それは小さな出会いでした

現れた人はカノンさんの教官

強くて嵐のようなすごい人



迫り来る敵

我々は奴等よりも小さな力しかない



それでも戦わないといけない

少なくとも、カノンは1人でも戦う


魔法少女リリカルなのは light and darkness



                                           始まります

イメージOP:カルマ〔BUMP OF CHICKEN〕


2月18日、PM3:00。第10指定世界。市街地某所。

「お久しぶり。元気にしてたかい?」

スーツに身を包み、緑の長い髪をした男は近づいてきた者たちに気付き振り向いた。

「はい、ヴェロッサさん。私は去年の『レリック』の時以来ですね」
「アコース君、はやてちゃんが会えなくて寂しがってますよ」
「ハハハッ、なら今度の休みにでもデートに誘いましょう」

恋人を気遣うヴェロッサ。今のことをはやてが知れば顔を真っ赤にしながら喜ぶだろう。
そして、フェイトとシャマルの少し後ろにいる人物に視線を向ける。

「そして、君も久しぶりだね、トウヤ君。僕があげたデータは役にたったかな?」
大体・・は・・・クロノの新デバイスのことわざとだったでしょ」

ハハハッ、と笑って誤魔化すヴェロッサ。そんな彼をトウヤはジト目で睨む。
彼の所為で余計な後始末(カノンとクロノの治療)をする破目になってしまったのだから。

「・・・まぁ、いいよ。で、フェイトやシャマルならまだしも、僕まで呼んだのは理由があるんでしょ?」
「その通り・・・アレだよ」

そう言って、親指である方向を指した。
そこには、ある場所がブルーシートでカーテン状に覆われていた。
そこに向かった4人は中を見ると、

「うっ」
「っ」
「・・・女性が見るものじゃないね」

フェイトは視線を外し、シャマルは口を手で押さえ、トウヤは冷静にそこにあるモノ達を見つめている。

そこには、見るも無残な死体が20体前後ある。死に方も様々だ。

「これらは君達が来る3時間前に発見されたモノだ。中には発見当初、息があった者もいたけど直ぐに絶えたよ」
「なるほどね・・・僕を呼んだのはその為か・・・」
「そう。君の体のことはわかってるけど・・・」

仕方ないよ、そう言って懐から検査用の手袋を取り出し着けながらトウヤは死体に近づく。
丁度そこにいる調査員に、すみません、と言って割って入る。

「ちょっ・・・アコース査察官、誰ですか?勝手に民間人をっ」
「彼は、僕が呼び、ここにいるハラオウン執務官推薦の三等空尉さ。医学にも極めて精通していてね。丁重に・・・」
「え?あっ、す、すみません!」

調査員は慌てて謝罪する。トウヤは気に留めず、いいですよ、と軽く返し死体を調べだす。アーカムは普段から私服で活動しているため間違えられるのはザラにある。

「これは・・・シャマル!ちょっと来て」
「え?はい、どうしました?」

呼ばれて駆け寄るシャマル。若干フェイトからの視線を受けながら・・・。

「これ・・・焼死体・・・ですよね?」
「ただの焼死体じゃない。強力な雷撃魔法で焼き殺されてる・・・電流紋と電流斑のつき方が異常だね」

そして、別の死体に二人で近寄る。それを恨めしそうに見つめているフェイト。だが、頭を切り替え仕事モードに入る。

「被害者の身元はわかりますか?」
「詳しくは分からないけど・・・ただ、その時間ちょうどここを“ヴィムカッセル重工”の護送車が通ってたみたいだから・・・それを襲おうとした強盗団ってとこかな」
「ヴィムカッセル重工・・・大手企業ですね・・・」

そう言って、黙り再びトウヤとシャマルに目を向けるフェイト。

「一緒にいるシャマルさんに嫉妬してるのかな?」
「っ!!」

図星を突かれたのかヴェロッサを凝視しする。当の本人はクスクス笑っている。
一方ある死体に触れようとするシャマル。それを、

「待って!」
「?トウヤ君?」
「これは・・・まさか!」

少し慌てだすトウヤ。それに外の二人も気付いたようだ。

「・・・火傷・・・ですか?」
「違う。ただれてるけどこれは・・・酸の類で溶かされたんだ。それに・・・」

死体の溶かされた部分に触れ、何かに気付いたトウヤ。

「・・・けど、もしこれを殺ったのがヤツなら・・・」

トウヤの顔は、ありえない、間違いであって欲しい、そういった表情だった。

第6話「禁忌の黄煙と氷結の魔鎌なの」




「トウヤ。マジか?」
『うん。信じたくないけどね』

アースラのブリッジに残っていたカノンはトウヤからの通信を受けていた。

キャンサー・・・アイツが」
「だが、どうしてソイツだとわかった?」
『高いランクの魔導師の攻撃による傷口には僅かに魔力の残骸が残るんだ。ましては彼はS+、嫌でも残るよ。それに、彼の魔力データはラセンに記録してあるし』

なるほど、と納得のクロノ。さすがトウヤといったとこか。

「だけどよ、キャンサーだけの仕業じゃないんだろ?」
『うん。雷撃魔法による焼死、高熱のレーザー兵器の類で焼き切られたり、鋭利な刃物で切り殺されたり、銃火器による射殺、毒殺・・・これだけのことを彼1人じゃできないよ』
「おまけにヴィムカッセル絡みか・・・ったく、どんだけ規模デカイんだよ、闇の使徒は!」

今後の戦いを考えたのか頭を掻きながら愚痴を溢すカノン。

『兎に角、もう暫くこっちで調べてみるよ』
「わかった。フェイトとシャマルを頼んだ」

任せて、といって通信が切れた。

「はぁ〜、しかし、ヴィムカッセル重工とはな・・・」
「表は大企業だけど・・・裏は良い噂あんまり聞かないね」

溜息を付き黙り込むクロノ。
エイミィの言っていることは確かである。
ヴィムカッセル重工は次元航行艦などの各部パーツから装甲を取り扱う大手企業であり、時空管理局の一部の艦船も取り扱っている。
しかし、謎の多い会社で裏もある。そのため、その実体は未だ掴めずにいる。

「あ!そう言えばカノン君」
「ん?何、エミ姉?」
「風の魔法でどうやって酸を作るの?」
「風系は大気を操る。俺のスカイグラスプは“流れ”だけしか操作できないけど、キャンサーの野郎は“大気成分”も変えることだできるんだ。しかも、アイツの酸は塩酸とかじゃなくて、“硝酸”“硫酸”、しかも、霧や雲にも出来るときたもんだ」

若干呆れ気味のカノン。大気成分すら操作できるキャンサー。同じゾディアックであったアトスなどよりも遥かに上であることが分かる。
すると、ここでクロノが口を開いた。

「カノン。お前は・・・“ラザム式”という魔法体系を覚えてるか?」
「ラザム式・・・?」

何のことだ?と頭をかしげるカノン。

「嘗て、時空管理局の捜査官をしていた男“レーベリック”が考案したモノだ」
「あ!思い出した!・・・あれ?でもアレって・・・」
「そう。公認されなかった。そして・・・」
「アイツ、4年前に管理局を辞めたんだよなぁ」

レーベリック=スライドレイ。管理局捜査官を勤めていた彼は、対ミッドチルダ式の魔法障壁破壊を極限にまで追及し、魔法的物理攻撃を一切受け付けない、名称“ラザム式”を完成させた。だが、「まだ実験もままならない代物を認定するわけにはいかない」という意見から、ラザム式の公認は却下された(そもそも彼の作ったラザム式は防戦一本ということと、チャージ速度がEランクという重大な欠点があった)。その採決に不満を持ち、管理局を辞めたのだ。

「・・・けどよぉ、何で今アイツの話が出てくんだよ?」
「いや・・・少し気になってな。彼は辞めた後、消息を絶った。今どうなっているか誰にもわからないからな・・・何が起こってもおかしくない。現に、元管理局のミロは闇の使徒に居るんだからな」
「そうだよな〜〜、はぁ〜先が思いやられるぜ」

溜息を付き、う〜ん、と考え込むカノン。他の者も同様だ。
その時、ピピピピピッ、カノンの通信機が鳴った。

「ん?誰だ?」

通信機を操作し、それのモニターに表示する。

『お久しぶりですわ、カノン様』
「クリシスさん、どうしました?」

現れたのは金髪の女性だった。誰から見ても美人である。
クリシス=ユロ=フロランタ。礼儀正しく落ち着いた雰囲気を漂わせているが、彼女が時空調査機関シフォンの指揮官である。

『第24と38指定世界、其々ポイント1034と2953に魔獣発生の予兆を確認しました。24に巨人ギガーズ系、38に昆虫インセクト系です』
「24と38か・・・分かりました。2つに分けて向かいます。ただ、トウヤは行けないので、ベーグルかプレッツェルをよこしてもらいますか?」
『二人は別の任務についてます』
「そうですか・・・」
『宜しければ“雪菜”を向かわせましょうか?』
「雪菜さんですか・・・いいですよ。・・・ペースダウンするけど(ボソッ)」

玄野雪菜。シフォンの隊員である。カノンが、ペースダウンする、と言ったのは彼女がかなりの天然であるためである。それでも、やるときはやるのである。

「しかし、わざわざ指揮官であるあなたが連絡しなくてもっ」
『みなんなそれぞれ忙しいですので・・・それに・・・あなたの声が聞きたかったですし』
「今度、そっちに行きますよ。では、俺が38指定世界に行きますので、雪菜さんによろしく伝えて下さい」
『分かりましたわ、では』

プツンッ、と通信が切れた。

「ふぅ〜、エミ姉、キリトとリムに伝えてくれ。俺はもう行く」
「わかったよ。しっかしカノン君、モテモテだね♪」
「冗談はやめてくれよ」

苦笑しながら転送ポートに向かおうとする。それをクロノが止める。

「カノン」
「ん?」
「こっちからの助けは?」
「要らね〜よ。っじゃ、トウヤによろしく」

そう言って、カノンは軽く手を振り、出て行った。



PM4:00。トウヤ達がアースラに帰還し、結果報告をしている。

「以上が今回分かったこと。ヴェロッサも聖王教会からもヴィムカッセルについて調べてもらうように頼んでもらうことになったよ」
「わかった・・・しかし、厄介なことになったな」
「そうだね・・・いい加減本局上層部もっ・・・!!」

突然、頭を押さえ込んで苦しみだすトウヤ。よろけて倒れそうになるところを、隣に居るシャマルが支えようとする。
が、フェイトがすかさず押しのけトウヤを支える。

「トウヤさん・・・大丈夫ですか?」
「う、うん、なんとかっ」
「フェイト、トウヤを休ませてくれ」

うん、と言って、二人はブリッジから出て行った。

「嫉妬されてるね、シャマル」
「私はそんなつもりはないんですけど・・・さっきも視線が痛くて」
「そうだよね〜シャマルはキリトさんだもんね〜♪」
「えっエイミィさん、なに言ってるんですか////!」

エイミィとシャマルのやり取りの中、クロノは考えていた。
今までフェイトが嫉妬するなどあっただろうか?少なくとも誰かを取られまいとするような態度はこれまでなかった。そう言った事は今までなのはが主だったのだ。
フェイトは変わってきている。そういった意味でクロノはトウヤに感謝している。

「しかし、仕事に支障がでるとマズイな・・・」

小さな声で呟いた。


「すみません、私の部屋で」
「いいよ。気にしないで」

所変わってここは執務官室。トウヤは大分落ち着いているようだが、まだ顔色が少し悪く、ベットに腰掛けている。
フェイトも彼の隣に腰掛ける。

「大丈夫ですか?」
「うん。流石に20体の死因検査はこたえるね・・・」
「あんまり無理しないでくださいね」
「わかってるよ」

そう言って、微笑み彼女の頭を撫でる。フェイトは顔を赤くして、俯いてしまう。
するとトウヤは、徐に彼女の後ろに回りこみ、優しく抱きしめる。

「とっトウヤさん////?!」

突然のことで慌てるフェイト。

「君と恋人同士になって4日経ったね」
「・・・はい」
「その間・・・恋人らしいこと出来てなかったら・・・」
「トウヤさん・・・」

自分のことを想ってくれるトウヤに心ときめき、彼の腕に手を添え、体を預け互いの温もりを感じ合う。
暫く、そのままでいると、ふとトウヤは何かを思い出した。

「そう言えば、嫉妬するのはいいけど仕事に支障をきたさないようにね」
「え?!ど、ど、どうして?」
「僕の特技はマルチタクス。誰よりも自信があるよ」

さっきまでトウヤの近くに居たシャマルに嫉妬していたことに気付かれていたのに驚いて、しどろもどろしているフェイト。だが、次第に落ち着きだし自分の頭をトウヤの鎖骨にのせる。
そんなフェイトを先ほどよりも強く抱きしめる。

「・・・自分でも驚いてます・・・こんなに嫉妬深いなんて・・・」
「いいんだよ。それは僕のことを誰よりも想ってくれてる証拠だし・・・それに僕だって嫉妬ぐらいするさ」
「誰に・・・ですか?」
「・・・なのは」

え?!と意外な答えに驚いたフェイト。どうして女であるなのはに男のトウヤが嫉妬するのか。
その答えをバツが悪そうに答えるトウヤ。

「君のこと・・・一番知ってるからね。僕はこの1ヶ月ちょっとの君しか知らない。けど、彼女は6年も君と一緒に居る」
「だったら、私はカノンさんに嫉妬します。8年もトウヤさんと一緒ですから」

互いの本音を言い合う二人。そして、見詰め合う。
すると、次第に可笑しくなったのか、クスクス、笑い始め、そのまま二人でベットに倒れこんだ。

「・・・フェイト」
「なんですか、トウヤさん?」
「好きだよ」
「わたしも・・・好きです////」

そして、どちらからとも無くキスをした。
この4日間を埋め合う様に・・・。


PM5:00。地球海鳴市商店街。

「う〜ん、この紅茶もチーズケーキも実に良い。いや、まったく素晴らしいですな、マスター」
「いやいや、そう言ってくれるとこちらも助かりますよ」

翠屋の店長、高町士郎はカウンター席に腰掛けている来客の1人と話していた。かなりノリのいい饒舌な男のようだ。

「ところで、失礼ですがご出身は?」
「アメリカです。日本語は得意なので」

そんな会話をしていると、

「ただいま〜!」
「お邪魔します」
「おやっ、お帰りなのは。よく来たねユーノ君」

今日の仕事を終えたなのはとユーノが帰ってきたようだ。因みに、ウィルは、実体化機能があるとは言え仮にもインテリジェントデバイス、姉のレイジングハートと共に定期メンテナンスのため、マリー達に預けられている。

「おや、マスターのお子さんですか?」
「こっちが私の娘で、彼は娘の恋人です」
「おお!いやぁ、いいものですなこのような可愛いお子さんを持ち、その子もこのような美男子を恋人に持つとは・・・私など、どうやら婚期を逃したようでして・・・未だに独身です。ところで、マスター、紅茶もう一杯」

何ともない会話が続く中、新たな来客が来たもよう。

「いらっしゃいませ〜」

だが、その客は何も言わず、さっきまで士郎と話をしていた男のところに行き、

「何してるんですか?こんなとこで」
「おお、アルフレッド君。いやなに、仕事の後のひと時の休息を・・・」
「さっきも散々したでしょ。これからまだあるんですから」

行きますよ、ときつく言う銀髪の男アルフレッド。男は渋々立ち上がり、ご馳走様、と言ってお会計をし、出て行った。

「不思議な人達だったね、ユーノ君」
「うん、でも・・・最初の人はモヒカンだったね。最近珍しいな」


「で、なんでこんなとこをトボトボ歩いてるんですか?」
「こんなとことはなんだね、アルフレッド君。見た前、この美しい海を。夕陽が掛かるか掛からないかの柔らかな光が更なる色彩を加えているではないか・・・最近は何事もハイテクになっている世の中だ、この様な美しい景色で心を洗わなければ」

海鳴の海沿いの道を男二人が歩いている。

「はぁ〜、いいんですか?会議に遅れますよ?」
「なぁに、行こうと思えば直ぐにでも行けるさ」

アルフレッドの忠告を全く気に留めていない様子。若干、呆れている。

「全く・・・また・・・」


サジタリアスに嫌味を言われますよ?」
「ふ、彼は真面目すぎるんだよ」
「あなたは不真面目過ぎです」
「ふふふっ」
「・・・兎に角、あなたはゾディアックブレイブキャンサー、“禁忌の黄煙”。しっかりして下さいよ、クラッド=スコーン隊長」


この日、管理局魔導師高町なのはとユーノ=スクライアは偶然にも、闇の使徒の幹部、クラッドとその部下アルフレッド=マベラに出会った。
この時はまだ互いに自分達のことを知ることはなかった。


PM5:30。アースラ。
暫しの休憩をとったトウヤとフェイトは、そろってブリッジに入る。
その寸前まで周囲の目を気を付けながら互いに手を繋いでいたのは別の話。

ブリッジに入るやいなや、少し慌しくなっていた。

「兄さん、何かあったの?」
「フェイトにトウヤ、戻ったか」

二人に気付いたクロノはそっちに振り向く。その時、オペレーターのランディが、

「艦長!探査結果出ました。魔力反応のポイントは第20指定世界2318です」

スクリーンに座標と反応規模が表示される。
数は10体前後と少ない。だが、

「他は大したこと無いけど、1つだけ強いね」
「AAAか、もしくはS・・・気になるな。あの辺りは何もない廃墟。そこでの武装局員の演習の予定もない」

ということは・・・最近のパターンで言えば、

「僕が行くよ」
「トウヤさん?!」
「トウヤ、相手はSランクかもしれないんだぞ?」
「以前戦ったことがある相手ならやり様はあるよ。それに、何かの間違いかもしれないからね。大所帯じゃ返って動きづらいよ」

そう言って、ブリッジを出て行こうとする。それを止めるフェイト。

「トウヤさん!ならせめて・・・」
「・・・30分」
「え?」
「30分経って戻らなかったら来て」

言い残し、現地に向かった。ブリッジに暫しの沈黙が包み込む。

「・・・フェイト」
「兄さん?」
「30分経ったら君が行くんだ。いいな」
「はい!」
「エイミィ、カノン達に連絡を。シャマルは万が一のことを考えて医務室でスタンバイを」
「了解!」
「分かりました」

何もおこらないでくれ、そう願っているクロノだった。
連絡の結果、カノンがいる所からはトウヤの所に行くのに最低でも1時間、キリト達の所からは40分掛かるとの事だった。
だが、不幸中の幸いでキリト達は既に片付いていたのでこれから向かうことになった。


第20指定世界廃墟区画。
降り立ったトウヤは周囲を警戒しながら歩く。

『居る。でも、大物は気配を消してる。魔力も僕が着いてから気付かれないようにしてる』

その場に立ち止まり、バリアジャケットを着装し、ラセンを起動させ手に取る。
と同時に、物陰から何かが飛び出した。

「魔獣・・・キラーハウンドタイプ」

グルゥゥゥッ!

狼タイプの魔獣8体に囲まれたトウヤ。だが、落ち着いている。

―前方の2体が同時に噛み付こうとする。が、難なく返り討ちにする。それに合わせて残りの魔獣も襲い掛かる。それを、ラセンを地面に突き立て体を浮かせ走るように連続で蹴り飛ばす。更に、頭上から2体襲い掛かる。トウヤはそれに向かってラセンを横のまま魔獣の顔面に投げつける。そして、すぐさま飛び上がりラセンを掴み、そのまま魔獣の腹目掛け蹴り飛ばす―

10体の魔獣は完全に伸びている。が、トウヤは手を緩めない。
護符をキッチリ10枚放り投げ、

「撃ち抜け、退魔光弾!撃!!

10発の金色の光弾は全て命中し、魔獣達は絶命した。
着地し、一息つくトウヤ。すると、

「流石だな、プリースト。10体のキラーハウンドを30秒掛からず、か」

声の方を振り向くと、全身をローブで身を包んだ男がいる。顔はフードが影になってわからないが。

「君か・・・アクエリアス。この魔獣達は?」
「ここら辺に生息しているヤツだ。ちょっとけしかけてやった」
「なんでこんな回りくどいやり方を?」
「こうすればお前達アーカムの誰がか来ると思ってな。中でもお前が来てくれることを願ってた」
「君に願われても迷惑だ」

ラセンを構え戦闘体制に戻るトウヤ。
アクエリアスはローブから何かを取り出した。
それを振ると、柄が伸び、先端が展開し鎌になった。
ただの鎌よりも処刑鎌に近い代物だ。刃は90センチぐらいはある大型だ。
アクエリアスも両手に持ち構える。

そして、

同時に駆け出す。

―襲い掛かる鎌、その柄をラセンで受け止める。ジリジリと押し合う。一旦トウヤはラセンを引き、アクエリアスを押し返す。よろけて体勢を崩すが直ぐに立ち直し、真横に鎌を薙ぎ払う。タイミングを合わせ、跳び上がり相手の後ろに着地するトウヤ。アクエリアスが振り向こうとするが、前方からの気配に気付きそちらを向くと、退魔光弾が6発セットされていた。、のトリガーと共に発射され、全弾命中する―

「この程度でどうにかなるとは思ってない。だけど、素顔を見ることはできそうだね」

トウヤからは後ろ姿しか見えないが、アクエリアスが羽織っているローブがボロボロになっていることは分かるようだ。

「・・・そうだな。その代わり・・・」

そう言って、振り向くとアクエリアスはローブを、ビリビリッ、と破り捨てた。

「お前の名前も教えてもらおうか?」

現れた顔は、目はつりあがりカノンよりも冷たい瞳と短い青い髪をしている。全身は深青に染まった鎧に包まれている。ミロと同じタイプのバリアジャケット。いや、バリアアーマーと言った方がいいだろう。

「トウヤ・・・キリシマ。君は?」
「トウヤ=キリシマか・・・覚えたぜ。俺はデューク。闇の使徒、ゾディアックブレイブが1人、アクエリアスデューク=スラスキーだ。宜しくな」

デューク。それがこの男の名前。
以前戦った時は互いのコードネーム、プリースト、アクエリアスと名乗っただけだった。

「さぁ〜て、自己紹介も終わったことで・・・」

デュークは鎌を大きく横から後ろに振りかざすと、

「初めんぜぇぇぇ!!」

鎌の刃に青い魔力光が纏い、輝きだす。
その光り方からかなりの魔力が注がれているのを推測したトウヤは何時でも回避できる体勢をとる。

「食らえ!サイレントォォォ

大きく踏み込むデュークを見て、トウヤは、

『ヤバイ!』

そう判断し、大きく跳躍する。と同時に、

ワルツゥゥゥ!!

大きく真横に思いっきり薙ぎ払った。

ヒュンッ

ほぼ無音の突風がトウヤの真下、30センチを通過した。
着地すると、デュークを中心10メートルの建物に鎌を振った位置に亀裂が走っている。
それを見たトウヤは、

サイレントワルツ・・・氷の魔力を纏った鎌から繰り出される無音の斬撃。超低温に研ぎ澄まされた空気は鋭い刃になり周囲のモノを切り裂く・・・。なるほど、氷使いならではの魔法ってことか・・・跳ぶのが遅かったら胴体を切断されてるよ』

冷静に分析するトウヤ。しかし、内心その威力に絶句しているのだが・・・。

「流石だな、これならアトスの野郎が負けるわけだ。だが、俺はあんなバカじゃねぇんでな!」

跳び出したデュークはその凶刃をトウヤに振り下ろす。
寸前で避けたトウヤは、近くの建物に飛行しながら入っていく。それを同様に飛びながら追いかける。

障害物だらけの廃墟の中を利用しながら退魔光弾を何発も撃ち出す。しかし、魔力を纏った鎌にことごとく切り払われる。

「無駄だぁ!!俺のレディビアンカの鎌に回れない場所はねぇ!!」

その言葉が真実と言わんばかりに彼の卓越した鎌の技術は障害物に引っかかること無くトウヤに襲い掛かる。

バァンッ!と動かない自動ドアを突き破り外に出るトウヤ。続けてデュークも出てくる。

互い大きく距離を置く。トウヤは護符を取り出し、自身の周囲に配置する。その数ざっと100枚を超えている。
普段、無駄遣いをしないトウヤ。その彼が躊躇せず使っているのは、相手がそれだけ強いということだ。

デュークはニヤリと笑みを浮かべ話し出した。

「知ってるか?ここはつい此間大雨が降って水浸しになったそうだ」

なんのことだ、とトウヤは考えていると、

パキ、パキパキ、パキパキパキッ

デュークの周りに氷の刃が幾つも出来ていく。

「テメェを倒すには十分な水分がここにはあるって事さ。撃ち貫け!魔氷の槍!フリーズランサー!!
「撃ち抜け、退魔光弾!撃!!

バンバンバンバンバンッ!!

光の弾丸と氷の槍。互いの射撃魔法が互いに相殺し合う。
暫く、撃ち合いが続いた。少し息が切れだしたトウヤ。だが、なにやら足に違和感を感じそこに目を向けると、

「はっ、しまった!」

足が凍ってしまっている。先ほどの撃ち合いの最中に凍らされてしまったのだ。

「はっはぁ、さぁどうする?」

痛ぶるのを心底楽しむような顔をしている。そう言ったところはアトスと同じだなとトウヤは思った。
デュークはレディビアンカに魔力を溜め始め、

凍てつく氷結の輝きに飲まれろ、ダイヤモンドダスト!!

突き出されたレディビアンカから大量の冷気が放出された。氷の魔力の砲撃は氷柱を作りながら突き進む。

身動きできないトウヤ。しかし、決して慌ててはいない。
彼の前には6枚の護符が陣を形成している。
その形は六亡星を描いている。
そして、印を切る。

邪まなる魔、その御身に写る者に与えよ、ヤタノカガミ、結!

六亡星は黄金に輝き、シールドになる。
それに直撃したダイヤモンドダストは押し戻され、デュークに向かっていく。

「な、何?!!」

予想外の自体に慌てるデューク。
何とか回避できた。が、
トウヤはすでに次の段階に移行していた。
彼の前には五枚の護符が五亡星を作っている。大人二人分の大きな陣を。

そう、トウヤは先ほどただ退魔光弾を撃っていたわけではない。その最中にヤタノカガミともう1つの魔法をいつでも発動できるようにスタンバイしていたのだ。

五星より放たれよ、星の光!星魔砲、滅!!

五亡星の各頂点から強力な砲撃を発射する。
五発同時であるため、逃げられずデュークは飲み込まれた。

ドガァァァンッ!!

大量の噴煙が巻き起こる。

『これで、ハァ、ハァ・・・死んだとは思えないけど・・・兎に角』

ラセンで足の氷を砕こうとする。しかし、かなり頑丈なもよう。なかなか砕けない。
はぁ、と溜息を付き、仕方なく退魔光弾で砕く。

『しかし、ヤタノカガミに星魔砲・・・魔力を使い過ぎた』

トウヤが一番問題視しているのがヤタノカガミである。
これは、自身のFTMの装甲と同じ名前であり、相手が放った魔法をはね返すこどができるのである。しかし、はね返せるのは自身の魔力が持つまでである。よって、相手の魔法によっては一度で全ての魔力を使い果たす場合もあるのである。
流石に、全魔力を失うことはなかったが、それでも3分の1くらいは消費してしまっている。

すると、

ブウゥンッ!!

噴煙が舞い上がり、中からデュークが現れた。

「流石に効いた!つか、人の魔法はね返されるとは思わなかったぜ」

その言葉が偽りでないことを表すように、額から血が垂れている。
口元に流れてきたそれをペロリとなめると、ニンマリ笑みをつくり、

「それに・・・最近は非殺傷設定とか言ってる中、見事にモロ殺傷だなぁ」
「君達に容赦する必要ないからね」
「な〜る。それなら、昔やったことも納得だな」

なんのことだ、とトウヤは顔を強張らせるとデュークは、

「テメェが自分の一族を皆殺しにしたことだよ!!」

ドクンッ!

「ぐっ!」

頭を抑え苦しみだすトウヤ。

ドクンッ!

「はぁ、はぁ、だ、黙れぇ!!」

―動揺を打ち消すように叫びながら退魔光弾を発射する。デュークはトウヤに向かって突進しながら光弾をレディビアンカで弾きながら突き進む。トウヤはすぐさま切り替え、後退しながら今度は護符を上空に100枚近く配置し、雨のように降らせる。それをデュークは、光弾の間を縫うように進み、鎌を振り回し弾いていく。そして、トウヤに追いつき―

「そぉらぁあ!!」

突進しながら横に振り抜く。
トウヤはラセンで防ぎ、デュークの方を向く。だが、

バンバンバンバンッ!

何かが背中に命中した。だが、痛みは無い。しかし、

パキパキパキパキッ!

「な、何?!!」

自分の体が巨大な氷塊に包まれていく。そう、命中したのは氷結弾。命中したものを氷漬けすることができるのである。

「はぁぁ!くたばれ!!アイシクルディザスター!!

バァアンッ!!

レディビアンカを振り抜きその氷塊ごと粉砕した。

「ぐはぁ!!」

成す術も無く吹き飛ばされた。体のいたる所に氷が砕けた時の切り傷がある。
だが、デュークは納得していないもよう。

「ちぃ、錫杖が邪魔して俺の鎌が届かなかったか・・・悪運の強いヤツだ」

実際、トウヤの体には鎌で切られたような深い傷はない。しかし、

パキンッ

ラセンが真っ二つに切られていた。
すぐさま元の黒い護符の形のカードに戻した。

「しっさしさぁ、お前何で俺達に盾突くんだ?一緒にやろおぜ。楽しいぜ、殺しは。分かるだろ?お前なら」

そう言って、トウヤに近づいて行くデューク。
しかし、

「黙れ、はぁ、はぁ、僕は、お前とは違う!!」

彼の言葉を拒絶したトウヤは、手をかざすと、
デュークの全周囲に護符が配置される。吹き飛ばされたときに配置していたのだ。いくら動揺していても自分のペースを崩さないのが彼だ。

「こ、これは?!」
「避けれるモノなら避けてみろ!魔浄光破まじょうこうは!撃!!

デュークの全方位から一斉に光弾が発射される。その数、約50発。
普通ならまず避けられない。

しかし、同時にデュークの足元に魔法陣が展開される。形はミッド式だ。

「巻き起これ!アイスエイジ!!

魔法陣から氷の渦が巻き起こり、光弾を全て弾き飛ばした。

「な?!」
「この手の防御策はあるさ。でなきゃ、ガキの頃から1人で生きていけねぇし、これでも昔から管理局の武装局員をボコボコにしてたんだからよ」
「なに?君は・・・」
「周りの連中・・・家族だろうと殺してでも生きていくのが俺の生まれたところの習わしだ。お前もそうだろ?」
「違う!僕はそんなこと望んでない!!」
「どこが違うんだよ!テメェはその手で殺してバラしたんだろうが!今更、否定してんじゃねぇよ!」

止めを刺そうとレディビアンカを振りかざすデューク。そこへ、

ビュンッビュンッビュンッ!

3発の金色の弾丸が飛来し、デュークはそれを切り払う。
そして、1つの方向を向くと、

白いマントと黒のバリアジャケットを纏った金髪の少女が宙に浮いていた。

「フェイト!」

思わず叫んでしまうトウヤ。フェイトは、

「その人から離れてください」

いつかのアトスの時のように鋭い目線をデュークに向けている。
当のデュークはまた笑みを浮かべ、フェイトの方に飛び、対面する。

「ふっふ〜ん♪可愛い顔して結構やるね。楽しませてくれるのかい?」
「楽しむ気はありません。あなたを倒すだけです」

そう言って、バルディッシュを構えるフェイト。
笑ったまま、レディビアンカを構えるデューク。

二人は同時に飛び出す。

―二人ともスピード活かし高速で撃ち合う。何度かの撃ち合いの後フェイトは大きく離れ、サンダーフォールの詠唱を行い、天空から雷を幾つも発生させる。それを何とか回避するデューク。そんな隙を見逃すはずが無く、フェイトはまだ雷が残っている最中にバリアジャケットを“ソニックフォーム”に、デバイスを“ハーケンフォーム”に変え、より高速に接近し、すれ違い様に切り裂く。デュークは反応仕切れず、横腹を斬られた―

デュークは横腹を押さえながら、

「すごいねぇ〜。このバリアアーマーを貫くか・・・それに・・・」

今のフェイトの姿をまじまじと見つめるデューク。

「装甲を薄くして、素早さを上げたつもりなんだろうけど・・・そのスタイルにその格好、うぅ〜ん、セクシーだね〜」
「余裕ですね。ですが、私は手を緩めるつもりはありません」
「おまけに実は同じ得物ってか。ま、俺のはデバイスじゃなくて“魔装具まそうぐ”なんだけどね」

魔装具。詳しいことは謎に包まれている。ただ現時点で分かっているのは、デバイスに近い存在であるが、一点に特化しているということだけである。

「ところで、やけに気合入ってるねぇ、お嬢さん」
「あなたを許すつもりはありませんから」
「・・・まさかさぁ、トウヤの女か?」
「っ!あ、あなたには関係ありません////!!」

思わぬ質問に顔を赤くして怒鳴るフェイト。そのリアクションが自白しているのと同義であるのだが。

「はぁ〜ったく、アイツも腑抜けたもんだ」
「どういうことですか?」

自分の恋人を腑抜け呼ばわりされ、少し怒りを込めて聞き返すフェイト。内心は怒りMAXだが。

「ア・イ・ツは殺人鬼だぜ?わかってる?」
「違います!!トウヤさんは!そんな人じゃない!!」
「好かれてんな〜。トウヤさん、だとよ。・・・納得できねぇな」

突然、殺気を放ちだしたデューク。

「俺と同じ殺人鬼が、自分の為じゃなくて他人の為に戦う・・・しかも、女を持つだぁ?ふざけんな」
「黙って!トウヤさんはっ・・・トウヤさんはっ・・・」

さっきの冷静な戦い振りとは打って変わって、明らかに動揺しているフェイト。まともに戦える状態ではない。

『サー!敵が来ます!サー!!』

バルディッシュの声すら聞こえていない。
デュークはフェイトの前で止まり、レディビアンカを振り上げる。

「恨むなら・・・あんな殺人鬼に恋した物好きな自分を恨みな!!」

冷徹な凶刃が


      フェイトに


           振り下ろされ

ブシャアッ!!

真っ赤な鮮血が噴出した。




しかし、フェイト自身に痛みは無い。自分は何やら突き飛ばされ、デュークから離されている。
レディビアンカの鎌が刺さっているのは、

「て、テメェ!!」
「と、トウヤさん!!」

トウヤが二人の間に割って入りフェイトを庇ったのだ。彼の右腕には深深と突き刺さっている。

粋護陣すいごじんっ!結!!
「え?!」

フェイトの周りをトウヤの結界が覆っている。

「彼女はっ・・・彼女だけは死なせないっ・・・絶対にぃ!!」
「うっ!なら・・・テメェが死ねよ!!」

ズシャッ!

鎌が突き刺さったまま、トウヤの右腕を切り落とした。
更には、蹴り飛ばし地上に叩き付けた。

「トウヤさぁぁん!!」

出ようと思っても中々でることが出来ない。デュークはフェイトの方を見ると、

「あの野郎、残った護符全部使ってやがる。並みの強度じゃねぇな。しょうがねぇ、先にアイツの息の根止めるか」

トウヤの方を向きなおしたデュークはそのまま地上に向かって飛び出す。

「トウヤさん!!バルディッシュ、ザンバーフォーム!!」
『イェス、サー!』


今のトウヤは周囲の動作がスローで見えている。そう言っていい状態である。
立ち上がったトウヤは勢いよく血が吹き出る右腕を見る。

ドックンッ!

ち?

ドックンッ!

チ?

ドックンッ!

血?血、血血血・・・・・・っ!!!



あああぁぁぁぁぁぁっ!!

トウヤの中で何かが目覚めた。
その雄叫びと、何かが開放されたかのような波動に動きを止めてしまったデューク。
すると、

シュゥゥンッ!

何かが飛び出し、デュークの頬を傷つけた。

「何ぃ?!」

更に、

シュルシュルッ!

と、彼の四肢に巻きついた。それは、赤く染まっている。

「これは・・・まさか、血・・・っ?!!」

思考しているのもつかの間。思いっきり引っ張られ、

「がはっ!」

地面に叩きつけられる。


疾風・迅雷!スプライトザンバー!!

トウヤの防御結界を破ったフェイトは直ぐにトウヤ達のところへ向かう。
しかし、

「・・・え?」

そこにあるのは・・・


「はははっ!」

トウヤは不気味に笑い、右腕の傷口からは約2メートルの真っ赤に染まった巨大な大剣が伸びていた。
起き上がったデュークはその異様な光景に絶句している。

「な?!」
「死ね」

今のトウヤの目にはそれまでの優しさも、悲しみもない。完全に相手を痛ぶることを楽しんでいる者の目だ。

そして、

滅殺!!

巨大な剣と化した右腕を振り下ろした。


ズガァァァァァンッ!!!

とてつもない轟音と共に大量の土煙が巻き起こり二人を包む。

「トウヤさん・・・」

愛する者の身を案じているフェイト。

次第に煙が晴れだした。そこから現れた者は・・・


「・・・マジかよ・・・」

デュークは自分の真横から伸びる亀裂、いやクレパスに驚愕している。
そして、

「トウヤさん!!」

横たわっているトウヤに駆け寄るフェイト。
トウヤの右腕からは今だに出血しており、フェイトは急いでバリアジャケットのマントを脱ぎ右腕全体を包み込み止血を試みる。
だが、医学知識の少ない所為か、それとも焦りの所為か、今のフェイトでは中々思うようにいかない。しかも、トウヤの肌の色は尋常ではない程に変色している。
そこへ、

「な〜るほどな」

デュークが二人に近づく。

「さっきの糸も、今の馬鹿でかい剣も、全部自分の血を使ったってことか・・・で、今のソイツは貧血・・・いや、失血で虫の息」

トウヤに止めを刺そうとするデューク。
それを庇うようにフェイトがトウヤを抱き込める。

「どけ」
「どきません!この人は死なせない。私が護る!!」

フェイトの目は恐れている。それは目の前の男に対してではない。
愛する者を失うことを恐れている者の目である。

「しょうがねぇな・・・」

レディビアンカを振り上げ、

「一緒に死ねよ!!」

その凶刃を振り下ろそうとする。


その時、

ッキィンッ!!

強烈な金属音と共に、レディビアンカが弾かれ、地面に突き刺さる。

「な、なに?!」
「はぁぁぁ!!」

頭上からの気配に気付くと、
何者かの一撃が振り下ろされ、デュークは寸前で回避し、レディビアンカを回収する。

「テメェは・・・グラップラー!」

トウヤとフェイト、デュークの間に立ちはだかったのはキリトである。
彼はすでにフェイガロンと半憑依状態になっており、全身に鎧を纏っている。

「てぇことは、さっきのはガンナーの仕業か!」



『着弾しました』
「う〜ん、でも弾いただけで傷は入ってなさそう」

トウヤ達の地点から約500メートルぐらい離れたところからフライングアタッカーに乗りながら、アグニを構えるリムエナが居る。
しかも、アグニは普段のハンドガンモードではなく、サーチスコープを搭載した狙撃ライフル・スナイプモードにしている。

「一応、対特殊装甲板用徹甲弾だったんだけど・・・」

因みに、それをヘビーブレットという弾丸強化魔法で強化して発射したのだが・・・。

「は!それより、急がないと!!」

重要事項に気が付いたリムエナは急いで向かう。


「ちぃ、このままこっちが不利か・・・しょうがねぇ!」

三人から十分離れ、転移用の魔法陣を展開する。

「逃げるきか」
「まぁね。俺は戦局が見えないような馬鹿じゃないんでね」

そのままキリトの後ろにいるトウヤに視線を向ける。

「おい!聞こえてんだろ!さっきのお前は間違いなく俺と同じ殺人鬼の目だった。嬉しいぜ、次会うまでに完全になってることを願うぜ」

そして、

「お嬢ちゃん。フェイト、だっけ?ソイツと居るといつかソイツ自身に殺されるぜ」
「貴様ぁ!!」

激怒したキリトはデュークに跳び掛かった。が、一歩遅く、逃げられた。

「おのれぇ・・・」

悔しさを露にする。が、直ぐにトウヤの所に戻る。
同時にリムエナも合流する。

「トヤッち!」
「リムエナとハラオウンは直ぐにアースラに戻り、トウヤの治療を」
「キリトさんは?」
「トウヤの腕を見つける。気にするな直ぐに戻る」

フェイトとリムエナは頷き、直ぐに転移魔法を開始し、アースラに戻った。

「・・・トウヤ・・・アレを使ったのか・・・」

巨大なクレパスを見つめながら、トウヤが最後に使った技を推測した。



PM8:00。本局医療施設。
アースラでシャマルからの応急処置を受けたトウヤだったが、腕の結合手術等があるため、すぐさまそっちに移された。
現在、手術室の前にカノンとキリトが立っており、長椅子にフェイトがそして、エイミィが寄り添って座っている。
暫しの静寂。

そして、

手術中のランプが消えた。
扉が開き、担架に乗せられたトウヤが出てきた。

「トウヤさん!」

フェイトが飛び付こうとする。それを手術用の服装に身を包んだシャマルが止める。

「静かに。今、麻酔で眠ってます」
「ご、ごめんなさい」

直ぐに謝罪するフェイト。
トウヤはそのまま一般病棟に運ばれていった。
そこへ、

『カノンノ』
『リム。ラセンの解析終わったか?』

現在、破損したラセンの解析をしているリムエナからの念話が届いた。

『一応ね。アクエリアスの顔と名前がわかったから、さっきクロ助に送って調べてもらってる』
『そっか。わかった。引き続きラセンの修理任せた』
『了か〜い。トヤッちによろしくね』

念話を終えたカノン。

「シャマルさん。どうでした?トウヤの腕」
「正直・・・凄いとしか言い様がありません」
「どういうことだ?」
「トウヤ君の傷口はただ斬られたのではなく、細胞同士の結合を離した様な形状になってました。どうやったらそんなことができるのか・・・。そのお陰で神経等の結合がなんとかなりましたけど」

改めて、アクエリアスの力量の高さとヤツの武器の性能に驚かされる一同。
ふと、あることをシャマルは思い出した。

「そう言えば、カノンさん。ありがとうございます。カノンさんが事前に手配してくれていなければ今頃トウヤ君は助かりませんでした」
「いえ、あいつの命に関わることですから」
「カノンさん、それどういうことですか?」

一体どういうことなのか。トウヤの命にかかわることとは。

「トウヤの血液は“ホド型”って言って、そのタイプの血液じゃないと輸血できないんだ。だから、前もってホド型の血液を手配してたわけ。いつこうなってもいいようにね」

ホド型血液。地球のボンベイ型と似たようなものだ。遺伝的な血液障害の一種である。

「カノンさん、私からも1つ聞きたいことがあります」
「・・・トウヤの使った技について、かい?」

フェイトは黙って頷いた。

「その前に、シャマルさん。魔力はリンカーコアから作られますね?」
「はい」
「じゃぁ、その魔力はどうやって全身を循環しますか?」
「え?どうやってって・・・」

黙り込んでしまうシャマル。カノンが説明を始める。

「それを見つけたのがトウヤの一族“キリシマ”です。キリシマ一族は魔力は血流によって運ばれることを見つけました」
「「血流?」」

フェイトとシャマルは同時に返した。

「全身に余すことなく張り巡らされた血管。それを流れる血と共に魔力も全身に運ばれる」
「そして、それを利用した攻撃方法が今日トウヤが使った秘術“血流操作”」

血流操作
キリシマ一族が編み出した秘術で、自身の血を操り武器とする。このときのトウヤは近〜中距離戦闘メインになる。これは、先ほど説明した通り、全身に万遍なく循環する魔力は血流に乗って満たされている、という原理からである。このため、この術によって繰り出される血の技は純粋な魔力の影響のもと極めて強力。だが、術者の命を危険に晒してしまう諸刃の刃である。そのため、トウヤは護符が無くなった時や、確実に仕留めなければならない時のみ使用する。おまけに、使った血は元には戻らない。
そして、最後に使用した技は、
斬血剣・極の型
本来の斬血剣は腕又はラセンに血を纏わせ刀に変える技であるが、それに用いる血の量を最大にした状態。長さにして約2m(通常の倍以上)、破壊力はヴィータのギガントシュラーク並みで、食らったモノは粉々に粉砕され、衝撃波だけでも大ダメージを受ける。トウヤの最強の攻撃。だが、使用後は早急に輸血の必要がいるほど、血を消耗してしまうのである。

「3年前、リムが入って直ぐくらいかな・・・1回だけ使ったことがある。その時は近くにキリトが知ってる闇医者がいたから良かったけれど・・・」
「アレ以来トウヤは極の型だけは使わなかった。今回は極度に大量の血を見た為、内側に眠るもう1人のトウヤが一時的に目を覚ましたのだろう」

以前からトウヤが言っているもう1人の自分。血に飢えた狂気の存在。それがさっきのトウヤ。

「シャマルさん。トウヤの病室は?」
「407号室です」
「わかりました。フェイトちゃん」
「はい」
「行くぜ」

フェイトは頷き、二人はトウヤの病室に向かった。

「お疲れ様、シャマル」
「はい、ホントに疲れましたぁ〜」
「俺からも感謝する、シャマル」
「い、いいえ!そんな、大したことしてません////」

明らかにエイミィとは違うリアクションをするシャマル。それに気付いているのかいないのか・・・イマイチよく分からないキリト。


こちらはトウヤの病室407号室。完全な個室である。
フェイトはベットの横の椅子に座ってトウヤを見つめている。
ドアの近くに寄り掛かって腕を組んでいるカノンは外からの気配に気付いた。ドアが開くと、

「クロノ」
「どうだ、トウヤは」
「取り合えず、今は眠ってる。暫く右腕のリハビリが要るな」
「そうか」

カノン共々トウヤに目を向けるクロノ。
その後、クロノが話があると言って、カノンは一緒に出て行った。

「なんだよ」
「トウヤを襲ったアクエリアスの身元が分かった」
「ホントか?」
「ああ。奴の名はデューク=スラスキー。第7世界の冷帯地方のスラム街出身。5年前、氷結魔法による大量殺人で管理局に逮捕され、流刑地に送られはずだったのだが・・・」
「脱走した」
「そうだ。その後、闇の使徒に入り、力を得たのだろう。当時でもAA近くの実力があったようだ。武装局員が10数人殺されている」

はぁ〜、と二人同時に溜息を吐く。

「それと。これははやてから聞いた話だが・・・」
「ん?」
「クラナガンを散歩していたシグナムが襲われたそうだ」
「は?!」
「もちろん、返り討ちにしたそうだが、問題は襲った相手の言った言葉だ」
「何っつったんだよ、ソイツは」
「『姉さんの仇、討たせてもらう』」

カノンは言葉がでなくなった。てっきり、通り魔の負け犬の遠吠え程度にしか考えていなかったのだ。

「多分、闇の書の犠牲者の遺族だろう」
「ま、マジかよ・・・もう、6年以上前だろ。しかもその時は死者は0だろ?」
「それより前かも知れない・・・遺族にとっては時間は関係ないんだ」
「で、どんな奴だ」
「僕達のような人間じゃない。青い肌をした男だそうだ」
「青い肌・・・“ライカンスロープ”みたいな獣人じゃない・・・はっ、“妖獣人”か!」
「恐らくな」

妖獣人。この言葉自体、今となっては人種差別に扱われる。その姿は見た目は殆ど人間と同じである。ただ違ったところと言えば、体に生まれたときからタトゥー状の模様があることと、青い肌を持つことである。そして一番の特徴は人の記憶を覗き見ることができることである。恐らく、その力を使ってシグナムがヴォルケンリッターであることを突き止めたのであろう。

「なんかさぁ、最近やたらトラブル起こってねぇ?」
「正確に言えば、お前達が戻って来てからだ」
「なんだよ、俺達の所為だってのか?!」
「そうは言っていない!巨大な力が動き出すと、他の小さな力も同調するかのように動き出すものだ」
「は〜、きっつぅ」

これからのことで滅入ってきそうになっているカノンだった。


フェイトはずっと見つめている。安らかな寝顔のトウヤを。

「最近、多いですね。担ぎ込まれたの3回目ですよ」

少しだけ不満を言いながら、彼の頬を撫でる。

「トウヤさん・・・トウヤ・・・さん・・・ヒック・・・」

次第に泣きだしたフェイト。

「私はっ・・・あなたが好き・・・どんなことがあってもっ・・・」

数時間前にデュークが言った言葉を完全に否定する。どんなことがあってもフェイトは決して曲げることはないだろう。
すると、

「・・・うっ」
「トウヤさん!」

トウヤが目を覚ましたようだ。目を開けると、涙を流しているフェイトが映った。

「・・・泣かっ・・・ないで」
「トウヤさん・・・」

まだ、痛みがあるのか、血が戻りきっていないのか、どちらにせよ、まだ寝ていない状態に変わりは無い。
暫く、天井を見つめていると、

「・・・彼の言っていたことは・・・本当だよ」
「え?」

何を言っているのか、そんな顔をするフェイト。

「僕は・・・殺人鬼なんだ。血を見ることを喜ぶような人間なんだ」
「そんなこと!」
「その証拠に、僕は自分から吹き出るおびただしい量の血を見て、もう1人の僕を目覚めさせた」

フェイトは何も言えなくなった。実際、その場に居たのだから。

「このままじゃ、いずれ君に危害を加えるかもしれない・・・でもっ」

トウヤの目に涙が浮かんできた。

「それでも僕は・・・君を失いたくない!君の傍に居たい!・・・わがままかもしれない・・・いい加減かもしれないっ、でも!」
「私も居たい!あなたの傍に!あなたに傷ついて欲しくない!!・・・あなたが好きだから・・・愛してるから!」

思わずトウヤの首に抱きついたフェイト。傷が完全に癒えていないが、それでも今はそうせずにはいられなかった。
トウヤは動かせる左腕で抱き締めた。

「ありがとう。君を好きになって・・・愛してよかったよ」
「私もです、トウヤさん」

二人は、トウヤが再び眠りに付くまで抱き合った。
互いの愛する者の存在を感じるために。気持ちを確かめ合うために。



PM9:00。地球海鳴市。

「あ、あの、離して下さい!」
「いいじゃねぇかよぉ!」
「俺達と遊ぼうぜ!」

ガラの悪い男達に1人の女の子が絡まれている。
その子は・・・月村すずかである。
長引いた習い事の帰りに見事に捉まってしまったのである。迎えの車までもう少しなのに。
彼女にとって絶体絶命。

その時、

「何をしている」

男達の後ろから声が聞こえた。

「あん?なんだテメェ、こっちは取り込み中だ。わかったらさっさと帰れ!」

すずかに絡んでいる男の中の1人が声を掛けた男を殴ろうとすると、

「うわぁぁぁぁ?!!」

受け止められ、そのまま投げ飛ばされてしまった。

「テメェ、やっちまえ!!」

他の男達も自棄になって襲い掛かる。しかし、

「がはぁ!」
「ぐほぉ!」
「げへっ!」

あっけなく返り討ちに会い、挙句の果て、情けない声を出して逃げていった。

「大丈夫か?」
「はい。危ないところを助けてくれて、有難う御座いました」

ペコッっと頭を下げお礼を言うすずか。

「礼はいらない。それよりも、こんな時間に女1人で夜道を歩かないほうがいい。どの時代も、どの世界にも、性根の腐った奴はいる」
「は、はい・・・」
「すずか様!」

二人が話していると、迎えのノエルがこちらに来た。

「ノエル。どうしたの?」
「どうした、ではありません!来られるのが遅いので近くまで来てみれば・・・そちらの方は?」
「あ、この人は私を絡んできた人から助けてくれて」
「それは!あ、すずか様を助けていただいて有難う御座います」
「いや、いい・・・では、俺は行く。今後は気を付けるんだ」

そう言って、男は人ごみの中に去って行った。

「大丈夫ですか?どこかお怪我は?」
「ううん。大丈夫だよ。それにしても・・・」

男が去って行った方を見ながら、

「銀髪に・・・赤い瞳・・・」

そう呟いた。若干、頬が赤くなっていることに本人は気付かなかった。


すずかを救った男は自分の頭に届いた言葉に対して返答していた。

『デュークが・・・』
『そうだ。やはり、お前の読み通りプリーストには秘密があったようだ』
『ただ、マルチタクスが高いだけで、低い魔力で戦うのには限界があるからな』
『すまんな、会議終わりの休暇中に』
『構わんさ、明後日にでも戻る』
『わかった。俺はこれから任務だ』


『無理はするなよ、ミロ。お前が傷つけば、キュリアスが悲しむ』
『案ずるな、ゼロ。そのようなヘマはしない』

二人の念話はここで終わった。
そう、すずかを救った男こそ、闇の使徒最強の剣士・サジタリアスのゼロである。

『・・・血を用いた攻撃・・・やはり侮れんなプリースト・トウヤ=キリシマ。それに、熟練した知識と技術を持つグラップラー・キリト=キリク。偏った力だが、類まれな狙撃能力を持つガンナー・リムエナ=レイゴールド』

次第に雪が降り出した空を眺めながら、

『そして・・・お前、セイバー・カノン=リコルヌ。お前たちアーカムは最も脅威的な存在だ』

戦う覚悟を改めて確認したゼロは人ごみの中に消えていった。


翌日、無限書庫。
午前中までの仕事を何とか終わらせたユーノ。
かなり疲れている彼に、近づく人1人。

「お疲れ様です、ユーノ司書長」
「あ、いえ、ウィルも居ますから大丈夫です」
「はい!そうです!」

自信満々といった感じに出てきたウィル。

「そのようですね、残りは私がしておきますから、お二人は休憩してください」
「有難う御座います、エクセラさん。行くよ、ウィル」
「はい!」

エクセラに手を振りながら、ユーノと共に無限書庫を後にするウィル。
そんな二人を彼女は天使のような微笑で送り出す。

しかし、

『どうして・・・私は彼らとは相反する存在なのに・・・この気持ち・・・』

胸元をぎゅっ、と掴む。

『・・・私は闇の使徒なのに・・・』

エクセラ=アルカナート。闇の使徒、ゾディアックブレイブ・アリエス。自分に芽生えた気持ちに戸惑いを覚えていた。

それが・・・自分の運命を変えることであることも知らずに・・・。


人は、常に誰かと共に居ようとする

それが、誰がなんと言おうとも、愛する者の傍に居ようとする


その権利は、全ての人が持っている 資格などない 立場もない


必要なのはその想いのみ




イメージED:ボクノート〔スキマスイッチ〕

オリジナルメインキャラクター・イメージCV(※登場順)

トウヤ=キリシマ〔保志総一郎:ガンダムSEED・キラ役など〕

カノン=リコルヌ〔朴璐美:鋼の錬金術師・エド役など〕

クリシス=ユロ=フロランタ〔田中理恵:ガンダムSEED・ラクス役など〕

クラッド=スコーン〔大塚芳中:Ζガンダム・ヤザン役など〕

アルフレッド=マベラ〔中原茂:ガンダムW・トロワ役など〕

デューク=スラスキー〔草尾毅:コードギアス・マオ役など〕

キリト=キリク〔小杉十郎太:月姫・軋間紅摩役など〕

リムエナ=レイゴールド〔坂本真綾:ガンダムSEED運命・ルナマリア役など〕

ミロ=スパス〔関俊彦:聖闘士星矢・ミロ役など〕

ゼロ〔石田彰:ガンダムSEED・アスラン役など〕

ウィルレイブ・ネクサス〔桃井はる子:テイルズオブジアビス・アニス役など〕

エクセラ=アルカナート〔前田愛:ゼノサーガ・シオン役など〕

―次回予告―

「誰が女だぁぁ!!」

「こればっかりは止められねぇ」

「カノン殿達の任務に?!」

「あのFTMは・・・」

「私があなたを守ります!」

第7話:「激化する戦いと目覚める力なの(前編)」


―あとがき―

またしてもトウヤ君がピンチ!
どうも俺はトウヤ君をピンチにしたいらしい。
だって、俺の中じゃトウヤ君はもう1人の主人公なのだから。

今回クラッドの戦ったところはありませんが、奴は強いです。マジで。てか、嫌な奴です。
そして、現れたアクエリアス・デューク。24歳、Sランク。まだ、決着は先です。
更に、現れたアリエス・エクセラ。27歳、S−ランク。大人の優しい女性です。今後どうなるかわ・・・お楽しみ。

最後にゼロと顔を合わせたすずか。二人は一体どうなるのか!

次回からキャラに合わせたイメージソングをイメージ戦闘BGMにしようかなと思ってます。どこまでやるか、Λは・・・;

因みに、後3、4話ぐらいで第一部終了させます。大丈夫、地道に続けますよ。後、かなりのサプライズがあります。では。





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