「――――で、何でこんなことに……」 ブーケを持ってため息をつくソウルの隣で、道案内の看板を持ってエクスは道先歩いていく人達に明るく手を振っている。ソウルはウエディングドレスで身を包み、エクスは純白のタキシードを身に纏っていた。それを見る人達は可愛いー、など言って携帯型のデバイスで写真を撮っていたりしている。ソウルが男だと気が付いている様子は無い。女の子二人が新郎新婦の格好をしていると思っているらしい。 「文句言わないの。引き受けたのはソウルなんだからちゃんとやってよ」 エクスが笑顔のまま憮然とした声を出す。――――器用なものだ。 「それに結構楽しいからいいじゃん♪」 本音が出た。 ソウルは再びため息をついて無理矢理の笑顔でブーケを持ちながら手を振る。 何故こんな事になっているかというと2時間前のクロノの言葉が発端だった。 「嫌だ」 「まだ何も言っていないのに〜」 エクスが目の前に出した物を見て、彼女が頼もうとした内容を即座に読み取って断った。口を尖らせるエクスに軽く嘆息して先ほど読んでいた時代劇ものの本を閉じる。 「聞かなくても分かる。どうせ、それを着てくれとかでも言うつもりだったのだろう?」 「えへへ〜、ご名答〜」 はにかんでエクスが見せてきたのは結婚式で使われる純白のドレス―――ウェディングドレスだった。 「大体、そんなものどこで見つけてきたんだ?」 「実はね、リンディさんが押入れの掃除をしている時に見つけたんだ」 るん♪ と機嫌よさそうに回る。 「お前が着れば良いだろう」 「当時成人している人のドレスを十歳の身体で着れると思う?」 「それを言うならこの身は十五だぞ」 「男の子って女性より身体大きいから大丈夫だよ」 はぁ、と再びため息をついて本を開いた。エクスが声を掛けてきても無視することに決める。 「ねー、ソウルってばー」 「…………」 「ねーねー、無視しないでよ〜」 「…………」 「むっ、ソウル――!」 ガチャ。 少し怒ったエクスの言葉を遮って部屋の扉が開かれる。入ってきたのはクロノとユウとゼロだった。 「あ、エクスとソウル。丁度良かった」 「どうかしたのか?」 「君達に頼みたいことがあるんだ」 「私達に?」 クロノの言葉に二人は首を傾げる。そう、と頷いてクロノは説明を始めた。 「君達に新郎新婦になってもらいたい」 「「――――は?」」 文明さんリクエスト(?)SS 魔法少女リリカルなのはLOC 「どたばた結婚式」 クロノの話を要約するとこんな感じになる。 ミッドで管理局のある提督が結婚式を挙げる事になった。新郎新婦の親戚の他にも一般の人にも来てもらいたいので一般公開らしい。その客寄せでエクスとソウルに新郎新婦の格好になってほしいとの事だ。 「そのお偉いさんの手伝いを何故俺等がしなければならない?」 「指名があったんだ。君達の姿を本局で見つけて美男美女カップルだから頼むとのことだ」 「美男美女カップルだって! ソウル、引き受けようよ」 美男美女カップルと言われてはしゃぐエクスの隣でソウルは何か嫌な予感がしていた。 「…………分かった。引き受ける。だがその、衣服はどうするんだ。俺やエクスに合うサイズの物があるのか?」 「ああ、それは僕達が用意しておく。君達に決めてほしいのはどちらがどちらを着るかだ」 エクスが疑問符を浮かべて首を傾げる。ソウルはやはり、という風に手で顔を覆った。 「そんなの決まっているだろう。俺が新郎でエクスが新婦だ」 自分で新郎新婦というのはやや気恥ずかしいものだ。これ以外に選択肢は無い、とソウルが断言した時、エクスが不満の声を上げた。 「えー、ソウルが新婦の方が良いなぁ」 「――――何?」 「だって、以前ソウルがウェイトレスの格好をしていた時凄く似合ってたじゃん」 はい、と懐から写真を取り出してクロノ達に渡す。クロノ達はそれを覗き込むとユウとゼロは当時の出来事を思い出して、クロノはへぇ、と感嘆の声を上げた。 嫌な予感がしてそれを覗くと、案の定いつの間に撮っていたのか、美由紀に絡まれて顔を赤らめたソウルのウェイトレス姿が映っていた。 即座にクロノ達から取り上げる。 「いつの間に撮っていたんだ……」 「どう? これならソウルが新婦の方が似合うんじゃない?」 「確かにそうだけど……エクスは良いの?」 ユウが心配しながらエクスに訊ねる。元が女の子の体のエクスより男の子の体のソウルの方が可愛いのだ。女性であるなら誰でも不満はあるだろう。しかしエクスはん〜、と少し唸った後に特に気にした風も無く、 「少し悲しいったらそうかもしれないけど、でも私そこまで気にしてないよ」 それに、と少し意地悪い笑みを浮かべてソウルを見る。 「そんなことより面白い方が良いもん♪」 分かっていたとはいえ予想通りの答えにユウは内心ため息と微笑を浮かべた。どうやらエクスは楽しければ大抵の事は良いという風に考えているらしい。 ゼロ達が苦笑したのを見て、エクスも笑みを浮かべてソウルに向き直る。 「それじゃあソウル。試着しよっか」 「待て。俺はまだ新婦になるなんて言ったつもりは無いぞ」 「何言ってんの。いい? 管理局のお偉いさんが私達の事を見ていてくれるならここで役に立った方が後々助かるかもしれないじゃん」 「それは、そうだが……」 ソウルが歯切れの悪そうに答えた瞬間、その体を白いバインドが絡め取った。いきなりの事に動揺を隠せないソウルは驚愕しながらエクスに問い詰めようとエクスを見る―――が、エクスが手をわきわき動かしているのを見ると、顔が引き攣った。 「もう面倒だから強硬手段取っちゃうね」 「ま、待て。落ち着け!?」 「落ち着いているよ〜。それじゃあまずはその邪魔な衣服から剥がそうか〜♪」 見る者が見たら思わず後ずさりしそうな笑みを浮かべて徐々にソウルに近づくエクス。ちなみにこの時も手は動かしている。完全におっさんと化したエクスの手がソウルの衣服に手がかかる前に、ユウとクロノが即座にゼロの目に手を被せた。 「ふぇ? 何をするんですか?」 「まだゼロには早いからね〜」 「ユウ、ゼロはこの部屋から出した方が良いだろう」 「うん、それじゃあ僕達は出ようか」 ユウとクロノは頷きあって、なるべくソウル達の方を向かないようにして部屋を立ち去った。悲鳴が聞こえ、ゼロが首を傾げて部屋を振り向いたが、ユウが首を前に戻してクロノが両耳を塞いで聞こえなくした。 数分後。 「入って良いよ〜」 エクスから声が掛かって部屋の中に入る。部屋に入ると電気が点いているにもかかわらず、暗い雰囲気に包まれた。部屋を見渡して部屋の隅で暗さの根源を見つける。そこには壁に向かって体育座りしながら影を落としているソウルがいた。 「ほらソウル。立たないと見せられないでしょ」 「もう、放っておいてくれ」 ぐいっ、とエクスに引っ張られて立ち上がり、その姿をユウ達に晒す。 「へぇ……」 「ほぅ……」 「わぁ……」 三者三様の反応を示してソウルを見つめる。純白のドレスに身を包んだソウルはまるで本当の花嫁のようにこの上なく似合っていた。ゼロは真正直に己の感想を述べて、ソウルはげんなりした表情でため息をついた。 「とても綺麗ですよソウル!」 「もうどうでもいいさ……」 「ソウルってば似合っているのにな〜。勿体無いよ」 「全く嬉しくない」 がっくりとうな垂れるソウルを見てユウがふと呟いた。 「う〜ん、でも声はどうしようかな」 「声、ですか?」 ゼロが首を傾げる。クロノはそうだな、と腕を組んで唸った。 「ソウルの声は結構低い方だからな……声が低い新婦はいかがなものか……」 『そこでオディの出番ディスね!』 バン! と扉を勢い良く開いて出てきたのは謎の二頭身生物ことブレイドだった。ブレイドの姿を見た瞬間、ゼロ以外が怪訝そうな顔を浮かべた。ゼロは、というと嬉しそうな笑みを浮かべてブレイドに飛び寄る。 「お久しぶりです、ブレイドさん!」 『ウェーイ。久しぶりディス』 「今日はどうしたんですか?」 『ウェイ。以前の約束を果たしに戻ってきたんディスよ』 約束? と首を傾げるゼロを置いて、ブレイドは分かりやすいように自分で頭を押して立体映像を再生する。 【いったーーーーーーー!!!?】 【はうぅ。リインも頭を打っちゃいましたぁ〜〜〜〜】 【ウェ〜イ。後でオンドゥルキャンディあげるから泣かないディスよ】 そこに映し出されたのは大きなたんこぶを作って床から顔だけを出す事になっているエクスとリインフォースとブレイドの姿だった。 もう一度頭を押して映像を終了させる。ユウとソウルは先の摩訶不思議な事件を思い出して、そんな事があったのかと嘆息する。エクスは当時の記憶を思い出して、頭を擦っていたりしていた。 『という訳でオディが試行錯誤して作ったオンドゥルキャンディの改良型を持ってきたディスよ』 どこからかたくさんの飴玉が入った瓶を取り出して掲げる。 『その名も“オンドゥルキャンディ〜ダブルツインマークツーセカンド〜”ディス』 「くどい名前だな」 即座にソウルが突っ込みを入れる。しかしブレイドはそんなことを気にせずに胸を張って自信満々に瓶を掲げた。 『このキャンディは声変わり、容姿の変化、性別転換、なんでもござれディスよ』 「一体どういう素材なのか確かめたくなるな……」 クロノが唸りながら半眼でキャンディを見つめた。ブレイドの説明を聞いたゼロが顔を輝かせながらソウルに向き直る。 「それならこれを飲めばソウルの声も変わるんじゃないですか?」 『勿論ディス。幼女の声から老婆の声までありとあらゆる声を詰め込んであるディスよ』 「ふ〜ん。それなら……えいっ!」 ブレイドから瓶を取り上げて蓋を開けたエクスは呆れた様子で思わず半開きになっているソウルの口に飴を一つ放り投げた。飴玉は丁度ソウルの口からすぽんと入り、ごくんと喉を通っていく。 「ごほっ、ごほっ、エクス……お前、っ!?」 むせてエクスに文句を言おうとした瞬間、ソウルは自分の声が年相応の女子の声に変わっている事に気づいた。エクス達はというと、おおー、とソウルの声が変わった事に驚き又は感動していた。 「凄いですね〜」 「あはは、ソウルってば可愛いよ〜」 『まさか本当に成功するとは思わなかったディス』 「って、ちゃんと実験していなかったの!?」 『ぶっつけ本番ディス』 「よく無事だったなソウル」 各々の感想(?)を述べられたが、ソウルはそんなことより自分の声が年相応の女子の声に変わっていて戸惑っている。 「その、何と言うか……自分の体なんだが、自分の体じゃないような気がする」 慣れ親しんだ自分の声がいきなり可愛らしい女子の声に変わったのだ。加えて現在の自分の姿はウエディングドレスという女性の衣服を纏っている花嫁。こう、別の人間に自分の魂が入ったような感じだ。 「その声になったんなら、言葉遣いも直さなきゃ駄目だよソウル」 「そうは言ってもな……」 無理難題、という程のものではないが、これまた慣れ親しんだ言葉遣いを変えるというのも難しい。 「よーし、それなら手伝いの準備が整う前に軽く練習しよっか」 「それなら僕は君たちが手伝ってくれる事を伝えてこよう」 「僕も行くよ。ゼロはエクス達を手伝ってあげて」 「はい」 『オディは――』 「正直なところ帰ってほしいところだが、ソウルの声が戻らなかった場合を考えると怖い。暫く僕達に付き合ってもらうぞ」 くるりと扉に向いて出ようとしたブレイドの頭をわっしと掴んで持ち上げた。 「それじゃあ、1時間後ぐらいにミッドに来てくれ。場所は後で伝える」 「分かった。それじゃあね〜」 そして冒頭に戻る。 この場にクロノ達はいない。ブレイドがリインフォースにもキャンディをあげなくてはと八神家に向かったのを必死で食い止めていた。ハラオウン家に呼ぶから八神家には行くなとユウが叫んでいた気がする。 愛想笑いを振りまきながら手を振っていると、スタッフの人からもういいよ、と声を掛けられた。 この客寄せも本人達がたくさんの人に祝福してもらいたいという希望に沿っての行動だ。おかげで会場にはまるで芸能人の結婚式かと思うくらいの人で埋められた。 この後は結婚式の陰での護衛。管理局のお偉いさんが結婚式を挙げるのだ、当然それを狙って騒ぎを起こす輩も出てくる。というもののどうやらメインの指輪交換とかの儀式は無事終了して後は、友人によるスピーチやケーキ入刀などの食事を楽しんだりするようなものとなっている。 会場には出席者という形で入る事となった。ソウルは着替えると言い張ったのだが、時間が無いという事とエクスが無理矢理引きずり出したということで格好はタキシードとドレスのままだ。 「確か入場者数は1万人を越えるらしいよ」 「全く無茶苦茶だな。そんな大人数では不振な奴が潜り込んでいても捕まえようが無い」 「相手が出るのを待つしかないみたいだね――――、む?」 「まぁ、そんなことにはならないで欲しいものだが、ってこら! 食い物に釣られるな!!」 エクスがすぐ傍のテーブルに駆け寄って肉やらパンやらを頬張る。さすがに食い散らかすという醜態は晒さないがそれでも見るに耐えない食いっぷりだ。一箇所に集まるより別行動の方が対処しやすいのとあのエクスと一緒にいるのは恥ずかしいという気持ちとでソウルは他人のふりをしてその場を離れた。 「しかし、ここまで大勢いると護衛もしづらいな」 正装した人たちを見回しながらため息をつく。本来ならば新郎新婦の傍についているべきなのだろうが、本人達がせっかく来てくれた人達に心配は掛けたくないと言い張っているのでこうして出席者に紛れるしかない。当の本人達はお色直しということで一旦この場を離れている――――つまり、二人が来るまで何もする事が無いという事だ。 「お嬢ちゃん、今1人?」 「ん? ああ……いや、ええ」 急に話し掛けられて普通に返答しようとしたが慌てて言い直す。笑顔を浮かべて話しかけてきたのはどこにでもいそうな平凡な成人男性だった。 「いや、ごめんね。君がウエディングドレスを着ているのに御相手が見当たらなかったから」 「ああ、そうでしたか。連れはいますけど、今は別行動をしています」 エクスに1時間ほど鍛えられた付け焼刃の女言葉を使おうとしたが、敬語を使っていれば大抵は凌げるということに気づいて敬語を使う事にした。 「そっか。――――ところで君は今回結婚する提督の知り合いだったりするのかな?」 青年は笑顔を崩さず、そんなことを聞いてきた。さて、どう答えたものか……。提督との関係を知りたがっているなら、ここで素直に答えるのと隠すという選択肢があるがどう答えてもその後の展開は読める気がする。 「――――いえ、違います。ボランティアでお手伝いに来てそのまま出席させていただきました」 「ああ、なるほど。……うん、それだったら悪いんだけど――――」 やはり青年はこれを、と言ってポケットの中に手を突っ込んだが―――、 「ソウルー!」 「エクス……」 「君の連れかい?」 「はい」 エクスの姿を見て少し眉を顰めるが、すぐにまた笑顔になってポケットから手を取り出した。手には何も握られていない。 「何かあったのではないですか?」 「いや、やっぱりいいや。それじゃあお二人でごゆっくり」 等と言って手を振りながら去っていった。彼の姿が見えなくなるのと同時にエクスがソウルの隣に来た。 「今の人知り合い?」 「いや」 「――――私達の事を知ってたのかな?」 「それは無いだろう。さっき俺に提督との関係を訊いてきた」 「ということは、見知らぬ少女を見つけたから声を掛けたってところかな。ソウルもやるねぇ」 このこの、と肘で小突いてくるエクスを適当にあしらって先ほどの青年について考える。彼がもし提督の親戚だとしたら子供の姿をしている俺達に関係を聞きに来ても不思議じゃない。見知らぬ子供がいたら誰だって疑問に思うだろうからな。加えて自分はウエディングドレスという、新婦以外が着るはずの無い珍妙な衣服を纏っている。聞きに来る理由としては全くおかしくは、ない……の、だ…が……。 「ええい! さっきから横でうるさい!」 「あ、やっとこっち向いた。そんなのソウルが無視したから自業自得だよ。ところでソウル、さっきの人に私達のことを言ったの?」 「いや――――」 確かに彼が親戚だとしたら全くおかしい所は無いのだが、彼が口にした理由は『ドレスを着ているのに相手がいないから』だった。親戚ならそんなことをわざわざ言わずに、『初めて見る子だったから』という理由で充分のはずだ。それに―――、 「先ほどのやつは好きになれん」 なにより笑顔の下に何か思惑を隠している気がして気に食わなかった。 さて、新郎新婦の二人がお色直しから戻ってきて延々と長い話やスピーチをして数時間。 結婚式もそろそろ終わりの感じを見せてきた。新郎新婦が腕を組んでお互いの両親の元に戻った時に事件が起こった。 「おっと、待ちな」 会場の目が声のした所へ一斉に集中する。そこには1人の男性がいた。どこにでもいそうな平凡な男性、ソウルに話し掛けた青年だった。 「君は……」 新郎が青年の姿を見つけて呻くように声を出した。そうさ、とばかりに鼻を鳴らす青年。 「お前1人にいい思いはさせねぇよ」 青年がぱちんと指を弾くと、同時に会場の電気が落ちた。会場にいた人間全員がパニックに陥る。大抵はいきなりの事に驚き戸惑って動けないでいるのだが、中には俊敏に動ける者もいて即座に出口に走り出す。しかし、出口にたどり着いた者達も焦りが混じった驚愕の声を上げた。 「と、扉が開かない!?」 「こっちもだ!」 「くそ、どうなってんだ!?」 会場に設置された2つの出口は何か仕掛けが施されているのか、いくら押しても引いてもびくともしない。 さて、こちらはと言えば目が闇に慣れてから急いで新郎新婦の下へ向かった。邪魔されずに対象に行動を起こすのは大抵暗闇の中でだ。 「エクス!」 「分かってる!」 エクスに声を掛けて直ぐに返事が帰って来た辺り、傍にいるのだろう。余り時間もかけずに新郎新婦の下へたどり着く。既にエクスは臨戦態勢に入っており、辺りを警戒している。 「お怪我はありませんか?」 「ああ、こちらは大丈夫だ」 「とりあえず、安全な場所に避難を――――」 「危ない!!」 二人を扉の傍まで連れて行こうとした瞬間、闇の中でナイフの一閃が新郎に襲い掛かる。エクスが新婦に押し倒したおかげで一閃は新郎の髪をかすっただけで済んだ、がエクスと新郎はそのままなし崩しに倒れこんだ。 「エクスッ」 「ッ……あ」 エクスは立ち上がって迎撃しようとするが傍にいた新婦のドレスを踏んで足が滑った。体勢を崩したところに新郎と間違えた相手のナイフが風を切ってエクスに襲い掛かる。 防御も回避も間に合わない。 (ああ、ここで終わりかぁ……) 呆然と迫るナイフを見つめながら他人事のように思う。足を滑らせて死ぬなんて情けないなぁ、と目を瞑ろうとした瞬間、 「ふっ!」 「チッ!」 目の前のナイフが突然横から現れた魔力刃によって弾かれた。誰かと思い、そちらを見るがそこには誰にもいない。エクスの真正面で連続して風を切る音が聞こえる。時折ビリッ、と布が破れる音も聞こえた。 「ヒュッ!」 「ぬっ!?」 慣れない靴は脱ぎ捨てて、青年のナイフを紙一重で避ける。暗闇の中では相手の姿を視認するのも難しいが、生憎彼は魔界からこの世に送られた魔剣。闇を得意とする彼には電気を消した程度の暗闇などさほど障害にはならない。とはいえやはり普段とは違う格好のため動きづらい。青年のナイフを躱し続けるも、防戦一方だった。 「ちっ、このままでは埒が明かない……ん?」 舌打ちをして相手の動きを観察する。不意に視界に入ってきたヴェールをどかして、ふと思いついた。 青年がナイフを突き出してくるのを避けた。青年はソウルのように特別な存在ではないため、暗闇での戦闘はやりにくい。相手の居場所を掴むとしたら相手が身に纏っている白い衣服しか目印に出来ないのだ。 ソウルの姿が闇に溶け込んで青年の視界から消えた。どこから来るか、とナイフを構えて辺りを警戒する。視界の端に白いのが見えた瞬間、ナイフを一閃した。丁度頭部に当たる位置、銀色の一筋はソウルの顔を横一文字に――――切れなかった。 「っ――――!?」 横に両断されたのは先ほどソウルがかけていたヴェール。青年が驚愕している間にソウルは背後に回っていた。 「その辺にしておくんだな」 気が付いたときにはもう遅い。護身術の要領で伸びきった腕を掴んで捻る。同時に手首と両足をかることでナイフを落とし、床に叩き付けた。 勝負がついた瞬間、予備電源が作動したのか会場の電気が一斉に点く。会場の人達が最初に目にしたのは青年を組み倒しているボロボロになったドレスを纏っているソウルの姿だった。最初は急に視界に飛び込んできた光景に驚いていた人達も自体を理解すると一斉に歓声を上げる。 「ッ、やるじゃねーか嬢ちゃん。俺の完敗だ」 「……勘違いしているところ悪いが、俺は男だ」 「…………は?」 首だけ振り向いて、信じられないという目でソウルを見る。ため息混じりにソウルも見返す。お互い数秒だけ見合っていると、くっ、と青年が心底可笑しそうに笑いをこぼした。 「ふ、ははは。そうかそうか、男だったか」 「ああ」 「くくく、それにしてもそれだけ女装の似合う男って……痛てて、痛ぇ! ギブギブ! 悪かったから捻んな!!」 ギリギリと折る限界まで腕を捻る。自業自得だ。 あの後、青年を管理局に引き渡してそのまま式は続行された。幸い出席者達は劇か何かのように思っていたためパニックになったのは最初だけで、その後は難なく事が進んだ。 そして帰り道、既に日は沈みかけ、夕暮れ時となっていた。 「無事に済んでよかったね〜」 「ああ」 着替えてから帰ろうとしたが、エクスがドレスを気に入ったらしく――――あの事件の後、用心のためにソウルとエクスの衣装を交換した――――このまま帰ると言い出したので格好はそのままだ。 ミッドから転送ポートに乗って、海鳴市に戻る。真っ直ぐ帰宅しようとしたが、エクスが見せたい景色があると言ったので現在は先行するエクスについていっている形だ。 ついていった先は――――細い林道だった。 エクスの言う見せたいものが分からず首を傾げるソウル。 「ここに何があるというんだ?」 「えへへ〜。あっち向いて見て」 エクスがソウルに向き直ってソウルの後ろを指差した。振り向いて見た先には、夕暮れに染まった海鳴市が一望できた。 「ほぅ……」 思わず感嘆の声が漏れる。それほど、そこから見た光景は綺麗だった。他の場所でも中々こういうのは見れないだろう。夕暮れに染まる家々、洗濯物を取り込む人、バスから降りて帰宅する学生達。そこには確かに生活が詰まっていた。日常的で退屈な、だけど平穏な生活。そこから見えた人々は皆笑っている。 エクスがここに連れて来た理由も分かる。 「――――確かに良い所だな」 「でしょ?」 「ああ。それにここから見える街は見ていて落ち着く」 穏やかな笑みを浮かべて街を眺めた。ソウル、とエクスが呼んでそちらに振り向く。 「何だ?」 「ありがとうね」 「…………?」 急にお礼を言われる理由が分からなく顔を顰めて首を捻る。エクスは少し照れた風に笑みを浮かべたまま、 「今日、助けてくれたでしょ」 「……ああ」 言われて思い出す。彼女が言っているのはエクスに襲い掛かったナイフをソウルが弾いたことだ。長年、エクスと一緒に過ごすうちに背中を守るようになっていたので、別に大した事をしたつもりでは無いのだがエクスにとってはそうではないらしい。 「ソウルってばいつもあんな風に私を守っていてくれたんだよね」 「別に、もう慣れた事だ」 「今日助けてもらって分かったんだ。『ああ、私ソウルに助けられてばっかりだなぁ』って」 「今更気づいたのか?」 ソウルは軽く意地悪い笑みを浮かべて、こちらを見る。そう、いつもソウルはエクスの傍にいた。何かと行動する時もエクスについて行き、考え無しに行動しようとするエクスを何度も止めた。ソウルはいつもエクスの傍にいて――――その身に危険が迫らないように守っていた。 「うん。だからありがとう」 「――――はぁ、どうしたんだ一体。いつものお前らしくないぞ」 正直、自分でもどうかしていると思う。でも、これは言っておかなければいけないと思った。ソウルはと言えば、少し照れくさそうに頬を掻きくるりと後ろを向いて林道を下り始めた。 「戻るぞ。それにお前を庇うのは慣れた事だ、気にする必要はない」 「気にするよ。ずっと守られっぱなしじゃあ、天界武装の名が泣くもん」 「ふっ、それなら守られなくても大丈夫な位強くなってみろ。まぁお前じゃ後十年以上はかかるか……」 「あっ、言ったなソウル! 見てなよ、私だってソウルを守る位強くなって見せるぞ!」 だだっ、と追ってきてソウルの目の前まで来ると少し怒った風に言った。それからぷんぷん、という擬音が合いそうな歩き方で下っていく。それを見たソウルはまるで世話のかかる妹を見ている気がして少し苦笑し、エクスに聞こえない程の小さな声で呟いた。 「やれやれ、まだ俺がついていないと駄目だな」 怒りながら歩いているエクスに追いついて肩を並べて帰る。横に来たソウルを見てエクスは文句を言って、ソウルは苦笑しながら受け流す。 それは、傍から見たら仲の良い兄妹のようだった。 ――――ルシファーが降臨したのか?―――― ソウルは目の前の状況を見ながらそのように思う。 ソウル達がいるのはハラオウン家が済んでいるマンションの部屋。しかし、そこでは帰って来たソウル達の想像を遥かに超えた光景が広がっていた。 (ええい! また来たんですか貴方は!) (また君に出会えようとは……おとめ座の私にはセンチメンタリズムな運命を感じられずにはいられない!) (おとめ座関係あるんですか!?) 『ウェイ、せっかくディスからお呼びしたディス』 精神世界でユウがグ●ハムと戦闘を繰り広げている隣では、少し酔った感じのフェイトがクロノに迫っており、はやてはエイミィ達と一緒にカラオケを開いて歌っていたりしている。ヴォルケンリッターは4人ともテーブルに座っており、目の前に出された4つのお茶を緊張した面持ちで見ていた。後から聞いた話だとリンディ提督のお茶を出された我慢大会だったらしい。ただし本人はいなかったのでやや砂糖は少なめだったらしいが。 そしてソファーに子供サイズで楽しそうに、もごもごと口の中で飴玉を転がしているゼロとリインフォースがこちらに気が付いた。隣ではなのはとユーノが寄り添うように寝ている。 「あ、お帰りなさい」 「お邪魔していますー」 「ああ、ごゆっくりと言いたい所だが……これはどういう状況だ?」 「えーと、ブレイドさんが持ってきた飴を皆さんが舐めてこんなになりました」 「――――――」 なんと言うか、予想通りの答えが帰ってきて逆に脱力する。ゼロ達も何とかしようとしたらしいのだがどうしようも出来ず、ただ見ている事しか出来なかったらしい。 まぁ、そうだろう。あの混沌を収めるには二人はまだ力不足だ。――――だからといってソウル達に出来るかと言ったら確実ではないのだが。 「でも、止めるしかないよね」 「ああ」 苦笑いして目の前の惨状を眺めるエクスに頷く。リンディ提督が帰って来る前に何とかしなくてはならない。そうしないと晩ご飯抜きも考えられる。一晩食事を抜いたところでこちらは全く辛くは無いのだが、エクスが不機嫌になりその矛先が向かってくるのは困る。 「――――はぁ……行くぞ」 「うん」 ため息をついて混沌の中心部へと歩き出した。中へ入っていったソウルとエクスを交えて混沌はますます加速していく。そんな光景を見てゼロはふと笑みをこぼした。 リインフォースが気づいてゼロの顔を覗き込む。 「どうしたんですか?」 「ううん、ただ楽しいなぁって思って」 ゼロの言葉に少し首を傾げて目の前の光景を見る。すると途端にゼロの言いたい事が分かった。 目の前のユウ達は確かに困ったように目の前の出来事に対処している。しかし、それは心からそう思っているのではなく多少楽しいという感情が混じっているのが表情から読み取れた。 「――こんな毎日が続けばいいですね」 「続くよ、きっと」 ―――――おまけ――――― 「はぁ、ようやく片ついたな」 「そうだね……」 先の騒動を抑えて自分達の部屋の中に戻り、ゆっくりとくつろぐ。 「全く、お前まで一緒に混ざろうとするな」 「えへへ〜、楽しそうだったからつい」 全く反省する色を見せずに笑ってくるエクスに再びため息をついた。まぁ、あの騒動の元凶も帰った事だしこれからは問題ないと思うが――――突如、嫌な予感を背中を走りぬけた。 背後を振り向かずに体を横にずらす。直後、ソウルのいた場所を何かが通過した。その何かは偶々欠伸をしていたエクスに一直線に伸びて行き――――あ、口の中に入った。 「むぐっ!? ごほっごほっ」 口の中に入ってきた異物に驚いて思いっきりむせたが、何も吐き出さない。どうやら飲み込んでしまったようだ。 誰がこんなことをやったのか、というと答えは簡単に導き出せた。後ろを振り向いて正解を確認する。思ったとおりそこには、パチンコを持ったブレイドの姿があった。 『流石ソウルさんディス。オディの予測どおりに事が進みそうディス』 グッと丸い手を突き出して、何処から生えたのか指を上げて輝かしいサムズアップをする。 「帰ったんじゃなかったのか?」 『そうするつもりだったんディスが、このままではオディの作者のリクエストに答えられてないんじゃないか、とそちらさんの作者が絶望して急遽帰って来たんディス』 「楽屋ネタはやめろ」 危険な発言をするブレイドにツッコミを入れて、エクスの咳で思い出す。 「それで、エクスに飲ませたのは何だ?」 『オンドゥルキャンディディス。ソウルさんに飲ませたキャンディのプロトタイプディスよ』 「どういう効果なんだ?」 「それは実際に見て確かめると良いディス』 すっ、と手を前に出してエクスを指すブレイド。その延長上にいるエクスを見ると彼女は半白目でこちらを見ていた。少し顔は赤くなっており、どこか酔ったように見えなくもない。 「おい、エクス?」 「………………」 少し俯いてしまい、エクスは黙りこくってしまった。――――何か薬が悪影響を及ぼしているのではないかと心配になり、エクスの方に手を置く。 「大丈夫か?」 「ソウル…………好き……」 ―――――――――― 時が止まった。正確にはエクスの言葉を聞いたソウルが現実逃避をしているのだが。エクスはうるうるとした目でソウルを見上げ、ブレイドはウェイショ、ウェイショ、と机に登っていた。 ぎゅっ、エクスが腕を掴んで体を寄せる。夢の世界に逃げ込んでいたソウルの意識が腕に当たった柔らかい物で現実に戻された。混乱する頭で現状を把握しようと脳をフル回転させる。 えーと、エクスがブレイドの飴を飲み込んでおかしくなった。ここまではいい。だが、問題はエクスが発した言葉だ。 好き A.気に入って心がそれに向かう事。 B.ものずき C.好色。色好み D.風流の道に深く心を寄せる事 辞書の如く頭に好きの意味が並ぶ辺り、ソウルは未だに混乱しているのかもしれない。ソウルは常人と比べれば鈍い方だが、漫画やゲームの主人公でよくあるような朴念仁程ではない。つまり、はっきり言われたらその場の空気でどういう意味なのか理解する。 「お、おいエクス……」 「ソウルは……私が嫌い?」 不安そうに見上げてくるエクスと視線がぶつかって、ぐっ、と言葉が詰まった。普段のエクスは明るく、元気に動き回るいわば小動物みたいな少女だ。だが今のエクスはそんな彼女とは真逆の存在だった。不安で一杯の少女に嫌い、とはっきり言うほどソウルは人でなしではない。 「……嫌いじゃない」 「良かった……」 胸を撫で下ろすほどほっとするエクスを見て、なにやら変な雰囲気に呑まれかける。普段が普段なだけに今のエクスは3年間一緒に過ごしてきたソウルにとって何か違和感があった。 『良い雰囲気のところ悪いディスが、ちょいとこっちを向いてくれると助かったするウェイ』 ブレイドの声に我を取り戻して振り向く。ブレイドは机の上に乗っており、いつの間に着たのか神父の格好をしていた。手には十字架を持っており中々様になっている――――じゃなくて。 「何をするつもりだ?」 『これから結婚式をするディスよ』 「なっ!?」 「…………」 驚愕の声を上げて腕がぎゅっと締められた。見ればエクスが赤くなって俯いていた。ブレイドはジャンプしてエクスが抱きついている腕の逆側の肩に乗り、耳打ちをしてくる。 『彼女は今オンドゥルキャンディを舐めて、一種の幻覚状態に陥っているんディス。それを解決するにはこうして彼女の望みを叶わせるのが手っ取り早いんディスよ』 「じゃあ何か? これはこいつの願いなのか?」 『近からず遠からずディスね。人間、誰もが漠然とした願いを持っているウェイ。コリはその一種で結婚したいという願いが出てきたという感じディス』 「結婚、だと?」 『ウェイ。コリはキャンディによる症状だから、相手はダリでも構わないウェイ。言ってしまえば生まれたての雛みたいに最初に見た相手を対象として見るんディス』 「なるほどな……」 ほっとしたようなそうでもないような、複雑な気持ちを抱いているとブレイドは再び机に飛び乗ってソウル達に振り向いた。 『ソリディワ、コリから結婚式を始めるウェイ。場所も場所なのディ簡易的に済ませるウェイ』 ブレイドの言葉を聞いてエクスが顔を上げる。その顔は未だに赤かった。 『聖剣“エクスカリバー”汝はその健やかなるときも、(中略)、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓うディスか?』 「……はい、誓います」 どこでそんな言葉を覚えたのか、ブレイドは神父の言葉を一言一句間違えずに告げる。エクスはしっかりと頷いた。こちらに振り向くブレイド。 『魔剣“ソウルイーター”汝はその健やかなるときも、(中略)、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓うディスか?』 「…………誓う」 エクスはほっとしたように息をつくと、ソウルに向き直り目を閉じて唇を突き出すようにした。一瞬、どういう意味か分からず首を捻りかけたがすぐさま意味を理解して、身体が硬直していくのが分かった。 『ソリディワ、誓いの口付けを』 ブレイドの言葉が頭の中で反響する。口付け――――結婚式の儀式において最後にお互いの意思を確認する手段だ。自らの唇を相手の……ってそんなのはどうでもいい。問題は今この状況をどう乗り切るかだ。エクスは唇を差し出したまま、じっと待っている。ちらりとブレイドを見れば声に出さずに行け! 行け! と身振り手振りで語っていた。――――後であいつ殺す。 エクスの肩を掴む。手が触れた瞬間、エクスはびくんと震えて恥ずかしそうに顔を赤らめた。目の前にはエクスの柔らかそうな唇が――――って何を考えているんだ!? 邪念を振り払ってもう一度エクスを見る。心音がバクバクとやけに大きく聞こえた。このまま現実逃避をしてしまいたいが、気まずい状況を長引かせるしかないので却下する。 もはや覚悟を決めるしかない、とゆっくりゆっくりエクスに近づいて――――、 「エクス〜、ソウル〜。入るよ〜」 ガチャッ 扉が開く。刹那、部屋の中からソウルの姿が消え去った。 後にクロノは語る。 あれは人の限界を超えた動きだった、と。 扉を開けた瞬間、闇がユウを襲い掛かって危うくマンションが崩壊する寸前だったとかなんとか。 ----後書き---- カークス:「拙作を読んでいただきありがとうございます」 ゼロ :「はい、幾つか質問です。ソウル達が海鳴の街を見た林道というのはどこですか? オリジナルですか?」 カークス:「いやいや。A`s時になのはが魔法訓練していた場所です。決してオリジナルではございません」 ゼロ :「もう一つ。最後のおまけは何ですか?」 カークス:「やぁ、あのままほのぼので終わらせても良かったんだけど、ブレイドの出番が少し少ないなぁって思って追加させてみた」 ルシファ:「奴は出てきたところをとことん混沌にするからな」 カークス:「お前が言える事じゃないけど。さて、今回は文明さんのリクエスト(?)小説。いかがだったでしょうか?」 ゼロ :「せっかく文明さんがやっていただこうとしたところを横取りしたんですよね」 ルシファ:「ふん、余計な事を言うからだ」 カークス:「文明さんが書いたエクスとソウルの新婚も読みたいなと思ってたばかりにミスッたぁ、て思ったよ」 ルシファ:「せっかくの機会を潰しおって……。あの後奴はどうしたのだ?」 カークス:「あの混沌が収まる前にブレイドは帰っていきました。なにやら切羽詰った様子で」 ゼロ :「エクスはどうなったんですか?」 カークス:「ソウルが扉を開けようとしたユウを迎撃している間に元に戻りました」 ルシファ:「なにやら全体を通してごちゃごちゃな話だったな」 カークス:「誠に申し訳ありません。というわけで文明さんのリクエストss、いかがだったでしょうか? 文明さん、掲示板での質問の返事を待たずに投稿してしまい深くお詫び申し上げます」 ゼロ :「不満等々、誠心誠意を持って対応したいと思います。それと今後もどうぞよろしくお願いします。本編では言っていなかったですが、ブレイドさんにはまた来て欲しいと思います」 カ&ゼ&ル:《それでは、失礼します》 |