前フリ。

さて、今回のお話は今までとは趣旨が少し違います。
なんでかって?詳しい経緯はG-WING様の「人の繋がりがもたらす出会い」の話を読ん
だ後で、掲示板の俺とG-WING様のやりとりを覗いてくれば分かるかと。
まぁぶっちゃけると続編を書いちゃっていいと先方が仰ったので書いちゃっただけな
んですが。
そんな訳で。
今回は全四ルート(予定)のうちの最初の一ルートになる・・・はず。
最初のお相手は我らがライトニング分隊長、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執
務官。
ん?順当に行くならまずはなのはだろう、って?
いや、正直な話確かにそうですよねー。
まずは正ヒロインから、ってのはエロゲ・ギャルゲにおいてもっともスタンダードな
攻略方法ですし。
・・・いや、この話の場合誰が正なのか、ってのは判別しづらいんですけれども。
強いて言うのならばウィニーさんなんだろうか?そこんとこどうなんですG-WING様。

・・・ともかく、正ヒロインから攻略・・・そいつはあまりスマートじゃあない。
俺はスタンダードだとか誰かの敷いたレールを走るのは趣味じゃないから。
どうせなら直球より変化球、というコトでここは一つ。
・・・まぁ一番の理由はネタが無いからなんですけどね?誰かなのはでネタ提供してく
れるととても助かります。
はやてははやてで最近書いたばっかだから休養しようと思う。後日談は練ってありま
すけど。
そしてウィニーさんだが、まだ詳しい設定が練れていないので後回しになるのは容赦
してほしい。

・・・前フリはここまでにしておこうか。
それでは、「人の繋がりがもたらす出会い」アフターエピソードです。
楽しんでいただければ幸いに思う。














もしも願い事が一つ叶うのなら、私は貴方の傍に居たい。

音楽みたいに流れる、貴方の声に緩やかに染まっていくのは私のココロ。

裸の感情は、まっすぐな想いを秘めて育っていくんだ。

ねえ?

私の全部に、涙と「好き」が溢れ出て。

大きすぎて止められない感情は、羽が生えてしまいそうで、上手くコトバに出来ない
よ。

何時かこの気持ちを伝えられたら、どんな困難や、不安な夜だって飛び越えていけそ
うなんだ。

もしも、貴方にこの想いが届くのなら。

私を、貴方の一番にしてね?





人の繋がりがもたらす出会い・アフター
ROUTE1・フェイトルート
〜「好き!」〜




時空管理局・本局無限書庫。
時刻は午後二時過ぎ。

僕はまた変わらない、いつも通りの仕事をこなしていた。
本の区別をして、新しい区画を整理して、依頼された資料を編纂して。

―――そう、いつも通りだったのだ。少なくとも一ヶ月ほど前までは。

変わったのは仕事の内容じゃあなくて、僕を取り巻く環境だ。

「ユーノ、ロストロギア『太陽の石』の資料は何処に送ればいいでしょうか?」

この一ヶ月で既に聞き慣れてしまった女性の声が耳を打つ。
僕は声の持ち主である女性に答えを返すべく振り向いた。

「それは『月の石』と一緒に纏めてくれる?その後は僕がやりますから」
「わかりました、ユーノ」

そう言って微笑むのは全身を真っ黒な衣装を着ていて、更にその上からこれまた真っ
黒なゆったりとしたローブで身を包んだ女性。
ウィニー・タロス。
それが彼女の名前だ。
一ヶ月ほど前にリンディさんから持ち掛けられた、僕のお見合いの相手だった女性。

結果だけ述べてしまうと、お見合いは破談・・・という訳ではないがまぁ微妙な結果に
終わった。
そしてひょんなことからウィニーも此処で仕事をするようになったのだ。
今は上司と部下という仕事上の関係だが、その関係は後一年ほどで―――いや、後十
一ヶ月か―――変わってしまうかもしれない。

「あと此処では『司書長』、ね?」
「・・・はい」

しゅん、としょぼくれるウィニー。
僕より年上の女性だというのに、その仕草は何処か年下の少女を思わせた。
僕はそんなウィニーから資料を受け取ると、すぐさま次の資料の整理に取り掛かるべ
く司書長室に向かう。
・・・背後から殺気紛いの恨みがましそうな視線を感じつつ、だったが。



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「ユーノ、少しいいですか?」

もうそろそろ資料の編纂が終わろうか、というところでいつの間にか部屋の入り口に
立っていたウィニーに声を掛けられた。
僕はカリカリと動かしていた万年筆の動きをピタリと止めて、デスクに宛がわれた大
きな革椅子ごとに振り返る。
入り口に立っていたのは、最近では見ることが珍しくなった私服姿の彼女。
あのお見合いの時に着ていた白いワンピースの造りとよく似た黒いワンピース。
ただあの時のモノと違う点といえば・・・いつものローブじゃなくて、その上には同じ
く黒のカーディガンを羽織っているという点くらいか。
カーディガンには彼女の信奉するタスレダ教のシンボルマークが刺繍されている。

「どうかしたんですか?」
「実は・・・先ほど祖父から連絡がありまして・・・それで、その・・・」

ウィニーが何を言わんとするかはなんとなくだけどわかる。
僕は壁に掛けられている大き目の針時計を眺めた。
針時計、といっても結構最新の型だ。
日付や曜日もデジタルで表示されているし。
なら時刻表示もデジタルでいいじゃないか、だって?
それだとなんかホラ、味気ないというか・・・趣が無いじゃない?
なんかこう、微妙にレトロな感じがこういう本を扱う処では似合っているというか、
相応しい気がするんだよね。なんとなく。

それはさておき。

時計の針が刻んでいた時間は短針が四を指し、長針が二を指している。
四時十分・・・今はまだ通常業務時間の真っ只中だ。
そしてウィニーが右手に持っている分厚い紙束。
・・・仕事中に呼び出されたんですね。

「・・・後は僕がやっておくから、ウィニーは上がってくれていいよ」
「・・・ご迷惑をおかけします・・・」

深々と頭を下げて謝るウィニー。
僕は慌てて彼女に頭を上げるように言ったけど、彼女はしばらくそのままで。
やがてゆっくりと頭を上げたとき、彼女は悪戯をした後の子供みたいに無邪気に微笑
んでから、

「この埋め合わせはまたしますので」

なんて、茶目っ気たっぷりに、それでいて綺麗なウインクを決めてから部屋を後にし
た。
・・・うわぁなにされるんだろう僕・・・とりあえず彼女の残していった仕事を先に仕上げ
てしまおう、とやや現実逃避気味に思った。



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それからどれぐらい時間が経っただろうか。
延々と書き綴っていた資料の論文が書き終わろうかというくらいになった。
・・・まぁ僕の時間間隔は正直当てにならないから今の時刻は全くわからない。
一時間くらいかなぁ、とか思ったら実際には半日過ぎてる時があったくらいだし。
まぁどうでもいいか。眠くなれば寝る、食べたくなったら食べるし。
・・・そんな生活をしているからたまに身体を壊すんだろうなぁ・・・
そんなどうでもいいコトを考えつつ僕は万年筆を紙の上に滑らせる。
やがて、紙の上いっぱいに文字が埋め尽くされるようになって。

「・・・よし、終わり」

コトン、と握っていた万年筆をデスクの上で転がすかのように置いた。
僕はカタカタと音を立てて転がる万年筆をしばらく見つめ続け、転がり終わるの何故
か待っていた。

きっと、いろいろと考えることがあったせいなのかも知れない。

リンディさんに持ち掛けられた例のお見合いの翌日。
あの日は僕にとって大きな分岐点だったのだと思う。
僕に一目惚れしたと言うウィニーが書庫に異動してきて。
なのはが、フェイトが、はやてが、各々自分の言葉で、意思で、気持ちで、僕のこと
を「好き」だと言ってくれて。
彼女たちの言ってくれた「好き」は、友達とか、幼馴染としてのLikeじゃあ無い。
彼女たちが女として、僕が男として。
互いを異性として認識した上で僕のことを「好き」だと、Loveだと言う意味で言って
くれた。
正直な話、失礼かもしれないが僕は彼女たちのことを、『女性』として考えたことが
無かったのだ。
いつも・・・それこそ出会ってからあの日までずっと、僕は彼女たちのことを「仲のい
い幼馴染」程度の認識しかしていなかった。
それがあの日、大きく変わったのだ。

ウィニーは僕と一緒に積極的に仕事に取り組んでくれる。

なのははよく僕にお弁当を作ってきてくれるようになった。

はやては僕を六課の方に引き抜こうと各署へ声を掛けるのを再開し始めた。

―――そしてフェイトは・・・

「ユーノ?」
「ぅおえぁっ!?」

いきなり声を掛けられたので反射的に叫びを上げてしまう。
普通ならこんな叫びを上げるような人間では無いと自負していたのだが、今回ばかり
は勝手が違った。
だってさ。
つい今し方・・・というか現在進行形で考えていた人物から声を掛けられたんだよ?
驚かないほうがどうかしているとは思わない?

「あ・・・ぇと、邪魔しちゃったかな?」

なんて、大型犬に怯える小型犬みたいな、そんな雰囲気で声を掛けてくる彼女。
こういう謙虚というか、引っ込み思案なトコロはある意味彼女の魅力なのかもしれな
いなぁ。
こう、ついちょっかいを出したくなるというかなんというか、いぢめたくなる。

・・・いやいやそうじゃないだろう僕。
そんな妙な煩悩を振り払うかのようにして、椅子ごと振り向く。

―――後で思えば、かなり焦っていたんだろう。

勢い良く椅子を回そうとしたせいで、机に足が引っ掛かって。
僕はそのせいで、バランスを崩して盛大にこけた。
それはもう恥ずかしいくらいすてーんと転んだ。

「アイダ!?」

衝撃で目の前がチカチカして、なんだか黒い泡みたいなモノが見えた気がした。
思ったより疲れているのかもしれない、と頭の隅で考えて、次に彼女の前で醜態を晒
したコトに恥ずかしくなった。

「だ、大丈夫ユーノ!?」
「あー・・・平気平気。ちょっとバランス崩しただけだから」

彼女が本気で心配そうな声を掛けてくれたことを嬉しく思いながら、僕は起き上がる
べく腕に力を入れる。
よっこらせっと、なんだか爺臭い声と共に起き上がる僕。
最近この部屋の掃除をサボっていたせいか、こけた時に少しだけ服に汚れというか、
埃っぽいものが付着した。
それを手で叩いて払いつつ、僕は彼女の声がした方へと目を向けた。
司書長室の入り口に立っていたのは、やっぱり彼女だった。
腰ほどまである長い金砂の髪を真っ直ぐ下ろし、先を黒いリボンで結わえ、凛とした
雰囲気を纏うその姿は、同い年のはずの彼女を何故か年上の女性に思わせる。
陶磁器のように白い肌と、ソレとは対を為すかのような真紅の瞳は吸い込まれてしま
いそうなほど深く、それでいて暖かな光を讃えている。
ブラウン系統の色で統一された陸士の制服に身を包んだ姿は、今まで見慣れていた黒
い執務官制服とは違って何処か新鮮だ。
ゆっくりと僕に向かって歩を進める彼女に向かって、僕は軽い気持ちで手を振りなが
ら、

「こんにちは、フェイト」

そう挨拶をしたのだが。
・・・おや?何か変だ。
いつもなら彼女も挨拶ぐらいは返してくるのに、今の彼女は何故だか怪訝そうな・・・
なんというかジト眼で僕のことを見ている。
・・・なんか気に障るようなことしちゃったかなぁ、僕。
到底答えの出そうも無いその疑問の答えは、彼女自らの口で語られた。

「・・・今、夜の十時過ぎだよ?」
「・・・え?」

一瞬何を言われたか意味不明だったが、三秒もしない内に脳が彼女の言葉を理解し始
めた。
内容が頭に浸透すると同時に、僕は壁に掛けられた時計の方に勢い良く振り向く。

短針が十を三分の一ほど超え、長針が五の手前辺りを指している。
此処に窓は無いから外の様子は分からないけど、時計の下に表示されている日付は
ウィニーが此処を出て行った時の日付と変わらない。
ということは彼女の言うとおり、今は午後の十時過ぎなんだろう。
しかしまぁ・・・まさかこれほどまでに時間間隔が狂っているとは・・・恐るべし僕の体内
時計。

そんなつまらないことを考えたが、今はそれよりもするべきことがある。

「・・・こんばんは、フェイト」
「うん。こんばんは、ユーノ」

とりあえずは仕切り直しの挨拶をして。
彼女は何処か儚げな印象を与える、そんな優しい微笑みを浮かべつつ返してくれた。

・・・それにしても、彼女はこんな時間にどうしたのだろうか?
仕事の依頼にしては時間が遅すぎると思うが、まぁ前例が無い訳でもないから否定は
出来ない。
クロノとかクロノとかクロノとかクロノとかクロノとかクロノとかクロノとかクロノ
とかクロノとかクロノとか。
・・・なんか無性に腹が立ってきたなぁ・・・?
まぁいい。あの野郎のコトはこの際放置でいいや。

「それで、どうかしたの?」
「えと・・・その・・・実はね・・・?」

なんだかとても言い出しにくそうに・・・いや、コレはむしろ恥ずかしそうに、だろう
か。
なんか両の人差し指を意味も無く突き合わせているし、視線はちらちらと何度も僕を
見たかと思えば直ぐに明後日の方に向くの繰り返しだし。
心なしか頬が紅く染まって見えるし・・・なんというか、こう・・・躊躇いがちなのだ。
彼女の雰囲気というか、仕草というか。
例えるなら、理屈は解ったけどいざ実践する段階になると上手くいかない気がするか
らちょっと待って欲しいような、そんな感じ。
確かに彼女は他の人と比べると少々奥手というか、あんまり積極的な人間じゃないけ
ど、今回はソレが際立って見える。
彼女は時折小さく、ぁー、とか、ぅー、とか唸っているし、もじもじと指を動かし続
け、視線は泳ぎっぱなしだし、終いには顔を俯けてだんまりになってしまった。
いや、なんとも煮え切らない。
僕はただ待つことしかできないから、これまた煮え切らないのだが。

僕は一つ息を吐くと、彼女に背を向ける。
彼女が顔を上げたことが背中越しに感じられたが、何かを言う前に先手を打つ。

「ちょっと待ってて」

言いながらちらりと時計を見ると、もう十一時前だった。
随分と長い間、あんな煮え切らない空気の中に居たらしい。
話すことを大分迷っていたみたいだし、もしかしたら長い話になるかもしれない。
夜も遅いし、眠気覚ましに珈琲でも淹れようかな・・・
まぁ生憎とインスタントしかないのだが。
簡易キッチンの流し台からマグカップを二つ手に取り、インスタント珈琲の粉を瓶か
ら目分量で振り入れ、そこから給湯ポッドに入れてあったお湯を注いで珈琲を淹れ
る。
ふわりと香るのは珈琲の持つ独特な深くて芳ばしい香り。
最近のインスタントってのは馬鹿に出来たモノじゃないなぁ、と思いながら手早くミ
ルクと砂糖の入ったケースを引き寄せてで味を調節しようとする。
僕はいつも通り何も入れずにブラック。
フェイトはブラックが少々苦手だから角砂糖を一つだけ投入。

―――そういえば何時の間にやら、僕はフェイトの珈琲の嗜好を覚えていた。

もはや身体に馴染んだとしか言い様が無いような、そんな淀みない動きで砂糖を黒い
液体に満たされたカップに入れている。
彼女とは・・・いや、なのはとはやても含めて彼女ら、か。
もう十年来の付き合いだが、とりわけフェイトは他の二人に比べてよく珈琲を飲んで
いた覚えがある。
なのははどちらかというとココアとか紅茶とか、甘めのモノが好きだったし、たまに
珈琲かと思えば砂糖大目でミルクたっぷりのカフェオレだったりする。
ブラックは飲めないのか、と訊いてみたところ、今にも崩れ落ちてしまいそうな脆い
苦笑いが返答だった。
はやては断固として日本茶とか紅茶の御茶嗜好だったし、飲むとしても精々自販機の
缶コーヒーだった。
珈琲・・・特に無糖のブラックに至っては飲んでいるのを見たことが無い。曰く「あん
なモン飲めるかー!!」らしい。
そしてフェイトは、ブラックは飲めないこともないのだが少々飲みづらいと言ってい
て。
だからせめて、とばかりにほんの少しだけ砂糖を加えるのが彼女のスタイルだ。
・・・ミルクじゃないのはひょっとするとリンディさんが原因かなぁ?あの人ミルクよ
り砂糖の比率が多いし。
そんなことを頭の隅で考えてすぐに破棄、淹れ終えたカップの一つをベッドに腰掛け
ている彼女にはい、と手渡す。
彼女は短くありがと、と言って両手でカップを挟むように持って早速珈琲を啜り始め
た。
カップに触れる、柔らかそうな小さな唇は血色の良い赤色をしていて、何処か扇情的
な艶を含んでいる。
なんだか熱い。ドクドクと脈打つ僕の心臓はいつもよりも早鐘を打ち続けていた。

「ん・・・いつもと同じだ」

そう言って口元に静かに笑みを浮かべ、ほんのりと頬を染める彼女に、ほんの少しド
キッとした。

―――彼女のこういう、綺麗な笑顔を見ると決まって跳ね上がる僕の心臓。
僕自身の顔のほうに血が集まって、熱くなるのが分かった。
それを誤魔化すようにして、僕は珈琲を啜り始める。
立ち上る湯気に混じって香る、何処か爽やかな豆の香りが鼻を衝く。
そしてコクの深い苦味と、仄かな酸味が口の中に広がる。
・・・本当に最近のインスタントは馬鹿に出来ないモノだなぁ。
まるで挽き立ての淹れ立てを飲んでいるような気にさえなってくる。
僕もまた彼女とはある程度の距離を取ってベッドに腰掛けた。

僕は何も言わずに珈琲を啜り続ける。

彼女も何も言わずに珈琲を啜り続ける。

どことなく心地よい沈黙が部屋を支配して。

僕らはしばらく黙ったまま珈琲を啜り続けた。



―――互いに珈琲を啜り始めて三分くらい経った頃だろうか。

彼女が俯けていた顔を上げたのは。
さっきまでの優柔不断な雰囲気は払拭されていて、覚悟の決まった、一本筋の通った
ような真っ直ぐな瞳で僕を見てくる。
ソレを確認した僕はもうほとんど中身の残っていないカップを手に持ったまま、彼女
の話を聞く態勢に入った。

「それで、こんな夜遅くになにかな?フェイト」

僕がそう尋ねると、彼女の真紅の瞳がまた一瞬揺れたが、すぐに真っ直ぐとしたモノ
に戻る。
うん。本当にもう迷いは無いらしい。
・・・けど、顔が赤いままなのはどうしてなんだろうか?
ほんの些細な疑問に過ぎなかったが、無性に引っ掛かる。
そんな疑問を押し流そうとでも思ったのか、僕は無意識の内に残りの珈琲を口に流し
込んで。
同時に彼女が静かに、ガチガチに固まった様子で口を開く。
やっぱり顔は真っ赤なまま・・・というかさっきよりも赤くなっている。
なんか林檎みたいで可愛いなぁ、とか考えて、珈琲を嚥下する。
ごくり、と喉が蠕動するのと同時に、彼女の唇から声が紡がれて。



「夜這いに来ました・・・!」



なんて、とんでもない言葉が聞こえた。




to be continued...







懺悔部屋。

まずはまだまだ至らぬ小僧に執筆許可を下さったG-WING様に無上の感謝を。
そしてやや見切り発車気味ですごめんなさい。
後編はしばらくしたら書けると思います。
待ってていただけると嬉しいかなぁ、と。





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