中編


そして再びオフィスへ。


ス「終わった〜!」

コウが言葉攻めで倒れふしてから1時間、ようやくスバルは書類を仕上げる。

コ「それじゃー訓練室に向かうか〜〜」

明らかに気落ちしハイライトの瞳で薄ら笑いを浮かべ立ち上がるコウ。

ウィ「本当にどうしよう?」

ノ「私が思い付く訳ないだろ。」

ス「ここはギン姉に責任とってもらったら?」

ギ「わ、私!!?」

エ「でも、あから様に壊れた状態ですよ?」

コ「ふフふフふ・・・しょせん俺はユーノ以下・・・ユーノ以下・・・」

キャ「今何を言っても駄目っぽそうですね。」

ティ「でも逆にチャンスね、まともにやったら一撃も当たらないだろうし。」

ウェ「ま〜これも一種の戦術と割り切るっす。」

ト「しかし、本当に上手く行くか?」

メンバーが訓練室に付くとコウは何時の間にか精神世界に立っていた。

【何を放心している?】

【貴方はあの子達がこれから立ち向かう驚異で命を落とさないか見極めるのでしょ?】

【我らは主を認めたからこそ力を貸している。】

(そうだった・・・俺はあの程度で心を折られてる場合じゃない。)

コウが踵変えると其所にいたのは紛れもなく闘いに身を置く戦士の表情だった。

コ「こっちは何時でも良いよ?」

一瞬にして立ち直ったコウにティアナは考えが甘かったと冷や汗を流す。

ス「さ、作戦タイム!!」

コ「認める。」


距離を置き、円陣を組み作戦を立てる


ト「やはり、そうそうこちらの思い通りにはならないようだな。」

ギ「これで心おおきなく全力で挑めるわ。」

ティ「でもどうします?私達が追っていた時はどう考えても全力は出してなかったみたいですし。」

エ「攻撃スタイルは中近型ですけど、長距離攻撃があるかも知れませんし。」

対バハムート戦ではコウは中距離を維持していたが長距離攻撃が無いとは考えにくい。

ウェ「ま〜確かにあの砲撃なら下手に距離問って戦うのは得策じゃなかったすしね。」

バハムートの無尽蔵とも言える光弾に耐用するなら下手に距離を置きチャージを長くとれば瀕死しかねない。

ノ「まーどっちにしろ、こう近中型が多いから戦法も限られてくるけどな。」

まともな長距離攻撃が有るのはティアナとキャロだけ。

キャ「でも下手に接近攻撃に出るとディレインバインドに捕まるかも知れませんよ?」

あの父がバインド系を教えない訳はないので不安なキャロ。

ス「うっ、確かにそれは厄介だね。」

はっきり言ってユーノ式のバインドは捕まったら力強くの破壊は不能。さすがにバインドを解析し処理する暇は与えないはず。

ティ「やっぱりどう考えてもスバル、ノーヴェ、ギンガさんに近距離をエリオ、ウェンディ、トーレさんは中距離、私とキャロ、フリードが長距離で支援攻撃の形ね。」

ト「ま、一番オオソドックスだがそれしかあるまいな。」

コ「もう良いだろうか?それで模擬戦の内容は?」

バハムートとの戦い、無限書庫で作業、大量の魔力を消費しているはずなのにそう感じられない。

ヴ「それじゃールールを言っとくぞ、コウは皆を戦闘不能又は3人以下にして30分耐えたら勝ち。ティアナ達はコウの両腕以外に直接三回ヒットさせるか4人以上残ったら勝ちだ。」

シ「それでは・・・初め!!」

シグナムの合図と共にスバル、ギンガ、ノーヴェが爆発的速度でコウに攻撃を仕掛ける。

コ「うん、いい踏み込みだ。」

コウは油断なく待ち構える。

ティ「やっぱり、コウさんはカウンター型のようね。」

これまでの戦闘でコウ自ら攻撃を仕掛けたのは魔獣出現時とシグナム戦、しかもシグナム戦では魔力が底に近かった。ここからティアナはコウはカウンター型の戦闘方法を取ると推測する。

ス「カウンター?なら・・・」

ティアナは先制攻撃を仕掛けた3人にコウがカウンター型だと注意をかける。

ノ「だったらアレで動きを封じまえ。」

ス/ギ「「リボルバーナクッル!!」」

本来なら簡単に回避出来るがコウはあえてラウンドシールドで受ける。

コ(む、この感じは・・・)

受けた衝撃以外の違和感を感じる。

ノ「もっらた!」

ノーヴェが確実に当たると確信した蹴りは僅に下がって回避去れる。

ノ「ちっ!」

ノーヴェが舌打ちするも、既に次の攻撃が迫っていた。

ス「ディバイ〜ン」

スバルに展開されたシールドは何故か四散し絶好の好機を生む。しかし、3人は全力でコウから遠ざかった。

ギ(何?今の殺気?)

ノ(まるで心臓を握り潰されそうだったぜ。)

ス(あのまま行ったらどうなっただろう?)

コウの余りの殺気に全員が恐怖を抱く程だ。

ヴ【さすがに今のは予想外だったな。】

シ【嗚呼、3人が引かなかったら割って入っても止めようと思う程だ。】

シグナムとヴィータでさえ背筋が凍ると思う程コウの殺気は危険だった。

コ(さすがに甘く無いな、まさか振動系の効果付だったとは・・・)

自身の甘さを痛感する。

ト「悪いがあの程度殺気ですくむ私ではない。」

いち早く復活したトーレがコウに一撃を叩き込むがコウは難なく受け止める。

コ「さすがですね。高速特化してると聞いていたがここまで速いとは、ですが・・・」

コウは肘で既にカウンターをトーレに入れいた。

コ「その程度では俺には届きませんよ。」

倒れ伏してくるトーレを優しく地面に寝かせる。

コ「!!」

コウは咄嗟に回避行動をとる、ほぼ紙一重にレーザーがコウを通り過ぎる。

ウェ「あのタイミングで避けた!?」

ウェンディの持つISエリアルレイヴから放たれるレーザーなら感知されず確実に一撃を与えられると思っただけに驚愕するばかり。

コ「さすがに今のはヒヤっとしたよ。ただ惜しかったのは・・・」

何時のまにか間近に近づかれたウェンディは反撃する間もなく気絶させられる。

コ「直ぐにその場を動かなかった事。せっかく姿を消す魔法をかけてもレーザーの用な直線武器を使ったら直ぐに移動は鉄則だ。」

もっとも、50m以上離れた場所に居たのに数秒で間合いまで近づかれるのは予想外だろう。

ギ「はぁぁぁ〜」

間入れずギンガが撲りかかるがコウはそれを同質技で相殺。

コ「本当に凄いな、普通ならこんなに早く仲間が倒れたら動揺するだろうに。」

称えながらも反撃は緩めない。迫り来るコウの攻撃にギンガは直ぐに回避出来なかった。

コ「む!」

ギンガを援護する様に魔力弾がコウを襲う。絶妙なタイミングな為コウは後方に回避するしかなかった。

ス「ギン姉大丈夫?」

しかし、ギンガは応える事なく青ざめ震える。スバルは余程恐怖を与えただろうコウに怒りを覚え攻撃をしようとコウを見据え姉が恐怖する理由が分かった。
片目だけ黒く染まり、紅く輝く光は『別の何か』を思わせる。
対してコウは違和感を抱く、不意に自身のバリアジャケットに浮かぶ自分の素顔を見てそれが何か理解する。

コ(なるほどな・・・)

その時のコウの表情は酷く絶望と悲しみを露にした。

キャ「フリード!ブラスト・レイ」

フリードから放たれた火弾はコウに直撃する。

キャ「両腕でガードされた!?でも・・・」

エ「でぁ〜」

この好機を逃がさないようエリオが突進する。

コ「剛双斧」

高らかに上げた足で大地を砕き砂塵で姿を隠す。
エリオは迷わず砂塵の中に入るがコウね姿は見当たらない。
ズズンと重い物が落ちた音と共に砂塵が晴れる。そこにいたのはフリードを墜したコウの姿。

コ(ふう、こんな龍まで慕える何てキャロちゃんは凄いな!)

コウは後方から近付く気配に咄嗟にその場から離れる。

ノ「くそ。」

ノーヴェは舌打ちする。

コ(いや〜危ない危ない、油断してないけど何気にピンチだな。)

試す何て考えた自分に反省するコウ。

コ(俺の中の《化け物》を引き摺り出す位の実力は有るんだ。)

コウは片目を閉じて素に戻す。

コ(気を引き締めないとマジでヤバイな。)

コウは右腕で構えをとった。

一方、部隊長室では・・・

乱れた服の上に幸せそうに眠る3人娘とちょっとヤリ過ぎたかな?と頬をかくユーノ。

ユ「でもこれで暫くは眼を覚まさないだろうな。」

ユーノはある場所に通信を繋ぐ。

?「はい、何かってユーノさん!?」

ユ「久しぶりだねグリフィス君。」

グ「何で部隊長室にいるんですか!?」

ユ「何でって。仕事が終わったからだよ。」

グ「ユーノさんいったいどんな無茶したんですか?」

ユ「君までそう言う?」

グ「あたりまえです。」

ユ(最近は週一で休んでるんだけどな・・・)

しかし、4徹、5徹すれば明らかに無茶だ。

とりあえずユーノはグリフィスに事情を説明する。

グ「俄に信じづらいですよ。」

ユ「でも本当だよ、何ならアルフに聞いてよ。」

グ「分かりました。それでご用件は?」

ユ「仕上がった書類の確認と現在送られてる模擬戦の状況を知りたいかな。」

グ「分かりました。それで隊長達は・・・」

真っ赤になり視線を反らすユーノに何があったか理解してしまい溜め息が漏れる。

グ「本当にほどほどにしてください。」

ユーノは苦笑いするしかなかった。

その頃

ス「たぁ〜」

ギ「せい」

ノ「この!」

3人による同時攻撃を軽くいなす。
ス(さっきから両腕で攻撃をいなしてるのに・・・)

ノ(何で振動拳が通じないんだ?)

振動拳は例え防御をしても肉体に直接ダメージを与える技。なのに最初のような隙はうまれない。

コ「チェーンバインド!!」

ユーノばりの無数のバインドが放たれる。

ノ「ちっ!」

ス「この!」

ギ「は!」

しかし、3人に放たれバインドは簡単に破壊される。

ティ「またこのバインド?」

エ「キャロの詠唱の度に出されますね。」

ティ「それだけ警戒されてるんでしょ。」

エ「でもさすがに父さん仕込みですね。わざと破壊しやすくして油断したら・・・」

ティ「一気にチェックメイトね。」

ユーノの戦い方に似たコウの攻め方、ユーノの戦術を覚えてなければ既に負けていただろうと考えるメンバー。

シ【なるほど確かにユーノに鍛えられた事はある。】

ヴ【でもアイツなら3人係でもディレイン仕掛けるだろ?】

シ【おそらくアレは最初からキャロの詠唱妨害だけに仕様してるのだろう。ユーノを知りすぎたアノ子達ならまず間違いなく破壊するからな。】

ヴ【成る程、拘束はあくまでブラグって訳か。】

などと見立てたシグナムとヴィータだったが実は・・・

コ(やっぱり俺のバインドじゃ拘束出来ないか、せめてアノ二人は拘束しておきたいだけど・・・)

コウは本気で拘束にかっかっているがバインドはからっきしだった。
確かにユーノ直伝だが構築の度にスクライアのユーノラバーズに邪魔されキッチリ覚える事は出来なかった。又、コウは防御と処理能力を高め持ち前の攻撃力とスピードで今の強さを手に入れてしまいバインドを使うきかいがなかった。

コ(幸いユーノに習った事で皆油断なく破壊してくれるけど何時持つかな?)

直接ユーノの構築を見ているキャロ辺り気付きそうだがコウの見た事ない術式にそうだと気付けずじまいだった。

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