前回までのあらすじ。 すずかさんも魔法少女になった。以上。 「だーかーらー! どうしてそう前振りとか、解説とか丸投げするかなぁ!?」 ウソウソごめん。ちゃんとやるから許してちょんまげ。 「下らんダジャレを飛ばす暇あったら仕事しろ!!」 「さっきからへんだよクロノ?」 「ああ、なんでもない」 魔法少女バーニングアリサ/!! 「総てを焼き尽くす炎の裁き」 前回までのあらすじ。 前振りとか解説とか色々ぶっちぎって、ユーノをめぐって闘うアリサとなのは。 しかしその間に、いつの間にか魔法を習得したすずかがユーノを誘拐する。 驚くべきことに、ユーノは脅威の四角関係フラグを立てていたのだ! そんなわけで、クロノはユーノを探す羽目になった。 「別に僕だけじゃないけどな………」 「だからさっきからどうしたのクロノ? 独り言ばっかりぶつぶつつぶやいて」 「それはアレやろ。クロノくんの親友のユーノくんが誘拐されたんやから気が気じゃないんやろ」 「どうでもいいけど、ほんとにここにいるんでしょうね?」 「全部………、全部吹き飛ばすの………」 「なのはさんなのはさん、落ち着いてください」 ユーノ捜索隊の面子は、クロノ・フェイト・はやて・アリサ・なのは、そして何故かついてきた局員(前回袋叩きにされてた奴)の六人だった。 「他の面子はまあいいとして、お前はなんでついてきてるんだ、局員」 「いやだなぁ。こんなおもしろゲフンゲフン大変なことになってるのに、一人さびしく御留守番だなんて、アースラ局員の名が泣きます!」 「今面白いって言いかけたろ。そんでもってお前の所属はアースラかい」 そんなやり取りをはさみつつ、一行は月村邸の門をくぐった。 「それはまあおいといて、ここにユーノがいるのは確かなの?」 「ああ。アースラの監視装置によると、この家で何らかの魔力反応があったらしい。念のため各方面にユーノがそちらにいないか問い合わせたが、ヒットはしなかったよ」 「各方面ていうと、スクライア一族とか、考古学の学会さんとか?」 「ああ。それでなくとも、あの伝言だ。現時点で一番怪しいのはこの家だろう」 「とかいってるうちに、もうお家のドアの前ー」 「すずか! 出てきなさい!」 「すずかちゃん! 出てこないとどうなっても知らないの!」 どんどんと扉を叩くアリサとなのは。 すると存外あっさりと扉が開かれた。 「どうしたのですか、皆さん」 出てきたのはノエルだった。 「そのように扉を叩かれては、騒がしくていけません」 「そんな事よりすずかを出しなさい!」 「ユーノくんは渡さないの!」 単刀直入、いやむしろ速攻で問いただす二人。 「…………申し訳ありません。すずかお嬢様は今、誰にも会いたくないと仰せです」 対するノエルの返事は実に淡白だった。 「会いたくない?」 「はい。ですからここはお引取りくだ」 『AccelShooter』 そして、割と問答無用で砲撃が叩き込まれた。 「おい!? なのは!」 「邪魔するんなら容赦しないの………。全部まとめて消し飛ばすの!!」 「だめだよなのは!? 全部消し飛ばすって、相手は魔法の使えないノエルさんだよ!?」 「関係ないの!!」 「関係ないってそりゃあかんよ!! せめて警告とか発してから撃たな!!」 「発したらいいんですか」 閃光と同時に広がった爆煙があたりを包み込む。 「しかし無事なんだろうか、彼女は………」 「なのはさんの砲撃喰らったら殺傷設定でなくても死にそうですもん」 「ファイエル!!」 「ねぇええええええええ!?」 「なんだ!?」 唐突に吹き飛ぶ局員。 慌てて下がるクロノたちが見たのは、 「………手?」 手のひらだった。 「はずしましたか………」 やがて煙が晴れ、その仲から無傷で姿を現すノエル。 その左腕からワイヤーが伸び、飛んできた手のひらにつながっていた。 「ノエル、君は………」 「申し遅れました。私の名は、ノエル・K・エーアリヒカイト………」 ウィーンと作動音がして巻かれていくワイヤー。 「そして、あなたがたが遺失技術と呼ぶ力で生を受けた自動人形、エーディリヒ式・最後期型なのです」 「自動、人形」 「ちなみにシリアルナンバーは1224です」 「聞いてない聞いてない」 かちりとはまり込む、手のひら……いや、ロケットパンチ。 「すずかお嬢様の命により、この扉を死守させていただきます」 「まいったな……」 「ええ。あんなにかっこいいロケットパンチを喰らっちゃったなんて。もうこれは後でみんなに自慢するしかない!!」 「いっぺん死ぬか、ああ?」 あほなこと抜かす局員にS2Uを押し付ける。 「ノエル、手加減はしないわよ?」 紅蓮をまとい、刀を突きつけるアリサ。 「邪魔するなら、消えてもらうの………」 レイジングハートの照準を合わせるなのは。 「ええ。一切の手加減はいりません」 そして、どこからか取り出したブレードを両手首につけるノエル。 「って、おい!? やるのか!?」 「どう考えても、投降を呼びかけるのは没交渉でしょう。彼女が自動人形なら、その命令を書き換えるのはマスターでないといけないでしょうし」 「でも、ノエルには感情があったよ? 泣いたり、怒ったり、笑ったりしてたよ?」 「それにしたって、命令をねじ曲げるのは難しいですよ。ただの人間だって意外と頑固なのに」 「何とかこの場を切り抜ける方法はないもんやろか………」 はやてが言う間に、三人は激突を開始する。 「このままやと、私らも割りと危ないし」 「う、う〜ん………」 ユーノが目覚めると、そこは薄暗い部屋だった。 「あ、れ? ここは………?」 「あ、目が覚めた? ユーノくん」 「すずか?」 首を回すと、そこにあったのは満面に笑みのすずかだった。 「どうしたの? これは一体……」 身体を起こそうとしても、できなかった。 「?」 完全に簀巻きにされていたから。 「って、ええ!? なにこの状況!? すずか!?」 「ごめんねユーノくん。こんなことしちゃって」 ユーノは慌てるが、すずかはクスクスと笑うだけだ。 「す、すずか………?」 「大丈夫だよ、ユーノくん………」 すずかは、優しくユーノの頬に触れる。 「ここなら誰にも邪魔されないから、ね………」 その頃、月村家玄関前。 「いくのぉおおおおお!!」 「ハァアアアアア!!」 「…………ッ!!」 三人の戦いは、一進一退といった所だった。 なのはが撃てば身をかわし、アリサが斬ればブレードで受け。 そして時には攻勢にも転じる。 自動人形というだけあって、その能力は破格の一言だった。 「ロケットパンチが出ないのが唯一の救いか………」 「どうして使わないんだろ?」 「たぶん、発射の方式が炸薬式で、一度に五発の炸薬を破裂させて手首を飛ばすからじゃないですか?」 「ようわかりますね、局員さん」 「さっき腕の断面が見えましたから」 そして他の四人は完全に観戦モード。 闘いの半径の外でのんきにお茶を飲んでいる。 「マイスター、マイスター。見てください、茶柱!!」 「おお。良かったなーリイン」 「っていうか、パック物のお茶に茶柱が出来るのか?」 「いやですね、執務官。小さな子供の夢は壊しちゃいけませんよ?」 だが、そんな雰囲気もぶち壊しにする事態が起こる。 「お、お姉さま〜」 「ムッ」 玄関から、ふらふらになったファリンが出てきた。 「また出てきたの………」 「まあ、なんであれ斬るだけよ」 「ヒィツ!?」 「ご安心ください。ファリンは私と違って、戦闘はできない完全な侍女型自動人形ですから」 「人形という割にはドジが目立つが………」 クロノのツッコミを無視して、ノエルはファリンに近づく。 「ご苦労様です。でも、少しだけ遅かったですね?」 「む、無理言わないでください〜。あんな重たい物、私一人で運びきれませんよ〜」 「………重たい物?」 「それでは、しばしの間お客様の応対をお願いしますね」 言うなり、家の中へ引っ込むノエル。 後に残されたのは、侍女型自動人形・ファリン(非戦闘型)。 「…………」 「…………」 「ま、待ってください!! 私ほんとに戦えないんです!! ウソじゃないんです!! だからそんな怖いものをこっちに向けないでください!!」 じりじりと迫る、なのはとアリサにめちゃくちゃ怯えるファリン。 「………なんであれ、非戦闘員に武器を向けるのは感心しないな。助けるか」 「クロノくんはドジッ子萌えなん?」 「クロノは、ドジッ子萌え、と……(カキカキ)」 「いやー、意外でしたね執務官。私はてっきり年上お姉さん萌かと」 「お前ら………」 クロノが攻撃の目標を、なのはたちから局員に変更した瞬間。 「お待たせしました」 ノエルの一言とともに、玄関が丸ごと吹き飛ばされた。 「!?!?!?!?」 煙の中から、ズシン……、ズシン……、となんだか重低音が聞こえる。 「なかなか使う機会のなかった装備ですが、皆様方になら遠慮なく使えそうです」 そして現れたノエルは、超巨大コンテナを背負い、両腕にブレードの代わりにキャノン砲を構えていた。 「デンドロ○ウム!?」 「では行きます」 ノエルは、ファリンが退避したのを確認して、その砲口を皆に向ける。 「ファイエル!!」 「この世界の技術はどうなってるんだぁあああああああああ!!!!」 チュドバコボカドゴーン。 「な、なにこの音?」 相変わらず縛られたまま、ユーノはなにやら聞こえてくる轟音におびえていた。 「大丈夫だよ、ユーノくん。ここには絶対に被害は届かないから」 「いや、むしろその一言で不安が増大したよ。本気でなんなのさこの音」 ユーノの言葉にしばらく首を傾げたすずかは、朗らかにこういった。 「ノエルがちょっと本気になってるのかな?」 「一体どこの軍隊にケンカ撃ってるんだ僕たちは!!」 クロノは悪態をつきながら、懸命に飛んでくるゴム弾(一応最低限の気遣いはしてくれているらしい)を防いでいる。 デンドロ○ウム・ノエル(以下Dノエル)の火力は、なのはすら上回っていた。 なにしろ、遠慮仮借ない砲撃が、断続的に飛んでくるのだ。 なのはの砲撃も脅威だが、ここまで連続で来ることはそうない。 さらに、コンテナの上部からミサイルまで飛んでくるのだ。 これはもう一市民が持つ兵力としては異常である。 「クロノくん! 何とかならへんの!」 「難しいんじゃないですか? 弾切れを狙うのが常套手段でしょうが、あちらの射撃精度はかなり正確で無駄がありませんし、あのコンテナの中、四次元とつながってそうですし」 「ありえないと言い切れないところが怖いな………」 「じゃあ、どうするの?」 「しかたない。誰かが囮になって彼女の気をそらし、その間にあのコンテナを破壊しよう」 「まあ、それしかないやね。それで囮やけど」 「こいつにやってもらう」 言ってクロノはどこかへ行こうとしていた局員の首根っこをつかむ。 「どこに行くんだ、局員?」 「機械の身体がもらえる星へ………」 「グダグダ抜かすな。やれ」 「無理ッすよ、執務官! あんな砲撃の雨、命がいくらあっても足りませんって!」 「安心しろ。彼女が撃ってるのは命に優しいゴム弾だ。死ぬことはない」 「それでもやですって!!」 「そこを動くな、なの!!」 押し問答をやっていると、唐突のなのはの大声が聞こえた。 そちらに目をやると、なのはがファリンを盾にする形で彼女にレイジングハートを突きつけていた。 「なのは………(泣)」 「なにやってるんだあの子は!?」 「見たまんま人質作戦かと」 「さあ! こいつの命が惜しかったら、とっととその物騒な荷物を捨てるの!!」 『Master………』 さすがにレイジングハートも閉口する中、ファリンが声を上げる。 「お姉さま!! 撃ってください!!」 「な!? なにを言ってるの!? 命が惜しくないの!?」 「お忘れですか? なのは様。私とその子は自動人形……」 Dノエルは、砲口をなのはに向ける。 「最も重要な電脳中枢機関さえ無事なら、何度でも蘇ることができるのです……!」 「クッ………!」 「しかし、こうしてみると、なのはさん完全に悪役ですね」 「しっ、黙ってろ。なのはに聞こえたら殺されるぞ」 Dノエルの指に力が入る。 「行きます。ファイエ………」 「私のことはガン無視?」 「!?」 背後から聞こえる声に、慌てて反応しようとするが長い砲身のせいでバランスを崩す。 「悪役なのはも役に立つわね」 にやりと笑ったアリサは、どこからか取り出した鞘に刀の刃を一気に擦り付ける。 「いくわよ! バニングス流、 そして渦巻く業火を容赦なくノエルに叩きつける。 「 その一撃で、決着はついた。 ついに月村邸の中に進入する一行! そこで彼らは、すずかと相対する! 熾烈を極める闘いは、総てを受け入れた少女によって幕を下ろされる! 次回、魔法少女バーニングアリサ/!! 「冥王の覚醒」!! ここ最近の異常気象にちょっぴり怯えながら待て!! ―あとがき― 「えー、前回のあとがき内に脱字があったことを深くお詫びいたします。「型のアームドデバイス」の部分は「 「何で脱字なんかできたんだよ?」 「さあ? まあ、Wordでうってたもんをいきなりテキストファイルに変換したからね。その辺の事情じゃない?」 「ちゃんと送る前に確認しとけよ」 「いやー、まさかあんなとこに脱字があるなんて、まさに驚愕の真実!!」 「真実でも何でもねえだろ。それより今回、バニングス流とか出てきたけど、ありゃなんだ?」 「ノリ」 「言い切りやがったよこいつ………」 「ほんとは別の技使う予定だったんだけど、構想上それは後回しにしなきゃいけなかったから、急遽あの技になったの」 「このssに構想なんてあったのか!?」 「うん。まあ、大枠ってだけで後はノリと勢いとそのときの気分!!」 「そうだよな。コイツにそういうのを期待するのが間違ってるよな」 「あ、キャラの名前募集は相変わらず受け付けてます。それではっ!」 「だからそういうことするのやめろって。しーゆー」 |