それは叶った願いでした

私の想いは新たな決意と共に受け入れてもらいました
                        私はトウヤさんと共に…

僕はようやく手に入れた幸せを、

そして護る


                       僕はフェイトと共に…

これから多くを知っていく、お互いのことを

そして…

魔法少女リリカルなのは light and darkness



                                           始まります

イメージOP:カルマ〔BUMP OF CHICKEN〕 


2月14日、夜。事件が終わり各自家に帰るのは当たり前。ただ、何時もと違うのは・・・
まず、高町家+ユーノ&ウィル

フェイトちゃんに恋人がぁぁぁぁ?!!

夜の8時頃、1人の女の雄叫びが木霊する。

「お姉ちゃん!声大きいよ!」
「ご、ごめん・・・でも〜」

高町美由紀、23歳。彼氏なし。妹のなのはに次いでフェイトにまで抜かれてしまったのだ。ショックは大きいようだ。

「でも、良かったわね」
「はい、桃子おばあちゃん。ウィルも嬉しいです」
「かなり悩んでましたからね。誰よりも嬉しいと思いますよ」

ユーノとなのははフェイトからよく相談されていた。いろんな意味で経験豊富な故のこと。
因みに、なのはがユーノに告白する際は、逆にフェイトに相談していたのだが・・・

「しかし、話を聞くと相手の男性は色々大変なようだが・・・」
「そこはお互いなんとかするでしょう。それに・・・」


「トウヤにとって、本当にフェイトは救いの女神になるでしょうし」



こちらは八神家+リムエナ

「え〜!!トヤっちとフェイフェイが?!」
「ホンマか、ザフィーラ?!!」
「はい」

美由紀の羨望とは違い、リムエナとはやての叫びは喜びに満ちていた。

「良かったですね、フェイトちゃん」
「はいです。リインも嬉しいです」
「これでフェイトも一段と強くなるだろう」
「お前もっと別の言い方ねぇのかよ。良かったなとかぁ!」

四者四様の祝福の言葉(1人おかしいが)。長年の仲間の恋が成就したのだから嬉しいはずだろう。

「しっかし、トウヤさんもホンマ苦労してきたんやなぁ」
「だから言ったっしょ、ボクのは軽いって」
「そんなことねぇよ、リム姉ちゃん」

自分の過去は軽いと言うリムエナを否定しながらくっつくヴィータ。
そんなヴィータが可愛いのか、目を輝かせながら抱きしめる。

「これで後はシグナムとシャマルやな」
「あ、主////」
「は、はやてちゃん////」

はやては二人に向かって微笑み。

「私はみんなの幸せが一番や」



最後に本命ハラオウン家

「フェイト!!トウヤ君と付き合うってホントに?!!」
「そうなんですよ、リンディさん!ね、フェイトちゃん」
「うぅ〜////」

エイミィからの報告に歓喜の声を上げるリンディ。
当の管理局執務官“雷神の女神”ことフェイトは喜びすぎな二人にタジタジである。

「あ〜どうしましょう、カノン君達とエルザのエドワルドさん達にご挨拶に行かないと。あと、他にトウヤ君が普段からお世話になってる人達は?それから……あ!エリオ君にも教えないと、未来のお父さんになるわけだし…」
「か、母さん?!!」
「リンディさん!話飛び過ぎ!!」
「あら。そうかしら?」

話がぶっ飛んでいるリンディを押さえ込む二人。
そんな中、

「クロノ、フェイトに祝福の言葉の1つはないのかい?それとも・・・可愛い妹が取られるのが嫌なのかい?」

最後の方は皮肉たっぷりに言うアルフ。だが、

「僕はそこまで馬鹿じゃない。相手が道徳的に問題があるか、カノンのような相手なら反対だが、トウヤの人柄に関して言えば全く問題ない」

一旦黙るクロノ。同時にさっきまで騒いでいたリンディ達も黙って聞いていた。

「だが、フェイト」
「何?兄さん」
「トウヤの選んだ道は一生戦い続ける道だ。自分自身と戦い続けて・・・償う、それの繰り返しだ。それだけ、彼が背負っているモノは大きい。それでも・・・」
「それでも!私はトウヤさんの傍に居たい。傍で支えて、癒したい。トウヤさんの負担が少しでも軽くしてあげたいから・・・・・・幸せに、してあげたいから・・・」

帰る前トウヤが言っていた、

『カノン達と一緒にいて“楽しい”よ。だから、どれだけ辛くてもやっていける。でも、“幸せ”を感じたことはない。だから、フェイトが初めてなんだ、一緒にいて幸せを感じた人は』

「だから、私はトウヤさんを護る。トウヤさんを苦しめる全てのモノから!」

フェイトは自分の決意を伝えた。それは、決して揺るがない確固たる意思があった。
黙ってソファーに座っていたクロノは静かに立ち上がり、

「・・・わかった。それだけの覚悟があるのなら、僕は何も言わない。おめでとう、フェイト」

そう言って、クロノは自室に向かって行った。

「よかったね、フェイトちゃん♪」
「うん////」

頬を赤くしながら、胸元に手をやるフェイト。


トウヤから貰った護符を加工したお守りのペンダントに。

第5話「鋼鉄の鎧とみんなでお勉強なの」



2月18日
カノンは今、狭い個室に居る。1人か二人がやっとの広さ。その部屋の椅子に座り、目を閉じている。
周囲には、全方位カメラから外の景色が映っている。暗闇と小さな光が無数に散りばめられている。
カノンの前には様々な種類のボタンとゲージや小型のモニターがあり、手元には操縦桿らしきものがある。
そう、ここはコックピットである。

≪マスター、敵機接近します≫
「よし!みんな、いいか?!」

この空間には4機のFTMがいる。

1機は、

≪来るぞ、キリト≫
「わかっている」

黒のカラーリングをし、背部に一対のスラスターを持っている。4機の中で一番細身で右手にライフル、左腕に小型のシールドを装備している。
さらに、

≪ママ!≫
「大丈夫!」

朱色のカラーリングに、背部から2本のキャノン砲が伸び、右手にバズーカ、左腕にシールドと2連装のビーム砲が一体になった兵器を装備している。
そして、

「全システム、オールグリーン。問題ない、やれる」

全身が黄金の装甲に覆われ、背中に特殊な装備を装着している。右手にはライフル、左手にはこれも金色の装甲が施されたシールドを装備している。
最後に、

≪マスター!≫
「ああ!」

上半身を青、下半身を白を基調としたカラーリングをしており、両腰部には、実体剣が1本ずつ鞘に収まり、背部には自身の背丈と同じくらいの赤い翼型のスラスターを持っている。


「全機!蹴散らすぞ!!」

カノンの号令と共に、4機は散開する。敵機は約20機

―カノンの機体は、敵機のビームを回避しながら接近し、居合抜きで切り裂き、更に接近してくる敵の頭部を空いた手で掴み、掌部に装備されているビーム砲で破壊する。キリトの機体は、カノンのと同様の機動性を駆使しながらライフルで撃ち落し、腰のビームソードを引き抜き真っ二つにする。リムエナの機体は、その豊富な重火器で次々に撃ち落していく。が、詰めが甘いのか敵機の接近を許してしまう。しかし、それをトウヤの機体が撃ち落す。さらに、背中の装備からビーム砲塔を分離し、数機を同時に撃墜する―

カノン達の方が圧倒的に優勢である。



「流石ね、カノン君達」
「はい。シュミレーションを重ねるたびに精度が上がってます」

ここは、整備格納庫の観測室。そこにリンディとマリーと顔の利いた整備スタッフがいる。
現在、カノン達は過去の戦闘データを元にバーチャルシュミレーションを行っているのである。
バーチャルと言っても、実際の戦闘と大差ない体感を得られるのだが。

「改めて見ると、どの機体もすごいわよね」
「そうですよね。しかも、それぞれ各自がカスタマイズしてるっていうんですから・・・」

リンディとマリーはカノン達の機体データを見ながら、感心している。

FTMエフティーエム
Fullmetal Tactical Meireの略称。人型戦略機動兵器。トウヤの故郷の世界“テセラ”で開発が盛んに行われている。
FTMは長期稼動用の特殊エンジン“フォルニウムエンジン”搭載している。
フォルニウムエンジンとは、自らエネルギーを生成することができる特殊物質“フォルニウム”を動力としたエンジンであり、稼働時間の制限はなく、単体での次元空間航行を可能にする。また、パイロットとシンクロすることでパイロットの魔力と同質の魔力を産み出すことができ、それを用いた特殊攻撃等を“ドライブエフェクト”と呼ぶ。ただし、作り出す魔力はシンクロしたパイロットの残存魔力量と同じであり、一度に大量の魔力を作り出すとオーバーロードを起こす場合がある。さらに、シンクロ自体が困難なため最低でもAAA−の魔導師でなければならない。

タイプ
M[マスター]タイプ
フォルニウムエンジンを搭載したFTM。アーカムは全機このタイプである。
運動性、出力等に至るまでSタイプを上回る。が、どれもが専用機でありそれぞれのパイロットの適正に合わせているので汎用性は低い。また、操縦及びエンジン出力の制御には高い技術を要する。そのため、このタイプの殆どがインテリジェントデバイスと同じ高性能自律AIが搭載されていて、出力系の制御や索敵等を行う。それでも、操縦は困難。
ちなみに、操縦桿自体がシンクロ端末になっている。

S[サーヴァント]タイプ
フォルニウムエンジンを搭載せず、通常のバッテリーエンジンを積んでいるFTM。武装も魔力的な装備はなく殆どビームや実弾兵器である。最大稼働時間も30分〜1時間と少ない。その分、大量生産がしやすく汎用性も高いので、カスタマイズの仕方によってはMタイプと互角に渡り合うことも可能(ただし、パイロットの腕次第)。

闇の使徒はこれとは別のタイプで分けている。
以下が現在、アーカムが使用しているFTMのデータである。

ヌア・シャックス・レイ
パイロット:キリト=キリク
全長:15.7m 重量:60.2t
かつて管理局が試験的に開発し不採用になった後封印されたプロトタイプFTM。キリトが開発・テストパイロット等を行った。アーカムに入ってから封印を解除し現代用に強化改良し使用している。表記の『レイ』は改良を意味する。
AIをキリトは機体の名前の最初の部分を呼び、ヌアはキリトを呼び捨て。性格は主人と似ていて真面目。
キリトに合わせた中・近距離戦用の高機動型の機体。FTMでは珍しく可変機能を搭載しており、四脚獣型に変形する。地上戦闘においての陸上走行能力は人型のそれを凌駕する性能をもち、宇宙・次元空間内での戦闘においてもドライブエフェクトを用いれば地上と変わりなく走ることができる。
武装
高エネルギービームライフル
中距離射撃用のビームライフル。四脚獣形態時は右肩に装着され、固定砲台として使用する。

ヴァジュラビームソード
両腰部に装備されているビームソード。マニピュレーター(手)が前足となる四脚獣形態時には、当然ながら使用できない。

機動防盾
対ビームコーティングされたシールド。四脚獣形態時は腹部に装着され、下方からのビーム射撃に対応できる。

ビーム突撃砲
背部に2門装備されているビーム砲。威力や射程はビームライフルと同程度。主に四脚獣形態時の主砲として使用される。

グリフォンビームブレード
背面に装備されている、スラスターに展開されるビーム刃。すれ違いざまに敵機を切り裂く事を目的としている。ヌア・シャックス・レイ特有の装備である。

ドライブエフェクト
フローティングラン
空中や宇宙などの足場の無い所でも四脚獣形態時で走ることが出来るようにする。これによりヌア・シャックス・レイの特性を殺さずにすむ。

サンダーブレード
ヴァジュラのビームを雷の魔力で巨大化させた斬撃。複数の敵を同時に薙ぎ払うことができる。しかし、持続性が低いため一振りで効果が切れる。

ライトニングソニック
四脚獣形態時で全身に雷を纏い高速で体当たりをする。大量のエネルギーを使うため、多様は出来ず使用後は熱を逃がすため、全身から蒸気を発する。


ゼル・デュークス
パイロット:リムエナ=レイゴールド
全長:16.3m 重量:70.2t
リムエナが1人で一から作り出したMタイプFTM。AIは何故かリムエナを“ママ”と呼ぶ。恐らく、彼女の趣味。リムエナは“ゼッちゃん”と呼ぶ。
長距離の砲撃戦に特化した機体である。機体各部に特性の異なる射撃兵装を多数装備し、前線の味方を支援する事をメインにしている。その代わり格闘戦用の武器は無いに等しく、敵に接近を許すことは大変危険である。
武装
2連装高エネルギー長射程ビーム砲シュラーク
通常のビームライフルの二倍以上の口径を誇る本機のメインウェポン。背部に設置されている。

プラズマサボット・バズーカ砲トーデスブロック
プラズマ化した弾丸を打ち出すため、通常のバズーカとは比較にならない破壊力を持つ。

複列位相エネルギー砲スキュラ
胸部に装備されている大出力のビーム砲。本機最大の威力を持つ。

2連装衝角砲ケーファー・ツヴァイ
シールドと一体化しているため複合兵装防盾システムを構成している。シールドの衝角で多少の格闘戦にも対応できるようになっている。

ドライブエフェクト
コロナバスター
トーデスブロックにリムエナの物質生成魔法で追加装備を付け、高熱エネルギーを集束したレーザーキャノンを発射する。かなりの威力があるがチャージに時間が掛かり避けられやすいという欠点がある。

デュアルザサン
シュラークから巨大な火球を2つ作り出し発射する。広範囲を焼き払い火の海にする。その様はまさに2重の太陽である。宇宙空間では、炎がない魔力の塊を発射する。

ソル・クレイヴァー
パイロット:カノン=リコルヌ
全長:15.4m 重量:63.4t
イセリアで開発されたMタイプFTM。
AIはこれだけ『メリル』という名があり、彼女はカノンを“マスター”と呼ぶ。性格は明るく、元気で心配性。
カノンに合わせた中・近距離戦用の高機動型の機体であり、ドライブエフェクトをメインに想定された構造を持つ。特異なシルエットを有する翼型スラスターユニット「ヴォアチュール・ルミエール」は非常に強力なスペックを備えており、他の機体とは一線を画する高機動戦闘能力を本機にもたらしている。この装備は主に推力増大時に「光の翼」を発する。また、超高速戦闘時には光学微粒子をスラスターから散布し機体のスピードに載せ残像を作り出し相手を翻弄する。
武装
シルヴァンス斬機剣×2
対ビームコーティングを施した2本の片刃剣。切れ味は抜群で並のFTMなら難なく両断できる。ビームを弾くことも可能で盾代わりにもなる。非戦闘時は両腰部の鞘に収納される。連結させダブルソードにできる。

ライトニングゲイザー掌部ビーム砲
左右の掌に装備されたビーム砲。ソル・クライヴァー独特の兵器であり、ビーム砲というよりは、寧ろ開放型のビームジェネレーターに近い装備である。密着時のゼロ距離戦闘時に真価を発揮する。また、この装備はバリア発生装置を兼ねており、両掌から発生させ防御力を高めることができ、シンクロするこでドライブエフェクトを防ぐことが出来る。

ドライブエフェクト
エクスカリバー
シルヴァンスに魔力の刀身を纏わせ斬撃力を高めた攻撃。持続性が高いため超高速戦闘時に発生させる残像と共に複数の敵を瞬時に撃破でき、カノンが一番多く使用する。最大で戦艦を真っ二つにするほどの威力と巨大な刀身を作り出すことが出来る。

カリバーウェイブ
シルヴァンスに纏わせた魔力を刃にして、撃ち出す。これにより、遠距離攻撃も可能になる。魔力消費が低いため、ある程度の連射も可能。

シャイニングダスト
翼型スラスターユニットからホーミングレーザーを放つ。一度に20発近くを放つため、避けにくい攻撃である。が、一発の威力は弱いので主にミサイルなどの迎撃用に使う。


「どれもすごいわ。パイロットの特性に完璧に合わせてるわね」
「キリトさんのは高機動中距離型で対地上戦で真価を発揮します。リムちゃんのは後方からバンバン撃つタイプ。カノン君のはキリトさん同様の高機動で近接オンリーの装備、本人の豊富な魔力によるドライブエフェクトメインの戦法、と各自の長所が最大に活かされてますね」
「・・・でも、トウヤ君の機体が一番の問題なのよね」

アカツキ・オオワシ/シラヌイ
パイロット:トウヤ=キリシマ 
全長:15.8m 重量:64.2t(本体)、74.8t(オオワシ装備)、82.1t(シラヌイ装備)
テセラの一国“ダアト”が開発したFTM。
本機の最大の特徴は全身の金色の装甲『ヤタノカガミ』と呼ばれるミラーコーティング装甲でビームによる攻撃を威力を保ったまま反射することができる。また、面積は少ないもののヤタノカガミのコーティングを施してたシールドで戦艦の主砲の直撃にも耐えうるという、FTM単機としては次元の違う防御力を有する機体である。
武装
自動近接防御火器
頭部に2門装備された、近接防御用の機銃。牽制やミサイル迎撃が主。ダアト主力FTMムラサメも同様のものを装備している。

70式双刀ビームサーベル
2本が連結された状態で、左腰部にマウントされる。このまま柄の両側からビームを展開して使用することも、2つに分離して使用することも可能。

69式ビームライフルヒャクライ
中距離用のビームライフル。フォアグリップの代わりにビームサーベルのマウントラッチが設けられており、銃剣として使用することもできる。使用しないときは右腰部にマウントされる。連射性に優れ、その数多のビームの光条は「百雷」の名に相応しい。

68式防盾
表面にミラーコーティング装甲が施されたシールド。戦艦の主砲の直撃にも耐えうるという、従来のシールドとは一線を画する防御力・耐久力を有している。ただし、中心部はミラーコーティングされておらず、実体弾兵器への防御用となっている。また下部は鋭利に尖っており、打突・投擲武器としての使用も可能。

対ビーム防御・反射システムヤタノカガミ
本機最大の特徴である、機体本体及びバックパックに施された金色の特殊装甲。
ナノスケールのビーム回折格子層と超微細プラズマ臨界制御層から成り、ビームの攻撃に対しては無敵の防御力を有する。
本機に向かって撃たれたビームをほぼ威力を損なわずに反射することが可能で、反射したビームは本機のセンサーで捕捉した敵機に自動的に向けられる。ビームを反射されるという奇想天外な事も相俟って余程反射神経が優れたパイロットでなければ回避は不可能に近い。ただし、生産コストが極めて高く、量産には向かない。また、コロイド粒子によって形状化したビーム兵器(ビームサーベル等)には対抗できない。

空戦パックオオワシ
これを装着することで空中での高い機動性を発揮することができる。また、69式改高エネルギービーム砲が2門装置されており、砲撃戦力の強化が図られているほか、本体から分離、変形することで、遠隔誘導が可能な支援戦闘機として運用できる。宇宙空間や次元空間でも運用可能。

宇宙及び次元空間パックシラヌイ
誘導機動ビーム砲塔システム通称“ドラグーンシステム”(3連ビーム砲)を7基装備しており、オールレンジ攻撃による高い攻撃力を発揮する他、立体的に展開することで、戦艦1隻を完全に覆えるほどの防御フィールドを形成することも可能。これは空間認識能力に秀でているトウヤだからこそできる芸当である。ただし、この装備を扱う際は必ず魔力を消費する。言わば、この装備自体がドライブエフェクトと同じ感覚である。距離が遠くなるほど、防御範囲が広くなるほど魔力を多く消費するため、長時間の使用は危険である。
ビーム砲塔自体にもヤタノカガミが施されているため、撃ち落すことは困難である。

二人はアカツキのデータを見ながら、

「これだけ見ると、厄介なのはシラヌイパックだけに見えるけど・・・」
「実際、本体自体に問題が大有りなんですよね・・・」

実はダアトにはAAA−ランクの魔導師はいないのだ。その為、アカツキもその国の量産機同様のバッテリーエンジンを搭載したSタイプなのだ。それを今後の戦いの為、フォルニウムエンジンに無理矢理変えたのだ。これにより、エネルギーの問題はなくなったのだが、一番重要な問題が残っていた。
カノン達のMタイプFTMは最初からフォルニウムエンジンの搭載を想定しているため、最初から相応のOSが有り、それに合ったAIが搭載されている。しかし、アカツキは元がSタイプである為、メインコンピューターがまるっきり違うのである。その為、AIを搭載するソースが無いのだ。

「その所為で、トウヤ君は操縦から出力制御、索敵まで全部一人でしてるのよね」
「ハッキリ言って、シラヌイ同様にトウヤ君のマルチタクス技術じゃないと出来ない芸当ですよね」
「ねぇ、マリー。どうにかしてAI搭載できないかしら?」

このままでは、また何時ぞやと同様倒れかねない。自分の娘の恋人になったのだからリンディの心配は更に増している。

「そうしたいのは山々なんですが・・・無理です。変えるとなると大元から変えないといけないので・・・そうなるとコストの方が・・・」

はぁ〜と溜息を付く二人。
マリーが最後に言ったコストのことだが、アカツキの装甲は極めて高度な技術を用いているため大量生産が出来ないのである。因みに、アカツキ1体分の装甲を作るのにダアトの主力FTM“ムラサメ”の20機分のコストが掛かるらしい・・・。無理だ、常に人手不足のここでは・・・。

程なくして、シュミレーションは終了。各自、コックピットから出てくる。
因みに、整備格納庫はほぼ無重力であるため、カノン達はぷかぷか浮いている。

「今日も良い感じだったね、ゼッちゃん!」
≪はい、ママ!≫

声だけ聞けば、ウィルに似た愛らしさを持っているのだが・・・如何せん見た目がミスマッチだった。

≪良いものか。ただ撃つだけなら誰でもできる。敵の接近を許していたらどうしようもないぞ。実際、アカツキに助けられているではないか≫
≪うっ〜、ヌアさん厳しいですぅ≫
「ヌア!ゼッちゃんいじめないでよ!!」
≪まぁまぁ、落ち着いてください。その為に、あなたやアカツキが彼女のサポートをするのでしょう?≫

実際、ゼル・デュークスがサポートをするのだが・・・。
FTM達もデバイス達と同様、互いに会話し関係を深めているのだ。それは、AIの無いアカツキも仲間外れにはしない。
すると、

「?トウヤ?おい!トウヤ!」

トウヤがまだアカツキから出てこない。
まさか、また倒れたのかと思い急いでアカツキのハッチに近づくカノン。

だが、

ウィィン カシャッ

「うるさいなぁ、さっきのデータを簡単に纏めてたんだよ」

そう言って、トウヤが出てきた。一同ホッとし、観測室に向かう。


「どうだった?」
「良い感じだったよ。それなりに・・・」

マリーの最後の台詞に引っかかりを覚えるカノン達。そこにリンディの指摘が入る。

「カノン君とキリトさんはもう少し前にでるのを控えて下さい。孤立し過ぎると、支援もできませんから」
「・・・へ〜い」
「・・・了解した」
「リムちゃんは1発をもっと正確に当てるように心がけて。エネルギー切れの問題が無いからって数撃ちゃ当たるじゃダメよ」
「・・・は〜い」

痛いところを突かれた3人は、バツが悪そうな顔をしている(キリトは無愛想だが)。そして、

「トウヤ君」
「はい」
「できるだけ、シラヌイの使用を控えて。アレは一歩間違えば命にかかわるわ」
「アレの性能は、僕が一番理解しています。それに、アカツキを託された時から僕は・・・」
「今のあなたは、もっと自分自身を大切にしなさい!!・・・今のあなたは昔とは違う」

リンディは思い詰めた表情でトウヤに近づき、

「フェイトを悲しませないで。お願い、あの娘の為にも・・・!」

フェイトは親しい者を失うことを恐れている。ましては、恋人を失うなどもっての他だ。
リンディはフェイトのことを誰よりも想っているのだ。
トウヤは一旦目を瞑り、

「・・・わかりました。使うな、というのは無理ですが・・・できるだけ、控えるようにします」

リンディは了承の意を込めて頷いた。

「・・・さて、俺とトウヤはこれからやることあるけど・・・キリトとリムは?」
「俺は少し出かける」
「ボクは、う〜ん・・・」
≪ならママ、今日は一緒にいて下さい!≫

リムエナが考え込んでいると、ゼル・デュークスから通信が入った。その声は母親に甘える幼児そのものだ。

「わかったよ、ゼッちゃん。そいうことで、ゼッちゃんと遊びながら他の子達の整備もしとくね」
「わかった。メリル!くれぐれもリムの趣味に巻き込まれないようにな!」
≪マスター!ご心配なく!≫
「ヌア。気をつけておけ」
≪心配するな≫
「リムエナ、変にアカツキに触らないでね」

皆、自分の愛機に警戒を呼びかけ、出て行った。

「みんな、ヒドイよぉぉぉぉ!!」

虚しいリムエナの叫びが響いた。余談だが、その後マリーだけが付き合わされたらしい。


所換わって本局講義室。

「では!これより魔力属性についての講義を行います!!講師はこの私!カノン=リコルヌ!!アシスタントは!!」
「・・・はぁ〜、トウヤ=キリシマです」
「みなさん、拍手!」

パチパチパチパチッ!

無駄にテンションが高いカノンとそれに引いているトウヤによる魔力属性の講義が始まった。
因みに、受講者はなのは、フェイト、はやて、シグナム、ヴィータ、シャマル、リインである。
ユーノとウィルは仕事が入っているためパス。
ザフィーラは・・・実は先日のアトスとの戦闘で肋骨数本を折ってしまっていたのだ。それを今日まで隠していたため、現在医務室でアルフに看病されている。

「さて、まずは・・・」

ホワイトボードに書き始め、講義を開始するカノン。

属性分類
基本属性11を二つのグループに分ける。
内円部
木→火→土→金→水の順に円を組、五亡星をかたどった形。これらを統括するのが光。

外円部
内円部の周りをさらに、雷→風→氷→月の順に円を組、正方形をかたどった形。これらを統括するのが闇。

さらに2つの特性に分ける。
自然干渉操作型
自分の魔力で自然界に干渉し操作するタイプ。言わば、それがないと魔法が使えない場合が多いが、あれば何でもできるといったもの。水、土、風。

魔力変換操作型
魔力を変化させて操作するタイプ。魔力があればどこでも産み出すことができるもの。火、氷、雷。

純魔力操作型
魔力その物を扱うタイプ。月、光、闇。

金は上から2つに入る。木は自然干渉操作型に入るが、厳密には違う。

各属性の性質
:魔力攻撃力に優れている。放出・集束・圧縮・縮小・制御のバランスが取れて、近接型に多い。

その反面、防御面が若干劣る。



:火よりも攻撃面で劣るが、それ以外のバランスが取れて、防御はこちらが上。

中距離・範囲攻撃型に多い。



:制御と防御が苦手なタイプ。その反面、基本の攻撃力は火よりも高い。

遠・近距離どちらにもなれる。



:物理攻撃・防御に優れ、近・中距離、範囲攻撃に優れている。

しかし、水分が極端に少ない所では、性能が落ちる。



:水同様、物理系に特化しているが、最大の特徴は対地上戦における広範囲攻撃である。

施設・要塞破壊に適している。



:水や土とは違い、大気を使う為場所の制限がない。よって、一番物理系に適した属性ともいえる。

その気になれば、大気成分を変えることも可能。密閉空間で真価を発揮する。



:金属を作り出し、操るタイプ。自らの魔力から産み出すのと、周囲の金属から産み出すとの2つがある。

単純な物理破壊力は一番高い。



:他にはない特殊効果を持った魔法を使うタイプ。その効果は術者によって異なる。

:植物などの命を操り、結界能力に優れているタイプ。治療系・防御系魔法が得意である場合が多い。

:魔力その物を使った魔法攻撃力に優れている。また、光特有の光学現象を利用した戦法を行える。
  闇よりも誘導操作系に優れている。

:光同様魔力その物を使った魔法攻撃力に優れている。また、魔道物質系等を用いた戦法を得意とする。

光よりも広範囲魔法に優れている。



元素:上記11属性全てを操ることができる。

:どのジャンルにも当てはまらない特殊なタイプ。基本が、3次元座標に“時間”を加えた4次元座標を読み取る。

その気になれば、時間の流れを操作できる。ただし、逆行は不可能。



「はい!ここまでで質問ある人?」

書きながらの説明を終えたカノンが質問を求める。すると、1人手を上げた。

「は〜い!」
「はい!はやてちゃんどうぞ!」
「月属性がいまいちピンっとこないんですけど?具体的にどんな効果があるんですか、カノン先生?」

その場のノリなのか、カノンを先生と呼ぶはやて。先生と呼ばれて、満更ではない様子のカノン。

「そうだね〜みんなが知ってるので言えば、はやてちゃんの“ミストルティン”だな」
「え?!私のが?」
「アレには直接的なダメージがなくて、石化効果のみって代物だろ?そういった、普通とは違う効果のヤツだよ」

お〜、と皆関心している様子。そこへ、更にシグナムも挙手。

「はい!シグナム!」
「闇属性の魔道物質とはいったいなんなのですか?」
「これもはやてちゃんの魔法にあるけど・・・“ブラッディダガー”みたいな魔力で作った特殊な物質のことさ」
「はやてちゃん、すごいですぅ!」

なるほど、と納得したもよう。続いては、シャマル。

「シャマルさん、どうぞ」
「以前確か、属性が複数該当する人がいる、と仰ってましたけど、何か規則性みたいなのがあるんですか?」
「良いところに気が付きましたね」

カノンは教鞭(どっから持ってきたんだ)を持ちホワイトボードを指しながら解説する。

「複数該当するヤツは、大体最初の2つのグループ其々の中のどれかに当たることが多い。まれに、他のグループ同士になる場合があるけど・・・キリトとか、リムエナが良い例だな。キリトは“”と“”、リムエナは“”と“”」

そして、皆のほうを向き、

「この中で複数該当するのは・・・まず、はやてちゃんはさっき言った2つのことから“”と“”に該当する。それに、『夜天の王』の二つ名がそれを物語ってるな」

はやては改めて、自分の魔法に関して再認識した。夜天、闇夜に輝く月の光、と言ったところか。

「そして、ヴィータちゃん」
「え?あたし?」
「ヴィータちゃんは“”と“”だな。“シュワルベフリーゲン”が思いっ切り金属性だし、“フランメシュラーク”が火属性だな。ただ、そんなに火が強いわけでもないから、火属性寄りの金属性って感じだな。でもって、シグナム」
「私ですか?」
「シグナムはヴィータちゃんの逆、金属性よりの火属性だ。“紫電一閃”を初めとする炎魔法は当然のこと、“シュランゲバイゼン”みたいな操作タイプか金属性になる。ただ、操作はヴィータちゃん程じゃないから、そんな感じの分類になるな」

ヴィータとシグナムは改めてカノンは凄いと思った。昨日の模擬戦で使った魔法をこちらの説明なしでここまで分析するとは。
二人の二つ名、『鉄槌の騎士』や『烈火の将』も自身の属性をもの語っている。

「じゃあ、俺からの質問。みんなはシャマルさんの属性は何だと思う?」
「え?ほなやっぱ・・・」
「風?」

言い切る前に言われたため、黙って頷くはやて。

「俺の見立てじゃ違うな。シャマルさんは元は“”だな」
「え?!そうなんですか?」
「シャマルさんは元々治療やバックアップの類が得意ですよね?そういったタイプは木に多いんですよ」
「せやけど・・・」

納得していない様子のはやて。だが、

「ここで問題なのはシャマルさんのデバイスのクラールちゃん。恐らく、彼女はシャマルさんの魔法の効果範囲を拡大させるのが本来の目的のはず。それは広域探知を可能にする風の特性なんだ。よって、シャマルさんの属性は、珍しく“”と“”というわけです」

ここまで言われると納得せざるおえなかった。ここで、なのはが挙手した。

「あの〜カノンさん。私の属性は・・・」
「光」

即答だった。

「なのはちゃんは、典型的な光属性だよ。あの砲撃系と誘導操作系の魔法がそれをもの語ってる」
「因みに、フェイトは決定的に“”だね。攻撃、スピード共に良く活かされてるよ。防御の方は・・・多少はしかたないさ」

トウヤが横から入ってくる。フェイトはトウヤに褒められたため、若干頬を赤くしている。
そのことに、いち早く気付いたなのはは、

『良かったね〜フェイトちゃ〜ん。トウヤさんに褒められて』
『な、なのは!こんなときにからかわないでよ!』
『〜♪』

なのはの言葉にタジタジなフェイト。トウヤと恋人になってまだ日が浅いため慣れていないのだろう。

「後、ここにいないヤツで・・・アルフちゃんは主人のフェイトちゃんと同じで“”。ザフィーラは、あの防御力と戦闘スタイルから“”だな。クロノは“”と“”」
「は〜い、カノン兄ちゃん。何で、クロノは火と氷の2つが使えるの?」
「アイツは温度変換技能が高いからな。魔力を+エネルギーに働きかけて火を、−エネルギーに働きかけて氷、てな。だから、両極ともいえる2つをアイツは使えるんだ」

ほ〜、とクロノの技術力の高さに感心する一同。

「あと、ユーノは“”と“”だな」
「どうして、光が入るんですか?」

先ほどの説明からユーノは間違いなく木属性に入る。が、カノンは光にも入るというのだ。

「それは・・・なぁ、レイちゃん。レイちゃんとウィルちゃんは姉妹なんだよな?」
≪その呼び方はどうかと思いますが・・・はい、そうです。私が先に作られ、あの子が後に作られました≫
「作ったのはスクライア一族の誰かか・・・で、レイちゃんが攻撃主体で、ウィルちゃんが防御ってとこかな?」
≪はい≫

やっぱりな、と確認したカノン。なんのことだ?と頭を傾げてるなのは達。

「ユーノは最初から木と光、2つの素質があった。けど・・・確か、ユーノが地球に来たときはレイちゃんを起動させれなかったんだよな?」
「はい。そうです」
「そして、レイちゃんもウィルちゃんも最初から光属性にコンセプトを合わしていたはず・・・それらを踏まえると、当時のユーノは光よりも防御主体の木の方が先に開花してたせいで、レイちゃんを起動させることができなかった。そして、類稀な光の魔力を持ったなのはちゃんに渡ることで真価を発揮することができた」

言われると、当時のユーノは明らかにレイジングハートの特性にあっていなかった。

「でも、木に開花しているユーノの防御力は半端じゃない。それこそ、単身で闇の書の破壊の雷に耐えたぐらいだ」

そう。その時、ユーノは自分を含めたなのは、フェイト、アルフの4人にスフィアプロテクションを同時に掛けていた。しかも、なのはとフェイトはアルフのサークルプロテクションによる重複効果があったが、ユーノはひとつだけ。しかも、ユーノはみんなよりも魔力が著しく低い。それを考えると、ユーノの防御能力は半端ではないことがわかる。

「アイツは自分のことを良く解ってる。だから、ウィルちゃんを改良してもらうときに攻撃能力をこれから目覚めさせる光に、防御を木、って具合に別けてもらったんだと思う」

実際、“ネクサス”に改良されたウィルレイブは右腕を攻撃、左腕を防御に分けている。

「でも、もうアイツは光にかなり目覚めてる。此間見た“アローレイ・シュトローム”。アレには確かになのはちゃんのディバインバスター並の威力があった。・・・このまま行くとアイツ、大化けするぞ。俺でもやり難い相手になるかも」

最近のユーノの成長振りには目を見張るものがある。その辺りをカノンは高く評価しているようだ。
そこで、フェイトは先ほどの仕返しとばかりに、

『よかったね〜、なのは♪ユーノが褒められて』
『うん♪』

・・・効いていない。どうやら、長年ユーノが評価されるのことになると嬉しくなるなのはにとって慌てることではないようだ。
むしょうに恥ずかしくなった。フェイトは気持ちを変えようとカノンに質問する。

「あ、あの〜カノンさんと・・・トウヤさんは何属性なんですか?」
「ん?俺の属性は光だ。トウヤもそうだよ。な?」
「カノンほど、高い威力は出せないけどね」
「よく言うよ・・・」
「でも、カノンさん。この前、風の鎧を・・・」

アトス戦最後に使ったのは紛れも無く風の魔法だ。そこに疑問が生まれないわけがない。

「俺のヴァルファーレは、前にも言ったけど融合装着して俺のリンカーコアを活性化させる。その活性具合はアーマーによって異なるんだ。ライジングは基本だから俺本来の光を。スカイグラスプはスピードに特化させるために風に換わるんだ。最初は感覚が変になって大変だったけど」

それは当然だろう。リンカーコアが一時的に変化するのだから。そう言えば、魔力光も金や青に変わっていたな、とフェイトは思った。

「後、もう1つお聞きしたいのですが、先日のアトスは強化を施されていると聞きましたが、それは・・・」
「連中の中にはセミロストロギアを渡されるのとは別に魔力の強化を施されてるヤツがいる。多分だけど、異常な量の魔力が入った液体か何かに何日間も漬けて無理矢理底上げしてんだろうな・・・。そんなことしたって自分で鍛えないと意味無いのにな・・・」

若干黄昏気味になっているカノン。そこに、

「ハハハハッ!その通りだ!!」

突然後ろのドアから笑い声が聞こえ、一堂そっちを向くと、

「だが、何時からモノを教えるぐらい偉くなったんだ?」

サングラスを掛け、オレンジに近い色の髪を持った男がいた。服装からして、提督クラスの役職だとわかる。

「あ、あなたはクウガ提・・・」
「クウガ!テメェ、いつの間に!!」

シグナムが言い切る前にカノンが割って入った。しかも、

『『『『『『く、クウガ提督にタメ口を〜〜?!!』』』』』』

と、なのは達は度肝を抜かれていた。

「ハハハハッ!久しいな、カナン!トウカ!」
「カノンだ!」
「トウヤです」
「ふむ、君達二人は初めてだな。君の兄、クロコ提督から聞いているよ、フェイト執務官」
「クロノです」
「そして、噂通りの実力の様だな白い悪魔・なのか教導官」
「なのはです」
「こっちは久々だな、はなて一尉とウォルケンリッターの諸君」
「はやて!です。それにこの子らはヴォルケン!」

名前を壊滅的に間違えるクウガ。ハッキリ言ってわざとにしか聞こえない。だが、この男が嘗てキリトが指揮していた近接戦闘特化陸戦部隊“ヴェルガー”の今の総隊長である。

「しかし!お前たちに一番必要なこと、それは速さだ!!そう!この世の理はすなわち速さだと思わないか?!!物事を早く成し遂げればその分時間が有効に使える。遅い事なら誰でも出来る!20年かければ馬鹿でも傑作小説が書ける!有能なのは月刊漫画家より週刊漫画家!週刊よりも日刊!つまり速さこそ有能なのだ!文化の基本法則ぅ!そして俺の持論でっ

ゴツンッ!

じゃかましいぃぃ!!

やたら長い台詞を噛まずに、しかも20秒前後の早口で言っているクウガを殴って止めるカノン。

『『『『『『そして、クウガ提督に拳骨を〜〜?!!』』』』』』

再び度肝を抜かれたなのは達。口が開きっぱなしになっている。
痛みに震えるクウガ。だが、次第に怪しく笑い出し、

「ふふふふっ、よくも俺を止めさせたなぁ!!」

と、カノンに向きなおしたその時、

「あ〜〜!!見つけましたよ、総隊長!!」
「な、いかん!!」

部下に見つかり、逃げ出そうとするクウガ。だが、

パンッ バチバチッ

マテリアルバインド
「のおぁぁぁ?!!」

カノンが錬金術で床から硬質のツタを発生させ、クウガに巻きつかせた。

「サンキュー!カノン」
「マイク。どうした?」
「総隊長がまた演習生すっぽかして抜け出したんだよ!」
「な〜る」
「は、離せ!!スロウリィなやつらのお守りなどできるはずがっ!!」

ドス! ガクッ

カノンがクウガに当身を食らわせ気絶させた。
マテリアルバインドを解き、マイクに渡す。

「邪魔してわるかったな」
「気にすんな。兎に角、そいつどっかに縛り付けとけよ」

じゃあな、と手を振り、クウガの襟を掴みズルズル引きずりながら去っていく。

「と、トウヤさん。一体・・・?」

わけが分からないフェイト。皆も同様だ。提督にタメ口を聞き、挙句の果て拳骨まで入れたのだから、普通ただではすまない。

「カノンは階級なんて気にしないからね。敬語だって使う人は自分で決めてるし。それにね・・・」

トウヤは一度皆の方を向き、フッ、と苦笑する。



「クウガ提督はカノンの教官だしね」

暫しの沈黙


「「「「「「えぇぇぇぇ〜?!!」」」」」」

一斉にカノンの方を凝視するなのは達。本当なのか?と。

「悲しいかな、あのスピード狂は俺の近接戦における指導教官だよ」

どういうことなのか、といった表情を浮かべる一堂。
カノンはバツが悪そうに、クウガとの生い立ちを話し始めた。


10年前、カノンは家族を失って管理局に保護された。彼を見つけたのがアースラチームであり、その時からハラオウン家とは馴染みが深い。
カノンは家族の復讐の為、強くなろうとした。が、それを止めたのがクウガだった。
『復讐からはなにも生まれない。あるのは自身の破滅だけだ。憎むなら怒れ。怒りや悔しさはそのまま自分の力になる。自分が弱いと思うなら、自分そいつを怒って倒して強くなれ』そう言われ自分の為に強くなることを決意した。今でもその言葉は頭に常に置いている。

「いい人やなぁ」
「・・・でもな・・・」

まず、魔導師としてのセンスを測った所・・・か・な・り低かった。魔力量はクロノより高いが使える魔法はイセリア式のみ、他は剣術だけで、リーゼ達から『クロノよりセンスがない』とまで言われた。よって、まずはフィジカルを徹底的に鍛えることになった。その時の担当がクウガ提督なのだ。
だが、彼のメニューはハード過ぎた。いや、マニア、アンノウンと言ってもよい(※テイルズシリーズの難易度です)。

4時から早朝ランニングと証した走りこみ、陸戦演習場を6時まで走り続ける(休憩なし)。朝食後、ヴェルガーのメンバーに混ざっての基礎訓練。昼食後、デバイスなしでのクウガとの組み手を夕食まで延々続ける。夕食後、高山地帯の低酸素状態を作り出した訓練室での心肺機能の向上を目的としたウェイトトレーニング。夜10時、睡眠。

これらを日曜日以外エンドレス。半年経って、デバイスありでの模擬戦を加える。

1年経つと、肉体戦だけならクロノ並かそれ以上になったが、魔法は全然ダメである。よって、ここから一年間を魔法の訓練に費やした。

クロノ同様アリアから指導を受けていた。が、最初の数ヶ月は知識を高めるため、魔道書の類を兎に角読みまくった。それから、術式や制御法を教わっていく。その間、気分転換を兼ねてロッテと組み手をしたりして感覚を忘れない様にしていた。

管理局の厄介になって2年、嘱託試験に合格し、それからテセラでトウヤに合い、アーカムを作り正式に独立部隊として動きだし、今に至るのである。

「キリトが入ってからは、アイツから指導を受けてる。クウガみたいにぶっ飛んでないけど、考え方は同じだった。やっぱ師弟だな」
「え?クウガ提督もキリトさんのお弟子さんなんですか?」
「ええ、そうですよ」

凄い、と思いここには居ない彼のことを考えるシャマル。次第に顔が赤くなる。

「そんな訓練してたから、カノン兄ちゃんは強ぇんだぁ」
「おいおい、同じ事しようなんて思っちゃだめだぜ、ヴィータちゃん。俺だから何とかなったわけでっ」
「その訓練の所為で、後々身長が伸び悩んでるのかもね」
「トウヤ・・・テメェ、喧嘩売ってる?」

さぁね、とそっぽを向くトウヤ。
そんなやり取りを見て、苦笑するフェイト。

『トウヤさんとカノンさんってホントに兄弟みたい。・・・いいなぁ、カノンさんは私よりトウヤさんのこと知ってるんだ』

自分はトウヤの恋人になって数日、カノンはトウヤの兄になって8年。差は歴然である。しかし、

『やだ!私、なんでカノンさんに嫉妬してるんだろ・・・カノンさん男の人なのに////』

男に嫉妬していた自分が恥ずかしくなるフェイト。まぁ、顔だけなら女だが・・・。
そんな時、

ピピピピッ

備え付けの通信モニターにコールが鳴った。カノンが出ると、そこにはクロノがいた。

『・・・カノンか』
「なんだよ、俺じゃ悪ぃのかよ!」
『そんなことより、フェイトとシャマル、そしてトウヤは居るか?』

そんなこと、で済まされて米神に井桁を作るカノン。
とりあえず、全員居ることを確認すると。

「ああ、ご指名の方は全員居るぜ?」
『分かった。なら、お前を含めた4人は直ぐにアースラに来てくれ』
「・・・・・・俺もかよ!!」
『そうだ。先ほど、ヴェロッサから通信が入った。妙な事が起こったらしい。もしかしたら闇の使徒関連かもしれん』

闇の使徒とくれば黙っているわけにもいかなかった。

「わかった。直ぐ行く」

通信を切って皆部屋を出る。

「講義って感じの内容じゃなかったかもしれないけど・・・」
「そんなことはありません」
「とても勉強になりました。今度ウィルちゃんにも教えるです」
「ありがとう、兄ちゃん」

お礼を言われ少し照れているカノン。照れ隠しに3人の頭を順に撫でた。一方、

「ロッサ。何で私を指名してくれへんかったんやろ・・・」
「はやてちゃん、この後お仕事がありますから。仕方ありません」
「う〜シャマル、ロッサによろしく言っといて」
「はいはい。会えなくて寂しがってますよって言っておきます♪」
「そ、そこまで言わんでええよぅ////」

こうして、4人はアースラに向かった。



同時刻。こちらは地球、イギリス某所。
広大な草原にポツンと一軒家がある。一軒家といってもかなり高級そうである。
その家の庭の椅子に腰掛けている白髭を生やした老人がいる。
その老人は自分に近づく気配を感じたが、振り向かず、

「久しぶりだな、キリト」
「久しいな、ギル」

キリトだ。彼の用事とはグレアム元提督に会うことだった。

アリアに紅茶を持ってこさせ、話をする二人。

「暫く見ないうちに、随分と老けたな」
「はははっ、まぁ老けず死なずのお前よりは幸福だよ」

キリトは苦笑し、紅茶を啜る。

「ところで、どうだ最近は。この3週間近くの間で2回ゾディアックが現れたそうだが・・・」
「ふっ、耳が良いな。1人はミロ、もう1人はアトス。アトスの方はカノンが倒した」
「そうか・・・。ここ2年近く、ヤツらの動きが活発化しているな」
「一番のピークは去年、テセラのオールドラントにおける“ダアト攻防戦”が最大だった。あの時は、トウヤがアカツキに乗ったお陰で何とかなったが・・・」
「このままでは、防戦一方だ。上層部はまだ首を縦に振らんか」
「直に振らざるを得なくなるだろう。第20世界の管理局駐屯基地が1人のゾディアックに落とされた」
「っ!!誰がやったのだ?!」
「・・・サジタリアスだ」

その名を聞いて、グレアムは息を飲んだ。

「・・・ゾディアック最強剣士・・・ヤツの技を見て生きている人間は極めて少ないと聞く」
「その少ない1人が、カノンだ。・・・最も死に掛けたがな」

暫し、黙る二人。

「どうだ、キリト。再び、提督に復帰してみたらどうだ?お前の言葉なら聞くだろう」
「どうだろうな・・・昔から俺は上司に恵まれなかったからな」
「だが、今の管理局の力では到底ヤツらには勝てん。現役のSSが1人でも居れば話は別だが・・・」
「最高でも、地上戦だけならS+のマイトが限界だろう。ヤツはカノンでも勝てないからな」
「弟子の自慢か?だが、彼とてもう45だ。そろそろ肉体的にも限界がある」

再び静けさが二人を包む。

「・・・だが、どうであれ勝たねばならない」
「たとえ、どれほど深い闇の中でも、一筋の光を信じて・・・」



無限書庫。ユーノとウィルは本日の仕事をこなしている。

「ふう、もう少しかな」
「ユーノパパ」

一息付いていると、ウィルが、ふわふわ、と近づいてきた。

「どうしたの、ウィル?」
「あの〜カノンさんのこと言わなくていいんですか?」

深刻そうに話すウィル。ユーノは少し目を瞑ると、暗い表情の娘を優しく抱き寄せる。

「それは僕たちが言うことじゃないと思う。いづれカノンが皆に伝えるはずだから」
「でも・・・カノンさん、かわいそうです」
「・・・それでも彼は戦い続けるよ。これからも・・・」



「彼の故郷・・・イセリアはもうこの世には存在しないのだから」


様々な色は混ざればいずれ黒になる

だが、白が加われば著しく変化する


世界もそうなることができるだろうか



イメージED:ボクノート〔スキマスイッチ〕

オリジナルメインキャラクター・イメージCV(※登場順)

ウィルレイブ・ネクサス〔桃井はる子:テイルズオブジアビス・アニス役など〕

リムエナ=レイゴールド〔坂本真綾:ガンダムSEED運命・ルナマリア役など〕

カノン=リコルヌ〔朴璐美:鋼の錬金術師・エド役など〕

キリト=キリク〔小杉十郎太:月姫・軋間紅摩役など〕

トウヤ=キリシマ〔保志総一郎:ガンダムSEED・キラ役など〕

マイト=クウガ 〔津久井教生:スクライド・クウガ役など〕

―次回予告―

「久しぶりだね、トウヤ君」

「本当に風の野郎なのか?」

「あなたの声が聞きたかったですし」

「久々だなぁ、プリースト」

「お前は俺と同じなんだよ!」

「それでも僕は・・・君を失いたくない!」


次回:第6話「禁忌の黄煙と氷結の魔鎌なの」


―あとがき―

今回はほぼ説明だけでした。
属性設定は完全なオリジナルです。Λの独自観点から作りました。FTM設定も同様です。
しかし、元のメカは分かる人は分かる。
ソル・クレイヴァー デスティニーガンダム

ヌア・シャックス・レイ ガイアガンダム

ゼル・デュークス カラミティガンダム(カラーリングはソードカラミティ)

アカツキ そのまんま

SEED系バッカリだ。すみません。好きなんです。

マイト=クウガ(45歳)
カノンの教官であり、キリトの弟子。元ネタは・・・スクライドのストレート=クウガです。

今更ですが、この作品の時間軸はストライカーズ漫画版3話と4話の間からスタートです。
そこからどの辺りまでいくかわかりませんが、出来るだけストライカーズキャラを出そうと思ってます。
ただ、ストライカーズから判明した要素は大分省いています。ご了承下さい。では。





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