それは小さな願いでした

私はリムさんにもっと元気でいて欲しい

だから、私が勇気付けてあげなあかん



私はトウヤさんのことをもっと知りたいと思った

そして、支えになりたい



私はカノン殿の奥に眠る悲しみに気付いてしまった

だから、助けたい


自分達の胸の奥に改めて宿る決意

そして、次第に浮かび上がる敵の姿


魔法少女リリカルなのは light and darkness


   始まります



イメージOP:カルマ〔BUMP OF CHICKEN〕


1月24日。時空管理局の廊下を4人の男女が歩いている。
1人は管理局のエース、航空戦技教導隊所属高町なのは二等空尉。
そして、そのエースの恋人、無限書庫司書長ユーノ・スクライアとそのデバイス兼二人の娘ウィル。さらに、

「この間は凄かったですね、なのはママ。カノンさんに勝っちゃうなんて!」
「あ、あれは私が卑怯だったっていうか…;」
「でも、ああでもしないとカノンとヴァルファーレには勝てなかったよ」
≪うむ。デュランダル以外であそこまでやられたのはそなたが初めてだ、レイジングハート≫
≪お褒め頂き有難う御座います、ヴァルファーレ≫
「よく分かったよ。なのはちゃんを怒らせたらマジでヤバイって」

カノンを加えた4人(+デバイス)は一昨日行われた模擬戦について話していた。
先週シグナムとヴィータが模擬戦をしたため、今回はなのはがすることになった。

結果なのはが勝ったのだが、その勝ち方がなんとも言えなかった。
カートリッジで強化したレストリクトロックで拘束した上で、バレルショットを加えたエクセリオンバスターをぶっ放したのである。当然、非殺傷で。
流石のカノンでも逃れることが出来ずに直撃した。それでも、まだ動けたのだが、

「でも、なんであの場でリムが乱入するかなったく…」

そう、リムエナが乱入し、カノンを止めなのはの勝ちにしたのだ。
しかも、止め方が普通ではなかった。

起き上がったカノンに威嚇射撃をした思いきや、その直後アグニを変形させた。

ランチャーモード〔バズーカ並みの威力がある弾丸を発射する形態。いちお片手で使える。〕
にし、それをカノンに向けて一言、

「もういいよね、なのっちの勝ちで♪」

満面の笑顔で………;。




「あの時のリムエナさん、ちょっと怖かった…」
「アイツはいつも『全力投球』がモットー。その所為で、どんだけ流れ弾に当たりかけたことか…」
「ご愁傷様…」

黄昏ているカノンに慰めの言葉を掛けるユーノ。その時、日頃リムエナだけバカ扱いしている理由がわかったなのは達だった。

≪気を付けておけ、高町なのは。お前はリムエナに極めて近い≫
≪問題ありません。マスターは彼女程抜けてはいません≫
「日頃の行いがいい分、なのはちゃんは問題ないよ」

何だかひどい扱いになっているリムエナ。どこかでクシャミをしていてそうだ。

「ところで、これからどうする?」
「う〜ん…、あ、家のお店に行きませんか?」
「翠屋か…。いいね、久しぶりに」
「はい!ウィルもおばあちゃん達に会いたいです!」

予定が決まったところで、別方向から声が聞こえた。

「あら、どうしたんですか?みなさん」
「あ、シャマルさん。お仕事は?」
「今日はこれで終わりです」

シャマルは医療班として働いている。今日は上がりのようだ。

「で、みなさんはこれからどちらに?」
「なのはちゃんの御家族が経営している喫茶店に行くんです」
「翠屋ですね♪なのはちゃん、ご一緒してもいいですか?」
「はい、シャマルさんが良ければ」
「では、行きましょう♪」

第3話「別れてしまった道なの」



「カノンさん。先日はありがとうございました。とっても美味しかったです」
「いえ、大したモンじゃないですよ。はやてちゃんの方が全然上ですし」
「そんなことありませんよ。あの後、はやてちゃん『このままやったらカノンさんに抜かれてまうわ〜』って言ってましたし」

翠屋に向かう、商店街を歩きながら話をしている。
先週カノンとリムエナは予定どうり八神家で夕食をご馳走になった。
その時、お返しと称してカノンがデザートを作ってやったのだ。
それが大絶賛だったのだ。特に、ヴィータとシグナムとリインに。

「へ〜、カノンさんって料理するんですか?」
「まぁ、趣味の一貫かな。いろいろチャレンジしたくてね。そしたら、いつの間にかアーカムの台所になってるよ」

遠出の際アーカムの料理はカノンが作っている。サポートは艦長の使い魔のサキー。
そのため、現在はプロ並みの腕前を持っている。

「そういえば、前バイクに乗ってましたよね?アレどうしたんですか?やっぱり、こっち側の自宅に?」
「いや、今持ってるよ」

そう言って、ジャケットの内ポケットから一枚のカードを取り出した。

「え?まさか…」
「そ。デバイスなんだよ」

えぇぇ?!っと、皆カノンのカードを凝視する。

カノン曰く、彼が使用しているバイクはライドチェーサーと呼ばれるバイク型のデバイスで、現地での移動用として使用しているのだ。
また、ライドロンという五人乗りのオープンカータイプのデバイスもあり、こっちはキリトが持っていて、カノン以外はこっちに乗るそうだ。
以前からマリーが考案(趣味で)しているのだか、あまり受けがよくないようで、使う者があまりにもいなかったのだ。
それで、余り物をカスタマイズして使っているということなのだ。




「ただいまぁ!」
「お帰り、なのは」
「お久しぶりです」
「ユーノ、久しぶりぃ〜元気だった?」
「こんにちは桃子おばあちゃん!」
「あら、ウィルちゃん♪こんにちは」
「お邪魔します」
「シャマルさん、お久しぶりです」

店に入った途端、明るい雰囲気を醸し出す高町家の面々。
カノンはその光景を微笑ましく見つめていた。

「ところで、なのは?」
「ん?何お姉ちゃん?」

妹に尋ねる美由紀。その時、ユーノは、もしや、と思ったがあえて黙っておくことにした。

「あそこにいるカッコいい女の子はどちら様?」
「あ!お姉ちゃん!それ言っちゃ…」

しまった!、と思ったなのはだったが時すでに遅かった。

「はぁ〜〜、またか……」

店の隅でまたしてもいじけているカノンがいた。



「ごめんねぇ〜。ぱっと見キレイだったからつい女の子かなって…」
「お姉ちゃん、フォローになってないよ」
「いや、大丈夫」

恭也だったら殴るけど、と呟いたのが聞こえたは定かではない。
何とか立ち直ったカノンはなのはの家族とすずかの姉・忍との自己紹介を終え、皆でお茶をしている。

「カノンさんも管理局の方なんですね、いつも娘がお世話になってます」
「いいえ、実際知り合ったのは最近ですし、それにこの間は負けましたから」
「へ〜、なのはってそんなに強いんだ。ん?それともカノン君が弱いの?」

男であるカノンが女の子のなのはに負けたと聞いて、疑問を浮かべる美由紀。
そこへ、なのはが素早く反論した。

「お姉ちゃん!カノンさんすっごく強いんだよ!クロノ君とも互角だし」
「それにカノンは頭も良いですからね。次はどうなるかわかりませんよ」
「なるほど、初見で戸惑ったってとこかな…」
「まぁ、そんなところですね。それに…」

そう言うと、カノンは士郎と恭也、美由紀に目を向ける。

「高町家の皆さんは、強い人が多い。なのはちゃんが強いわけが1つわかりましたよ」
「何なら、今度俺とやってみるか?」

恭也の方に視線を向け、目を合わせるカノン。

「……なるほど、こと剣術に至っては俺やシグナムよりもやや上か。面白そうだな」
「ねぇ、なのは?カノン君って、シグナムとフェイトちゃんと同じバトルマニア?」
「似てるかもしれないけど、どっちかって言うと、挑まれれば受けるって感じかな?」
「恭也、あんまり無茶しちゃだめだからね」

夫の心配をする忍。昔のことを思い出しているのだろう。
そんな中、

「ウィル、美味しいかい?」
「はい♪ユーノパパ」

ケーキを美味しそうに頬張っているウィルとそれを微笑みながら見守っているユーノがいた。

「なんだか、微笑ましい光景ですね」
「そうですね、ユーノ君とウィルちゃん、本当に親子に見えます」

別の席からそれぞれ感想をもらすカノンとシャマル。
そして、いつの間にかなのはがウィルの隣に座り、頬についたクリームを拭き取っている。

「そして、なのはが加わって、見事な家族の出来上がり、っと」
「いいなぁ、なのはちゃん。ねぇ恭也、私も赤ちゃん欲しいぃ////」
「忍、こんなとこで言うな」

場所を考えず甘える忍。因みに、偶然にも他の客は来ていなかった。




「はぁ〜退屈だなぁ」

ヴィータはブラブラ散歩していた。この日ちょうど休暇だったのだが、他の八神家の面々はそれぞれ仕事が入っているため、1人だけだった。

≪折角の休暇ですじゃ、たまにはこういうのも良かろうて≫
「う〜、でもなぁ〜」
≪では、翠屋でゆるりとするのはどうですかな?≫
「…そうだな。そうすっか」

グラーフアイゼンの提案で翠屋に行くことになったヴィータ。
今、誰が居るとも知らずに…。



「いらっしゃいませ〜。あら、ヴィータちゃん」
「お邪魔します」

どうやらヴィータもこの店の常連のようだ。そこへ、

「よぉ、ヴィータちゃん」
「ん?あ!カノン兄ちゃん!!」

声の方を向くとそこには、今やはやての次に大好きなお兄ちゃんがいた。
嬉しさあまって、座っているカノンに引っ付く。

「ヴィータちゃん、どうしてここに?」
「あ!シャマル!!テメェ、カノン兄ちゃんいるなら教えろよ!!」
「そんな理不尽な…」
「ハハハ、こらヴィータちゃん、シャマルさんを困らせちゃだめだろ?」

そう言って、頭を撫でてあげると、嬉しそうにするヴィータ。

美由紀は珍しい物でも見るかのような視線を送りながら、向かいの席のなのはの所に行き聞いてみる。

「ねぇ、どうなってるの?ヴィータちゃんって頭めったに撫でさせないよね?」
「にゃははは、今カノンさん完全にヴィータちゃんのお兄ちゃんになってて…」
「もうすっかり懐いてるんですよ」
「ウィルもカノンさんに撫でてもらうの好きです」

何故か知らないが納得してしまっている美由紀。でも、ふと思い出した。

「あれ?ねぇ、カノン君」
「はい」
「カノン君って、恋人いるんだよね?」
「はい」
「その人、カノン君のこと…、今してる仕事のこと知ってるの?」

カノンが黙った。その場の空気が一気に変わった。

「……あいつには…あいつだけは巻き込みたくないんです」
「…女の子にとって、誤魔化されるのって…結構辛いんだよ。それで嫌われても…」
「それでも!!あいつを……ミリアを失うよりは何倍もマシです」

カノンは苦痛の表情を浮かべていた。今まで見たことのない顔だった。

カノンが今していることを地球育ちのミリアは理解できないだろう。たとえ、理解できたとしてもきっと否定し、止める。そういう、危険なことをしているのだ。
だが、たとえそれでも、やらなければならいことがカノンにはあるのだ。

「そっか。ちゃんと覚悟できてるんだ…。ちょっと、安心したかも」
「美由紀さん…」
「う〜ん、なんて言うのかな?君がその人の気持ちを理解してて、自分も苦しんでるあたり、ちゃんとその人のこと想ってあげてるんだなぁ〜って」
「ミリアには、俺達側の世界には無縁でいて欲しいんです。戦いなんて知らない。命のやり取りなんて知らない世界で生きて欲しいから」
「でもね、いつか話してあげてよ」
「全部にケリがついたら話すつもりですよ」
「わかった。ゴメンね、変なこと聞いて、一応女の子代表で言っておこうかなって」
「いいえ、貴重なご意見ありがとう御座います」

二人の会話が終わると、再び穏やかな空気に戻ろうとしていた。

だが、

『………!!』

カノンは何かに反応し、ガタンッ、といきなり立ち上がった。

「カノン兄ちゃん?!」

カノンは答えない。海の方を見つめたまま、次第に険しい顔になっていく。

「ヴァルファーレ…、時間に換算してどれくらいだ?」
≪後、5分だ≫

何が5分なのか?、皆分からなかった。だが、それは直ぐに分かることになる

≪…マスター!≫
「クラールヴィント?」
≪強力な魔力反応!約5分後にはこちらに接近します!≫

一同驚愕した。敵の接近よりも寧ろカノンに。
バックアップメインのクラールヴィント。それ故、探知機能は他のデバイスよりも高性能に出来ている。そのクラールヴィントよりも早く反応したのだ。

「…10年、10年以上戦い続けてるとな、自然と敏感になるんだよ。それに、今のヴァルファーレなら半径100キロ圏内の魔力を探知できる。…それより、行くぞ!」

ここでは無関係の人間を巻き込んでしまうため、臨海公園に移すことになった。

皆が出た後、恭也は店の奥に向かった。



現地に到着したカノン達は、結界を張り、其々のデバイスとバリアジャケット及び騎士甲冑を装備した。ただし、ユーノはバリアジャケットのみ。




「…来る!」

カノンは海の方に視線を向け、呟く。


遥か遠くからこちらに猛スピードで接近してくる人影があった。
その人物はある程度距離を置き、海上で停止した。

オレンジ色の髪を持ち、真紅の鎧を身に纏い、青いマントを羽織っている。カノンのようなアーマーではなく、ただのバリアジャケットのようだ。
見た目は18歳ぐらいの男性だった。

「ほぅ、任務帰りに強い魔力反応を感知したと思えば…、なるほど、貴様だったか…セイバー、カノン=リコルヌ」

その男はカノンのことを知っていた。ということは…。
一方カノンは前に出て、

「へぇ、誰かと思ったら、ご無沙汰、スコーピオン。此間は第130管理外世界で好き勝手やってくれたな」
「え?!じゃ、じゃあ、この人が…?」
「そう、こいつが闇の使徒の幹部、ゾディアックブレイブの1人。を統括するスコーピオンミロ=スパスだ」

なのはは戸惑った。まさか、この様なところで最大の敵、闇の使徒の幹部が来るとは…。
焦りだすなのは達をよそに、皮肉を込めた会話を続けるカノン。

「大体、なんだよ、騒々しい。こっちとら、ほのぼのとした午後のティータイムを満喫してたとこだ。用があるなら手短に」
「それはすまなかったな。こちらも、これから帰って暫しの休息を得ようと想っていたとこだ。だから、用件をさっさと言おう…」

ミロが出す用件。それは…


「ここで死んでもらおう、カノン」

カノンの死だった。とんでもない用件だが、カノンは余裕の表情を崩さず、

「おいおい、手短にすませる用件じゃねぇよ、そりゃぁ。…後日改めるってことにしないか?」

それどころか、さらなる皮肉を返している。だが、

「それはできんな。貴様を後回しにすると、少々厄介だからな」

そう言うと、ミロは、パチンッ、と指を鳴らした。

すると、

ガァァァァッ!!

即座に魔獣をカノンの周りに召喚した。その数、5体。

れ」

グァァァァッ!!っと、一斉に飛び掛る。

だが、

シュンッ、シュンッ、シュンッ…、

一瞬幾つもの閃光が走ったと思うと、

ッバァァン!

一斉に魔獣が斬り裂かれ、消滅し…、

「こんな雑魚で俺がどうこうなるわけねぇだろうが!」

ヴァルファーレを手にしたカノンがいた。

「行くぜ!ミロ!!」

ミロに向かって飛び上がるカノン。

―カノンは得意の高速斬撃を繰り出すが、ミロは手甲で受け止め、片方の拳をカノンの腹目掛け放つ。それを、何とか回避する。カノンの表情には若干焦りが見える―

ミロは一旦離れ、何かの詠唱を唱える。と、

「うわぁ!なんだよ、いきなり!」
「魔獣…ですね」
「ざっと見、20…まだ増えそうだ」

なのは達にも魔獣を放った。

ちぃ、とカノンは舌打ちをすると、ミロの相手をしながら皆に念話で指示を出す。

『なのはちゃん!』
『はい!』
『なのはちゃんは俺の援護を!ヴィータちゃんは魔獣の排除!ユーノとシャマルさんはヴィータちゃんのバックアップを!』
『え?!兄ちゃん?!』

ちょっと無理がある、そう思ったヴィータだが、

『こいつは文句なしのS。俺1人じゃ長くもたない!』

焦るカノンをよそに問答無用で攻撃するミロ。

「受けろ、カノン!エイミングヒート!

右手から高熱の誘導弾を5発発射し、それがカノン目掛け襲い掛かる。その威力はアクセルシューターを優に超えている。

避けながら、カノンは念話を続ける。

『頼む!速く!』
『わかりまし…』
「だったら、ヴィータもカノンの援護へ。こいつらは僕がやる。シャマルさんは僕のサポートを」

突然ユーノが前に出た。

「行くよ、ウィル」
「はい…マスター!」

ウィルは光だし、ユーノが首から提げている新緑の宝石に戻り、そして、

ウィルレイヴ・ネクサス、セットアップ!」

さらに、強く光輝き、ユーノの両腕に集まる。

バトルモード、スタンバイ≫

ユーノの両腕は指先から肘までを左右非対称の青いガントレットに覆われていた。


魔獣は関係なしにユーノに襲い掛かる。恐らく、衝動的なものだろう。だが、

「無駄だよ」

両腕を広げ、魔法陣が展開された。そして、

「くらえ!ストライクチェーン!!

魔法陣から発生した緑の鎖で襲い掛かる魔獣を突き飛ばした。
突き飛ばされた魔獣は苦しみ、絶命した。

「ね、だから速く!」

ユーノの実力を見て、カノンは少々感動していた。

『すげ〜、よし!なのはちゃん、ヴィータちゃん!向こうはユーノに任せてこっちを頼む!』
『はい!』
『わかったぜ!』

二人はカノンの所へ向かう。

ミロは若干悔しそうな表情でカノンに目を向ける。カノンはちょっと余裕の表情を浮かべてみせる。

『なのはちゃんはロングレンジからのアクセルシューターでの援護に徹してくれ。アイツの間合いは中距離。それに入ると、焼き殺される!』
『わかりました!』
『ヴィータちゃんは俺の攻撃の後に追撃を。常に俺の位置から反対のところから攻撃してくれ』
『わかった!』
『ただし、ラケーテンハンマーは俺がいいって言うまでダメだ』
『え?なんで?!』

ヴィータは戸惑った。自分にとってラケーテンハンマーは十八番と言ってもいい魔法だ。それを使うなというのだから…。だが、次のカノンの念話でその意味を知る。

『アレは外した後の隙が有りすぎる!コイツは俺以上に見切って隙を突いてくる!だから、使うな。死にたくないだろ…』
『…わ、わかったよ、カノン兄ちゃん』

カノンの念話には明らかに焦りと不安が混ざっていた。普段の彼からは考えられない感情だった。


「3人掛りか…ふん、よかろう。以前もプリーストと組んでの相手だったからな」

なのはとヴィータは焦った。この男はあのトウヤとカノンを同時に相手をして勝てないほどの実力があるのかと。自分達で勝てるのか、そう思えてきた。
そして、

「はあぁぁぁぁっ……」
「ちっ、あの野郎。始めたかっ…」

その場にいる魔力を感知できる者は皆、ミロの異変に気付いた。
明らかにその男の魔力が上がっていくことに。そして、

「ふんっ!」

「うぇ、なんだよあの眼…;」

ミロの左目……左の眼球は、血のように真紅に染まった宝珠の様に変化した。

「行くぞ!」

シュッ、

「え?」

ミロが消えた、ヴィータにはそう見えた。だが、

「死ね」

目の前ですでに、その燃える拳を振りかざしていた。

―ヴィータは、血に染まったかのような炎の拳を見て思った。コロサレル、その言葉が頭をよぎり、目の前の動きがスローに見えた。だが、その色彩に別の色が加わった。ピンクの光弾がまるで、桜の花弁が舞うかの如く幾つも現れミロを襲う。そして、次々とその花弁が燃やされる中、一本の白い閃光が走りミロを下がらせる―

「ボサっとするな!!」

ハッ、とカノンの言葉で我に返るヴィータ。そして、さっきまでのことを思い出し、振るえだした。そんなヴィータを見てカノンは、

「今は泣くな。戦場で甘えは許されない。今は堪えて、後でおもいっきり泣け」

そう言って、ミロへの攻撃を再開するカノン。

「アーマースフィア、セット!変身!!

アーマースフィアからの金色の魔力を全身に纏い、ライジングアーマーを纏うカノン。

「うぉおりゃぁぁ!!」
「はぁぁぁ!!」

金と赤の拳がぶつかる。


ヴィータは微かに流れた涙を拭く。
≪大丈夫かの?主よ?≫
「ぐすん、…ああ、行くよ、グラーフアイゼン!!」

そうして、カノンの元へ向かう。



≪チャージアップ≫
烈光飛刃!エリアルウィング・ライジングアロー!!

カノンはライジングソードから強化されたエリアルウィングを放つ。

完璧なタイミングでミロに突き進む。だが、それをシールドで受け止めた。

「ぬぅぅぅぅっ……はぁぁっ!!」

そして、光の刃を弾き飛ばした。

が、

テートリッヒシュラーク!!

背後からのヴィータの奇襲。
それを手甲で受け止め、弾き、ボディを入れようとした。が、
ヴィータは弾かれた勢いのまま、離脱した。
不審に思ったミロ。すると、背後に魔力を感じ、振り向くと、

ピンク色の砲撃が迫っていた。

なのはのディバインバスター・エクステンション。

「っ!」

なすすべも無く、直撃したミロ。爆煙が上がる。


しかし、

「…なるほどな。貴様が“管理局の白い悪魔”と称された砲撃魔導師、高町なのは、か。そして、闇の書の守護騎士共」
「…う、うっせぇ!今のあたし達ははやての騎士だ!!」

ミロは平然とそこにいた。多少のダメージはあるだろうが、大して問題ではないようだ。
ヴィータは、闇の書の、と言われ反論する。

「そんなことはどうでもいい。問題なのは貴様ら全員ここで始末しなければならないということだ!」

ミロに、更に力が入る。


≪どうやら、ディバインバスターではダメのようです。マスター、スターライトブレーカーを≫
「でも、カノンさんとヴィータちゃんも巻き込んじゃうよ…、それに、ユーノ君も」

そう言って、ユーノの方に目を向けるなのは。


「ウィル!シュトロームソード!
ライトアームズ、ソード展開≫

右腕の黄色い六角形の発生装置が押し上がり、そこから圧縮した魔力エネルギーの剣を発生させた。長さは40センチ前後と短めだ。だが、

「はぁ!」

その短さを利用し、素早い動きで魔獣の懐に飛び込み切り裂く。

だが、その後ろから別の魔獣がユーノに襲い掛かる。
なのはは思わず叫びそうになった。が、

ギャァァァッ!

その魔獣は斬り殺された、

「まだ、後ろが甘いな、ユーノ」

2本の小太刀を持った恭也によって。

「恭也さん、何で?!」
「人手が足りないかと思ってな。やるぞ!」

恭也も加わり、残りの魔獣を排除に掛かる。


向こうは問題ない、と判断したなのは。イレギュラーな兄の出現に戸惑うが、意識を再びミロに向ける。

ライジングに変身したカノンとヴィータを同時に相手をしているミロ。
正直未だに信じれないが、現実がそうさせてはくれなかった。


『ヴィータちゃん!俺がライジングブレイクで押さえ込むから、その隙に…』
『兄ちゃん?』
『へっ、外すなよ。ラケーテンハンマー!』
『…うん!』
『グラーフじいさん、頼んだぜ』
≪『任されよ、カノン殿』≫

一通りの段取りを終え、構えるカノン。

「行くぜ!ミロ!!ヴァルファーレ!」
≪チャージアップ≫
烈光一閃!エリアルブレード・ライジングブレイク!!

黄金に輝くライジングソードを振りかざし、突撃するカノン。そして、

「舐めるな!!」

ミロはそれを最大のシールドを展開し受け止めた。

『い、今だぁぁ!!』

カノンの合図が入る。

ラケーテンハンマー!!

別方向から突撃するヴィータ。

動けず焦りだすミロ。




確実に入る、と思った。


だが、


スパイラルフレア!!

「何ぃ?!」
「うわぁぁ?!」

自身から螺旋状に渦巻く業火を発生させ、カノンと当たる寸前のヴィータをいなして弾き飛ばした。

そして、

なのはの方に向かって、飛び出した。

「しまった、あの野郎!!」

急いでミロの後を追うカノンとヴィータ。

しかし、ミロは途中で停止した。それをチャンスと思い、斬り掛かるカノン。

「わかっていないようだな、今俺が真っ先に倒さなければならないのは、他の誰でもない…貴様だ、カノン!!」

そう言い、カノンの方を向く。そして、

「受けてみるがいい、真紅の衝撃!スカーレッドニードル!!

ミロの指先から赤い光弾が発射され、それがカノンの胸に命中し、

「がぁぁ!」

そのまま、臨海公園付近の道路に落下した。

「カノン兄ちゃん!!…テンメェ!!」
「お前も食らうがいい」

再び、ミロの指先から赤い光弾が発射された。

ヴィータは回避行動をとったが、その弾速に反応しきれず、肩に当たってしまい、

「あぁぁ!!」

その激痛のあまり、飛行魔法が維持できず落下してしまった。

「ヴィータちゃん!」

すかさず、カノンが飛びキャッチした。が、ミロが此方に向かってきた。

「マズイッ!シャマルさん!ヴィータちゃんを頼みます!!」

ヴィータをシャマルの方へ投げる。その直後、

「食らえ、ファイヤースマッシャー!!

炎の砲撃がカノンを飲み込んだ。クロノのブレイズキャノンと異なり、こっちは炎そのものを収束させた砲撃魔法だ。


「ヴィータちゃん!傷を見せて!」

シャマルは治療の為にヴィータの傷口を見た。それは、直径1センチ未満の小さな針の穴程度だった。

「そ、そんな…、こんな小さな傷で…」
「シャマル…、に、兄ちゃんは?」


シャマルはカノンの方へ目を向けると、フォースフィールドを使って、何とか防ぎ着地していた。
ミロは道路に着地すると、

「まだだ!スカーレットニードル!!

またしても、発射された。今度は3発同時に。

カノンはとっさに右側に跳び込み前転して、避けたが、続けざまに第二射が放たれ、左肩と右脹脛を射抜かれた。

「ぐあぁぁ!っハァ、ハァ…」

どうして、シャマルはヴィータの治療をしながら思った。普通、こんな小さな傷であれほどのダメージがあるわけがないのだ。
すると、ミロが、

「スカーレットニードルによる外的な損傷は小さな針の穴程度だ。だが、実際は想像を絶する激痛を受ける。それは正にサソリの猛毒が全身を駆け巡る程の衝撃!!」

そう言い放ち、カノンにスカーレットニードルを放つ。
それをカノンは痛みに耐えながら避ける。

「このスカーレットニードルを受けた者に待っているのは、2つの“”しかない。“肉体の死”か、“精神の死”かだ。蠍座15の星が全て貫かれる前に答えを出せ。カノンよ、お前はどちらを選ぶ、自我の崩壊か、肉体の滅亡か?!」

そして、止めを刺さんとばかりにスカーレットニードルを放つミロ。だが、

「どっちも選らばねぇよっ!!」

バク転で回避したカノン。

そして、

ビィュンッ!

と、カノンの後ろから何かが横切った。それは、ミロに向かって突き進む。だが、弾かれてしまった。
後ろを振り向くとそこには、

右腕のガントレットに弓状の光の刃を形成しているユーノがいた。

「ユーノ、お前…」
「ユーノ君!」

アローレイ・シュトローム
シュトロームソードと同じ装置から弓状に曲がった光の刃を作り出し、実際に弓を引く動作で発射する射撃魔法。

『ユーノ…?……ユーノ=スクライア!奴があの無限書庫の司書長…。ならば…』

ミロは頭の中である結論を出した。


『防いじゃうか…。一応最大出力…ディバインバスター並はあったんだけど…、ウィル、アレ・・どうかな?』

先ほどの自分の攻撃を冷静に分析するユーノ。ウィルに何かの提案をする。

≪『無理です!今の状態だとチャージが…。それに、マスターの体も……!マスター、魔力反応!』≫

そう言われ、前を向くと、その手に魔力を溜めているミロがいた。

炎の嵐よ、全てを飲み込め!ファイアーストーム!!

ミロの手から大量の炎が放たれた。

咄嗟に、カノンとユーノはフォースフィールドとスフィアプロテクションを使い防御する。


炎の嵐が治まったと思えば、

カノンの横をミロが通り過ぎた。

まさか!、カノンはすぐさまミロを追った。そう、ミロの狙いは、


ユーノだ。

真紅の衝撃…
アローレイ…

弓を引く動作をしつつ、刃を形成するユーノだが、

シュッ、

ミロが消えた。

だが、実際は

「遅い」

背後にいた。
振り向いて、放とうとしたユーノだが、

スカーレットニードル!!

間に合わず、直接胸に指を刺されスカーレットニードルをモロに受けてしまった。

「がぁぁぁっ!!」
「ユーノ!!」
「いやぁぁ、ユーノ君!!」

急いでユーノの元へ向かおうとするカノンとなのは。だが、

「邪魔をするな!」

両手から二人に向け、エイミングヒートを放ち、退かせる。
そして、ユーノの方を向き、近づく。

「貴様に直接的な恨みはない。が、このまま野放しにするのは危険だ」

そう言うと、ミロの手が灼熱の炎に包まれた。

「スカーレットニードルで十分殺せるが…、直接その首を落とさせてもらう!!」

灼熱の手刀が振り下ろされる。

ユーノは目を瞑った。



ユーノは違和感を感じた。痛みが来ないことに。そして、ゆっくり目を開けると、そこには、


「やめろ」

ミロの腕を掴んでいるキリトがいた。

キリトはそのままミロを海へ投げ飛ばした。

「キリト!お前…」
「うむ、大丈夫か?スクライア」
「はい…。ありがとう御座います、キリトさん」

軽く頷くキリト。そこへ、

「ユーノくぅぅぅん!!」

なのはが文字どうり飛んで来て、ユーノに抱きつく。顔は半泣き状態だった。


海上のミロはキリトを見つめていた。その時、

パァンッ!

1発の銃声が鳴り、ミロの前を横切った。

「よっくも、ヴィっちゃんに怪我させたね!ボク怒ったから!!」

リムエナがアグニを構えていた。空飛ぶ台の上に乗って。

フライングアタッカー
空中戦用の飛行ユニット。リムエナの物質生成魔法で作られたサポートメカである。

「リムエナ。お前は手を出すな」
「え〜?!なんで?!」
「お前だけではない。他の者もそうだ。…奴は俺が相手をする」

不満タラタラのリムエナだが、キリトの指示なら仕方がないと、カノンのところへ降りる。

キリトは1度の跳躍でミロのところまで行き、そこで無詠唱でフローターフィールドを作り着地した。
下から、すごい、という歓声が聞こえるが、無視し会話を始める。

「ミロ。ここは去れ」

黙るミロ。

「お前とて、これだけの人数どこまで相手を出来るか、わかったものではあるまい…。ここは退け、ミロ」

次第に、ワナワナと震えだすミロ。そして、

「……なぜ、なぜです…。なぜあなたは…」

何かに押しつぶされそうな声をあげるミロ。

「俺と同じ道にいないのです?!!キリト教官!!」



「え?…きょ、教官って…どういうことですか?」

わけが分からない、となのははカノンに問いただす。

「ミロは…元時空管理局陸戦部隊“ヴェルガー”の隊員で、キリトはヴェルガーの創設者で、ミロの教官だったんだよ」
「「「「え〜〜?!!」」」」

なのは達は全く予想しない答えに驚愕した。





ミロは砂漠の民“スパス”一族の生まれで、幼い頃から外の世界に憧れていた。だが、一族の掟で他の世界に行くことはできなかった。
そして、18歳の時、彼は外の世界に出るため一族の秘宝“イフリートのまなこ”を持ち出そうとした。その時、その力が発動し、自分以外の一族を焼き払い、自分自身もイフリートの眼が左目に寄生し、歳を取らなくなった。それでも、ミロは後悔はしていなかった。
一年後、時空管理局に入隊しキリトの指揮するヴェルガーに入る。が、キリトが辞めた後、ミロも管理局を抜けた。そして、何年か各地をさ迷っているうちに闇の使徒の首領に認められ、現在に至る。

キリトは35年前まで時空管理局の提督であり、近接戦闘特化陸戦部隊“ヴェルガー”の創設者であり隊長でもあった。グレアム提督とは同期で友人である。
ある時、彼の故郷“ぺダン”の襲撃の知らせを受け単身駆けつけたが、間に合わず一族は壊滅してしまった。そして、襲撃した魔獣の残党に不意を付かれその場で死亡した。
だが、魂は死なず無力な自分を憎み続けた末、ぺダンに伝わる伝説の精霊“フェイガロン”の声が聞こた。

≪何を憎む≫

という問いに

「己自身、一族を守れぬ無力な自分」

と答えた。

≪何を望む≫
「力を、弱い自分を打ち砕く力を」

と、すると、

≪我に契約の証を捧げよ≫

その言葉にキリトは、

「一族の痛み、俺の一生を捧げても償えぬ。俺に死ぬことは許されぬ」

そして、新たな命と力を得たが、歳を取らなくなり、死ぬこともなくなった。本来の髪は茶色だが、現在銀髪なのは、それがフェイガロンとの契約を表しているのだ。
その直後、管理局をやめ去った。
やがて、29年後、カノンとトウヤに出会いアーカムへの誘いを受け、副隊長となる。

キリト=キリク当時30歳のままの外見。実年齢65歳。
ミロ=スパス当時18歳のままの外見。実年齢48歳。



「俺は嬉しかった。見知らぬ地で、俺と同じく一族の掟に縛られるのを拒んだ者に出会えて。あたなの一族も同じだった…」
「…」
「だが、あなたは、その一族のため“死”を捨て、永遠という名の牢獄にその身を委ねた………なぜです?!!教官!!」

ミロはキリトに叫ぶ。

「俺は…管理局に入った後も、一族の身を案じた。今でも一族のことは誇りに想う」
「何が誇りです?掟などという古臭い伝統などに惑わされ、視野の狭くなった者達など…」
「俺とお前は、元々違う道を進んでいたのだ。ただ、途中まで似ていただけだ」

キリトは自分の思いを伝える。だが、それでもミロは納得できていなかった。

「……俺は、この20年近くを闇の使徒として、多くの世界を見てきました。それで分かったのです…。今の世界は、更なる理不尽な掟に縛られ続けている者が多くいることを…。そして、そんな世界は作り変えねばならないということを!!」
「それは極論だ。そうでない者も、それを良しとしている者もいる!」
「それがどれだけいるのです!それはあまりにも少ない。そして、その理不尽な行いでどれだけの可能性を潰されていると思っているのです!!」
「…ミロ」
「教官。あなたが下がらぬのなら、俺はあなたを討たねばならない!どうか、邪魔をしないで下さい…」
「ミロ…俺とて、弟子の1人であるお前を討つのは、心が痛む。だが、敵として立ち塞がるなら…容赦はせん!」

キリトは低姿勢になり、独特な構えを取る。

ぺダン式魔法
野生の猛獣に模した戦闘方法で低い姿勢から一気に間合いを詰め、一撃で相手の急所(主に心臓、首より上)を仕留める。主に手を攻撃術、脚を移動術とで使い分けている。

対するミロも意を決し、先ほどカノン達を相手にしていた時と同じイフリートの眼を発動した状態になっている。

二人の道は完全に別れてしまっていた。



「カノンさん…」
「なんですか、シャマルさん?」

静かに答えるカノン。シャマルの目には涙が浮かんでいた。

「私…キリトさんの辛さが分かります…」
「シャマルさん達ヴォルケンリッターは幾度も転生を繰り返していましたから……はやてちゃんに出会わなければ、それこそ永遠を生きることに成っていたでしょう…」

シャマルは静かに頷いた。

「でも、今のキリトは違います」
「…え?」
「俺達に出会って、キリトは自分の力のあり方を変えました。それまでは、ただ戦って苦痛の中に身を投じるだけだった……でも、今は…」


「守るための力に変えています」

大切なものを守る力に…




「行くぞ」

キリトは更に深く身をかがめ、タンッ、と蹴り、一直線に跳んだ。

―それは音速の弾丸の如き速さだった。ミロは微かに捉え、体を逸らしたが、つー、と頬から血が流れていた。
キリトはミロの後方に立っている。彼の手は魔力に覆われていた―


カッティングハンド。通称“斬手”」
「ざんしゅ?」

カノンの言葉に疑問を浮かべるなのは。

「手に魔力を集中させた手刀で、キリトの十八番オハコ。載せる魔力によっては俺のエリアルブレード並みにもなる。そして、さっきの移動術が“四脚”。脚力を魔力で瞬間的に爆発的に強化して、一瞬で相手との間合いを詰める移動魔法。この2つで大体の敵を一撃で瞬殺してきた。それで、キリトは昔から、“雷光の牙”って呼ばれてるのさ」



「はぁぁ!」

キリトは再びミロに跳びこみ、斬手を放つ。だが、

「ふんっ!」

それを受け止める。   


手刀で。

「…斬手か」
炎斬手えんざんしゅ/フレイムカッティングハンド、あなたから教わり、俺流に改良しました…。そして、これが俺があなたの弟子であったことの証ぃ!!」

キリトを振り払うミロ。そして、

「わかりました。ならば、せめてこの俺があなたを永遠の時の牢獄から解放します!」

そう叫んだミロの指先は真紅に輝きいていた。

真紅の衝撃!スカーレッドニードル!!

赤き光弾が放たれた。キリトは寸前で回避したが、

ミロはこちらに来ていた。そして、

「はぁ!」

直接キリトに突き刺した。

「ぐはっ!」

バリアジャケットを纏わないキリトにはとてつもないダメージだ。それでも、ミロの攻撃は治まらない。

「教官!あなたは有り余る魔力の全てを斬手と四脚を極めるために使っている。間接的攻撃方法の無いあなたでは今の俺には勝てない!」

両手からエイミングヒートを放つミロ。
スカーレットニードルのダメージが残っているキリトは回避できず、全弾命中し、道路に落下した。

すぐさま起き上がったキリトに2体、残っていた魔獣が襲い掛かろうとしていた。

「グアァァァ!!」

爪を振り下ろす。

だが、

ガシッ

「ガァ?ガハッ?」

その爪は届かず、キリトに顔面を鷲掴みにされている。

「ミロ、わかっているのか?俺は死ねんのだ…。傷もすぐさま再生される。お前のスカーレットニードルでは俺を殺すことは…できん!!」

そして、

ブチッ!!   グシャッ!!

魔獣は頭ごと引きちぎられ、握り潰された。

もう一体も襲い掛かったが、


ボトッ


キリトの斬手で首を斬りおとされた。

その痛み、地獄への手向けにするがいい

消え行く魔獣に言葉を投げかけた。
キリトはミロに向き直す。

「ミロよ。人は…世界を変える為に力を使う必要はない。人は…誰かを守るためにその力を使えばいい。…お前に守る者は居るか?」

その言葉に、ミロは動揺した。そして、何か思い詰めているように俯いている。


『行くぞ、フェイガロン』
『よかろう、宿主』

キリトは徐に両腕を腹の前で交差させた。

「…鎧装がいそう

言葉を発すると、彼を大量の風と雷が取り囲む。

次第にそれは両腕、両足に集中し出し、

「おぁぁぁ!!」

咆哮にも似た雄叫びと共に払われ、

キリトは白銀の鎧を身に纏っていた。
カノンのよりは生態的な容姿をしており、両腕と両足はまさに猛獣のような形をして、側面からは刃が生えている。


「カノン、あれは?」
鎧装状態半憑依状態とも言うな。フェイガロンの力の一部が解放された状態だ。俺のアーマーに似てるけど、あれは精霊がキリトを媒介に具現化したって思った方がいい」

ユーノの質問に答えるカノン。確かに今のキリトは虎の類の猛獣の姿に近くなっている。更には、呼吸の仕方も獣に近くなっている。


「行くぞ!!」

先ほどよりも強く、速く、そして荒々しく跳躍した。

―ミロは後ろに下がりながらスカーレットニードルを複数発射する。だが、キリトはその間を縫うように連続でフローターフィールドを併用して四脚を使い、ミロの頭の上まで到達する。右手の爪に風を纏わせた一撃〔疾風/エアスラッシュ〕を振り下ろす。回避仕切れず、胸の鎧に傷が入るが、そのまま蹴りを入れるミロ。それをキリトは自身の両足で防いで、そのまま跳び、膝を抱えて、くるくる、回転しながら着地する―

着地したキリトはミロの方を向く、そこには、

「これはならどうです、焼き尽くせ!ファイヤースマッシャー!!

これまでの倍以上はある火力を放ったミロ。

キリトは身構える。

その時、

彼の前に人影が現れ、


業火が消え去った。


「なにぃ?!!」

ミロは驚愕した。自分が放った炎が跡形も無く消え去ったのだから。
そう思った次の瞬間、

自分の右側から異変を感じたミロは振り向くと、

そこから、

先ほど自分が放ったファイアースマッシャーが現れた。

突然の自体に、身動きできず直撃してしまった。


「湖の騎士…」

キリトの前にはシャマルが旅の鏡を発動していた。間一髪、割って入り、旅の鏡を利用して、ミロが放った炎を別座標に送ったのだ。

「……すみません。……でも、でも私」
「…いや、感謝する」

泣きそうになっているシャマルに一言礼を告げると、彼女の前に立ちミロの方に目を向ける。

自分に纏わり付く炎を振り払ったミロもキリトに目を向ける。


キリトは左手首を右手で掴み、下に向ける。

すると、

ッバチバチバチバチバチッ!!!!

左手から膨大な電気が放電し始めた。



「キリトの奴!マジでやる気だ!!」
「な、何なんだよカノン兄ちゃん。アレ?!」

突然の事態に慌てだすヴィータ。

「アレは、キリトの異名を実体化したような技だ」
「異名を実体化、ですか?」
「アレは左手のみに膨大な量の雷の魔力を集中させて、そのまま敵を貫く技。一点に掛かる破壊力なら俺達アーカムの中でもトップクラスの威力を持つ。名前は“サンダークロー”。通称…」


雷の魔力を最大に溜め込んだキリトは、これまでの最速の跳躍で跳び上がる。

それはまさに“雷光”だった。そして、その名を、咆哮の如く叫んだ。


雷牙らいが!!

渾身の一撃が炸裂し、開放された魔力が一気に放電し、辺りを輝かせた。

光が治まり、カノン達は目を開いた。


ミロとキリトは互いを背にし停止している。

キリトの手には、まだ、バチバチ、と放電現象が残っており、ミロの血と思われる液体が付着している。

「…流石ですっ、この鎧ごとっ…貫かれるとは…」

ミロは左の脇腹を押さえて痛みに耐えている。

「…ですが、俺とてゾディアックブレイブの一人。唯ではやられませんっ!」

そう言って、キリトの方を向く。

「…そのようだな。まさか、あの垣間でスカーレットニードルを4発撃ち込み…」

静かに振り向くキリト。そこには、

「さらなる一撃を入れるとわなっ…」

キリトの腹は右下から左上に向かって、焼き斬られ、ただれていた。

「雷牙が当たる前にスカーレットニードルを打ち込まれて威力が落ちたか…。本来なら土手っ腹に風穴開いてもいいんだけど…。さらに、すれ違い様に炎斬手を決めやがった」

悔しそうに状況を分析するカノン。決まれば確実に倒せていたのだから。

本来、雷牙は1人で扱うような技ではないのだ。殆ど、誰かと組んで行う。極めて高い威力を持つ反面、動作が一直線過ぎるため避けられる危険性があるのだ。殆どの敵は避けれるほどの目を持たないが、ミロはキリトに鍛えられ、20年近くを戦い続けていたため、捉えるほどの動体視力を持っているのだ。それでも、完璧に避けることはできないが。


『まずい…。傷は思った程深くはないが、後の戦闘に響き兼ねん。それに、教官の傷も直に治る。このままでは…』

ミロは頭の中で状況を分析している。その時、

『ミロ、戻れ』
「ッ!ゼロか?!どういうことだ?!」

誰かからの念話が届いた。
一瞬、カノンが反応した。それに気付いた者は…。


『今は退け、このまま戦っても意味はない』
「しかし、奴らをこのまま野放しにするわけには…」
『ミロ!!』

相手の激怒に一瞬、身を硬直させたミロ。

『…ミロ。お前の任務は終わっている。今は戻れ。機会はまだ有る』
「…」
『…現在、キュリアスが苦戦している。行ってやってくれ』
「ッ!キュリアスが?!!」

ゼロの声は最後は穏やかになっていた。
キュリアス、その言葉に異様に反応するミロ。

「…了解した」

念話が切れ、ミロは再びキリトの方を向く。

「…教官。先ほどのあなたの問いかけにお答えします。…居ます。居るのです、俺には守らねばならない人が。その人の為、俺は世界を変えます。あなたが今後立ちはだかるなら、俺は全力であなたを倒します。…それが、あなたの弟子である俺の務め!」
「ならば、俺がお前を殺す。それが、師である俺の責任だ」

さらばです、そう言い残し、ミロは転移した。

キリトは元に戻り、カノン達の所へ戻った。その瞬間、

≪マスター!魔力反応、複数!≫

レイジングハートからの警告が鳴った。

「あの野郎!残して行きやがって!!…あれ?シャマルさん?……!!」

愚痴を溢したカノンだったが、シャマルが戻ってきていないことに気付き辺りを見渡すと、道路にへたり込んでいるシャマルが居た。どうやら、先ほどのキリトの雷牙で腰が抜けたらしい。
しかも、魔獣達はシャマルを狙っている。

カノンが助けに飛び込もうとした。その時、

パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!

襲い掛かった先頭の4体が、銃声と共に倒された。


「こいつ等、ボクがやるよ」

シャマルの前にリムエナが着地した。

「り、リムちゃん?」
「ちょっっと待っててね、マル姉さん。すぐ終わらせるから♪」

そう言った、リムエナは手をかざした。

「はっ!ちょ、ま、待てっ、リム!!こ、こ、ここで…!」

何やら突然慌てだしたカノン。キリトは、ふ〜、とため息を付いている。

「行っくよ〜!ミサイルプラントぉ!キラー!ストーカー!ハイペリオン!カモーン!!」

突如、リムエナの周囲に3種類のミサイルポッドが現れた。更には、

「続いて、ウェポンレプリカ!

その3種類の複製を作り出した。

「……あ、あの〜カノンさん?これって〜」
「リム!!やめれ〜!!」

とんでもなく取り乱すカノン。まぁ、ここに居る全員これから起こる惨劇は想像できているのだか。

そして、現実になる。

一気にいくよ〜〜!!ショ〜〜タ〜〜イム!!ミサイルパーティー!!

ドガドガドガドガドガ…!!

嵐の如く、ミサイルが発射された。
恐れをなし逃げようとする魔獣にもミサイルの雨は降り注がれる。

ドォォォンッ!!バァァァンッ!!ズガァァァンッ!!……!!

ここまでする必要があるのかと言うくらいの爆音が鳴り、土煙が上がっている。

≪な、なにがマスターに近いですか?!!全然近くありません!!≫
≪いや、容赦ないところは似ているだろ≫

ここへ来る前に言われたことを改めて全力全開で否定したレイジングハート。ヴァルファーレはそれでも似ているといっている。

「…こんなの、なのはちゃんの方が何倍もマシだぜ…」

相棒の言葉を否定するカノン。どこか哀愁を漂わせている。


ボクの勝ちは最初から決まってんの♪マル姉さん、大丈夫?」

決め台詞を言い、ブイッ、っとVサインを突き出したリムエナは、シャマルに近寄った。

「?マル姉〜さ〜ん、お〜い」
「…ハッ!り、リムちゃん…」
「えへっ、大丈夫だった?」

と、そこへ、

ゴンッ!

「こんっっんのバカ娘ぇ〜!!」
「痛〜〜い!何すんのさ、カノンノのバカッ!!」
「バカはどっちだ!!後片付け、毎回俺がやってんだぞ!」
「だったらいいじゃん!何時もみたいに錬金術で、パ〜って!」
「でぅぁあぁまれ!!無駄に消費すんだろうが!キチ〜んだよ!!」

何時ぞやのようにギャア、ギャア、喚く二人。そこに、

ドスッ、ドスッ、

「「〜〜〜!!」」

キリトの手刀が頭に入る。今回も声が出ないほど痛いようだ。

「馬鹿者。今は怪我人の治療が先決だ」

そういい、シャマルに近づき、

「立てるか?」

手を差し伸べた。
シャマルはその手を見つめている。

「…魔獣や弟子の血に染まった手で申し訳ないが…」
「い、いえ。そんなことありません。すみません…」

キリトの手を掴み立ち上がるシャマル。ほのかに頬が赤くなっていることを本人は気付いていない。

「カノン」
「な、なんだよ(泣)」
「すぐに修復しろ。終わったことをいつまでも言ってもしょうがないだろう」
「…わかったよ」

納得していない様子のカノン。当然と言えば当然だが。

「リムエナ」
「な、なに〜(泣)」
「次からこの程度の数で使う必要は無い。使うなら複製はするな」
「う〜〜わかったよぅ〜」

怒っているのか、声のトーンが若干低くなっているように聞こえた。


その後、道路などの修復をした(カノン1人で)後、高町家に一旦集まることになった。



「すみません、桃子さん」
「いいんですよ、困ったときはお互い様です」

有難う御座います、とお辞儀するカノンに、笑顔で答える桃子。
皆疲労困憊といった感じだ。

「でも、凄いよね、みんな。恭ちゃん、大丈夫だった?」
「俺は大してなにもしてなかったからな」
「そんなことないですよ。恭也さんがいなかったら、僕が危なかったんですから」

すると、ソファに座って休んでいるユーノの膝に、ちょこん、とウィルが引っ付いた。

「ユーノパパ、大丈夫ですか?」
「うん。ありがとウィル。大丈夫だよ」

そう言って、頭を撫でてあげると、安心したのか緊張の糸が切れたのか、泣きそうになっている。
そんなウィルを抱き上げ、優しく抱きしめるユーノ。次第に、ヒック、ヒック、とウィルが泣き出してしまった。

「ユーノ君…」
「なのは」

なのはも泣きそうな顔になっている。ユーノは左手をなのはの頬に添え、自分の肩になのはの頭を置く形で抱きしめ安心させる。

そんな中、ヴィータが次第に震えだしている。

「ヴィータちゃん?」
「しゃ、シャマル……あたし…」

カノンが近づこうとした時、リムエナが彼女の前に座った。

「ヴィっちゃん」
「な…なんだよ」

ポン、

リムエナはヴィータの頭に手を載せ、

「頑張ったね♪」

そう言って、優しく撫でた。

「…え?」
「初めて戦ったゾディアックの連中があのサソリ野郎なんて、かなりハードなのに…それでも逃げないで頑張ったね。偉いよ、ヴィっちゃん♪」

ヴィータはリムエナの顔を見つめた。その顔は、カノンとは違う、はやてに近い母性溢れる笑顔だった。
次第にヴィータは今まで溜めていたものが押さえきれなくなり、

「…くすん…ヒック……うわぁぁぁぁぁん!!」

リムエナの胸に飛び込み、声を上げて泣き出した。

「怖かった…こわかったよぉぉ!!」
「そうだね、怖かったね。でも、もう大丈夫だから」

リムエナは終始笑顔でヴィータの背中を撫でながら抱きしめていた。


ヴィータの泣き声が次第に治まりだしたころ、恭也はカノンに尋ねた。

「カノン」
「ん?なんだ?」
「1つ聞きたい。お前にとってゼロとは何者だ?あの時、お前は微かに反応した」

カノンは驚いた。まさか、気付かれているとは思っていなかったのだろう。

「…なんだ、ばれてたか。まぁ、大した問題でもないから言うけど」

カノンは一時黙り、話始めた。

「ゼロは…俺のライバルみたいな奴かな。向こうはどんな風に思ってるか知んないけど」
「ライバル…」
「俺が5年前始めて戦って、ボロ負けして、それから4回は戦ったかな?その都度、俺は強くなってるつもり…だけど、向こうも強くなってるんだよな…」
「そ、そんなに強いんですか?」

シャマルが尋ねる。カノンがボロ負けする程の強者とはどれ程なのかと。

「ええ。アイツの称号はサジタリアス。ゾディアックブレイブ最強の剣士って呼ばれるぐらい強いですよ。推定ランクはSS」

シャマルは口をあんぐりさせている。SSランクなど見たことも聞いたこともなかったのだ。

「ちなみに、ミロは戦闘力だけ見れば、五指には入る」
「だから、みんなの初戦の相手にしてはきつ過ぎたわけ。俺でも無茶苦茶キツイっての」

みんなぞっとした(ヴィータはリムエナの膝の上で泣き疲れて寝ている)。では、キリトが来なければみんな死んでいたかも知れないではないか。それ以前に、もしキリトの体質が不死でなかったら…。
考えたくない現実が頭を埋めていた。
ただし、1人だけ冷静な人物がいた。

「カノン。僕も1つ聞いていい?」

ユーノだ。
ごめんね、とこちらも泣き疲れて寝ているウィルをなのはに預け、立ち上がる。

「大体の予想は付くけどな」
「なら的中させるよ。ミロが言っていたイフリートの眼。アレは第78管理外世界、砂漠の惑星“サルタン”の少数民族“スパス”族の秘宝。寄生型セミロストロギアで間違いないんだね?」
「!!」
「さっすが、無限書庫司書長。ミロが厄介がって狙いを付けたのが分かるわ」

キリトは驚き、カノンは当たり前のように返す。

「やっぱり…」
「ユーノ君、寄生型セミロストロギアって?」
「寄生型は生命体の体或いはその一部と融合して力を発動するタイプのことを言うんだ。現に彼の左目は真っ赤な宝珠になっていた。セミロストロギアは、ロストロギアに極めて近いタイプの物のこと。その土地の秘宝として崇められている物が多くて、そこの管理がきちんとしてたら大して問題ないんだけど…」
「奴はそれを奪った。そのせいで、誤作動し奴の一族は滅んだ」
「確かに、記録にはスパス一族は滅んだとありますけど…」
「記録なんてそんなもんさ……誰かが書けばそれが基準になる」

どこか悟ったようなカノンの発言に、一瞬全員の視線が集中した。

シャマルも気になることがあったため、尋ねてみた。

「あの、私からも…。あの人のスカーレットニードルはどういう性能なんですか?あんな小さな傷であれだけのダメージは普通では…」
「あれはイフリートの眼の性能の所為ですよ。1つに、あれはカートリッジや俺のマジックスフィアのような魔力供給機能があって、絶えず炎の魔力を宿主に供給する性質がある。あのスカーレットニードル1発にクロノのブレイズキャノン並みの熱量があるんだ」
「体が感じるダメージは、圧縮された熱が体内で開放された為に起こる。故にアレは真紅の衝撃と言われるのだ」

シャマルは聞き入っている。理屈はわかるがそれを現実にするにはどれだけの鍛錬がいるのかと。

「それともう1つの性能も関わってくる。イフリートの眼はそれ自体にちゃんと視神経があって、それが発動中は生物の人体に蠍座が浮かび上がるそうなんだ」
「蠍座…確かに彼は蠍座15の星って…」
「そう。その浮かび上がった15の星を1から順に撃ち抜いていく。数が増えることにダメージが増えていくっていうタチの悪い魔法だ」
「そのため、奴は管理局時代はスカーレットニードルを尋問用の魔法としても使っていた。その為、当時から“熱砂の尋問官”の二つ名を持つ」

ユーノ、なのは、シャマルは想像してみた。あの魔法で尋問しているミロの姿を。


(10秒お待ちください)


一気に青ざめた。

「どんな想像したか容易に分かるけど…追い討ちかけるな。アレを15発食らったら…確実に死ぬ」
「な、なんでですか?!」
「奴が最後に撃ち抜く星は蠍座の1等星“アンタレス”。そこは最大の致命点とされている」
「そこを撃ち抜かれると、それまでの傷を含めて全部の傷口から血が噴出して死ぬ。証拠として、此間の130世界での死体に15の穴が開いた死体があって、死因が失血によるショック死だとさ」

なのは達は再び黙る。ならば、複数発食らったカノンとキリトはどれ程のダメージを受けたのか…。


「…スコーピオン…サジタリアス…」
「?ユーノ君?」
「カノン。もしかして、彼らゾディアックブレイブの称号名は黄道十二星座からきてるの?」
「そうだ」

突如、思いついたかのように言い出すユーノ。

「ユーノ君、黄道十二星座ってアレだよね?誕生日の星座の…」
「うん、そうだよなのは。ただ、それだと、数が合わないんだ。以前カノン達が言っていた幹部人数は13人。黄道十二星座は文字道理12。…だけど、これからは僕の仮説だけど、ゾディアックブレイブの中に1人だけ、どの指揮系統に属さない人物がいると思うんだ。これが正しいなら、その人物は恐らく蛇使い座“サーペント”の筈」
「どうして、蛇使い座なの?」
「蛇使い座は黄道十二星座に一番近い星座って言われてるんだ。実際、その中に入れるかの議論が学会で起こったことがあるからね。そう考えると…」
「ユーノ。もういいよ、正解だ。ったく、どんだけ頭良いんだよお前は…」

ユーノの演説に感心しているカノン。若干、呆れ気味だが。

「スクライアの言う通り、奴らの中には闇の使徒であってそうでない奴がいる。サーペント
「やっぱり…」
「ねぇねぇ、カノンノ」

突然、ヴィータを寝かせたままのリムエナが話しかけた。

「ん?なんだよ」
「さっきミロがいってた『キュリアス』って誰かな?」
「そう言えば、そんなこと言ってたな」
「恐らく、奴が言っていた守るべき人なのだろう」
「じゃぁ、恋人ってことか……なんだよ、戦いずらいな」
「そう言う問題ぃ〜?…てことは、これまで会ってないゾディアックの中の誰かってことなのかな?」

皆の視線がカノン達に向けられる。

「…だとすると、俺達の中で誰も会ってないのは…元素、の五人か…」
「雷はキリキリが倒してるもんね」
「え〜?!キリトさん、もう1人倒してるんですか?!!」

なのはは驚いてつい叫んでしまった。

「ああ、そうだよ。俺とトウヤが初めて会ったときがそいつとの戦闘してた時だったから」
「ライカンスロープの王、雷・レオバンドゥール…。だが、奴の魂は今でもあの場に残り息子達を見守っている」
「で、その子供達をキリキリが保護したんだよね?」
「ああ。好敵手の最後の頼みだからな。今は管理局の自然保護区でそこの局員達と問題なく暮らしている筈だ」

今度会いに行かなくてわな、と昔を振り返りながら語るキリト。


「あの〜、私思うんです」
「なのは?」

なのはが躊躇いながら話し始める。

「私、これまで闇の使徒の人達は…その…ただ強い犯罪者の集まりみたいなモノなのかなって思ってたんですけど…。違ったんですね、ミロさんの話を聞いてて、とても締め付けられる感じがしました」
「なのっち…」
「そうだね。まぁ、中にはなのはちゃんの言う、ただの犯罪者ちっくな奴もいるけど…」

そう言って、カノンは外に目を向ける。

「あいつ等は…この世界が産んだ“結果”なんだよ。…アイツが言った、この理不尽な世界が産んだ人の“負”の部分。それが実体化したようなもんなんだよ。で、あいつ等はそんな世界を裁こうとしてる」
「でも、そんなこと人が…」
「人以外の誰がするんだ?神様?…神様はそんなことしない。神はただ見てるだけ、自分が作った者達の行いをただ見てるだけだ。…そんなことはどうでもいい。一番重要なのは、そいつらの行いが人の幸せを奪うかどうかだ。前にも言ったけど、俺は正義とか悪とかって言葉が嫌いだ。ミロにとっての正義が端から見れば悪になるし、俺達のやってることも向こうから見れば悪になる。そんなことなら、俺は正義なって言葉は使わない。奪うか奪わないか、その2つでいい。偶々、闇の使徒が奪う側の連中だった、それだけだ。仮に、管理局が奪う側なら俺は管理局を潰すだろうな…。まぁ、今のとこ、そんなことには成ってないからいいんだけどね」

カノンは笑っている。

彼はどれだけ凄いことを言っているのか、わかってるのだろうか。

恐らく、カノンは闇の使徒の存在を認めているのだろう。ただ、彼らが誰かの幸せを壊す存在であるから止める。そうでないなら放っておく。カノンの発言に私情は殆どない。人の幸せの為に戦うのが彼なのだ。たとえ、それが1人になったとしても…。


「さって、そろそろ御暇した方がいいな」
「なら、ユーノ君とウィルちゃんは泊まって行きなさい」
「え?良いんですか?」
「ええ、その方がなのはも安心するだろうし…」

なのはとユーノは互いの顔を見る。なのはの頬が少し赤くなっている。

「…じゃぁ、お世話になります」

ユーノが深深とお辞儀をする。桃子は相変わらず笑顔だ。

「カノンノ」
「ん?」
「ボク、ヴィちゃん送っていくね」

リムエナの腕の中には、未だ寝ているヴィータがいる。よほど疲れたのだろう。

「ならば、俺も行こう。いいか?シャマル」
「え?は、はい!大丈夫です////」

突然キリトに話し掛けられ、慌てるシャマル。顔がなのはより赤い。

「じゃあ、俺は本局に戻るわ」
「なになに?これから仕事?」

美由紀が興味津々に聞いてくる。

「来月の休暇に仕事を入れたくないですから…」
「恋人との楽しい時間を潰したくないもんね♪」
「そういうことです」

そして、皆それぞれの帰るべき所に帰っていく。


本局に付いたカノンは通信機を取り出した。

「エド」
『なんすか、チビ旦那』
「連絡取ってくれないか?」
『ってぇと、…あいつ等ですかい?』
「ああ」

カノンは肯定の意を示す。


時空調査機関“シフォン”に」





闇の使徒本部

そこの医務室からミロが出て来た。非戦闘時であるためバリアジャケットを解いている。
ふと、横から近づく気配に振り向くと、

ミロに向かって走ってくる少女がいた。

「キュリアス…」

キュリアスと呼ばれた少女は澄んだ水の様な青い髪をし、あどけなさを残している。
キュリアスはミロの胸に飛び込んだ。安心したかのように頬を擦り付けている。
ミロは片手でそっと抱きしめる。

「ミロ様。お怪我はいかかですか?」
「ステラか、問題ない。心配掛けるな」
「私よりもキュリアス様の方が…」

そう言われ、キュリアスを見つめるミロ。彼女の瞳は、不安だったのだろう、潤んでいた。
ミロは安心させるように微笑み、優しく彼女の頭を撫でる。

「よかったねぇ〜キュリアス。ミロに助けてもらって♪」

ミロの背後から女の声が聞こえた。

「アファラードか」
「やっほ〜♪」

ピンクに近い紫のロングヘアーの女は陽気に手を振っている。

「ダメですよ、アファラード嬢。他者の恋路に水をさしては…」
「あらぁ、クラッド」

金髪のモヒカンのような頭をした男は廊下の壁に寄り掛かっている。

「私から見たら、アンタの方が水をさしてるように見えるけど?」
「いえいえ、私はミロ殿とキュリアス嬢を、大・変祝福していますが」

そう言って、ミロに目を向けるクラッド。
対するミロは睨み付けている。若干、敵意を持って。キュリアスの侍女のステラも同様だった。


「止めておけ。仲間内で見苦しい」

ステラの後方から、別の男の声がした。
全員そっちの方を向く。
その男は、耳が隠れるぐらいの銀髪と赤い瞳をしており、襟に毛の付いた大きめのコートを着て、腰に刀を提げている。

「ゼロ…」

ミロが呟く。ステラは恐縮しながらお辞儀をする。
ゼロはステラの前に立ち軽く頷く。

「キュリアス。無事で何よりだ」

突然名を呼ばれ、少し動揺する。ゼロはそのままミロの前に立ち、

「ミロ。熱く成り過ぎるな。唯でさえお前は、熱くなりやすい傾向にある。でなければ、勝てる戦いも勝てなくなるぞ」
「…わかっている」

静かに答えるミロ。
今日の戦闘、もしミロがもっと冷静ならカノン達は負けていたかもしれない。
それだけ、ミロにとってキリトの存在が大きいということになる。

ならいい、とそのまま通り過ぎようとするゼロをミロが静止を掛ける。

「ゼロ。他の連中は?」
「アトスは先ほど任務に出た。バルムンクはもう直ぐ帰還する」
「エクセラは?」
「彼女からは、三日後潜伏先から一時帰還する、と知らせが入った」

そう言って、アファラード達の方へ立ち去ろうとするゼロ。

「ゼロ殿。我々の上官、ヌサカーン殿はどちらに?」
「奴は、出事があると言って、さっき出かけた」
「ねぇ、リオンとデュークは?」
「リオンからの連絡は無い。手間取っているのだろう。デュークは知らん」
「そっか。ねぇ、ゼロはこれから予定ある?」

何処かしら妖艶な雰囲気を漂わせながらアファラードは、ゼロに体を密着させる。

「俺はこれから任務だ」

そう言って、アファラードを払いのける。

「おおぉ、たった一人で千人もの魔導師を蹴散らす、我々の中の最強の剣士であるゼロ殿が出陣されるとは、それは実に素晴らしい」
「クラッド。お前の褒め言葉からは怪しさしか感じない。何を企んでいる」
「いえいえ、私はとっても素直なだけですよ」

横目でクラッドを見るゼロ。彼は終始余裕の表情だった。
まあいい、と呟き去って行った。



多種多様な美しい花が咲き乱れる庭園をミロとキュリアス、そして、ステラが歩いている。

「では、ミロ様。キュリアス様を宜しくお願いします。明日の朝、お迎えに上がります」
「ああ。すまないな」
「いいえ。キュリアス様、有意義なお時間を」

そう言って、ステラは笑顔でお辞儀をし、主人をミロに預け去っていく。

庭園に程近い場所にミロの家がある。
闇の使徒の幹部には其々それなりの家が用意されているようだ。侍女が居るキュリアスが良い例だろう。
部屋に入り、ベットに座り込むミロ。そこに、

『ミロ、大丈夫?』

念話が届いた。

「キュリアス、無理に念話を使わなくていいんだぞ」
『いいの、ミロとお話したいから』

念話を伝えると、ミロの隣に、ちょこん、と座る。

『傷、大丈夫?』
「ああ。直りが早いからな」

そう言って、笑顔を見せた途端、ミロは左目を押さえ、苦痛の表情を浮かべだした。

『ミロ!』
「大丈夫だ、何時もの事だっ」

程なく、痛みが去り、ミロは横たわった。
すると、その上にキュリアスが乗り、ミロの胸に頬を当てて抱きしめる。

「キュリアス…」
『ミロ…ありがとう。キュリアス達を助けてくれて』
「礼など要らん。君を守るのは俺だからな」

自分の上に乗っている愛しい人を抱きしめるミロ。互いの温もりが、互いを暖める。

『うん////ミロ、大好き////』
「俺もだ。キュリアス」

二人はそのまま目を瞑った。
今、その場に居る、愛する人の存在を感じながら…



『教官。俺は…必ず手に入れる。失った彼女の声と、彼女が安心して生きれる世界を…。
その為なら、俺は……喜んで“闇”になる。
邪魔をする者は、全て焼き払う。例え其が、キリト=キリク、あなたであっても…』


たとえ、同じ大切な者を守る力であっても、違う道ならば、

それは、互いを傷つける力になる

ミロとキリト、この二人のように…



イメージED:ボクノート〔スキマスイッチ〕


―次回予告―

「今日バレンタインなんだから、チョコ渡せば?」

「貴様、なぜ手から血の臭いがするのだ!」

「気付いてしまったんだね…」

「最初に死ねよ!!」

「俺、参上!!」

「こんな痛み、あの人の痛みに比べたら…」

「来世で、幸せに…」


次回:第4話「伝えたい想いと血塗られた両手なの」



―あとがき―

今回から常にイメージOP&EDを付けることにしました。ついでに、次回予告も。
歌を知ってたら、読み始め・終わりに頭の中で歌ってみてください。好評なら続けます。改良するかも…

さて、またしても女に間違えられたカノン君。ここで、アーカム4人の身長を見てみると、

カノン:170センチ
トウヤ:170センチ
キリト:187センチ
リムエナ:168センチ

……仕方ないか(オイッ!)。

因みに、カノンは女性に対する喋り方を年齢(自分目線)で決めています。
年下『ちゃん』、同い年(1歳差もいれる)は呼び捨て、年上『さん』+敬語。
男は基本呼び捨て。誰かの親御さんは流石に敬語。

ユーノのデバイス及び新魔法の解説。

ウィルレイヴ・ネクサス
レイジングハートとは姉妹だが、姉のレイジングハートよりも精神年齢が低い(というより子供)ので、ユーノのことを『パパ』と呼び、そのパパの恋人のなのはを『ママ』と呼ぶ。リインフォースとは精神年齢上仲がいい。愛称は『ウィル』。
半年前、ロストロギアの誤作動が原因で実体化機能が追加された。見た目は、4歳程度の大きさで、ユーノの髪をした小さななのはといった感じだ。その所為か、三人が一緒になると本当の夫婦とその娘に見える。

スタンバイモード
緑の丸い宝石型をしている。

バトルモード
基本形態。指先から肘までを覆う青いガントレットになり、ユーノの両腕に装着される。左右で形状と機能が異なる。
右:ライトアームズは、腕部に六角形の黄色い発生装置があり、そこから攻撃用の武器が形成される。
左:レフトガードナーは右よりも重厚で、腕部の装置がこちらは半球上で、ユーノの防御魔法を強化できる。
また、使用者の魔力を増幅させる機能があり、ユーノの魔力の低さをカバーしている。

すみません。名前と性能以外おもいっきりG-Wingさんのイージスをパクってます。すみません。

攻撃魔法
ストライクチェーン
チェーンバインドを攻撃用に改良したもの。縛らず、先端を打撃用に改良されており、敵を突き飛ばすことができる。

ライトアーム専用魔法
シュトロームソード
発生装置が押し上がり、そこから圧縮した魔力エネルギーの剣を発生させる。長さは40センチ前後と短めだが、振りが速く、隙が少ない。
注ぎ込む魔力を最大にした場合、シグナムの紫電一閃と互角になることも。

アローレイ・シュトローム
上記と同じ装置から弓状に曲がった光の刃を作り出し、実際に弓を引く動作で発射する。
連続発射可能だが、チャージタイムを増やすことでディバインバスター並みの威力になる。

2つの魔法の元ネタ解るかな〜?。

キリトの魔法は本編で解説入っていますので、リムエナのデバイス&魔法について説明します。

アグニ
マガジン式拳銃型のアームドデバイス。待機状態がなく、リムエナは右太腿に常に付けている。カートリッジシステムを搭載しているが、従来のものとは異なりこちらは実際に弾丸を発射する、言わば本当の拳銃と同じ扱いになっている。装弾数15発。切れた弾は用意しているストックを使うかリムエナの物質生成魔法によってその場でマガジンごと作って使うかである。

ハンドガンモード
待機兼基本形態。単発射撃で近・中距離戦向けである。

ランチャーモード
装弾数6発。バズーカ並みの威力がある弾丸を発射する。一応片手で使える。範囲攻撃に適している。が、発射の際、身動きが出来なくなるのが欠点。

スナイプモード
装弾数1発。サーチスコープ搭載型狙撃ライフル形態で、対特殊装甲板用徹甲弾を発射する。アウトレンジ専用であるため使用頻度は少ない。今回未登場。

物質生成魔法
術者の魔力を用いて物質を作り出す魔法。リムエナの扱うこの魔法は、デバイスの複製を一時的に作り出したり、サポート用の別の武器を作り出すことである(それしかできない)。

ウェポンレプリカ
デバイスなどの武器の複製を作り出す魔法。デバイスの場合、複製してできたモノに意思は宿らない。武器としての機能を完全に複製するので多人数戦闘時は二丁拳銃にして戦う。全モード使用できるが、スナイプモードでは使わない。各魔法の消費量が倍になるのが欠点。

ミサイルプラント
ミサイルポッドを作り出す魔法。肩に装着して使うこともできるが、自分の周囲に浮遊させて使うこともできる。下記の3種類のヴァージョンがある。また、ウェポンレプリカを用いてそれぞれ2機ずつ最大6機まで展開可能。

 キラー
 中型直射式ミサイルポッド。全8砲門から発射する。

 ストーカー
 小型誘導式ミサイルポッド。全20砲門から誘導式マイクロミサイルを発射する。

 ハイペリオン
 大型垂直落下式ミサイルポッド。爆撃用の大型ミサイルを最大4発発射する。

ミサイルパーティー
各ミサイルポッドを全機展開しての一斉射。これを魔法と呼んでいいのかわからないが、広域範囲を殲滅することができる。掛け声は『一気にいくよ〜〜!!ショ〜〜タ〜〜イム!!』。カノンはこの魔法が嫌いである。危ないから。


闇の使徒の幹部ゾディアックブレイブが大分姿を現しだしました。ここで、今回登場したキャラのちょっとした説明もしましょう。

ミロ=スパス(本編で解説した通り)〔イメージCV:関俊彦〕
魔導師ランク:S+
魔力光:赤
闇の使徒ゾディアックブレイブ:スコーピオン
年齢と共に本編通り。元ネタは知ってる人は一発で分かります。

キュリアス=サーフェリオ(17)〔イメージCV:桑島法子〕
魔導師ランク:S−
魔力光:水色
闇の使徒ゾディアックブレイブ:ピスケス
ある事情により、声を失った少女。水を統括する。念話は可能だが、魔力の消耗を抑える為必要な時又はミロ、ステラ以外には使わない。
2年前に闇の使徒に入り、ミロとは1年前から恋人同士。
性格・話し方はガンダムSEEDのステラの様なおっとりした感じです。

ステラ=シェニール(25)〔イメージCV:小山茉美〕
魔導師ランク:AAA+
魔力光:青
キュリアスの侍女。
公私共にキュリアスのサポートをしているおおらかな女性。キュリアスの幸せを第一に考えている。

アファラード=インヴィット(見た目:20)〔イメージCV:豊口めぐみ〕
魔導師ランク:S
魔力光:黄色
闇の使徒ゾディアックブレイブ:ヴァルゴ
明るく元気で、誰かをからかう事が好き。月を統括する。また、からかいの一環としてだろうか、良く仲間の誰かを誘惑する(男女関係なく)。

クラッド=スコーン(35)〔イメージCV:大塚芳中〕
魔導師ランク:S+
魔力光:緑
闇の使徒ゾディアックブレイブ:キャンサー
一見ノリが良い、ジョークを飛ばす男だが、実際は極めて冷静。風を統括する。

ゼロ(26)〔イメージCV:石田彰〕
魔導師ランク:SS
魔力光:白
闇の使徒ゾディアックブレイブ:サジタリアス
常に冷静さを保っている。光を統括し、ゾディアックの内、木・火・土・金・水の直接の上官である。また、カノンと過去何度も戦い返り討ちにしている。しかし、その都度、成長するカノンを意識しているのは確かである。
持っている刀については、ただの日本刀という訳ではなく、イメージはエヴァ初号機のマゴノク・E・ソードです。知ってますか?

残りはいずれ。

では、次回4話で!





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