後編 開始から15分、スバル達は攻め倦んでいた。 ノ「くそ、マジに一撃も当たらね。」 10分過ぎた辺りからコウはフットワークのみで攻撃を交し続けている。 ギ(完全に私達の動きを見切り最小限の動きで交してる・・・) ス(実力差が有るのは分かってたけどここまで何て・・・) ギ(最初は私達の戦術を見極める為にわざと受けたのね、振動拳で一時動きを制限された時に畳み掛けるべきだったわ。) 援護に廻る筈のティアナ、キャロもコウの召喚で出された無数のバインドに悪戦苦闘している。 ス「玉砕覚悟!ディバィーン・・・」 コ「打ち抜く・・・」 ス「バスター―」 コ「メテオ・インパクト!!」 スバルの大技に対してコウは同等の技で返す。あえてコウがそうしただろうがハッキリ言えば無駄に大きく隙を作ったとしか言えない。 ノ「もらった!」 この好機を逃すまいと全力で蹴り入れるが既に残像で自分の後ろに回り込まれる。 ノ「あめぇ!」 ノーヴェが右腕を突き出そうとした瞬間、コウは頭突きでノーヴェを落とす。 コ「俺の残像に気付き追撃と追い討ちも警戒してただろうけど、予想外の攻撃も視野に入れるべきだったね。」 ノーヴェが腕と脚だけを警戒していたのは視線だけで見破っていた。 コ「それにしても一番厄介なのはギンガさんですね。」 怒りで突っ込みかけたスバルの首根っこを引っ張り距離を置く。 コ「鎖の仕掛もキャロちゃんが解析したみたいだね。」 降り注ぐ魔法弾を全て相殺しティアナ達が自由なった事を知る。 コ「さてアノ子達がどお攻めるか楽しみだね。」 残り時間10分を切った。 ティ「このまま何もしなければ多分私達は勝てるわね。」 コウが積極的に攻めに出れば別だが・・・ ギ「そうね、コウさんは私達の弱小部分を見定めそこを突いて来るわ。だから何もしない手もありね。」 ス「でも、お願いしてまで戦って貰うんだから待ちはなしだよ。」 ティ「だった賭けに出るしかないわね」 ティアナが作戦を伝える。 ギ「確かに賭けね。」 ティ「はい、キャロには悪いけど3人分のブーストお願いね。」 キャ「分かりました。」 エ「後は僕達が罠にコウさんを誘い込めるかですね。」 コ「残り時間も少ないし悪いけど・・・」 残り8分になりコウから動いた。 ス「山が動いた!」 そう言ったコウは銀色に靡くロングコート型ジャケットから白をベースとした拳法型ジャケットへ姿を変える。 ティ「キャ、キャロブースト!」 キャ「は、はい。」 コウ自ら罠の方へ飛び込んでくれるのはありがたいがせめてもう1分待って欲しかった。 ギ「スバル!」 ス「ギン姉!」 スバルとギンガは全く同じタイミングでコウに向かう。 コ(動きが変わった?) シンクロしたかの如く怒涛の攻撃にコウは驚く。 コ(姉妹って聞いてたけど、ここまで合わせて戦えるとは・・・) 年が離れた姉妹又は兄弟だと若干ブレが生まれる。これは姉、兄がどうしても妹、弟を守る為に先走る為だ。 コ(まるで双子の・・・いやそれ以上の合わせだ。) 心技一体な二人に両腕でガードしざる負えないコウ。 コ(ま、でもどっちかを沈黙させれば・・・) コウはある術式を構築する。 ティ【スバル、ギンガさん!】 二人がティアナの念話で二人が下がる。 コ(又魔法弾による牽制?いや、何か仕掛たか?) 降り注ぐ魔法弾を相殺しながらコウは考える。 コ(多少の罠なら切り抜けられるから問題ないな・・・) 逢えて罠に載る。 コ「まさかこの程度じゃないよね?」 ティ「今だ!」 コウを絡める様に鎖が巻き付く。 コ「!!ディレイン?いやこれは・・・」 ス「もらった!」 最大級のチャンスにスバルが決めに行く。 ギ(おかしい、コウさんなら私達が引いた事で罠があるって詠んだはず・・・) 余りにアッサリと罠に掛かる理由は・・・ ギ「スバル駄目!」 ギンガはコウの狙いが分かり慌てて叫ぶ。 ス「え!?」 確実に鎖事打ち抜くつもりで放った拳が空を切る。 コ「本当に良い手だったよ。ただ俺の速さを気にし過ぎて感じんな事を見落としてたね。」 突如スバルの後ろに現れたコウは手刀でスバルを沈黙させる。 ティ「短距離転移?しまった!?」 エ「コウさんあんな魔法も使えたんですね。」 ティ「当たり前よ、何せコウさんはユーノさんの一番弟子。私達にバインドとシールドを見せつけてその事を頭から忘れさせてた。」 キャ「そっか、お父さんの得意なもう1つ・・・」 ギ「高度な転移魔法・・・」 コ「そ、普通ならそうそう戦闘では使えない魔法だよ。でも俺がヴァリアブルフォームになった事で速さを上げたと思い込んだ君達なら逆に使いやすいかなと。」 ギ「逃げやすい様に再びアルトフォームに戻りジャケットパージで切り抜けたんですね。」 コ「そ、もともとアルトフォームはバインド脱出の為の囮として考えた物だからね。」 ギ「そこまで私達に教えて大丈夫ですか?」 コ「今の様な罠なら楽に切り抜けれるからね、例えディレインバインドでも俺は捕まえられないよ。」 ギ「でしょうね、でも負けるつもりはありません。」 ティ「ギンガさん!」 ギンガが後退すると一陣の風がコウを通り過ぎる。 コ「今のがキャロちゃんのブーストの力か・・・」 ギンガとの会話の間にキャロのブーストはエリオに架けられていた。 コ「次にギンガさんが終わるまでエリオ君が俺の相手だね。」 再び一陣の風がコウをすり抜ける。 エ(全く隙がない。) ギンガと話し込んだり大きく隙を作ったりするのにコウにまともに一撃は入れられない。 エ(いったいどんな特訓したらああ成れるんだろう?) エリオにとっては是非とも知りたい所だ。もっとも、コウはシクスマテリアルを探しながら幾度なく魔獣に襲われ命の危険に曝されていた。その結果、本人が意識しなくとも身体は勝手に動くのだ。 コ「ま、それでも・・・」 コウは極を使いエリオに追い付く。 コ「俺には届かない・・・」 咄嗟にエリオはストラーダーを盾にしコウの一撃を防ぐ。しかし、キャロの近くまで吹き飛ばされる。 コ「今のを止めたか・・・キャロちゃ〜〜ん♪今からちょっとだけ大きいの放つからエリオ君守ってね。」 そう言うとコウはメテオ・ストライクを打ち放つ。 キャ「エリオ君!」 詠唱を中断しキャロはシールドを張る。 ギ「たぁ!」 ギンガはコウが技を出す一瞬を狙い懐に潜り込んで拳を打ち放つ。しかし、コウはそれすら余裕で受け止める。 コ「危ない危ない・・・と」 体制を立て直したエリオが突っ込むも体を仰け反り交す。 ギ「もらった。」 さすがに仰け反った体制で攻撃を交す事など出来ないだろうとギンガは踵落としを放つ。 コ「甘い。」 しかし、コウは体を回転させその場を凌ぐ。 ティ「ギンガさんとエリオのお陰で仕込みは済んだわ。」 ティアナが援護に廻らなかったのはアル仕掛をするためだ。 ティ「でも、やっぱりコウさん凄いわ。」 回転して避けた所をエリオが狙い突くがそれを着地と同時にバクテンで回避し続け様に仕掛けたギンガの攻撃を脚で捌く、ここでふと気づく。 ティ(アレ?私だけ何もされてない。) 自分だけ攻撃対象にされてない。 ティ(つまり、私は何時でも倒せると。) ティアナはコウに相手にさえ去れてないと思い。 ティ(馬鹿にして・・・) 大技を繰り出そうとするが・・・ コ「いくらなんでもそんな大掛かりな技は隙が出来るぞ。」 何時の間にか背後に回ったコウに手刀を受けティアナは気を失う。 コ「後1分。」 キャ「今です。」 コウを再びバインドで拘束する。 コ「だからバインドは・・・」 ギ「させません。」 ギンガがコウを羽交い締めにする。 コ「しまっ・・・」 キャロが発動させたのはバインドじゃなくギンガをコウの後ろへ転移させる魔法。 コ(しまったキャロちゃんはユーノの娘、娘に転移系を教えていない訳ない。) 自身もブースト系と召喚だけを警戒しただけに完全にしてやられた。 コ「くっバインド《ムニョン×2》はうっ!」 ギンガがさらにキツク抱き締める。当然ギンガの豊満な胸がコウの背中に押し付けられ。 コ(柔らかい感触が柔らかい感触が・・・) テンパリモードになる。 エ「もらった!」 残り30秒 コ「だらっしゃー」 コウは手を使わない投げでギンガを前に投げ飛ばし突撃したエリオも攻撃を止めざる得なかった。 ヴ「タイムアップだ。」 タイムアップでコウは勝利をした。 コ「ふー最後は危なかったぜ。」 ユ「女の子に抱き締められる事態初めてだろうからね君は。」 コ「まーな、しかしさすがお前の子供。メテオ・ストライクを止める何てなかなか出来ないぞ。」 ユ「当然さ何せ僕の自慢の娘だからね。」 突然転移してきたユーノに驚く事なく普通に態様するコウ。 ヴィ「パパ〜」 突然の来訪に驚く皆と違いヴィヴィオはユーノに抱き付く。 ギ「え、ユーノさん?」 いち早く復帰したギンガは身だしなみをととのえる。 ア「てかユーノ、アンタよくなのは達の所から抜け出せたね。」 ユ「いや、3人には満足してもらったから。」 その内容が想像でき頭を抱えるアルフ。 シ「して、何をしにきたのだ?」 ユ「それはね・・・」 ヴィヴィオをアルフに預けコウのバインドを解き・・・コウに斬りかかる。 コ「何のつもりだユーノ!?」 コウはラウンドシールドで受け止める。 ユ「僕は君と戦いたい。」 それはユーノの戦前布告だった。 次回 コ「再びお前とやり合うとはな。」 再び戦う2人。 ユ「僕は確めたい今の自分力を・・・」 ユーノが胸に秘める思いとは? 次回『戦う楯、護る拳。』 |