魔法少女リリカルなのはLOC
第7話「贈り物」




「ゼロの魔力なんだけどね、少し変わった所があるんだよ……」
「変わったところ?」

マリーが顔を顰めながらメモを見てユウ達に話す。

「そう、属性なんだけど…例えばフェイトちゃんで言うなら雷、クロノ執務官でいうなら氷でいずれも今までに確認されているんだけどゼロのは初めてのケースなんだよね」
「どんな属性なんです?」
「うーん、一言では言えないよ。データで調べてもブラックボックスしか出ないから、とりあえずゼロが初期状態で使える魔法を実行してみないと分からないんだよね」
「そうですか…ゼロ、君何したの?」
「な、何もしてないですよ!」

少し困った表情のユウにゼロは慌てて否定した。エクスがそれを庇うようにユウに言う。

『ゼロの魔力はユウのリンカーコアから分けられたんじゃないの?』
「そうだけど………あぁ、なるほどね」
『そういうこと』

エクスの言葉にユウは何か納得したようだが、他の皆は分からなく首を傾げた。

「とりあえず、この後1時間でいいからゼロを借りてもいいかな?」
「僕は別に構いませんよ」
「と本人も言っているのでいいですよ」
「ありがとう、それで次にゼロに分けたユウ君の魔力なんだけど……」

その話題が出た途端、皆の視線が集中した。ユウの魔力を上層部に知られないようにゼロを作り出したのだ。気にならない訳が無い。

「なんとかユウ君の魔力はS+まで減らすことが出来たよ。ゼロの耐久性を考えるとこれが限界だったね」

皆に安堵の表情が浮かんだ。とりあえずはこれで上層部へ知られても預けられる危険性は無くなった。そこでなのはがマリーに質問した。

「それじゃ、ゼロ君はどれくらい魔力を持っているんですか?」
「ゼロはSSランクの魔力が使えるようになっているよ」
《SSランク!?》

一同が驚愕の声を上げた。そこまで魔力を詰め込めるなんて普通じゃ考えられない。

「あ、でもゼロは魔力の扱いがあんまり上手じゃないだろうからリミッターを付けていて最初はA+までだよ」
「そうなんだ……魔力の扱いが上手になれば徐々に外していくってことですか?」
「そう。ちなみに緊急時のリミッター解除はクロノ執務官とユウ君の2人に任せるから」
「了解した」
「分かりました」

クロノとユウが同時に頷いた。そこでソウルがユウに話し掛けた。

『ユウ、魔力が減ったということは制御もしやすくなったんじゃないか?』
「ん?そうだね……ふっ!」

ユウは左手からシグナムとの戦いの時に使った黒い魔力刃を出した。長さはソウルと同じくらいである。ただシグナムとの模擬戦の時より刃が若干細い。

「うん、細くはなっているけど扱いやすくはなっているよ」
『そうか』
『ねぇねぇ!そうしたら私達のあれも出来るかな?』

あれ?と首を傾げるなのは達を端にユウはエクスの元気な声を微妙な声で返す。

「あれか……問題ないだろうけど、僕の魔力を使うじゃん」
『その点は大丈夫!今まではユウの魔力が多かったから使っていただけで私達の魔力だけでも十分可能なんだよ』
「ほほう……つまりエクス達は自分達の魔力は使いたくないからわざと僕の魔力を使っていたってこと?」
『そういうこと!』
「…………はぁ」

はっきりと言い切られて怒るに怒れない状態のユウはため息をつき、許可を出した。

「それじゃ、やってみようか」
『うん!』

ユウは右手を前に出し、声を上げた。

「エクスカリバー、ソウルイーター!ヒューマンモード!」
『『起動』』

エクスカリバーとソウルイーターが白と黒の光を発した。なのは達は手で目を庇いながらその様子を見守った。光が収まった時にはユウのそばに少年と少女が1人ずつ立っていた。
少女の方はショートカットの金髪、瞳の色は水色で服はユウの服に白をベースにしただけだ。首の付け根に金色の玉がはまっている。少年の方はロングヘアー(ストレート)で漆黒の髪、瞳は黒だがユウとは違いどこにでもいる一般人の色だ。服は少女と逆でユウの服に黒をベースにしたものとなっている。首の付け根には漆黒の色の玉がはまっている。顔つきは少女の方は活発な感じがでており、少年は大人びておりどちらかというと男性より女性に近いものだ。背丈は少女の方はなのは達ぐらいで少年はユウと同じくらいだ。

《…………》

一同何があったのか分からないという顔をしていた。その中でパチパチと小さな拍手が鳴り響いた。

「おおー!」
「凄いですぅ!」

ゼロとリインだ。2人は目をキラキラさせながら少年と少女を見ていた。すると少女が口を開く。

「うん、大丈夫大丈夫!特に問題ないよ!」
「ならば普段からこの状態でいることにしよう」
「僕は別にいいけど、リンディさん達がなんていうか分からないよ」
「おい、ユウ……」

痺れを切らしたクロノがユウに問い詰める。

「一体どういう状況なんだ?彼女らは誰だ?」
「察しはついていると思うけど、彼らはエクスとソウルだよ」

ユウが少年達に目で挨拶するように促した。少女は元気に少年は静かに挨拶した。

「改めてこんにちは。聖剣“エクスカリバー”だよ!この姿のときはエクスって呼んでね」
「魔剣“ソウルイーター”だ。この姿の時はソウルと呼んでくれ」
《はい?》

一同から間抜けな声が出た。ユウ達は無理もないかと苦笑している。ユーノが信じられないといった様子でユウ達に訊く。

「えっと、デバイスが擬人化するなんてそんなことできるの?」
「エクス達はデバイスじゃないけどね……実際に目の前にいるからできるとしか言えないよ」
「それでも信じられないぞ……」
「原理は簡単だ。多少ユニゾンデバイスと似ているところがある」

クロノの言葉にソウルが答えた。ソウルはユニゾンデバイスの一部の技術をインテリジェントに入れたような感じだと説明する。その説明を受けたなのはが少し期待に満ちた表情でソウルに質問した。

「そ、それじゃあレイジングハート達にもその技術を応用すればソウルさん達みたいに人になれるんですか?」
「理論的に可能だ。しかし開発部にかなり長い間徹夜させることになるがな」
「あうう、そうですか……」

残念そうななのは達を見て、ソウルは気まずくなった。

「あー、だがな。俺らが協力すれば短時間で出来ないことも無い」
「本当ですか!?」
「ああ、ただしあくまで試作品という形になるだろうがな」
「それでも嬉しいです。ありがとうございます!」

満面の笑顔を浮かべるなのはにソウルは頬を掻きながら照れくさそうにそっぽを向いた。マリーが説明を続ける。

「いいかな?それと、ゼロとリインは一応別の入れ物にもしまえるようにしたから。リインはシュベルトクロイツの中で、ゼロのはこっちで作らせて貰ったよ」

マリーがポケットから銀色のブレスレットを取り出し、ユウにこれねと渡した。

「ありがとうございます」

ユウはマリーにお礼をいい、ブレスレットを受け取ると何も巻いていない左手首につけた。

「これでゼロ達が中にいると、ユウ君達がゼロ達のデバイスを使えるから」
「へぇ〜」
「これくらいかな。詳しいことは後でデータにして渡すね」
「はい、お願いします」
「それでリインの説明なんだけど……」

マリーが続いてリインの説明を始めた。




リインの説明が終わった後、マリーはメモから目を離した。

「とりあえずこんなところね」
「「ありがとうございます」」
「どういたしまして」

はやてとユウのお礼にマリーはにっこりと微笑んだ。そしてゼロに向き直った。

「それでゼロの初期魔法を見てみたいからいいかな?」
「はい。それじゃマスターユウ。行ってきます」
「うん、後で迎えに行くから」
「いってらっしゃいです」
「また後でねー!」
「気をつけてな」
「行って来ます」

そしてマリーと何人かの研究員と共にゼロは実験室へと向かった。製作室に残っていたアースラメンバーもぼちぼちと戻り始めて、部屋に残ったのは遺跡メンバーとリオ、エイミィだった。

「さて、僕達も一旦出ようかな」
「あ、あのユウ……」

製作室を出ようとしたユウをフェイトが呼び止めた。

「ん、何フェイト?」
「えっとね」

見ればフェイトは後ろに何か隠しているようだった。フェイトはユウに後ろに隠していたものを差し出した。それは何かのケースだった。

「これは?」
「中にチップが入っているの。それを使えばバリアジャケットを生成することができるんだよ。前、シグナムとの模擬戦の時に着ていなかったでしょ。だから…」
「基本バリアジャケットが無いと不便な時があるんだ」
「それに防御力を高めることもできるんだぜ。防御が薄いからちょうどいいじゃねぇか」

ユウの問いにフェイト、クロノ、ヴィータと答えた。ユウはふーんと思いつつ、あれと疑問が浮かんだ。

「シグナムさんとの模擬戦って昨日だよね?それに結構遅い時に……よく間に合ったね」
「ああ……それはね…」

ユーノが恨みがましそうにクロノを見たが、クロノは何食わぬ顔でそっぽを向いた。

「クロノ君がユーノ君に頼んだんやよ」
「ちなみに頼んだ内容は“徹夜でバリアジャケット生成チップを完成させろ”らしいぞ」

はやてが説明して、ヴィータが呆れた様子でため息をついた。知らない間に自分の為にユーノに徹夜させていたらしい。ユーノが聞いたらそんなことないと否定しそうだがユウはなんだか申し訳なさで胸がいっぱいになった。よく見ればユーノの目の下には隈が出来ていた。なのはがユーノに近づいて心配そうに声を掛けた。

「大丈夫、ユーノ君?」
「何とかね」
「ごめんね、私も手伝えれば良かったんだけど……」
「え?」

突然のなのはの謝罪にユーノは目を丸くした。

「え、なんでなのはが謝るの?」
「だって、私最近ユーノ君の役に立ててないから……遺跡でも助けてもらったし、バリアジャケットのことも任せっきりだし……」

しゅんとするなのはを見たユーノは微笑を浮かべてなのはの頭を撫でた。

「え!?ゆ、ユーノ君?」
「なのははとても役に立ってくれているよ。遺跡での封印の時にも僕達のこと護ってくれたじゃん」
「でも、それは皆がいたから……」
「それでも護ってくれたことには変わりないよ。なのははね、少し気にしすぎなんだよ」
「そ、そうかな…?」
「そうだよ」
「私、ちゃんとユーノ君の役に立てている?」
「立っているよ、それはもう十分」
「……うん、分かった。でもユーノ君、あんまり無理はしないでね」
「うん、なのはもね」
「クロノ君、あんまりユーノ君に無理言わないでね!」

突然振られたクロノはやれやれと言った風に答える。

「僕としてはさっきの以外は無理を言っているつもりは無いんだがな……了解した」

クロノの返答に満足したのか、なのはは笑顔で頷いた。はやてはフェイトの持っているケースに目を移した。

「なぁなぁ、一体どんなのなんや?見せてくれへんか?」
「別にいいけど……」

フェイトからケースを受け取るとチップが一枚入っていた。

「ゼロが入るためのブレスレット貰ったでしょ。それにとりつける部分があると思うからそこにつけて」

ユーノの説明を受けてチップをブレスレットに付けた後、左手を前に出した。

「自分が着るバリアジャケットを想像して。決まったら生成されてそれが今後君のバリアジャケットになるよ」

ユウは目を閉じて、5分位たった後声を上げた。

「バリアジャケット生成」

ブレスレットから光が発され、ユウの体を包み込んだ。光が弾けユウがバリアジャケットを身に纏った状態でいた。
バリアジャケットはズボンはクロノのを灰色にした感じで、上は白いシャツに黒の長袖ジャケットを羽織っている。ジャケットにも所々白いラインが入っている。黒のグローブを両手にしており靴はやや黒い色となっている。

「おおー」
「かっこいいです」
「なかなか似合ってるじゃないか」
「あ、ありがとう」

口々に褒められてユウは照れた。

「チップはあくまで初めて生成するときだけに必要なだけだから、次からはいつでも生成できるよ」
「うん、分かった」

ユーノに言われてチップを外し、ケースにしまった。ユウはバリアジャケットを解くとポケットにケースをしまった。

「ありがとう、皆」
《どういたしまして》
「それじゃ、僕はゼロの様子を見てくるよ。マスターとして、ね」
「それじゃあ、私達も見に行ってもええか?」
「見てみたいです〜」
「他にすることもないし」
「仕事は?」

はやてとリイン、フェイトの申し出にユウが首を傾げて訊いた。するとリオが肩を竦めて答えた。

「仕事が残っているのはユーノ、クロノ、エイミィだ。あとは皆今日の仕事はオフにしている」
「提督、あなたも来てもらいますよ」

リオの言葉に間髪入れずにクロノが突っ込んだ。リオは面倒くさそうに口を尖らせた。

「いいじゃねぇか、俺がいなくたって問題ないだろ?」
「それでもダメです。1人の提督としての自覚を持ってください」
「え〜〜、固いよお前。もっと俺みたいに自由に行かなきゃ後々苦労するぜ」
「そうかもしれませんが、提督みたいな人ばかりだと仕事がまったく進まないので」
「俺みたいな人ってなんだよ、それじゃ俺がまるで仕事をサボっているぐうたら野郎みたいじゃないか」
「その通りです。ほら、無駄話はそれくらいにして行きますよ」
「やだ〜〜〜、仕事したくないよ〜〜〜」
「それじゃあユウ、フェイト、また後でな」
「う、うん」
「それじゃあね」

クロノは皆に挨拶をすると、リオを引きずって部屋を出た。はたから見ればどちらが上司だか全く分からない。ユウ達が苦笑いしているとエイミィ達が近づいてきた。

「リオ提督って普段はあんな感じなんだけど、現場では真面目だから」
「真面目って、そんな風には見えませんね」
「何度か会っているんだけど、どうしても慣れないなあの人」
「どっちが本性なんやろな?」

ユウとフェイト、はやてが思案している間になのはとユーノはまた独特の雰囲気を出していた。

「ユーノ君、お仕事頑張ってね」
「うん、なのははゼロ達を見に行くんだよね。後でどんな感じだったか教えてもらえるかな?」
「うん、しっかり見てくるよ」

独特の空気を出しているなのはとユーノを見てげんなりしたユウ達はひそひそ話を始めた。

「僕達はそっと出た方がいいのかな?」
「普通はそう考えるよね」
「でも、あれはいつものことやから気にせんでええと思うよ」
「そうなんだよね、2人とも自覚が無いから余計にたちが悪いよ」
「あれで自覚なしなのか?」
「少なくともユーノは気づいていないよ。なのはは明確に分かっていないけどユーノに特別な気持ちを抱いているのは自覚しているんだって」
「やれやれ…」

ユウ達が再びなのは達を見ると、話が終わったらしくなのはがこっちに向かってきた。

「ごめんね〜、ってどうしたの?」
「別に」
「さっ、実験室に行こか」
「楽しみです〜」
「どんな技使うのかな〜?」
「さぁな」

なのは達が製作室を出るとユウとユーノ、エイミィが残った。

「ユーノ、ディメンションリンクの解析はどう?」
「……正直謎が多すぎるよ、解明するのはまだまだ先になりそうだよ」
「そっか……」
「ユウ君元気出して。きっと帰れるよ」
「ありがとうございます。エイミィさん」
「ユウ君、どないしたん?」
「早く行きましょう〜」
「あ、うん。今行くよ。それじゃあ」
「うん、またね」
「また家でね」




----後書き----

カークス:「皆さん、読んでいただきありがとうございます」

ゼロ  :「み、皆さん初めまして。ぜ、ゼロです」

カークス:「初々しいね〜。それではいつも通り行きますか」

ゼロ  :「い、いつも通りって何をするんですか?」

カークス:「ん〜、本編中の解説とか次回予告または雑談かな」

ゼロ  :「そうですか、それじゃあいくつかいいですか?」

カークス:「何かな?」

ゼロ  :「マスターユウのバリアジャケットのイメージがよく分からないんですが」

カークス:「あー、それ言おうと思ってたやつだ。ユウのバリアジャケットは簡単に言えばエリオのバリアジャケットに長ズボンで色は本編に書いてあるような感じかな?」

ゼロ  :「エクスとソウルは?」

カークス:「それは皆さんのご想像にお任せします」

ゼロ  :「逃げましたね」

カークス:「というかオリキャラの服の色とか髪の色とか決めるの大変なんだよ。この色にはどの色が合うかな?ってね」

ゼロ  :「センスが疑われますね……それで僕の魔力は……」

カークス:「それは次回でやるからパス」

ゼロ  :「うぅ、そうですか。ちなみに今悩みとかは?」

カークス:「恋愛物が上手く書けないのと、大人数での会話が上手く書けないこと」

ゼロ  :「えっと、恋愛物は空気がそこまでいい感じにならないのと、大人数の理由は前のままですか?」

カークス:「そう。多分他の作者さんも苦労していると思うよ」

ゼロ  :「他の作者さんちゃんと出来ていますよ」

カークス:「次!次行ってみよう!」

ゼロ  :「は、はい。もう既に7話目ですけど、いつ頃まで続けるつもりなんですか?」

カークス:「分からない。気が済むまでって感じ」

ゼロ  :「でも、テレビや漫画の時系列とか出来事に合わせながらやるのはかなりきついんじゃ……」

カークス:「やってみせるさ!」

ゼロ  :「本編で使うような台詞をあなたが使うとなんか格好悪いです」

カークス:「………………」

ゼロ  :「ああ、すいませんすいません!」

カークス:「まぁ、いいけど」

ゼロ  :「えっとそれで次のお話は?」

カークス:「次はゼロの属性とリインとゼロの絡みとか書けたらいいな〜と」

ゼロ  :「僕とリインの絡みって?」

カークス:「ほら、物語上少し日常編が続くからゼロとリインの姉弟を絡ませるとかするんだ」

ゼロ  :「そうですか」

カークス:「さてこの辺かな?これからも頑張っていくんでよろしくお願いします」

カ&ゼ :「「それでは、失礼します」」





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