魔法少女リリカルなのはLOC 第2話「脱出」 「はああぁぁっ!!」 ユウが一声を上げたと同時に剣を振り下ろしガーディアンを1体、一刀両断した。 「次!」 『ユウ、後ろ!』 「おっと」 ユウは振り向きざまの一撃でガーディアンの上半身と下半身を分ける。 『ちゃんと後ろにも気を配る』 「分かってるよ」 「凄いものだな……」 ユウの戦闘を横目で見ていたクロノ達は驚いていた。彼らもそれぞれガーディアンと戦っていたが一体一体の戦闘能力が高く、意外と苦戦していた。魔法は使ってこないものの体術だけではB〜A−クラスだ。 しかしクロノ達もユーノを除けば全員AAAランク以上である。ユーノも防御と補助に関してはAAAを越えている。簡単にとはいかないが着実に数を減らしていた。 「デュランダル!」 『Icicl brade』 クロノはデュランダルの先から魔力で作った氷の刃でガーディアンに切りつける。 ガキィィィン! が、甲高い音を立てて、ガーディアンの持つ大剣によって阻まれた。阻まれた事に気づいたクロノはさらに逆の手に持つS2Uをガーディアンに向ける。S2Uの先端部に魔力が集中し、 「ブレイズ……!」 『Cannon』 S2Uの先から生まれた光の奔流にガーディアンが飲まれる。砲撃の光が消えた後には上半身が消滅し、下半身だけとなったガーディアンが残っていた。 「デュランダル、後どれくらいだ?」 『あと17機程です』 「よし、片付けるぞ!」 『Ok,Boss.』 『サー、相手は魔法が使えません。間合いを取っての攻撃が有効と思われます』 「うん、ありがとうバルディッシュ」 フェイトは間合いをとって目の前のガーディアンにフォトンランサーによる攻撃を仕掛けようとする。連続で魔法を叩き込めば終わると思っていたため、魔法のコントロールに集中した。 ――――だがそれが仇となる。フェイトは魔法のコントロールに集中したため後ろにいるガーディアンに気がつかなかった。 『サー!!』 「っ!!」 バルディッシュの声でようやく反応したが、後ろを振り向いた時には既にガーディアンが大剣を振り下ろすところだった。 回避も防御も遅い。やられると思いすぐに来る痛みに耐えるため目を瞑るが、来るはずの痛みはいつまでたっても来なかった。 恐る恐る目を開けるとガーディアンの両手が切り飛ばされていた。そして傍には銀色の刀身の剣を切り上げた状態のユウがいる。すぐにユウはガーディアンを蹴り飛ばし魔法を発動させた。 「はぁっ!」 『Shining saver』 蹴り飛ばした状態から剣を振って金色の魔力の刃を飛ばしガーディアンを切り刻んだ。咄嗟の出来事に唖然としたフェイトにユウが落ち着いた様子で声を掛ける。 「後ろにも気をつけて。あとまだ敵はいるんだ、ぼうっとしないで」 「う、うん……」 『さっき自分も危なかった癖に〜』 「うるさいな」 ややぶすっとした様子でエクスカリバーの言葉に返しながら次のガーディアンに向かう。ユウの忠告を受けてフェイトは先ほどまで対峙していたガーディアンの存在を思い出して慌てて前を向く。 しかし先ほどまで対峙していたガーディアンは体を左右に断たれて倒れていた。ユウは先ほどの救助の直前にフェイトと対峙していたガーディアンを切り、フェイトの救助に向かったのだ。 先ほどまで自分が一体倒すのに時間がかかっていた相手をユウは一瞬で2体も倒したのだ。フェイトはその事実にただ驚愕する。 『サー。まだ敵は残っています』 「あ……うん。ごめんね、バルディッシュ……」 頭を振って、頭を切り替える。 驚く事はたくさんあるけど、今は目の前の敵を排除するのが先だ。 ズガァァァン。 はやての一撃がガーディアンの体を貫く。 「よし……シグナム、あとどれくらいおるか分かるか?」 「目視しただけですが、後14体ぐらいかと思われます」 「分かった。シグナムはフェイトちゃんの援護に行ってあげて。さっきも危なそうやったし」 「しかし、主はやて……」 「私のことは大丈夫やから、ね?」 はやては部屋に入る前に自分を心配にさせないために笑顔で答えた彼女の騎士達のように笑顔で答えた。シグナムははやての笑顔を見ると反論できず、首肯する。 「分かりました。ですが、危なくなったらすぐにお伝えください」 「うん。おおきにな」 「では主はやて、また後ほど」 「気ぃつけてな」 「はい。主もお気をつけください」 そう言うとシグナムはフェイトの所へ行った。 「よし! 帰ったらリインのこともあるし、頑張らんとな!」 はやては気合を入れて周囲の敵を探す。しかし、探しているうちにふと疑問が頭を過ぎった。 なんだかガーディアンの数がシグナムが言った数より多い気がする―――シグナムがかぞえ間違えたのか? いや、シグナムはそんなミスはしない。そしてもう一つ妙なことに気がついた。ユウという少年が起きてから出てきたガーディアンが出てきた穴の他にもう1つ穴があった。 誰か強力な魔法を使ったのか? いや、そんな衝撃は無かった。だとすると―――、 数が増えているガーディアン、1つ増えた穴。それらと関連することは………まさか!? とはやては顔が青ざめていくのを感じながら、急いでユーノに念話を繋いだ。 〈ユーノ君! 今ガーディアンが何体いるか、かぞえて!〉 〈どうしたの? はやて?〉 〈ええから、急いで!〉 〈わ、分かったよ〉 ユーノとしてもガーディアンとの戦闘を行いながら魔力数を探知するのはかなり厳しいのだろう、答えが返ってくるまで時間がかかった。 〈はやて、解析結果でたよ〉 〈どうや?〉 〈22体だったけど、どうしたの?〉 ユーノの言葉に歯噛みするはやて。悪い予感が的中してしまったのだ。少しずつだが確実にガーディアンの数が増えている。少なくとも分散して叩いたガーディアンの数を上回る量のガーディアンが出て来ている。 ガゴォォォォォォン! そう考えているうちにそばの壁が大きな音を立てて崩れた。はやてはそこに振り向くとそこからガーディアンがまたぞろぞろと出てくる。 はやてはその場から後退しつつ、今度はクロノに念話を繋いだ。 〈クロノくん、直ぐにロストロギアを持ってここから撤退するんや!〉 〈どうしたんだ、はやて?〉 〈壁からガーディアンが沸いてきている! このままじゃこの部屋飲み込まれるよ!〉 〈なんだって!?〉 クロノから驚きの声があった後、一瞬念話が切れたがすぐに繋がった。恐らく、敵と交戦に入ったのだろう。しかし、直ぐに念話が繋がったということはまだ余裕があるということだ。 〈くっ、数に押されるとこちらが不利か……〉 〈クロノ君、急いだ方がええ〉 〈だが、ロストロギアをどうする? あれから少年が出てきたんだ。下手したら僕らもどこかに飛ばされるかもしれないぞ〉 〈っ! そっか、どないしよう……〉 「そこの白い帽子を被った女の子! 伏せて!」 念話の最中に自分にかかる声がしてはやては即座に伏せた。その直後、はやての頭上を光球が6つほど通り過ぎる。そして光球はガーディアン2体に当たり、ガーディアンを貫いた。 ガーディアンはそのまま音を立てて崩れる。はやてが呆然としていたところにユウが駆けてきた。ユウが来たのを見てはやてはユウに向き、少し怒った感じで口を利いた。 「いきなり危ないんちゃう?」 「ごめん、でも君の方が危なかったよ」 「え?」 「さっき君の方にガーディアンが向かってたから。それなのに気づいてない様子だったからね……」 「そうなん? そらごめんな」 軽く謝りながら、はやては先ほどクロノと話した内容を思案するが、目の前の少年を見てポンと頭に考えが浮かんだ。 ガーディアンを簡単に倒せたぐらいだから、かなりの力を持っているはずと考えたはやては、 「なぁ、少しの間私達を守りながら戦えるか?」 といきなり少年に質問した。ユウは突然の質問に眼をパチクリさせたが、直ぐに平静を取り戻す。 「時間にもよるけど、数分だったらもつと思う」 「よし。ほんならちょう待ってな」 確認を取ったはやては急いでクロノに念話を繋ぎなおした。 〈クロノ君、ロストロギア封印に必要な人と時間を教えてくれる?〉 〈ん? 必要なのは僕とユーノとはやてで大丈夫だ。封印は一時的なものだから5分あれば大丈夫だろうけど……どうする気だ?〉 〈うん。実はな私らは封印に専念して、その間はシグナム達が私らを護衛するってのを思い浮かんだんやけど……〉 〈それじゃあ、彼女達が危険じゃないか?〉 〈それは多分大丈夫。数で一気に来られたら厳しいけど、一体ずつやったらシグナム達で何とか出来る。それに突然出てきたあの人も結構強いんやし、利用しない手は無いと思うよ〉 〈……分かった。戦闘は彼女達に任せて僕らは封印をするぞ〉 〈うん〉 はやては念話を切った後ユウに向かった。 そして壁からガーディアンが出てきていること。このまま戦っていたらまずいこと。封印組と戦闘組に分かれることを話した。 「それでな今から5分間、私と黒い髪の人それとあの翠色の鎖出してる人が、あのロストロギアを封印するからその間守ってくれへんか?」 「分かった。なるべく急いでね」 「うん、それまでしっかり頼むで」 はやてはユウと一緒にロストロギアのある台座に向かう。クロノから念話を受けたのか他のみんなも台座に来ていた。 「はやて、大丈夫?」 「大丈夫やよ、ヴィータ」 はやては心配するヴィータに微笑んで答える。 「よし、全員揃ったな。これから念話で話したとおりの作戦を行う」 「うん! 分かった」 「封印が終わるまでちゃんと守るよ」 「任せとけ!」 「主はやてには指一本触れさせません」 みんながデバイスを構え気合を入れる。ガーディアンを適度に牽制しつつ、その様子を見守っていたユウが軽く微笑む。不意に先ほどエクスと呼ばれた剣が声をかける。 『仲が良いんだね』 「うん。あんなふうに一致団結できる仲間はそうそういないよ」 『あの人たち、ユウと気が合うんじゃないかな〜?』 「どうしたの、急に?」 『別にー。そう思っただけ』 「そう……気が合えばいいけど」 『合うよ。彼ら、アルやマリアちゃん達とどこか似ているから』 「性格は全然似てないけどね」 『そりゃそうだよ。アルみたいのが2人も3人もいたら大変なことになるよ』 「ははっ、違いない」 エクスと雑談が終わった頃にクロノが作戦開始の声をあげた。 「よし、行くぞ!」 封印組はロストロギアの周りを囲み封印を始め、戦闘組は各自のデバイスを構えてガーディアンに向かっていった。 しかしガーディアン達はクロノ達が封印をしているところを見るとユウ達を無視して一斉にクロノ達へ向かった。だがそれをユウ達は見逃さない。向かっていくガーディアンを確実に潰していった。 そして5分後―――。 「よし、封印完了!」 クロノから封印終了の声が上がり、それを聞いたみんながクロノ達の下へ駆け寄った。 「終わりましたか」 「うん、みんなのおかげで特に怪我も無かったよ」 「さぁ、こんなところから早く出るぞ」 「うん!」 クロノ達は部屋の出口に向かって走った。ガーディアン達が道を塞いだが、ユウとシグナムが先陣を駆けて、斬り捨てていく。 「なかなかやるな」 「貴女も」 互いに賞賛の言葉を送りながら更に前に進む。部屋を出た後クロノ達はそのまま遺跡の出口へ向かった。ガーディアン達もまたクロノ達を追いかけて来る。クロノは走りながらエイミィに連絡を取った。 〈エイミィ、クロノだ。聞こえるか?〉 〈はいはい。聞こえるよ、クロノ君〉 〈ロストロギアの回収に成功した。しかし今ロストロギアの守護兵達に追われている。僕達が遺跡を出ると同時にアースラに転送してくれ〉 〈分かった……あれ? クロノ君、なんか反応が1人多いんだけど……〉 〈ああ、後で説明する。取りあえずそいつも一緒に転送してくれ。それと僕らが転送した後すぐにアースラはこの次元世界から離脱するんだ〉 〈了解。それじゃ待ってるよ〉 〈ああ〉 そうこうしているうちに出口が見えてくる。ガーディアン達は間に合わないと悟ったのか、持っていた大剣をこちらに投げてきた。ズウン、ズウンと投擲された大剣がクロノ達の走った後を追いかけるように抉っていく。 「まずい! みんな急げ!」 「なのは!」 クロノが皆を急かすが普段、運動が苦手ななのはが出遅れてしまう。フェイトの声につい後ろを振り向くと既に大剣が目の前に迫ってきていた。大剣がなのはに当たり、なのはの体が両断されようとする直前――、 「なのはぁぁぁぁぁ!!」 ――ユーノがなのはと大剣の間に無理やり入り、ラウンドシールドを展開させた。 大剣はシールドに当たり、弾かれる。しかしその後すぐに何回も同じ衝撃が来た。他のガーディアンが投げた大剣が次々と当たっているのだ。次第にシールドにはひびが入っていく。 「ユーノ君!!」 『Protection.』 なのはがユーノに近寄り、プロテクションを張る。 「なのは……!」 「ユーノ君、頑張って……」 「……うん!」 しばらくそれが続いたあと、衝撃が止んだ。ガーディアンが投げた大剣をすべて防いだのだ。ユーノとなのははその隙に出口へと走り出す。見ればクロノ達が待っていた。 「なのは、ユーノ! 急いで!」 フェイトが焦って呼んでいた。ユーノとなのはがみんなに追いつきまた走り出す。そして出口を抜けた。 抜けた瞬間、転移が始まりクロノ達はアースラへと戻っていく。アースラはクロノ達を全員回収した後その星を離脱した。 ----後書き---- エクスカリバー:『色々と反省点はあるだろうけどその前に』 カークス :「皆さん読んでいただき本当にありがとうございます」 エクスカリバー:『補足が1つあります。この小説はなのはの重症事件前の話になることです』 ユウ :「誠に申し訳ございません」 エクスカリバー:『さて、今回で2回目なんだけど……なんでこんなに読みづらいの?』 カークス :「うぅ、すみません。なんだかそれぞれの人の視点で書いていったらこうなっていました」 エクスカリバー:『最初クロノで次がフェイト、次がはやてで最後がみんな?』 カークス :「そんな感じですね」 エクスカリバー:『なんというか…面倒な書き方してるね〜』 カークス :「仕方ないじゃん!結構戦闘描写って難しいんだよ!」 エクスカリバー:『言い訳しない。それにもうここに出ないほうがいいんじゃない? 後書きの司会なら私とユウで出来るよ』 カークス :「や、だってここ以外に出るところないし。というか出たいし…」 エクスカリバー:『というか出る出ない以前に作品を一話全部書ききれるぐらいの集中力を見せて』 カークス :「そうなんだよな〜そこが問題なんだよな〜…後半かなりグダグダになってたし…」 エクスカリバー:『そうだよね、というか【戦闘中なのに話してていいのか?】という疑問が来そうだよね』 カークス :「そこについてはどうしようもないね」 エクスカリバー:『適当だね〜。ところで何でデバイス+私の台詞に二つの言語使ってるの?』 カークス :「魔法を発動する際に技名をカタカナだけだとなんだか違和感あるから、技名は英語で記すことにしました」 エクスカリバー:『単語が合っているばいいけどね』 カークス :「正直オリジナル魔法とか使ってるからね。幾つか間違ってるものもあるかもしれない。というかクロノのアイシクルブレードに関しては造語です」 エクスカリバー:『ええ〜、駄目じゃんそれ。次はアースラ又は時空管理局本局内部の話……どんな話にするの?』 カークス :「とりあえず紹介を少し混ぜてほのぼのしたやつが書ければなと思います。」 エクスカリバー:『ネタバレになるけどまたすぐに戦闘シーン入るんでしょ?』 カークス :「まぁね。でもそれは次の次になると思う。そこまで重要な戦闘じゃないし」 エクスカリバー:『一応重要でしょ? 他の作品を見てもオリキャラが出る作品は大体同じ道を通ってるし』 カークス :「重要なのか? ……それもだけど他にはお前とユウの解説も入れなきゃダメだしね」 エクスカリバー:『あ〜、そういやそうだったね。ソウルのことも出すの?』 カークス :「その名前出すなよ……一応出すつもりではいる」 エクスカリバー:『そっか……まぁ、これ以上話の内容に触れると作者の首を絞めそうだからこれくらいにしようね』 カークス :「この作品に対しての感想があれば幸いです。もっと面白い文が書けるように精進しますのでよろしくお願いします」 エクスカリバー:『それではいつになるかは分かりませんが、またお会いできる日を楽しみに待っています』 エ&カ :『「それでは、失礼します」』 |