前フリ。

2ルート目です。
今回のお相手は我らがお母さん、八神はやて陸上二佐です。
なのはさんとウィニーさんは後まわ・・・後のお楽しみです。
ネタ自体は考えてあります。
ただ時間が無いんです。
それと人様のキャラだからウィニーさんは動かしづらいです。
設定提供までしてもらってあるのに申し訳ない。

とにもかくにも2ルート目・はやて編です。
どぞ。











掌に触れる、柔らかな貴方の温もり。

ソレは、そっと胸の奥に満ちていて。

過去の哀しかった孤独を溶かしてくれるような安らぎをくれる。

何気なく交わす言葉を、もっと重ね合わせていきたい。

笑顔が霞んでしまわない様に、心と心で触れ合いたい。

歩んできた時間は、凍えてしまった私の手を暖めてくれる温かい手。

優しいその手で握り締めてくれるのを願って、私は瞳を閉じる。

巡り往く時を過ごしていきたい。

私と貴方、二人手を繋いで歩いて往きたい。

愛しさと、優しさの強い気持ちで、あたためて。

貴方の手は、私の手を握ってくれていますか?





人の繋がりがもたらす出会い・アフター
ROUTE2・はやてルート
〜愛しさと優しさと〜






「六課に出向だ、ユーノ・スクライア無限書庫司書長」
「・・・は?」

いつもみたいに無限書庫で仕事していたら、いきなりやって来たクロノ。
この男が直々にやって来る、というのはかなり珍しいコトだったのでちゃんと話を聞
く態勢になったら、いきなりコレである。

「いや、ちょっと待て。一体なんでいきなり・・・?」

理由を教えろよ、と目の前のクロノに尋ねようとして、

「理由を言ってください理由を!」

いきなり横から代弁者が現れた。
僕とクロノは正に鳩が豆鉄砲を喰らったような表情で、声の主である彼女を振り返っ
た。
振り返った先には、黒いロングスカートに黒い長袖の上着を着てさらにゆったりとし
た黒いローブを纏った、正に黒尽くめの女性。
ウィニー・タロス。
それが彼女の名前だ。
二ヶ月ほど前にリンディさんから僕のお見合い相手として紹介され、紆余曲折を経て
現在無限書庫勤務になった女性である。

そんな彼女に絡んで、僕はちょっと複雑な立場に居る。
お見合いの相手・・・要するに生涯添い遂げるつもりの相手、という訳だ。
性質が良いのか悪いのか、僕は彼女に本当に好かれてしまっている。
それだけではなく、此処十年来の幼馴染である、なのは、フェイト、はやての三人に
も、同系統の好意を向けてもらっているのだ。
傍から見れば羨ましがられるみたいだが、実際には精神的な苦痛でしか無い。
正直に言ってしまえば、四人が四人ともかなり美人なのである。
この中から一人選べと言われて悩むのは普通なんだろうが、僕はそれ以外でも悩んで
いた。
自分の気持ちがわからないのだ。
そう、僕は四人ともが「好き」で、けれど「好き」では無いかもしれないから。
LikeとLoveの境界線が分からない、だから今こんな風に僕の心は揺れ続けている。
そんな僕の心情なんかお構いなしに、クロノは話を続けていく。

「機動六課部隊長並びに後見人である三名の了承の下、ユーノ・スクライア無限書庫
司書長を短期間だけ六課の人材補助として出向してもらう、というだけですよ」

ちなみにお前に拒否権は無い、と付け足して、ふぅん、とどっかの青い眼をした白い
龍を贔屓にしている男っぽく偉そうに僕を鼻で笑ってくる辺りコイツが本気でムカツ
イてくる。
ちょっと怒りを握りこんだ拳に籠めてマジ殴ろうかなぁ、とか考えていると、

「じゃあ私も補佐として付いて行きます!」

と偉く威勢のいい声で彼女は言うが、

「残念ながら、ソレは出来ません」

とクロノの奴にあっさりと却下されてしまった。
なんでもこれ以上人が抜けてしまうと書庫の仕事効率が著しく下がるらしく、コレ以
上の人員削減は危ういらしい。
なら僕が残ってウィニーが行けばいいじゃない、とか思ったがきっと言わない方が良
いんだろう、良いに決まってる。
・・・あぁそうさ。どう考えても彼女らが僕の代わりを許すはず無いもんなぁ・・・下手を
すると拉致られるかもしれない。

六課に出向、ということは必然的に其処に所属している人間と顔を合わせることにな
る。
ぶっちゃけて言ってしまうと、なのは、フェイト、はやての三人は絶対だ。
というよりもむしろこの話の元は間違いなく六課の部隊長であるはやての策略に違い
ない。
職権濫用、っていう言葉が頭に思い浮かんだが、敢えてソレを打ち消しておいた。

それでまぁ、結局僕自身が出向くコトに落ち着いた。
ウィニーは最後まで徹底抗戦の構えを取っていたが、途中で祖父であるマクガイアさ
んから呼び出しを受けて敢え無く戦闘終了。
それにしても、この前といい今回といい、よく呼び出されるなぁ、ウィニー。
彼女の魔法は確かに以前の勤め先だった探索課にピッタリの魔法だったから、戻って
来いとでも言われているんだろうか?
・・・もしそうなら、ソレを突っぱねてでも書庫に居てくれている彼女に申し訳なく思
う。
僕の気持ちは、いったい誰に向いているのだろうか。
いつかはきっと答えが出るのかもしれない、そんな不確定な問いを胸に秘めたまま僕
はしばらくの勤務先になるだろう、幼馴染たちの居る機動六課へと足を向けた。






「・・・此処かぁ」

見上げた建物は、新築というわけではないけれど確かな新しさの感じられる白い建
物。
正面入り口や、その付近には木々の緑や花が植えられていて、温かい雰囲気が感じら
れる。

―――こういう温かみの感じられるモノが、僕は好きだ。
まるで親の腕の中で抱かれているような、そんな安心感を感じられる気がするから。

いや、僕には親が居なかったからそんな経験は無いはずだ。
とすると今の感想は変なのだろうな。
確かに、『親』・・・引いては『家族』というモノに対して、僕は飢餓感のようなモノ
を感じる時がたまにある。
物心が付く頃には既に『スクライア』という部族の一員として過ごしていたし、長老
から僕が捨て子だった、という話も聞いてあった。
一族のみんなは僕のことを『家族』だと言ってくれたけれど、どうも実感が湧かな
かったのが現実で。
きっと物足りないのだと、思っている。
明確な繋がりを持った、『本当の家族』が欲しいのかもしれない。

例えば、それは血であったり。

例えば、それは伴侶であったり。

例えば、それは子であったり。

きっと、『繋がり』を求めるのならば様々な答えがあるのだろうと思う。

―――止めよう、答えの出ない問いなんかに感けている時間は無いだろう。
それにきっと、こんなコトなんか考えてれば彼女に一発でバレ―――ん?ちょっと待
て、今誰を―――?

不意に心の内から浮かび上がった彼女の顔が、思考を中断させた。
どんな時でも明るく笑い、冗談を言って場を和ませるのが得意だった彼女。
人一倍他人の感情に対して敏感で、優しくて、『優しさ』を知らなかった彼女の今の
家族に、そっと手を差し伸べている彼女の姿が見えた気がした。

「・・・早く行こう」

僕は幻視したその光景を頭を振ることで脳裏から消して、脚を一歩踏み出す。
いい加減いい時間でもあるし、早く行ったほうがいいだろう、などという外面だけの
言葉が、僕の心を覆っていた。

―――彼女に逢いたい、などと考えた本心を。



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「本日付で此方へ短期間ですが勤務させていただくことになりました、ユーノと言い
ます」

着慣れないブラウンの陸士制服を着て、未だに慣れない敬礼をしながら僕はそう名
乗った。
目の前には、機動六課の主だったメンバーが集っていた。
部隊長であるはやてはもちろん、なのはとフェイト、八神一家は揃い踏みだし、
近く会ったばかりの姿もあれば、久しぶりに見た姿もあるし、初対面の人間の姿もあ
る。
皆が(一部を除き)好奇の視線で見てくる微妙な空気。
そんななかでも、僕は極自然とその場に居た。
こんなことでいちいち緊張なんかしていたら学会とかに参加は出来ないだろう・・・と
いうか、僕も初めは緊張していたが、学会とかの発表の場でのあの空気は慣れるしか
なかった。
だから、もう幾度もそんな場を設けてきた僕はこういった空気には慣れている。
それでもまだ自分の論文発表のときとかは緊張したりするけれど、今は些細なこと
だ。
そしてまばらに起こる拍手。
それが鳴り終える頃に、此処の最高責任者である幼馴染の一人が、

「はい、というわけで今日からよろしく頼むで、ユーノくん?」

いきなり普通に接してきましたよ。
いいんだろうか、こんなので。
あ、なんかなのはとフェイトが「しまったっ!?」って顔をしてるのがちらっと見え
る。
はやてははやてで、してやったりな顔をしているあたり確信犯だ。間違いない。

「とりあえずユーノくんはロングアーチの後方スタッフに就いて貰うんで、みんなよ
ろしくな?」

そう言って可愛らしくウインクを決めるはやて。
だからこんなのでいいんだろうか、本当に。
なんかみなさんポカーンとしてるんだけど。

「あー・・・よろしくお願いします・・・」

―――かくして、僕の機動六課での日々はスタートする。



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配属されたのは、機動六課の後方スタッフであるロングアーチ。
主に各人のデバイスメンテナンスや、情報処理などを担当する部隊。
非常時では戦闘のモニターや通信管制などを司る、いわゆる組織の心臓部分だ。
僕が配属されるには、ある意味で最も適していると言えた。
前線部隊であるスターズやライトニングに配属されたとしても、僕自身に出来ること
といえば結界展開や防御だけ。
敵との戦闘では囮くらいにしかならない僕にはおよそ合っているとは思えなかった。


最初の数日は、無限書庫に居た頃とあまり変わりの無い事務仕事。
簡単なレポートや資料の整理で、あちらに居た頃よりも遙かに量が少なくて微妙に手
持ち無沙汰だったのが哀しいような、嬉しいような複雑な気持ちだった。
そのうち他の人の書類仕事の手伝いにも駆り出されたり、わざわざ無限書庫から回っ
てくる依頼に追われたりで、騒がしくも穏やかな六課の日々を過ごしていて。

まぁそんな数日の間にも実に様々なイベントがあった。
なのはがお弁当持ってきて迫ってきたりとかフェイトとドライブに出かけないかと誘
われたりとかウィニーが突如通信掛けてきたりとかフォワード陣の模擬戦に駆り出さ
れたりとか。
うん、まぁいろいろだ。あまり思い出したくないコトもあった。

そんなある日、書類仕事を終えた僕に新しく回された仕事と言えば。

「ユーノさん、よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げながら言うのは、リインフォースで。
此処はデバイスチェックルームで。
要するに本日最初の仕事は、リインフォースのメンテナンスでした。なんでさ。
今ではデバイスマイスター資格を持っているシャリオが六課のみんなのデバイスのメ
ンテナンスを受け持っているらしいが、当の本人は現在はやてに呼び出されている。

なんでもこの間の戦闘データの回収と編集をするためらしい。
そして間の悪いコトに今日はリインフォースの『定期健診』の日で、今は外せない
シャリオの代わりに僕、という訳らしい。

リインフォースの誕生に最初から最後まで関わってきた僕は、今までにも何度かこう
いった検査を受け持ったこともあったけど・・・
もうここ数年ほどは本とかペン・・・およそメンテや検査などの行為とは無縁なモノし
か弄っていない気がする。
正直上手くやれる自信があまり無いのだけれど。
そんな僕の心境を知ってか知らずか、リインフォースはニコニコと笑みを浮かべなが
ら制服を脱いで・・・なに?

「ストップ、リインフォース」
「ふぇ?どうかしたですか?」

声をかけてすぐに止まってくれたことに少しだけ感謝しながら、リインフォースの姿
を眼に映すまいと顔を手で覆った。
簡潔に言ってしまうなら、今のリインフォースの姿は少々刺激が強すぎるから。

「・・・なんで服脱ぐの?」

本当にその必要性があるのかが問いたいと思っていた僕は思わず口に出していた。
リインフォースは一瞬ぽけっとした表情を曝け出した後、すぐに何かに思い当たった
ようにポンと手を打った。

「すみません、いつもの癖で・・・」

えへへー、となにやらだらしないような、和むような笑い声を出すリインフォース。

その小さな外見に見合う、少女の可愛らしい笑みに一瞬だけ頬が緩むのが分かったけ
れど、敢えてソレを打ち消す。
それにしても、いつもの癖、ってことは此処ではコレがデフォルトスタンダードだと
いうことなのだろうか。
『リインフォースU』という『ユニゾンデバイス』全体でのメンテナンスならば
チェック用の機械に通すからそれは確かに必要だが、今回は『定期健診』だ。
『八神リインフォース』という『一人のヒト』としての健康状態をチェックすること
が、今回の僕の仕事だ。

「ちゃんと服着てね?」
「はいですー」

いそいそと一度脱いだ制服をもう一度着直すリインフォース。
こういった素直な態度を見ると、この娘はつくづくいい娘だと思う。
はやての優しい性格とか、そういうのにちゃんと影響を受けているからなのだろう
か。
僕はリインフォースがちゃんと着直したのを確認して、ようやく真面目な声を掛ける
ことが出来た。

「はい、じゃあ普通のサイズになってくれる?」
「はいです。・・・システムスイッチ、アウトフレーム・フルサイズ!」

そんなトリガーボイスと共に銀光に包まれるリインフォース。
光が収まると、其処には30センチほどの小さな少女が浮遊しているのではなく、10歳
前後の小さな少女が立っている。
リインフォースはその姿を取るのが久しぶりなのか、軽く身体を動かした後、ちょこ
んと丸椅子へと腰掛けた。

「では、改めてよろしくお願いします」
「うん、了解しました」

そう言って、僕は久しぶりに人体用探索術式を奔らせた。


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「そういえば、こうやってユーノさんに検査してもらえるの随分久しぶりですね」
「そうだね」

リインフォースの頭に手を乗せて、頭の中に流れ込んでくる大量のバイタルデータを
理解しながら僕は言葉を返す。
この娘が生まれてもう八年になるが、そのうちの半分・・・もう四年ほどこの娘のメン
テ、或いは検査に立ち会っていなかった気がする。
あれから随分とデバイス工学も進歩したことだし、確かに僕以外でもユニゾンデバイ
スのデータ解析は可能になった。
生まれてすぐの頃は、エラーデータの内容なんて誕生に関わったごく一部の人
間―――主に僕やマリーさん―――ぐらいにしか詳しいことはわからなかったし、な
によりはやて自らが検査員を僕に指名してきたのもあった。
曰く、

「一番『父親』に近い人がやらんでどないするん?」

だそうだ。

確かに僕はある意味でリインフォースの『父親』と呼べるモノでもあるかもしれな
い。
リインフォースを今のカタチに持っていくまでは何度も試行錯誤を重ねて、やっと今
がある。
動作不良が起こったり壊れたりするたびに蒼天の書のバージョンアップに僕も付き
合ってきた。
無限書庫に眠っていた古代ベルカ式魔法の記述、アームドデバイスの設計図、融合事
故に関する報告書、ユニゾンデバイスの設計思想、etc・・・
数々の資料を引っ張り出してきて、それらの知識と技術を総動員して誕生した八神家
の新しい家族。
スタッフの中には八神家一同はもちろん、本局の最高峰の技術局員達に僕も混じって
いて。
中でも実体化プログラム、アウトフレームシステム、ユニゾンシステム、人格プログ
ラムといった『ヒト』として、そして『ユニゾンデバイス』としての中核を担うプロ
グラムは僕の手によるモノだ。
書庫から見つかった複雑怪奇な記述を翻訳し、それを元に組み上げたプログラム。
開発局の人たちの知識と技術、そしてはやてたち『家族』の努力と想いの結晶が、リ
インフォースとして生まれたのだ。
それにしても、僕が『父親』、ね・・・なんだか奇妙なモノだと思った。

「んぅ・・・」
「・・・?どうかしたの、リインフォース?」

急に甘さを含んだ声を漏らしたリインフォース。
いったいどうしたのだろうか、僕は少し疑問に思ったけれど、答えはすぐに分かった
し、教えてくれた。

「もっと、頭撫でてほしいですー・・・」

気持ちよさそうに、うっとりと目を閉じながらリインフォースは呟く。
いつの間にか、無意識に僕は彼女の頭を撫でていたらしい。
未だに探索術式は奔ったままだったが、もうしばらくすれば終わるだろう。
だったら、こうしてあげるのも悪くは無いかもしれない。

「・・・甘えたがりだね、リインフォースは」

そう言って、意識的に手を動かし少女の髪を撫でる。
さらさらとした銀と空の混じった髪は、生身の人間のモノと全く違わない感触を僕の
指に伝えてくる。
伝わるのは感触だけじゃない。
子ども特有の少しだけ高い体温の温もりと、柔らかさもまた伝わってくる。

「ユーノさんの手、気持ちいいですからー・・・」

とろんとした様子でそう呟くリインフォースは、本当に気持ちよさそうに見える。
そんな様子が微笑ましくて、しばらく僕は髪を撫で続けていたけれど。

こうしていると、なんだか心が落ち着くのは何故だろうか?
ふと、そんなことを考えかけた時、不意にリインフォースが口を開いた。

「ユーノさん・・・あの、一ついいですか?」
「どうしたの?」

さっきとは一転して、はっきりとした声音。
少女の真面目で、真剣な表情を垣間見た僕は、一旦頭を撫でる手の動きを止める。
それはちょうど、検査も終わった瞬間で。
頭の隅で、身体に異常無しという結果が浮かび上がるのを理解しながら、僕は目の前
の少女に神経を傾ける。
そして、くるりと椅子ごと振り向いた少女は、僕の眼をしっかりと見据えて言うの
だ。

「・・・『おとうさん』って呼んでみてもいいですか?」

出てきた言葉は、僕の動きと思考を止めるには十分過ぎる衝撃を伴っていて。
紡がれた声は、子どもらしい、無邪気で何処か強い、ある意味残酷な響きを含んでい
た。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



朱金の陽が眼を灼くような輝きを放つ夕刻。
僕は隊舎の外、海に面した道路のフェンスに凭れ掛かってじっとしていた。

「『おとうさん』、か・・・」

あの後、ちょうど帰ってきたシャリオに任せて、僕は半ば逃げるようにデバイスルー
ムを後にした。
その時に盗み見たリインフォースの不思議そうな、哀しそうな表情が頭を離れない。


僕は、『家族』というモノに憧れを抱いていると同時に、恐れてもいるんだと思う。

それはきっと、僕自身が誰の、何処の子どもかも知れないという、不安や迷いと、も
う『スクライア』を名乗る資格が無いことがそうさせるのだろう。
長老は、僕を拾ったのだ。
新たな遺跡を発掘しようとして、その遺跡の前に捨てられていた僕を。
そんな僕を『スクライア』として育ててくれて、『家族』として接してくれた一族の
みんなには感謝している。
けれど、もう僕は『スクライア』の『家族』では無い。
『スクライア』の長老の命に背いた時点で、一族から追放処分を受けている僕に、も
う『家族』と呼べる人はいない。

だからこそ、恐いのだと思う。
僕のことを『父』だと思ってくれた小さな少女の笑顔を失うのが、恐い。

そのくせ、僕は少女の言葉を嬉しく思っている。
こんな僕が、『父』としてあの娘に接することができるのが堪らなく嬉しいのだ。


結局のところ、それらは僕自身の勝手なエゴイズムなのだけれど。


僕は、いったいどうしたいのだろうか。

『家族』が欲しいと思っているのに、『家族』を失うのを恐れて何も出来ない・・・い
や、何もしようとしない自分が腹立たしい。
僕のことを好いてくれているあの人の顔が頭に浮かぶ。
けれど、それは四人じゃない。
たった、たった一人だけだ。
『家族』に対する餓えと渇きを知っている、優しいあの娘の顔だけで。

本当に、僕は何がやりたいのだろう?
僕は、何を望んでいるのだろうか?

そんな時だった。

「随分と辛気臭い顔しとんな、ユーノくん」

独特のイントネーションの柔らかい少女の声。

「・・・はやて?」

柔らかなブラウンの髪が風に揺られて、空色の瞳が僕をじっと見詰めていた。





to be continued...






懺悔部屋。

展開が無理やりです。
内容が支離滅裂です。
文章が滅茶苦茶です。
はやてルートのはずなのにリインルートっぽいです。
それもありかもしれないと思う画面の前の人はロリコンです。仲間です。
けどリインが可愛いのはジャスティスです。絶対不変です。
どっかの凸ヅラが乗ってる無限正義よりもよっぽど正義です。
それにしてもなんだ定期健診って。無理やりにも程がある。
俺は馬鹿か。馬鹿なんだな。
お医者さんごっこなんか誰がご所望だっつーの。
所詮俺はその程度の技量しか持っていないんです。
吊ってきます。続きはそのうちできるかもしれません。





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