デモベクロス案その1

マスターオブネクロノミコン・ユーノ



切欠は、無限書庫で見つけた一冊の本だった。

「ほう・・・汝、魔導の臭いがするな?」

本から現れたのは、白い少女。

「キミは・・・?」

手にしたのは、魔を統べるための術。

「我が名は、アル・アジフ。アルハザードの遺産にして、最強の魔導書だ」



僕、ユーノ・スクライアに訪れた突然の事態。



「なんだこの魔力反応・・・!?」

観測された、暴虐的なまでに圧倒的な、禍々しい魔力。

「蛸の目をした巨大な化け物?」

ちらつく正体不明の化け物の存在。

「人が石になるだって?」

管理外世界で起こる、謎の怪事件。

「ハはははハッ!見ロっ!!神のフっかツだ!!」

紡がれる闇の呪詛は、人を、世界を犯していく。

「やらせない・・・やらせるもんかっ!!」

だが、闇の裏には光があった。

「永劫っ!!」

其れは、黒き闇を纏う光。

「時の歯車、断罪の刃!久遠の果てより来たる虚無!!」

其れは、黒き刃金の魔人。

「永劫っ!!」

其れは、機械仕掛けの神。

「汝より逃れ得るものは無く!汝が触れしものは死すらも死せんっ!!」

其れは、魔を以って魔を焼き滅ぼすために現れる。


デウス・エクス・マキナ
ご都合主義の鬼械神


「我が鬼械神・アイオーンに勝てると思うなよ、蛸もどきが!!」
「ふんぐるい、ぐるうなふ、くとぅぐあ、ふぉまるはうす、んがあ・ぐあ、なはるた
ぐん・・・イア、クトゥグアッ!!」

駆け抜ける紅の暴力は、世界を灼き尽くす。

「凍てつく荒野に飛び立つ翼を・・・!」
「シャンタクッ!!」

蒼穹を舞う黒の魔神は、人を見守る眼となる。





コレは、ある魔導書の辿った歴史の一つ。
ほんの少しだけの、寄り道の記憶。

コレは、ある青年が迷い込んだ路の一つ。
ほんの少しだけの、物語のページ。





「いつかきっと、キミは『ヒト』と生きていけるさ」

「ふん・・・つくづくおかしな主だな」

「それじゃあ、僕の一瞬の相棒、アル・アジフ」

「ではな、我が刹那の主、ユーノ・スクライア」

「願わくば、この世界が闇に染まらぬことを」

「大丈夫さ。だって、キミたちが居るから」





それは永劫に続く、少女の記憶の一つの断片。

それは刹那に輝く、青年の記憶の一つの矜持。





―――汝、魔を断つ剣へ続く路と成れ―――









デモベクロス案その2

魔神双聖デモンベインStrikerS



「婦女暴行事件?」
「そんなレベルで済んだらええんやけどなぁ・・・」

ミッドチルダを騒がせる、謎の怪死事件。

「・・・っ!ゴメン、ちょっと」
「エリオとキャロは見ちゃダメ!」

ソレは最早人とは呼べぬ、腐臭を漂わせる肉の塊。

「犯人は、まず唯の人間やないな」

ソレは犯され侵され冒された、ヒトの姿の成れの果て。

「此処が大十字探偵事務所・・・マジで?」
「マジみたいよスバル・・・」
「なんか・・・すごいですね・・・」
「・・・本当に居るんでしょうか・・・?」

管理局とは別に、独自に事件を追う者たち。

「めしー」
「めしー」
「こんの糞親父がああぁぁっ!!母上もです!!」
「諦めなさい、九朔・・・私もめしー」
「てけり・りー」
「き・さ・ま・らあぁぁぁぁぁぁっ!!」

とてもそうとは考えられない、穏やかで賑やかな家族の姿。

だが、事件が再び始まるとき、彼らは変わる。

人として戦い、戦い抜いて人を棄て、人を超えたヒト。
人と魔、その狭間の者として生を受けし人ならざるヒト。

「悪いんだけど、あんたらは引っ込んでな」
「うむ。人間如きが踏み入れてよい世界では無いぞ」

氷のように冷たく、炎のように熱い目をした、魔を以って魔を滅ぼす、魔術師。

「ここから先は人外魔境。外道を以って外道を狩る、我らが領域」
「ぶっちゃけ、あなたたちは邪魔にしかならないの、わかるかしら?」

鋼のように硬く、刃金のように鋭い意思を持った、外道と識りながらも進み往く、騎
士。

そして現れる、犯人の姿。

「げきゃきゃきゃきゃ!?逢いたかったわよぉ、大十字九郎ぉぉぉぉぉっ!!?」

道化のような、悪魔のような、醜悪な人ならざる人。

「いい加減死んどけっ!この精神的ブラクラ野郎っ!!」
「つくづく目障りな腐乱死体だな、貴様は!!」

響くのは銃声、銃声、銃声。
輝くのは銃光、銃光、銃光。
貫くのは魔弾、魔弾、魔弾。

「滅びろ外道!」
「死者は死者らしく、土の中でおねんねしてなさいっ!!」

奔るのは剣閃、剣閃、剣閃。
煌くのは魔光、魔光、魔光。
斬るのは鋭刃、鋭刃、鋭刃。

「コレが・・・」
「魔術師・・・」
「規格外にもほどがあんなぁ・・・」

驚きの隠せぬ若き魔導士たち。

だが、事態は急変する。

たった一つの意思に因って。

『どうせなら、こんなサブイベントもまた一興だろう?』

永劫に廻り続けている盤遊びのイベントの一つとして。

「妖蛆の秘密《デ・ウェルミス・ミステリイス》が鬼械神・ベルゼビュート!暴食せ
よ!!」

現れる巨大な異形。
それは人の意思を冒し侵し犯す、狂気の魔。

だが、抗うのが人なのだ。

「こんな、ところで・・・終われないのよっ!アタシはああぁぁぁっ!!」
「あたしは、往くんだ!あの人みたいに、空を駆けるんだ!だから、止まれな
い!!」

立ち上がる橙の弾丸と、不屈の魂を継ぐ蒼の闘士。

「もう・・・嫌なんです。こんなのは・・・だから、立ち向かいます!」
「僕はキャロは守る・・・なんとしてもだ!命を賭けて、護るんだ!!」

挫けぬ桃の龍姫を護る、雷光の小さな赤い騎士。

そう、人は抗い続けるのだ。

成す術も無く、ただ邪悪に貪られ、理不尽に、無意味に、陵辱され続けていても。

例え消えそうな僅かな光でも、追い続けるのが人なのだ。



故に。



優しき神は、人を見捨てたりはしない。




「「憎悪の空より来たりて・・・!」」

魔術師と騎士の、斬魔の聖句が唱和する。

―――I'm innocent rage.

「「正しき怒りを胸に・・・!」」

本たる魔と、人たる魔の機神の咆哮が轟く。

―――I'm innocent hatred.

「「「「我等は魔を断つ剣を執る!」」」」

魔を以って魔を討つ四人の戦士の祈りが空へと響く。

―――I'm innocent sword.

「「「「汝、無垢なる刃!!」」」」

ヒトを超えてなおヒトとして生きる四人の家族の切なる叫びが明日への路を拓く。

―――I'm DEMONBANE.―――

「「「「デモンベイン!!」」」」






「「星が照らす優しき世界に」」

ソレは、蒼い闘士と橙の弾丸の進む路。

「「汝ら暗闇、蔓延る場所無し」」

ソレは、魔を断つ大剣の芯たる意志。

「「渇かず!」」
「「飢えず!」」

「「「「無に還れ!!」」」」

ソレは、魔を滅ぼす、星の威光。

「「「「スターライト・インパクトオォォォォッ!!」」」」




「「龍が持つ破魔の瞳は敵を射抜き」」

ソレは、魔を断つ双剣の一筋の意志。

「「猛る怒りは雷撃の引き金を絞り」」

ソレは、桃の龍姫と赤き騎士の願う未来。

「「「「魂は、弾丸に宿る!!」」」」

「「謳え!破魔の龍神!!」」
「「雷鳴葬送曲《ライトニング・ブリッツ》!!」」

ソレは、闇を撃ち抜く、龍の雷撃。

「「「「圧唱、圧唱、圧唱《クライ・クライ・クライ》!!」」」」





人として戦い、戦い抜いて人を棄て、人を超え、神の領域に登り詰めたヒト。

人と魔の狭間のモノとして生を受けた、人とも魔とも違う、人ならざるヒト。

彼らは、時としてこう呼ばれる。

最も旧く、最も新しい、ヒトを、世界を導く神々の一柱。

旧神、と。



コレは、一つの物語。

長く、永く続いている神々の物語の、ほんの一ページ。







懺悔部屋。

ネタ以外の何物でもないです。
でも一応解説をしておこうかと。

その1はデモベ本編ではなく小説版『機神胎動』を読めばある程度分かるかと。
はい。ユーノがアズラッドよりも以前の契約者、という設定のネタですね。
死霊秘法の主は大抵復讐とかで手にとって来て、ソレの途中で死ぬか完遂して手放す
かのどちらか、という設定の中から思いついたのが、『じゃあ中には死ななかった奴
も居るんじゃね?』という軽挙妄動なこと極まりない話。
コレがマスターユーノの雛形でした。

その2は機神飛翔True後の妄想家族設定から引っ張ってきました。
旧神として世界を廻っている最中にティベリウスの反応をキャッチした九郎たちが
ミッドチルダに来た、というどうしようもない妄想厨設定。
正味な話、無茶が過ぎるかと思ったがリリなのにデモベを混ぜるならこの二つくらい
しか思いつかなかったんですすみません貧困な頭で。
最後の必滅奥義もネタ。中二病全開ですすみません。





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