。壁に跳んでそこから更に壁を蹴ってクローセスに急接近する。いつの間にか手には刀身が銀色に輝く剣が握られていた。 「っ!!」 不意を突かれたがそれでも袖に忍ばせておいた投擲ナイフを反射的に少年に投げつける。少年が軽く剣を振ったことで弾いたことを確認するとナイフを順手に持って少年に突き出した。 投擲用のナイフのため些か不安だったが、ちゃんとナイフとして機能してくれたようだ。 少年は剣をクローセスの首元で止め、ナイフは丁度少年の喉にピタリと突きつけられていた。お互い少し手首を捻れば廊下に鮮血が舞うだろう。 「二秒あげる。何者だ?」 感情を感じさせない声で少年がクローセスに問いかけた。二秒なんてほとんど脅迫に近いような制限時間の問いにクローセスは答えない。ただ少年の声に聞き覚えがあったのだ。頭に浮かぶのは一度白い旅人に連れられた世界で、計り知れないものを背負った少年。 「ユウ、さん?」 「1――って、クロー…セス君?」 クロスの言葉に剣を構えた少年――ユウは驚愕の表情で、クローセスを呆然と見つめた。 「まさか君達の世界だったとはね」 「不幸中の幸いだな」 ユウの言葉にソウルが頷く。 廊下でクローセスと再会したユウ達はクローセスにアースラ内の彼に割り当てられた部屋に連れられた。今クローセスはベットに座り、ユウは椅子に座っている状態だ。部屋の中はクローセスとユウ達だけで、傍にはルヴィリスが実体でおり、エクスとソウルも人間形態で立っている。 「……えっと、ユウさん」 「ん?」 「その……貴方と彼女のことは覚えているんですけど――」 クローセスは言葉を切ると少し戸惑いながらちらりとソウルの方を見た。 「……ソウルだ。そう言えばこの姿では初めてだな」 「はい……」 「お前のスピードは中々だったぞ。下手をすればユウを越えている」 「……!」 『クロス。彼はあの時、城島ユウが使っていた魔剣です』 ソウルの言葉に驚いたクローセスに、クリアスゼロが言葉を付け足す。それでクローセスはようやく彼が何者なのか理解した。 「それで、どうしてここに来たの?」 「どうしてって言われてもね〜」 「事故、としか言いようがないです」 「事故?」 ルヴィリスの問いに答えたユウが苦笑いしながら答えて、クローセスがそれに首を傾げた。 「うん。それで、僕の家族と離れ離れになっちゃったんだ」 「えっと、その家族は……」 「君は覚えていると思うよ。何せ、いきなりゼロにナイフを投げつけたんだから」 「あ……」 エクスの言葉にクローセスはレモン色の髪の少年を思い出す。エクスが言っているのは初めて会った際に後ろから声をかけられて咄嗟にナイフを投げつけたことだ。――――忘れたくても忘れられない。ナイフを投げた瞬間に見た、あの子の何が起きたか分からないという疑問とナイフが迫ってくる恐怖が入り混じった表情を。 もしあの時、目の前の金髪の少女がナイフが止めなければ、あの場でガルディアラスを発動しなければならなかっただろう。 「エクス」 「謝らないよ。だって事実だもん」 沈んだ表情のクローセスを見てユウがエクスを諫めるが、エクスはしれっと言いのけた。 「それにしたって、言い方というものがあるだろう」 「……いえ、あれは僕が悪いですから。すみません」 「君が謝ることじゃないよ」 「それでも――――」 「はいはい〜、エンドレスになりそうだからここでこの話は止めましょう」 ルヴィリスがクローセスの言葉を遮ってユウに向く。 「それで、貴方達はこれからあの子を探す、というのでいいかしら?」 「はい。一緒に巻き込まれたのであまり遠くにはいないと思いますけど」 「念話は繋がらないんですか?」 「うん、何だか上手く繋げないんだ」 「多分、並行世界に移動した影響ね」 「……一緒に探しますよ」 『クロス、良いのですか?』 「うん。このまま見て見ぬ振りはできないしね」 「ありがとう、お言葉に甘えるよ」 「それなら幾つかに分かれて探しましょう」 ルヴィリスの言葉にユウ達は三手に分かれた。ユウとクローセス、ルヴィリスとエクス、クリアスゼロとソウルの組み合わせとなる。 「それじゃあ皆、一時間後にはここに集合。見つかっても見つからなくてもね」 他の皆が頷くのを見てから、クローセス達は部屋を出た。 --------------------------------------------------------- 「にしても、君達とまた会うなんてね」 「ええ、僕も驚いています」 ユウとクローセスは談笑しながら廊下を歩く。とりあえずユウ達が現れた部屋から余り離れずに周囲の部屋を探してみるが、ゼロは見つからない。 「……あの、ユウさん」 「? 何?」 「失礼を承知でお聞きします。ユウさんは、その、彼女達には打ち明けたんですか?」 それは以前会った時、クローセス達がユウに向かって言ったこと。【自分のしたい事をしろ。もうちょっと我侭になってみろ】 ユウがルシファーの事をなのは達に話せず胸に秘めていた時、クローセス達が共感を感じてかけた言葉。 ユウは質問の意味を読み取ると、ふぅ、と軽く息を吐いた。 「うん。――――なのは達は僕達の話を聞いた途端、直ぐになんとかしようって意気込んでた」 「それが彼女たちの良いところですよ」 「うん。本当、何で彼女達は自分のことじゃないのにまるで自分のことのように感じられるんだろう」 「……僕のときもそうでした」 そっか、と苦笑して廊下を曲がるとそこには見知った顔が三つ。 「なのは、フェイト、はやて」 「あ、クロス」 三人が小走りをしてこちらに寄ってくる。ユウを見た後、足を止めてクローセスに訊ねた。 「クロス君、この人どちらさまなんや?」 「むぅ……以前クローセス君が言った意味が分かるよ」 誰? と首を傾げるはやてにユウは少しショックを受ける。苦笑いしか出来ないクローセスははやての質問に答えようとしたが、少しどもる。元々管理局内で誰かに会った時ユウ達のことをフォローする為にクローセス達が一緒についているのにユウの説明を考えるのを忘れていた。 「あー、えっと、この人は――――」 「初めまして、城島ユウです。えっと、クローセス君とは以前会ってからの友人関係です」 「あ、そうなんや。初めまして、八神はやてです」 「フェイト・T・ハラオウンです」 「高町なのはです」 知っているよ、という気持ちは押さえ込んで笑顔で返す。頭の中にクロスの声が響いた。 〈ありがとうございます、ユウさん〉 〈咄嗟に思い浮かんだのはこれが限界。何か突っ込まれたらフォローお願い〉 「クロス、ユウさんと会ったのっていつ?」 念話で会話しているとさっそくフェイトが質問をしてきた。ユウは軽くクローセスを見る。クローセスは全部話していいものかと思い、即座にその考えを捨てた。あの時はレイヴァンと白い旅人のせいでごちゃごちゃになったのだ。 今ここで全て話したらあの白い旅人はともかく、ユーノを連れ去った(少し語弊はあるが、この際仕方ない)レイヴァンはかなり嫌われることになるだろう。別にそれが拙いというわけでは無いが、今後のことを考えると一応そういうのは避けたい。 「えっと、以前フェイトと昼食取っていた時、いきなりいなくなったことがあったじゃん。あの時にお世話になったんだ」 「とゆうことは、フェイトちゃんが私達のところに【クロスがいなくなっちゃった!】って大慌てで入ってきたときだよね」 「な、なのは、それは……」 「あの時のフェイトちゃん押さえるの大変やったよ〜。【クロスは誰かに連れ去られたんだ……きっと前会ったトラスとかいう人だ!】とか言って、ザンバーを持って転送ポートに駆け出したんやからなぁ」 自分の知らない間にそんなことがあったのか。どうりで帰った後、フェイトがずっとくっついていた訳だ。なにやら視線を感じて隣を見ると、ユウがにまにまと笑みを浮かべてこちらを見ていた。 「……なんですか?」 「別に。愛されているな〜って思っただけ」 「意地が悪いですよ、ユウさん」 「照れない照れない」 にこにこ笑うユウに何を言っても無駄だと感じたクローセスはフェイト達に向き直る。 「ところで、フェイト達はどこかに行くところだったの?」 「あ、忘れてた! 急がなきゃいけなかったんだ! ごめん、クロスまた後でね!」 「――――ねぇ」 パタパタと足音を立てて立ち去ろうとする三人の背中にユウが声を掛けた。足を止めてこちらを振り向く三人にユウは思っていたことを訊ねる。 「君達はどうして、クローセス君に協力したの? 下手をしなくても自分達に危険が迫るというのに」 ユウは黒い瞳でフェイト達の瞳を射抜く。それは前々から疑問に思っていたこと、何故彼女達はそんなにも――――。 「そんなの決まっています。クロスは友達だからです」 あっさりと答えられてしまう。まるでそれが当たり前のことのように――――。豆鉄砲を喰らった鳩のように目を見開いて驚くユウにお辞儀をして再び走り出す三人。その背中を残された二人は呆然と見ていた。 「全く、驚いたな〜」 「はい」 「友達だからという理由で危険なことを省みずその友達を助ける、か」 「良いんじゃないですか? 彼女達らしくて」 ある感情を抱いてクローセスが隣のユウを見る。 「そうだね」 ――――ユウは悩みが解決したようなすっきりとした笑顔を浮かべていた。 「さて、今度は君の話を聞きながらゼロを探そうか」 「僕の話、ですか?」 「話せる範囲でいいから話してくれると嬉しいかな」 「……はい」 「あ、そう言えば、なのは達にゼロのことを聞くのを忘れてた」 「あ、あはは……」 廊下には乾いた苦笑いが響く。 --------------------------------------------------------- 「う〜〜、はれ? こ、ここは?」 目を覚ました場所は見知らぬ部屋の中。周りを見渡してユウ達の姿が無いのを確認すると、急に孤独感と寂しさが沸いてきた。 「ユウ……エクス……ソウル……」 家族の名前を呟きながらとりあえず部屋から出る。部屋の先の廊下には幾つもの部屋への扉が並んでおり、どうすれば良いのか分からなくなる。 「……マスターユウ」 頼れる人がいないことを実感して余計孤独感が増した。泣きそうな声でマスターの名前を呟く。 「ん? 何だ?」 「うひゃあ!?」 急に後ろからひょいと摘まれて知らない人物の顔の前に持ってこられた。目の前にいた人物は長い綺麗なハニーブロンドの髪をリボンで括っており、ライトグリーンの瞳がゼロの蒼の瞳を捉える。 「あ、あの……えと、その……」 「随分小さいな、お前」 何が何だか分からなく口をパクパクさせるだけで上手く言葉を発することが出来ないゼロに青年が素直な感想を口にする。 「えと……ユニゾンデバイスなので」 「ユニゾンデバイス? ……ああ、そう言えば前にレイに資料を見せてもらったことがあったな」 それだけ言うと青年はゼロを摘んでいた手を離してゼロを解放する。ゼロは軽く怯えた表情で少し青年から距離をとってじーっと観察した。 身に纏っているのは普通の成人男性の服だが、誰かに似ているような気がしてならない。むー、と唸って更に観察しているとある人物と一致した。 「ユ、ユーノさん!」 「ん?」 「ユーノさん!」 知っている人物に出会えて思わず青年に抱きつく。突進にも近いような抱きつきに青年は少しもよろけずゼロを受け止めた。青年はやや気まずそうな顔をしてほお擦りしてくるゼロに声を掛ける。 「悪いが人違いだ。俺の名前はアレン=セーズ。ユーノじゃない」 「へ?」 ほお擦りを止めて、きょとんとした顔でアレンの顔をよく見る。確かにユーノに似ているが、ゼロの知っているユーノはもっと幼かった筈だ。そこまで考えてゼロはようやく自分が勘違いしていると理解した。 「す、すみません!」 「別に構わないが、そんなに似ているのか」 なのはと初めて会った時の彼女の絶叫を思い出しながら呟くアレンにゼロがうんうん、と頷く。はぁ、と軽くため息をついてゼロを見た。 「んで、お前はここで何をしているんだ?」 「何をしている、と言われても…気が付いたらここにいて。僕もどうすればいいのか分からないです」 「さっき誰かの名前を呟いていたよな、ユウとかなんとか」 「あ、はい。僕のマスターの名前です。一緒に飛ばされたんだと思います」 ユウ、としゅんとなって呟くゼロを見て軽くアレンは腕を組む。こいつに関わると碌でもない事になりそうな気がする、という嫌な予感がしたが、放っては置けない、という気持ちが勝った。 「近くにいるのか?」 「多分……」 「よし、一緒に探してやる」 「え…良いんですか?」 「ちょうどこっちも人を探していたついでだ。気にするな」 「あ……はい、ありがとうございます!」 満面の笑顔を浮かべるゼロに多少照れくささを感じて、アレンは軽く頭を掻きながら廊下を歩き出した。 「んで、マスターの名前は?」 「はい、城島ユウです」 「城島ユウ、ね。んでお前の名前は?」 「ゼロです」 「そうか。それじゃあ行くぞ、ゼロ」 「はい!」 アレンは一先ず聞き込みを始める事にし、ゼロはその後をふよふよ飛んでついていった。 --------------------------------------------------------- 「どう? 見つかった?」 クローセスの言葉に部屋に戻ったエクスとソウルとルヴィリスは無言で首を振る。それを見たユウが心配そうに呟いた。 「ゼロ、どこにいるんだろう……」 「とりあえずもう一度探そう」 ソウルが首で廊下を指して一同は再び出る。もう一度ゼロを探しに行こうとしたその刹那――――、 「――――っ!?」 背後から急に表現し難い巨大な力を感じて咄嗟に後ろを振り返った。ソウルとエクスも振り返って戦闘態勢を取る。そこにいたのは―――、 「マスターユウ?」 「ゼ、ゼロ?」 きょとんとした聞き覚えのある声にユウは唖然とするが、ゼロの隣にいる人物を見て直ぐに気を引き締めた。ハニーブロンドの長髪の青年はこちらの瞳をじっと見ている。 「兄さん…?」 「クロス、そいつ誰だ?」 一応アレンは尋ねてみたが、先ほどのゼロの反応からゼロのマスターだということは察しがついていた。 「あ、この人はユウさんで――――」 (潜在能力はそれなりだが…あいつ、何故レイヴァンと同じ力を――――?) 兄の只ならぬ気配を感じたのか、少し怪訝そうなクロスの言葉を聞きながら、アレンはポケットに入れてある《サラマンダー》を握り、いつでも動けるように半身で構える。一触即発。どちらかが動けばすぐさま戦闘になる空気は一人の少年によって破られた。 「マスターユウ〜!」 「って、うわぁ!? ぜ、ゼロ、どうしたの?」 いきなり飛びついてきたゼロによろけながらも、ユウはゼロを受け止める。対してゼロは軽く涙ぐんだ目でユウを見上げた。 「やっと会えました〜」 「あ、うん。ごめんねゼロ。心配かけて」 見知らぬ場所に一人で不安だったのだろうと感じたユウはゼロの頭を軽く撫でる。ゼロはユウにしがみついたままそれを受け入れた。 「……あんたがそいつのマスターか」 呆れた声が聞こえてそちらの方を見ると気が抜けたように半眼でこちらを見ているアレンの姿があった。依然として巨大な力は健在だがそこには緊迫した空気は無い。 「クローセス君、君はさっき兄さんって…」 「はい、彼は――」 「アレン=セーズだ。そこにいるクローセスの兄にあたる」 台詞を取られてやや憮然としているクローセスは放っておいてアレンはユウをまじまじと見る。どこにでもいる一般の少年だ。 「しかし、何故――――?」 「はい?」 「いや、何でもない」 どちらにしても危害を加える気が無いのなら敵対する必要も無いと判断して、首を振った。ユウはアレンのことを不思議そうに見ていたが突如上がった声にそちらを向く。 「あ、貴方は……」 「あー、こんにちわ」 見るとゼロがクローセスを見て怯えていた。クローセスはどう声を掛けたものかと思い、ただ苦笑いしか出来ない。 (まぁ、いきなりナイフ投げられたら当然の反応だよね) なのは達の世界の『自業自得』という言葉を思い浮かべて苦笑する。怯えて服にしがみつくゼロにユウは小さく笑ってクローセスをフォローした。 「ゼロ、彼はクローセス君。以前会ったのは覚えているでしょ?」 「はい、それはもちろん」 「あの時、ゼロは突然攻撃されて怒っているかもしれないけど、あれはゼロも悪いんだよ」 「え?」 「何か見つけても一人で調べようと思わないで僕やエクスに言って、って言っていたのに」 「あ……」 ユウの言葉に以前遺跡の調査の前に言われたことを思い出した。知識も経験も無いゼロじゃあ見つけてもどうこう出来ないだろうからユウかエクスを呼ぶように言われていたのだ。 「という訳で、あれはクローセス君一人が悪いわけじゃないよ。だからゼロもクローセス君と仲直りしてね」 「―――はい」 ユウから離れてふよふよとクローセスに飛んでいく。クローセスの前まで来るとゼロはゆっくり頭を下げた。 「すみませんでした」 「あ、いや。あれは僕のせいでもあるし……」 「いえ、僕が後ろから声を掛けなければ良かったと思います」 見知らぬ人に真正面から誰かと問うのも、もの凄い光景だが気にしないことにした。ゼロは頭を上げるとまじまじとクローセスを見つめる。 「……えーと、何か僕の顔についている?」 「いえ、ただ見ているだけです」 じーっと見てくるゼロの視線にむず痒さを覚える。ここまで真正面から見られるというのは慣れていない、というかほとんどの人間がそうだろう。 見るだけ見たゼロは軽くお辞儀してからユウの元に戻った。とりあえず仲直りは出来たかなという安堵の息を吐く。 「ところでどうして兄さんはここに?」 「ああ、そこのバカ猫をを探していたんだ」 「随分なこと言ってくれるじゃない。それで何の用よ?」 「別に今すぐって訳じゃない。そいつらが帰ってからで良い」 「僕達は席を外した方が良いですか?」 「だから気にするな。別にいつでも良いんだ」 「―――アレンさんって、優しいですね」 少し口を尖らせて言うアレンを見たゼロの感想はその場にいるクローセス達を驚かせた。アレンは半眼をゼロに向けて訊ねる。 「何を根拠に言っているんだ?」 「だって、一緒にユウを探してくれたじゃないですか」 「あれはこのバカ猫を探していたついでだ」 「今だって僕達に気を使わせないように言ってくれたんじゃないですか」 「別にそういうわけじゃ……」 「違うのですか?」 首を傾げるゼロに口をへの字にして黙る。本人はそのようなつもりは無かったが無意識のうちにやっていたのだろう。それをゼロに見抜かれたのだ。 「お人好しとはよく言われるんだがな……」 「優しいって中々言われないよね」 「子供はその人の本当の感情を読み取ることが出来るんですよ」 ユウの言葉にゼロを見る。ゼロの瞳はとても純粋でその瞳に相手の心を映し出すかのように綺麗だ。照れくさくなって少しそっぽを向くと、そこには意外な人物を見つけた。 「やぁ、少年。久しぶりだな」 「えっ!?」 そこにはココアシガレットを口に咥えてこちらに手を振っている白い旅人がいた。名前を思い出そうとするが、前回名前を聞いてないことに気が付く。 「貴方は――――」 「トラスさん? どうしてここにいるんですか?」 「ん? 何、そこにいる彼に届け物だ」 「俺にか?」 不適な笑みをうかべながら彼女はアレンに近づいていく。話しかけるタイミングを失ったが、結果的に名前を知ることが出来たので良しとしよう。 少女はアレンに一枚の手紙を渡し、アレンはそれを受け取って書かれている内容を読んだ。 「…………」 アレンは文字を追うに連れて徐々に眉を寄せていく。ルヴィリスが後ろに回りこんで手紙を読もうとしたが、直後に手紙は燃え上がり、一瞬で灰と化した。 「よし、あのクソ師匠殺そう」 「は、はいぃ!?」 いきなり物騒なことを呟いたアレンに驚く城島家。クローセスはアレンの様子を見て、くっくっ、と悪戯好きな笑みを浮かべている上司を思い浮かべ苦笑した。 「さて、目的も果たした事だ。私は戻るとしよう」 「もう行くんですか?」 「ああ。それと少年、君は私に何か聞きたいことがあるんじゃないか?」 彼女は突然ユウの方を向いて意地悪そうな笑みを浮かべた。どうやら分かってて言っているらしい。 「はい。貴方は並行世界に移動できますよね? それなら僕達を連れてって頂けませんか?」 「君達の世界にか?」 「はい」 少女は手を顎に当ててひょこひょことココアシガレットを動かして考える素振りを見せる。 「ふむ。これでも私は制約を多く受ける身なのだがな」 「そこを何とか……」 「まぁ、以前君達に世話を掛けてしまったしな。良いぞ、連れてってやる」 「あ、ありがとうございます!」 頭を下げるユウに、彼女は既に半分になってしまったココアシガレットを口の中に入れて、更に新しいココアシガレットを咥えて笑う。 「何、君には色々と迷惑を掛けているからな。これで借りを一つ返そう」 「……?」 色々と、という言葉に疑問を覚えてユウは首を傾げた。少女はその様子に少し目を綻ばせる。 「さて、私は待たせている奴に連絡を入れねばならない。それまでは待っていてくれ」 「はい」 笑いながら手を振って、彼女の姿は蜃気楼の様に消えた。彼女を待っている間にこちらも聞きたいことを済ませてしまおう。 「クローセス君、一つ聞きたいんだけど……」 「何ですか?」 「僕の気のせいじゃなかったら君はまだ自分の身の振り方を決めていないように見えるけど……」 「…………」 ユウの瞳がクローセスの瞳を捉える。お互いがお互いを見合って、ほんの数秒。クローセスが軽く息を吐くことで時は動き出した。 「僕はもう決めていますよ。たった一人の女の子を守る、そう誓いましたから」 「クロス〜」 クローセスがユウを見据えて答えると、後ろからフェイト達がやってきた。 「フェイト、もう用事は済んだの?」 「うん。ねぇ、これから予定ある?」 「ううん、特に無いけど……」 「良かった、それじゃあ後で付き合って」 クローセスとフェイトのやり取りにユウは微笑む。クローセスの表情は緩みきって優しい笑顔を浮かべていた。 「どうやら僕の勘違いだったようだね」 「ええ」 「――――ちゃんと、守るんだよ」 「言われなくてもそのつもりです」 苦笑していると、空間を歪ませて白い旅人が帰って来た。 「待たせたな」 「随分早かったですね」 「なに、向こうも二つ返事で了承してくれたからな。話が早くて済んだ」 「そうですか」 「――――それでは、行くとしよう」 少女の言葉に頷き、彼女はそれを確認するとユウの手を握って不適な笑みを浮かべる。 「ちゃんと全員掴んでおくことだ。振り落とされたら次元の狭間に飲み込まれることになる」 彼女の言葉に少し血の気が引き、ちゃんと全員の手を繋いだ。上手く想像出来ないが取り合えず大変なことだということは分かった。 「それじゃあね、エクス」 「またね、ルヴィリス」 『ソウル、お元気で』 「君もな、クリアスゼロ」 「アレンさん、ありがとうございました」 「今度は迷子になるなよ」 「ユウさん」 各々の別れの言葉を聞いていると自分にもクローセスから声がかかる。クローセスは微笑んで、ユウに手を差し伸べた。ユウはそれを自然の動作で握り返す。 「―――頑張って下さい」 「君もね、クローセス君」 「クロスで良いです。皆、そう呼んでいますから」 「―――そう。元気でね、クロス」 ユウは小さく微笑んで、手を離した。 「それでは、行くぞ」 「はい、お願いします」 ユウが頷いたのを見て少女は姿を蜃気楼のように掻き消す。ユウ達の身体も同じように消えていった。 --------------------------------------------------------- 視界が開くとそこはディメンションリンクに飛ばされる前にいた研究室だった。――――が、 「う、うわぁ!?」 確かにユウ達がいた研究室だったが、地面に足が付いていなかった。当然の如くユウ達は重力に逆らえずそのまま床へと叩きつけられる。 「痛っ〜〜、何これ〜」 「本当……」 「とりあえずお前等どいてくれないか?」 エクスとユウがぼやいて、ソウルが口を尖らせる。ユウとエクスが立ち上がると、ソウルも立ち上がって、パンパン、と服を叩いた。 「大丈夫ですか?」 「ん……大丈夫」 ゼロが心配そうに尋ねてくる。どうやらゼロは落ちずに浮いていたらしい。部屋の中にはユウ達を落とした張本人の声が響いた。 〈済まないな、少しばかり座標がずれてしまった〉 「それ、本当ですか?」 愉快そうに響く声に軽く半眼を向ける。口では謝っているがきっとわざとだろう。しかし連れて来て貰ったにも関わらずお礼をしないのも失礼なのでちゃんとお礼を言うことにした。 「ありがとうございました」 〈気にするな。それではな。縁があったらまた会うことになるだろう〉 少女の声はそれだけ言うともう聞こえなくなった。ユウ達が虚空に視線を向けていると扉が開く音がして、ユーノが入ってきた。 「お待たせ……? どうしたの?」 「ん? ああごめんね、急にいなくなったりして」 「いなくなるって、僕がいない間に何かあったの?」 「え?」 「どうやら向こうとこちらとでは時間の進みが違うらしいな」 ソウルの言葉に納得する。結構長い間向こうにいたが、こちらではさほど時間が経っていない。おそらく並行世界というのが原因だろう。 「どうしたの?」 「あ、ううん。何でも無いよ。――――コーヒー持ってきてもらって悪いけど、そろそろ遅いし帰るよ」 「うわ、本当だ……ごめんね遅くまで引き止めて」 「気にしないで」 最後にディメンションリンクが安置されている台座をちらりと見やると、ディメンションリンクはそこには無かった。 「え…ディメンションリンクが、無い!?」 「なんだと!?」 ユウの言葉に驚きながらソウル達がやってくる。ディメンションリンクが置かれていた台座に何も無いことに一同は呆然とする。 「一体、どうして……」 「ん? ユウ、このポケットには何が入っているんですか?」 ポケットを見てゼロが首を傾げる。確かポケットには何も入れていなかった筈だ。ゼロの言葉が気になってポケットを漁った。するとそこから野球ボール程の大きさの宝玉が――――、 「ディメンションリンク……」 「何だぁ、ユウが隠していたんだ」 「もう、驚かさないでよ」 エクスとユーノが胸を撫で下ろして、それぞれ帰りの仕度を始める。ソウルとユウはディメンションリンクを見て顔をあわせた。 「どういうことだと思う、ソウル?」 「分からない。多分ディメンションリンクが俺等を転送する際に自らも転送した、というところだな」 「……このことは黙っておこう」 「そうだな」 ユウはディメンションリンクを台座の上に安置して帰りの支度を始める。そして初めて知ったディメンションリンクの機能に疑問を抱きつつ、帰宅した。 --------------------------------------------------------- 誰もいない廊下を歩く。突然張られた結界に足を止めて前を向いたまま結界を張った人物に声を掛けた。 「何の用だ?」 「君も意地が悪いね。知ってて言っているだろう?」 「さぁな。んで何の用だ?」 アレンの言葉に白い旅人が前に姿を表す。その顔には不敵な笑みが浮かんでいた。 「蒼き隼からの手紙。何故無視した?」 「……する必要が無いからだ。俺が奴の命令を聞くのは基本殲滅だけだ」 「怖気付いたか?」 笑みを浮かべる彼女の挑発を無視して手紙の内容を思い出す。―――レイヴァンと同じ能力を持つ少年の力量を測れ―――、色々と長い文が書いてあったが要約するとそんな感じの内容だ。ルヴィリスに見られそうになったので、直ぐに燃やしてしまったが。 「無視とはつれないな」 「ほざけ。大体あいつは何者だ? レイヴァンと同じ能力なんているもんなのか?」 「実際にいるから信じざるを得ない。私も驚いている―――勝てそうか?」 挑発的な笑みを浮かべる少女に軽く苛立ちを覚えつつ、アレンは自分とユウの力量を比べてみる。 「あいつはまだ力が制御出来ちゃいない。あの状態なら楽勝だな……ただ制御できるようになると話は別だ」 「ほう……珍しいな。君が弱気とは」 「あいつは自分の制御できる範囲で力を抑えている。だがもし全開の力を制御できるよう状態で戦ってみろ。間違いなくこの建物は消滅するな」 「まぁそれ程の力は有しているからな」 それに、とアレンはユウをマスターと呼んでいたレモン色のユニゾンデバイスを思い出す。 「あいつの傍にいた、ちみっこいのは何だ? 下手をすればマスターの魔力を上回っている」 「あの少年はどうやら力を分け与えられているようだな。大方大きすぎる力を二つの入れ物に分けたというところか」 少女の言葉になるほど、と頷く。力が大きすぎては危険人物と見なされて色々と動きづらくなる。しかし器を二つにしてそれぞれに分けてしまえば力は減り、カモフラージュすることが出来る。必要な時は戻せば済むことだし。 「取り合えず、戦う必要が無いから戦わなかった。そうクソ師匠に言っとけ」 「ふむ、それではそのように伝えておくとしよう」 「ああ、あと無闇やたらに呼ぶな」 「おや、彼らは偶然来たのだがな」 「とぼけんな、あれはお前がやったんだろうが」 半眼を向けるアレンに彼女は楽しそうに笑う。ディメンションリンクに細工をして彼らを転送したことがばれていたようだ。 しかし彼女自身も驚くことがあった。本来転送装置は転送される物質はともかく転送させる装置は残るはずなのだが、そのまま一緒に転送されていた。不思議なこともあるものだと軽く流していたが。 クスクス笑うと彼女は蜃気楼の様に消え失せ、結界も解除される。 アレンは虚空を見つめてから歩き出す。あの少年がどのようになろうと知ったことではない。しかしあの命令が出た以上は何かに利用するつもりなのだろうか……、まぁそんなことは無いだろうが、生憎クラインは何をするか分からない男だ。断定は出来ない。 「しかしまぁ……」 もしまた出会う機会があったら、あの少年の事情を聞くのも面白そうではある。アレンはどこへ行くわけでもなく廊下を歩いた。 「ところであいつあの食べ物気に入ってんのか?」 「中々上手いぞ。君も一本どうだ?」 「いらねぇよ! つかさっさと帰れ!」 ----後書き---- カークス:「皆さん読んでいただきありがとうございます。Allenさんいかがでしたでしょうか?」 ゼロ :「色々とキャラを把握しようとAllenさんの作品を読みながら書いてはいましたが、まだまだキャラの特性を掴めずにこのような形となってしまいました」 カークス:「申し訳ありません」 ゼロ :「にしてもかなり長くなりましたね。30KB近くになったのはこれが二回目ですか?」 カークス:「まぁね。ユウとクロス、エクスとルヴィリス、ソウルとクリアスゼロ、アレンとゼロでの会話もして見たかったから」 ゼロ :「何でこの組み合わせなんですか……というかソウル達は何を話したんですか? 何か仲良くなっていましたけど」 カークス:「それについては短すぎたからこちらを参照。会話文オンリーです」 ----エクスとルヴィリス---- ルヴィリス「ねぇ、エクスって人をからかったりするの好き?」 エクス 「突然どうしたの?」 ルヴィリス「ん〜、何かねそんな感じがしたの。身近な人をからかったりしてそう」 エクス 「ん〜、当たっている、かなぁ……ユウとかソウルとかゼロとかからかうと面白いんだよ」 ルヴィリス「やっぱりねぇ、なんとなくそんな感じがしてたのよ」 エクス 「そういうルヴィリスだって。クローセス達のこと結構弄っているでしょ」 ルヴィリス「あれは私の愛情表現よ」 エクス 「私のも同じだもんね〜」 ルヴィリス「…………」 エクス 「――――」 ル&エ 「「ぷっ……」」 エクス 「なんか私達気が合いそうだね」 ルヴィリス「そうね」 ----ソウルとクリアスゼロ---- ソウル「全くどこにいるのやら」 クリア『見つかりませんね』 ソウル「ああ。しかし、何と言うか……」 クリア『どうしたのですか?』 ソウル「……君は気を張りすぎじゃないか? それでは疲れるだろう」 クリア『私はいつも通りです。それを言うなら貴方こそ少し疲れているのでは?』 ソウル「俺はこれが普通だ」 クリア『――――』 ソウル「…………」 クリア『お互い、苦労するようですね……』 ソウル「そうだな……」 カークス:「というわけで気が合うかなと思って」 ゼロ :「…………。と、ところでクラインさんは何故このような手紙をアレンさんに送ったんですか?」 カークス:「並行世界の住人とはいえ混沌の王を持つユウは何らかの使い道があるかも考えた、と思っている。まぁ暇つぶし程度にだろうけど」 ゼロ :「それくらいにしておかないと、深く入りすぎることになりますからね。それとディメンションリンクのことは?」 カークス:「良い機会だからここで新しい機能が見つかったことにした。この機能は本編ではかなり重宝するんだけどどこで出せばいいのか迷ってたから助かりました」 ゼロ :「なるほど、そういうことですか。Allenさん、申し訳ありません。クロスさん達の特性を掴めず、このような結果となってしまいました」 カークス:「不満等々ありますでしょうが、どうぞ今後もよろしくお願いします。また書く機会があれば次こそはちゃんと書けるようにしたいです」 カ&ゼ :「「それでは、失礼します」」 |