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“今日のお題:混沌!開発局日誌!(副題:Temporary Episode-Ex01)”


時空管理局本局内にあるシミュレータールームに、一人の女性が佇んでいる。

ポニーテールの桃色かがった長髪が、己の愛剣より吹き上がる魔力に靡き、
その額には大粒の汗が張り付く。

彼女の右腕に握られた剣−炎の魔剣・レヴァンティン−から吹き上がる魔力は、
尋常ではない密度の炎を形成し、更にその勢いを増そうとしていた。


「(魔力変異率45%突破……。このまま制御しきれれば…)」


瞳を閉じたまま、構成する術式の制御に集中する女性
−ヴォルケンリッターが一人、烈火の将・剣の騎士、シグナムーは、
暴れ狂いそうな魔力の手綱を執ろうと、必死になっていた。


「う〜ん、こりゃあ無理っぽいなぁ」

「あっさりと無情な言葉を吐かないで下さいぃ」


シミュレータールームを統括するモニター室で、シグナムのバイタルデータと
レヴァンティンの状態をチェックしている男女。

開発局の制服を着崩している男が、やる気なさそうに無情な言葉を吐くと、
キッチリと制服を着込んで、糊の利いた白衣を纏った女性が、間髪いれずに
ツッコミを入れる。


「つってもなぁ…レヴァンティンの負担率がなぁ……あ」

「ッ?!レヴァンティンの術式制御機構異常発生!構成呪式霧散します!」


モニターに映るレヴァンティンのシステムデータが、一瞬にしてレッドコンディションになり、
シグナムのバイタルもダメージを受けたことを現すイエローに代わって表示されていく!


「グッ…く、これでも…クハッ…未…だ、無理、か」


訓練室ではシグナムが、刀身が白熱化したレヴァンティンを地に落とし、バックファイアのダメージで
騎士甲冑の装甲部分を剥離させたボロボロの様子で、荒い呼吸を吐いていた。


「試験中止〜。医療班の緑に連絡〜っと」

「なんで貴方はこう言うときでも軽いノリなんですかぁ!?」

「ん、性分♪」

「orz も、もういいですぅ( ToT)」


モニター室では、相変わらずの漫才が繰り広げられていたが、事後処理に掛かる手際は
一切の停滞を見せず、速やかに処理されていく。


「ん〜、こりゃああれだな、やっぱり発想の転換てヤツが必要なんかなぁ」


表示されるレヴァンティンのデータと、シャマルの治療を受けているシグナムの様子を
モニターで眺めながら、男は呟いた。


         *          *          *          *


「結論から言うとだ、現状のレヴァンティンじゃ、お前さんの新技は無理だ」

「…そうか」

「あわわわ、グリフィスさ〜〜ん!?そんなあっさり〜〜(@o@;)」


医務室で検査を受けるシグナムを前にして男−シアン・グリフィス−は、あっさりとそう告げた。

僅かに瞳を伏せるシグナムの様子を見て、同席していた開発局の女性−エリス・ヴィクセン−は
慌てたようにフォローに入る。


「事実だもんよ。誤魔化してもしょうがねぇ」

「そ、それはそうですけどぉ〜〜」


エリスの苦言も何処吹く風と言った様子で受け流し、言葉を続けるシアン。


「もともと打撃武器としての性能に特化しているレヴァンティンの制御能力じゃ、あそこまでの
魔力収束には耐え切れない上に、そもそもの術式が複雑で『溜め』の時間が長くなり過ぎる。
今の状態じゃ、実戦向きじゃねぇな、あの技は」

「ああ、それは解ってはいるんだが……な」

「つうか、あんな技、あんたに必要なのか?心・技・体が高水準で調和し、
クロス〜ミドルレンジまでをカバーできる技があり、出も早い。それでもバランスの悪い技を組み込むのか?」

「…切れる手札は一枚でも多い方がいい。それが戦局をひっくり返せる程の決め技と成れば
それに越した事はあるまい?」


淡々と告げるシグナムの深青の瞳と、茫洋としたシアンの茶色の瞳が交差し、しばしの間見つめあう。

ピリピリとした空気が漂い始める部屋の中、傍に佇むエリスは


「(はぅぅぅ、空気が、空気が重いですぅ(ToT))」


室内の空気に耐え切れず、アワアワとキョドッていた。

長いようで短い視殺戦のような時間が過ぎ、シアンが溜息と共に視線を外す。


「オッケーだ。そっちにはそっちの拘りがあるって事だな、立ち入った事聞いて済まなかったな」

「いや、お前たちに、こちらの我儘に付き合ってもらっているのだからな。気にするな」

「(わたしは巻き込まれているだけなんですけどぉ(ToT;))」


約一名の声無き声の嘆きは当然スルーされた(爆)


「さてと、『現状ではどうやっても無理、強引に発動させればレヴァンティンが壊れる』というデータが
出揃った訳だが……実際どうすっかな」

「レヴァンティンそのものに問題は無いんだがな」

「さっきも言ったとおり、レヴァンティンの構成自体は変えようが無い。カートリッジシステムの扱い方からして
白い悪魔嬢達とは違うから、あまり参考にならんしな」

「本家はこちらなんだが…」

「底上げまでした超☆馬鹿魔力を制御しきるアレは、既に別のイキモンだ。比べるな」

「…お前、そんなことを言っていると『『全力全壊』でお話させてもらうなの!』とか来るぞ、アレが」

「その時は、今のあんたの台詞もチクる!地獄には一緒にいこう!?」

「全身全霊を持って断る!」

「「うぬぬぬぬぬぬぬぬ」」

「あのぉ、話がズレてますぅ(@_@;)」

「「はっ!?」」


先ほどとは540°ほどベクトルの違う睨み合いに入った両者は、エリスからのツッコミで我に帰った。


「コホン……では、どうしたら良いと思う?」

「そだな……レヴァンティンの刀身の耐熱力を上げるのが一つ、術式そのものは……あ?」

「どうした?」

「確か……こないだの調査で……(カタカタカタ)」


何かを思いついたのか、いきなりキーボードを叩き始めるシアンを、怪訝そうに見つめるシグナム。

ややあって、ディスプレイに表示されたそれは…


「なんだこれは…鞘、か?」

「うむ、第27世界『スタニア』の遺跡で発見された神殿にあった記録なんだがな」

「『スタニア』……ああ、攻勢型のロストロギアが発見されたとか聞いたな。それ関係か?」

「そそ。んで、こいつは呪法昇華型デバイスっていうようなもんでな」

「呪法昇華?」

「これが創られた世界でも、魔法が発達していたらしくてな。こいつに入れる剣に呪文を掛けて鞘に入れると
その呪文の最上位までランクが上がるって代物なんだとよ」

「ほほぅ……これが何かヒントになるのか?」

「ま、このまま使えるわけじゃないがな。シグナム、あんたの技で『陣風』ってのがあるだろ」

「確かにあるが、それがどうした?」

「あれって、レヴァンティンの鞘に入れた後、抜刀をアクショントリガーにして発動しているよな?」

「ああ」

「それの上位版として再構成してみるなら、例の『雷剛凱斬』、使い物になるかもだ」

「本当か?!」

「うい むっしゅ!d(0w0)」


『ニヤリ』と妖しい笑顔を浮かべるシアンに、胸倉を掴まんばかりに詰め寄るシグナム。


「ま、その為には、レヴァンティンの改造と特殊な鞘が必要になるわけだが、その辺は了承か?」

「レヴァンティンと私は一心同体、心配は無い」

「…あ〜、そうかい(0w0;)」


誇らしげに語るシグナムに、呆れが入った声で応えるシアン。


「はぁ〜、お茶が美味しいですぅ( @o@)旦」


そして忘れ去られたエリスは茶をしばいていた(核爆)


          *          *          *          *


あれから一週間後。

再びシミュレーションルームに立つシグナムの手には、改造の終わったレヴァンティンと
漆黒の無骨な鞘が握られていた。

レヴァンティンを収めるにしては、明らかに大型の鞘で、横幅は倍ほどあり、
何より目立つのは、中央両面に配置されたカートリッジシステムらしき機構である。


『あっあ〜、シグナム聞こえっか〜?』

「問題ない。聞こえているぞ」

『よし、では最終確認だ。今、お前さんの手にあるレヴァンティンは、刀身と各システムの耐熱力を
向上させたものだが、如何せん効果の程は左程見込めない。いいとこ1割強程度の上昇だ』

「いや、この短期間でということを考えれば十二分だ」

『そか?んで、その【鞘】だが、今回のは、厭くまでも試作品だ。盾代わりに使えるような
レヴァンティンの鞘のような強度もないし、機構も剥き出しだからな。もし、危険を感じたら、
その場に放り捨ててもかまわん。即、離脱しろよ?』

「ふっ、ヴォルケンリッターが将を舐めてもらっては困るな」

『「ふっ」じゃねぇ(0w0;)!お前さんを怪我さして返すと、はやて嬢が怖いんだっつの!前回なんて、
危うくラグナロク喰らうところだったんやぞ?!』

「……そうか」

『もしも〜し?今、「喰らっておけば良かった物を」とか考えませんでしたか?でしたか?!』

「気のせいだ( ̄ー ̄)」

『うわ、その笑顔めっさムカツク』

「ありがとう( ̄ー ̄)」

『結構イイ性格してるよな、お前さん』

「人によるさ」

『へぇへぇ。説明続きするぞ。その【鞘】だが、お前の持っている技の中で、対応しているのは
今回試す『雷剛凱斬』だけだ。他の技は一切発動しない』

「今回は必要ないからな」

『ああ。で、レヴァンティンの最初のカートリッジロードで、刀身に耐熱・耐エネルギーフィールドを形成して、
【鞘】に納刀する。それからコマンドワードで術式開放、【鞘】のカートリッジシステムで術式形成、そして
お前さんがアクショントリガーを引いて発動。この流れで行くぞ。問題は無いな?』

「ああ、何の問題もない。今回こそ成功させてみせる」


シグナムは、右腕にレヴァンティンを、左手に【鞘】を持ち、正面を見据える。

彼女より20mほど先には、今回のターゲットであるクリスタルフィールドが展開されていた。


『シグナムさ〜ん。当初の予定通りぃ、そのフィールドの物理強度ぉ、艦船並に設定してありますぅ』

「ありがとう、エリス。無茶を言って済まないな」

『いえいえ〜、気にしないで下さいぃ〜』

『うわ、俺の時となんか態度違くね?なぁ、これって差別?差別なん?』

『五月蝿いですぅ、とっとと自分の席に逝きやがれですぅ』

『ぬお?!黒っ!?黒いぞエリス!』

『この一週間、私はカンヅメで仕上げさせた癖に、自分はとっとと寝やがってるような人のことなんて
知りません〜』

『いや、あの、ワタクシも【鞘】の製作で殆ど寝ていないのデスガ……』

『何か言いやがりましたかぁ?』

『イエ、ナニモイッテオリマセン(0w0;)』

『後で覚えてやがれですぅ(何で?!Σ(0w0;))……では、試験開始ですぅ!』


騒がしく響く通信を呆れ顔で聞いていたシグナムだったが、即座に意識を切り替えて集中力を高める。


(今までは、自分とレヴァンティンの制御能力を、限界まで引き出しても成功しなかった技だった。
だが、今回は…この【鞘】がある。個人としては兎も角、技術者としてのアヤツなら信頼しよう!)


閉じていた瞳を見開き、レヴァンティンを掲げる。


「レヴァンティン!カートリッジロード!」

《Ja!》


レヴァンティンに叩き込まれたカートリッジから魔力が迸り、彼の刀身を、
淡い紫色の魔力光が包み込む。

シグナムはそのまま【鞘】へと納刀し、僅かに腰を落とすと、コマンドワードを叫んだ!


「『紫炎覚醒』!」

ガシュガシュガシュガシュガシュガシュン!



コマンドワードと同時に【鞘】に取り付けられたカートリッジシステムが稼動し、
内部に納められたレヴァンティンへ魔力を注ぎ込む!

そして、刹那の刻を挟み、シグナムは己の半身を渾身の力で引き抜いた!


「吼えろレヴァンティン!終の秘剣『雷剛凱斬』!」


引き抜かれたレヴァンティンは、太陽フレアと見紛うばかりの焔を吹き上げ、
神速をもって振りぬかれた『それ』は、無音のままターゲットを『消滅』させた……



          *          *          *          *


「シグナムさん!すごかったですぅ!」

「いや、この【鞘】の御蔭だ。有難う、エリス、シアン」


にこやかに談笑している女性二人の背後では、[Sound Only]と表示されたディスプレイに向かって、
何事か交渉している男の姿があった。


「…ええ、はい、わかってますよ、きっちり直しておきますから……あんだと?んなこというなら、
ホワイトファング隊に例の事をチクって…そうそう、それで良いんですよ…
…はい…はい…じゃ、そゆ事で(ピッ)」

「交渉おわりましたかぁ?」

「うむ、ここの修理はこっちで担当する事になったが、壊した事に対してはお咎め無しだΣd(0w0 )」

「まさかあそこまでの威力になるとは思わなかったが…すまない、苦労をかけた」

「【鞘】の性能は問題なく発揮されたっつ〜ことだな。この後は
実戦でもつかえるようにしていかにゃならないわけだが…さっそく今回のデータから洗い直しだ(0w0)=3」

「しかし、今回は異常に楽に制御出来たが、これも【鞘】の御蔭か?」


シグナムが、【鞘】に触れながら呟いた言葉に、シアンは呆れたように答えを返す。


「当たり前だっつの。というかな、この【鞘】は『雷剛凱斬』を発動させる為『だけ』に特化させてあるんだからな」

「そうですねぇ、シグナムさんの持っている他の技はぁ、この【鞘】だと発動できませんしぃ」

「そ、そうだったな´(//ー//;)\」


二人からの『聞いてたのかアンタ』という眼に、真っ赤になるシグナム。ぶっちゃけると、
『技の初成功に浮かれて完全に忘れていた』のだ(核爆)


「ま、お礼は実戦で役に立ったら改めてって事で…な?」

「ふっ。では、そうしよう」


肩を竦めて言うシアンに、シグナムは不敵な笑みを浮かべて応えた。






シグナムの秘剣が、その力を振るうまでには、今しばらくの刻が必要だった。

『新たな目覚め』と『新たな出逢い』を迎える未来。

それを切り開く一刀として、この秘剣が生まれたのかもしれない。



今は眠れる剣の舞、その銘は『雷剛凱斬』という……






黒色槍騎兵さんの所のシグナムさんから依頼を受けまして、
うちのシグナムさんの協力の元で生まれましたよこの話(爆)
いやあ、実は長編で『雷剛凱斬』をどう出そうか悩んでいたので
『助かったZe!ヒャッホウ♪』というのは秘密だ!(言ってるYo!Σ(0w0;))






“混沌!開発局日誌! お・ま・け”


(0w0;)「ふぅ、ようやくねれるるるるZzzz」

ピッ???[[扉]]

???[[扉]]oO「班長殿、すこしよろしいか?」

(-w-)「Zzzzz」

???[[扉]]oO「…班長殿?」

(-w-;)「…やは、成原博士。お元気そうで何より…Zzzz」

???[[扉]](プシュ

[[扉]]<[″`ω´]>「……縛れ!鋼の軛!(ズドドドドドド!)」

(0w0;)「ぬぐわぼぺろぶごふ?!(串刺し×沢山)」

[[扉]]<[″`ω´]>「目を覚まされましたか、班長殿」

(0w0;)「…すみませんザフィーラさん、何故にワタクシが鋼の軛でハリネズミ状態なのでせうか(汗)」

ザッ「何、依頼の品を受け取りに伺ったら、あちらこちらに盥廻された意趣返しなどということでは、
   決して無い」

(0w0;)「意趣返し120%やん!?というか、俺、お前さん達のリーダーの為に頑張ってたんだけど…」

ザッ「それは聞いている」

(0w0;)「だったら少し休ませてくr…」

ザッ「シアン・グリフィス」

(0w0;)「あんまり下の名前呼ばんといてぇ!レティおばちゃんに『あんたの苗字、うちの息子と一緒なのよね
    ……改名しなさい、すぐ!』とか言われてイジメられとるのだYo!」

ザッ「我にどうしろというのだ?」

(-w-||)「だよな、関係ないよな…というか、そんなことより寝かせてくれっての!
あんたらの大将の為に徹夜しまくりなんだってばよ!」

ザッ「グリフィスよ、主の世界にはこのような諺がある」

(0w0;)「へ?」

ザッ「『それはそれ! これはこれ!』」
(0w0;)「それは諺じゃねぇぇぇぇぇえぇ!」


ザッ「それはともかく」

(0w0;)「ううう、この野郎、絶対本編と性格違う…アルフとラヴってるからって調子に乗ドスッ!

ザッ「おや?どうされました、班長殿?」

(0m0||)「お…おま……リバー…直げk……(ガクッ)」

ザッ「ふむ、お疲れのご様子…子守唄でも唄ってさしあげるべきか?」

(0m0||)「あ…悪夢に魘されて永眠すっからやめれというかやめてくださいおねがいしますm(_ _;)m」

ザッ「そうですか…。班長殿、私は依頼の品を受け取りに来ただけですで、頂ければ即退室致しますが?」

(0w0;)「あ、あれ??装備科に渡して…た……筈………なんだけど、此処にアリマシタヨ( 0w0||)つ■」

ザッ「■<[`ω´"]>…確かに受け取りました。では又後ほど」

[[扉]ω´"]>、、、

[[扉]](プシュ

(0w0||)「…え?なに?『又後ほど』って何?!!何しに来るのさ!?」

???ピッ[[扉]]oO「すみませ〜ん、班長さんいらっしゃいますか?」

(0w0||)「またなんかキターーーーーー!?」

???[[扉]]oO「いませんか〜?いますよね〜?一寸失礼しま〜す」

[[扉]] {{●}(ブゥゥン)

(0w0;)「…ヲイ、扉閉めてる意味ないやんか!?」

[[扉]] {{○}へ)(´ヮ`)(「こんばんわ〜」

(0w0;)「出やがったな緑!!

シャマル「あ、ちゃんと名前呼んでくれないと嫌です」

(0w0;)「え〜あ〜…何しに来やがりましたか、シャマルさん」

シャ「ほら、この間頼んでおいた、アレですよ〜」

(0w0||)「あ、あんたな……あんな極悪なトラップ、なんに使う気なんだ!?」

シャ「まぁ、それは使ってみたときの、お・た・の・し・み♪」

(0w0||)「お、おのれ、柚姉ぇボイスで惑わしやがって…駄目です、あれは幾らなんでも封いジャキン!

シャ「渡せば楽にぶちまけてあげます♪渡さないなら地獄の痛みの中でぶちまけてあげます♪さ、どっち?」

(0w0||)「どっちにしろ死ぬんじゃねぇか!?第一、そのスパルタンっぷりだと、
    着ているのはセーラー服じゃないといけないでしょうが!緑の歳でそれは犯罪……

シャ「…………(ズズズズズズズズズズズ

)|w|(「ひぃぃぃぃぃ!思わず本音がぁぁぁぁぁ!……あ

シャ「脳漿を!ぶちまけろ!」

ズシャグチャズバッザクッドシュ!







第一人格は修復フラスコ内に浮かんでいますので、第二人格がコメントを致しますm(_ _)m
ん?メモがある。どれどれ
『お・ま・け の方は完全にネタですので、スルーで!というかして下さいお願いします』
だ、そうです。
黒色槍騎兵さんの所には、【鞘】【魔壊甲】【デス・トラップ一揃い】をお送りしておいたそうですので、
どうかご活用下さい。

【魔壊甲】左手側に近接・接触型以外の魔力結合を破壊する事が出来るフィールドを発生するデバイス
      同時に右腕側には、自身の魔力によって半実体化するナックルフィストを形成し、これに触れた
      物体の分子結合を崩壊させるデバイスの二組からなる(…鬼性能すぎるな、これ)

【デス・トラップ一揃い】ダイヤ9以外わかんないので、好きに作ってよいかとおもわれマス(0w0)ゞ






“今日のお題:滅びの時(副題:当落通知が来た日)”


その日、緑と指輪は悪夢を見た。

八神家に届いた一通のペラい手紙。

その『白ラベル』が今冬の彼女達の運命を告げていたのだ。


シャ「……(°¬°;)バカナ…」
クラ『……(=°ρ°=)ソ、ソンナ」

デュ『うぉ?!何時にも増して瘴気が濃いぞ、をい( ̄△ ̄;)』
シュ『ううう、姉様ぁ(i々i)』
デュ『で、何でお前まで泣いてる?』
シュ『んとね……冬のお祭りに参加できなくなっちゃったの…(;◇;)』
デュ『お祭り??……ああ、あの妖しい本の集いか』
シュ『頑張ったのに…頑張ったのにぃぃ(ノ_<。)』
S2U『頑張らなくて良いんだよ、それは』
デュ『おう、S2Uの旦那。久しぶりだな』
S2U『ええ、本当に。名前が出ただけの回含めても、11話振りだからね』
グラ『我なぞ、それより遥かに出番がないのだがの』
デュ『うを!?ぐ、グラーフ老も来たのか』

シャ「……うふふふふふ、夢よ、これは悪い夢なんだわ(´ ▽`;)」
クラ『……何かの間違いだわ(゜Д、゜)』

グラ『なんぞ寝言をほざいておるの』
S2U『あそこまで茫然自失とするような事態なんでしょうかね?』
シュ『おじ様もS2Uさんも解ってな〜〜〜〜い!一年に二回しか無いチャンスがつぶれちゃったんだも〜!o(><)O O(><)o ジタバタ)』
デュ『永遠に潰れちまえ(ボソッ)』
シュ『みゅ?!なんて事ゆ〜のデュラっちぃぃ!』
デュ『やかましいわ!結局ネタにしやがって!』
シュ『それがわたしのじゃすてぃす!(V^−°)』
デュ『ほほぅ、よく言った…色々と覚悟は出来ているっつ〜訳だな?あ?』
シュ『みぃぃぃぃ!?Σ(°◇°;))』
S2U『はいはい( -_-) そこ、ストロベリっていないで落ち着きなさい』
デュ&シュ『『ストロべりって無ぇ(ないも〜)!!』』
グラ『説得力も納得力も皆無だの』

シャ「……ふ、ふふふふふ…そうよ、本部の当落表を書き変えれば無問題だわ!」
クラ『Ja!ペンデュラルフォルム・起動よ!』

グラ『なんぞ始めたの』
S2U『旅の扉で何を…』
デュ『なぁ、あれって犯罪行為じゃ無ぇのか?』
シュ『頑張れ〜姉様〜♪ヾ(^^ゞ))..( シ^^)ツ♪ 』
デュ『煽るなボケ娘ぇ!!』
ベシッ(#- -)/☆(*_*)みゃぁぁ!?
シュ『た、叩いたぁぁ!』
デュ『叩かれなくなかったら少しは だ・ま・れ!』
シュ『うみゅぅぅぅぅ(゜ヘ゜;)』

シャ「…この机のようね……ディスクとかに記際されていたら書き換えるのわすれちゃ駄目よ、クラールヴィント」
クラ『勿論!任せておいて、マスター!』

グラ『………』
S2U『…………』
デュ『……………』
シュ『(頑張れ〜姉様〜)』
デュ『(ギロッ (-_☆)』
シュ『(あうぅぅぅ、デュラっち怖いぃぃ(・_;))』

シャ「どこかしらどこかしら私達の未来を照らす希望の光はぁ!」
クラ『これ?!ちがう!こっち?!』

グラ『そろそろ止めるかの』
S2U『ですね』
デュ『どうやんだ?』
シュ『あわわわわ (×_×;)』
グラ『まぁ』
S2U『ここは』
デュ『いつも通りに』
シュ『(姉様ぁ〜弱い私を許してぇぇぇ〜)』
グラ&S2U&デュ『『『一撃必倒!合体攻撃!【フェイタル・タービュランス!】』』』

グゴガァァァァァァ!

シャ&クラ「『ぬぐらぼばはぁ!!!!?」』

キラ〜〜〜ン☆


シュ『姉様〜〜〜〜〜((((/*0*;)/』
デュ『ふっ、悪は滅んだ』
S2U『まぁ、飛んでいっただけだけどね』
グラ『あっちには海があるでの。頭を冷やすには丁度良かろ』
シュ『み、みんなひどいぃぃぃ(。><)』
デュ『そういえば、お前のお仕置きが未だだったな』
シュ『みぃぃ!?なんでお仕置き〜〜?!Σ(゜◇゜;)』

デュ『本の製作で同罪』
シュ『え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!(*○*;)』
デュ『うら、こっち来い』
シュ『うぇぇぇぇぇぇぇん』
(-_-メ)~~\(;/T-T)/イ〜〜ヤ〜〜〜〜
グラ『(イジラレとるのぉ、相変わらず)』
S2U『仲の良い証拠でしょう。放っておくに限ります)』
グラ『(そうだの)』

シュ『おじ様S2Uさん助けて〜〜〜(T-T))なんで生暖かい目で観てるのぉ〜〜〜〜(°O°;)』

グラ『デュランダルよ。程ほどにの』
S2U『イジルのは良いけど、虐めちゃ駄目だよ?』

デュ『おっけ〜おっけ〜♪無問題』
シュ『問題あるよぅぅ!?誰かた〜す〜け〜てぇ〜〜〜(;△;)』


引き摺られていったシュベルツがどうイジラレたかは、誰も知らない(爆)


そしてシャ○と腐れ指輪はどうなかったかというと…

次の日の朝、海鳴市の海岸片隅に、金髪の女性が打ち上げられたといふ(半日以上漂流してたんか)






“本日の課題:グリフィス・ロウラン君SSS”


僕の名前はグリフィス・ロウラン。
母は時空管理局の運用部を統括する、レティ・ロウラン提督だ。
僕が物心ついた頃、母さんは既に本局運用部の提督として、
家にいることも侭ならないほど仕事に追われていた。

はっきりいって、僕は寂しかったんだと思う。
休みの日だって、他の友達が家族旅行に連れていってもらったり、
一緒に食事に出掛けているのに、僕の母さんは仕事に行ったっきり
帰ってこない事の方が多かったから。

そのままだったら、僕は寂しさを抱えたままイジけた性格になってしまったんじゃないか、
いや、実際そうなっていただろう。


「グリフィスくんグリフィスくん、ほらほら早くってば〜」


今、僕の前で手を振っている彼女、シャリオ・フィニーノが傍に居てくれなかったら。



 彼と彼女のある一日 −a spring day−



「グリフィスくん、10分遅刻だよ〜!」

「ごめんごめん、シャーリー。ちょっと寝過ごしちゃったんだ」

「女の子待たすのは厳禁なのに〜。おば様に言っちゃうよ?」

「ぐっ!?謝るから!母さんには黙っててよ!?」

「ん〜〜と、お昼御飯、グリフィスくんの奢りなら♪」

「とほほ…判ったよ。はぁ、予定外の出費だぁ(泣)」


カードの残金に想いを馳せ、『さようなら』を先にしておく。

シャーリーは、小柄なくせに『どこに入るんだ?』という程、よく食べる。

多分、それだけで今日の予定金額の半分は飛ぶんだろう。もう、慣れたけど(泣)


「じゃ、御飯前に『ナイツ』に行こっ♪」

「買い物は良いの?」

「先に買い物しちゃうと、荷物が邪魔になっちゃうし、持つの大変でしょ?」

「……僕が持つのは確定なんだね(ボソッ)」

「?グリフィスくん、今、何か言った?」

「なんにも言ってないよ、うん、言ってない……はぁ(溜息)」

「??」


うん、判ってるさ。彼女に何にも他意がないってことは!

一緒に出かける事がある度に母さんが

『買い物の荷物を自分から持つくらいの甲斐性は見せなさい』

ってシャーリーの荷物(と、母さんの!)を僕に持たせるのが当たり前になってたから、
今更なんだって事はさ……。

シャーリー…お願いだから、買う量は程々にしておいてね。


*          *          *          *          *          


ついこの間クラナガンにオープンした総合アミューズメントパーク『Night,s』
ホログラフィックミュージアムや、本格的な戦闘シミュレーターなど、高度な体感型
アトラクションの数々を誇る、最新のテーマパークだ。

士官学校の休日を使って新規オープンしたここに来たのは、シャーリーとの
『賭け』に負けたからだったりする。

『前期考査の総合成績で負けたほうが、勝った方の言う事を聞く』

これが『賭け』の内容だ。

でもさ、シャーリー。教育課程の違う僕達で、こういう賭けって意味無いと思うんだ。

すでに押し切られて此処に来てるのに、今更どうこう言えないけどさ。


「グリフィスくん?どうしたの?」

「世の中の不条理にちょっと思いを馳せてただけさ」

「ふ〜ん?」

「(クロノさん、本当にこの世は『こんなはずじゃなかった』事ばかりです(泣))」


心の中でサメザメと涙を流しながら、士官学校の先輩であり、兄のような存在である
クロノ・ハラオウン提督の言葉を思い出す。いや、こんな事に使うのはどうかと思う
重い言葉なんだけどさ。



『そんなことはないぞ。それは人生の真理だからね』

『クロノくん、虚空見つめてブツブツ言うんは、危ない人やって思われるよ?』

『失礼な、僕はだな…』

『それは兎も角や。はい♪「あ〜ん」やよ〜♪((・∀・)x))』

『はやて!ずるい!次は私のお弁当からだよ、クロノ。(・_・*)\』

『君達…ここは艦長席なんだが…』

『そやね。少なくともベットには見えへんね((・∀・)x))』

『ベンチにも見えないよ、クロノノ(*・ヮ・))』

『(…誰か助けてくれ(;`ー´)』



ん?何か悲痛な波動を感じたような……気のせいかな?


「グリフィスく〜ん、立ち止まってどうしたの?」

「え?あ、ああ、ちょっと考え事してた」

「そなの?」

「うん」

「…まぁ、いいけど。じゃ、さっそく『Night,s』に乗り込も〜♪」

「お〜(溜息)」


          *          *          *          *          


「…しゃ〜〜り〜〜〜〜(汗)本当に僕がやらなきゃ駄目?」

「だ〜め〜♪大丈夫だよ、絶対似合うから」

「ぜ、全然嬉しくない(泣)」


神様。貴方は僕に何か恨みがあるんでしょうか?

入って直ぐ連れてこられたのは、ホログラフィックミュージアム。

変身魔法の技術を応用して作られたという、服装や髪型、体格の擬似変更
(フィールド内のみ・外見のみ)が出来るという、言ってしまえば、お手軽に
『コスプレ』を楽しめるというものだ。

同時に入力できる各種シチュエーションは、映画や漫画のシーンなど、膨大な
数が用意されているので、幾通りも挑戦出来るのが売りなアトラクションだ。

だけどさ……


「なんで女装しなきゃならないのさ?!」

「え〜?グリフィスくん、似合うと思うよ〜?」

「そういうことじゃなくて!?似合ってても嫌だよ!」

「普段と違うシチュエーションを楽しむなら、ありえないくらいはっちゃけた方が
面白いと思うよ?」

「面白いのはシャーリーだけだよ!」

「そんな事無いよ、おば様だって楽しんでくれるよ?」

「それがありえそうだから嫌なんだぁぁぁ!」


そうだ、絶対楽しむ……あの人は絶対に嬉々として僕を弄くる!

シャーリーが『変身』すればいいじゃないか!もともと女の子なんだし!

それなら何の問題も無いし、僕もシャーリーの色んな格好みれて楽し…


「えい(ぽちっ)」

「シャーリィーーーーー?!」

『設定確認:美少女コンテスト
       :聖○女学院制服
       :処○はお姉様に恋してる』

『起動シマス』

「よりにもよってなんてモノをぉぉ!?」 


*          *          *          *          *        


「終わった…これで何もかも終わった…orz」

「グリフィスくん、大げさだってば」

「何が大げさなもんか…う、ううううう(泣)」


そうさ、もう終わりさ…あの後もエン○ェル隊の制服とか
穂○原学園の制服とか夜○け前より瑠○色な姫様のドレスとか
お○ぎ銃士赤○きんの格好とか挙句の果てに
ビキニの水着(パレオ付き)とか……

「うう、死ぬ、もう死んでやるぅ!?母さん、先立つ不幸をお許し下さい」

「多分、遺影は今撮ったののどれかが使われると思うよ?」

「死ぬのも駄目じゃないか!?(ToT)」


神様、僕は心の底から貴方の事を嫌いになりました。機会があったら、絶対殴ります。

はぁ(溜息)…どこかに悪魔との契約書、落ちてないかな…


彼は知らない。士官学校で行われる『学校祭』

そこで第57代ミス・士官学校に選ばれる未来が待っている事を!


*          *          *          *          *          


「楽しかったね〜♪」

「僕は疲れたよ…魂の底から…(溜息)」


結局、ホログラフィックミュージアムでは、シャーリーも色々な格好をしてた。
パイロットスーツとか、アイドルの服とか、まぁ…可愛かったけど(//_//)

他のアトラクションにもチャレンジしたけど、如何せん、戦闘系は駄目駄目だった(汗)
元々得意じゃないし、お互いに。でも、第一ステージであっという間にゲームオーバーに
なったのは、ちょっと、いや、かなり悔しい。いつかリベンジしようと誓うぞ。


「グリフィスくん、今日はありがとね♪」

「別にいいさ。何時もと違って大荷物も無いしね」


片手に下げたバックを軽く持ち上げて応える。


「い、何時もそんなに多く買ってるかな?」

「シャーリー…両手に紙袋と箱を抱えてフラフラ歩く事が習慣のような少年がいるんだけど?」

「あ、あははは。大変だね、その少年」

「本当に、ね(溜息)」


ごまかし笑いをするシャーリーを見て、それこそ癖になった溜息を吐く。

まぁ、『それでもいいか』って思っちゃってる僕が甘いのかもしれないけどね。

僕が彼女に抱く想いは、多分、きっと『恋』なんだろう。

彼女が僕をどう思っているのかは判らないけど、僕を好きになって欲しいと思う。

でも、今の僕は自信が無い。今のこの関係を崩すのが怖いんだ。

だからシャーリー。僕がもう少し成長するまで、待っていてほしい。


「グリフィスくん?真面目な顔してどうしたの?」

「ん、なんでもないよ。夕日が綺麗だなって思ってただけ」

「あ、ほんとだ。真っ赤で綺麗だね」


二人で夕日を見つめながら、僕は彼女の肩を抱ける日が来る事を、そっと願っていた。




コンさんが『罰として書け』って言うたから、書いてみた。捏造にも程があるグリフィスくん→シャーリー嬢SS
萌えなんぞ在るかどうかワカリマセンガ(無ぇよ)






“本日の課題:シャマルさんSSS”


淡いピンクのルージュを、唇にそっとのせる。

『彼』は余り濃い色は好みじゃないから、お化粧もほんのりとした軽い色合いで纏めておく。

イヤリングは、この間『彼』からプレゼントされたパールのものをチョイス。

コートワンピースと、緑地のプリントワンピース、ネックレスはリボンネックレスで良いかしら。

一度姿見でチェック。ん、大丈夫みたい。

部屋から出ると、廊下の窓から、枯葉が舞い散っているのが見えた。


「もう、秋も終わりね」


なんとなく呟く。そう、もう秋も終わり。『彼』とこういう関係になってから、
初めての秋が終わろうとしていた。




そして これからも 君と−eternal love−




「シャマル」


八神家の玄関で、ブーツを履こうとしていた私の背に、シグナムの声が掛かった。


「あ、シグナム。ごめんなさい、今日のお夕食、冷蔵庫に入っているから、皆で食べておいて」

「ああ、すまないな」

「家事は私の担当よ。気にしないで」

「そうだな」


苦笑を浮かべたシグナム。まぁ、確かに最初の頃は家事担当なんておこがましかったけれど、
あれから随分頑張ったんですからね。

視線に篭めた物に気がついたのか、シグナムは更に苦笑を深くし、“落ち着け”と言う風に両手を挙げた。


「何も揶揄したわけではない。そう怒るな」

「怒ってなんかいません(プイッ)」

「怒っているじゃないか」

「怒ってません」

「じゃあ、拗ねているだけか」

「拗ねてもいません!」

「あまり膨れるな。あやつに逢った時に化粧が崩れていたら目も当てられまい?」

「な、そ、そんなに濃いお化粧なんてしてません!」

「冗談だ冗談。まったくお前は…」

「んも〜〜〜」


この頃のシグナムは、私のことをからかってばかり。“まったく”なんて、こっちの台詞よ。


「シャマル」

「何?シグナム」

「今、幸せか?」


僅かに笑みを浮かべて問い掛けてきたシグナム。私は彼女に向かって


「ええ、とても」


と、最高の笑みを返して上げた。


「そうか。なら存分に甘えて来い」

「言われなくてもそうしま〜す」


履き終わったブーツの具合を確かめ、玄関のドアを開ける。


「いってきま〜す」

「ああ、ゆっくりしてこい」


シグナムの声を聞きながら、私は風の吹きすさぶ秋空を、『彼』の元へと歩き出した。


*          *          *          *          *


待ち合わせ場所に私が着いた時、『彼』は既にそこで待っていてくれた。それは、
別に、今回だけのことじゃないけど。

急な仕事が入って、デートそのものがご破算になった時以外、『彼』は、
常に先に来て待っていてくれる。

但し、先に来て待っている『彼』の前には、大抵お邪魔虫が湧いているのだ。


「ねね、友達も呼ぶからさ。一緒に行こうよ〜」

「すまない。先ほど言った通り、人と待ち合わせしているんだ。誘いを受けるわけにはいかない」

「え〜〜?すっぽかしちゃいなよ、そんな約束。絶対あたしらと遊ぶ方が楽しいって」


好き勝手な事をほざく『虫』に、一瞬コメカミが引きつるのを自覚した。

間に割って入って、さっさと『虫』を排除しようと歩みを速めた時、『彼』がキッパリと言い切った。


「これから逢う人は、僕にとって一番大切な人だから。彼女を傷つけるような行為は絶対にしない」


思わず脚が止まる。急激に顔が赤くなるのを自覚して、思わず周りを見渡してしまった。
な、なんだって『彼』はああいう台詞を真顔でポンポン吐けるのかしら?

『彼』にコナを掛けていた女の子は、一瞬ポカ〜ンとした後、一転して大爆笑し始めたわ。


「あはははははは!お、お兄さん、今時ドラマでもそんなクサイ台詞聞かないよ〜。あはははは!」

「いや、至って真面目に言ったつもりだったんだが」

「だ、だからそんな事を真面目に逆ナンしてる私にいう?!ありえないってば!あははははは♪」


『彼』は憮然とした様子で腕を組んで、女の子から視線を逸らしている。

まぁ、大爆笑も仕方ないかもしれないわね。まさかあんなに大真面目に応えるとは思わないものね。


「あ〜可笑しかった♪じゃ、お兄さん、そのラヴい彼女さんに宜しくね〜w」

「あのな…」


爆笑状態から抜け出した女の子は、悪戯っぽく『キシシ』と笑うと、そのまま人込みに紛れていった。

残された『彼』は、納得がいかなげに疲れた様子で女の子が消えていった雑踏を見ている。


「ふぅ、なんだって毎回毎回ああいうのに絡まれるのだか」

「隙があるからじゃないですか?」

「…酷いな、観ていたなら助けてくれればいいものを」

「私が来たときには、もう終わりかけてましたから♪」

「本当か?毎回聞くぞ、その台詞」

「なら、毎回絡まれないように注意するべきだと思うけれど?」

「…悪かった、そう虐めないでくれ、シャマル」

「あら、虐めてなんていないのに。唯の事実を指摘しただけよ♪『クロノ』」


『理不尽だ』といった表情で私を見つめる『彼』−時空管理局 L級次元航行艦【アースラ】艦長
クロノ・ハラオウン提督−は、とても可愛く見えた。


*          *          *          *          *


カフェテラスで軽くお茶をしたあと、銀杏並木を腕を組んで歩く

彼は相変わらずの黒尽くめで、コートもマフラーも真っ黒。

マフラーの半分は、私の首に巻かれているけれど。

チラリと彼の顔を『見上げる』 そう、出会った頃は本当に少年で……私の主と左程変わらなかった
身長が、今は見上げなければいけない高さまで伸びている。


「どうした?僕の顔に何かついているか?」

「いえいえ。出会った頃は、あんなに可愛らしかった執務官さんが、今ではこんな逞しい提督さんに
なったんだなぁと、感慨に耽っていただけ」

「そうだな。少なくともシャマルを抱きしめるのに不足しない程度の体格になれたのは行幸だな」

「あら、あの頃の身長のままなら、私の胸に顔を埋められたのに」

「それは惜しい事をしたな」


悪戯っぽく答えを返すクロノ。まったく、最初の頃は直ぐに真っ赤になっていたのに。


「鍛えられたものでね。誰かさんに」

「誰の事かしらね?」

「さぁ?金髪で柔らかくていい匂いのする、僕の隣にいる女性じゃないかな?」

「…本当にキザになっちゃったわね、クロノ」

「心外だな」


足を止め、スッと顔を寄せるクロノに、私も瞳を閉じて答える


「…ん」


軽く触れた彼の唇のざらついた感触に、僅かに心臓が跳ねた。


「…最初のキス、覚えてます?」

「ああ。忘れるわけが無い」



二人が結ばれた後にも、障害は多くあった


『しょせんはプログラム風情じゃないか』

『そんなものに関わって、将来を棒に振るのかね。まったく、何を考えているのやら』

『いいか?人の形をしていようが、そいつらは【違う】んだ。お前はそれでも…』


誹謗・中傷・無理解。だが、それでも


『護ります…僕が彼女を愛しているという事を、貴方々にとやかく言われる筋合いはありません』
『プログラム?だからどうした。【違う】?取るに足らない。将来?シャマルが僕の隣りに居ない
将来なんて願い下げだ!』


彼は彼女を選んだ。



「あの時のことを思い出すと、さすがに恥ずかしいな」

「後悔…していますか?」

「まさか。あそこで君を失う事があったら、それこそ後悔の海で溺れていたさ」

「本当にキザです」

「誰かの教育がいいからな」


再び重なる唇の暖かさを、背中に廻されたクロノの腕の力強さを感じながら、私の瞳から、
一粒だけ涙が零れた。


「私…クロノと出会えて……幸せ」

「僕もだ、シャマル」



深まる秋を超え、『私達』は、初めての冬を迎える。


彼に溺れた私の魂は、もう凍える事は無い。私の全ては、彼と主の為に存在しているんだと、
そう思える私が誇らしい。



ありがとう、クロノ








………ナンダコレハ??(0w0;)少なくとも、俺んちのシャ○じゃねぇ?!どこのが紛れ込んだ!?
はい、コンさんが『デレ期がうんぬん』いってたので書いてみたよ!(0w0)ノ よくわかんないのが出来たが!






“今日のお題:月夜ノ猫(副題:Tenporary Episode-X02)”



「姉様ぁ〜、8ページ目書きあがった〜('ー'*)」

「じゃ、次はコッチのにベタ入れお願い」

「らじゃ!('◇')ゞ」


夕日が赤く燃える時刻に、とある一室で怪しいやり取りをする女性と少女。

室内を『カリカリ』というペンの走る音と、スクリーントーンを削る音が満たす。

暫くすると、女性がペンを置き、『ん〜〜〜』っと、大きく伸びをする。


「よし。今日のノルマ終了♪シュベルツ、そっちはどう?」

「も終わる〜(・▽・)………おわった〜♪(^○^)」


シュベルツは、トーンの削りカスを頬につけたまま、万歳をして椅子を クルッ と回転させ、
クラールに向き直った。


「ご苦労様。この調子なら、二週間後の締め切りまで余裕ね♪」

「そだね♪今回は楽に行けそうだも(‘ ▽‘ )ノ」


描きものを順調にこなせている為、落ち着いて会話する両者。
前回は大変だったのか、言葉に安堵感が滲み出ている。


「そうねぇ…徹夜ってやらないにこした事ないから……はぁ(溜息)」

「姉様、大学の授業中で寝てたって言ってたもんね」

「最後はサボったわ!」

「姉様……( ; _ ; )」


ロクデモない事を堂々と言い切るクラール。黙っていれば『艶やかな黒髪の美人』で通るのだが、
椅子に片足を乗せてガッツポーズを取るその姿。何もかも台無しである。


「ま、今回はそんなことにはならないでしょ♪」

「み♪」


腐れ師弟(姉妹か?)が、先行きの明るさに安堵していると、机に置かれた時計が『ピピピッ』と
アラームを鳴らした。


「あ、そろそろデュラっちが帰ってくる時間 ( ・_・)」

「あら?この間のリベンジするの?」

「みぅぅ……ご、ご飯は…まだ無理ぃぃ(;△;)」

「あらあら」


シュベルツの『美味しい夕食大作戦』は、
第一次が【焦土作戦(真っ黒こげ)】
第二次が【ナパーム炸裂(フライパンファイアー!いわゆる「小火」寸前)】
第三次が【大惨事(デュランダル宅の調理器具壊滅)】
という輝かしい戦歴の為、デュランダルから

『お前は夕食を作りに来たのか?それとも危険物を生成しに来たのか?どっちだ?』

との褒め言葉を頂き、第四次作戦の発動を却下されているのである。


「みぃぃ…頑張ってるのに、何でああなっちゃうのかな(;_;)」

「ま、まぁ、大丈夫よ。そのうちに巧くなるから。ほら、レイジングハートに料理習っているのよね?」

「レイハお姉ちゃん…『まずは包丁の扱い方からキッチリしないと!』っていって、皮むきと千切りの
練習しかさせてくれないも」

「…何時から習い始めていたかしら?」

「み?二週間前(・◇・ )」

「……(レイジングハートが厳しいのか、それともこの娘がどんくさいのか、判断に困るわね(;- .-))」

「デュラっちを見返す為の道程……遠いよぅ(TロT)」


『どよ〜〜ん』縦線と暗雲を背負い、落ち込むシュベルツ。


「…シュベルツ」

「何?姉様?」

「デュランダルに好印象を与えたいのよね?」

「み、みぃぃ(〃_ 〃)(コクリ)」


明け透けなクラールの発言に、赤くなりながらも頷くシュベルツ。

そんなシュベルツに微笑みかけながら、クラールは机の下に置いてあったダンボールを引っ張り出した。


「?姉様、それ何?」

「ん?うふふふふ、い・い・モ・ノ♪」


『ニヤリ』とした笑みを顔に貼り付けながら、クラールはダンボールを開封した。


*          *          *          *          *          *


「ふぅ、何だかなぁ」


憮然とした表情でブツブツと呟きながら、家路に着くデュランダル。


「『すまん、今日は用事がある』つって帰ったと思えば、レイハお嬢と買い物かい、
バルの旦那………。お嬢のメシ、美味いからなぁ…はぁ、羨まし(溜息)」


我が身を省みる…
三度に渡る大破壊。
失った戦友達(注:調理器具)。
未だに燻る戦の残り火(注:焦げ臭い部屋)


「…実は、俺って不幸なんじゃね?(;-_-) =3」


思い出すだけで腰砕けになりそうな現実に、溜息一つ。

ゲンナリとしながら、到着した我が家のカギを開ける

ガチャカチャ  ガツッ

「んあ?…開いてる?」


確かに締めたはずだと、今朝の自分を思い出すデュラン。
その記憶には間違いはなかった。と、いうことは……


「第四次大戦勃発か?ヲイ……勘弁してくれよ」


『中に居たら、ぜってぇシメる』と決意をし、扉を開け…



ガチャッ!


「にゃ〜〜ん♪」



バタンッ!



即座に閉めた!


「…………………今の、何?」


扉を開けたデュランダルの視界に映ったもの。それは…


「………シュベルツ…だったよな……多分」


何かが違う。いや、明らかに余分なものが増えていたような…

ゴクリ と唾を飲み込み、覚悟を決めて


ガチャッ キ〜〜〜



恐る恐る扉を開けた先には


「フゥゥゥゥゥゥゥ!!(チリンチリン)」


肢体は黒のレオタード、肉球手袋×4を付け、
銀髪に、チョコンと小ぶりな黒ミミ乗せて、
シッポをピン!と逆立てて、首輪に付けた鈴を鳴らして、
膨れっ面でデュランを睨む、猫シュベルツが

「デュラっち酷い(’へ’#)!」

と鳴いていた!


「見た瞬間に扉閉めるなんて、失礼だも!」

「………………」


玄関先で固まっているデュランに、チリンチリンと鈴を鳴らして詰め寄るシュベルツ。

声が届いているのか居ないのか、身動き一つしないデュランに、構わず文句を連呼する。


「せっかく姉様から貰った可愛い衣裳なのに、それに対して何も無いも?!」
「この肉球手袋だって、ちゃんとプ二プ二や〜らかいんだよ?!」
「耳だってこう『ピクピク』って動くんだよ?ほら(ピクピク)」

「……………」


それでも反応の無いデュランに、さすがにシュベルツも「?」となって来た。


「み?デュラっち?…デュラっち〜〜〜?(プ二プ二)」


シュベルツが肉球手袋でデュランの頬をプ二プ二突付くと、デュランダルは、
ガックリと玄関先に四つんばいで崩れ落ちた。


「みぃぃぃ?!デュ、デュラっち!?大丈夫??」

「………あ…」

「『あ』?」

「あの腐れ院生ぃぃぃ!人の女になんて格好させやがるぅぅ!」

「え、あ、あの、でゅらっち?(ぽふん)」

「これはアレか?俺に対する挑戦か何かか?……ふ、ふふふふふ…だったら受けて立とうじゃねぇか…
明日から、レヴィの旦那にある事無い事吹き込んでやる…素面で前に立てなくしてやらぁ……」

「あ、あの、その、でゅ、でゅらっち?『人の女』って……うにゅう(〃v〃)(オーバーフロー継続)」

「ばっ!?ちがっ?!……あ、いや、あ〜、なんつ〜か、そのな…6(;"ー )ポリポリ」


照れくさそうに頬を掻くデュランと、顔を真紅に染めて床にペタンと腰を落したシュベルツは、
暫くの間、その体勢で固まっていた。


*          *          *          *          *          *


「んで、何時までそのままでいる気だ、お前は」

「み?だってこれ可愛いんだも」

「あのな…」


ゲンナリとしながら、カップの紅茶を飲む。

デュランが横目にシュベルツを見ると、彼女はホントの猫張りに、ピチャピチャと牛乳を舐めていた。

紅茶を出そうとしたデュランを、シュベルツが『今日はネコさんだからミルク♪』といって石化させた一幕もあったが
何とか再起動は出来たようだ。


「しっかし、あの女。やっかいだとは思っていたが、まさかこんなモンまで持ってやがるとはな…」

「えへへ〜♪か〜いい?か〜いい?」


肉球手袋を嵌めたまま、『ゴロニャン♪』とポーズを取るシュベルツ。

それを眺めるデュランダルの目には『諦観』と『自制』の二文字が踊っていた。


「はいはい、か〜いいか〜いい (-。-;)」

「みぃぃぃ!心が篭ってないぃ!(’へ’)」

「お前な…(ー_ー;)」


不満げに頬を膨らますシュベルツ。そのシッポは、如何なる技術か彼女の感情と連動してクニクニ動き、
今は、ゆらゆらと空を蠢く。


「なにで出来てんだ、それ…」

「み?よくわかんない。お尻にくっ付けてるけど、ホントのシッポが生えたみたいで変な感じする」

「へぇ…」


デュランダルの質問に、肉球手袋を頬に当て、耳をピクピクとさせながら考えるシュベルツ。

ソファクッションの上で丸くなる姿は、本当に猫のようで…。

デュランダルは、『内なる何か』がガリガリと削り取られていくのを感じていた。


「…これが狙いか、あの女(ボソッ)」

「ふみ?デュラっち、何か言った?」

「いや、なにも」

「みゃう?」


猫っぽさが言葉まで侵食し始めたのか、極自然にネコ口調になってきたシュベルツ。

ソファの上で、背を逸らせて伸びをしたり、手袋の甲側で顔を撫でたり……


“あ…こりゃ駄目だわ…”


椅子に座り天井を見つめながら、デュランダルは『内なる何か』が削られきったのを自覚した。

それは俗に『理性』又は『自制心』といわれる類の物。


「シュベルツ」

「みゃ?なに?デュラっち」


残っていたミルクを舐め取り、デュランダルを見上げるシュベルツ。

口の端に僅かに残るミルクを

デュランは己の舌でゆっくりと舐め取った。


「でゅ、でゅらっち?」

「ん?どうした?シュベルツ」

「ど、どうしたじゃなくて、ひゃん?!」


背に廻されたデュランの右手が、シュベルツのシッポを付け根から「スイッ」っと撫でさする。


「はっ、んんん、みゃぁぁあ」

「へぇ、ホントに感触があるんだな、これ」

「にゃぅぅぅ、く、くすぐったいよぉ」

「ほらほら(スリスリ)」

「ふみぃぃぃぃぃ!?」


付け根から先端へ向かい幾度もさするデュランダル

何とか止めようとするシュベルツだが、デュランに抱えられたような体制では、身じろぐ程度が
限界で、彼の手が踊るたびに、背筋を走る感覚に声を上げるしか出来なかった。


「あ…んは…ふぅっぅぅ…にゃぅぅ…」

「さわり心地いいよな、これ」

「ふぁ、ひゃん!に、握っちゃだめぇぇ、ふぁああん!」


段々と声に艶を佩び、喘ぎ始めたシュベルツの口を、不意にデュランの唇が塞ぐ


「ん!?んん〜〜〜!」


抵抗しようとするシュベルツだが、あっという間に割り入れられたデュランの舌が踊る度に、
手足の力が抜けていく。

シッポを摩るのとは逆の手は、ネコミミとシュベルツの耳を弄くり、うなじから頤までを撫で上げる。


「ふゅあ、ふゃぁぁぁん!」


じゅる  ちゅく にちゅ


舌が音を立てて吸われ、奥までも執拗に嬲られる。

全身が痺れ、心臓の音がやけに耳奥に響く。

何時の間にか開放された唇が、空気を求めて開くが、そこから上がるのは艶を佩びた嬌声でしかなく。

顎に伝った唾液の跡を追いながら、鎖骨から胸元へと降りていくデュランの舌を感じ、肢体が又震えた。


「でゅ、でゅらっちぃ、だめだよぉ」

「…おかしいな?今日、ここにいるのはネコじゃなかったか?ん?」

「そ、それわぁ…」

「ネコならどうするのかわかるよな?(カプッ」

「みゃぁああああああ!」


デュランが唇を歪め、先端を口に含み甘噛みすると、シュベルツは真っ赤な顔をしながら、いわれた通りに鳴く。


「ほら、ネコちゃんはどこが気持ちいい?」

「だめぇ、どことか、わかんないよぅ」

「また人様の言葉をしゃべって…物覚えの悪いネコだ(グイッ」

「あはっ!?にゃ、にゃぁぁぁ!そこはだめだにゃぁぁぁ!?」


何時の間にか下まで降りていたデュランの手が蠢くたびに、シュベルツの声が高くなっていく。

蕩けた表情を貼り付け、にゃぁにゃぁと鳴かされるシュベルツ。

自分がどうしていたのかも、霞みがかった頭では解らない。

ただ、各所から脳裏へと駆け上がる快感が全てを占めて……。


「さて、いやらしい黒猫ちゃんは、この後どうしましょうかね?」

「ひゃぁ、んにゃああ、にゃぁぁ、ふにゃぁあ」

「答えは?(チュク)」

「あはぁあ!も、だめぇ、苦しいよぅ…デュラっちぃ、助けてぇ……」

「ふん、じゃ『助けて』あげましょうかね(グイ」

「んく…あ、あああああ、ふにゃぁぁぁぁあぁぁ!」


*          *          *          *          *          *


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!」


背を反り返し、感極まった声を上げた後、デュランの胸元に崩れ落ちるシュベルツ。

荒い呼吸を繰り返しヒクつく彼女の肢体を、デュランは優しげに擁き、背を撫でさする。

あの後は、それこそ獣のように求め合ってしまった二人だが、その激情もようやく去ったようだった。


「ふぅ…結局、ネコスーツもヤバイ事になっちまったなぁ…弁償しろって言われ無ぇかな、これ」


シュベルツの肢体を僅かに覆う『レオタードだったもの』を見やり、僅かに顔を顰める。


「はぁ、んはぁ、ふぁ……だ、だいじょう、ぶ、んくっ、だと、おもうぅ」

「『戻って』来たか。大丈夫か?」

「ん、だいじょう、ぶ…まだ肢体、しびれてる、っけど…ん(ピクン」

「そか……」

「この服、姉様が『あげるわ♪』って、んぁ…いってくれたから」

「なら、いいか(…あとで何いわれるか解んねぇけどな。覚悟はしとくか)」


シュベルツを擁いたまま、デュランダルはクラールへの防衛策に頭を悩ませていた。




その後、クラールの本に、何処かの氷結の杖を連想させるキャラクターと何処かの雷神の矛を思わせる
キャラクターが登場したが、それについてデュランダルが抗議することは無かったいう。


「…ネコ(ぽつり)」

「何も文句つけて無ぇだろうが!(-_-;)」

「うふふふふ♪次はどんなのがいいのかしら?」

「知らん!」

「我慢は身体に悪いわよ?」

「五月蝿ぇよ!Σ( ̄△ ̄;)」






シュベルツは猫っぽい←誰かさんのこの台詞が全てです、ええ。
この一言がなければ、こんなの書きませんでしたとも♪
さて、今日も一発逝っときますか!
『全てはコンさんのせいだ!』Σm9(0w0)ズッドォォォォォォン!)






“今日のお題:夢想華(副題:泡沫の夢・紡ぎし世界/Temporary Episode-03)”



トットットットッ♪


中等部の廊下を軽やかに駆けて行く少女が居る。

『廊下では 走らず 騒がず 慌てずに』

掲示板に張られているこの標語に、真っ向勝負を挑んでいるものの、
故意に無視しているわけではない。

そんな標語よりも大事なものが、今の少女にはあるのだ。


「バルディッシュ、そろそろ部活が終わったでしょうか」


想い人の事を呟きながら、その少女−レイジングハート−は、可愛らしくラッピングされた、
手作りクッキーを胸元に抱きながらひた走る。


「今日のクッキーは良く出来ました…喜んでくれると良いのですけれど……」


甘いものはさほど好きではないという、彼の好みに合わせてみた自信作。
僅かに頬を緩ませるバルディッシュの姿を思い描いて、ほんのり頬を染めるレイジングハート。
淡い笑みを浮かべるその姿は、年下好き疑惑のある某少年執務官が
速攻で堕ちてもおかしくはない破壊力があった。


高等部へと続く連絡通路を渡り、そのまま彼が居るであろう練武場へと脚を早める。

柔・剣道部や、格闘系の部活が行われる練武場の設備の良さは、
広さといい各部の器具の充実具合といい、かなりのものがある。

バルディッシュの所属しているのは、『格闘技研究会』という同好会ではあるが、
彼は、他の部活に助っ人に借り出される事もあるような運動神経を誇っている為、
各部活より幾度も勧誘されている。
しかし、バルディュシュは『固有の部活には、あまり興味がない』と言って、悉く袖にしていたりする。


「今日はレヴィさんも来て居ないですし、時間通りに終わる筈です」


剣道部に所属しているレヴァンティン。彼とバルディッシュは、所謂『ライバル』な関係で、
しょっちゅう各種バトルを繰り広げている。時に剣道、時に格闘。
『お前、剣道部だろう?』というツッコミが入って居たのは、極初期の間だけで、
今はバトルを楽しんで見ている奴らが大半だ。

加熱しすぎて怪我が絶えないのは、レイジングハートも心配しているところではあるが、
真剣に対決しているバルディッシュは格好いいので、見ていたいのも本音だったりする。

乙女心は複雑であった。


練武場に近づいたレイハの瞳に、目標のバルディッシュが映る。

さあ、たーげっと ろっくおん♪ 今日のみさいるは『手作りクッキー』だ!


「バルディッ…


彼に『しがみついて』いるクラールヴィントを発見 緊急回避!

身を隠し索敵に専念せよ!


「(え?え?なんで??なんでクラールさんがバルディッシュに『抱かれてるの』??)」


練武場に続く渡り廊下の影に、素早く身を隠すレイハ。

パニックを起こした頭は先ほどのショッキング映像をリピート再生中!

そんな彼女の耳に、彼ら−バルディッシュとクラールヴィント−の会話が流れ込んできた。


「…なのだからな」

「悪いわね。私もまさかこうなるとは思いもしなかったもの」

『(え?こうなるって、なに?』

「それはお互い様だ」

「そうね」

『(なんでそんなに楽しそうに会話しているんですか、バルディッシュ…)』

「それはそうと……大きいな。一体どうしたのだ、あれは」

「まぁ、ちょっとね。でも、アレだと肩がこってこって…シュベルツじゃ無理だしね」

『…肩がこるほどおっきい…シュベルツちゃんじゃ無理って…それって……胸?胸なの?
(じっと自分のを見下ろす)……おっきくないと……駄目なんですか、バルディッシュ……』


彼らが廊下の先に消えた後も、レイジングハートは地面にへたり込んだまま、動かない、
いや、動けなかった。

地面に転がり、泥で斑になったクッキーの包みが、今のレイジングハートの心そのもののようで……


長い間俯いていたレイジングハートは、よろよろと身を起こすと、落したクッキーの包みを拾い上げた。

悲しげに顔を歪ませ、おぼつかない足取りで帰宅の途につく彼女の心を映したように、
空は暗く曇っていった。


*          *          *          *          *          *


「でね、レイハお姉ちゃん、昨日から元気が無いんだも」

「あ?昨日はあんだけ『幸せ一杯です〜♪』オーラを振りまいてたじゃねえか…何があった?」

「みぃぃ、よくわかんない…一昨日は『クッキーつくるの♪』ってニコニコしてたんだも」


昼休みの屋上で、弁当をパクつきながら、レイハの様子を語るデュランダル&シュベルトクロイツ。

此処最近、レイハに料理を習っている(というか基礎特訓)シュベルツが、彼女の部屋を訪ねた所、
この世の終わりを見たといわんばかりのオーラを噴出し、
机に轟沈しているレイジングハートを発見した。

心配するシュベルツを他所に、彼女は『約束だものね』と料理特訓を始めた………が、


さくっと野菜と指を切る

ジュワっと鍋と壁焦がす

塩と砂糖も間違える

もうボロボロであった


「あんなレイハお姉ちゃん、初めて見たも」

「(…ちいっとばかし、見てみたかったかもしれん)」

「デュラっち?へんな事考えなかった?」

「いや、別に?」


そら恍けるデュランダルをジト目で見た後、シュベルツは溜息を吐いた。


「どしたらいいとおもう?」

「元気付けるにどうすっかってか?」

「みぅ」


こっくり頷くシュベルツに、デュランダルは


「んな事は原因にやらせりゃいいんだよ」

「み?原因?」

「レイハ嬢がそんなボロボロになる原因なんぞ、バルの旦那関連に決まってんだろ」


*          *          *          *          *          *


「つ〜わけだ。頑張れ旦那」

「頑張れも何も、思い当たる節なぞ無いぞ?」


肩を叩きながら爽やかに告げるデュランダルに、怪訝な顔をして答えるバルディッシュ。

放課後になった途端、いきなり


『レイハ嬢が落ち込んでる。多分旦那が原因だから』


とデュランダルに言われたが、バルディュシュには、まったく身に覚えが無い。


「第一、昨日から我も彼女に逢っていないのだが…」

「まぁ、逢っていなくても何かしら有ったんだろ。捕まえて話してみろや」

「そうはいうがな…」


怪訝な表情を浮かべたままのバルディッシュ。

デュランダルは彼の正面に廻ると、両肩を『ガシッ!』と掴んだ。


「でゅ、デュランダル?」

「旦那ぁ……レイハ嬢に立ち直ってもらわないとなァ……家で第四次大戦が勃発する危険度が
上がるんだよ……だから……つべこべ言わずに、ど・う・に・か・し・て・く・れ(ギリギリギリ)」

「ぐぉ!?わ、わかった、わかったから手を離せデュランダル!か、肩が潰れる!」


『すごくイイ』笑顔を浮かべたまま、渾身の力で肩を握ってくるデュランダル。

ヤバさMaxのその姿に、バルディッシュは頷くしかなかった。


*          *          *          *          *          *


『世の中ってこんなに色の無い世界だったのだろうか』

レイジングハートの感じる世界は、昨日の出来事以降、非常に色あせた物になった気がした。

話し掛けてくる人の声も、音としか認識出来ない。

今見ているものも、全然脳裏に記録されない。

想う事は昨日の出来事だけ。思い出したくないのに、繰り返し繰り返し思い返してしまう。


『大きいほうがいい』

『こんな関係になるとは』


思い出すことはこれらのことだけ。

だが、実際に言っていた事とは違うという事に、今の彼女は気がつかない。

不安が想像を呼び、想像が不安を煽る悪循環。

やっぱり自分のような『チガウモノ』は、彼と一緒にいてはいけないのだろうか。

小柄な自分では彼を満足させて上げられないんだろうか。

グルグルと巡る思考の迷路に嵌まり込んだ彼女は、下校のチャイムがなっても気がつかなかった。


「……帰らなきゃ」


夕焼けが、茜色に教室を染め上げる中、よろよろとカバンを手に取り歩き出す。

自分の他には誰も居ない廊下を、トボトボと俯きながら歩いていく。

昇降口まであと少しとなったところで


「レイジングハート」


一番聞きたくて一番聞きたくない声が聞こえた


「!?(ダッ!)」

「レイジングハート!?」


彼の声が聞こえた瞬間、身体は踵を返して走り出していた。

一歩でも彼から遠ざかろうと。


「まて!レイジングハート!」

「いやです!待ちません!」

「っ!?どうしたというのだ、いったい!」

「バルディッシュには関係ありません!」


違う、こんな事が言いたんじゃない。

なんでクラールヴィントと抱き合っていたんですか

なんで彼女を選んだのですか

なんで小さいと駄目なんですか

なんで私じゃ駄目なんですか

駄目だ、聞けるわけが無い


「こないで下さい!」

「何故だ!?」

「どうしてもです!」

「理由を言ってくれ!」

「いえません!」

「言ってくれねばわからん!」

「いいたくありません!」

「ええい!どうしろというのだ!?」


廊下を駆ける両者の足音以外は、お互いの言い合う声のみが響く。


「我が何かしたのか!?」

「っっ!自分の胸に聞いてください!」

「何をだ!?」

「知りません!」


埒があかない。

どうしようかと途方にくれながら追いかけるバルディッシュの頬に、【ピチャン】と水滴が弾けた。


『なんだこれは?……ッ?!』


ハッ、となり、前を見たバルディッシュの眼には、レイハの瞳からとめどなく零れる涙が映った。


「(レイジングハート……)」

「っヒ…ンクッ……」


走る速度を緩めないまま、嗚咽を漏らし、涙を溢れさせるレイジングハートの姿に、
バルディッシュの胸の奥が『ギシリ』と軋んだ。


「…うぉぉぉぉおおおお!」


バルデイッシュは、弾け飛ぶように加速すると、レイジングハートの腕を掴み、強引に自分へと引き寄せた!


「!?ば、バルディッシュ!は、離してください!」

「レイジングハート…」


己の腕から逃れようともがくレイジングハートを、バルディッシュは


思い切り抱きしめた


「…レイジングハート」

「……ばる……でぃっ…しゅ?」

「…我にはお前が何故怒っているのか解らない」

「…………」

「…だが……お前に泣かれているのは…辛い」

「!」

「頼む……泣かないでくれ」

「ばる…でぃっしゅ……」


茜色の光を浴びて、長く伸びた二つの影は、一つになって長い間そのまま佇んでいた。


*          *          *          *          *          *


「改めて聞こう…なにが有ったのだ?」

「…それは……その」


あれから暫くして、レイジングハートが落ち着いたと見たバルディッシュは、休憩所で改めて話を
聞こうとしていた。


「我が何かしたのか?もし、お前が不快になるような事をしてしまっていたなら謝る。
だから話してくれ」

「……」

「レイジングハート」


優しく、労わるように名前を呼ぶバルディッシュの声に、レイジングハートは、
震えながら声を絞り出した。


「昨日……クラールさんと抱き合っていました…」

「………は??」

「『は??』じゃないです!練武場の入り口で!抱き合っていたじゃありませんか!」


涙目で訴えたレイジングハート。

だが、その内容に、バルディッシュの頭は完全にフリーズした。


「……レイジングハート」

「なんですか!?」

「もう一度聞きなおしてよいか?誰が誰とどうしていたと?」

「ぅぅぅぅううううう!?バルディッシュと!クラールさんが抱き合っていたんです〜〜〜〜(グスッ」

「……れいじんぐはーとよ……我は、脚を痛めた彼女に肩を貸していただけなのだが」

「そんな嘘は通用しませ……へ?」

「あの時はだな…」


『クラールヴィントよ、だからもう少し離れて見学するようにと言っておいたではないか』

『いたたたたた…実際に動いている所を良く撮らないとと思って油断したわ』

『まったく…レヴァンティンが居る時にでも、改めれば良いだろうに』

『ま、まぁ、それはこっちにも色々と事情があるのよ♪』

『(溜息)まあいい、それより保健室まで送るぞ』

『ありがと♪』


「と、いうわけなのだが」

「え、あの、じゃあ、重たいとかいうのは…」

「どこから持ってきたのかしらんが、本格的な撮影機材だ。あのカメラを構えるだけでも、
シュベルツ辺りには辛かろうよ」

「…胸の大きさじゃなかった…ホッ((´ー`)=3」

「ん?何の大きさだと?」

「な、なんでもないですなんでも、ええ、なんでもないんです聞かないで下さい(真っ赤)」

「そ、そうか(汗」

「(……じゃぁなに?殆ど全部、私の勘違いですか?……うううう、私のばか〜〜〜(。>_<。))」


真っ赤になって苦悩しているレイジングハートを見て、バルディッシュは『やれやれ』と苦笑を
浮かべるしかなかった。


「レイジングハート…」

「ひゃ?!ひゃい!?ば、ばるでぃっしゅ。な、なんですか?」

「ふぅ……ここまで我に心配させただから、謝り言の一つも欲しいのだが?」

「あ、その、えと、ですね(真っ赤」

「ふむ…では、美味い夕食を食べさせてもらう事で手打ちにしよう。どうかな?」

「!は、はい!是非それで!が、頑張って今までで一番のお夕食を作って見せます!」

「そうか、期待している」

「はい!」


涙の跡を残しながらも、満面の笑みを浮かべるレイジングハート。

バルディュシュは、自分の胸の奥に生まれた痛みが、彼女の笑顔で霧散していくのを感じていた。


「で、では、これから買出しいってきます!バルディュシュは御家で待っていてください!」

「いや、我も付き合おう」

「え、で、でも」

「いっただろう?お前のことは護ると。まだこの間の連中が来ないとも限らんのだからな」

「は、はい♪」


頬を染め、幸せそうに微笑むレイジングハートに、バルディュシュも笑みを誘われる。


「では、急ぎましょう♪、きゃ?!(o_ _;)o (ポテッ」

「だ、大丈夫か!レイジングハー……ト?」

「い、いたたた…だ、大丈夫です、バルディッシュ………バルディッシュ?」

張り切りすぎたレイハが転び、それを助け起こそうとしたバルデイッシュだったが、
なぜか途中で動きが止まる。

そんな彼を不思議そうに見つめるレイジングハートだったが、不意にバルディッシュが
凄い勢いで後ろを向く!

「?バルディッシュ…?」

「み、見ていないぞ!我は何も見ていないから安心しろレイジングハート!」

「安心?…一体、何を見ていないと言って……い……い、いいいいいいやぁあああああ?!(瞬間沸騰)」


転んだレイジングハート。その彼女の制服はまくれ上がり、スカートの下に隠されているべき
白い眩い太ももと、その上部に位置する部分を覆い隠す純白の何かが、バルディッシュの眼前に
飛び出してしまったのだった。


「ふ、ふぇ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!ばるでいっしゅのばか〜〜〜〜〜(泣)」

「いや、そのな、ふ、不可抗力でそのな……すまん、謝る、許してくれ」

「ふえ〜〜〜〜〜ん(泣)」

「れ、レイジングハートぉぉ(汗)」



その後、レイハが機嫌を直すまで、啄木鳥のように頭を下げ続けるバルの姿があったという。





「ねぇ、あれも『雨降って地固まる』ってやつだも?」

「多分そうだろ。どこまで固まったかは知らねけどな」

「みぃ♪これでまたお料理教えてもらえそうだも♪」

「(ああ、それは切実だ。頼むぜ、ご両人)」

「デュラっち、期待

「しないで待ってる。うん」

「みぃぃぃぃ!?絶対見返してやるも〜〜〜!」





 にゅーさんリクエストのレイバル話(擬人化デバ学園Ver)をお送りしました。
ん〜、突貫作業で細部が荒いなぁ(汗)






“今日のお題:シャマルさんSSS その2”



初夏の日差しに照らされた水面がキラキラと輝く。

クラナガンの郊外、湖に面した別荘地にあるログハウスの一つ。

その一室へと優しくそよいだ風が、白いレースのカーテンを柔らかく波立たせる。

木々を抜けて部屋へと差し込む朝日が、ベットに横たわる部屋の主の姿を浮き立たせた。


僅かに寝乱れた金の髪

白く抜けるような肌

シーツを押し上げる 柔らかそうな双つの膨らみ

滑らかなラインを描き シーツよりまろび出る脚

スウスウと穏やかな寝息を立てている唇は 淡い桜色を保つ

その女性は 優しげな微笑を浮かべて夢の世界に たゆたっていた


カチャ


眠っている彼女に配慮したのだろう、かなり音を抑えて部屋のドアが開かれた。

しかし、僅かに部屋に響いたその音に反応し、女性の眉が僅かに動くと、
続いて薄っすらと瞼が開かれる。


「すまない、起こしてしまったか」

「…ん……おはよぅ、クロノ…」

「おはよう、シャマル」


その手にカップを二つ持ち、優しげに声をかけた青年−クロノ−に、ベットに横たわったまま、
顔だけを彼に向けて微笑みながら挨拶を返す女性−シャマル−。

クロノは持ってきたカップをサイドテーブルに乗せると、そのまま顔を寄せ、
ベットの上のシャマルと口付けを交わす。

シャマルも、幸せそうな微笑みを浮かべ、彼に口付けた。


「…コーヒーを入れてきた。飲むか?」

「…(ん〜〜) ええ、頂くわ」


唇を離し、サイドテーブルを指差すクロノに、シャマルは軽く伸びをしてから答えた。

何も身に付けていない肢体にシーツを撒きつけ、サイドテーブルに乗せられたカップを取る。


「…おいし……」

「そうか」


お互いを見つめ、微笑みあいながらコーヒーを味わう。



初夏の日差しが差し込む部屋を、柔らかな風が吹き抜けていった。




 微笑みと 約束を 貴方に −a genle promise−




湖畔を囲む路を一台のオープンカーが疾走してゆく

クロノは、ギヤを軽やかに叩き込み、銀の車体を加速させる。


「さて、今日はどうする?せっかくの君と一緒の長期休暇だ、日頃の疲れを癒す為にも、十分楽しまないとな」

「あら?『物静かに過ごしたい』とかいうと思っていたのだけれど?」

「まぁ、それも捨てがたいな。君がそうしたいのなら、僕は一向に構わないが?」


悪戯っぽく聞き返すクロノに、シャマルも恍けたように返す


「日頃の大騒ぎから離れて一日。それでもう物足りなくなったのかとばかり…。その辺りはどう?」

「ま、その大半が君の主の蒼天の小悪魔と白い破壊神達の御蔭だからな。彼女達から開放されたと思うだけで
僕は天に昇る程の開放感に包まれているぞ?」

「金色の雷神のお名前がありませんけど?」

「彼女は別に、な」

「艦長さんはシスコンですねぇ♪」

「失礼な。単なる事実としてだな…」

「はいはい♪そういうことにしておいてあげます♪」


クスクスと笑うシャマルを横目に、憮然とした表情になったクロノは、アクセルを強く踏み込んだ。


*          *          *          *          *          *


「あら…結婚式……」

「そうだな」


湖畔を走らせていた車から見えた小さな教会で、一組のカップルが友人たちの祝福を受けていた。

その光景を、どこか羨望のまなざしで見つめるシャマル。


「シャマルも着たいのか?」

「え?」

「どうだ?」

「そ、それは私も女ですから…着たく無いといったら嘘になるけど」

「…そうか」


突然のクロノの問いに、戸惑いながらも『ある期待』を僅かに滲ませ答えるシャマル。

だが、クロノはそっけない答えを返すだけで、運転を続けている。

そんな彼の態度に、シャマルは「ぷぅ〜」っと頬を膨らませ、プイッと横を向いてしまった。

彼女の様子を横目で見たクロノは僅かに苦笑を浮かべると、『ある場所』へ向かい車を加速させた。



*          *          *          *          *          *


「この辺りのお家は、湖に面しているのね」

「そうだな」


クロノが向かった先は、ここの別荘地でもクラナガンに程近い位置にある一角。

かなり大きな邸宅がちらほらと見受けられる場所であった。


「おっきなお家…どんな人が住んでいるのかしらね」

「近くで見てみるか?」

「え?」

「この先の道を左に折れれば、あの家の門まで行けるんだ」

「クロノ?」


とまどうシャマルの声を他所に、クロノはその路に車を乗り入れていった。

そのまま走らせると、直ぐに林が開け、その邸宅が目の前に現れた。


「どうだ?こういう家は」

「そうね、こんなに大きければ、はやてちゃん達も一緒に住めるし、なのはちゃん達が揃って来ても、
問題ないでしょうねぇ」


シャマルは関心したように邸宅を見つめながら答える。


「あら?ここ売り家なのね。看板にそう書いてあるわ」

「そうだな」

「どんな人が買うのかしらね」

「そうだな」

「……クロノ…なにかさっきからおかしいわ…」

「そうか?」

「そうよ」


怪訝そうに問うシャマルに、何処吹く風といったようなクロノ。

さらに問おうとしたシャマルに、ポケットから何かを取り出す。


「…鍵?」

「そう。せっかくだから中もじっくり見てみないか?」

「…クロノ?」

「最初からそのつもりで鍵も借りてきたんだ」

「…え?」

「それで、気に入ったなら……僕と一緒に住まないか?『僕の奥さん』として」


微笑みながら、胸のポケットから小箱を取り出してシャマルに差し出す。

片手で開けられたそこには、輝きを放つダイヤの指輪が収まっていた。


「くろ…の」


両手で唇を覆い、呆然と彼を見詰めるシャマル。

そんな彼女へ微笑みを向けたままクロノは言葉を紡ぐ。


「君が好きだ。君が隣りに居てくれるなら、僕の人生は、これから先も、ずっとずっと幸せでいられる。
君のことを護りたい。僕が僕である限り、君のことを絶対に護ってみせる。
シャマル。僕の人生を共に歩んでくれないか?」


シャマルの瞳を見つめながら、自分の心を、想いを乗せ、彼女に語るクロノ。

見開いた瞳から、ポロポロと泪を零しながら、表情を崩すシャマル。

微笑もうとしても、上手くいかない。

あとからあとから湧き出てくる想いに溢れかえりそうだ。

泪を零す彼女を、優しく抱きしめ、クロノは囁く。


「シャマル。一緒に生きてくれるか?」

「っ…はぃ……はいっ!…う…うぅぅぁあああ!」


声を震わせながら、しっかりと頷き、彼の胸の中で思い切り声を上げて泣くシャマル。

クロノは、胸の中の彼女を愛しげに抱きしめ続けていた。



夏が終わる頃、一組の夫婦の写真が、彼らの友人たちに送られる。

純白のウエディングドレスに身を包んだ女性と、彼女を支える男性が幸せそうに微笑み、
友人たちに囲まれている写真。

それを観たものは、皆、溢れる幸せを感じ、ほんのりと胸に心地よい灯が灯ったのを感じたという。





ま、電波が良好だったのかもしれません、以上!






“今日のお題:TAN!TAN!シャマルん♪(副題:シャマルさんSSS その3)”





クロノ・ハラオウン提督は思考する。

【……今月は、いや、今月も激務だった。ああ、認めよう】
【アースラと本局に居た日数が『31日中28日間』、言い訳のしようも無いさ】
【睡眠時間も平均3時間を切っていたのは間違いない。自覚している】
【眠っていても書類を書いていた夢を見ていたよ。もしかしたら、寝ながら書類にサインをしていた
可能性も無いとは言えないが】
【我ながら『これは疲れているな』と思う】
【うん、そうだ。疲れているんだ。そうに決まっている】
【だからこんな幻覚を見ているんだ。早急に休まなければならない】
【体調管理は重要だ。シャワーを浴びてベットにいかないと】


「クロノ〜〜〜〜(泣)」


【幻覚だ…幻覚なんだ!僕がそう決めたんだ!だからこれは幻覚なんだ〜〜〜〜!】


「わたし、どうしたらいいのかしら(泣)」


虚ろな眼をして現実逃避に全力全開の彼の前には


ふわふわとした柔らかそうな茶毛のミミを頭に生やし、スカートを押し上げているモコモコシッポを
一生懸命隠そうとしてる、彼の奥さん・シャマルさんが涙目になって立っていた。




柔らかタヌキ 一匹貰ってくださいな♪−Soft Asian racoon... Shamal−




「…幻覚じゃないんだな」

「そうだったらどれだけいいか〜〜〜(泣)」


ようやく現実空間に帰ってきた彼の視界に、フカフカお耳とモコモコシッポが、『見て見て見て〜♪』
と、いわんばかりに自己主張している姿が映る。


「一体、何をしたんだ、君は」


ゲンナリとした表情で溜息を吐く彼に、シャマルは涙目で訴えた。


「私は何もしてないわよ〜(泣)」

「原因も無く、行き成りそんな物が生えてくるわけがないだろう」

「そうはいっても〜〜」


問うクロノに、シャマルは恥ずかしげに耳を押さえながら答える。

眉を寄せ、ジッと耳を見つめるクロノ。


【……作り物には見えないしな…一体何が……】


その視線に気が付かずに、あわあわとパニックを継続中のシャマル。

涙目で頬を染め、『う〜(泣)』と唸る彼女を見ていると、クロノの思考が段々と怪しい物になってきた。


【……改めて見ると、こういう姿の彼女も可愛…って何を考えてるんだ僕は?!】

【彼女が恥ずかしがる姿は幾度も見ているじゃないか!夜とか!朝の時もあるけどいやそうじゃなくて!
ミミか?!それともシッポのせいか?!僕はそんな趣味があったのか!?まてまて落ち着けクロノ・ハラオウン!
『世の中はこんなはずじゃないことばっかりだ!』って確かにそうだが今のコレには関係ない!】


内心のテンパリ具合をおくびにも出さず、咳払いを一つし、改めてシャマルに問い掛ける。


「本当に心当たりは無いのか?」

「う〜〜(泣)無いです有りません〜…お夕食を作っている時に、クシャミをしたら、こう『ポムッ』っていう感じで
生えてきたのよ〜(泣)」

「ふむ………君は確か先週から、調査隊に同行してロストロギアの回収任務に就いていたはずだな?」

「え?ええ、でも別にこれといって問題は無かったわよ?」


腕を組みながら考え込むクロノに、きょとんとして答えるシャマル。


「現状では、その任務中に何かがあったとしか思えないんだが……」

「あ…そういえば……」

「何だ?」

「回収中に、一瞬だけロストロギアの魔力開放が確認されたとは聞いたけど、ナノ単位の発動だったから、
周囲への影響は皆無だってユーノ君から説明され


クロノは、シャマルの言葉を最後まで聞かず、最大出力でユーノに念話を飛ばした!


『フェレットモドキィィィィ!』

『うわぁああああああああ?!な、ななななんだ?!だ、誰!?』

『ほほぅ、僕の声を忘れたか?一度精密検査を受けるか?良い獣医を紹介するぞ』

『ク、クロノ?なんだよ、行き成り念話をするのはプライバシーの侵害なんじゃなかったの?』

そんなことはどうでも良い…至急調べて欲しいことがあるんだが』

『「そんなこと」って(汗)…なんなのさ、今週中に上げろっていった書類纏めるのに精一杯だって言っ

『それは後回しで良い。今から伝える物を追調査してくれ』

『え?ちょ、ちょっとまってよ!?』

待たない(爆)第269世界で先週回収されたロストロギアを調べ直してくれっていうかしろ

『な?!そんな事が出来るわけが無

『いいからやれ!なのはに色々吹き込まれたいか?』

『ひ、卑怯者ぉぉぉぉぉ!?』

『何とでも言え!こっちも必死なんだ!』

『わ、解ったよ、畜生(泣)』

『タイムリミットは明日までだ、頼んだぞ』

『え〜〜〜〜!?ちょ、まっ


プツン




「ユーノに調査を頼んでおいた。しばらくすればなにかわかるかも知れない」

「……クロノ、何か凄く可哀想な波動を感じたような気がするのだけど」

「フッ、気のせいさ」

「(ゆ、ユーノ君、ごめんなさいね(汗)」


フフフフフフと危ない笑みを浮かべるクロノに、シャマルはユーノの運命を感じ取り、ひっそりと心の中で手を合わせた。



*          *          *          *          *          *          *



カチャカチャカチャ


クロノは夕食の食器を洗うシャマルの後ろ姿をぼ〜っと見ながら、心の中に沸き立つ『好奇心』と戦っていた。

シャマルが食器を洗うリズムに合わせて『ピコッ ピコッ♪』と動くミミ。

ホコホコしたシッポはスカートの下に隠されているものの、時折、左右に振られ、ありえない形にスカートを膨らませている。


【あのシッポ、柔らかそうだな……ミミも動いているってことは、両方とも感覚があるって事だよな?】

【触ってみたら怒るか……怒るよな、やっぱり……でも、柔らかそうだな】


「さてと、後片付けお終い♪クロノ、お風呂はっ、ク、クロノ?!」


洗い物を終え、振り向いたシャマル。彼女がクロノに声を掛けながら振り向くと、クロノは何時の間にか背後に立っており、
そ〜っとミミに手を伸ばそうとしていた。


「はっ!?ぼ、僕は一体(汗)」

「クロノ…」

「ち、ちがうんだシャマル!?べ、別に柔らかそうだな〜とか触ったらどんな感触がとか思っていたわけじゃなくてだな(汗)」


顔を真っ赤に染めて言い訳を始めるクロノ。

シャマルは、そんな彼の様子に笑いが込み上げて来た。


「ぷっ…ふふふふ♪そんなに慌てなくてもいいわよ、クロノ」

「い、いや、慌てているわけではなくてだな」

「はいはい♪触りたいんでしょ?いいわよ♪」

「え、あの?しゃまる?」

「な〜に?クロノ?」

「…随分落ち着いていないか?さっきまで、あんなに大慌てしていたのに」


意外だ、と表情で訴えるクロノに、シャマルは笑みを浮かべて答えた。


「あら、だって特に身体に異常は無いし、ユーノ君に調査を頼んだんでしょう?なら、ちゃんと解決出来るもの。
それに……」

「…それに?」

「クロノが嫌がってないんだもの♪」

「ぐっ……」


シャマルは、ふんわりと幸せそうに微笑んだ。

微笑まれたクロノは、真っ赤になると、思わず明後日の方向に顔を逸らす。


「ふふふ♪久しぶりに昔の可愛いクロノ君が見れたわ♪」

「…覚えていろ、シャマル」

「あらあら♪」


真っ赤な顔のまま憮然として呟くクロノを、シャマルはクスクスと笑いながら見つめていた。



*          *          *          *          *          *          *



ピチャン


浴室の天井から滴った水滴が、浴槽に弾ける。

湯気が昇り、淡く視界を覆う中で、クロノは湯船にゆったりと浸かりながら、身体を洗うシャマルを観る。

張りのある白く艶やかな肌が、ほんのりと桜色に染まり、ボディーソープの泡が柔らかな肢体を覆う。

しっとりと水気を吸った金の髪がうなじに張り付く様は、見慣れた筈なのにゾクっとした色気を感じた。

しかし、今日はそれに加えて、金の髪からひょっこりと出る茶毛のミミと、見慣れたお尻から生える尻尾が揺れている。

違和感はある。違和感はあるが、なんというか、アンバランスさが何ともいえない感じを生み出していた。


「なぁ、シャマル」

「な〜に?」

「それ、重くないのか?」


クロノが指差すのは水に濡れ、ホコホコ感が無くなった尻尾。

その尻尾は、毛が張り付き、大きさが1/2程に成っていた。


「そうねぇ、別に気になるほどじゃないわよ?」

「そうか」


ふむ、と考え込むクロノに苦笑しながら、シャマルも浴槽に身を浸した。


ザパァ


クロノの横に身を寄せ、ほぅ と息を吐くシャマル。

クロノは、そんな彼女を抱き寄せるように、脇から腕を廻し、柔らかな彼女の下腹に手を添えた。


「ん…こら♪」

「久しぶりに君に触れられるんだ。少しくらい大目に見てくれ」

「あら?別に嫌じゃないわよ♪」


片目を瞑って言うクロノに、シャマルも顔を背後に逸らしながら悪戯っぽく答えを返す。

そのまま、どちらとも無くゆっくりと唇を触れ合わせ、久方ぶりの半身の感触を味わう。


「ん……んん!?」


と、突然シャマルが驚愕したように瞳を開いて肢体を震わせた。

浴槽を見ると、クロノの右腕が何時の間にか彼女に生えた尻尾を撫で摩っており、彼の手が上下する度、
シャマルの肢体がビクリ、ビクリと震えを繰り返す。


「んんん!?く、くろの、そこ、へんな感じする」

「へんな感じ、ねぇ…どんな感じ?」

「せ、背中をなで上げられるようなというか、太ももを舐め上げられるようなというか」

「なるほど、つまりヨロコんでいると思っていいんだな」

「え、や、ぁん!?く、くろの?!」


クロノは『ニヤッ』と笑うと、尻尾の付け根から先端へと、そして返した手で臀部全体をサワサワと撫でさする。


「んぁ!…ん、ふぁ、クロノ、ここ、お風呂、んん!?」

「気にすることないさ、別に初めてじゃないし」

「そ、そういうことじゃ、ぁん!な、なくて」

「じゃ、どういうこと?」

「くぅ!あっ…ん、や、ぁっぁああ」


湯のせいだけではなく、上気しているシャマルの赤みを帯びた顔を、更に意地の悪い笑みで見つめるクロノ。

彼女の弱い部分は、既に無意識で責められるほど熟知しているクロノは、段々と荒くなってきた彼女の呼吸を
首筋に感じ、心地よさげに目を細めた。


「唯でさえご無沙汰だったんだよ?僕は。それなのにシャマルがそんな格好で擦り寄ってくるんだから…」

「く、クロノの、いじわる」

「意地悪な僕は嫌いかい?シャマル」

「……ばか」


クロノは、蕩けた表情で返事を返すシャマルを、ぎゅっと抱きしめた。

そして、お互いの唇を貪りあう彼らは、湯船の中で睦み会う。


それから暫くの間、浴室からシャマルの蕩けた嬌声が絶える事は無かった。



*          *          *          *          *          *          *



星が天を覆い、煌く銀の河を創り出す。

幾筋か、地上に零れ落ちる星の輝きが夜空を流れていく。


「…なんだったんだろうな、結局」

「なんだったのかしらね」


寝室のベットで先ほどまで睦みあっていたクロノとシャマルは、少々気が抜けたような声で異口同音に呟いた。

シャマルの肢体に生えていたミミと尻尾は、すでに影も形も見えない。

寝室に移った後に、幾度目かの絶頂を迎えたシャマルがふと気が付くと、ミミと尻尾が消えていたのだった。


「もしかしたら、こういうことの為のアイテムだったのかもしれないわね」

「それは無い。というか有って欲しくない。そんなロストロギアは御免こうむる!」

「ぷっ…そ、そんなにムキにならなくても」

「いやだぞ僕は!?夜の生活用ロストロギアなんて、そんなものだったらアルカンシェルで吹き飛ばす…絶対」


時空管理局員としてのアイデンティティがゲシュタルト崩壊するようなロストロギアなんて、とブツブツと呟くクロノを、
笑いを堪えながら宥めるシャマル。


【まぁ、事の真偽はどうであれ、シャマルの身体に後遺症などはなさそうだな。それだけで良しとしよう】


そんな彼女を見つめながら、クロノは内心で安堵の息を吐いた。

シャマルは、彼のその想いを知ってか知らずか、微笑みながら優しくクロノを抱きしめる。


「大丈夫。クロノを置いてどこかに行くなんてこと、ないから……ね?」

「…ああ、そうだな。シャマルは僕のものだものな」

「ええ、そうですよ。はやてちゃんのものでもありますけどね」

「彼女には敵わないさ……でも」


クロノは、髪を優しく梳くシャマルの腕を掴み、ベッドに押し付ける


「今、こうしている時は、君は全部僕のものだ」

「ええ…今の私は、全部貴方のものです」



二つの影は、一つになる。



夜の帳の中、衣擦れの音と、悦びに満ちた声は止む事は無かった。















某所

「あああああああ?!わかんないぞ〜〜〜!?あのロストロギアの何がヤバイんだよ!」


「なぁ司書長が壊れてるけど、どうしたんだ?」
「解んないのよねぇ、さっきまでは頭を抱えてのたうってたし」
「とうとう高町教導官に三行半突きつけられたか?」
「え?リインフォースちゃんに手を出してたって、本当なの?」
「いや、リーゼ姉妹と、くんずほぐれずだったって聞いたぜ?」
「この前調査におりた世界のフェレット似の生物を妖しい目で見ていたのは、まさか…」
「なに?!とうとう人間以外にも!?」
「いや、あの人、あっちが本体じゃないのか?」
「節操ねえなぁ」

「お前ら帰れェェェェ!!(血涙)」


翌日、クロノから『あ、もういいから、当初の仕事進めてくれ。頼む』という血も涙もない念話を受け取るまで、
彼の地獄は続いた。







追記:その後、某教導官と昼食を共にしていた姿が確認された際には、彼は完全に復調していた様子だったという。

某提督のお言葉『まぁ、迷惑を掛けたのは事実だからな。彼女のスケジュールを都合つけるくらいはしてやらないとな』

某特別捜査官のお言葉『そのお鉢がコッチに廻ってきたんやから、今度おごってもらわなな〜♪』

某提督のお言葉『……お手柔らかに頼む』

某特別捜査官のお言葉『知らへん♪覚悟しとき〜♪』

某提督のお言葉『…かんべんしてくれ(ガックリ)』





う〜ん、シャマルさんSSS三本目…どこから電波が来てるんだろな?うた○れラジオは聞いて無いし、武○錬金だとモットこう物騒になるはずだし……わからん、謎だ(爆)





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