――――管理局を、ひいては世界を震撼させたJ・S事件の終結より、数えて4年。
 
 世紀の天才、ジェイル・スカリエッティが用意していた、最後の一手が動き始める。
 
  目覚めるは『2』の称号を関する最高傑作。姉妹達の中で、唯一機能停止を確認された者。
 
 
 
「――――そう、アルハザードにおいては、当然の備えだよ」
 
 
 壁に1461番目の傷を刻みながら、スカリエッティは独りごちる。
 
 
「…………さあ、勇壮で愚かな管理局諸君、今一度宴に付き合ってもらおうか!」
 
 
 
 
「――――ヴィヴィオ、緊張してる?」
 
「大丈夫だよ、ママ。だってヴィヴィオは、ママの子だもん!」
 
 
 
 ――――簡単な任務だと思っていた。
 
 第48管理外世界で検出された、微弱なロストロギア反応の調査。
 
 それが、当月第一日付けで、管理局嘱託となったヴィヴィオにとっての初仕事だった。
 
 
 
「――――このロストロギア、起動してるっ!?」
 
「ヴィヴィオ、離れなさい!!」
 
 
 情報と食い違う現状。しかし発動したロストロギアは、母娘に何の外傷も与えず――――
 
 
 
 
「クアットロ、あなたならこの手札をどう活かすかしら?」
 
「そうですわね…………こんな趣向はいかがですか、ドゥーエ姉様?」
 
 
 張り巡らせられた謀略は、斑蜘蛛糸の如く、母娘を絡め取り――――
 
 
 
 
「――――どうして! なんでわたしの言う事を信じてくれないのっ!? 答えて、フェイトちゃん!!」
 
「…………次元犯罪者の戯言に、耳を貸す執務官はいないよ、なのは」
 
 
 刃を向けるのは、無二の親友。
 
 もの言わずとも通じたはずの心は、しかし届くこと叶わず――――
 
 
 
 
「…………返して……ヴィヴィオを、返してっ……!」
 
「……もう立つなよ。いくらお前でも、あたしとテスタロッサを連続で相手して、勝てるわけねえだろ。
 それに、犯罪者の娘として生きるのが、ヴィヴィオにとって本当に幸せなのか……考えてやれよ」
 
「わたしはっ……! 犯罪者なんかじゃ、ないっ!!」
 
「いけしゃあしゃあと……まだ吐かすのかよ! なのはぁっ!!」
 
 
 共に肩を並べたはずの戦友は、その鉄槌をもって不屈の心を砕きにかかり――――
 
 
 
 
「…………だからさ、ヴィータ。
 せめてその役は、僕にやらせてよ…………」
 
「――――う……そ…………。
 ……やだ…………いやだよ…………ユーノ君っ!!」
 
 
 最愛の青年は、瞳を交わそうともせず――――
 
 
 
 
《Master! Why abandon now!?》
 
「…………もういいよ…………もう、立ち向かえない…………」
 
 
 鉄の伯爵ですら、折る事の出来なかった心は、遂に膝を着いてしまうのだろうか――――
 
 
 
 【魔法少女リリカルなのは 〜A sacred pray〜】
 
 
 
「――――負けるわけにはいかないんです。
 なのはさんの事を信じられなくなった、弱いあなたなんかに!」
「…………言ってくれるね、ティアナ。なら、試してみようか? わたしが弱いのかどうか!」
「望む所です! わたしとスバルの二人なら、今のフェイトさんには負けませんっ!!」
 
『最強の凡人』ティアナ・ランスター。
『迷える閃光』フェイト・T・ハラオウン
 
 
 
「――――認めなあかんよ、リィン。今のなのはちゃん……高町一等空尉は、『敵』や」
「どうしてっ…………はやてちゃんっ!!」
 
『最後の夜天の主』八神はやて。
『祝福の風』リィンフォースU。
 
 
「本当は、フェイトさんが間違った道を進んだ時には、僕達が止めなきゃいけないんです。
 だけど……ティアさん、スバルさん、今はお二人にお任せします。
 ――――僕達は、フェイトさんが帰るべき場所を守り抜きますから」
「フェイトさんのこと、お願いします。
 わたし達は、わたし達のやるべきことを、して来ます」
 
『飛天の竜騎士』エリオ・モンディアル。
『優しき竜召喚士』キャロ・ル・ルシエ。
 
 
 
「……わたしが受け継いだのは、ママの砲撃だけじゃない!
 行くよ、エンジェル・ハイロウ!!」
《All right master. Get set, ―― form.》
 
『現世の聖王』高町ヴィヴィオ。
 
 
 
「――――初めて、かも知れんな。お前と本気でやり合うのは」
「面白ぇ……邪魔すんなら、てめぇだって容赦はしねえぜ、シグナム」
「容赦? 構わん、全力で来い。将の力、改めて思い知らせてやろう」
 
『烈火の将』八神シグナム。
『紅の鉄騎』八神ヴィータ。
 
 
 
「…………まったく、これだから君は、やりづらい」
「そのままお返しするよ。実戦を離れて久しい、しがない司書なんだ。もう少し油断してくれないもんかね?」
「残念だが――――断る」
 
『論理の申し子』クロノ・ハラオウン。
『無限書庫司書長』ユーノ・スクライア
 
 
 
「――――手にした魔法は、守るための力。この胸の誓いは、不屈の決意。
 わたしは、もう迷わない。
 守りたい人がいる。守ってくれる人がいる。
 だから…………レイジング・ハート!」
《Drive ignition.》
 
『不屈のエース・オブ・エース』高町なのは
 
 
 
 
 ――――たとえ、世界の全てが敵となっても……僕が、君だけの盾になる――――
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 <あとがき、と言うか戯言>
 
 あはははは、やってしまいました、かじりまるです。
 まだ1kbも書いてない長編の予告とか、正気の沙汰とは思えません(´・ω・)
 
 題名や、最後の一文で分かると思いますが、元々この話の軸となる部分は、水樹奈々さんの『pray』を聴いて思い浮かびました。
 その割にはなんかこう、色々矛盾している部分がたくさんある気がしますが、そこはまあ、やきもきして下さい(爆)
 
 予告内での台詞は、製作中のものであり、告知無く変更する可能性が以下略。
 上の台詞持ちの皆様は、活躍予定有りの方々で――――あ、スバルの台詞が無い(汗)
 全員分書こうかとも思いましたが、グリフィスやらルキノやらまで書かなきゃならんことに気付き、抜粋としましたw
 
 構想は殆ど纏まってるんですが、まだまだパズルのピースが2、3見つかってない感じなんですよね(苦笑)
 基本的には、途中に若干の鬱展開も入りつつ、全編シリアスでいくつもりですが、まあかじりまるですから、それは無理でしょうw
 ただ言えるのは、僕の性格上、ハッピー・エンド以外にはなり得ない、と言った所でしょうか。
 
 実際には、そろそろ着手し始める予定ですが、こちらの長編を上げる前に、いくつか短編を上げたいと思います。
 長編の終了は……今年中に出来れば良いな♪(お
 
 ちなみに、時間軸としてはこの長編辺りから、うちのヴィヴィオはデバイスを持ちます。
 上で出ましたが、『エンジェル・ハイロウ』インテリジェンス・デバイスで、詳細はまだ不明(マテ
 ユーノが持つデバイスも、もう決まってます。
 うちのユーノは、スタンダートなインテリジェンス・デバイスで、名前は『ガンダルフ』
 こちらは詳細は固まっていますが、実際のお目見えまではお楽しみと言うことで(笑)
 
 
 ではでは、長編のあとがきでお会い出来る事を、切に願っておりますm(__)m
 
 
 
 

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