歴史。それは人が積み重ねてきた生の記録。文字に、音声に、映像に、記録の媒体は技術の進化と共に増えていく。しかし、それを紐解く者の体験でない限り、否、たとえ体験であったとしても、風化は免れない。人間は忘却する生物なのだから…



 ここに一つの歴史がある。「歴史」というからにはすでに終わってしまったことである。しかし、忘れてはならない。ここに記されている人びとは、確かに生きていたことを。一人一人、それぞれの思いを胸に、日々を生きていたことを。



 故に、これから語られるのは、事実を数々の証拠でもって再構築する「歴史」ではなく、生きていた人びとの記憶が語り継がれていった「伝説」である。そこには、数多の歪曲、捏造、混乱がある。しかし、当事者たちの息吹の残照が確かに残っているのだ。



願わくは、この伝説に触れた誰かに、生きていた人びとの思いの欠片が届かんことを…







都築英雄伝説

予告編







「なのは…私は宇宙を手に入れてみせる」



「うん、フェイトちゃんになら出来るよ」



 紅い瞳に強い意志を宿した少女は、無二の親友に誓いを立てた。それは、失ったものを取り戻すことを指すのはもちろん、そうなるに至った不正義の蔓延する現秩序への宣戦布告だった。



 栗毛の優しい少女は、親友の誓いを共有することを選ぶ。この日、彼女の子供としての時は終わった。



その誓いが果たされるために、そして、安らぎの日々を取り戻すために…そして…



「そう、宇宙を手に入れる。失った物の大きさを思えば、せめてそれくらい手に入れなくて、どうする」





「なんで?お兄ちゃんは頑張ったよ!他の人たちよりいっぱい無事に連れ帰ったのに…」



 一通の手紙を読んで涙する少女。そこには大好きな兄を否定する言葉。



『あなたの配下にいた私の息子は帰ってこなかった。しょせん、あなたも人殺しだ』



「どんな理由があっても、人を殺した人間が叱責されるのは当然のことだ。それが敵であれ、味方であれ」



「でも…」



「なのは、軍隊は道具にすぎない。それも、ないほうがいい道具だ。そのことをおぼえておいて、その上でなるべく無害な道具になれるといいな



 少女は忘れない。自分を撫でる無骨な手の主、周囲から英雄と称される兄の、今にも消えてしまいそうな、寂しげな無理やり作った微笑を。





「なるほど、確かに実力はあるか…」



「賭けは私の勝ちやな、クロノ君♪」



後に帝国の双璧と呼ばれることになる二人…



「ということで、今夜は最後まで付き合ってもらうで〜」



「ちょっと待て、はやて!君は妻帯者だろうに」



「えへへ〜」



 え〜と?





「ひとつ、伺いたいのです提督。束の間の平和を望むにせよ、勝算があるにせよ…なぜこの様な無謀な命令に従うのですか?」



 出自の怪しい者が少なくない特殊部隊「香港警防」。その隊長であるコードネーム「樺一号」が挑戦的にたずねる。



「…自分には年の離れた素直な妹がいるのだが…あの子が戦場に忌避出されるのを見たくない…私が望むのはそれだけのことなんだ」



 少し困ったように言う英雄の姿に彼はニヤリと笑った。それは、馬鹿にしたのではなく、最大の賞賛。



「…わかりました…とにかく、期待以上の返事はいただいた。この上は、微力を尽くすとしますかな。永遠成らざる平和のために





 この戦いを善悪で判断することはできない。そもそも、そのようなことに意味はない。ただ、それぞれの求めの根源に大差はなく、ただ、実現のさせ方に違いがあっただけである。



「私に隙があれば取って代わってもいいよ、クロノ」



「…閣下…ご冗談を」



 ほんの少し何かが違っていれば…



なに、そうなげくような人生でもないよ。何と言ったかな、そう、伊達と酔狂で、皇帝フェイトと戦えたのだからな。お前たちにも苦労をかけたが、これからは自由に身を処してくれ



「お父様…」



 そう、ほんの少し…



「バルディッシュ…フェイト陛下にお伝え下さい。忠臣名将を相次いで失われ、さぞご寂寥のことでしょう、と。次ははやて元帥の番ですか、と。功に報いるに罰をもってして、王朝の繁栄があるとお思いなら、これからもそうなさい、と」



「レイジングハートっ!!」



 だが…



「立ったまま御意を得ます。フェイト皇帝陛下!!」



「な…のは!?」



 眼前にある現実が変わることはない。





 都築英雄伝説、始まります…











あとがき



 なぜか突然「さぁ。」の奴です。才能無いと判断したので物書きからは引退したはずなのに…。

『銀河英雄伝説』のキャラクターに別作品のキャラクターを移植するパロディは結構昔からありましたし、「なのは」でやってる人もいるようです。本作では帝国陣営『リリカルなのは』、同盟陣営『とらいあんぐるハート』、第三勢力「その他(Dトカナントカ)」です。実は、キャストが完全に決まってません(爆)。とはいえ、物語の核は二人の「なのは」ですね。







冗談です。本気で書いたりしませんから。こんな大作書いたら時間がいくらあっても足りませんし。…誰か続き書いてくれないかな〜なんて甘い甘い御汁粉のような考えを持っている「さぁ。」の奴でした。

 駄文失礼。





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