年が明けた新暦72年1月4日、時空管理局L型巡航艦アースラの艦長室でクロノは先ほど渡されたデータファイルを見ていた。 一通り目を通して一息つくと、隣にいるエイミィが話し掛けた。 「通るかな? 彼の要望」 「どうだろうな。上の連中には頭が固い老人が多い」 皮肉を込めてクロノは答えた。どうやら何かの頼みごとをされたようだ。 「全く、新年早々面倒なことを持ってきてくれたよ。アイツは…」 愚痴をこぼしながら椅子から立ち上がり、先ほど帰ったアイツの顔を思い浮かべた。 「2年ぶりに帰ってきたと思ったら、コレだもんね」 エイミィは苦笑しながら、先ほどのデータファイルに視線を送った。 「でも…、どうするの。もしこのデータが本当なら…」 「本人たちは本当だと言っていた。それに、アイツ等に限って適当なデータをよこすとは思えないしな」 エイミィが言い切る前にクロノは答えた。そして、椅子に座りなおし、 「そして、このデータが本当なら、僕たち管理局…。 いや、この次元世界に…」 机に両肘を突き、額で両手を合わせ苦悩の表情を浮かべながら、 「逃げ場はないのかもしれない…」 これから起こるかもしれない最悪の事態を考えていた。 新暦72年1月7日海鳴市のショッピング街、管理局のエースなのは、フェイト、はやては親友のアリサとすずかと一緒に冬休み最後の休日を満喫していた。 「もうすぐ冬休みも終わりね」 「そして、卒業してその次は高校生だね」 アリサとすずかが思い思いのことを言っている。彼女たちは中学3年なのだからそう思うのは当然である。だが、 「ま、受験勉強する必要がないのはうれしいわね」 そう、彼女たちが通っている聖祥中学は大学の付属校。エスカレーター式に勝手に進学するので、受験勉強する必要がないのだ。羨ましいことこの上ない。 「でも、なのは達は高校には行かないのよね?」 ふと、思い出したかのようにアリサはなのは達に尋ねた。 「うん。私とはやてはミッドチルダに引っ越して、局の仕事に専念するから」 「家はシャマルが今、準備してくれてるんよ」 「私は引っ越さないけど、仕事に専念するのは同じだよ」 三人はそれぞれ答えた。管理局と学業を掛け持ちしている彼女達。義務教育までは受けたほうが良い、という親や上司からのススメがあったからである。それももうすぐ終わる。 「そっか。でも、たまにはこっちに帰ってきなさいよ」 アリサが少し寂しげに言うと、 「大丈夫だよ、アリサ」 「私等の友情はどこでも同じや」 三人が微笑ましい会話をしている。すると、いきなりアリサが振り返り、 「で、あんたは毎日ユーノとラブラブなわけ?、なのは?」 「そ!そんな!毎日なんて…。ユーノ君忙しいし、私だって仕事あるもん!!」 「なのはちゃん、動揺しすぎだよ;」 アリサの突然の攻撃に慌てて言い訳をするなのは。恐らく、以前からの惚気話の仕返しのつもりだろう。 その後の、頻度は増えるけど…というなのはの台詞が聞こえたかは定かではない。 私も彼氏欲しい、と考えていたアリサはふと、前方に見える女性に視線を向けた。 すずかよりも淡い紫の腰まで長い髪、凛とした顔立ち、女性から見ても美人と思われる人がそこにいた。アリサは思わず彼女の元へ駆け出し、そして、 「ミリアお姉さま!!!」 と、歓喜あまって大声で呼びかけた。ミリアと呼ばれた女性は呼ばれた方を向くと彼女に気付いた。 「もしかして…、アリサ?」 「はい!!」 「本当に?!大きくなったわね!」 アリサはミリアに頭を撫でられ、満面の笑みを浮かべていた。そこへ、自体を飲み込めていないなのは達がやってきて、 「アリサちゃん。この人は?」 代表ではやてが尋ねた。 「ごめんね。みんなは始めてよね。この人はミリア=クラウゼン。パパの知り合いの実業家の娘さんで、私が幼稚園ぐらいの時から良く遊んだり、勉強を教えてくれてたの。でも、聖祥の小学校じゃなかったから、会う機会が全然なくて…。いつこっちに戻られたんですか?」 「ごめんなさい。実は高校から聖祥に通うようにしたの。本当はアリサにも教えたかったんだけど、部活が忙しくて…。」 「部活って?」 「陸上部よ。主に槍投げ」 すると、なのはは何かを思い出し答えた。 「もしかして、全国大会で3位に入賞してませんでしたか?ニュースでやってました」 「え?!お姉さま本当ですか?!」 驚いたアリサが堪らず尋ねた。 「ええ。結構大変だったわ。でも、まだまだこれからよ」 と自身満々に答えるミリアにアリサはときめいていた。周りは若干引いている。 「ねぇアリサ。この子達はあなたの友達?」 アリサは、はっとした。再会に浮かれて初対面の友人の紹介を忘れていたのだ。 「すみません。月村すずかです」 「八神はやて言います」 「フェイト=T=ハラオウンです」 「高町なのはです」 各々自己紹介をして、 「改めて、初めましてミリア=クラウゼンです」 ミリアも再度自己紹介した。ふと、すずかは先ほどから気になっていたことを尋ねてみた。 「あの〜、ミリアさんはここで何をしてたんですか? 誰かと待ち合わせか何かですか?」 「え?ま、まぁそんなとこかしら」 ミリアは何故かしどろもどろしながら答えた。フェイトが気になって、 「どうかしましたか?」 「きっと、恋人と待ち合わせしとるんよ。そうですよね?」 はやてが冗談半分で聞くと、アリサが急に迫ってきた。 「はやて!!お姉さまはね、男性との関係にはとっっても厳しい人なの!!そこが私の憧れなの。そんなお姉さまが恋人なんているはずが…」 若干惚気気味の発言がまざった講義をしながら、アリサはミリアに視線を送ると、 「…」 無言で顔を俯き、頬を朱に染めたミリアの姿があった。それは先ほどの凛々しい感じは無く、恋人を想う可愛い女の子がいた。 「ま、まさか。ほ、本当に…?」 アリサが恐る恐る尋ねると、ミリアはコクンと頷いた。 「だ、誰よぉぉぉぉ?!!私の愛しのお姉さまの彼氏って?!」 「あ、アリサ!大声出さないで」 「アリサちゃん。ちょいマズイ台詞混ざってたで」 「アリサ落ち着いて」 どうやら、憧れのお姉さまを見ず知らずの男に取られたのが納得いかないようた。それはまるで頑固親父の如く。 彼女達と逆の方向から、1台のバイクが来て彼女達が騒いでいるところの手前で止まった。そのことに誰も気付いていない。 そのバイクの運転手はメットを外し、集団に近づき一言。 「へ〜〜。ミリアは年下の女の子にモテるんだな」 声の方に全員が向くとそこには、中性的な顔立ちで青空のような青く長い髪を後ろで束ねて、黒のロングコートと白を基調としたインナーにジーパンを着た人がいた。 「カノン!」 「悪い。遅くなったな」 カノンと呼ばれた男はミリアに謝罪すると、なのは達を見回して、 「で、この子達はどちら様?」 「私の妹分のアリサとその友達よ」 カノンの質問に微笑みながらミリアが答えると、なのは達は先ほどと同じく自己紹介をした。 全員の名前を聞いたカノンは、 「なのはちゃんにフェイトちゃん。はやてちゃんに、アリサちゃんとすずかちゃんか…。よし、全員覚えた、と。 オレはカノン。カノン=リコルヌだ。よろしく」 なのは達全員の名前を確認し、自己紹介をしたと想ったら、手を差し出した。 「え?えっと…」 困惑しているアリサに、カノンは優しく答えた。 「ミリアの妹分なら、オレにとっても妹みたいなもんだし。ダメならいいけど…」 「い、いいえ!!そんなことはありません」 首を大きく横に振ってアリサは握手した。続けて、すずか、はやて、フェイト、なのはの順で握手した。その時、 『え?』 『なに?』 『なんや?』 アリサとすずかを除く三人は違和感を覚えた。 「あの、カノンさん。聞いてもいいですか?」 「なんだい?」 「カノンさんはミリアお姉さまの恋人なんですか?」 アリサは確認したかった。この人がそうなのかと、するとカノンは終始笑顔で答えた。 「ああ。そうだよ」 なんのためらいもなく答えられたため、一同呆然となった。それでも、アリサはいち早く我に返り一番聞きたいことを聞いた。 「私はお姉さまが大好きです。だから、聞きます。お姉さまのこと本気で好きなんですか?!もし、中途半端な覚悟なら今ここで別れてもらいます」 「な、何言うてんねん!!アリサちゃん」 「そうだよ、アリサ。二人のことなんだから、アリサが首突っ込まなくても「わたしは!カノンさんに聞いてるの」 二人の制止を振り切り、カノンを真剣な眼差しで見つめた。二人のやりとりでいたたまれなくなったミリアが口を開こうとしたとき、 「アリサちゃんの気持ちはもっともだ」 カノンが口を開いた。先ほどの笑顔はなく、アリサと同じく真剣そのものだ。 「だが、オレの気持ちは常に1つだ。オレはミリアを愛している。この広い世界で最初で最後の愛しい人に出会えたことに感謝している。だから、誰が何と言おうともオレの覚悟を揺るがすことはできない。たとえそれが、ミリアの妹でもだ。ミリアはオレが護る。全てを賭けてな」 己の気持ちのすべてを伝えると、周りは硬直し、当のミリアは顔を真っ赤にしている。だが、何も言わないのはカノンの言葉が素直に嬉しいからである。 そして、アリサがほっとため息をついて口を開いた。 「良かった。もし、変な人ならここでぶっ飛ばしてたけど。あなたならお姉さまを任せられます。これからもミリアお姉さまをよろしくお願いします、カノンお兄さま」 「「「「「お、お兄さま?!!!!」」」」」 カノン以外が同時に声を張り上げた。 「な、なんで“お兄さま”やねん!!」 と、はやてが素早く突っ込んだ。さすが関西人。 「だって、お姉さまの恋人なら、私にとってはお兄さまよ」 「い、いやぁ…。そうかも知れないけど…」 なのはが困ったように答えている最中、当の本人は、 「別に問題ないけど。妹ができるのは嬉しいし」 あっさり答え、さらにアリサの頭を撫でてあげる始末。アリサ本人も先ほどミリアにしてもらった時と同様にご満悦といった感じだ。ミリアもまんざらでもないようだ。 すずかは初見からあることを気にしていた。そのことを尋ねることにした。 「あの〜、カノンさんって良く女の人に間違えられません?」 一瞬その場の空気が凍りついた。そして、ガクン、と項垂れているカノンがいた。 「そうなんだよなぁ。昔から変に声かけられるんだよなぁ。原因はわかってる。髪、顔、声の三拍子。顔は生まれつきだし、声はこれでも声変わりして低くなった方なんだよ。髪は切るつもりはないし…ブツブツ」 相当気にしていたのか、ブツブツと愚痴を言って凹んでしまった。傍らでミリアが慰めている。 「で、でもカッコいいと思いますよ。なんだか、モデルさんみたいで」 罪悪感を感じたのか、必死で弁解するすずかがいた。口は災いの元とはこのことである。 なんとか立ち直ったカノンは一言、ありがとう、とお礼を言った。すると、はやてが何かを思い出したのか、二人に言った。 「そう言えば、カノンさんとミリアさんこれからデートやないんですか?」 「そうだった!想定外のことが起こったから忘れてた。行こうぜ、ミリア」 「そうね。また、会いましょう。アリサ、みなさんも」 急いでバイクに跨る二人。そんな二人に手を振りながら見送るアリサ。 「いってらっしゃい!お姉さま、お兄さま!」 走り去ってゆくバイクに一同目を向けていた。 「なんだか、すごい人だったね。カノンさんって」 「ホント素敵な人。お姉さまにピッタリよ」 「アリサちゃん。そうじゃなくて…」 妙に浮かれているアリサに困惑するすずか、すると他の三人は別のことを考えていた。そのことに気が付きたアリサは尋ねた。 「あんた達どうしたの?」 「あの人、カノンさんから魔力を感じた」 三人を代表してなのはが答えた。アリサとすずかは驚いて互いの顔を見合わせた。 「う、嘘でしょ!」 「ホンマや、間違いない。な、リイン」 「はいです。はやてちゃん。リインも感じました」 ≪私達も感じました≫ ≪強力な魔力を体内に押し止めている。かなりの使い手だ≫ なのは達だけでなく、リインやレイジンクハート、バルディッシュまで加わると疑いの余地はない。だが、ここで考えてもしょうがないため、帰ってから色々聞いてみようということになった。 カノン=リコルヌ。この人物が彼女達の頭に強く残ったのは言うまでもない。 バイクに乗りながらカノンは考えていた。 『なるほど、あの子達が例の…。巻き込まずに済めばいいんだけど…』 信号でバイクが止まると、後ろのミリアが話し掛けた。 「相変わらず、女の子には甘いのね」 「なんだよ、今更。それとも、嫉妬してる?」 「そ、そんなことないわ」 「安心しろよ。愛してるのはお前だけだから…」 不意を付いた言葉に、またしても顔を真っ赤にするミリア。 バイクが再び走り出すと、カノンに抱きついて一言、 「私も愛してるわ」 素直な気持ちを伝えた。 その日の夜、なのはは昼間の出来事をユーノに話していた。 『なるほど。そんなことが…』 「うん。ユーノ君心当たりない?」 『…う〜ん。無限書庫の司書にはいないなぁ。他はわからないけど』 「そっか。ごめんね、お仕事中に」 ちなみに、ユーノは現在、20冊近くの本の内容を読み取りながら電話している。ユーノだからこそできるマルチタクス技術である。それでも、長時間はキツイ。 『なんなら、僕の方でも調べてみようか?』 「え?!いいの?」 思わぬ返答が返ってきたため、なのはは驚いた。 『うん。でも、仕事とかあるから一週間ぐらい時間くれるかな?』 「全然いいよ。ありがとう、ユーノ君」 そんな中、ユーノの後ろから小さな女の子が近づいてきた。 「ユーノパパ。なのはママですか?」 「そうだよ。ウィル」 ウィルレイヴ、ユーノのデバイスにして娘同然の存在。最近、自体化機能が追加されて、本当に娘になった。 『ユーノ君、ウィル?』 「うん。代わりたいみたいだけど、いい?」 『うん。いいよ』 「ウィル。なのはだよ」 「はい!」 ユーノの携帯を取って、嬉しそうに話すウィル。それを見つめながら、頭の中で考えていた。 『リコルヌ…。まさか、あの…』 同時刻、こちらはハラオウン家。フェイトはカノンのことを母であるリンディに話している。 「フェイト!カノン君に会ったの?!」 「え?母さん知ってるの?!」 予想だにしないリンディの答えにフェイトは思わずソファから立ち上がった。 「ええ。かれこれ2年ぐらいあってないわね。そっかぁ、こっちに帰ってたのね…」 「そ、そうなんだぁ。で、どんな人?」 「それは、言えないわ」 「え?どうして?」 またしても、予想を覆されたフェイトは唖然となった。 「理由は…。いろんな意味であの子達は極秘なの。だから、あの子達のことはあの子達に直接聞いてほしいの。その方があの子達のためなのよ…。ただ、1つだけ言えるのは、カノン君は私にとってもう1人の息子みたいなモノなの」 そう言っているリンディの表情は、クロノや自分を心配する時の顔だ、とフェイトは思った。あの子達、という言葉に引っかかりを感じたが…。 そんな中、玄関から、ただいま〜、と声が聞こえた。 「あら、おかえりなさい、クロノ」 「おかえり、兄さん」 「ただいま、母さん、フェイト」 「今日は遅くなるんじゃなかったの?」 「頭の固い上の連中のお小言を聞いているだけで、疲れがピークに達してね。エイミィが帰ったほうがいいというから、お言葉に甘えさせてもらったよ」 そう言うクロノの顔にはかなりの疲れが見えていた。どちらかというと、精神的なモノのほうが強そうだ。 「クロノよりも頭が固いヤツがいるなんてね〜」 「アルフ、それはどういうことだ?」 皮肉めいたアルフの台詞に睨みを利かせるクロノ。そんなやり取りの最中、フェイトは、クロノにも聞いてみようと思った。 「兄さん」 「なんだ?」 「今日、昼間にね。カノンさんに会ったの」 「!!」 クロノは驚愕の表情を浮かべながらフェイトの方に振り向いた。 「どこで?」 「ショッピング街。待ち合わせしてた恋人が偶然アリサの知り合いで…」 「…アイツは、こんなとこでなにを…」 目頭を押さえながらクロノは呆れていた。そして、ため息をついて、 「フェイト。ヤツのことは他言無用だからな」 リンディと同じことをクロノも言った。 「どうして?」 「どうしてもだ。時が来れば嫌でも知ることになる。それまで待て」 いいな、と念押しされたフェイトは頷くことしか出来なかった。 同じく、こちらは八神家。なのはやフェイト同様、はやても家族のみんなに昼間の出来事を話していた。 「なるほど。そのような人物と出会われるとは…」 「せやろ。私も思わず開いた口が塞がらんかったわ」 「でも、素敵な方だと思いますよ。今時、堂々と好きな人のことを語れる人なんてユーノ君ぐらいですから」 「はい!リインも“お兄ちゃん”って呼びたいですぅ!!」 「あたしは直接会ってみないとわかんねぇな」 女性陣が思い思いのことを言っている最中、1人冷静に考えているザフィーラがいた。 「しかし、主。高い魔力を持っているのは気になります。少し警戒をした方がよろしいかと。最悪の場合は敵になる可能性も否定できません」 「でもぉ、そんな素敵な人が悪い人には思えないけど…」 「だが、ザフィーラの言い分も確かだ。現に、私が配属されている部隊にカノン=リコルヌという名の局員はいない」 「確かに、あたしの所にもいないな。そんなヤツ」 「そこなんよぉ。う〜ん…。一体どないなっとるんやろ?」 結局、答えの出ぬまま4日が過ぎた。 その日の放課後、五人は今話題のカノンについて話していた。 「で、結局、カノンお兄さまのことは解らずじまいってこと?」 「アリサちゃん、完全にカノンさんがお兄さんになってる」 「私んとこも、リインがお兄ちゃん言うとるんよ」 「母さんと兄さんに聞いても、はぐらかされちゃうし」 カノンの正体はなんなのか。これが今の彼女達のテーマになっている。 フェイトが、なのはの方は?と尋ねると、 「うん。今ユーノ君が調べてくれてるんだけど…。今度会うときぐらいには何か解ると思う」 う〜ん、と全員で唸っていると、突如レイジングハートから警告が鳴った。 ≪マスター!魔力反応です!≫ 「嘘?どこから?!」 ≪市街地の南東部。数不明≫ レイジングハートに続いてバルディッシュが答える。三人は急いで教室から走り出した。 「なのは!フェイト!はやて!がんばりなさいよ!!」 「気を付けてね!」 二人からのエールを受けながら、三人は屋上へ向かった。緊急の場合はいつも屋上から向かうのである。 「レイジンクハート!」 ≪はい、マスター≫ 「バルディッシュ!」 ≪了解、サー≫ 「リインフォース!」 「はいです!マイスター」 「「「セット、アップ!!」」」 彼女達は各々のバリアジャケット、騎士甲冑を着装し、デバイスを起動させて急いで現場に向かう。 「現地に着いたら、はやて、封鎖領域お願い!」 「了解や!」 封鎖領域、この結界を張ることで一般市民の被害を無くすことが出来るのだ。 飛びながら彼女達は、なにが起こってるんだろう、と思っていた。 同時刻、こちらは聖祥大学。とある講義室に1人の男が帰りの支度をしていた。 「ふぅ〜。休暇最後の講義終了っと。また、明日からお仕事だな」 そんなことをのん気に口走りっていると、彼の頭に声が響いた。 『…』 「はぁ〜。仕事開始が早まったな。…しょうがねぇ、行くか」 駐車場に止めてあるバイクに跨ると、同級生から声を掛けられた。 「よう、カノン。飯でも食いにいかねぇ?」 そう、この男こそカノンである。彼はなのは達の中学と同じ学園の大学2年生なのだ。 「悪いな、達也。これから出ごとだ」 「なんだぁ、後輩のミリアちゃんとデートかぁ?」 「したいのは山々だが、悲しいかな仕事だよ」 「そっか。頑張れよ」 「おう」 そう言って、カノンは走りだした。 なのは達と同じ場所に。 「封鎖領域、展開!」 『ゲフェングス・デア・マギー』 結界を張り、通常空間と切り離す。魔力反応はどこ?、と考えながら警戒していると、 ≪上空に魔力反応≫ バルディッシュの警告どうりそらを見上げると、そこから多数の謎の物体が振ってきた。 「な、なんやこれ?!」 「たぶん、魔獣か何かだと思うけど…。」 「でも、この数は…。」 そう、すでに数十体の魔獣に囲まれているのである。しかも、まだ、増えているようにも思えた。 「でも、大して強ない!一気にいくで!! ブラッディーダガー!」 「いくよ!レイジングハート! アクセルシューター、シューート!!」 「私達も、プラズマランサー、ファイア!!」 それぞれ散開し、多人数向けの射撃魔法で戦闘を開始した。 ちょうど、その頃、カノンはバイクで走りながら誰かからの念話を受けていた。 『どうした?』 『ちょうど、そっちに結界反応があってね。なにかあった?』 『多分、後輩達が先を越してんだと思う』 すると、念話の相手は1つため息を付くと、再びカノンに話しかけた。 『僕ならそっちにいけるけど?』 『他の二人は?』 『距離が遠くて、時間が掛かりそうなんだ』 『OK。俺だけでもいいけど、お前が来てくれるとなお良しだ』 そう言って、念話を終えたカノンは、封鎖領域内に向かった。 「もう、なんて数や!全然へらんわ!」 もう、すでに40体近くを倒しているが、一向に減る気配がない。 一方でなのはがディバインバスターで蹴散らし、一方でフェイトが空中でハーケンフォームに変えたバルディッシュで切り刻んでいるが、それでも減らない。 『なんなんだろ、こんなのはじめてだよ』 なのはは戦いながら考えていた。武装局員として働き出して、もうすぐ7年になろうとしている。そんななのはでも、今回のケースは初めてだった。 なのはだけでなく、フェイトやはやても同様である。 すると、リインからはやてに警告が鳴った。 『マイスター!封鎖領域に侵入者です!』 『なんやて?!敵の増援か?!』 『わからないです。でも、二人です』 二人?、その言葉に引っかかりを感じたはやて。 そして、なのはは背後に迫っている敵に気付いていなかった。 「なのは!!後ろ!!」 フェイトの叫びに反応して振り向いたが、すでに魔獣の爪が迫っていた。ダメだ!避けきれない!、と思い咄嗟に目を閉じた瞬間…、 バン!! という衝撃音と共に魔獣が跳ね飛ばされた。続いて、 キィィィィッ!! というドリフト音が聞こえ、一台のバイクがそこにあった。 何が何だかわからない状況で声が聞こえた。 「あんまりよろしくないな。女の子を大勢で寄って集って襲うのは」 その声の主を彼女達は知っていた。 「「「カノンさん?!」」」 そう、カノン=リコルヌその人だった。よっ、と軽く挨拶すると、カノンは、 「お前もそう思うよな、なぁトウヤ!」 三人がカノンが叫んだ方を向くと、そこには背の低いビルの屋上に人が立っていた。 トウヤと呼ばれた人物は、そこから飛び降りた。 三人は、危ない!と思ったが、途中でふわり、と減速し、見事に着地した。その男は、カノン同様中性的な顔立ちだが、カノンよりも男性向けで、黒い髪をしていた。見た感じ、カノンよりも年下だろう、と思われる。 「確かに思うけど、こいつらは大して強くないから別にいいんじゃない?」 「そういう問題じゃないんだよ」 言い合っている二人に、問答無用で魔獣が襲い掛かる。 「二人とも!!危な…」 ドガッ!! バギッ!! フェイトが言い切る前に、カノンは右の裏拳で、トウヤは後ろ回し蹴りで魔獣をぶっ飛ばした。 三人は唖然となった。さっきから苦労して倒している敵を意図も簡単に倒されては当然だろう。ちなみに、鍛えてますから、とカノンが一言加えた。そういう問題ではない。 「とわ言え、さっさと終わらせた方がいいな。やるか?トウヤ」 「そうだね」 そう言うと、カノンは左腕を掲げ、トウヤは懐から一枚の黒い御札を取り出した。 「いくせ!!ヴァルファーレ!!セット、アップ!!」 「ラセン、起動。バリアジャケット着装!」 それぞれの言葉に反応し、二人のデバイスが反応した。 カノンは、白い魔力光を放ちながら黒を基調とした半袖、長ズボンに青いロングコートのバリアジャケットを纏い、左腕には着けていた腕輪は鳥の翼の形をした鍔に穴の開いた剣になり、鞘に収まった形でカノンの腰に装着された。 トウヤは、フェイト同様の金色の魔力光を放ちながら、一言で言えば日本の修験者のようなバリアジャケットを纏い、これまた修験者が扱うような錫杖型のデバイスを手にした。 三人は呆気にとられていた。何が何だかわからないといった感じだ。 『お〜い。ボケッとしてる暇ないぜ!』 カノンからの念話で一同我に帰った。 『カノンさんやっぱ魔導師やったんやな!』 『そのことは今は保留。とにかく、こいつら片付ける』 何か言いたそうなはやてだが、カノンの言うことは最もなので我慢することにした。 『トウヤ。彼女達のサポート任せた』 『了解』 念話でのやり取りが終わると、トウヤは彼女達の元へ向かい、カノンは両手を合わせ、なにをするのかと思ったら、片方の手で地面に触れると、そこから、バチ、バチと発光させながら何かが作られてゆき、最終的に腰のヴァルファーレと同じサイズの剣を出現させた。そして、その銀色に輝く剣を取り、 「おら!いくぜぇ!!」 魔獣の中を風の如く駆け抜けるカノン。 ――高速で繰り出される剣閃は魔獣を一刀の元に葬り去り ――放たれる拳と蹴りは一撃で魔獣を粉砕する 1つ1つの攻撃が閃光のように思え、フェイトは自分が戦うことを忘れ見入っていた。 「すごい…。シグナムと互角かも…。それにあのデバイスも…」 カノンの強さに呆気に取られていると、バルディッシュから忠告が来た。 ≪サー、ヤツが手にしているのは、デバイスではありません≫ 「え?!どういうこと?!デバイスじゃないって?」 ≪恐らく、何らかの方法で作り出した、ただの剣です。現にあの剣からは何の反応もありません。あくまでも、ヤツのデバイスは腰に収まっている剣です≫ 信じられない、といった表情でカノンの方に視線を向けた。ただの剣でこれだけ強いのだ。当然の反応だろう。 突然、強烈な風きり音と共に自分の横を1発の光弾が空を切った。 通過した方を見ると、自分を襲おうとしていた魔獣に命中していた。 「フェイトちゃん!大丈夫?」 「なのは…。わたしは別に」 「ボケッとしないで!止まってたらただの的だ!」 そう、先ほどの光弾はトウヤが放ったものだった。 トウヤは懐から数十枚の護符を取り出し、宙に舞い上げた。 ――舞い上げられた護符はまるで、意志を持ったかのように舞い踊り、次第に金色の光を纏いだした。その姿はとても幻想的に見えた。そして、 「打ち抜け、退魔光弾!撃!!」 光を纏った護符が先ほどの光弾に変化し、周囲にいる何十体ともいえる魔獣に雨の如く降り注ぐ。 次々に光弾に打ち抜かれる魔獣達。その技術力の高さになのは達は再び驚かされた。 「こっちは、片付いたかな…。残るは…」 そう言って、カノンの方に視線を向けると、恐らく最後と思われる1体を倒していた。 「ふぅ、片付いた。後は…!」 何かに気付いたカノンは空を見上げた。すると、猛スピードで隠れていた魔獣がカノンに接近していた。 「ガァァァァ!!」 雄叫びを上げながら、その鋭い爪を振り下ろした。が、寸前でバックステップで回避した。しかし、空振りした魔獣の攻撃は地面をえぐっていた。直撃していたらただではすまないだろうと、なのは達は思った。 「出やがったな!ヘッド!」 ヘッド?どういうことだ?、と頭に?が浮かんでいるなのは達。そんな彼女達にトウヤは説明した。 「人造魔獣は必ず指示を出す頭がいる。自分の手駒がいなくなると現れるケースが多いから、引きずり出すのに時間がかかるんだ」 なるほど、と思ったが同時に、人造魔獣、という単語に更に疑問を感じた。 「せ、せ、セイバァァァ!!」 「へぇー、俺のことそっちで言うんだぁ…。なら、アイツ等んとこで決定だな」 「グァァァア!!、ハァ!!」 攻撃を仕掛けてくるヘッド。カノンは剣で受け止め、押し返した。 返されたヘッドは、バランスを崩し横転した。が、 パキン、とカノンの剣が折れた。 なのは達は、あ〜!、と突然の自体に慌てているが、当人は平然と折れた刃を拾い上げた。 そして、再び襲い掛かるヘッド。 その攻撃を大きくかわしたと思いきや、先ほどの剣を作り出した方法で次はその折れた剣を、8本の手投げナイフに作り変え、ヘッドに投げ付けた。 「「「え?!」」」 またしても、わけがわからなくなった。いきなり作り出した剣が、今度はナイフに変わったのだ。この日、何度目かわからない、驚きのリアクションだ。 ヘッドはそれを強靭が腕で弾いた。 「そろそろいいだろ?ヴァルファーレ」 腰に下げている剣型のデバイスに話しかけるカノン。すると、そのデバイスは反応した。 ≪いいだろう。行くぞ、カノン!≫ 「行くぜ!ヴァルファーレ。ロック解除!」 ≪ロック解除≫ カシャン、と腰の剣の鍔もとに付いている鍵らしきモノが開き、カノンは豪快に抜いた。 現れたヴァルファーレと呼ばれるデバイスは、シグナムのレヴァンティン同様片手・両手どちらでも扱えるサイズの長剣で、こちらは両刃であった。 先ほどの剣よりも、鮮麗された剣をカノンは構えたまま、トウヤに話しかけた。 「トウヤ!準備頼む!」 「わかった!」 なんのことだ?、と思ったが、尋ねるのはやめておこうと思った三人だった。たぶん、今の自分達ではわからないと思ったからである。一方、トウヤの方は準備と言われたが、ラセンを元に戻しただけだった。 「はぁ!」 カノンの閃光のような斬撃を寸前でかわしたヘッドは、そのまま上空へ飛び上がった。 それを追うようにカノンも飛び、一気に追いついた。 焦りの表情を浮かべるヘッド。対するカノンは心底余裕だった。その時点で、力量の差は明確だろう。 それを知ってか知らずか、ヘッドは攻撃を止めようとはしなかった。 ――常人では見切ることはできず、即死であろうその攻撃も、カノンにとっては全く通用しない。ヘッドにとっては一枚の羽毛を相手にしているような感覚だろう。終いには、拳によるカウンターをもろに受けてしまう始末。 悶絶しながら後退していると、ヘッドは最後の手段と言わんばかりに、片手に魔力を溜め始めた。 「シネ!セイバァァァ!!」 強力な魔力砲を放った。その淀んだ閃光は一直線にカノン向かって突き進み、爆発した。なのは達やヘッド自身は命中したかに思えた。が、 「残念、惜しかったな」 カノンはすでにヘッドの背後にいた。着弾点に目を向けるとそこには、身代わりにつかったであろう、バリアジャケットの青いコートの残骸があった。 カノンはヘッドの後頭部を左手で押さえつけると、余った腕で、 ドシュ、 いきなりヘッドの米神に指を突き刺した。 「「「え?」」」 三人は今までで一番静かなリアクションをした。ありえない、といった感じだ。そして、 「取ったぁぁ!トウヤ!頼む!!」 指を引き抜き、何かを手にしたカノンはそれをトウヤに投げて渡した。 受け取ったトウヤは、待機状態のラセンで何かの作業を開始した。 何かを抜かれたヘッドは、 「ガ…、ギィ…、ガガ…、」 と、壊れたロボットのようにぎこちない動きを初め、意味不明は言葉を発していた。 「さて、仕上げだ!」 そう言うと、カノンは腰に下げている1つの宝珠を手にとった。 「ヴァルファーレ!グローススフィア、セット!チャージアップ!」 ≪セットアップスフィア、チャージアップ≫ 宝珠を鍔の空いた穴にはめて、ヴァルファーレが反応すると、宝珠から刀身に魔力が注ぎ込まれる。そして、白く煌々と輝きだした。 ――それは“聖剣”と呼べるほど美しかった。そして、大きく振りかぶり、 「閃光一閃!エリアルブレード!!」 まさに至高の一刀、ヘッドは一瞬で脳天から両断され、まだ輝きを失わないその剣で、さらに、二閃、三閃、四閃と、切り裂かれた。 続けて、体制を崩さず左手を右脇から出すと、すでに掌に魔力が溜まっていた。 「貫け閃光!シューティングレイ!!」 平手から砲撃魔法が放たれた。繰り出された白色の閃光に包まれヘッドは塵も残さず消え去った。その様はフェイトのプラズマスマッシャーに良く似ていた。 「闇より出でし者、闇に帰れ…」 すでに消えた敵に言葉を投げかけヴァルファーレを鞘に収めた。 なのは達があたりを見渡すと、先ほどまでの魔獣の死体はいつの間にか消えていた。 『なんだったんだろ?』 と、途方にくれていると、戻ってきたカノンがトウヤに近づいた。 「どうだった?」 「いつもと一緒だね。大したデータはなさそうだ。…戻って、彼女に見てもらった方が確実だね」 「そっか。…んじゃ、行きますか」 カノン達が帰ろうとした、その時だった。 「ちょっと待ちい!!そう簡単に帰さへんで!!ちゃんと説明してくれんと!!、カノンさん!」 「はやてちゃん」 「はやて」 さっきまで我慢していたはやてが耐えられなくなっていたのだ。 「カノンさん達はいったい何者なんや?!、さっきのバケモノどもは?!、二人の目的は?!、ちゃんと説明してくれな、こっちもわけわからんわ!!」 「はやて!」 フェイトが静止をかけて、はやては、ハッ、となった。若干暴走気味になっていたのだ。まぁ、目の前ではじめての出来事が何度も起これば当然といえば当然だが。 そこで、はやてに代わって、フェイトが聞くことにした。 「…助けていただいたことは、感謝します。ですが、事情を説明してくれませんか?事としだいによっては、あなた達を逮捕しなければなりません」 カノン達は黙っていた。 「すでにご存知とは思いますが、この結界は入ることはできても、出ることは出来ません。どうか事情を話してくれませんか?私達も手荒なまねはしたくないんです」 すると、黙っていたカノンの口元に笑みがこぼれた。 「さすがフェイト=T=ハラオウン執務官。優秀だね」 「え?」 「それに、暑くなり過ぎると返って逆効果だぜ。八神はやて特別捜査官。高町なのは戦技教導官」 「へ?」 「何で?」 三人とも本日何度目かのサプラズだった。何せ自分たちの正体がすでにバレているからだ。 「可愛い後輩達のことを知るのは先輩として当然だろ」 笑顔で答えるカノン。先輩?、後輩?、ということは、 「じゃあ、カノンさん達は管理局の…」 「それ以上は言えない」 フェイトの言葉をトウヤがすかさず止めた。一時フェイトとトウヤは互いの視線が交わっていた。 すると、カノンが、 「安心しな。理由は話せないが俺たちは君たちの敵じゃない。それは信じていい」 みんな黙ってしまった。何故だかわからないが、有無を言わせない言葉だったからだ。 「とは言え、速く帰った方が良いし、でも、帰らせてはくれそうにないし…」 そう、この結界ははやてが張っているのだ。つまり、はやてが解くしか出る方法はないのだ。なのはの例のアレは別の話。 「しゃぁない。トウヤ、頼むわ」 ふぅ、とため息を付くと、再び護符を取り出したトウヤは、それを結界の随所に飛ばした。そして、印を切り、呪式を唱えた。 「粋護陣、滅界、結!」 突然、結界内が異常をきたし始めた。 「な、なんや?!、何が起こっとるんや?!」 『マイスター、封鎖領域が中和されます!』 「なんやて?!、ホンマか?!リイン!」 『はいです。もう直ぐ、消えます』 封鎖領域を中和して消す、どういう技術を使えばそんなことができるのか?、そんなことを考えていると、トウヤが優しく話しかけた。 「結界が消えたら、すぐにここから離れるんだ。いいね?」 「魔法が浸透しきっていないこの世界で、不振人物で捕まりたくないだろ?」 続けた、カノンの言葉と共に、パリンと音を立てて結界が割れた。 「じゃあな」 「またね」 別れの挨拶をして、彼らは光に包まれ飛び去った。 「ちょ、待ってや!」 「はやてちゃん!私たちも」 なのはの言葉で全員その場から離れた。 「何者やろか?カノンさん」 「わかんない。少なくとも、管理局の魔導師で、あの魔獣達のこと何かしってるのは確かだよ」 「それに、もう1人…。トウヤさん」 謎が謎を呼ぶ。まさに、その言葉が似合っていた。 また、フェイトの頭にはカノンよりも、トウヤという男の方が頭に残っていた。 これを期に、彼女たちは彼らの戦いに深く関わるようになる。 それが、この次元世界を揺るがす大きな戦いであるこを彼女たちはまだ知らない。 魔法少女リリカルなのは light and darkness 〜魔法という名の希望の光と絶望の闇〜 第零話「新たなる出会い」 イメージソング:カルマ〔BUMP OF CHICKEN〕 ―あとがき― はじめて投稿します。Λです。 プロローグというわけですが、ここで今回までのオリジナル設定を少し説明します。 ユーノ君のデバイス・ウィルレイヴ・ネクサス。 一応、レイジングハートの妹としています。意味は、『絆を護る揺ぎ無い強靭な意志』。若干、G-WINGさんのイージスが入ってますが、申し訳ありません。 入手エピソードは何話かに入れるつもりです。 カノン=リコルヌ 20歳〔イメージCV:朴璐美〕 魔導師ランクS− 魔力光:白 装備(現時点):アーマードデバイス・ヴァルファーレ(アーマードデバイスについてはごほど)、マジックスフィア・グローススフィア(魔力効果を増幅させる) 近・中距離戦を得意とする万能型。シグナムとフェイトを足して2で割った感じの戦闘スタイルです。 見た目は、バリアジャケット共々ハガレンのエドをデカくした感じです(それでも、170前後)。顔立ちに若干コンプレックスを持っており、女に間違えられるとキレる(女の子にはキレない、フェミニストだから)。(注)決して女たらしではありません。恋人一筋。 トウヤ(フルネームは後ほど) 17歳〔イメージCV:保志総一郎〕 魔導師ランク:AAA 魔力光:金色 装備:錫杖型ストレージデバイス・ラセン、護符×999 後方から全体の穴を埋めるタイプのサポート型。護符による符術を得意とする。 性格及び見た目は、ガンダムSEEDのキラです。彼に少し皮肉を加えた感じです。で、黒髪。 実はΛ自身、カノンよりも気に入っています。フェイトにとって重要なキャラになります。 ミリア=クラウゼン 19歳〔イメージ:根谷美智子〕 イメージキャラはテイルズオブジアビスのティアとか、スターオーシャン3のマリアみたいなツンデレです。Λはツンデレが大好きです。ツンデレだから、ミリアはカノンにだけ甘えます(かなり)。 スタートの時期は漫画版第三期の3話〜4話の間で、三期本編の手前までに終わらせたいです。(そこまで保つかすら微妙) 三期メンバーも出ることはでますが、メインではありません(今のとこ、ヴェロッサとエリオぐらいです)。 こんなのでよければ今後ともよろしくお願いします。 |